ゲスト
(ka0000)
【初心】樹木に擬態する植物雑魔
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- LV1~LV20
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/01/25 22:00
- 完成日
- 2017/01/30 09:13
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
グラズヘイム王国、リンダールの森、南東。
現在、この近辺の集落は、森から出てくる植物の形をした雑魔に悩まされている。
現れるのは、枯れ木のような物に蔓草が巻きついて人型となったものだ。
どうやら、元は何かの支配を受けた雑魔だったフシもあるが、野良となった雑魔数体が森を出て、好き勝手に人を襲っている。
最初は誰彼構わず襲っていたようだが、そのうち、蔓触手で縛り付けた女性が叫び声を上げるのに快感を覚えたらしい。心行くまで若い女性を縛り付けてその反応を楽しみ、弱らせたところでトドメを刺すという、なんともふざけた行動を繰り返していると言う。
村の女性達は雑魔を恐れ、怖がって外に出ようとしなくなった。彼女達は命の危険以上に、自身の体を弄ばれることに嫌悪感を抱いているのだ。
集落民は速やかな雑魔退治をと、ハンターズソサエティへと依頼を持ちかけるのである。
王都イルダーナのハンターズソサエティ。
「なんか、えっちぃ植物雑魔が出るようですねー」
金髪のウェーブヘアで糸目の女性、シェリーが訪れたハンターへと雑魔依頼を紹介する。
それは王国東、リンダールの森の南東の集落。
森から現れる植物型雑魔に、集落民が手を焼いていると言う。面倒なことに若い女性を襲うのを覚え、徐々に移動しながら片っ端から女性を襲い、場合によっては命すら奪うのだそうだ。
「熟練ハンターであれば、敵ではなさそうですねー。それもあって、ハンターズソサエティは初心者の方を優先的に経験を積んでもらうべく、そういった方々向けに依頼を出すことにしたようですー」
各地で様々な事件が起こっている。ハンターの数はいくらいても苦にはならない状況だ。未来の大型作戦に参加できるようなハンターを育てたい。依頼をこなすハンターが増えるのは、ハンターズソサエティにとっても有益なことなのだ。
さて、現れる植物雑魔は5体。森の中にも同じような雑魔が現れると言うが、個別に活動したことで野良となった亜種とでも言うべき存在だ。
「木をつけて、もとい、気をつけて戦えば問題ない相手ですが、奇襲だけはくれぐれもご注意くださいー」
リンダールの森入り口付近で、木に擬態している敵。だが、蔓草が巻きつく木など、そこまで多いはずもない。まして、周囲の木々に比べればその樹高は低く、注意深く見ていればそれが雑魔だと見分けがつくはずだ。
「以上ですー。討伐、がんばってくださいねー」
シェリーはにこやかに手を振り、ハンターを見送るのだった。
グラズヘイム王国、リンダールの森、南東。
現在、この近辺の集落は、森から出てくる植物の形をした雑魔に悩まされている。
現れるのは、枯れ木のような物に蔓草が巻きついて人型となったものだ。
どうやら、元は何かの支配を受けた雑魔だったフシもあるが、野良となった雑魔数体が森を出て、好き勝手に人を襲っている。
最初は誰彼構わず襲っていたようだが、そのうち、蔓触手で縛り付けた女性が叫び声を上げるのに快感を覚えたらしい。心行くまで若い女性を縛り付けてその反応を楽しみ、弱らせたところでトドメを刺すという、なんともふざけた行動を繰り返していると言う。
村の女性達は雑魔を恐れ、怖がって外に出ようとしなくなった。彼女達は命の危険以上に、自身の体を弄ばれることに嫌悪感を抱いているのだ。
集落民は速やかな雑魔退治をと、ハンターズソサエティへと依頼を持ちかけるのである。
王都イルダーナのハンターズソサエティ。
「なんか、えっちぃ植物雑魔が出るようですねー」
金髪のウェーブヘアで糸目の女性、シェリーが訪れたハンターへと雑魔依頼を紹介する。
それは王国東、リンダールの森の南東の集落。
