ゲスト
(ka0000)
【詩天】隈据の戦い
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/02/13 12:00
- 完成日
- 2017/02/20 06:36
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
大挙して詩天を襲う歪虚に対し、三条真美不在の中、残った兵たちで迎撃することになった。
その中には詩天を守護する即疾隊もまた、ハンターに応援要請を出して出撃していた。
昨年の夏から秋にかけて、即疾隊は結成早々に強力な歪虚に手を焼いており、人手も少なくなっていた。
現在は人数も増え、戦力も大きくなっている。
渦中にいた即疾隊一番隊隊長の壬生和彦は隊員達を引き連れ、前線に赴いている。
自身が率いる隊員たちの異変をすぐに察知できるよう、気を配りながらも敵を倒していた。
乱戦と化している戦場の中で和彦の背後でハンターの短い悲鳴が上がる。和彦はその声に反応し、直面している歪虚の首をはねてから振り向く。
「大丈夫ですかっ」
「大丈夫」
背後を襲われたが、何とか攻撃を回避していた。
更にそのハンターを追撃せんと突進する歪虚に近くにいたハンターが胴へ一撃を入れて離れると、襲われたハンターが体勢を整えて動きが鈍った歪虚へとどめを刺す。
「やはり、多いな」
周囲の歪虚は一応倒したが、更に奥から湧き出てくるようであった。
「仕方ありません……」
相手は人の身体を持たぬ歪虚。
地下水のように人の生きる地へと侵攻する。
周囲を窺った一番隊の面子は次に来るだろう集団が数分も経たずにこちらと交戦すると思われた。
一瞬の休憩であるが、和彦はその集団より向こうの存在に気づく。
「あれは……」
周囲の雑魚歪虚より一回り大きな歪虚の集団がこちらの方へと向かっている。
一人のハンターが和彦の様子に気づき、声をかけつつ、その方向を見やると、状況を理解した。
「……あんなのが来たら……」
「食い止めねばなりません」
ぎゅっと、奥歯を噛みしめた和彦は背後にいる一番隊の隊員へ振り向き、二人の隊員達の名を呼ぶ。
「これから、二番隊、三番隊へ応援要請を出してほしい、位置はわかるな!」
「隊長は……」
名を呼ばれた隊員が不安そうに顔を顰める。
「私は奴らを引き寄せる。有志で一緒に来てくれるものがいてくれたら、来てくれ。無理強いはしない」
言い切った和彦は更に言葉を続ける。
「ここの戦力は減るが、二番隊、三番隊の応援が来るまで、それぞれ堪えてほしい」
和彦の言葉に隊員達は頷き、それぞれの持ち場へつく。
さらに強力な歪虚の引き寄せをする為に和彦についてきてくれたハンター兼隊士たちがいた。
「厳しい戦いになる」
「わかってる」
ハンター達にはそれぞれの覚悟をもってここで戦っている。
野暮なのは和彦もわかっているし、信用している。皆と生きて帰りたい一心では粋がるのも少々辛い模様。
歪虚達がこちらの間合いに入ってきた。
ハンターの誰かが警告の声を上げようとすると、和彦は素早く抜刀し、一体の歪虚の首を刎ねる。
「でも、君たちと一緒に戦えるなら、きっと生きて帰れる」
そう、共に戦えるのだ。
素直な気持ちを口にした和彦はにこりと笑って前を向き、目的の歪虚へ駆け出す。
その中には詩天を守護する即疾隊もまた、ハンターに応援要請を出して出撃していた。
昨年の夏から秋にかけて、即疾隊は結成早々に強力な歪虚に手を焼いており、人手も少なくなっていた。
現在は人数も増え、戦力も大きくなっている。
渦中にいた即疾隊一番隊隊長の壬生和彦は隊員達を引き連れ、前線に赴いている。
自身が率いる隊員たちの異変をすぐに察知できるよう、気を配りながらも敵を倒していた。
乱戦と化している戦場の中で和彦の背後でハンターの短い悲鳴が上がる。和彦はその声に反応し、直面している歪虚の首をはねてから振り向く。
「大丈夫ですかっ」
「大丈夫」
背後を襲われたが、何とか攻撃を回避していた。
更にそのハンターを追撃せんと突進する歪虚に近くにいたハンターが胴へ一撃を入れて離れると、襲われたハンターが体勢を整えて動きが鈍った歪虚へとどめを刺す。
「やはり、多いな」
周囲の歪虚は一応倒したが、更に奥から湧き出てくるようであった。
「仕方ありません……」
相手は人の身体を持たぬ歪虚。
地下水のように人の生きる地へと侵攻する。
周囲を窺った一番隊の面子は次に来るだろう集団が数分も経たずにこちらと交戦すると思われた。
