侵攻の蜘蛛雑魔

マスター:鳴海惣流

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/01/26 07:30
完成日
2017/02/01 07:04

みんなの思い出

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オープニング

●新たな狙い

「フッフッフ。実に面白い見世物でした。人間というのは、どうしてかくも愉快な生き物なのでしょう。また新たな主役を用意したいところですが、得意気な連中が少々鼻につくようになってきましたね」

 途中から笑うのを止めた歪虚リアンが不快げに喉を鳴らす。原因は、当初こそ面白がっていたハンターだ。定められた配役のうちはまだいいが、次第にせっかく整えた舞台を荒らす存在になりつつある。

「一度、排除して、自らの立場をわきまえらせる必要があるかもしれませんね」

 鴉に似た顔の歪虚は、顎に手を当て考える。
 自分が直接ハンターのいる街を攻めてもいいが、それでは面白みに欠ける。

「演出家としては、より楽しめる舞台を用意しなければなりませんね」

 見渡すリアンの視界に飛び込んできたのは、奥に森がある小さな村だった。

「鬱蒼とした森に潜む怪異。フフ。面白い演目になりそうではありませんか」

 様子を見に森に降り立った歪虚は、尖った唇をニタリと歪める。

「この森の瘴気のせいでしょうか。雑魔がいますね。せっかくですから、配役に加えて差し上げましょう。怯え、逃げ惑う人間が殺戮されている場面に遭遇するハンター。これはこれで見応えがありそうです。早速、準備をするとしましょう」

●小さな村リーラン

 のどかな村は、グラズヘイム王国ラスリド領にある。領主のゲオルグの息子レイルが、代理でこの村を任されていた。
 というのもリーランは何故か敵に狙われることが多く、そのたびにハンターの力を借りて撃退しつつも被害を受けてきたからである。

「最近はのどかだねぇ」

 女鬼のアオユキが、元の村長宅を改良したレイルの家でお茶を啜る。
 正面に座っているレイルは、椅子に背を預けながら頷く。

「まったくだな。このまま平和な日が続けばいいんだが……」
「大丈夫だろ。とか言ってたら、騒がしい偵察兵が急に飛び込んできたりしてな」
「やめてくれ。冗談にならなかったらどうする」

 顔をしかめるレイルを見て、アオユキが腹を抱える。

「ハハッ。レイルの旦那は相変わらず心配性だね。そんなこと――」
「――大変ですっ!」

 叩きつけるように開かれたドアが軋む音を立てる。現れたのは主に偵察任務をこなす少女の兵士であった。

「奥の森から、なんかでっかい蜘蛛が、わさわさとこっちに向かってます。とびきりでっかいのもいます!」
「……そんなこと、あったじゃないか」

 ため息をつきつつ、レイルは椅子から立ち上がる。あとに続くアオユキの顔には、苦笑いが張り付いていた。

●ハンターへの依頼

 雑魔と思われる巨大蜘蛛の侵攻を防いだものの、敵に諦める気配はない。
 そこでレイルは偵察兵の少女に命じ、近隣の街でハンターに依頼を出した。
 程なくして集まったハンターたちは、レイルの家で説明を受ける。

「敵は雑魔と思われる巨大蜘蛛。前にも似たような敵が森に出たことがある。そこで村を守ると同時に、ウチの偵察兵が見たというとびきりでかい蜘蛛歪虚を探し出して始末してほしい。もしかしたら、そいつが親玉の可能性もある」

 雑魔の侵攻が断続的に続いているからこそ、レイルはボス的な存在を潰して敵の戦意を削ぎたいと考えていた。

「村の防備は私が指揮するリーラン兵で担当する。手伝ってくれるとありがたいが、ハンターの方々には敵の――それも親玉の討伐を優先していただきたい」

 現在時刻は午後三時。時間がかかりすぎると夕暮れになり、夜を迎える。そうなると黒い体の蜘蛛は余計に見え辛くなってしまう。

「なるべく日があるうちにとは思うが、無理をして怪我人が出ても仕方がない。どのように攻めるかはお任せする。我々はとにかく村を守ることに専念する」

●森の奥

 日中とはいえ、森の奥はあまり日が届かずに薄暗い。
 そこでハンターたちは発見する。奥で一際巨大な蜘蛛を。
 油断なく周囲を警戒し、歩を進める。
 するとそれを待っていたかのように、四方から蜘蛛の雑魔が現れたのだった。

