ゲスト
(ka0000)
【初心】新春大売り出しモチスライム退治
マスター:cr

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- LV1~LV20
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/01/25 12:00
- 完成日
- 2017/02/02 01:28
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「街道にスライムが出たのですか」
ある日のハンターオフィス。ここで受付嬢のモア・プリマクラッセ(kz0066)が依頼を受け付けていた。来訪者の話を聞きながら書類にペンを走らせていく。
「街道を塞ぐようにスライムが出ている、と。それは困りますね。私も商人ですから、それは通商路が使えないことを意味していることがわかります。早く退治しないといけませんね」
受付嬢としてのキャリアも長く、有能な商人でもある彼女らしく手際よく必要な情報を依頼者から聞き出していく。
「色は白……なんだかもちもちしていた、と。まあスライムですから軟体でしょうが、それだけ聞くと餅みたいですね。……ああ、餅をご存知ありませんでしたか」
彼女は商人でもあるので、様々な商品を扱ったことがある。その中には餅も含まれていた。そのため、依頼主の話を聞いて餅のことを思い出したようだ。
「でもたしか魔術師協会の方が一人おられましたよね? スライム程度であればその方一人で十分対処できたのではないでしょうか……はい、一掃するためファイアボールを撃ち込んだ、と。すると焼け焦げたかと思ったら、突然膨れ上がり巨大化してのしかかってきた。なるほど、ありがとうございます。魔法攻撃、属性攻撃には要注意、と……」
依頼主によると巨大化したモチスライム(仮称)はそのまま荷車を押しつぶしてしまったらしい。そのため彼らは這々の体で逃げ出し、なんとかハンターオフィスにたどり着いて依頼を出しているそうだ。
「それで柔らかいスライムが5匹、と……え? 2匹ほど硬いスライムが混ざっていた? これはどういうことなのでしょう」
その後に続けた依頼主の言葉にさしものモアも驚いたようだがいつものように表情は変わっていない。ともかく、話によると2匹ほどカチカチに固まったスライムが混ざっているようだ。こいつらを攻撃するとどうなるか想像もつかない。
話を全部聞き終え、依頼書を張り出しながらモアは思わずこう漏らした。
「スライムの定義って何なんでしょうね」
「街道にスライムが出たのですか」
ある日のハンターオフィス。ここで受付嬢のモア・プリマクラッセ(kz0066)が依頼を受け付けていた。来訪者の話を聞きながら書類にペンを走らせていく。
「街道を塞ぐようにスライムが出ている、と。それは困りますね。私も商人ですから、それは通商路が使えないことを意味していることがわかります。早く退治しないといけませんね」
受付嬢としてのキャリアも長く、有能な商人でもある彼女らしく手際よく必要な情報を依頼者から聞き出していく。
「色は白……なんだかもちもちしていた、と。まあスライムですから軟体でしょうが、それだけ聞くと餅みたいですね。……ああ、餅をご存知ありませんでしたか」
彼女は商人でもあるので、様々な商品を扱ったことがある。その中には餅も含まれていた。そのため、依頼主の話を聞いて餅のことを思い出したようだ。
「でもたしか魔術師協会の方が一人おられましたよね? スライム程度であればその方一人で十分対処できたのではないでしょうか……はい、一掃するためファイアボールを撃ち込んだ、と。すると焼け焦げたかと思ったら、突然膨れ上がり巨大化してのしかかってきた。なるほど、ありがとうございます。魔法攻撃、属性攻撃には要注意、と……」
依頼主によると巨大化したモチスライム(仮称)はそのまま荷車を押しつぶしてしまったらしい。そのため彼らは這々の体で逃げ出し、なんとかハンターオフィスにたどり着いて依頼を出しているそうだ。
「それで柔らかいスライムが5匹、と……え? 2匹ほど硬いスライムが混ざっていた? これはどういうことなのでしょう」
