ゲスト
(ka0000)
ツインテールの女神さま
マスター:とりる
このシナリオは5日間納期が延長されています。
オープニング
とある二月の日。要塞都市【ノアーラ・クンタウ】内のハンターズソサエティ(HS)――。
「ちょいとお暇なハンターさん達、良いお話があるのですが聞いて行きませんか?」
綺麗な黒髪ツインテールの受付嬢、クラヴィーア・キルシェ(kz0038)が依頼を物色していたハンター達を集める。
「辺境のそのまた辺境、すみっこにですね、ツインテールの女神さまの伝承が残っている村があるのですよ」
得意げに話し始めるクラヴィーアに対し、ハンター達は「ツインテールの女神さま??」と首をかしげる。
「髪をツインテールにして、村の中央にあるツインテールの女神像に祈ると恋愛その他諸々の願いが成就するという伝承があるそうです!」
言い終えてからクラヴィーアはグッと拳を握る。
「髪をツインテールに、とのことなのである程度髪の長い女性が主になりますね。髪が長ければ男性でもOK、ウィッグでもギリギリOKだそうです」
随分と寛容な女神さまらしい。
「その村には天然の温泉もあるそうです。というわけで報酬は出ませんが、息抜きに一泊二日の旅行にいってみたい方はいませんか?」
にっこーりとした笑顔で「きっと楽しいですよー」と、クエストボードに依頼を貼り出すクラヴィーアであった。
「既にカップルになられている方々も末永いお付き合いをしたい、みたいな願いでも良いと思います。ご参加、おまちしていますね♪」
「ちょいとお暇なハンターさん達、良いお話があるのですが聞いて行きませんか?」
綺麗な黒髪ツインテールの受付嬢、クラヴィーア・キルシェ(kz0038)が依頼を物色していたハンター達を集める。
「辺境のそのまた辺境、すみっこにですね、ツインテールの女神さまの伝承が残っている村があるのですよ」
得意げに話し始めるクラヴィーアに対し、ハンター達は「ツインテールの女神さま??」と首をかしげる。
「髪をツインテールにして、村の中央にあるツインテールの女神像に祈ると恋愛その他諸々の願いが成就するという伝承があるそうです!」
言い終えてからクラヴィーアはグッと拳を握る。
「髪をツインテールに、とのことなのである程度髪の長い女性が主になりますね。髪が長ければ男性でもOK、ウィッグでもギリギリOKだそうです」
随分と寛容な女神さまらしい。
「その村には天然の温泉もあるそうです。というわけで報酬は出ませんが、息抜きに一泊二日の旅行にいってみたい方はいませんか?」
にっこーりとした笑顔で「きっと楽しいですよー」と、クエストボードに依頼を貼り出すクラヴィーアであった。
「既にカップルになられている方々も末永いお付き合いをしたい、みたいな願いでも良いと思います。ご参加、おまちしていますね♪」
リプレイ本文
●小旅行へ行こう!
辺境のハンターズソサエティ(HS)――。
そこでシャルル=L=カリラ(ka4262)はおさげの女の子に声を掛けられた。
「アレ? シャルルやんな? やっぱり! 久し振りやなぁ」
「……!? 僕を呼ぶその美しい瞳は忘れもしない……、耀華じゃナイか!」
声の主は既知の仲である耀華(ka4866)だった。偶然の出会い。
「相変わらずの美しい瞳……そのキミの瞳は今日まで何を見てきタんだい?」
「あはは、相変らずやなぁ。ん、この依頼気になったんやけど……行こかどうしよか迷ってんねん」
耀華はクエストボードに貼られた依頼を指差す。
「ああ、この依頼。興味深い、ネ」
「せやろ? ……それでな、シャルルが一緒に受けてくれたらなぁ~なんてな……」
俯きがちにもじもじしながら言う彼女。何ともいじらしい姿。
「僕と一緒で良ければお手をドウゾ、姫」
即答だった。
「ホンマに!? シャルルと一緒やったら楽しさも倍やしね。嬉しいわぁ。有り難うな!」
そんな訳で二人は一緒に依頼に参加する事に。
***
HSにまた一人ハンターの姿が。長い黒髪の美少年、時音 ざくろ(ka1250)。
(冒険団仲間の颯を誘って、温泉旅行デートだよ!)
