ゲスト
(ka0000)
【万節】カジノで遊んでみませんか?
マスター:桐咲鈴華

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~10人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/10/14 19:00
- 完成日
- 2014/10/21 20:03
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
ハンターズオフィスに、一通の招待状が届けられた。それは、カジノの招待チラシだ。
そこにはこう書かれている
『夢とロマンと一攫千金! 崖上都市ピースホライズンに此度、カジノ『ビューティフルドリーマーズ』がオープン致しました!
オープン記念と致しましてハンター様方には、当カジノに無料でご招待致します。どうぞお楽しみ下さいませ!』
『また只今オープンにあわせてピースホライズンではハロウィンイベントの真っ只中。よって合わせて期間限定のスタッフも募集致します。仕事の内容はカジノ内の警備や、経験者の方は実際にディーラーとしての職務も行って頂けます。ご希望の方は連絡の後に面接にて』
というものだ。
崖上都市『ピースホライズン』。商業・歓楽の街と言われるここで新たにオープンするカジノ。
柄を悪く言えば賭博場ではあるものの、市長のレオーナ・マンティエロの徹底的なチェックと監査により、非常にクリーンな商売として承認されたお店であり、今後も『大人も子どもも誰もが気軽に遊べる娯楽施設』という売り込みで行こうというらしい。
カジノで遊ぶ場合はお試しということで、予め遊ぶ為の金額も一定額支給してくれるという事らしい。
前者の目的は定期顧客の獲得や口コミ、後者の目的はオープニングスタッフにハンターを起用することによって『安全で公正なな店である』という事をアピールする為のものらしい。
招待に定員があるらしい。どうしようか?
チラシを手に取った貴方は、思い思いの感想を抱くのだった。
ハンターズオフィスに、一通の招待状が届けられた。それは、カジノの招待チラシだ。
そこにはこう書かれている
『夢とロマンと一攫千金! 崖上都市ピースホライズンに此度、カジノ『ビューティフルドリーマーズ』がオープン致しました!
オープン記念と致しましてハンター様方には、当カジノに無料でご招待致します。どうぞお楽しみ下さいませ!』
『また只今オープンにあわせてピースホライズンではハロウィンイベントの真っ只中。よって合わせて期間限定のスタッフも募集致します。仕事の内容はカジノ内の警備や、経験者の方は実際にディーラーとしての職務も行って頂けます。ご希望の方は連絡の後に面接にて』
というものだ。
崖上都市『ピースホライズン』。商業・歓楽の街と言われるここで新たにオープンするカジノ。
柄を悪く言えば賭博場ではあるものの、市長のレオーナ・マンティエロの徹底的なチェックと監査により、非常にクリーンな商売として承認されたお店であり、今後も『大人も子どもも誰もが気軽に遊べる娯楽施設』という売り込みで行こうというらしい。
カジノで遊ぶ場合はお試しということで、予め遊ぶ為の金額も一定額支給してくれるという事らしい。
前者の目的は定期顧客の獲得や口コミ、後者の目的はオープニングスタッフにハンターを起用することによって『安全で公正なな店である』という事をアピールする為のものらしい。
招待に定員があるらしい。どうしようか?
チラシを手に取った貴方は、思い思いの感想を抱くのだった。
リプレイ本文
●カジノへようこそ
ピースホライズン。夜は歓楽の街という側面を見せるこの街は、夜にこそ賑わう娯楽にもまた花を咲かせる。 カジノ『ビューティフルドリーマーズ』この街に新たに出来たカジノ施設だ。
「ようこそ、ハンター様方」
華やかなネオンで彩られた玄関を潜った先で、支配人と思われるスーツの男性が恭しく集ったハンター達に頭を下げた。
「当カジノの支配人でございます。本日はようこそお越し頂けました」
「折角のオープンですし、遊ばせて頂きますよ」
白と黒のドレスで着飾った椥辻 ヒビキ(ka3172)。上品な仕草で受け答えする。
「畏まりました。こちらが入場チケット兼、試遊金となります」
支配人がチップの入った袋を差し出す。
(他人の金で遊べるとは何という贅沢……!)