その後に続けた依頼主の言葉にさしものモアも驚いたようだがいつものように表情は変わっていない。ともかく、話によると2匹ほどカチカチに固まったスライムが混ざっているようだ。こいつらを攻撃するとどうなるか想像もつかない。
話を全部聞き終え、依頼書を張り出しながらモアは思わずこう漏らした。
「スライムの定義って何なんでしょうね」
リプレイ本文
●
「餅みたいなスライム、なるほど。スライムの定義ってなんでしょうね」
依頼を見て集まったハンター達に、モアがブリーフィングを行う。モチスライム(仮称)の構成や生態などを一通り伝え終えた所で、砂唐 汐(ka5742)は思わずそう漏らしていた。確かにスライムという定義が怪しくなる代物だ。
「ええ、正直私もわからなくなります」
「御餅の様なスライム。何だか不思議な生き物ですね」
「まあスライムですから」
「スライム自体不思議な塊ですか、そうですか」
その言葉に口を挟んだのはイツキ・ウィオラス(ka6512)だった。我々はわからないことが多すぎる。
「……お餅……好きだけど……スライムはいらないかな……」
そんな中、ボソボソと消え入りそうな声で喋っていたのはエリ・ヲーヴェン(ka6159)だった。その小さな声はこの場に居る他の者に気にも留められない。
「……街道を塞がれるのは……ちょっと……困るかな……」
ただ、彼女が言う通り、このモチスライムがいる場所、それが問題だった。街道を塞ぎ通商路に障害をもたらしているのだとしたら……その意味は、商人の家の出身である彼女にはよくわかった。
「はい、その通りです。とても困ります」
そんな彼女の小さな声にモアが反応した。エリが商人の家出身ならモアは現役の商人である。余計に切羽詰まっている。だから。
「新人であろうと経験不足であろうと、力あるものが責務を果たさねばならないのですから。これが、ハンターとしての務めなのでしょう?」
ビクンと反応するエリを尻目にカメリア(ka6669)はそう返した。彼女の言うとおりだった。経済を滞りなく動かすためには誰かが動かなければならない。そ
「あれ? スライム退治なの?」
だがそんな時素っ頓狂な声を出した者が居た。無雲(ka6677)だった。彼女は今の今までスライム退治だということを理解していなかったようだ。どう思っていたかというと。
「なーんだ、お餅食べ放題とかそんな感じかと思ったのに……もしかしたら食べられたりする? え? スライムだから無理?」
そんな彼女に色々な意味で残念そうに首を振るモア。というわけで一同はスライム退治へと向かうのであった。
●
「スライムおっきいね! 白くておっきくてもちもちー? なんだか気持ちよさそう……」
報告のあった場所にたどり着いたハンター達。そこに鎮座するモチスライムを見てのシエル・ユークレース(ka6648)の第一声はそれだった。確かにそれらはもちもちと見るからに柔らかそうに震えている。レポートどおり大人が一人すっぽり飲み込まれてしまいそうな大きさだが、それがまたベッドにしたら気持ち良さそうだった。
「触ってみても大丈夫かな? だめ?」
もっとも実際にそんなことをすれば飲み込まれてしまい程なくスライムと同じものになってしまうのだが。
一方シエルがそんなことを言っていた頃、南護 炎(ka6651)は念入りに周囲を調べていた。スライムは知性の無い存在だが、それ故に同様の個体が突然現れてもおかしくない。そのようなことが無いか注意を払う。
「俺だってもう半人前じゃ無い!!」
幸い調査の結果、他の敵の影は見当たらなかったのだが、油断なくスライムに向かい合う。ぷるぷると震えているそれを見てハンター達は作戦を決める。
「俺ぁ下手に魔力変換すると弱体化も甚だしいからな、前でひたすら殴ってくるぜ。やわらかだと分かった分は声掛けしてどんどん次にパスしていくから、魔法を使える奴は先にそっちを狙ってくれよ。最初がカチカチだったらカンベンな?」
トリプルJ(ka6653)の言うとおり、一般的なスライムなら魔法攻撃に弱い。だが、それも攻撃する側が魔法が得意なら、という但し書きが付く。そうでなければ物理攻撃に対する耐性を持たないカチカチに固まった個体を狙うしかない。
一同はいざスライムと戦うため並ぶ。いざ飛び出そうとした時、カメリアが先に動いた。