森から現れる植物型雑魔に、集落民が手を焼いていると言う。面倒なことに若い女性を襲うのを覚え、徐々に移動しながら片っ端から女性を襲い、場合によっては命すら奪うのだそうだ。
「熟練ハンターであれば、敵ではなさそうですねー。それもあって、ハンターズソサエティは初心者の方を優先的に経験を積んでもらうべく、そういった方々向けに依頼を出すことにしたようですー」
各地で様々な事件が起こっている。ハンターの数はいくらいても苦にはならない状況だ。未来の大型作戦に参加できるようなハンターを育てたい。依頼をこなすハンターが増えるのは、ハンターズソサエティにとっても有益なことなのだ。
さて、現れる植物雑魔は5体。森の中にも同じような雑魔が現れると言うが、個別に活動したことで野良となった亜種とでも言うべき存在だ。
「木をつけて、もとい、気をつけて戦えば問題ない相手ですが、奇襲だけはくれぐれもご注意くださいー」
リンダールの森入り口付近で、木に擬態している敵。だが、蔓草が巻きつく木など、そこまで多いはずもない。まして、周囲の木々に比べればその樹高は低く、注意深く見ていればそれが雑魔だと見分けがつくはずだ。
「以上ですー。討伐、がんばってくださいねー」
シェリーはにこやかに手を振り、ハンターを見送るのだった。
リプレイ本文
●
リンダールの森の入り口に現れ、女性ばかりを襲うという植物雑魔。
その討伐依頼を受け、ハンター達はその付近の集落までやってきていた。
「メイドの雲雀なのですよ。よろしくお願いしますです」
初顔合わせも多いハンター達。雲雀(ka6084)は頑張るのですよーと意気込みつつ、挨拶を交わす。今回、ご主人様とは別行動だが、主人が見ていない時でも日々修練を欠かさないと彼女は胸を張る。
「はじめましてこんにちは、ノワです!」
元気に自己紹介するノワ(ka3572) も女性ばかりを襲う雑魔が現れると聞き、しっかり退治したいと主張した。
それと、ノワは知識も深めたいとのこと。以前の依頼で教えてもらった「しょくしゅプレイ」について、どの医学書にも載っていなかったことが気になっていたらしい。
今回の相手は蔓触手を操る相手ということで、何かヒントが分かるかもしれないと、わくわくしていたようだ。
「か弱い女の子に悪戯なんて羨ま……げふん。酷いことしやがって!」
今回参加する中で唯一の男性、フェリル・L・サルバ(ka4516)は頭に浮かぶ雑念を振り払う。
(今回はお仕事ですからねー、真面目にやりますよっと)
そんな彼はさておき、女性メンバー達はさらに植物雑魔について語る。
「話だけ聞くと、所謂『案件』を思い出すが……。今回のは、そうも言ってられんか」
以前受けた依頼と今回の依頼をダブらせて見ていた、ソティス=アストライア(ka6538) 。彼女には何やら思うことがあったようだ。
「擬態かぁ……。面倒な事するねぇ」
擬態の上、女性を襲う雑魔。口では悪態づく骸香(ka6223)は、とりあえずそいつらを壊せればいいやとやや軽めに考えている。
「道徳を説くとか義憤とかどうでもいいのですが……、まずは気に入らない。だからこそ、この依頼を受けたのです」
自身の信念でこの場にいる佐藤汐(ka6716) 。彼女は準備に当たり、服に木の枝や汁をつけ、全身を緑色のギリースーツのように加工していた。
泥パックなども施し、一見すると、木人のようにも見え、かなり気合の入った迷彩を施している。何ということでしょうと、本人もビックリしていたようだ。
「いやぁしかし、言葉だけで考えれば凌辱殺人ですね」
「正直ろくな敵ではないのです。まあ、敵に品性を期待しても仕方がないのですが」
汐の言葉に雲雀が呆れてみせ、十色 乃梛(ka5902)が可愛らしくもしっかりとした口調で告げる。
「破廉恥な雑魔は退治だよ」
皆の考えは様々だが、乃梛が言うようにこの雑魔は倒さねばならない。その点において、メンバーの考えは共通していた。
集落を出発したハンター達は、現場となるリンダールの森の入り口をめざす。
今回の作戦の肝となるのは、囮を買って出たフィーナ・マギ・ルミナス(ka6617)だ。