リプレイ本文

●薄暗い森

 茂る葉が陽光を遮る薄暗い森に、不気味な影が蠢く。
 顎を鳴らす不快な音が木霊し、四方から現れたのは通常よりも大きな蜘蛛だった。外見の特異さから、明らかに歪虚だとわかる。

「唯の蜘蛛にしては随分と隠形が得意なようで」

 包囲網と呼べるほど強固ではないが、囲む陣形を取って現れた蜘蛛たちに、アティニュス(ka4735)が口元で皮肉めいた笑みを作る。

「他にも何かいるかもしれませんね。注意はしておきましょうか」
「待ち構えているようにボスがいる、ね。なんだか、こう、謀られた気がしないでもないわね? この囲まれた状況を考えると……ちょっと考えすぎかしら?」

 敵の位置、仕草などを観察しつつ言ったコントラルト(ka4753)の言葉に、榊 兵庫(ka0010)が反応する。

「……まんまと敵の罠にはまってしまったという所か。舐めるなよ、俺を。この程度の罠など喰い破って目にもの見せてやろう!」

 槍を軽く回転させ、しっかりと構えを取る兵庫。
 コントラルトは手に持っていたライトを腰に固定し、戦闘準備を整える。

「まあ、とりあえず、考えるのは後にして殲滅しましょうか。一匹たりとも村のほうにはいかせないわよ」
「ああ。村にこいつらを近付けさせる訳にはいかない。まず近いのから片付けねば」

 確保している光源で蜘蛛の一体を照らし、兵庫は決意たっぷりに言った。

「囲まれましたか……まるで蜘蛛の巣にかかった獲物みたいですね私達。敵地のど真ん中と考えればしょうがないですけど」

 落ち着き払った様子で溜息をつくアメリア・フォーサイス(ka4111)。動揺は見られない。
 なんだかんだと経験を積んできているので、このような状況でもパニくらずに余裕を維持できていた。

「マンマ・ミーア!! でっかい蜘蛛!」

 一番奥にいる巨大な蜘蛛を発見した超級まりお(ka0824)は、くりくりとした瞳を大きくする。
 その後になるほどナルホドと頷き、改めて遠目に見えるでかい蜘蛛を観察した。

「状況的にコイツが親玉っぽいね。倒せば取り合えず蜘蛛の進行は収まる……? とにかくやるっきゃないカンジ?」

 徐々に戦闘開始の気配が近づく中、アルスレーテ・フュラー(ka6148)は背後の村を気にしていた。

「なんか来るたびに襲われてる村ね。いや、襲われてるから私たちが来てるのか。まあどっちでもいいわ」

 正面の蜘蛛を見据えると、アルスレーテは微かに眉をひそめる。

「別段蜘蛛が苦手ってわけじゃあないつもりだけど、あんまり大きいと気持ち悪いから、さっさと退散してもらいましょう」

 四方を囲む蜘蛛たちが動き出しの気配を見せたのもあり、ハンターたちもそれぞれの役割を手早く決めて行動に移る。

●蜘蛛歪虚戦

 仲間の走り出しを確認しつつ、コントラルトは立っていた場所から少しずつ下がる。
 腰につけたライトのおかげで、薄暗い森でも敵の姿ははっきり認識できる。すでにこちらの姿は蜘蛛に捉えられているのだから、光源を使用することで場所を知られる心配も必要ない。

「とにかく村に近い敵を仕留めるわよ。ボスと雑魚がいる場合は、雑魚から減らしていくのがセオリーだしね」

 正面の巨大な蜘蛛に気を取られている間に、小型――それでも通常のよりはずっと大きいが――の蜘蛛に村を襲われては厄介だ。
 振り返ったコントラルトは自身の左右と、新たに視界の正面で捉えることになった合計三体の蜘蛛へとデルタレイで先制攻撃を行う。
 宙に描かれた美しい光の三角形から伸びる光が、左右の蜘蛛の腹と背を難なく貫いた。
 二体にはそれぞれ兵庫とアティニュスが、コントラルトのデルタレイにタイミングを合わせるように接近していたので、蜘蛛たちはそちらに気を取られていて、回避ができなかった。
 三体目の蜘蛛は急所を撃ち抜かれ、断末魔の悲鳴を上げる暇もなく土の上に崩れ落ちた。
 ライトを効果的に使用しつつ、狙った敵へ愛用の槍をお見舞いしようとしていた兵庫が足を止める。