彼は決意を固め、ぐっと拳を握る。
(あの夜……、うんん、もっと前から意識してた……だから颯ともっと親しくなりたくて)
例の夜、裸リボンで自身をプレゼントされて以来、颯の事を『明確に』意識してしまっているざくろは勇気を出して言葉を口にする。
「颯、髪をツインテールにしてお祈りすると願い事が叶う女神像があるんだって。ざくろと一緒に行ってみない?」
そんなざくろの誘いに、颯――ツインテール美少女の八劒 颯(ka1804)は。
「はやてにおまかせですの!」
即答だった。
「お時ちゃんに誘われて温泉旅行ー♪」
既にノリノリの颯。ちなみに「お時ちゃん」とはざくろの事である。
***
そしてこちらにも今回の小旅行で勝負を掛けるつもりでいる男子(男の娘)が一人。
(ついに……ついに! この時がやって来たわ……!!)
ハニーブロンドのツインテールが美しいエミリオ・ブラックウェル(ka3840)だ。
(愛しのアルカちゃんとの温泉旅行……!!)
大好きな片想いの女の子に今度こそきちんと想いを告げるべくエミリオは心の内で気合を滾らせる。
(まずはお揃いのツインテールでお祈りデートでしょ♪ その後は混浴の温泉でゆっくりアルカちゃんを一人占め……あーもう想像しただけでドキドキしちゃうっ☆)
高まる気持ちに鼓動も高まるばかり。そんなエミリオの心中など全く意識していない、お相手のアルカ・ブラックウェル(ka0790)は……、
「温泉、楽しみだな~」
のんきなものであった。
(……少しは、私の事を『男』として『意識』して欲しいのよね)
エミリオへのアルカの認識は悲しいかな『幼馴染兼テンション高いけど頼りになるもう一人のお兄ちゃん』程度なのだ……。
尚、外見で勘違いされがちであるがエミリオは至ってノーマルである。
***
「遠藤、改めて玉兎・恵でーす。よろしくお願いしますね!」
元気に今回の小旅行を一緒するメンバーへ挨拶するこれまた可愛らしいツインテールの少女、玉兎・恵(ka3940)。
「今日は大好きな旦那様、うさぎさんとラブラブしにきましたよー♪」
そんな旦那様、玉兎 小夜(ka6009)は気怠い様子。
「ツインテールかぁ……恵にはよく似合う可愛い髪型だけど、兎には似合わないかなぁ」
「まあまあ。うさぎさんにはポニーが似合いますし♪」
「ま、それでただで泊まれるならするけどさー」
何はともあれ温泉旅行には惹かれる様だ。
そんなこんなでハンター御一行様は出発!
●ツインテールの女神
さて、ツインテール信仰・伝承があるらしき村(温泉付き)に到着したハンター御一行様――。
各自ペアに分かれて観光を開始。
***
ざくろと颯ペア――。
颯はデート慣れしていない様だったので、ざくろは自分がしっかりエスコートしよう! と思ったのも束の間。
「ちょっと待って、ざくろもツインテールにするの?」
「当然でしょう。説明、聞いていなかったのですか?」
伝承ではツインテールの女神像に願いを叶えて貰う為には髪をツインテールにして祈る必要がある。男性でも例外は無い。
「なのでお時ちゃんの髪をツインテにします!」
そう言うと颯はヘアブラシとヘアゴムを取り出した。ざくろを椅子に座らせ、後ろに回る。
早速取り掛かる颯だったが、彼女にとってはいつもの髪型なので慣れた物かと思いきや人の髪を弄るのは意外と大変。
「お時ちゃんは艶があって綺麗な黒髪ですねぇ」
「はううう」
気になる子に髪を弄られてざくろは赤面。
……そして。見事黒髪ツインテールの男の娘となったざくろは颯と一緒に女神像の前でお祈り。
(颯ともっと深い仲になれます様に)
目を閉じて両手を組んでざくろは祈りを捧げる。
一方、颯は自分達の前途に幸多からん事を願っておいた。
(はやて自身は色恋沙汰に縁のある方ではないですしね)
***
エミリオとアルカのペア――。こちらもヘアメイクタイム。
「じっとしててね?」
片手にヘアブラシを持ち、椅子に座る従妹の髪をエミリオは梳かしてゆく。
それが気持ち良い様でアルカは目を細めた。
「エミリオのヘアメイクする手は魔法みたい」
(アルカちゃんの髪、相変わらず羨ましいさらさらヘアねぇ……あらでもこの匂い?)