「囮となって、植物雑魔をおびき出す。危ないだろうけど、多分いちばん効率的だから……」
不安がないわけではない。ただ、誰かがやらねばならないからと、フィーナは自身に言い聞かせていて。そんな妹に、ソティスは必ず護ると小さく声をかける。
「無茶はしないでくださいなのです。すぐに駆けつけますから」
武器を持たずに依頼に臨むフィーナに、雲雀も言葉をかけた。かなり無防備な状態ではあるが、勝算あってのことだからと心配を抱きながらも雲雀はフィーナに囮役を任せることにする。
そこで、ノワが白衣から小さなチューブを取り出す。
「あ、でも、もし怪我をしても、この『ノワ特製の軟膏』があれば翌朝にはすっきりですよ!」
そんな仲間達の言葉に、フィーナも幾分か気を紛らわせていたようだ。
――現地到着後。
フィーナは覚醒もせずに書物を捲りつつ、森の入り口へと歩いていく。
その手に持っていたのは、偽のカバーをつけてカモフラージュした魔導書「リブロ・ディ・マルゲリータ」。これも、敵の警戒を懸念してのことだ。
他のメンバー達は木陰に隠れつつ、彼女を見守る。敵が出現する間、フェリルは自身の気配をマテリアルによって消し、フィーナの死角に注意を払う。
(かくれんぼなんかの鬼の気分だなぁ)
骸香も同様に気配を消しつつ、笑って見せた。
乃梛もフィーナと一定の距離を保つことを気がけて進む。雑魔の習性を考え、最悪大きめの悲鳴を上げて敵の吊り出しも考えていたが……。
「何か、かすかに木々の臭いが……」
嗅覚を研ぎ澄まして敵の発見に努める雲雀は、空気の流れに変化を感じて仲間に知らせる。
カサカサ……。
カサカサ……。
木々に紛れ、何かがゆっくりと動く。フィーナはそれを感じて立ち止まる。
「あっち……」
フィーナは小さく呟き、それらしきモノがいる方向に顔を向ける。
現れたのは、木に蔓草が巻きついて人型となった植物雑魔。だが、そこには2体しか姿を見せない。
カサカサ……。
すかさず後ろから新たな1体が現れ、彼女を狙う。
「かかった、さぁ狩りの時間だ!」
「剪定なら、フェリルさんにお任せあれ」
姿を現したソティスは瞳を蒼く輝かせ、手首足首に青白い炎のオーラを纏わせてからスキルの発動準備を始める。顔や手に白骨化したような幻影を纏ったフェリルも、魔導大剣「ブルトガング」に手をかけて敵へと飛び込んでいく。
「さーて、この辺の雑魔の大改造もしましょうか!」
こちらは、木々に扮していた汐。 魔導書「銀の鍵」を手にした彼女は、仲間と共に雑魔討伐へと当たり始めるのである。
●
3体の雑魔に囲まれたことに気づいたフィーナ。
覚醒した彼女は全身の魔術刻印を青白く光らせ、自らを中心に眠りの雲を発生させた。敢えて無防備を晒せば、女性をいたぶるのを好む敵をうまく誘うことができるはず。
(目の前に転がった餌に食いつけば、皆がやって……くれる……)
自らを襲う睡魔に抗うことなく、フィーナは身を委ねて眠りへと落ちていく。だが、雑魔1体がそれに抗い、彼女の体へと蔓触手を這わせていく。
そんな無茶な行動を行う妹を心配し、ソティスはやや顔を歪めた。
他のメンバー達も飛び出す。金色の尻尾と耳の幻影を纏う雲雀はアックス「ライデンシャフト」を携え、眠り始めたフィーナに迫る
その斧は小柄な雲雀には重すぎる武器だが、彼女は遠心力と重心移動を生かしてと刃を叩き付け、襲い来る雑魔を遠くへと弾き飛ばす。
宝石のように瞳を輝かせ、犬の耳のような形になった髪を躍らせるノワ。彼女は全力でフィーナを護らねばと、精霊に祈りを捧げて戦闘意欲を高め、機械槍「タービュレンス」に祖霊の力を込めて大きく振り抜く。
喰らった雑魔は大きく身をそらしつつも蔓触手を束ねた足で踏みとどまり、腕の触手を伸ばしてくる。
「姉として、妹には手は出させん」
ソティスは自身の前方に魔法陣を展開し、青白い炎を纏った狼を召喚する。狼は口から青白い炎を放ち、一番フィーナへと近づいた雑魔にぶつかって激しい衝撃を与えた。
「一先ず、私は体力が有る方では無いので、支援に徹します」
汐は仲間の攻撃に合わせて、炎の矢を飛ばす。スキルの回数制限を考える彼女は効果的にダメージを与えられるようにと、仲間の攻撃に合わせて仕掛けていた。