一瞬の休憩であるが、和彦はその集団より向こうの存在に気づく。
「あれは……」
周囲の雑魚歪虚より一回り大きな歪虚の集団がこちらの方へと向かっている。
一人のハンターが和彦の様子に気づき、声をかけつつ、その方向を見やると、状況を理解した。
「……あんなのが来たら……」
「食い止めねばなりません」
ぎゅっと、奥歯を噛みしめた和彦は背後にいる一番隊の隊員へ振り向き、二人の隊員達の名を呼ぶ。
「これから、二番隊、三番隊へ応援要請を出してほしい、位置はわかるな!」
「隊長は……」
名を呼ばれた隊員が不安そうに顔を顰める。
「私は奴らを引き寄せる。有志で一緒に来てくれるものがいてくれたら、来てくれ。無理強いはしない」
言い切った和彦は更に言葉を続ける。
「ここの戦力は減るが、二番隊、三番隊の応援が来るまで、それぞれ堪えてほしい」
和彦の言葉に隊員達は頷き、それぞれの持ち場へつく。
さらに強力な歪虚の引き寄せをする為に和彦についてきてくれたハンター兼隊士たちがいた。
「厳しい戦いになる」
「わかってる」
ハンター達にはそれぞれの覚悟をもってここで戦っている。
野暮なのは和彦もわかっているし、信用している。皆と生きて帰りたい一心では粋がるのも少々辛い模様。
歪虚達がこちらの間合いに入ってきた。
ハンターの誰かが警告の声を上げようとすると、和彦は素早く抜刀し、一体の歪虚の首を刎ねる。
「でも、君たちと一緒に戦えるなら、きっと生きて帰れる」
そう、共に戦えるのだ。
素直な気持ちを口にした和彦はにこりと笑って前を向き、目的の歪虚へ駆け出す。
リプレイ本文
詩天はまだ、歪虚の恐怖に晒されている状態。
首都若峰を守護する即疾隊は歪虚より若峰を守護せんと動く。
即疾隊の華ともいえる一番隊は我先に前線へと向かうのが常であった。今回の襲撃も例外なく、即疾隊は前線へと飛び出す。
初めて見る顔、知った顔のハンター達も隊士として即疾隊と共に戦ってくれる頼もしい存在だ。
やるべきことは、歪虚を若峰へ踏み入れさせないこと。
戦いの中、一番隊隊長である壬生和彦は更に強力と思える歪虚の集団に気づいた。
恐れる者も出てくるのは和彦もわかっていたが、一人ではどうすることも出来ない。故に、有志を募った。
「行くわよ」
あっさりと応えたのは和音・空(ka6228)だ。
「まだまだこの国でやりたいこともあるし」
指先に挟まれている呪符をひらりと揺らしながら彼女は言葉をつなげる。
「勿論です。行きますよ」
マシロビ(ka5721)行く気だ。
「今更水臭いこと言ってんじゃねぇよ」
呆れたような口調で言ったのは南護 炎(ka6651)。
「そそ、遠慮すんなよ」
炎の言葉に賛同する綿狸 律(ka5377)は遠方より投石してくるだろう歪虚へ矢を放つ。
「壬生殿は我々属する隊の長だ。遠慮せず、使ってくれ」
穏やかに諭す皆守 恭也(ka5378)に和彦は「そうだった」というような表情を見せる。
ハンターは自分がまだ新人隊士からの付き合いであるので、自分が隊長職に就いていることを忘れてしまうようだ。
そんな和彦達の様子を見ていたシガレット=ウナギパイ(ka2884)は緩く笑んでこれから押し寄せるだろう歪虚達の集団を見据える。
「じゃ、まぁ……団体さんにはお帰り願いますか」
シガレットの声でハンターと和彦は更に奥へと向かっていった。
●
進軍を始める一番隊の前に広がる歪虚……骸骨兵の群れ。
骸骨兵は戦場で死に逝った者達の行く末とも言われているが、それが詩天の兵かは定かではない。
しかし、歪虚となれば、葬り去るしかない。
前衛の一人である炎は両手でバスタードソードを横に薙いで骸骨兵を砕くように斬り裂いた。
「凄まじい数だなっ」
息を大きく吐くように視界に広がる歪虚を見据えた炎は振りぬいた剣をそのまま別の歪虚へ振り下ろす。
「おっと、踏み込みすぎるなよ。大勢相手は体力勝負だからな」
シガレットが炎の位置を把握しつつ、声をかける。
視線が外れたことで隙が出来たのかと思った歪虚がシガレットへ襲い掛かるも、その歪虚はシガレットを捕捉することなどできず、頭を吹き飛ばされてしまった。
「随分、ヤワだな」
「粘れるよりマシね」
呆れるシガレットの感想に対し、冷静な返しを口にしたのは空だ。
「集団だからって、死角を狙えばいいわけないじゃない」
歪虚の集団に言っても仕方ないのは空も分かっているが、口に出してしまう。
「和彦さん、姿勢を低くしてください!」