「一気に村へ向かわれる心配はなくなったか。では前へ出る。俺たちが突破されては元も子もないからな」

 一方で村から見て右側の蜘蛛を標的に決めていたアティニュスも納刀の構えを維持したまま、倒された蜘蛛歪虚の最期を見ていた。

「コントラルトさんが倒しきれなかった場合のためにタイミングを合わせるつもりでしたが、見事なものですね。今回は他の方も実力者ばかり。安心できますね」

 感心の呟きを残し、アティニュスもまた体を反転させた。


 北方面の敵を抑えておくため、積極的に前には出ていなかったアルスレーテにも、後方の三体が消滅したのはすぐにわかった。

「南半分の敵が殲滅されたみたいね。それじゃあ攻勢に転じるわよ」

 軽く両の拳を合わせ、アルスレーテは前方へ走る。巨大蜘蛛の前には道を塞ぐように小型の蜘蛛がいる。
 巨大蜘蛛とやり合うまではある程度力を温存しようと決めていたアルスレーテは、加速して間合いを詰めると蜘蛛の腹へと拳をめり込ませた。
 勢いに押され、ひっくり返った蜘蛛は悶絶するも、瀕死ながらまだ生きていた。開いた口から牙を覗かせ、怒りのせいとも苦しみのせいともとれる体液を垂れ流す。


 コントラルトのデルタレイや、アルスレーテの一撃の影響で蜘蛛たちの注意は彼女たちのいる正面へ注がれる。
 その隙にまりおは右上方向へと移動する。

「ヒアーウィーゴー!!」

 飛ぶようにして馬から降りると、巨大蜘蛛の死角に当たるであろう場所の木を懸命に登りだす。

「ボクは積極的に巨大蜘蛛を狙っていくよ!」

 正面の蜘蛛に邪魔されず、最初からボス的存在の蜘蛛を狙うつもりだった。


「村へ行かせるわけにはいきません。確実にここで仕留めないと」

 アメリアもまた他のハンター同様に、村への被害を極限まで少なくしようと考えていた。
 村で戦っているレイルたちが心配でないといえば嘘だが、彼らの負担を減らすためにもアメリアは自分の仕事を確実にこなす心構えだった。
 銃を構え、狙いを定める。
 と、不意にアメリアはせっせと木に登るまりおを見つける。

「奇襲するつもりなのですね。では私は巨大蜘蛛の動きを封じておきましょう」

 すぐにまりおの狙いに気付いたアメリアは、奥の巨大蜘蛛が動けなくなるように射撃で威嚇する。

「優秀なアタッカーがいるので、他の蜘蛛は信頼する味方に任せ、大型の足止めを優先します」

 目論み通りにボス蜘蛛の移動を一時的に不能にしたアメリアは、油断することなく照準を合わせ続ける。


 ハンターに押されっぱなしの蜘蛛たちが、ここで反撃に転じる。
 巨大蜘蛛は動けないながらも、アルスレーテに粘着性の高い糸を吐く。
 正面の敵だけでなく、奥にも注意を払っていたアルスレーテはバックステップで糸から逃れる。
 その瞬間に瀕死だった蜘蛛が力を振り絞ってアルスレーテの胴体へ突撃したが、そのままバックステップの勢いを強めて威力を軽減させてやり過ごす。

「良い運動になるわ。私のダイエットを手伝ってくれてありがとう」

 蜘蛛の連携攻撃にも、アルスレーテは欠片も余裕を崩さなかった。
 アルスレーテの援護に向かっていた兵庫とアティニュスにも、他二体の蜘蛛から糸が吐かれる。

「蜘蛛らしく糸を吐くか。だが、残念だったな。そう易々とは食らってやらぬぞ」

 直進からの緊急停止を経て、左方に素早く飛んで回避する。鍛えられた脚力が、兵庫に難を逃れさせた。
 一方でアティニュスは不覚にも糸を腕に受けてしまった。

「油断してしまいましたか。厄介な糸ですが、この程度なら……!」

 アティニュスもまた経験を積んだハンターだ。腕に僅かな怪我こそしたものの、上手く力を使って本格的に絡まれる前に糸からの脱出を果たした。


 蜘蛛歪虚の攻撃はほぼ不発に終わり、再度ハンターが敵を追い込んでいく。
 体当たりしてきた蜘蛛を押し返すと同時に、強く地面を踏みつけ、速度と体重を乗せた拳をアルスレーテが放つ。敵に二撃目を耐えるだけの体力はなかった。
 正面の蜘蛛が倒れるのを横目に、兵庫は左側の蜘蛛に接近する。