「あなた達を燃やせるスキルが無いのが、残念だわ~」
右目に九芒星が浮かばせていた乃梛も最も外側にいる雑魔を狙い、枝払いならぬ蔓払いを狙ってキュートネイルを使って切り払う。
だが、姿を露わした雑魔の数は3体。情報では5体だったはず。
「数が足りませんねー」
「そうだね……っ?」
注意を周囲に向ける乃梛。しかし、一瞬の隙に蔓触手が襲い掛かり、それらは彼女の服やスカートの中にも……。
「ちょっと、どこに絡みついて」
そういった方面のガードはゆるい彼女。ツボを得た雑魔の攻めに、乃梛は高い声を上げてしまう。
「……やぁっ、それやめて」
乃梛はそれに感じながらも爪を振るって触手を切り裂き、それらの拘束から逃れようとしていた。
「女の子が対象? ハハッ、丁度いいや」
姿を現さぬ雑魔。仲間に背を預けたフェリルは新手に備えつつ、体にマテリアルを潤滑させてから魔導大剣で切りかかっていく。
「俺も、丸太野郎に縛られて喜ぶような安い男ではなくってよ!」
ノイズのかかったような声で彼は叫びかけ、少しでもこちらが有利になるように敵の頭数を減らそうと刃を振るう。
「ん……?」
そこで、雲雀が何かを嗅ぎ分ける。明らかに背が低く、ムダに蔓草が撒きついた木だ。
できれば、雑魔以外の木々は傷つけたくはないのだが……。そいつに向け、雲雀は大きく斧を振り回して叩きつける。その一打は彼女の狙い通り、潜んでいた雑魔の蔓草を断ち切った。不意をつかれる形となり、雑魔は悶え苦しむ。
汐もまだ姿を見せぬ雑魔の存在を懸念し、ファイアアローを牽制で飛ばしながら周囲を注意深く見回していた。木に擬態しているはずの雑魔。低く、大人くらいの大きさで蔓の巻きついた枯れ木……。汐はそれらしきものを発見して近づいていく。
「そぉい!」
彼女はソバットでの一撃をそいつに見舞う。触手で受け止められてダメージこそ与えられなかったものの、敵の不意をついて体勢を崩していたようだ。
こうして、全ての雑魔が姿を現せばハンター達のもの。奇襲がなくなった為に、全力を尽くして倒すのみだ。
髪を赤黒く染め、赤く瞳孔を開いた骸香も、敵を仲間の元に誘導するように日月護身剣で切り込んでいく。
マテリアルを込めた斬撃に、雑魔達は自らの体を断ち切られてジタバタと手足を構成する蔓触手を動かす。
ただ、敵が増えれば、必然的に蔓触手で襲われるメンバーが出てしまう。
「あっ……くっ……」
乃梛に続き、ソティスもまた蔓触手に絡まれていた。今回のシチュエーションが以前の依頼と似ていたこともあり、触手を受けてみようかとは考えていいたものの。こうして実際に受けてしまうと……。
「金髪で鞭が似合う素敵なお姉さんだったら、危なかっ……何でもありません」
襲われる仲間の姿に、フェリルが世迷言を言っていたのは置いといて。
「さすがに、これは……っ」
クールさを失うことなく、ソティスはそれに耐えきった。彼女は再びブーツの魔道具より召喚した狼を向かわせ、牙や爪で雑魔の体を痛めつける。それにより、ソティスは拘束から逃れていたようだ。
そして、そいつ目掛けてノワが近づく。
「当たってくださーい!」
ノワが大きく振りかぶった機械槍を叩きつけると。雑魔は体を維持することができなくなり、乾いた音を立てて地面へと転がって霧散したのだった。
●
後は、残りの雑魔を倒すのみ。
ハンター達はその全滅を目指し、スキルを行使し続ける。
敵が揃ったことで、骸香は敵の死角に素早く回り込んで斬撃を叩き込む。赤く瞳を光らせたフェリルも戦い前に言っていた通り、敵の蔓触手を切り払って剪定してみせた。
これまで、無力な一般人を襲って味を占めていた植物雑魔達。そいつらは渾身の力で触手を突き刺してくるも……、汐は近場の木を利用して防いで見せた。
「環境利用闘法です。リアルブルーの少年雑誌で読みました」
汐はさらに仲間の攻撃に合わせて、炎の矢を飛ばす。想像以上の動きで自分達を攻め立てる相手に、そいつらもたじたじとなっていたようだ。
それでも、植物雑魔は触手を伸ばし、女性ハンターを縛り付けてこようとする。まして、ハンター達の体力を奪って体力を回復してくるから厄介だ。