魔導拳銃を構えたマシロビが和彦へ警告を出すと、彼は素早く姿勢を低くした目線と同じ低さで抜刀し、歪虚を斬り倒す。
マシロビは和彦を狙う歪虚へ拳銃のトリガーを引いた。頭ごと吹き飛ばせば、彼の足元に敵が転がる。
「見事な連係プレーだな。隊長、マシロビ!」
軽い調子の律の言葉に和彦は「律さん、名前呼びでいいですよっ」とどこか照れた風であった。
そんな二人のやりとりを横目で内心微笑ましく見ていた恭也は歪虚を一撃で倒し、律への気配りも忘れてない。
「律、右だ」
「了解っ!」
恭也の声に反応した律は素早く矢を放った。
空気が震える音が聞こえるころには敵が矢の衝撃を受けて後方へと飛ばされる。
「そっちもいつもながらですね!」
言い返す和彦に律は楽しそうに笑う。横から襲ってくる骸骨兵に恭也は腰を砕くように叩き斬った。
心に残っていたものが落ち着いたのだろうか、和彦の生来の明るい気質が見えると恭也とマシロビはそれぞれで思う。
「そろそろ、問題の歪虚達が近づくわ!」
警告を促す空に一番隊は気を引き締めて進軍する。
●
さらに奥へと進む一番隊に気づいたのだろうか、目的の集団はこちらの方へ向かってきていた。
身体の大きい六体の落ち武者を守る盾のように骸骨兵が先陣を歩いている。
「随分と取り巻きの多い落ち武者じゃねェか」
歪虚の様子を見て、くつりと、笑うシガレットは愛飲の紙巻煙草を吸い、ゆっくりと紫煙を吐いた。
強面のシガレットから響くのは、害意と闘気が渦巻く戦場に合わない静かな鎮魂歌のような旋律。
右手に構える純白の神罰銃が唱に合わせるように発砲しては撃ち抜いていき、骸骨兵の動きが鈍くなっているのが目に見えてわかる。
敵前衛の動きを見ていた空とマシロビは敵と自分たちの間合いを注意深く窺う。
「景気よくいくわよ!」
「はい!」
歪虚が自分たちの間合いに入ったのを確認すると、声を掛け合って同時に符を発動させた。
赤と紫に発光する符が二か所結界を作り上げ、複数の骸骨兵を取り囲む。気が付く、逃げ出す時間など与えず、光が敵を焼いた。
立ち止まった結界内の骸骨兵は範囲外にいた同胞の侵攻によって踏みつぶされていく。
動きが鈍くなろうとも、歪虚の進む足は止まることはない。
見越したかのように律が連続射撃で矢を放ち、制圧射撃を展開する。
常人には見えぬ速度の矢が骸骨兵の歩む足を止め、その身体を射て倒していく。
「もう一度……!」
再び輝く五色光符陣より外れた歪虚は更に一番隊へと向かう。
「見逃すかよ!」
好戦の感情を露にする炎は一度剣を鞘に納め、敵がこちらの間合いに入るように構えて待つ。
機会を見計らった炎は素早く剣を抜いて骸骨兵の背骨を狙うように水平に薙いだ。上半身が崩れると、倒した敵の向こうに別の兵が突きの構えで炎の頭部を狙っていた。
「……っ!」
ギリギリで突かれる刃は頬をかする程度で済んだが、次の攻撃までに自身の動作が間に合わないと察して炎は息をのむ。
「そのままで」
静かな低い声が背後から聞こえると、金色の煌めきが炎を狙う骸骨兵の首が飛んだ。
炎を守った恭也の大太刀「獅子王」は弧を描くように次の攻撃へと入るため、炎より一歩前を進み、前方を囲む敵を斬っていく。
落ち武者の側近宜しく侵攻する骸骨兵が恭也へ投石を行っている事に気づき、マシロビが符を中空に投げて雷を落とす。
前に出すぎた炎と恭也が一度、後退して体制を整える。
「早く、倒してしまいましょ」
空の澄んだ黒曜石の瞳が落ち武者達を捕えていた。
●
目的の集団はこちらに気づいて一気に進みを早め、流れ込んできた歪虚は隊を分断させた。
落ち武者の動きを阻害しなくては、こちらの体力が消耗する可能性がある。
再び響くレクイエムの旋律。
シガレットが構える神罰銃「パニッシュメント」が歪虚へ罰となろう弾丸を撃ち込んでいく。
腕、胸へ当たっているが、動きを鈍らせる程度であった。
落ち武者が動き、手にしていた刀を思いっきりシガレットに向けて振り下ろす。咄嗟にシールドを構えたので直接なダメージにならなかった。
「随分体力あるなぁ」
ゆっくりと、ヘーゼルの瞳を細めたシガレットだが、落ち武者の動きは思った以上に早く、刀がシガレットの腕から腹を切り裂く。
声を押し殺して苦痛を堪えるシガレットは銃を落ち武者の頭部へと撃つも、歪虚の動きは止まらない。
「シガレットさん!」
和彦がシガレットの様子に気づき、滑りこんで落ち武者の刀を受け止める。
「愛用の木刀じゃねェから、調子でなかったか」
「一度退きますか」