ウキウキソワソワと、月輪(ka3336)もそれを受け取る。普段怠惰な生活を送ってる彼女は妙な感動を覚える。
「折角の機会ですし、遊んでいきましょう」
「ギャンブルを楽しみに来たんだ。貰うよ」
ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)とジェット(ka3310)もまた、チップ袋を受け取る。
「柄ではないが…だからこそ乗るのも一興か!」
「新装開店ってんなら、何か面白いものがあるかもしんねぇな」
ルーガ・バルハザード(ka1013)とラルス・コルネリウス(ka1111)も、普段は手を出さないギャンブルに興じてみようということらしい。
「チケットゲットだよ。ゲームがボクを呼んでいるんだよ」
アン・ドゥ・ドロー! とドローの素振りをしながら弓月 幸子(ka1749)は楽しげにチップを受け取る。
「ここ最近忙しかったさかいな、今日は一日遊ぶでぇ!」
アカーシャ・ヘルメース(ka0473)も遊び倒すつもりらしい。
「それでは皆様、どうかお楽しみ下さいませ。どうか今夜は美しき夢を」
今一度支配人は、ハンター達に深々と礼をして見送るのだった。
●夢の仕立て人
「それではお三方、ショーダウンです。……其方のお客様、フルハウスで勝利となります」
テーブルに喜びと悔しさが渦巻く。スーツを纏ってディーラーをとり行っているのはフェイ(ka2533)だ。
(本当、ハンターって色んな仕事が出来るのね)
チップを勝利者に渡し、カードをシャッフルしつつ思う。彼女は旅の身銭を稼ぐ為に、同様の仕事を雇われでしていた経験がある。故に今回の依頼ではディーラーとして働きに来ていたのだ。
「てめぇ、今イカサマしたろ!」
突如としてテーブルに響く怒号。そちらでは、先程勝利したプレイヤーへ詰め寄っている男の姿があった。
「どうかされましたか?」
フェイは毅然な態度でそちらに声をかける。
「今こいつイカサマしやがった! でなきゃ最初からオールインなんて出来るはずがねぇ!」
難癖をつけられているプレイヤーは否定するが、男性の剣幕に気圧されている。
「彼は不正行為など行っておりませんよ」
だがフェイはそれを否定する。覚醒者の彼女の目は鋭敏視覚によりイカサマなど見逃さない。要は怒鳴り散らしている彼は単純に自分が負けた事が気に入らないだけのようだ。
「おい、確認もしねぇで何を」
「お客様、大声を出されては目立ちますよ」
フェイに詰め寄ろうとした男性の肩を後ろから叩いたのはクリスティーナ=VI(ka2328)だ。彼もまた、スタッフとして働きに来ていた。フェイとは違い彼は警備員として勤めている。
「注目を浴びて恥ずかしい思いをするのは貴方ですよ。証拠はおありなのですか?」
大事にはしないよう、穏やかな口調で諭そうとするクリスティーナ。
「……ちっ! もういい!」
その手を乱暴に振りほどき、男性はずかずかと去っていく。
「あそこがポーカー席か……って、クリスティーナ? それにフェイもいるじゃねーか」
聞き覚えのある声が二人に届く。向けば、ラルスがこちらに歩み寄って来ている。
「……ちょっと、アンタなんでこんな所居るのよ?」
「なんでって、カジノが出来て依頼が来たんだ。面白そうだか遊びに来たってわけだ」
まさか同傭兵隊に会うとは。気まずそうにするフェイ。
「クリスティーナは警備員か。様になってるな」
「似合う? やっぱ似合っちゃうよなぁ」
ラルスに褒められてきりっとしたポーズをとってみるクリスティーナ。彼の引き締まった肉体に、警備員の制服はよく映える。
「制服といえば、フェイお前なんでバニー姿じゃないんだよ? そっちもあったろ?」
「有ったけど……まさか着ろってんじゃないでしょうね?」
思わずシャッフルしていた札を止める。
「よし、ならフェイのバニー服姿を賭ける。俺が勝ったら着替えて貰おうか」
席につくラルス。提案に対してフェイは軽く頭を抱えるが
「……スっても知らないわよ?」
彼女はゲームの流れを読むのにも長けている。早々勝てる筈はないと不敵に笑い返す。二人の雰囲気を察してか、テーブルに居た客たちも見物モードだ。
こうして二人の真剣勝負が、ここに始まった。
●それぞれの勝負
遊んでいくとはいえ、そこはギャンブル。やるからには勝ちたいもの。ブラックジャックのテーブルに座るユーリはそう意気込んでゲームに臨んでいる。「バーストです。お客様方の勝利です」
ディーラーのめくったカードでバーストが確定する。参加プレイヤー全員が勝利し、テーブルが歓喜に包まれた。
(……ここに来てバースト)
ユーリは表情を崩さずに成り行きを見守る。ある予感をしたユーリはここで、多めに張ってみる。「それでは、次のゲームに参ります」 ディーラーがプレイヤーにカードを配る。アップカードは7。そして自分のカードは、AとJ。
(流れが向いてきたようですね)