かなり早いタイミングで触手に捕らえられていた乃梛はしばし触手攻めに耐えながらも、祈りを精霊に捧げて自らに癒しを行う。
「……よくもやったね?」
拘束を逃れた乃梛は鞭をしならせ、自分を好き勝手に弄ぼうとした雑魔へと思いっきり叩きつける。体に強烈な一撃を受けた雑魔は無へと帰していく。
その頃に、ようやく目覚めたフィーナ彼女も集中の上で、植物雑魔へと炎の矢を飛ばす。武器を持たぬ彼女だが、それでも、その一発は植物雑魔にとってかなり痛手になっていたはずだ。
「女を後ろから付け狙い、あげく妹までも弄るとは……。万死に値する」
ソティスが再度、青白い炎を纏った狼を呼び出す。狼が口から発した火球によって胴体に大きな穴を穿たれたその雑魔もまた、力なく蔓触手をしならせて崩れ落ちていった。
数が減ってくれば、ハンター達も勢いづく。
狙いを外すことなくノワが機械槍を叩きこみ、続けざまに汐がまたも炎の矢を飛ばす。
仲間は皆、銘々に力を尽くして攻撃を行っている。弾数制限があるとはいえ、全弾撃ち尽くすことにならないだろう。
しつこく抵抗する植物雑魔。そいつの触手をフェリルはアクロバティックな動きで避けてみせ、再び攻撃態勢を整える。そして、彼が魔導大剣を縦に振るうと、雑魔の体は真っ二つになってしまう。そいつはゆっくりと倒れていくが、地面に落ちる前に消えてなくなった。
勝ち目がないと判断した最後の植物雑魔。足となる蔓触手を動かして後退するも、乃梛が許さず鞭を叩きつけて行く。
退路も断たれたことで、敵は破れかぶれに突進してきて、触手を伸ばしてくる。
だが、直進してくる敵ほど御しやすいものはない。狙ったわけではないだろうが、仲間の攻撃の合間となるタイミングで、骸香はそいつの背後へとレガースをはめた蹴りを叩きつけた。
そうして怯んだ敵の正面へ、雲雀が躍り出る。彼女はアックスを大きく振り回しながら、植物雑魔へと連撃を叩き込んでいく。
胴体を完全に叩き折られた雑魔が再度動き出すはずもなく、そいつは森から姿をなくしたのだった。
●
植物雑魔は全て倒れ、メンバー達は一息つく。
「しかし、囮作戦ということで森で木相手なのに、猟師みたいでしたね!」
完全に猟師の格好だったと、汐は笑って仲間達に語りかける。とはいえ、彼女はしっかりと状況確認し、前向きに今回の反省点を考えていたようだ。
また、囮となったフィーナの頭を、ソティスが優しく撫でる。
(妹一人を危険な目に晒したのだからな)
そんな自責の念を抱きつつ、ソティスは存分に可愛い妹を愛でるのだった。
リンダールの森の入り口に現れ、女性ばかりを襲うという植物雑魔。
その討伐依頼を受け、ハンター達はその付近の集落までやってきていた。
「メイドの雲雀なのですよ。よろしくお願いしますです」
初顔合わせも多いハンター達。雲雀(ka6084)は頑張るのですよーと意気込みつつ、挨拶を交わす。今回、ご主人様とは別行動だが、主人が見ていない時でも日々修練を欠かさないと彼女は胸を張る。
「はじめましてこんにちは、ノワです!」
元気に自己紹介するノワ(ka3572) も女性ばかりを襲う雑魔が現れると聞き、しっかり退治したいと主張した。
それと、ノワは知識も深めたいとのこと。以前の依頼で教えてもらった「しょくしゅプレイ」について、どの医学書にも載っていなかったことが気になっていたらしい。
今回の相手は蔓触手を操る相手ということで、何かヒントが分かるかもしれないと、わくわくしていたようだ。
「か弱い女の子に悪戯なんて羨ま……げふん。酷いことしやがって!」
今回参加する中で唯一の男性、フェリル・L・サルバ(ka4516)は頭に浮かぶ雑念を振り払う。
(今回はお仕事ですからねー、真面目にやりますよっと)
そんな彼はさておき、女性メンバー達はさらに植物雑魔について語る。
「話だけ聞くと、所謂『案件』を思い出すが……。今回のは、そうも言ってられんか」
以前受けた依頼と今回の依頼をダブらせて見ていた、ソティス=アストライア(ka6538) 。彼女には何やら思うことがあったようだ。
「擬態かぁ……。面倒な事するねぇ」
擬態の上、女性を襲う雑魔。口では悪態づく骸香(ka6223)は、とりあえずそいつらを壊せればいいやとやや軽めに考えている。