「人を守り、生活を守り、その役目を果たさせていただきます」
そして彼女は符を繰り吉凶を読む。その言葉に従って、ハンター達はスライムへと向かっていった。
●
「そんじゃバンザイアタックと洒落込もうか」
真っ先に接近したのはJだった。ダッシュしながらある程度近づいた所で、その手にある魔導機械をモチスライムに向ける。次の瞬間その機械の先端からワイヤーが飛び出し、モチスライムに絡みつく。しかし絡みついたと思ったワイヤーは、あっという間にその体に沈み込みほどけてしまった。ワイヤーが削り取ったスライムの体もすぐに元の様にくっつく。まるで手応えが無い。
「こいつはやわらかいぞ!」
「とりあえず片っ端からしばきましょう。どんな依頼でも何とかするのがハンターです」
Jはそのことをすぐに報告する。それに汐はそう返す。だが、そんな二人を尻目にスライムへと向かっているものが居た。
「アハハハハッ! 私のランスは凍る様に冷たいわよ!」
高笑いを上げながらスライムに向かっていくその者はエリのはずだった。だが、先程まで消え入りそうな声で喋っていた少女の姿はどこにもなかった。そこに居たのは髪が白く染まり、目が赤黒く輝く女戦士だった。
「あんまり触ってほしく無いわねぇ!」
そう叫びながらランスを突き立てる。ただのランスでは無い。氷河の名を関したものだ。その名の通り、その槍がスライムの体に突き立てられると、つい先程Jのワイヤーをものともしなかったその柔らかい体が突き立てられたところからみるみると凍り付き固まっていった。程なくしてそこに残ったのはその身を硬く固めたモチスライムだった。
「『モチ』でも『スライム』でもどっちでもいい! とにかく倒すだけだ!!」
そこに南護が飛び込む。剣を構え、精神を統一し呼吸を整える。マテリアルを全身に巡らせる。そして素早く踏み込みながら斬り抜ける。
その勢いのままスライムの向こう側まで回り込む南護。これでもしスライムが逃げ出そうとも――もっとも逃げ出すまでの知性があるかも疑問だが――その逃げ道は塞がれた。後の憂いは無くなった。
南護が一撃を与えた所に汐が斬りかかる。彼女の持つ剣はヒートソード、スイッチひとつで赤熱する代物だ。エリのランスで固まったスライムにその剣を振りかぶったその瞬間、スライムごと彼女の体は桜吹雪に包まれた。
後ろを見ればカメリアが符を打っていた。その認識を阻害し回避を妨げる桜吹雪が、スライムにどれだけの効果を及ぼしたかは定かではないが、ともかくその硬さが嘘のように汐の持つ剣の刃は入っていく。
「皆! 餅つきの要領です! 温めて叩いてふんふんソイヤです!」
同時に切断面がぷっくりと膨れ上がっていっているが、その事を気に留めず彼女はこのスライムを倒すための方策を叫んだ。
「それじゃ、先に数が少ない方からやっちゃおうかなー♪」
そして他の者達もスライムの前に辿り着く。無雲は元々固まっていたスライムに近づくと全身のマテリアルを一度臍下に集め、そこから再び巡らせる。
「本当は魔法とか色々出来たら格好良いんだけどボクが出来る事は一つだからー……思いっきりぶっ飛ばす!」
彼女はおもむろにスライムに手を触れると、その掌からマテリアルを一気に流し込んだ。そのカチカチに固まった体内に送り込まれたマテリアルはその体の中で乱反射し内側から衝撃を与える。
「きゃはは、殴り心地は良いね♪」
その時現れたのはあれほど固まっていたその体が今度は再び柔らかくなり、かといってもちもちした物理攻撃を受け流す体になっていない、つまりハンター達にとって丁度いい柔らかさになったそれだった。
●
しかしこのスライム、その大きな体に見合ったタフさを誇るようだった。ひとしきりハンター達からの攻撃を受けてもびくともせず、ぶるぶる震えてこちらへと伸し掛かって来る。
「食用には出来そうにはありませんね。可哀想ですが、被害が増える前に対処しましょう」
その時イツキが前に躍り出た。二つの足で力強く立ちマテリアルを全身に巡らせる。そこに襲い来るスライム。だが彼女は何もせず、ただその力のみで跳ね除けてみせる。
「まあ、こんなおっきいと通れないもんね! ちょーっとどいてもらえたらいいんだけどなーっ」