勝負には流れというものがある。今までディーラーは良い手札で参加者から勝利を収めてきたが、前の手でバーストを作った。そして今のアップカードと、ブラックジャックが完成している自分の手札。ポーカーフェイスでありつつも、ユーリは切り替わった流れに内心で拳を握る。
「スタンドです」
ユーリの宣言の後に参加者たちもカードの交換を打ち止める。ディーラーのホールカードがめくられる。Kで、合計値は17。
「其方のプレイヤーの方の勝利ですね」
ディーラーからチップが支払われる。
「では次は……」
ユーリは払い戻された半分の額を賭ける。大きく勝っても安心はせずにこつこつと勝ち進めていくのが彼女のスタンスだ。彼女は地道ながらも、着実に勝利を積み重ねていった。
ルーガはスロットを回していたが、どうやらすぐに飽きてしまったらしく早々に切り上げ、今はルーレットの台の方へ歩いていっている。
「赤と黒の魔物……すなわち……んお、ルーガも来たのかえ?」
時を同じくしてルーレットのテーブルに寄ってくるのは月輪だ。
「月輪殿。貴公もルーレットか」
「うむ、気が向いたからの。今宵はルーレットに興じてみようという訳じゃ」
ルーガと月輪は肩慣らしに赤、黒の色賭けをしていく。
「くぅ、赤だったか……」
「シンプルでありながらも奥が深い……まさしく魔物の顔じゃて。どれ、次は」
勝つ確率こそ高いものの、長い目で見ればじわじわと減っているような気がする。暫く時間が経ち、総合的に負け越しな雰囲気が漂ってきたルーガと、現状を維持し続けている月輪。
「……ええい!これでは埒が明かぬわ!」
とインサイドベットに切り替えたルーガは自分の誕生日である12と15に全てのチップを賭ける。
「豪気な事じゃな。もう勝負に出るのかえ?」
「女は度胸だ、ドーンと行くぞ!」
「夜はまだ長いのじゃがの。まぁ十二分に遊んだし、私もここらで勝負してみるとするか」
月輪も長く遊び続けるスタイルであったが、ここのルーガの大一番。結果を傍観するよりも、同じ船に乗るのもまた一興と思ったのだろう。月輪も大量のチップを赤色へと賭ける。
「ふふん、無料招待とはいえ、勝ってしまっても構わんのだろう?」
「いかん、それは死亡フラグじゃ!」
一瞬で自分の運を最低値へと叩き落とす魔法のワードを唱えてしまった彼女。ルーレットが回り始め、ボールが転がり始める。
「うむぅ、なんというか、こう、悪いクセになりそうじゃ。いかんのう」
ルーレットを転がるボールが徐々に減速していく。得るか失うかの緊張に、結果が近づくと同時に心臓の鼓動が早まってゆく。甘くも危険なスリルだ。
「私、このルーレットに勝ったら、皆に金を振る舞うんだ……!」
更にフラグを建設するルーガ。一体この短期間でどれほどフラグを建てる気なのか……いや、多数のフラグ建築は生存フラグに繋がるというし、あるいは
ボールがポケットに入る。数値は24。
「……」
が、駄目っ……! 暫し呆然とするルーガと、いっそ緊張の糸が切れてふぅ、と息を吐く月輪。チップの山が無慈悲に遠ざかってゆく。
「ふ、ふんっ。ギャンブルなど、私にはどうせ似合いはしないんだ……」
「無理をするでないルーガ。足にきておるぞ」
背中に哀愁を漂わせるルーガ。その肩を月輪が叩く。
「どれ、ジュースでも奢ってやるとしよう。こういうのは楽しんだもの勝ちという理屈もありじゃろうて、のう?」
「……そうだな」
二人は赤と黒の魔物から去っていった。負けはしたが、この時の高揚感はそうそう忘れはしないだろう。
「くっそ、まだ揃わない」
タンタンタン、とボタンを押すジェット。自分の事を短気で駆け引きは苦手と評する彼女は対人で勝負するよりは機械相手であるスロット一本で勝負することに決めたらしい。台を変えつつ、パターンを模索する。遊びに来ているのだから散財上等。チマチマ遊ぶくらいならばドーンと勝負するというのが彼女のスタンスだ。故にスロットもレートの高い台を選んでいる。そこそこ良い台は見つかったものの、やはり高レート台。揃わなかった時のダメージは大きい。
「ああくそ、コイツもダメなのか。どっかイカれてんじゃないかい?」
マシな台を見つけたものの、それでも流れが少しずつ外れているのを感じてイライラを加速させる。足を揺すり、荒っぽく吸う煙草は減りが早い。普段持ち歩いているレンチを持ち込んでいなくて良かった。もし持っていたら叩き壊しているかもしれない。
(勝つか負けるかは運次第。そんなん解ってたけど、だめだね、やっぱ負け続けはよくないもんだよ)
賭けとは別にポーカー等でいい男や女を探すのも悪くない。息抜きの為にそろそろ席を立とうか、と思ったその時。
ズバーン! と激しい音とネオンを発してスロットが光り輝く。一列に揃う『7』の数字。
『大当たりー! たった今スロットコーナーにおいて大当たりが発生しましたー!』
アナウンスが鳴り、周囲がざわめく。注目は当然ジェットの方へと向く。そしてスロット台からジャラジャラと、大量に排出されるチップの山!