和彦に引き付けてもらっている間にシガレットはヒーリングスフィアを発動して傷を癒す。
「平気だ」
不敵に笑うシガレットに和彦は「一気に行きましょう」と返す。
先に走ったのはシガレット。
シールドを構えて落ち武者の懐に飛び込む。盾とディヴァインウィルで敵の動きを止めた。
「壬生!」
シガレットの呼びかけで和彦が歪虚を斬るとその衝撃で後方へ吹き飛ぶ。隙を逃さなかったシガレットは即座に銃を撃ち頭部を撃ちぬく。
「まずは一体だ」
吐息をついたシガレットは複数の敵に囲まれている炎の方へ向かう。
槍を持った落ち武者の攻撃は早いだけであり、直撃を受けなければ……と思ったが、槍持ちの周囲に二体ほどの骸骨兵がいて炎への攻撃を始めていた。
後方の敵が石を炎へ投げつけており、防御本能で鎧の籠手で顔を守るが、その隙を縫って他の歪虚が炎へ斬りつける。
進軍時に周囲の雑魚歪虚との戦いで体力が消耗しているせいなのか、息が切れ始めた。
炎の様子を見ていたかのように落ち武者が槍を繰り出す速度を早めだし、炎の左腿を突く。
甲冑のおかげで直接的なダメージはなかったものの、衝撃が受けた左腿から左半身へ響いてしまい、膝をついてしまう。
「ここで……抜かれるわけにはいかないっ」
ぎりっと、奥歯をかみしめて炎は追い打ちをかける骸骨兵の上半身を叩き切った。更に後ろの兵が投石を始めようとすると、律が援護射撃で射倒す。
「よく言った」
炎の背後からシガレットがヒーリングスフィアをかける。
「後はあの落ち武者だ。援護してくれ」
一息ついた炎が言うと、シガレットは快諾し、銃を構えてトリガーを引いた。
シガレットの銃が放った弾丸は落ち武者の利き腕を吹き飛ばしたが、歪虚はものとしない。
剣を納め、精神を統一してマテリアルを循環させていた炎は敵へと駆ける。
落ち武者は槍を構えており、タイミングよく槍を振り下ろす。
炎を捉えたと思いきや、穂先が当たったのにもかかわらず、炎は身を捩って躱してそのまま敵の懐に飛び込んで一撃を繰り出し、歪虚は倒れた。
強く息を吐いた空は落ち武者の周囲に群がる骸骨兵を睨みつける。
「悪いけれど、遊んでいる余裕はないの」
ばさりと、符を眼前に広げた空は術を行使すべく集中を始めた。
符が赤く光り、結界が落ち武者と骸骨兵の周囲に展開される。
瞬間、結界の中で歪虚を焼くも、倒した敵は数体。
「……和彦さんの見立て通り、強力そうね」
倒せない苛立ちより、鍛錬の成果を思う存分試せるという好奇心が覗かせるようだった。
弱っているのは落ち武者よりも骸骨兵。
ならば、兵から先に倒していくのがいいだろう。
歪虚相手に手加減は考えていない。
自分の符術をもって倒すのみ、倒れる気などない。
「全力で行かせてもらうわ!」
再び展開される五色光符陣で取り巻きの骸骨兵を焼き倒すが、落ち武者はまだ動く。
また一歩、落ち武者が空の方へと向かってくる。空は近づく歪虚に符を投げつけ、符は桜吹雪の幻影を魅せた。
当の落ち武者は幻影に惑わされて刀を振るわすばかりで空には当たっていない。
「大丈夫かっ」
炎が応援に駆けつけると、空は歪虚を見据えて「ええ」と返す。
敵が刀を振り上げた瞬間を見計らい、空は符を中空に投げると、赤みを帯びた稲妻が落ち武者の刀から落ちて歪虚の身体を貫く。
致命傷だったのか、落ち武者が耐えきれずに地に倒れた。
「まだ、いるようよ」
空は炎と共に未だに残っている骸骨兵の掃討に走る。
一人、マシロビが戦っているところに和彦が駆けつけた。
骸骨兵が多い中、和彦は一撃で斬り倒している。
敵を引き付けている間、マシロビは符を展開していた。
「和彦さん、離れてください!」
マシロビの声に反応した和彦は鍔迫り合いしていた落ち武者の刃を受け流し、後退する。
紫色の結界……五色光符陣が発動すると、歪虚を焼く。
光の衝撃で落ち武者の動きが鈍くなり、和彦が駆け出した。しかし、仕留め損ねた骸骨兵がゆっくりと動き出して和彦を狙う。
「くっ」
落ち武者の刀を受けている和彦は肩越しに自分を狙う兵の姿に気づくが、そちらの方まで動きが回らないようだった。
「あぶない……!」
咄嗟に符を飛ばしたマシロビは桜幕符を発動させて兵の動きの攪乱を狙う。
骸骨兵は幻影に惑わされている状態であり、和彦がいる向きから離れ始める。落ち武者に一度斬りつけてから離れた和彦は骸骨兵へと向かい、斬り倒す。
和彦を守るように炎が間に入り、致命傷となる一撃を入れた。
「落としますよ!」
二人に注意を促したマシロビは符を中空に舞わせて落ち武者へ風雷陣を落とす。