そんな時スライムの元にたどり着いたのはシエルだった。目の前に居るぶるぶる震えるスライムに槍を突き刺そうとする。だが、その前にスライムは震えながらシエルの体を飲み込もうとした。
白くもちもちした体が上から降ってくる。それがその小柄な体を覆い隠してしまった。
「それにしてもぷにぷにもちもちいい感じ……手のひらサイズなら持って帰れそうなのになー。むう」
だが、シエルは飲み込まれていなかった。ならばどこにいたのか? それはスライムの上だった。
シエルは襲い掛かられた瞬間飛び退いてかわすと、そのまま横にあった木を蹴って空高く飛び、スライムの上に着地していた。
しかしその柔らかい体は容赦なく脚を取る。そのまま地面に落ちそうになるシエルだったが、それより先にその槍の穂先をスライムの体に突き刺すと、思い切り振り上げる。引っかかったスライムの体は細く薄く長く伸びていき、その形のまま固まっていた。
一方視線を変えれば、その赤熱した剣を今まさに叩き込んだばかりの汐にスライムが襲いかかろうとしていた。いや、そうではなかった。彼女の剣が斬り裂いたその部分が急速に膨れ上がり、そのまま一帯を飲み込もうとしていた。
「ふん! そうはい神崎! 餅がなんぼのもんかです!」
だが汐も、膨らみながら押し寄せるモチをその体一つで押し返していた。イツキも使ったこれこそ格闘士の技、金剛であった。
その頃固まったスライムの方はというと、こちらもハンター達に襲いかかっていた。しかしやわらかスライムがその体で飲み込もうとするのに対し、こちらはその硬い体で押しつぶそうとする違いがあった。
「やらせねえぞ!!」
だがハンター達にはどちらにせよ同じである。南護は剣を構え、その体を受け止め反らす。そして剣を振り上げながらこう叫んだ。
「柔らかい奴は任せた! 固くなった奴は任せろ!!」
その声を聞いたのはカメリアだった。彼女はすかさず一枚の符を手に取る。
「いくら炎攻撃で膨らむといっても、限界という物がありますしね?」
カメリアが符にマテリアルを込めればそれは赤く輝く。
「つまんない事に協力させないでね? 楽しいことを期待してるわ!」
笑いながら槍を突き刺していたエリは、カメリアがやろうとしていることを察して飛び退いた。
「灰となって散りなさい、あなた達には炎のボレロがお似合いでしょう?」
そこにカメリアが投げ放った符が飛んできた。それは空中を舞いながら一瞬のうちに火球と化し、スライムを覆い尽くす。
燃え盛る炎がスライムを焼く。するとどうなるのか。火に包まれたそれは文字通り見る見るうちに膨れ上がっていった。一瞬で一帯を覆い尽くしてしまおうとしていた。
膨れ上がっているスライムに巻き込まれ無いよう飛び退いていたシエルだったが、ここで好奇心が首をもたげた。その手には槍が握られている。
「どうなるかな? ぱーん、てしちゃうかな? わくわくしちゃうねっ」
シエルはもう一度木を蹴って跳び上がる。そのまま空高く舞い上がり今膨れ上がっているスライムの真上に躍り出ると、思い切りその槍を振り下ろした。
はち切れんばかりに膨れ上がっていたスライム。そこに槍を突き立てたらどうなるか。
耳をつんざく轟音と共に爆風が巻き起こり、それが終われば後には何も残っていなかった。スライムは見事爆発四散したのである。
「きゅう」
まあその主犯であるシエルは思い切り吹き飛ばされ目を回して倒れていたわけであるが。
●
「私に敵意が向いてるうちにバシバシお願いします!」
スライムが爆発四散した頃、汐は目の前のスライムを抑えることに専念していた。
「でないと私がモチにされてしまいます! 有り体に言うと助けて下さい! マジで!」
だがサイズが違いすぎる。スライムを抑えるというか抑え込まれそうになっている。
「もう、しょうがないわねぇ!」
そこにエリが飛び込んできた。その槍で表面をかすめるように一撃。その後が固まったのを見てか見ないでか、再び一撃。何度も何度も打ち込めばどんどんと芯の方まで固まっていく。
そしてひとしきり固まった頃。エリは一気の踏み込みから大上段に振り上げた槍を突き刺すのではなく、叩きつけた。
それがとどめの一撃となった。鈍い衝撃音と共にカチカチに固まっていたスライムにヒビが入り、そしてそこから砕け散った。
一方別の場所ではイツキと無雲がスライムを挟み込むように立っていた。