「お、おぉ!? おおお!?」
一気に大量のチップを獲得するジェット。先ほどまでのイライラはどこかへと消し飛んでしまった。
「そ、そうか。勝ったのかうち……ふふ、いい気分だねぇ!」
こうして盛大な大当たりを記録したジェットはこの日最大の稼ぎを魅せる事になった。
●ポーカーテーブル
アカーシャは同テーブルのプレイヤーに表情を悟られないように立ち回っていた。カジノといえば運が全てのようなイメージがあるが、実際は違う。特にポーカーにおいては駆け引きが顕著だ。これを制するか否かで、勝敗をコントロール出来るといっても過言ではない。
そしてアカーシャはその駆け引きが非常に上手い。商売で鍛えた目は聡く、プレイヤーやディーラーの癖を読み取っていく。
(そろそろ、やな)
次のゲームが訪れ、カードが配られる。
「コール」
隣のプレイヤーが賭け金を提示する。それに対してアカーシャは
「ほな、レイズや」
賭け金をつり上げる。隣の男性プレイヤーがこちらを見る。
「いいのかい、こんな所で勝負に出て」
「さてな、どう思う?」
他のプレイヤーはその様子を見てかフォールドする。必然的に1対1、ヘッズアップだ。
「コール」
男はそれに乗る。フロップで3枚のカードが配られる。K,2,9。
「レイズしよう。ここで降りたほうが身のためだぞ」
更に賭け金を釣り上げる。アカーシャは
「それでほんまにええんか?」
ここにきてアカーシャはにっこりと笑みを作り、チップを更に多く積み上げる。
「リレイズや」
降りるどころか更に掛け金を吊り上げるアカーシャ。男は少しの間押し黙り。
「……コール」
その勝負を受ける。
「ほな」
ターンを経てリバーに。ここで追加されるのは、Aと8。
「レイズや」
更にここで賭け金を釣り上げる。恐らく最後に来た数字で役が完成したのだろう。
「……フォールドだ」
男は降りた。必然的に、残ったアカーシャが勝利となる。
「へへ、おおきに」
「!?」
アカーシャがカードを提示する。QとJ。つまりノーペアだ。
「アンタはそこそこ良い手のときはプリフロップからコールする癖があるみたいやしな。勝負に出られるとそこまで強うない手の時は引っ込める確率が高いさかい、ブラフさせてもらったで」
「……やられたよ」
苦笑しつつ、チップをアカーシャに差し出す。
「まいど♪」
「フォールド」
「あら、勝負してくださらないの?」
ヒビキのテーブルでは他の参加者はベットすることなく降りていく。ヒビキが微笑んだので、良い手が来たのだと思ったのだろう。実際ヒビキの手はAポケット。最強の手だ。
ヒビキは敢えてポーカーフェイスなどはせず、純粋にゲームを楽しんでいる。 勝ち負けがほどよく混在し、テーブルは徐々に熱を帯びてゆく。次のゲームが開始されると
「よし、レイズだ! 来るなら来い!」
わざとらしく一人の男性プレイヤーが大きく張る。この男はブラフを張るタイプではない。正直に強い手なのだろうと直感させる。それを察して他のプレイヤーは降りていくが、対してヒビキは
「コールです」
同額のチップを差し出して勝負に出た。このとき、ヒビキの表情は微笑みで固定されている。
「おう姉ちゃん。良い手のようだな。けど今回ばっかりは相手が悪いぜ」
「ふふ、それは楽しみ」
どんな事を言われても微笑みを崩さない。
ターンまで順番が回る。場のカードはハートのA、5、クラブの9、そしてハートのJが新たに出された。
「来たぜ、レイズだ!」
男は更に倍額のチップを積み上げる。相当良い手が出たのだろう。だが、ヒビキはそれを見ても微笑みを崩さない。笑顔のポーカーフェイスのまま彼女は
「リレイズ」
更に倍額のチップを積み上げた。
「相当いい手みてぇだな、だが俺は降りねぇぜ、コール!」
男は勝負に出る。リバーで出されたカードは再びJ。互いにチェックし、ショーダウンする。男の手持ちはハートの10、A。フラッシュが完成している。
「成程、初手から自信満々なのも頷けます、しかし」
ヒビキのカードが提示される。手持ちカードは
「さあ、これでチェックメイトです」
Jポケット。つまりJのフォーカードだ。
「なんだってえ!?」
くすり、と笑むヒビキ。チップがヒビキの手元に送られてくる。
「これだからゲームは楽しいのですよ」
幸子は場をよく見ていた。ディーラーのカード捌き、参加者の傾向などを分析し、自分のプレイスタイルを巧みに変えていく。
(今は大人し目かな。ならブラフを混ぜながら強気に)
「レイズするよ」
「フォールド」
「ふふ、ショーダウンだよ」
タイトにプレイしていたかと思えば大胆に攻め込み、参加者の読みを大きく外す。幸子の思惑通りに、ブラフにも関わらず勝利をもぎ取る事が出来た。
(タイトにやってたからこそブラフは活きて来るもんだよ)