「道徳を説くとか義憤とかどうでもいいのですが……、まずは気に入らない。だからこそ、この依頼を受けたのです」
自身の信念でこの場にいる佐藤汐(ka6716) 。彼女は準備に当たり、服に木の枝や汁をつけ、全身を緑色のギリースーツのように加工していた。
泥パックなども施し、一見すると、木人のようにも見え、かなり気合の入った迷彩を施している。何ということでしょうと、本人もビックリしていたようだ。
「いやぁしかし、言葉だけで考えれば凌辱殺人ですね」
「正直ろくな敵ではないのです。まあ、敵に品性を期待しても仕方がないのですが」
汐の言葉に雲雀が呆れてみせ、十色 乃梛(ka5902)が可愛らしくもしっかりとした口調で告げる。
「破廉恥な雑魔は退治だよ」
皆の考えは様々だが、乃梛が言うようにこの雑魔は倒さねばならない。その点において、メンバーの考えは共通していた。
集落を出発したハンター達は、現場となるリンダールの森の入り口をめざす。
今回の作戦の肝となるのは、囮を買って出たフィーナ・マギ・ルミナス(ka6617)だ。
「囮となって、植物雑魔をおびき出す。危ないだろうけど、多分いちばん効率的だから……」
不安がないわけではない。ただ、誰かがやらねばならないからと、フィーナは自身に言い聞かせていて。そんな妹に、ソティスは必ず護ると小さく声をかける。
「無茶はしないでくださいなのです。すぐに駆けつけますから」
武器を持たずに依頼に臨むフィーナに、雲雀も言葉をかけた。かなり無防備な状態ではあるが、勝算あってのことだからと心配を抱きながらも雲雀はフィーナに囮役を任せることにする。
そこで、ノワが白衣から小さなチューブを取り出す。
「あ、でも、もし怪我をしても、この『ノワ特製の軟膏』があれば翌朝にはすっきりですよ!」
そんな仲間達の言葉に、フィーナも幾分か気を紛らわせていたようだ。
――現地到着後。
フィーナは覚醒もせずに書物を捲りつつ、森の入り口へと歩いていく。
その手に持っていたのは、偽のカバーをつけてカモフラージュした魔導書「リブロ・ディ・マルゲリータ」。これも、敵の警戒を懸念してのことだ。
他のメンバー達は木陰に隠れつつ、彼女を見守る。敵が出現する間、フェリルは自身の気配をマテリアルによって消し、フィーナの死角に注意を払う。
(かくれんぼなんかの鬼の気分だなぁ)
骸香も同様に気配を消しつつ、笑って見せた。
乃梛もフィーナと一定の距離を保つことを気がけて進む。雑魔の習性を考え、最悪大きめの悲鳴を上げて敵の吊り出しも考えていたが……。
「何か、かすかに木々の臭いが……」
嗅覚を研ぎ澄まして敵の発見に努める雲雀は、空気の流れに変化を感じて仲間に知らせる。
カサカサ……。
カサカサ……。
木々に紛れ、何かがゆっくりと動く。フィーナはそれを感じて立ち止まる。
「あっち……」
フィーナは小さく呟き、それらしきモノがいる方向に顔を向ける。
現れたのは、木に蔓草が巻きついて人型となった植物雑魔。だが、そこには2体しか姿を見せない。
カサカサ……。
すかさず後ろから新たな1体が現れ、彼女を狙う。
「かかった、さぁ狩りの時間だ!」
「剪定なら、フェリルさんにお任せあれ」
姿を現したソティスは瞳を蒼く輝かせ、手首足首に青白い炎のオーラを纏わせてからスキルの発動準備を始める。顔や手に白骨化したような幻影を纏ったフェリルも、魔導大剣「ブルトガング」に手をかけて敵へと飛び込んでいく。
「さーて、この辺の雑魔の大改造もしましょうか!」
こちらは、木々に扮していた汐。 魔導書「銀の鍵」を手にした彼女は、仲間と共に雑魔討伐へと当たり始めるのである。
●
3体の雑魔に囲まれたことに気づいたフィーナ。
覚醒した彼女は全身の魔術刻印を青白く光らせ、自らを中心に眠りの雲を発生させた。敢えて無防備を晒せば、女性をいたぶるのを好む敵をうまく誘うことができるはず。
(目の前に転がった餌に食いつけば、皆がやって……くれる……)
自らを襲う睡魔に抗うことなく、フィーナは身を委ねて眠りへと落ちていく。だが、雑魔1体がそれに抗い、彼女の体へと蔓触手を這わせていく。