周囲の戦況を見ていた恭也は何とかなりそうかもしれないと思いながらも、自身の周囲にいる歪虚への動きを見逃す気はない。
「右前!」
後ろにいる律が恭也へ注意を呼び掛ける。
恭也は言葉ではなく、敵を斬ることで彼の呼びかけに応えたが背後からの気配に気づいたが、間に合わずにふくらはぎを突かれた。
「きょーや! ちっきしょ!」
透かさず律が恭也へ攻撃した骸骨兵へ矢を放つ。更に恭也が放った一撃を躱そうとする兵へ牽制射撃を行い、動きを阻害させる。
「おゥ、後ろ引けや」
シガレットが銃を発砲しつつ、恭也へ指示を出すと、ヒーリングスフィアを発動させた。
「助かる」
柔らかい光に包まれた恭也の傷が癒されていく。
治療を受けていると、こちらの方へと向かっている歪虚達が赤の結界に包まれる。
律がその方向を向けば、空がこちらを見ており、次が来ると言わんばかりに指でジェスチャーをしていた。
「負けてらんねぇな」
龍弓「シ・ヴリス」を再び構えた律は空が教えてくれた方向へと矢を放ち、落ち武者の腰へ当てたが、まだ動く。
治療が終わった恭也は再び前に出て律が射た歪虚の前へ立つ。
「これ以上、進ませるわけにはいかない」
静かにそう告げた恭也は一度大太刀を鞘へ戻した。
戦意を失ったと判断したのだろうか、落ち武者は恭也へ武器を振り下ろすと同時に恭也も刀を一気に抜刀し、金色の刃が弧を描いて律が砕いた腰部分を薙ぎ斬る。
粉砕とまではいかないが、上半身と下半身が離れて地に落ちた。
恭也はその場をさがることもなく、踏みとどまっては刀を受ける。
もう一体、空の五色光符陣を受けてなお動く落ち武者が残っていたのだ。
律は動じずに剛力矢にマテリアルを込める。
逃がす気などないのだ。恭也に害を為そうとする存在を必ず射てみせると律は龍弓を引いて冷気を纏う矢を放った。
矢は刀を持つ腕へ命中し、腕がどこかへ飛んで行く。
もう一度放った矢は足を狙った。動かないように、恭也が狙いやすいように。
律に射られた箇所は冷気で凍り付いており、落ち武者の動きは鈍くなっていた。
攻撃する術がなくなった歪虚は腕を伸ばすも、恭也は甘んじることなく、斬り捨てる。
まだ周辺に雑魚歪虚はいるが、脅威はとりあえず落ち着いた。
「戻ってきた」
後方から聞こえる声は味方のもの。
「まだ動けるな」
和彦は一番隊へ尋ねるが、そんなことは言うまでもない。
「若峰に歪虚の侵入を許すな!」
即疾隊一番隊隊長の命に全員は歪虚の掃討に駆け出し、見事成功した。
首都若峰を守護する即疾隊は歪虚より若峰を守護せんと動く。
即疾隊の華ともいえる一番隊は我先に前線へと向かうのが常であった。今回の襲撃も例外なく、即疾隊は前線へと飛び出す。
初めて見る顔、知った顔のハンター達も隊士として即疾隊と共に戦ってくれる頼もしい存在だ。
やるべきことは、歪虚を若峰へ踏み入れさせないこと。
戦いの中、一番隊隊長である壬生和彦は更に強力と思える歪虚の集団に気づいた。
恐れる者も出てくるのは和彦もわかっていたが、一人ではどうすることも出来ない。故に、有志を募った。
「行くわよ」
あっさりと応えたのは和音・空(ka6228)だ。
「まだまだこの国でやりたいこともあるし」
指先に挟まれている呪符をひらりと揺らしながら彼女は言葉をつなげる。
「勿論です。行きますよ」
マシロビ(ka5721)行く気だ。
「今更水臭いこと言ってんじゃねぇよ」
呆れたような口調で言ったのは南護 炎(ka6651)。
「そそ、遠慮すんなよ」
炎の言葉に賛同する綿狸 律(ka5377)は遠方より投石してくるだろう歪虚へ矢を放つ。
「壬生殿は我々属する隊の長だ。遠慮せず、使ってくれ」
穏やかに諭す皆守 恭也(ka5378)に和彦は「そうだった」というような表情を見せる。
ハンターは自分がまだ新人隊士からの付き合いであるので、自分が隊長職に就いていることを忘れてしまうようだ。
そんな和彦達の様子を見ていたシガレット=ウナギパイ(ka2884)は緩く笑んでこれから押し寄せるだろう歪虚達の集団を見据える。
「じゃ、まぁ……団体さんにはお帰り願いますか」
シガレットの声でハンターと和彦は更に奥へと向かっていった。
●
進軍を始める一番隊の前に広がる歪虚……骸骨兵の群れ。
骸骨兵は戦場で死に逝った者達の行く末とも言われているが、それが詩天の兵かは定かではない。
しかし、歪虚となれば、葬り去るしかない。
前衛の一人である炎は両手でバスタードソードを横に薙いで骸骨兵を砕くように斬り裂いた。