カードゲームが得意な幸子にとって、心理戦もまた彼女の領分だ。自分の手が良くない時でも時にはコールで飛び込んでゆき、場が荒れ始めればタイトに戻る。結果、参加者の多くは彼女を読みぬく事は叶わず、幸子の下へチップがどんどん集まってゆく。
「驚いた。見掛けによらず手練なんだなお嬢ちゃん」
「ふふ~ん。それほどでもないんだよ」
言いつつ幸子は手元に残った大量のチップに視線を落とす。
「従業員さん、このチップと引き換えにカジノの人達にドリンクを奢ってあげて欲しいんだよ」
歩いていたバニー姿の従業員は驚くが、「粋なお方ですね」と柔らかな表情を見せた。
数刻後に幸子の名義でカジノ全体にドリンクが振舞われ、ビューティフルドリーマーはより活気に包まれるのだった。
「お、いいじゃねぇか。そっちの方が似合ってるぜ。スタイルもいいしな」
ラルスが賭けに勝った為に、バニー姿に着替えてきたフェイ。
「これで満足でしょうか……お 客 様?」
まさか最後の最後で僅かに勝ち数を上回られるとは。と、悔しさと恥ずかしさで真っ赤になりつつ、きっとラルスを睨む。
「……あとで何か奢りなさいよね」
「あいよ、仕事あがりにな」
耳元で囁くフェイの言葉に、ラルスはにやっと笑みながら返す。
「やっぱいいよな、こういうの」
カジノ全体の様子を見回し、クリスティーナは呟く。
泣いたり、笑ったり。勝ち負けはどうしても出てくる場だけど、皆生き生きしている。
「そういう場所って、貴重だよなぁ」
こうして、華やかなカジノの夜は少しずつふけてゆく。美しき夢は、皆見れただろうか。
ピースホライズン。夜は歓楽の街という側面を見せるこの街は、夜にこそ賑わう娯楽にもまた花を咲かせる。 カジノ『ビューティフルドリーマーズ』この街に新たに出来たカジノ施設だ。
「ようこそ、ハンター様方」
華やかなネオンで彩られた玄関を潜った先で、支配人と思われるスーツの男性が恭しく集ったハンター達に頭を下げた。
「当カジノの支配人でございます。本日はようこそお越し頂けました」
「折角のオープンですし、遊ばせて頂きますよ」
白と黒のドレスで着飾った椥辻 ヒビキ(ka3172)。上品な仕草で受け答えする。
「畏まりました。こちらが入場チケット兼、試遊金となります」
支配人がチップの入った袋を差し出す。
(他人の金で遊べるとは何という贅沢……!)
ウキウキソワソワと、月輪(ka3336)もそれを受け取る。普段怠惰な生活を送ってる彼女は妙な感動を覚える。
「折角の機会ですし、遊んでいきましょう」
「ギャンブルを楽しみに来たんだ。貰うよ」
ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)とジェット(ka3310)もまた、チップ袋を受け取る。
「柄ではないが…だからこそ乗るのも一興か!」
「新装開店ってんなら、何か面白いものがあるかもしんねぇな」
ルーガ・バルハザード(ka1013)とラルス・コルネリウス(ka1111)も、普段は手を出さないギャンブルに興じてみようということらしい。
「チケットゲットだよ。ゲームがボクを呼んでいるんだよ」
アン・ドゥ・ドロー! とドローの素振りをしながら弓月 幸子(ka1749)は楽しげにチップを受け取る。
「ここ最近忙しかったさかいな、今日は一日遊ぶでぇ!」
アカーシャ・ヘルメース(ka0473)も遊び倒すつもりらしい。
「それでは皆様、どうかお楽しみ下さいませ。どうか今夜は美しき夢を」
今一度支配人は、ハンター達に深々と礼をして見送るのだった。
●夢の仕立て人
「それではお三方、ショーダウンです。……其方のお客様、フルハウスで勝利となります」
テーブルに喜びと悔しさが渦巻く。スーツを纏ってディーラーをとり行っているのはフェイ(ka2533)だ。
(本当、ハンターって色んな仕事が出来るのね)
チップを勝利者に渡し、カードをシャッフルしつつ思う。彼女は旅の身銭を稼ぐ為に、同様の仕事を雇われでしていた経験がある。故に今回の依頼ではディーラーとして働きに来ていたのだ。
「てめぇ、今イカサマしたろ!」
突如としてテーブルに響く怒号。そちらでは、先程勝利したプレイヤーへ詰め寄っている男の姿があった。
「どうかされましたか?」
フェイは毅然な態度でそちらに声をかける。
「今こいつイカサマしやがった! でなきゃ最初からオールインなんて出来るはずがねぇ!」
難癖をつけられているプレイヤーは否定するが、男性の剣幕に気圧されている。
「彼は不正行為など行っておりませんよ」
だがフェイはそれを否定する。覚醒者の彼女の目は鋭敏視覚によりイカサマなど見逃さない。要は怒鳴り散らしている彼は単純に自分が負けた事が気に入らないだけのようだ。
「おい、確認もしねぇで何を」
「お客様、大声を出されては目立ちますよ」