そんな無茶な行動を行う妹を心配し、ソティスはやや顔を歪めた。
他のメンバー達も飛び出す。金色の尻尾と耳の幻影を纏う雲雀はアックス「ライデンシャフト」を携え、眠り始めたフィーナに迫る
その斧は小柄な雲雀には重すぎる武器だが、彼女は遠心力と重心移動を生かしてと刃を叩き付け、襲い来る雑魔を遠くへと弾き飛ばす。
宝石のように瞳を輝かせ、犬の耳のような形になった髪を躍らせるノワ。彼女は全力でフィーナを護らねばと、精霊に祈りを捧げて戦闘意欲を高め、機械槍「タービュレンス」に祖霊の力を込めて大きく振り抜く。
喰らった雑魔は大きく身をそらしつつも蔓触手を束ねた足で踏みとどまり、腕の触手を伸ばしてくる。
「姉として、妹には手は出させん」
ソティスは自身の前方に魔法陣を展開し、青白い炎を纏った狼を召喚する。狼は口から青白い炎を放ち、一番フィーナへと近づいた雑魔にぶつかって激しい衝撃を与えた。
「一先ず、私は体力が有る方では無いので、支援に徹します」
汐は仲間の攻撃に合わせて、炎の矢を飛ばす。スキルの回数制限を考える彼女は効果的にダメージを与えられるようにと、仲間の攻撃に合わせて仕掛けていた。
「あなた達を燃やせるスキルが無いのが、残念だわ~」
右目に九芒星が浮かばせていた乃梛も最も外側にいる雑魔を狙い、枝払いならぬ蔓払いを狙ってキュートネイルを使って切り払う。
だが、姿を露わした雑魔の数は3体。情報では5体だったはず。
「数が足りませんねー」
「そうだね……っ?」
注意を周囲に向ける乃梛。しかし、一瞬の隙に蔓触手が襲い掛かり、それらは彼女の服やスカートの中にも……。
「ちょっと、どこに絡みついて」
そういった方面のガードはゆるい彼女。ツボを得た雑魔の攻めに、乃梛は高い声を上げてしまう。
「……やぁっ、それやめて」
乃梛はそれに感じながらも爪を振るって触手を切り裂き、それらの拘束から逃れようとしていた。
「女の子が対象? ハハッ、丁度いいや」
姿を現さぬ雑魔。仲間に背を預けたフェリルは新手に備えつつ、体にマテリアルを潤滑させてから魔導大剣で切りかかっていく。
「俺も、丸太野郎に縛られて喜ぶような安い男ではなくってよ!」
ノイズのかかったような声で彼は叫びかけ、少しでもこちらが有利になるように敵の頭数を減らそうと刃を振るう。
「ん……?」
そこで、雲雀が何かを嗅ぎ分ける。明らかに背が低く、ムダに蔓草が撒きついた木だ。
できれば、雑魔以外の木々は傷つけたくはないのだが……。そいつに向け、雲雀は大きく斧を振り回して叩きつける。その一打は彼女の狙い通り、潜んでいた雑魔の蔓草を断ち切った。不意をつかれる形となり、雑魔は悶え苦しむ。
汐もまだ姿を見せぬ雑魔の存在を懸念し、ファイアアローを牽制で飛ばしながら周囲を注意深く見回していた。木に擬態しているはずの雑魔。低く、大人くらいの大きさで蔓の巻きついた枯れ木……。汐はそれらしきものを発見して近づいていく。
「そぉい!」
彼女はソバットでの一撃をそいつに見舞う。触手で受け止められてダメージこそ与えられなかったものの、敵の不意をついて体勢を崩していたようだ。
こうして、全ての雑魔が姿を現せばハンター達のもの。奇襲がなくなった為に、全力を尽くして倒すのみだ。
髪を赤黒く染め、赤く瞳孔を開いた骸香も、敵を仲間の元に誘導するように日月護身剣で切り込んでいく。
マテリアルを込めた斬撃に、雑魔達は自らの体を断ち切られてジタバタと手足を構成する蔓触手を動かす。
ただ、敵が増えれば、必然的に蔓触手で襲われるメンバーが出てしまう。
「あっ……くっ……」
乃梛に続き、ソティスもまた蔓触手に絡まれていた。今回のシチュエーションが以前の依頼と似ていたこともあり、触手を受けてみようかとは考えていいたものの。こうして実際に受けてしまうと……。
「金髪で鞭が似合う素敵なお姉さんだったら、危なかっ……何でもありません」
襲われる仲間の姿に、フェリルが世迷言を言っていたのは置いといて。
「さすがに、これは……っ」
クールさを失うことなく、ソティスはそれに耐えきった。彼女は再びブーツの魔道具より召喚した狼を向かわせ、牙や爪で雑魔の体を痛めつける。それにより、ソティスは拘束から逃れていたようだ。