「凄まじい数だなっ」
息を大きく吐くように視界に広がる歪虚を見据えた炎は振りぬいた剣をそのまま別の歪虚へ振り下ろす。
「おっと、踏み込みすぎるなよ。大勢相手は体力勝負だからな」
シガレットが炎の位置を把握しつつ、声をかける。
視線が外れたことで隙が出来たのかと思った歪虚がシガレットへ襲い掛かるも、その歪虚はシガレットを捕捉することなどできず、頭を吹き飛ばされてしまった。
「随分、ヤワだな」
「粘れるよりマシね」
呆れるシガレットの感想に対し、冷静な返しを口にしたのは空だ。
「集団だからって、死角を狙えばいいわけないじゃない」
歪虚の集団に言っても仕方ないのは空も分かっているが、口に出してしまう。
「和彦さん、姿勢を低くしてください!」
魔導拳銃を構えたマシロビが和彦へ警告を出すと、彼は素早く姿勢を低くした目線と同じ低さで抜刀し、歪虚を斬り倒す。
マシロビは和彦を狙う歪虚へ拳銃のトリガーを引いた。頭ごと吹き飛ばせば、彼の足元に敵が転がる。
「見事な連係プレーだな。隊長、マシロビ!」
軽い調子の律の言葉に和彦は「律さん、名前呼びでいいですよっ」とどこか照れた風であった。
そんな二人のやりとりを横目で内心微笑ましく見ていた恭也は歪虚を一撃で倒し、律への気配りも忘れてない。
「律、右だ」
「了解っ!」
恭也の声に反応した律は素早く矢を放った。
空気が震える音が聞こえるころには敵が矢の衝撃を受けて後方へと飛ばされる。
「そっちもいつもながらですね!」
言い返す和彦に律は楽しそうに笑う。横から襲ってくる骸骨兵に恭也は腰を砕くように叩き斬った。
心に残っていたものが落ち着いたのだろうか、和彦の生来の明るい気質が見えると恭也とマシロビはそれぞれで思う。
「そろそろ、問題の歪虚達が近づくわ!」
警告を促す空に一番隊は気を引き締めて進軍する。
●
さらに奥へと進む一番隊に気づいたのだろうか、目的の集団はこちらの方へ向かってきていた。
身体の大きい六体の落ち武者を守る盾のように骸骨兵が先陣を歩いている。
「随分と取り巻きの多い落ち武者じゃねェか」
歪虚の様子を見て、くつりと、笑うシガレットは愛飲の紙巻煙草を吸い、ゆっくりと紫煙を吐いた。
強面のシガレットから響くのは、害意と闘気が渦巻く戦場に合わない静かな鎮魂歌のような旋律。
右手に構える純白の神罰銃が唱に合わせるように発砲しては撃ち抜いていき、骸骨兵の動きが鈍くなっているのが目に見えてわかる。
敵前衛の動きを見ていた空とマシロビは敵と自分たちの間合いを注意深く窺う。
「景気よくいくわよ!」
「はい!」
歪虚が自分たちの間合いに入ったのを確認すると、声を掛け合って同時に符を発動させた。
赤と紫に発光する符が二か所結界を作り上げ、複数の骸骨兵を取り囲む。気が付く、逃げ出す時間など与えず、光が敵を焼いた。
立ち止まった結界内の骸骨兵は範囲外にいた同胞の侵攻によって踏みつぶされていく。
動きが鈍くなろうとも、歪虚の進む足は止まることはない。
見越したかのように律が連続射撃で矢を放ち、制圧射撃を展開する。
常人には見えぬ速度の矢が骸骨兵の歩む足を止め、その身体を射て倒していく。
「もう一度……!」
再び輝く五色光符陣より外れた歪虚は更に一番隊へと向かう。
「見逃すかよ!」
好戦の感情を露にする炎は一度剣を鞘に納め、敵がこちらの間合いに入るように構えて待つ。
機会を見計らった炎は素早く剣を抜いて骸骨兵の背骨を狙うように水平に薙いだ。上半身が崩れると、倒した敵の向こうに別の兵が突きの構えで炎の頭部を狙っていた。
「……っ!」
ギリギリで突かれる刃は頬をかする程度で済んだが、次の攻撃までに自身の動作が間に合わないと察して炎は息をのむ。
「そのままで」
静かな低い声が背後から聞こえると、金色の煌めきが炎を狙う骸骨兵の首が飛んだ。
炎を守った恭也の大太刀「獅子王」は弧を描くように次の攻撃へと入るため、炎より一歩前を進み、前方を囲む敵を斬っていく。
落ち武者の側近宜しく侵攻する骸骨兵が恭也へ投石を行っている事に気づき、マシロビが符を中空に投げて雷を落とす。
前に出すぎた炎と恭也が一度、後退して体制を整える。
「早く、倒してしまいましょ」
空の澄んだ黒曜石の瞳が落ち武者達を捕えていた。
●
目的の集団はこちらに気づいて一気に進みを早め、流れ込んできた歪虚は隊を分断させた。
落ち武者の動きを阻害しなくては、こちらの体力が消耗する可能性がある。
再び響くレクイエムの旋律。