従妹の髪を弄りながらエミリオはふと気づいた。
「あら嬉しい、私の調合したヘアパック、使ってくれてるの? ありがと☆」
「ボクの髪がサラサラなのはエミリオ特製ヘアパックのお陰だよ!」
それを聞いたエミリオは「ふふふ」と笑う。
(んもー、こういうところが可愛いのよね☆ リボンの色は彼女の瞳と同じ青色よ♪)
アルカの髪を整えた後に、二人は手を繋いでのんびり徒歩で女神像へ移動。二人一緒に祈りを捧げる。
(彼女に……アルカ・メルリーウィ・ブラックウェルに、私ことエミリオ・ミクエル・ブラックウェルの愛する想いが伝わり、成就し、彼女がいずれは私の妻となりますように……)
(……双子のお兄ちゃんとは違う、ボクにとっての『対』となる人と出会えますように……)
祈り終えた二人は「ふう」と一息。
「エミリオは何を祈ったの?」
「ふふ、内緒☆」
***
恵と小夜ペア――。
二人もまずは小夜の髪をツインテールにしてから移動を開始。
仲良く手を繋いで、村を眺めながらのんびりと歩く。
……やはりツインテール信仰がある村らしく若い女性はほぼツインテール髪だった。
(いつもは何かと不便なこの方向音痴ですが、こういう時にはいいですね。手を繋ぐ言い訳に使えますから……)
そんな風に考え、恵はくすりと微笑む。……さて、女神像前へ到着。
祈りを捧げる二人……。
「うさぎさんが怪我なく無事であります様に」
ハンター業は激務だ。危険も多い。自分の様に臆病な猟撃士は兎も角、心配になる。信じてはいるが、心配しない事はない。
恵はその様に祈った。
(ずっと一緒なのは私の中ではもう当然になってますから……♪)
一方、小夜は――
「恵とずっと一緒に居られる事。あと楽しく首刈りできる事」
***
シャルルと耀華のペア――。
「ウチの髪型、おさげ? かもしらんけど、ツインテールでも一応あるんやんねぇ」
何やら耀華は悩んでいる様子。
「どうしよか。このままやのうて、上でくくる、王道的ツインテールの方がエエんかなぁ」
耀華はうーんと首を捻る。
「迷うけど……シャルルは如何思う? 折角やで上でくくってみよか」
「王道ツインテール……そうだネ、耀華ならそれも似合うと思うヨ」
問われたシャルルはにっこり笑って答えた。
「そっかー。なんや初めての髪型ちゅーんは、何となく気恥ずかしいなぁ」
そう言って耀華は一旦髪を下ろして結び直し。暫くして、王道的ツインテールの完成。
「似おうてるかな? 如何やろか?」
少し頬を赤らめて耀華はシャルルに問う。
「ほら……こんなに素敵、ダ。モチロン、似合っていルとも!」
シャルルは手鏡を取り出して彼女に見せる。
「何だか耀華の美しさを新しく発見したようダヨ」
「そんな! 大げさやって!」
オーバーリアクションはいつもの事だったが、耀華もにっこり笑顔を浮かべる。素直に嬉しかった。
さて、シャルル。彼は髪の長さ故、ウィッグを被る事に。
「ウチよりシャルルの方が似おてる気がするわぁ。折角やでシャルルには色んな髪型試して見して欲しいなぁ」
リクエストに答えて金髪縦ロールのウィッグを被り。
「さて、耀華には負けると思うケド、僕はドウだい? エレガント、になってイルと良いんだけれど、ネ」
更に別の髪型のウィッグにも挑戦。
「ふむ……これはこれで面白イかもしれナイ……」
マーガレットのウィッグで振り向き。
「……似合うかナ? こういうのも……」
今度はコーンロウで振り向き。
「海賊、みたいになれてルかい?」
「普通? がエエんは勿論やけど面白いのも似おてるな」
耀華はパチパチと拍手。
「やっぱり元が綺麗やとちゃうね。エエなぁ……」
美形の成せる業である。耀華のじと目に「?」となるシャルルだった。
それからツインテに直して、二人は女神像前に移動。
「ほな肝心の願い事やね。……よう考えたらウチ、願い事あらへんかも……」
「願いごとが無い……? 耀華は控え目だネ! 謙虚さも素敵だ」
褒め殺してくるシャルルに耀華は顔を赤くして「んもう!」となった。
「ケド……折角だし、思いついたことを願うのもイイと思うヨ!」
しばしの間。
「……うん! 決めた! 皆が笑顔で過ごせる様に。勿論今日も含めてやで」
そんなシャルルは穏やかな笑みを浮かべて「耀華らしいネ」と言った。
「シャルルは何願うん?」
「ん? 僕の願いごとが気にナルのかい? ……秘密、だヨ。でも……耀華に関するコト、かもしれないネ!」
「気になるなぁ。まぁエエか。ウチもシャルルもみんなも、願い叶うとエエなぁ」
耀華は笑顔をその後に目を閉じて祈る。それにシャルルも続いた。彼の願いは――
『耀華の笑顔をいつか隣でいつまでも見られる様に』
***
願い事を済ませたハンター御一行様は集合し、宿泊先へ移動。
●ドキドキ温泉!