まずはえぐりこむようにイツキが突きを放つ。その一撃は内部からマテリアルの衝撃を受け柔らかく変わっていたモチスライムの身を容赦なく削る。
「あ、いい機会だから新しいスキルが通用するか試してみよ♪」
そして無雲は空高く舞った。頂点で一旦止まると、そこから筋肉質の体を縦に回転させ一気に急降下する。勢いと体重を全て載せた強烈な一撃がスライムを上からしたへと穿つ。
無雲が着地したとき、そこには真ん中に大穴を開けたスライムが残っていた。そしてもうその形を保てなくなったのか、みるみるうちに崩れていった。
「くそ! しつこい!!」
スライムの背後で――最もスライムに前も後ろも無いのだが――南護は伸し掛かってくるカチカチスライムを跳ね返していた。何度も何度も受け止め、そしてその時が来た。
「絶対に倒す!!」
一呼吸でもう一度斬り抜ける。斬り抜けた彼の残心が見える背後で、スライムは横に真っ二つになり、そして砕けていった。
「やぁっとお目当てのスライムに当たったぜ」
そのころJはというと、残ったスライム目掛けひたすら蹴りを打ち込んでいた。全身の筋肉が盛り上がり、反撃で受けた傷は塞がっていく。
そして最後にすべての力を乗せた回し蹴りを叩き込むと、それで最後のスライムは崩れていった。
●
「あーぁ……美味しそうな見た目してたし本当に残念……」
モチスライムが全て排除された頃、餅を食べる気満々だった無雲はそう残念がっていた。代わりにと持参したチョコ餅を取り出す。
「こういう依頼の後に言うのも何ですが、帰ったら雑煮が食べたいですね。あったかなぁ。いいお店とか誰か知りません?」
その頃、スライムまみれになった汐は既に立ち直り同じように餅を食べることを考えいてた。
「そういやこういうもの貰ったぜ……行くか。なぁ、餅食いに行かないか?」
その時、Jはモアに渡されたチラシを取り出した。そこには彼女の店で正月一杯雑煮とお汁粉が食べられることが記載されていた。
「餅みたいなスライム、なるほど。スライムの定義ってなんでしょうね」
依頼を見て集まったハンター達に、モアがブリーフィングを行う。モチスライム(仮称)の構成や生態などを一通り伝え終えた所で、砂唐 汐(ka5742)は思わずそう漏らしていた。確かにスライムという定義が怪しくなる代物だ。
「ええ、正直私もわからなくなります」
「御餅の様なスライム。何だか不思議な生き物ですね」
「まあスライムですから」
「スライム自体不思議な塊ですか、そうですか」
その言葉に口を挟んだのはイツキ・ウィオラス(ka6512)だった。我々はわからないことが多すぎる。
「……お餅……好きだけど……スライムはいらないかな……」
そんな中、ボソボソと消え入りそうな声で喋っていたのはエリ・ヲーヴェン(ka6159)だった。その小さな声はこの場に居る他の者に気にも留められない。
「……街道を塞がれるのは……ちょっと……困るかな……」
ただ、彼女が言う通り、このモチスライムがいる場所、それが問題だった。街道を塞ぎ通商路に障害をもたらしているのだとしたら……その意味は、商人の家の出身である彼女にはよくわかった。
「はい、その通りです。とても困ります」
そんな彼女の小さな声にモアが反応した。エリが商人の家出身ならモアは現役の商人である。余計に切羽詰まっている。だから。
「新人であろうと経験不足であろうと、力あるものが責務を果たさねばならないのですから。これが、ハンターとしての務めなのでしょう?」
ビクンと反応するエリを尻目にカメリア(ka6669)はそう返した。彼女の言うとおりだった。経済を滞りなく動かすためには誰かが動かなければならない。そ
「あれ? スライム退治なの?」
だがそんな時素っ頓狂な声を出した者が居た。無雲(ka6677)だった。彼女は今の今までスライム退治だということを理解していなかったようだ。どう思っていたかというと。
「なーんだ、お餅食べ放題とかそんな感じかと思ったのに……もしかしたら食べられたりする? え? スライムだから無理?」
そんな彼女に色々な意味で残念そうに首を振るモア。というわけで一同はスライム退治へと向かうのであった。
●
「スライムおっきいね! 白くておっきくてもちもちー? なんだか気持ちよさそう……」