シガレットが構える神罰銃「パニッシュメント」が歪虚へ罰となろう弾丸を撃ち込んでいく。
腕、胸へ当たっているが、動きを鈍らせる程度であった。
落ち武者が動き、手にしていた刀を思いっきりシガレットに向けて振り下ろす。咄嗟にシールドを構えたので直接なダメージにならなかった。
「随分体力あるなぁ」
ゆっくりと、ヘーゼルの瞳を細めたシガレットだが、落ち武者の動きは思った以上に早く、刀がシガレットの腕から腹を切り裂く。
声を押し殺して苦痛を堪えるシガレットは銃を落ち武者の頭部へと撃つも、歪虚の動きは止まらない。
「シガレットさん!」
和彦がシガレットの様子に気づき、滑りこんで落ち武者の刀を受け止める。
「愛用の木刀じゃねェから、調子でなかったか」
「一度退きますか」
和彦に引き付けてもらっている間にシガレットはヒーリングスフィアを発動して傷を癒す。
「平気だ」
不敵に笑うシガレットに和彦は「一気に行きましょう」と返す。
先に走ったのはシガレット。
シールドを構えて落ち武者の懐に飛び込む。盾とディヴァインウィルで敵の動きを止めた。
「壬生!」
シガレットの呼びかけで和彦が歪虚を斬るとその衝撃で後方へ吹き飛ぶ。隙を逃さなかったシガレットは即座に銃を撃ち頭部を撃ちぬく。
「まずは一体だ」
吐息をついたシガレットは複数の敵に囲まれている炎の方へ向かう。
槍を持った落ち武者の攻撃は早いだけであり、直撃を受けなければ……と思ったが、槍持ちの周囲に二体ほどの骸骨兵がいて炎への攻撃を始めていた。
後方の敵が石を炎へ投げつけており、防御本能で鎧の籠手で顔を守るが、その隙を縫って他の歪虚が炎へ斬りつける。
進軍時に周囲の雑魚歪虚との戦いで体力が消耗しているせいなのか、息が切れ始めた。
炎の様子を見ていたかのように落ち武者が槍を繰り出す速度を早めだし、炎の左腿を突く。
甲冑のおかげで直接的なダメージはなかったものの、衝撃が受けた左腿から左半身へ響いてしまい、膝をついてしまう。
「ここで……抜かれるわけにはいかないっ」
ぎりっと、奥歯をかみしめて炎は追い打ちをかける骸骨兵の上半身を叩き切った。更に後ろの兵が投石を始めようとすると、律が援護射撃で射倒す。
「よく言った」
炎の背後からシガレットがヒーリングスフィアをかける。
「後はあの落ち武者だ。援護してくれ」
一息ついた炎が言うと、シガレットは快諾し、銃を構えてトリガーを引いた。
シガレットの銃が放った弾丸は落ち武者の利き腕を吹き飛ばしたが、歪虚はものとしない。
剣を納め、精神を統一してマテリアルを循環させていた炎は敵へと駆ける。
落ち武者は槍を構えており、タイミングよく槍を振り下ろす。
炎を捉えたと思いきや、穂先が当たったのにもかかわらず、炎は身を捩って躱してそのまま敵の懐に飛び込んで一撃を繰り出し、歪虚は倒れた。
強く息を吐いた空は落ち武者の周囲に群がる骸骨兵を睨みつける。
「悪いけれど、遊んでいる余裕はないの」
ばさりと、符を眼前に広げた空は術を行使すべく集中を始めた。
符が赤く光り、結界が落ち武者と骸骨兵の周囲に展開される。
瞬間、結界の中で歪虚を焼くも、倒した敵は数体。
「……和彦さんの見立て通り、強力そうね」
倒せない苛立ちより、鍛錬の成果を思う存分試せるという好奇心が覗かせるようだった。
弱っているのは落ち武者よりも骸骨兵。
ならば、兵から先に倒していくのがいいだろう。
歪虚相手に手加減は考えていない。
自分の符術をもって倒すのみ、倒れる気などない。
「全力で行かせてもらうわ!」
再び展開される五色光符陣で取り巻きの骸骨兵を焼き倒すが、落ち武者はまだ動く。
また一歩、落ち武者が空の方へと向かってくる。空は近づく歪虚に符を投げつけ、符は桜吹雪の幻影を魅せた。
当の落ち武者は幻影に惑わされて刀を振るわすばかりで空には当たっていない。
「大丈夫かっ」
炎が応援に駆けつけると、空は歪虚を見据えて「ええ」と返す。
敵が刀を振り上げた瞬間を見計らい、空は符を中空に投げると、赤みを帯びた稲妻が落ち武者の刀から落ちて歪虚の身体を貫く。
致命傷だったのか、落ち武者が耐えきれずに地に倒れた。
「まだ、いるようよ」
空は炎と共に未だに残っている骸骨兵の掃討に走る。
一人、マシロビが戦っているところに和彦が駆けつけた。
骸骨兵が多い中、和彦は一撃で斬り倒している。
敵を引き付けている間、マシロビは符を展開していた。
「和彦さん、離れてください!」
マシロビの声に反応した和彦は鍔迫り合いしていた落ち武者の刃を受け流し、後退する。