宿へ到着したハンター御一行様は部屋へ通され、各々のタイミングで温泉へ。
***
ざくろと颯は二人きりで混浴風呂。
颯に誘われてわたわた中のざくろ。そんな彼に颯が一言。
「何を今更、一緒にお風呂なんて初めてではないでしょう」
「……たっ、確かにもう何度もお風呂とか一緒してるけどっ! 今日は二人っきりでっ!」
「そもそもお時ちゃん相手にあそこまでやった颯が何を恥じらいます? 見る所見た癖に」
「うぐ、それはそうだけど……」
「いいから一緒に入る!」
「わぁ!?」
ざくろは颯に手を引かれてどぼーん! ……その後上がってちゃんと掛け湯をして入り直しました。
暫く経ってざくろも大分落ち着いた頃。颯の髪があまり手入れされていない事に気付き、ざくろが洗ってあげる事に。
二人は洗い場へ移動。
「颯可愛いんだから、もっとちゃんと手入れしないと」
「髪のお手入れなんかは気にしたことないですからねぇ。ドリルの整備・調整に使う機械油や薬品で痛んでるような気はしてますけど……って、可愛い?」
「ふふふ」
そんなこんなをしている内に洗いっこに移行。
ざくろはふと悪戯心が発動し、颯の首筋から背中に指をつーっと滑らせる。それに彼女は「びくぅん!」となり、背中を振るわせる。
それの反応に颯への愛おしさが一杯になったざくろは彼女を後ろから優しく抱きしめて耳元で囁く。
「あの夜はいきなりで慌てちゃったけど今なら……ざくろ颯のプレゼント、颯が欲しい。恋人になって貰えたら嬉しい」
「……」
突然の告白に、颯は温泉旅行に誘われた時点で予想していた物の実際体験してみたら脳が処理落ちして硬直。
「……颯? 大丈夫?」
その問いに颯はぎゅ~っと抱き返し。……互いの体温を感じる距離……。その上で彼女は返事をした。
「こんな機械油の臭いが染みついたはやてでよければ喜んで……」
「ありがとう。愛してる」
唇を重ね合わせる二人。夜が更けてゆく――。
***
エミリオとアルカは二人きり、水着で混浴風呂。
二人で並んでお湯に浸かり、まったり他愛も無い話をしていたらいつの間にか話題が――
「エミリオの好みの女の子ってどんなの?」
「私の好きな女性のタイプ? アルカちゃんに決まっているじゃない♪」
「……え、ボク? また冗談を――」
「冗談じゃないよ? 私は、メルリーウィの事を愛しく思っているよ?」
アルカの言葉を遮り、エミリオははっきりとした口調で言う。
ミドルネームで呼ぶのは、それが嘘偽りない誓約の証。
『さぁ、お姫様? 君はどんな顔をする?』エミリオの瞳が真っ直ぐにアルカを見据える。
「…………まさか本気?」
嘘。
この、熱い眼差しの意味――。
(ボクは……まだ)
アルカは自分の身体を抱き締めた……。
***
シャルルは一人まったり男湯。
耀華は……
「露天風呂は折角やしみんなで入れたら面白いな。一人でのんびり浸かんのもエエけど、ワイワイ賑やかなんもエエもんやしな♪」
結果、一人のんびりお湯に浸かる事になりました。
「仕切り越しにシャルルの声、聞こえへんかなー」
「ん? 耀華? 呼んだカイ?」
わざと声に出して言った耀華だったが、本当に仕切り越しに男湯と繋がっていたらしい。
……二人はそのまま仕切り越しに背中合わせになって話す……。