報告のあった場所にたどり着いたハンター達。そこに鎮座するモチスライムを見てのシエル・ユークレース(ka6648)の第一声はそれだった。確かにそれらはもちもちと見るからに柔らかそうに震えている。レポートどおり大人が一人すっぽり飲み込まれてしまいそうな大きさだが、それがまたベッドにしたら気持ち良さそうだった。
「触ってみても大丈夫かな? だめ?」
もっとも実際にそんなことをすれば飲み込まれてしまい程なくスライムと同じものになってしまうのだが。
一方シエルがそんなことを言っていた頃、南護 炎(ka6651)は念入りに周囲を調べていた。スライムは知性の無い存在だが、それ故に同様の個体が突然現れてもおかしくない。そのようなことが無いか注意を払う。
「俺だってもう半人前じゃ無い!!」
幸い調査の結果、他の敵の影は見当たらなかったのだが、油断なくスライムに向かい合う。ぷるぷると震えているそれを見てハンター達は作戦を決める。
「俺ぁ下手に魔力変換すると弱体化も甚だしいからな、前でひたすら殴ってくるぜ。やわらかだと分かった分は声掛けしてどんどん次にパスしていくから、魔法を使える奴は先にそっちを狙ってくれよ。最初がカチカチだったらカンベンな?」
トリプルJ(ka6653)の言うとおり、一般的なスライムなら魔法攻撃に弱い。だが、それも攻撃する側が魔法が得意なら、という但し書きが付く。そうでなければ物理攻撃に対する耐性を持たないカチカチに固まった個体を狙うしかない。
一同はいざスライムと戦うため並ぶ。いざ飛び出そうとした時、カメリアが先に動いた。
「人を守り、生活を守り、その役目を果たさせていただきます」
そして彼女は符を繰り吉凶を読む。その言葉に従って、ハンター達はスライムへと向かっていった。
●
「そんじゃバンザイアタックと洒落込もうか」
真っ先に接近したのはJだった。ダッシュしながらある程度近づいた所で、その手にある魔導機械をモチスライムに向ける。次の瞬間その機械の先端からワイヤーが飛び出し、モチスライムに絡みつく。しかし絡みついたと思ったワイヤーは、あっという間にその体に沈み込みほどけてしまった。ワイヤーが削り取ったスライムの体もすぐに元の様にくっつく。まるで手応えが無い。
「こいつはやわらかいぞ!」
「とりあえず片っ端からしばきましょう。どんな依頼でも何とかするのがハンターです」
Jはそのことをすぐに報告する。それに汐はそう返す。だが、そんな二人を尻目にスライムへと向かっているものが居た。
「アハハハハッ! 私のランスは凍る様に冷たいわよ!」
高笑いを上げながらスライムに向かっていくその者はエリのはずだった。だが、先程まで消え入りそうな声で喋っていた少女の姿はどこにもなかった。そこに居たのは髪が白く染まり、目が赤黒く輝く女戦士だった。
「あんまり触ってほしく無いわねぇ!」
そう叫びながらランスを突き立てる。ただのランスでは無い。氷河の名を関したものだ。その名の通り、その槍がスライムの体に突き立てられると、つい先程Jのワイヤーをものともしなかったその柔らかい体が突き立てられたところからみるみると凍り付き固まっていった。程なくしてそこに残ったのはその身を硬く固めたモチスライムだった。
「『モチ』でも『スライム』でもどっちでもいい! とにかく倒すだけだ!!」
そこに南護が飛び込む。剣を構え、精神を統一し呼吸を整える。マテリアルを全身に巡らせる。そして素早く踏み込みながら斬り抜ける。
その勢いのままスライムの向こう側まで回り込む南護。これでもしスライムが逃げ出そうとも――もっとも逃げ出すまでの知性があるかも疑問だが――その逃げ道は塞がれた。後の憂いは無くなった。
南護が一撃を与えた所に汐が斬りかかる。彼女の持つ剣はヒートソード、スイッチひとつで赤熱する代物だ。エリのランスで固まったスライムにその剣を振りかぶったその瞬間、スライムごと彼女の体は桜吹雪に包まれた。
後ろを見ればカメリアが符を打っていた。その認識を阻害し回避を妨げる桜吹雪が、スライムにどれだけの効果を及ぼしたかは定かではないが、ともかくその硬さが嘘のように汐の持つ剣の刃は入っていく。
「皆! 餅つきの要領です! 温めて叩いてふんふんソイヤです!」
同時に切断面がぷっくりと膨れ上がっていっているが、その事を気に留めず彼女はこのスライムを倒すための方策を叫んだ。