紫色の結界……五色光符陣が発動すると、歪虚を焼く。
光の衝撃で落ち武者の動きが鈍くなり、和彦が駆け出した。しかし、仕留め損ねた骸骨兵がゆっくりと動き出して和彦を狙う。
「くっ」
落ち武者の刀を受けている和彦は肩越しに自分を狙う兵の姿に気づくが、そちらの方まで動きが回らないようだった。
「あぶない……!」
咄嗟に符を飛ばしたマシロビは桜幕符を発動させて兵の動きの攪乱を狙う。
骸骨兵は幻影に惑わされている状態であり、和彦がいる向きから離れ始める。落ち武者に一度斬りつけてから離れた和彦は骸骨兵へと向かい、斬り倒す。
和彦を守るように炎が間に入り、致命傷となる一撃を入れた。
「落としますよ!」
二人に注意を促したマシロビは符を中空に舞わせて落ち武者へ風雷陣を落とす。
周囲の戦況を見ていた恭也は何とかなりそうかもしれないと思いながらも、自身の周囲にいる歪虚への動きを見逃す気はない。
「右前!」
後ろにいる律が恭也へ注意を呼び掛ける。
恭也は言葉ではなく、敵を斬ることで彼の呼びかけに応えたが背後からの気配に気づいたが、間に合わずにふくらはぎを突かれた。
「きょーや! ちっきしょ!」
透かさず律が恭也へ攻撃した骸骨兵へ矢を放つ。更に恭也が放った一撃を躱そうとする兵へ牽制射撃を行い、動きを阻害させる。
「おゥ、後ろ引けや」
シガレットが銃を発砲しつつ、恭也へ指示を出すと、ヒーリングスフィアを発動させた。
「助かる」
柔らかい光に包まれた恭也の傷が癒されていく。
治療を受けていると、こちらの方へと向かっている歪虚達が赤の結界に包まれる。
律がその方向を向けば、空がこちらを見ており、次が来ると言わんばかりに指でジェスチャーをしていた。
「負けてらんねぇな」
龍弓「シ・ヴリス」を再び構えた律は空が教えてくれた方向へと矢を放ち、落ち武者の腰へ当てたが、まだ動く。
治療が終わった恭也は再び前に出て律が射た歪虚の前へ立つ。
「これ以上、進ませるわけにはいかない」
静かにそう告げた恭也は一度大太刀を鞘へ戻した。
戦意を失ったと判断したのだろうか、落ち武者は恭也へ武器を振り下ろすと同時に恭也も刀を一気に抜刀し、金色の刃が弧を描いて律が砕いた腰部分を薙ぎ斬る。
粉砕とまではいかないが、上半身と下半身が離れて地に落ちた。
恭也はその場をさがることもなく、踏みとどまっては刀を受ける。
もう一体、空の五色光符陣を受けてなお動く落ち武者が残っていたのだ。
律は動じずに剛力矢にマテリアルを込める。
逃がす気などないのだ。恭也に害を為そうとする存在を必ず射てみせると律は龍弓を引いて冷気を纏う矢を放った。
矢は刀を持つ腕へ命中し、腕がどこかへ飛んで行く。
もう一度放った矢は足を狙った。動かないように、恭也が狙いやすいように。
律に射られた箇所は冷気で凍り付いており、落ち武者の動きは鈍くなっていた。
攻撃する術がなくなった歪虚は腕を伸ばすも、恭也は甘んじることなく、斬り捨てる。
まだ周辺に雑魚歪虚はいるが、脅威はとりあえず落ち着いた。
「戻ってきた」
後方から聞こえる声は味方のもの。
「まだ動けるな」
和彦は一番隊へ尋ねるが、そんなことは言うまでもない。
「若峰に歪虚の侵入を許すな!」
即疾隊一番隊隊長の命に全員は歪虚の掃討に駆け出し、見事成功した。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
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面白かった! | 6人 |
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/08 23:21:58 |
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相談卓 和音・空(ka6228) 人間(クリムゾンウェスト)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2017/02/12 13:10:11 |
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和彦さんにご質問 和音・空(ka6228) 人間(クリムゾンウェスト)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2017/02/09 10:09:00 |