「まずはその腹から、俺の槍で喰い破ってくれる!」

 兵庫のオリジナルコンボである榊流【狼牙一式】からの強打が、蜘蛛歪虚の腹部を貫いた。
 しかしながら致命傷とはならず、呻き声のようなものを吐き出しながら蜘蛛は慌てて下がる。

「図体通りの生命力というわけか。いいだろう、かかってこい。気の済むまで相手をしてやる」


 右側の蜘蛛を狙うのはアティニュスだ。奥の大蜘蛛を一直線に目指そうとしたが、狙われたのもあって標的を変更した。素通りすれば、村側へと進まれる危険性があるためだ。

「すみませんが、この先に行かせるわけにはいきません」

 装甲みたいに硬そうな背を避け、機動力を奪う意味も含めてアティニュスは敵の脚へ剣を振るった。
 脚を斬られた蜘蛛が、這いつくばるように地面に倒れる。

「大人しくそこで伏せをしていてください。すぐにとどめがくるでしょうから」
「ええ。弱った個体の始末は任せて。ついでに大きいのにも当てておきましょうか」

 言い終わるのが早いか、コントラルトはデルタレイを生き残りの三体の蜘蛛に食らわせる。
 兵庫とアティニュスのおかげで素早い動きができなくなっていた二体は、脚と背に強烈な魔法攻撃を食らって絶命する。