フェイに詰め寄ろうとした男性の肩を後ろから叩いたのはクリスティーナ=VI(ka2328)だ。彼もまた、スタッフとして働きに来ていた。フェイとは違い彼は警備員として勤めている。
「注目を浴びて恥ずかしい思いをするのは貴方ですよ。証拠はおありなのですか?」
大事にはしないよう、穏やかな口調で諭そうとするクリスティーナ。
「……ちっ! もういい!」
その手を乱暴に振りほどき、男性はずかずかと去っていく。
「あそこがポーカー席か……って、クリスティーナ? それにフェイもいるじゃねーか」
聞き覚えのある声が二人に届く。向けば、ラルスがこちらに歩み寄って来ている。
「……ちょっと、アンタなんでこんな所居るのよ?」
「なんでって、カジノが出来て依頼が来たんだ。面白そうだか遊びに来たってわけだ」
まさか同傭兵隊に会うとは。気まずそうにするフェイ。
「クリスティーナは警備員か。様になってるな」
「似合う? やっぱ似合っちゃうよなぁ」
ラルスに褒められてきりっとしたポーズをとってみるクリスティーナ。彼の引き締まった肉体に、警備員の制服はよく映える。
「制服といえば、フェイお前なんでバニー姿じゃないんだよ? そっちもあったろ?」
「有ったけど……まさか着ろってんじゃないでしょうね?」
思わずシャッフルしていた札を止める。
「よし、ならフェイのバニー服姿を賭ける。俺が勝ったら着替えて貰おうか」
席につくラルス。提案に対してフェイは軽く頭を抱えるが
「……スっても知らないわよ?」
彼女はゲームの流れを読むのにも長けている。早々勝てる筈はないと不敵に笑い返す。二人の雰囲気を察してか、テーブルに居た客たちも見物モードだ。
こうして二人の真剣勝負が、ここに始まった。
●それぞれの勝負
遊んでいくとはいえ、そこはギャンブル。やるからには勝ちたいもの。ブラックジャックのテーブルに座るユーリはそう意気込んでゲームに臨んでいる。「バーストです。お客様方の勝利です」
ディーラーのめくったカードでバーストが確定する。参加プレイヤー全員が勝利し、テーブルが歓喜に包まれた。
(……ここに来てバースト)
ユーリは表情を崩さずに成り行きを見守る。ある予感をしたユーリはここで、多めに張ってみる。「それでは、次のゲームに参ります」 ディーラーがプレイヤーにカードを配る。アップカードは7。そして自分のカードは、AとJ。
(流れが向いてきたようですね)
勝負には流れというものがある。今までディーラーは良い手札で参加者から勝利を収めてきたが、前の手でバーストを作った。そして今のアップカードと、ブラックジャックが完成している自分の手札。ポーカーフェイスでありつつも、ユーリは切り替わった流れに内心で拳を握る。
「スタンドです」
ユーリの宣言の後に参加者たちもカードの交換を打ち止める。ディーラーのホールカードがめくられる。Kで、合計値は17。
「其方のプレイヤーの方の勝利ですね」
ディーラーからチップが支払われる。
「では次は……」
ユーリは払い戻された半分の額を賭ける。大きく勝っても安心はせずにこつこつと勝ち進めていくのが彼女のスタンスだ。彼女は地道ながらも、着実に勝利を積み重ねていった。
ルーガはスロットを回していたが、どうやらすぐに飽きてしまったらしく早々に切り上げ、今はルーレットの台の方へ歩いていっている。
「赤と黒の魔物……すなわち……んお、ルーガも来たのかえ?」
時を同じくしてルーレットのテーブルに寄ってくるのは月輪だ。
「月輪殿。貴公もルーレットか」
「うむ、気が向いたからの。今宵はルーレットに興じてみようという訳じゃ」
ルーガと月輪は肩慣らしに赤、黒の色賭けをしていく。
「くぅ、赤だったか……」
「シンプルでありながらも奥が深い……まさしく魔物の顔じゃて。どれ、次は」
勝つ確率こそ高いものの、長い目で見ればじわじわと減っているような気がする。暫く時間が経ち、総合的に負け越しな雰囲気が漂ってきたルーガと、現状を維持し続けている月輪。
「……ええい!これでは埒が明かぬわ!」
とインサイドベットに切り替えたルーガは自分の誕生日である12と15に全てのチップを賭ける。
「豪気な事じゃな。もう勝負に出るのかえ?」
「女は度胸だ、ドーンと行くぞ!」
「夜はまだ長いのじゃがの。まぁ十二分に遊んだし、私もここらで勝負してみるとするか」
月輪も長く遊び続けるスタイルであったが、ここのルーガの大一番。結果を傍観するよりも、同じ船に乗るのもまた一興と思ったのだろう。月輪も大量のチップを赤色へと賭ける。
「ふふん、無料招待とはいえ、勝ってしまっても構わんのだろう?」
「いかん、それは死亡フラグじゃ!」
一瞬で自分の運を最低値へと叩き落とす魔法のワードを唱えてしまった彼女。ルーレットが回り始め、ボールが転がり始める。