「シャルルは温泉とか入った事無さそうやけど、どないな感想やろか」
「とても気持ちが良いヨ。いいお湯だネ」
……ゆっくりとした時間が流れる……。
「うち、ちょっとのぼせてしもた。シャルルも上がって一緒にコーヒー牛乳飲まへん?」
「ん、いいヨ。ちょっと待っててネ」
「その後は……うふふ」
***
恵と小夜は耀華と入れ替わりで女湯に二人きり。
小夜は「……メンバー的にこっちは貸し切りじゃね……!?」みたいな感じ。
「めーぐみぃ」
「はぁい」
二人きりなのでお湯に浸かったまま体育座りをし、足の間に恵を抱き寄せてむぎゅうする。
「……!?」
「……?」
恵との体格差に愕然とする……が、まぁ、気にする事でもないので抱き締めて温泉を心行くまで堪能。
「いつまでも、ずっと一緒ですよ♪」
「……うむ」
頷くしかない。惚れた弱みである。
●翌朝
「\ハヤテカワイイ/」
「\カワイクナイヨー/」
などというやり取りがざくろと颯の部屋から何度も聞こえたらしい。
辺境のハンターズソサエティ(HS)――。
そこでシャルル=L=カリラ(ka4262)はおさげの女の子に声を掛けられた。
「アレ? シャルルやんな? やっぱり! 久し振りやなぁ」
「……!? 僕を呼ぶその美しい瞳は忘れもしない……、耀華じゃナイか!」
声の主は既知の仲である耀華(ka4866)だった。偶然の出会い。
「相変わらずの美しい瞳……そのキミの瞳は今日まで何を見てきタんだい?」
「あはは、相変らずやなぁ。ん、この依頼気になったんやけど……行こかどうしよか迷ってんねん」
耀華はクエストボードに貼られた依頼を指差す。
「ああ、この依頼。興味深い、ネ」
「せやろ? ……それでな、シャルルが一緒に受けてくれたらなぁ~なんてな……」
俯きがちにもじもじしながら言う彼女。何ともいじらしい姿。
「僕と一緒で良ければお手をドウゾ、姫」
即答だった。
「ホンマに!? シャルルと一緒やったら楽しさも倍やしね。嬉しいわぁ。有り難うな!」
そんな訳で二人は一緒に依頼に参加する事に。
***
HSにまた一人ハンターの姿が。長い黒髪の美少年、時音 ざくろ(ka1250)。
(冒険団仲間の颯を誘って、温泉旅行デートだよ!)
彼は決意を固め、ぐっと拳を握る。
(あの夜……、うんん、もっと前から意識してた……だから颯ともっと親しくなりたくて)
例の夜、裸リボンで自身をプレゼントされて以来、颯の事を『明確に』意識してしまっているざくろは勇気を出して言葉を口にする。
「颯、髪をツインテールにしてお祈りすると願い事が叶う女神像があるんだって。ざくろと一緒に行ってみない?」
そんなざくろの誘いに、颯――ツインテール美少女の八劒 颯(ka1804)は。
「はやてにおまかせですの!」
即答だった。
「お時ちゃんに誘われて温泉旅行ー♪」
既にノリノリの颯。ちなみに「お時ちゃん」とはざくろの事である。
***
そしてこちらにも今回の小旅行で勝負を掛けるつもりでいる男子(男の娘)が一人。
(ついに……ついに! この時がやって来たわ……!!)
ハニーブロンドのツインテールが美しいエミリオ・ブラックウェル(ka3840)だ。
(愛しのアルカちゃんとの温泉旅行……!!)
