ゲスト
(ka0000)
ショコラヴィーナス愛のささやき
マスター:深夜真世
このシナリオは5日間納期が延長されています。
オープニング
「あれ? 去年はホワイトデー前じゃなかった?」
フラ・キャンディ(kz0121)は蒸気工業都市「フマーレ」にあるチョコレート専門店「チョコレート・ハウス」で首を傾げた。
「そ。女の子へのバレンタインのお返しにチョコレートリキュールを贈って、甘くとろけてほろ酔いした女の子と大人なひとときを過ごしてもらおうとしたんだけど……」
チョコレート・ハウスのオーナー、シエラ・エバンスが優雅に脚を組み替えながらフラに言う。
「うん。ボクたち頑張ったし、評判良かったって聞いたけど」
フラ、不安げにシエラの顔を覗き込む。
「そうそう。だけど、困ったことになっちゃったのよねぇ」
シエラ、フラの小さな顎を支えるように指先を添えてもったいぶった。フラ、小さく喘いで涙目に。
「し、失敗だったの?」
シエラ、にまりと微笑し指を外しフラの頬を愛おしく撫でた。
「ううん。女の子からの評判が良すぎたの」
つまり、男性から贈られた女の子が自分買い。
さらに困ったことに、店内の喫茶営業は日中だけ店内やテラスのみだが、夕方以降の営業希望が殺到しているのだ。昨年、ホワイトデー商戦にオリジナルのチョコレートリキュール「ショコラヴィーナス」を初投入するにあたり、認知度向上のため特別に日没後の営業をした。そこで販売したカクテル「ホワイトデー」、「エンジェラ」、「ヴィーナスキッス」、「スカーレットヴィーナス」の評判も良かった。
「特にカクテルの販売をして欲しいって声が強いの……女の子から」
「ええと……それってもうバレンタインとかホワイトデー関係なしに、だね?」
「そう。でもここで働いてるのは女性がほとんど。いつも夕方開店はできないわ」
バレンタイン期間限定なら何とかね、とシエラ。
「それでボクが呼ばれたわけだね?」
話が分かったフラ、ぐっと胸の前で両拳を固め腰を振る。
「そうそう。でも、ただそのまま売る気はないの。チョコレート・ハウスはいつだって、女の子に夢と希望と素敵とを与えているんですからね!」
そう言って張り紙をばばん。
文面は、「バレンタインを前に『自分チョコ』で自分に魔法をかけて魅力を磨きましょう♪」。
「自分チョコ?」
「誰かにあげるチョコ選びも楽しいけど、自分も欲しくなるでしょ? 頑張ってる自分にも当然、チョコのご褒美はほしいわよね?」
「あ。それ、よく分かるなぁ」
シエラの言葉にウキウキするフラ。
「だからバレンタイン前なの。ウチで贈り物のチョコを買ってもらって、自分のご褒美に『ショコラヴィーナス』のカクテルをどうぞ、って」
「うわあ、いいね!」
ここでシエラ、意地悪く笑む。
「フラちゃんたちは夕方のテラス席の開放前にそこでライブをして客引きと、後は接客とか厨房をお願いするわね」
「あ、そっか」
フラはあくまで販売側。夢と希望と素敵を与える側である。
「歌詞はこれ。他にも歌っていいわ」
歌詞カードは、次の通り。
「ショコラヴィーナス」
鏡に映る 私の姿
不安そうな目 陰ってる
自信持てない 恋心
どうかお願い 魔法を一つ
胸に瞳に 振りかけて
酔わせて煽れ 恋女神!