「うむぅ、なんというか、こう、悪いクセになりそうじゃ。いかんのう」
ルーレットを転がるボールが徐々に減速していく。得るか失うかの緊張に、結果が近づくと同時に心臓の鼓動が早まってゆく。甘くも危険なスリルだ。
「私、このルーレットに勝ったら、皆に金を振る舞うんだ……!」
更にフラグを建設するルーガ。一体この短期間でどれほどフラグを建てる気なのか……いや、多数のフラグ建築は生存フラグに繋がるというし、あるいは
ボールがポケットに入る。数値は24。
「……」
が、駄目っ……! 暫し呆然とするルーガと、いっそ緊張の糸が切れてふぅ、と息を吐く月輪。チップの山が無慈悲に遠ざかってゆく。
「ふ、ふんっ。ギャンブルなど、私にはどうせ似合いはしないんだ……」
「無理をするでないルーガ。足にきておるぞ」
背中に哀愁を漂わせるルーガ。その肩を月輪が叩く。
「どれ、ジュースでも奢ってやるとしよう。こういうのは楽しんだもの勝ちという理屈もありじゃろうて、のう?」
「……そうだな」
二人は赤と黒の魔物から去っていった。負けはしたが、この時の高揚感はそうそう忘れはしないだろう。
「くっそ、まだ揃わない」
タンタンタン、とボタンを押すジェット。自分の事を短気で駆け引きは苦手と評する彼女は対人で勝負するよりは機械相手であるスロット一本で勝負することに決めたらしい。台を変えつつ、パターンを模索する。遊びに来ているのだから散財上等。チマチマ遊ぶくらいならばドーンと勝負するというのが彼女のスタンスだ。故にスロットもレートの高い台を選んでいる。そこそこ良い台は見つかったものの、やはり高レート台。揃わなかった時のダメージは大きい。
「ああくそ、コイツもダメなのか。どっかイカれてんじゃないかい?」
マシな台を見つけたものの、それでも流れが少しずつ外れているのを感じてイライラを加速させる。足を揺すり、荒っぽく吸う煙草は減りが早い。普段持ち歩いているレンチを持ち込んでいなくて良かった。もし持っていたら叩き壊しているかもしれない。
(勝つか負けるかは運次第。そんなん解ってたけど、だめだね、やっぱ負け続けはよくないもんだよ)
賭けとは別にポーカー等でいい男や女を探すのも悪くない。息抜きの為にそろそろ席を立とうか、と思ったその時。
ズバーン! と激しい音とネオンを発してスロットが光り輝く。一列に揃う『7』の数字。
『大当たりー! たった今スロットコーナーにおいて大当たりが発生しましたー!』
アナウンスが鳴り、周囲がざわめく。注目は当然ジェットの方へと向く。そしてスロット台からジャラジャラと、大量に排出されるチップの山!
「お、おぉ!? おおお!?」
一気に大量のチップを獲得するジェット。先ほどまでのイライラはどこかへと消し飛んでしまった。
「そ、そうか。勝ったのかうち……ふふ、いい気分だねぇ!」
こうして盛大な大当たりを記録したジェットはこの日最大の稼ぎを魅せる事になった。
●ポーカーテーブル
アカーシャは同テーブルのプレイヤーに表情を悟られないように立ち回っていた。カジノといえば運が全てのようなイメージがあるが、実際は違う。特にポーカーにおいては駆け引きが顕著だ。これを制するか否かで、勝敗をコントロール出来るといっても過言ではない。
そしてアカーシャはその駆け引きが非常に上手い。商売で鍛えた目は聡く、プレイヤーやディーラーの癖を読み取っていく。
(そろそろ、やな)
次のゲームが訪れ、カードが配られる。
「コール」
隣のプレイヤーが賭け金を提示する。それに対してアカーシャは
「ほな、レイズや」
賭け金をつり上げる。隣の男性プレイヤーがこちらを見る。
「いいのかい、こんな所で勝負に出て」
「さてな、どう思う?」
他のプレイヤーはその様子を見てかフォールドする。必然的に1対1、ヘッズアップだ。
「コール」
男はそれに乗る。フロップで3枚のカードが配られる。K,2,9。
「レイズしよう。ここで降りたほうが身のためだぞ」
更に賭け金を釣り上げる。アカーシャは
「それでほんまにええんか?」
ここにきてアカーシャはにっこりと笑みを作り、チップを更に多く積み上げる。
「リレイズや」
降りるどころか更に掛け金を吊り上げるアカーシャ。男は少しの間押し黙り。
「……コール」
その勝負を受ける。
「ほな」
ターンを経てリバーに。ここで追加されるのは、Aと8。
「レイズや」
更にここで賭け金を釣り上げる。恐らく最後に来た数字で役が完成したのだろう。
「……フォールドだ」
男は降りた。必然的に、残ったアカーシャが勝利となる。
「へへ、おおきに」
「!?」
アカーシャがカードを提示する。QとJ。つまりノーペアだ。