そして、そいつ目掛けてノワが近づく。
「当たってくださーい!」
ノワが大きく振りかぶった機械槍を叩きつけると。雑魔は体を維持することができなくなり、乾いた音を立てて地面へと転がって霧散したのだった。
●
後は、残りの雑魔を倒すのみ。
ハンター達はその全滅を目指し、スキルを行使し続ける。
敵が揃ったことで、骸香は敵の死角に素早く回り込んで斬撃を叩き込む。赤く瞳を光らせたフェリルも戦い前に言っていた通り、敵の蔓触手を切り払って剪定してみせた。
これまで、無力な一般人を襲って味を占めていた植物雑魔達。そいつらは渾身の力で触手を突き刺してくるも……、汐は近場の木を利用して防いで見せた。
「環境利用闘法です。リアルブルーの少年雑誌で読みました」
汐はさらに仲間の攻撃に合わせて、炎の矢を飛ばす。想像以上の動きで自分達を攻め立てる相手に、そいつらもたじたじとなっていたようだ。
それでも、植物雑魔は触手を伸ばし、女性ハンターを縛り付けてこようとする。まして、ハンター達の体力を奪って体力を回復してくるから厄介だ。
かなり早いタイミングで触手に捕らえられていた乃梛はしばし触手攻めに耐えながらも、祈りを精霊に捧げて自らに癒しを行う。
「……よくもやったね?」
拘束を逃れた乃梛は鞭をしならせ、自分を好き勝手に弄ぼうとした雑魔へと思いっきり叩きつける。体に強烈な一撃を受けた雑魔は無へと帰していく。
その頃に、ようやく目覚めたフィーナ彼女も集中の上で、植物雑魔へと炎の矢を飛ばす。武器を持たぬ彼女だが、それでも、その一発は植物雑魔にとってかなり痛手になっていたはずだ。
「女を後ろから付け狙い、あげく妹までも弄るとは……。万死に値する」
ソティスが再度、青白い炎を纏った狼を呼び出す。狼が口から発した火球によって胴体に大きな穴を穿たれたその雑魔もまた、力なく蔓触手をしならせて崩れ落ちていった。
数が減ってくれば、ハンター達も勢いづく。
狙いを外すことなくノワが機械槍を叩きこみ、続けざまに汐がまたも炎の矢を飛ばす。
仲間は皆、銘々に力を尽くして攻撃を行っている。弾数制限があるとはいえ、全弾撃ち尽くすことにならないだろう。
しつこく抵抗する植物雑魔。そいつの触手をフェリルはアクロバティックな動きで避けてみせ、再び攻撃態勢を整える。そして、彼が魔導大剣を縦に振るうと、雑魔の体は真っ二つになってしまう。そいつはゆっくりと倒れていくが、地面に落ちる前に消えてなくなった。
勝ち目がないと判断した最後の植物雑魔。足となる蔓触手を動かして後退するも、乃梛が許さず鞭を叩きつけて行く。
退路も断たれたことで、敵は破れかぶれに突進してきて、触手を伸ばしてくる。
だが、直進してくる敵ほど御しやすいものはない。狙ったわけではないだろうが、仲間の攻撃の合間となるタイミングで、骸香はそいつの背後へとレガースをはめた蹴りを叩きつけた。
そうして怯んだ敵の正面へ、雲雀が躍り出る。彼女はアックスを大きく振り回しながら、植物雑魔へと連撃を叩き込んでいく。
胴体を完全に叩き折られた雑魔が再度動き出すはずもなく、そいつは森から姿をなくしたのだった。
●
植物雑魔は全て倒れ、メンバー達は一息つく。
「しかし、囮作戦ということで森で木相手なのに、猟師みたいでしたね!」
完全に猟師の格好だったと、汐は笑って仲間達に語りかける。とはいえ、彼女はしっかりと状況確認し、前向きに今回の反省点を考えていたようだ。
また、囮となったフィーナの頭を、ソティスが優しく撫でる。
(妹一人を危険な目に晒したのだからな)
そんな自責の念を抱きつつ、ソティスは存分に可愛い妹を愛でるのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/24 08:23:21 |
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相談卓 骸香(ka6223) 鬼|21才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/01/25 14:11:43 |