大好きな片想いの女の子に今度こそきちんと想いを告げるべくエミリオは心の内で気合を滾らせる。
(まずはお揃いのツインテールでお祈りデートでしょ♪ その後は混浴の温泉でゆっくりアルカちゃんを一人占め……あーもう想像しただけでドキドキしちゃうっ☆)
高まる気持ちに鼓動も高まるばかり。そんなエミリオの心中など全く意識していない、お相手のアルカ・ブラックウェル(ka0790)は……、
「温泉、楽しみだな~」
のんきなものであった。
(……少しは、私の事を『男』として『意識』して欲しいのよね)
エミリオへのアルカの認識は悲しいかな『幼馴染兼テンション高いけど頼りになるもう一人のお兄ちゃん』程度なのだ……。
尚、外見で勘違いされがちであるがエミリオは至ってノーマルである。
***
「遠藤、改めて玉兎・恵でーす。よろしくお願いしますね!」
元気に今回の小旅行を一緒するメンバーへ挨拶するこれまた可愛らしいツインテールの少女、玉兎・恵(ka3940)。
「今日は大好きな旦那様、うさぎさんとラブラブしにきましたよー♪」
そんな旦那様、玉兎 小夜(ka6009)は気怠い様子。
「ツインテールかぁ……恵にはよく似合う可愛い髪型だけど、兎には似合わないかなぁ」
「まあまあ。うさぎさんにはポニーが似合いますし♪」
「ま、それでただで泊まれるならするけどさー」
何はともあれ温泉旅行には惹かれる様だ。
そんなこんなでハンター御一行様は出発!
●ツインテールの女神
さて、ツインテール信仰・伝承があるらしき村(温泉付き)に到着したハンター御一行様――。
各自ペアに分かれて観光を開始。
***
ざくろと颯ペア――。
颯はデート慣れしていない様だったので、ざくろは自分がしっかりエスコートしよう! と思ったのも束の間。
「ちょっと待って、ざくろもツインテールにするの?」
「当然でしょう。説明、聞いていなかったのですか?」
伝承ではツインテールの女神像に願いを叶えて貰う為には髪をツインテールにして祈る必要がある。男性でも例外は無い。
「なのでお時ちゃんの髪をツインテにします!」
そう言うと颯はヘアブラシとヘアゴムを取り出した。ざくろを椅子に座らせ、後ろに回る。
早速取り掛かる颯だったが、彼女にとってはいつもの髪型なので慣れた物かと思いきや人の髪を弄るのは意外と大変。
「お時ちゃんは艶があって綺麗な黒髪ですねぇ」
「はううう」
気になる子に髪を弄られてざくろは赤面。
……そして。見事黒髪ツインテールの男の娘となったざくろは颯と一緒に女神像の前でお祈り。
(颯ともっと深い仲になれます様に)
目を閉じて両手を組んでざくろは祈りを捧げる。
一方、颯は自分達の前途に幸多からん事を願っておいた。
(はやて自身は色恋沙汰に縁のある方ではないですしね)
***
エミリオとアルカのペア――。こちらもヘアメイクタイム。
「じっとしててね?」
片手にヘアブラシを持ち、椅子に座る従妹の髪をエミリオは梳かしてゆく。
それが気持ち良い様でアルカは目を細めた。
「エミリオのヘアメイクする手は魔法みたい」
(アルカちゃんの髪、相変わらず羨ましいさらさらヘアねぇ……あらでもこの匂い?)
従妹の髪を弄りながらエミリオはふと気づいた。
「あら嬉しい、私の調合したヘアパック、使ってくれてるの? ありがと☆」
「ボクの髪がサラサラなのはエミリオ特製ヘアパックのお陰だよ!」
それを聞いたエミリオは「ふふふ」と笑う。
(んもー、こういうところが可愛いのよね☆ リボンの色は彼女の瞳と同じ青色よ♪)
アルカの髪を整えた後に、二人は手を繋いでのんびり徒歩で女神像へ移動。二人一緒に祈りを捧げる。
(彼女に……アルカ・メルリーウィ・ブラックウェルに、私ことエミリオ・ミクエル・ブラックウェルの愛する想いが伝わり、成就し、彼女がいずれは私の妻となりますように……)
(……双子のお兄ちゃんとは違う、ボクにとっての『対』となる人と出会えますように……)