「それじゃ、先に数が少ない方からやっちゃおうかなー♪」
そして他の者達もスライムの前に辿り着く。無雲は元々固まっていたスライムに近づくと全身のマテリアルを一度臍下に集め、そこから再び巡らせる。
「本当は魔法とか色々出来たら格好良いんだけどボクが出来る事は一つだからー……思いっきりぶっ飛ばす!」
彼女はおもむろにスライムに手を触れると、その掌からマテリアルを一気に流し込んだ。そのカチカチに固まった体内に送り込まれたマテリアルはその体の中で乱反射し内側から衝撃を与える。
「きゃはは、殴り心地は良いね♪」
その時現れたのはあれほど固まっていたその体が今度は再び柔らかくなり、かといってもちもちした物理攻撃を受け流す体になっていない、つまりハンター達にとって丁度いい柔らかさになったそれだった。
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しかしこのスライム、その大きな体に見合ったタフさを誇るようだった。ひとしきりハンター達からの攻撃を受けてもびくともせず、ぶるぶる震えてこちらへと伸し掛かって来る。
「食用には出来そうにはありませんね。可哀想ですが、被害が増える前に対処しましょう」
その時イツキが前に躍り出た。二つの足で力強く立ちマテリアルを全身に巡らせる。そこに襲い来るスライム。だが彼女は何もせず、ただその力のみで跳ね除けてみせる。
「まあ、こんなおっきいと通れないもんね! ちょーっとどいてもらえたらいいんだけどなーっ」
そんな時スライムの元にたどり着いたのはシエルだった。目の前に居るぶるぶる震えるスライムに槍を突き刺そうとする。だが、その前にスライムは震えながらシエルの体を飲み込もうとした。
白くもちもちした体が上から降ってくる。それがその小柄な体を覆い隠してしまった。
「それにしてもぷにぷにもちもちいい感じ……手のひらサイズなら持って帰れそうなのになー。むう」
だが、シエルは飲み込まれていなかった。ならばどこにいたのか? それはスライムの上だった。
シエルは襲い掛かられた瞬間飛び退いてかわすと、そのまま横にあった木を蹴って空高く飛び、スライムの上に着地していた。
しかしその柔らかい体は容赦なく脚を取る。そのまま地面に落ちそうになるシエルだったが、それより先にその槍の穂先をスライムの体に突き刺すと、思い切り振り上げる。引っかかったスライムの体は細く薄く長く伸びていき、その形のまま固まっていた。
一方視線を変えれば、その赤熱した剣を今まさに叩き込んだばかりの汐にスライムが襲いかかろうとしていた。いや、そうではなかった。彼女の剣が斬り裂いたその部分が急速に膨れ上がり、そのまま一帯を飲み込もうとしていた。
「ふん! そうはい神崎! 餅がなんぼのもんかです!」
だが汐も、膨らみながら押し寄せるモチをその体一つで押し返していた。イツキも使ったこれこそ格闘士の技、金剛であった。
その頃固まったスライムの方はというと、こちらもハンター達に襲いかかっていた。しかしやわらかスライムがその体で飲み込もうとするのに対し、こちらはその硬い体で押しつぶそうとする違いがあった。
「やらせねえぞ!!」
だがハンター達にはどちらにせよ同じである。南護は剣を構え、その体を受け止め反らす。そして剣を振り上げながらこう叫んだ。
「柔らかい奴は任せた! 固くなった奴は任せろ!!」
その声を聞いたのはカメリアだった。彼女はすかさず一枚の符を手に取る。
「いくら炎攻撃で膨らむといっても、限界という物がありますしね?」
カメリアが符にマテリアルを込めればそれは赤く輝く。
「つまんない事に協力させないでね? 楽しいことを期待してるわ!」
笑いながら槍を突き刺していたエリは、カメリアがやろうとしていることを察して飛び退いた。
「灰となって散りなさい、あなた達には炎のボレロがお似合いでしょう?」
そこにカメリアが投げ放った符が飛んできた。それは空中を舞いながら一瞬のうちに火球と化し、スライムを覆い尽くす。
燃え盛る炎がスライムを焼く。するとどうなるのか。火に包まれたそれは文字通り見る見るうちに膨れ上がっていった。一瞬で一帯を覆い尽くしてしまおうとしていた。