ショコラヴィーナス 愛のささやき
ショコラヴィーナス 恋の口づけ
香る甘さも 気まぐれに
ショコラヴィーナス 愛のささやき
夜はこれから とろける予感
大人の魅惑 悶てね
「衣装なんかも凝るといいわね」
このあたりは雇ったハンターに任せるようだ。
というわけで、呼び込みミニライブと店を回してくれるハンター、求ム。
フラ・キャンディ(kz0121)は蒸気工業都市「フマーレ」にあるチョコレート専門店「チョコレート・ハウス」で首を傾げた。
「そ。女の子へのバレンタインのお返しにチョコレートリキュールを贈って、甘くとろけてほろ酔いした女の子と大人なひとときを過ごしてもらおうとしたんだけど……」
チョコレート・ハウスのオーナー、シエラ・エバンスが優雅に脚を組み替えながらフラに言う。
「うん。ボクたち頑張ったし、評判良かったって聞いたけど」
フラ、不安げにシエラの顔を覗き込む。
「そうそう。だけど、困ったことになっちゃったのよねぇ」
シエラ、フラの小さな顎を支えるように指先を添えてもったいぶった。フラ、小さく喘いで涙目に。
「し、失敗だったの?」
シエラ、にまりと微笑し指を外しフラの頬を愛おしく撫でた。
「ううん。女の子からの評判が良すぎたの」
つまり、男性から贈られた女の子が自分買い。
さらに困ったことに、店内の喫茶営業は日中だけ店内やテラスのみだが、夕方以降の営業希望が殺到しているのだ。昨年、ホワイトデー商戦にオリジナルのチョコレートリキュール「ショコラヴィーナス」を初投入するにあたり、認知度向上のため特別に日没後の営業をした。そこで販売したカクテル「ホワイトデー」、「エンジェラ」、「ヴィーナスキッス」、「スカーレットヴィーナス」の評判も良かった。
「特にカクテルの販売をして欲しいって声が強いの……女の子から」
「ええと……それってもうバレンタインとかホワイトデー関係なしに、だね?」
「そう。でもここで働いてるのは女性がほとんど。いつも夕方開店はできないわ」
バレンタイン期間限定なら何とかね、とシエラ。
「それでボクが呼ばれたわけだね?」
話が分かったフラ、ぐっと胸の前で両拳を固め腰を振る。
「そうそう。でも、ただそのまま売る気はないの。チョコレート・ハウスはいつだって、女の子に夢と希望と素敵とを与えているんですからね!」
そう言って張り紙をばばん。
文面は、「バレンタインを前に『自分チョコ』で自分に魔法をかけて魅力を磨きましょう♪」。
「自分チョコ?」
「誰かにあげるチョコ選びも楽しいけど、自分も欲しくなるでしょ? 頑張ってる自分にも当然、チョコのご褒美はほしいわよね?」
「あ。それ、よく分かるなぁ」
シエラの言葉にウキウキするフラ。
「だからバレンタイン前なの。ウチで贈り物のチョコを買ってもらって、自分のご褒美に『ショコラヴィーナス』のカクテルをどうぞ、って」
「うわあ、いいね!」
ここでシエラ、意地悪く笑む。
「フラちゃんたちは夕方のテラス席の開放前にそこでライブをして客引きと、後は接客とか厨房をお願いするわね」
「あ、そっか」
フラはあくまで販売側。夢と希望と素敵を与える側である。
「歌詞はこれ。他にも歌っていいわ」
歌詞カードは、次の通り。
「ショコラヴィーナス」
鏡に映る 私の姿
不安そうな目 陰ってる
自信持てない 恋心
どうかお願い 魔法を一つ
胸に瞳に 振りかけて
酔わせて煽れ 恋女神!
ショコラヴィーナス 愛のささやき
ショコラヴィーナス 恋の口づけ
香る甘さも 気まぐれに
ショコラヴィーナス 愛のささやき
夜はこれから とろける予感
大人の魅惑 悶てね
「衣装なんかも凝るといいわね」
このあたりは雇ったハンターに任せるようだ。
というわけで、呼び込みミニライブと店を回してくれるハンター、求ム。
リプレイ本文
●
「へぇ~」
「うわぁ」
フラ・キャンディ(kz0121)とリラ(ka5679)が何か仲良く並んで何かを覗き込んでいた。微妙にお尻を揺らして、うずうず。
「って、何やってんのよ、二人とも」
そこへキーリ(ka4642)がやって来た。
「あ、キーリさん」
「クウがこんなものを……」
フラがキーリを振り返り、リラが前に満面の笑みを浮かべ胸を張っている友人、クウ(ka3730)の方を見た。
「神話風で、それぞれカクテルをイメージした色合いの衣装なんてどうかなって!」
じゃじゃん、と広げた両手の間には、
・白色ひらひら【ホワイトデー】
・シックに茶色の【エンジェラ】