祈り終えた二人は「ふう」と一息。
「エミリオは何を祈ったの?」
「ふふ、内緒☆」
***
恵と小夜ペア――。
二人もまずは小夜の髪をツインテールにしてから移動を開始。
仲良く手を繋いで、村を眺めながらのんびりと歩く。
……やはりツインテール信仰がある村らしく若い女性はほぼツインテール髪だった。
(いつもは何かと不便なこの方向音痴ですが、こういう時にはいいですね。手を繋ぐ言い訳に使えますから……)
そんな風に考え、恵はくすりと微笑む。……さて、女神像前へ到着。
祈りを捧げる二人……。
「うさぎさんが怪我なく無事であります様に」
ハンター業は激務だ。危険も多い。自分の様に臆病な猟撃士は兎も角、心配になる。信じてはいるが、心配しない事はない。
恵はその様に祈った。
(ずっと一緒なのは私の中ではもう当然になってますから……♪)
一方、小夜は――
「恵とずっと一緒に居られる事。あと楽しく首刈りできる事」
***
シャルルと耀華のペア――。
「ウチの髪型、おさげ? かもしらんけど、ツインテールでも一応あるんやんねぇ」
何やら耀華は悩んでいる様子。
「どうしよか。このままやのうて、上でくくる、王道的ツインテールの方がエエんかなぁ」
耀華はうーんと首を捻る。
「迷うけど……シャルルは如何思う? 折角やで上でくくってみよか」
「王道ツインテール……そうだネ、耀華ならそれも似合うと思うヨ」
問われたシャルルはにっこり笑って答えた。
「そっかー。なんや初めての髪型ちゅーんは、何となく気恥ずかしいなぁ」
そう言って耀華は一旦髪を下ろして結び直し。暫くして、王道的ツインテールの完成。
「似おうてるかな? 如何やろか?」
少し頬を赤らめて耀華はシャルルに問う。
「ほら……こんなに素敵、ダ。モチロン、似合っていルとも!」
シャルルは手鏡を取り出して彼女に見せる。
「何だか耀華の美しさを新しく発見したようダヨ」
「そんな! 大げさやって!」
オーバーリアクションはいつもの事だったが、耀華もにっこり笑顔を浮かべる。素直に嬉しかった。
さて、シャルル。彼は髪の長さ故、ウィッグを被る事に。
「ウチよりシャルルの方が似おてる気がするわぁ。折角やでシャルルには色んな髪型試して見して欲しいなぁ」
リクエストに答えて金髪縦ロールのウィッグを被り。
「さて、耀華には負けると思うケド、僕はドウだい? エレガント、になってイルと良いんだけれど、ネ」
更に別の髪型のウィッグにも挑戦。
「ふむ……これはこれで面白イかもしれナイ……」
マーガレットのウィッグで振り向き。
「……似合うかナ? こういうのも……」
今度はコーンロウで振り向き。
「海賊、みたいになれてルかい?」
「普通? がエエんは勿論やけど面白いのも似おてるな」
耀華はパチパチと拍手。
「やっぱり元が綺麗やとちゃうね。エエなぁ……」
美形の成せる業である。耀華のじと目に「?」となるシャルルだった。
それからツインテに直して、二人は女神像前に移動。
「ほな肝心の願い事やね。……よう考えたらウチ、願い事あらへんかも……」
「願いごとが無い……? 耀華は控え目だネ! 謙虚さも素敵だ」
褒め殺してくるシャルルに耀華は顔を赤くして「んもう!」となった。
「ケド……折角だし、思いついたことを願うのもイイと思うヨ!」
しばしの間。
「……うん! 決めた! 皆が笑顔で過ごせる様に。勿論今日も含めてやで」
そんなシャルルは穏やかな笑みを浮かべて「耀華らしいネ」と言った。
「シャルルは何願うん?」
「ん? 僕の願いごとが気にナルのかい? ……秘密、だヨ。でも……耀華に関するコト、かもしれないネ!」
「気になるなぁ。まぁエエか。ウチもシャルルもみんなも、願い叶うとエエなぁ」
耀華は笑顔をその後に目を閉じて祈る。それにシャルルも続いた。彼の願いは――
『耀華の笑顔をいつか隣でいつまでも見られる様に』
***
願い事を済ませたハンター御一行様は集合し、宿泊先へ移動。
●ドキドキ温泉!