●大蜘蛛歪虚戦

 最後に残った大蜘蛛が移動不能から立ち直り、避けようとする。
 だがアメリアの威嚇射撃が、改めて脚の動きを止めさせた。

「どこへ行くつもりですか? 逃がしませんよ」

 コントラルトのデルタレイを背に食らい、耳障りな悲鳴を上げる巨大蜘蛛。目には殺気を宿らせているが、いまだ自由には動けない。
 そこへ木の上から、まりおが強襲する。

「いっくよー! 前転斬りを叩き込んでやる!!」

 脚に命中し、苦悶するもまだ大蜘蛛は死なない。しかし戦況は圧倒的にハンター有利となっていた。

「この状況で近づきすぎるのは得策ではないわね。それなら万が一ではあるけれど、この場に誘い込まれたと想定して周囲を警戒しておきましょうか」

 敵増援の気配はいまだないが、コントラルトは死角となるであろう方向を中心に注意を払っておく。
 その前方では、兵庫とアティニュスが巨大蜘蛛との距離を詰めていた。

「かなりの大きさだが、迂闊な真似さえしなければどうとでもなる。覚悟しろ!」

 兵庫の槍捌きが確実に大蜘蛛を押し込んでいく。
 だがとどめとなる前に敵が移動の自由を取り戻す。すぐさま兵庫の脇を抜けて距離を取ろうとする。

「あまり自由に動かれると困ります」

 敵の意図を察したアティニュスが進行方向に立ち塞がる。
 大蜘蛛は怒りに任せてアティニュスへ襲い掛かろうとするが、そうはさせじとアメリアが引き金を引く。

「銃弾のお味はいかがですか? 糸を吐く暇もくらいご馳走してあげます」

 制圧射撃によって行動不能となったボス蜘蛛に、満を持して一つの影が近付く。アルスレーテだ。

「ちょっと無駄に着込みすぎて体が若干重いけど、ま、これもダイエットと思えばね」

 アルスレーテの姿を捉えても、大蜘蛛は反応しきれない。

「あら、かわいそうに。バッドステータス付きなのね。すぐ楽にしてあげるわ」

 不敵に笑うアルスレーテの九想乱麻が大蜘蛛の頭部に命中する。これが致命傷となった。

●戦闘後

 巨体が地面に沈み、何事もなかったかのように薄暗い森に静けさが戻る。ハンターたちが迅速に場の蜘蛛歪虚を全滅させたので、まだ夜となるにはだいぶ時間が残っていた。

「残党は……いないみたいね。これで終わり……なのかしら?」
「どうでしょうか。敵がこれだけとは限りませんし……」

 敵の姿がいなくなったのを受け、生き残りが潜んでいないかを確認するコントラルトの隣でアティニュスが小さく首を傾げた。
 その直後、アティニュスは不意に全身に鳥肌が立つような不快感を覚えた。
 原因が何者かの視線だと気づいた瞬間、アティニュスは走りだしていた。
 人間のようでいながら、人間とは違うフードをかぶった存在。悪しきオーラが見えるようなその存在を危険だと本能で察し、アティニュスは躊躇いなく剣を繰り出した。
 ひらりと後方に宙返りをしてかわした際に、謎の存在のフードが落ちる。現れたのは鴉にも似た不気味な顔だった。

「やれやれ。私が用意したせっかくの演目が台無しにするどころか、無謀にも仕掛けてくるとは――む?」

 騒ぎに気付き、アティニュスのあとを追っていた兵庫は、敵の死角から槍を突いていた。
 しかしすんでのところでまたもかわされ、今度は背についた蝙蝠のような翼を広げて空へと逃げる。

「いきなり何をするのです?」
「フン。何者かは知らぬが、この場で俺たちを監視していたようではないか。ならば味方ではあるまい」
「良い判断ですと褒めて――」

 異形の言葉はそこで途切れる。理由は伸びてきた光が片翼を貫いたからだ。

「どこかで見た覚えがあるわね。こそこそと何をしていたのかしら」

 ずっと攻撃の隙を窺っていたコントラルトが放ったデルタレイだった。

「そうですね。私もそちらには見覚えがありますよ。本当に忌々しい……!」

 唾を吐き捨てかけた異形に、今度はアメリアが銃弾を撃ち込む。
 片腕で防がれはしたが、ダメージは与えた。
 向けられた鋭い視線にアメリアが臆さずにいると、謎の異形は忌々しそうに顔を歪める。

「……これで退きますが、あまり調子に乗らないことです。最後に名乗っておきましょうか。私はリアンと申します。今回の借りはいずれ返させてもらいますよ」


 片翼ながらも飛んで逃げたリアンを深追いはせず、ハンターたちはリーランへと戻った。
 そこではまだ蜘蛛と兵士が戦闘中だったため、加勢して事なきを得る。

「助かったよ。蜘蛛の押し込みが予想より凄くて、アタシらだけじゃキツくなってたとこだったんだ」

 アオユキやレイルが、ハンターたちにお礼を言って握手を求めてくる。
 応じてから、アティニュスは腕の怪我を治療してくれたアルスレーテと一緒に村人へ声をかけて回る。

「怪我をした方はいますか? 応急手当ならできますよ」

 大丈夫と笑顔で駆け寄ってくるのは村の子供たちだ。頭を撫でて言葉をかわす。
 アメリアやまりお、それに兵庫の周りにも子供が集まっており、なんだか賑やかな雰囲気だ。
 村で一番元気な女児の相手をしながら、ぼんやりとコントラルトは村の奥を眺める。

「それにしても、この村はほんと何かあるのかしらね? 単なる偶然? それともやっぱり……」

 女児に遊ぼうとせがまれ、コントラルトは考え事をやめる。
 ハンターが子供たちと遊んでいる間に、夜の闇が村に降りる。
 一層の不気味さを伴った森の中。佇む木々が嗤うように葉を鳴らしていた。

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MVP一覧

  • 世界に示す名
    アティニュスka4735
  • 最強守護者の妹
    コントラルトka4753

重体一覧

参加者一覧

  • 亜竜殺し
    榊 兵庫(ka0010
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人

  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイス(ka4111
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • 世界に示す名
    アティニュス(ka4735
    人間(蒼)|16才|女性|舞刀士
  • 最強守護者の妹
    コントラルト(ka4753
    人間(紅)|21才|女性|機導師
  • お約束のツナサンド
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士

サポート一覧

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/01/25 17:01:22
アイコン 相談卓
アルスレーテ・フュラー(ka6148
エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/01/25 14:45:36