膨れ上がっているスライムに巻き込まれ無いよう飛び退いていたシエルだったが、ここで好奇心が首をもたげた。その手には槍が握られている。
「どうなるかな? ぱーん、てしちゃうかな? わくわくしちゃうねっ」
シエルはもう一度木を蹴って跳び上がる。そのまま空高く舞い上がり今膨れ上がっているスライムの真上に躍り出ると、思い切りその槍を振り下ろした。
はち切れんばかりに膨れ上がっていたスライム。そこに槍を突き立てたらどうなるか。
耳をつんざく轟音と共に爆風が巻き起こり、それが終われば後には何も残っていなかった。スライムは見事爆発四散したのである。
「きゅう」
まあその主犯であるシエルは思い切り吹き飛ばされ目を回して倒れていたわけであるが。
●
「私に敵意が向いてるうちにバシバシお願いします!」
スライムが爆発四散した頃、汐は目の前のスライムを抑えることに専念していた。
「でないと私がモチにされてしまいます! 有り体に言うと助けて下さい! マジで!」
だがサイズが違いすぎる。スライムを抑えるというか抑え込まれそうになっている。
「もう、しょうがないわねぇ!」
そこにエリが飛び込んできた。その槍で表面をかすめるように一撃。その後が固まったのを見てか見ないでか、再び一撃。何度も何度も打ち込めばどんどんと芯の方まで固まっていく。
そしてひとしきり固まった頃。エリは一気の踏み込みから大上段に振り上げた槍を突き刺すのではなく、叩きつけた。
それがとどめの一撃となった。鈍い衝撃音と共にカチカチに固まっていたスライムにヒビが入り、そしてそこから砕け散った。
一方別の場所ではイツキと無雲がスライムを挟み込むように立っていた。
まずはえぐりこむようにイツキが突きを放つ。その一撃は内部からマテリアルの衝撃を受け柔らかく変わっていたモチスライムの身を容赦なく削る。
「あ、いい機会だから新しいスキルが通用するか試してみよ♪」
そして無雲は空高く舞った。頂点で一旦止まると、そこから筋肉質の体を縦に回転させ一気に急降下する。勢いと体重を全て載せた強烈な一撃がスライムを上からしたへと穿つ。
無雲が着地したとき、そこには真ん中に大穴を開けたスライムが残っていた。そしてもうその形を保てなくなったのか、みるみるうちに崩れていった。
「くそ! しつこい!!」
スライムの背後で――最もスライムに前も後ろも無いのだが――南護は伸し掛かってくるカチカチスライムを跳ね返していた。何度も何度も受け止め、そしてその時が来た。
「絶対に倒す!!」
一呼吸でもう一度斬り抜ける。斬り抜けた彼の残心が見える背後で、スライムは横に真っ二つになり、そして砕けていった。
「やぁっとお目当てのスライムに当たったぜ」
そのころJはというと、残ったスライム目掛けひたすら蹴りを打ち込んでいた。全身の筋肉が盛り上がり、反撃で受けた傷は塞がっていく。
そして最後にすべての力を乗せた回し蹴りを叩き込むと、それで最後のスライムは崩れていった。
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「あーぁ……美味しそうな見た目してたし本当に残念……」
モチスライムが全て排除された頃、餅を食べる気満々だった無雲はそう残念がっていた。代わりにと持参したチョコ餅を取り出す。
「こういう依頼の後に言うのも何ですが、帰ったら雑煮が食べたいですね。あったかなぁ。いいお店とか誰か知りません?」
その頃、スライムまみれになった汐は既に立ち直り同じように餅を食べることを考えいてた。
「そういやこういうもの貰ったぜ……行くか。なぁ、餅食いに行かないか?」
その時、Jはモアに渡されたチラシを取り出した。そこには彼女の店で正月一杯雑煮とお汁粉が食べられることが記載されていた。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/22 09:53:58 |
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モチスライム退治 無雲(ka6677) 鬼|18才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2017/01/24 11:17:38 |