宿へ到着したハンター御一行様は部屋へ通され、各々のタイミングで温泉へ。
***
ざくろと颯は二人きりで混浴風呂。
颯に誘われてわたわた中のざくろ。そんな彼に颯が一言。
「何を今更、一緒にお風呂なんて初めてではないでしょう」
「……たっ、確かにもう何度もお風呂とか一緒してるけどっ! 今日は二人っきりでっ!」
「そもそもお時ちゃん相手にあそこまでやった颯が何を恥じらいます? 見る所見た癖に」
「うぐ、それはそうだけど……」
「いいから一緒に入る!」
「わぁ!?」
ざくろは颯に手を引かれてどぼーん! ……その後上がってちゃんと掛け湯をして入り直しました。
暫く経ってざくろも大分落ち着いた頃。颯の髪があまり手入れされていない事に気付き、ざくろが洗ってあげる事に。
二人は洗い場へ移動。
「颯可愛いんだから、もっとちゃんと手入れしないと」
「髪のお手入れなんかは気にしたことないですからねぇ。ドリルの整備・調整に使う機械油や薬品で痛んでるような気はしてますけど……って、可愛い?」
「ふふふ」
そんなこんなをしている内に洗いっこに移行。
ざくろはふと悪戯心が発動し、颯の首筋から背中に指をつーっと滑らせる。それに彼女は「びくぅん!」となり、背中を振るわせる。
それの反応に颯への愛おしさが一杯になったざくろは彼女を後ろから優しく抱きしめて耳元で囁く。
「あの夜はいきなりで慌てちゃったけど今なら……ざくろ颯のプレゼント、颯が欲しい。恋人になって貰えたら嬉しい」
「……」
突然の告白に、颯は温泉旅行に誘われた時点で予想していた物の実際体験してみたら脳が処理落ちして硬直。
「……颯? 大丈夫?」
その問いに颯はぎゅ~っと抱き返し。……互いの体温を感じる距離……。その上で彼女は返事をした。
「こんな機械油の臭いが染みついたはやてでよければ喜んで……」
「ありがとう。愛してる」
唇を重ね合わせる二人。夜が更けてゆく――。
***
エミリオとアルカは二人きり、水着で混浴風呂。
二人で並んでお湯に浸かり、まったり他愛も無い話をしていたらいつの間にか話題が――
「エミリオの好みの女の子ってどんなの?」
「私の好きな女性のタイプ? アルカちゃんに決まっているじゃない♪」
「……え、ボク? また冗談を――」
「冗談じゃないよ? 私は、メルリーウィの事を愛しく思っているよ?」
アルカの言葉を遮り、エミリオははっきりとした口調で言う。
ミドルネームで呼ぶのは、それが嘘偽りない誓約の証。
『さぁ、お姫様? 君はどんな顔をする?』エミリオの瞳が真っ直ぐにアルカを見据える。
「…………まさか本気?」
嘘。
この、熱い眼差しの意味――。
(ボクは……まだ)
アルカは自分の身体を抱き締めた……。
***
シャルルは一人まったり男湯。
耀華は……
「露天風呂は折角やしみんなで入れたら面白いな。一人でのんびり浸かんのもエエけど、ワイワイ賑やかなんもエエもんやしな♪」
結果、一人のんびりお湯に浸かる事になりました。
「仕切り越しにシャルルの声、聞こえへんかなー」
「ん? 耀華? 呼んだカイ?」
わざと声に出して言った耀華だったが、本当に仕切り越しに男湯と繋がっていたらしい。
……二人はそのまま仕切り越しに背中合わせになって話す……。
「シャルルは温泉とか入った事無さそうやけど、どないな感想やろか」
「とても気持ちが良いヨ。いいお湯だネ」
……ゆっくりとした時間が流れる……。
「うち、ちょっとのぼせてしもた。シャルルも上がって一緒にコーヒー牛乳飲まへん?」
「ん、いいヨ。ちょっと待っててネ」
「その後は……うふふ」
***
恵と小夜は耀華と入れ替わりで女湯に二人きり。
小夜は「……メンバー的にこっちは貸し切りじゃね……!?」みたいな感じ。
「めーぐみぃ」
「はぁい」
二人きりなのでお湯に浸かったまま体育座りをし、足の間に恵を抱き寄せてむぎゅうする。
「……!?」
「……?」
恵との体格差に愕然とする……が、まぁ、気にする事でもないので抱き締めて温泉を心行くまで堪能。
「いつまでも、ずっと一緒ですよ♪」
「……うむ」
頷くしかない。惚れた弱みである。
●翌朝
「\ハヤテカワイイ/」
「\カワイクナイヨー/」
などというやり取りがざくろと颯の部屋から何度も聞こえたらしい。
依頼結果
参加者一覧
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質問卓 八劒 颯(ka1804) 人間(リアルブルー)|15才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/02/05 16:08:43 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/06 03:55:27 |