「アンタはそこそこ良い手のときはプリフロップからコールする癖があるみたいやしな。勝負に出られるとそこまで強うない手の時は引っ込める確率が高いさかい、ブラフさせてもらったで」
「……やられたよ」
苦笑しつつ、チップをアカーシャに差し出す。
「まいど♪」
「フォールド」
「あら、勝負してくださらないの?」
ヒビキのテーブルでは他の参加者はベットすることなく降りていく。ヒビキが微笑んだので、良い手が来たのだと思ったのだろう。実際ヒビキの手はAポケット。最強の手だ。
ヒビキは敢えてポーカーフェイスなどはせず、純粋にゲームを楽しんでいる。 勝ち負けがほどよく混在し、テーブルは徐々に熱を帯びてゆく。次のゲームが開始されると
「よし、レイズだ! 来るなら来い!」
わざとらしく一人の男性プレイヤーが大きく張る。この男はブラフを張るタイプではない。正直に強い手なのだろうと直感させる。それを察して他のプレイヤーは降りていくが、対してヒビキは
「コールです」
同額のチップを差し出して勝負に出た。このとき、ヒビキの表情は微笑みで固定されている。
「おう姉ちゃん。良い手のようだな。けど今回ばっかりは相手が悪いぜ」
「ふふ、それは楽しみ」
どんな事を言われても微笑みを崩さない。
ターンまで順番が回る。場のカードはハートのA、5、クラブの9、そしてハートのJが新たに出された。
「来たぜ、レイズだ!」
男は更に倍額のチップを積み上げる。相当良い手が出たのだろう。だが、ヒビキはそれを見ても微笑みを崩さない。笑顔のポーカーフェイスのまま彼女は
「リレイズ」
更に倍額のチップを積み上げた。
「相当いい手みてぇだな、だが俺は降りねぇぜ、コール!」
男は勝負に出る。リバーで出されたカードは再びJ。互いにチェックし、ショーダウンする。男の手持ちはハートの10、A。フラッシュが完成している。
「成程、初手から自信満々なのも頷けます、しかし」
ヒビキのカードが提示される。手持ちカードは
「さあ、これでチェックメイトです」
Jポケット。つまりJのフォーカードだ。
「なんだってえ!?」
くすり、と笑むヒビキ。チップがヒビキの手元に送られてくる。
「これだからゲームは楽しいのですよ」
幸子は場をよく見ていた。ディーラーのカード捌き、参加者の傾向などを分析し、自分のプレイスタイルを巧みに変えていく。
(今は大人し目かな。ならブラフを混ぜながら強気に)
「レイズするよ」
「フォールド」
「ふふ、ショーダウンだよ」
タイトにプレイしていたかと思えば大胆に攻め込み、参加者の読みを大きく外す。幸子の思惑通りに、ブラフにも関わらず勝利をもぎ取る事が出来た。
(タイトにやってたからこそブラフは活きて来るもんだよ)
カードゲームが得意な幸子にとって、心理戦もまた彼女の領分だ。自分の手が良くない時でも時にはコールで飛び込んでゆき、場が荒れ始めればタイトに戻る。結果、参加者の多くは彼女を読みぬく事は叶わず、幸子の下へチップがどんどん集まってゆく。
「驚いた。見掛けによらず手練なんだなお嬢ちゃん」
「ふふ~ん。それほどでもないんだよ」
言いつつ幸子は手元に残った大量のチップに視線を落とす。
「従業員さん、このチップと引き換えにカジノの人達にドリンクを奢ってあげて欲しいんだよ」
歩いていたバニー姿の従業員は驚くが、「粋なお方ですね」と柔らかな表情を見せた。
数刻後に幸子の名義でカジノ全体にドリンクが振舞われ、ビューティフルドリーマーはより活気に包まれるのだった。
「お、いいじゃねぇか。そっちの方が似合ってるぜ。スタイルもいいしな」
ラルスが賭けに勝った為に、バニー姿に着替えてきたフェイ。
「これで満足でしょうか……お 客 様?」
まさか最後の最後で僅かに勝ち数を上回られるとは。と、悔しさと恥ずかしさで真っ赤になりつつ、きっとラルスを睨む。
「……あとで何か奢りなさいよね」
「あいよ、仕事あがりにな」
耳元で囁くフェイの言葉に、ラルスはにやっと笑みながら返す。
「やっぱいいよな、こういうの」
カジノ全体の様子を見回し、クリスティーナは呟く。
泣いたり、笑ったり。勝ち負けはどうしても出てくる場だけど、皆生き生きしている。
「そういう場所って、貴重だよなぁ」
こうして、華やかなカジノの夜は少しずつふけてゆく。美しき夢は、皆見れただろうか。
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相談、というより雑談 椥辻 ヒビキ(ka3172) 人間(リアルブルー)|20才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/10/14 18:35:38 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/10 01:30:12 |