・白と茶のドレスにワンポイントの緑のアクセサリー【ヴィーナスキッス】
・薄赤色の【スカーレットヴィーナス】
の衣装があった。
クウ、先にコンセプトを店に伝えて衣装を用意しておいてもらったようだ。それぞれ店のカクテルの名前を付けている。
「他のもこういったのがあったわよ!」
そこに、メルクーア(ka4005)が他の衣装を抱えてやって来た。ワインレッドや黒いドレスなど四点。
先のカクテルイメージの四点とあわせ、いずれもゆったりして神話のイメージにぴったりだ。
「じゃボク、みんなを呼んでくるね」
というわけで、フラが駆け出して行った。
「……何か男物じゃない気がするのですけどぉ」
連れてこられた弓月・小太(ka4679)、白い衣装を摘まんでいる。
「女子更衣室に堂々入ってるんだし別にいいんじゃない?」
「は……えぇ?!」
キーリに指摘されてそれ以前の問題だったと気付き真っ赤になる小太。「摘まんだんなら小太んはそれ決定ね」と【ホワイトデー】を押し付けられる。「キ、キーリさんはぁ?」、「私はこれね。見栄え的に」とか。キーリ、金色アクセがゴージャスな【ヴィーナス】に手を伸ばす。
「気にはなったけどまだ誰も着替えてなかったから」
同じく連れてこられた霧雨 悠月(ka4130)は打ち合わせと割り切っていた様子。
「私はぁ、シエラ嬢と追加メニューを決めてたんですけどぉ」
星野 ハナ(ka5852)はそれどころではないという感じ。
「だったら、上からエプロンを着ければこれなんか雰囲気いいと思います」
「……了解ですぅ」
リラに【エンジェラ】を進められたハナ、じっと品定め。後、リラから受け取ると衣装を胸に抱いてくるりん☆。気に入ったようだ。
「私はやっぱりこれだわねー」
メルクーアは自ら探してきたワインレッドのドレス【バッカス】を。
「このネーミングはボク用?」
「そうそう。微妙にワインっぽい色だしねー」
フラは紫色の【キャンディ】。メルクーア、微妙にお揃いなのを探してきたようで。
「リラはやっぱりこれが似合うよねー」
クウ、リラに【スカーレットヴィーナス】を勧める。
「ええと、クウはこれ?」
リラ、大地と緑のイメージがあるリラに【ヴィーナスキッス】を合わせた。
「くす……じゃあ僕はこれ」
悠月、きゃいきゃいしている様子に笑みを見せつつ最後の一枚、黒い【ショコラ】を取った。
その時だった。
「その……和装以外は着慣れてないですからこれで大丈夫でしょうかぁ?」
小太がいつの間にか着替えて、ゆったりドレープで袖が振袖のように長い衣装姿で両手を広げていた。
「うん。ばっちりだよ、小太さん」
「ばっちり女性風ですぅ」
「……女子更衣室で着替えたわねー」
好意的なフラと微妙に好意的なハナの声のほか、冷ややかなキーリの評。やっぱり真っ赤になる小太だったり。
●
夕暮れ時のチョコレート・ハウステラス席の前に何人かの女性が集まっていた。
薄暮の臨時営業を事前に知り、期待している人たちである。
「準備いいかしら?」
テラス奥の店舗に隠れ、メルクーアが振り返る。
「うんっ!」
「歌うのは恥ずかしいので……え、演奏だけ頑張りますよぉっ」
頷くフラに、もじりと尻込みする小太。
「小太さんはドラムじゃない。先に行くわよ~」
「ふ、ふぇぇ?」
メルクーア、小太を連れてテラスの前に駆け出した。
「みなさん、たくさんありがとう。それじゃ、演奏する仲間を紹介するわよ……まずドラムは、【ホワイトデー】」
だらら、と白くゆったりして肌の露わな衣装でドラムセットを叩く小太。歓声が応える。
「続いてハンドベルの【キャンディ】」
シャンシャン鳴らし、紫衣装のフラが小太の隣へ。
「ギターは、【ヴィーナスキッス】」
エレキギター「スラッシュV」をギャギャン、とやりつつ白地に茶色で緑アクセのクウが出て来る。小太はツ・タン、ツ・タンとリズムを取り続けている。これにフラとクウのリズムも加わり重厚になる。
「ノッて来たわね。先に注文聞いてもいいわよ。お相手は、【エンジェラ】」
シックな茶色のドレスにエプロンを合わせたハナが、銀盆を手に登場。こちらはテラスから降りて、客にメニューを見せて「いかがですかぁ?」と聞いて回る。
「ダンスはこの人、【ヴィーナス】」
アンニュイな感じに歩いてリズムにアクセントを加えるキーリ。白地に黒のドレスが揺らぎ、金色アクセがゴージャスにきらめく。
「も一人ダンスは【スカーレットヴィーナス】。遅れたけど私はMCの【バッカス】。気付いたと思うけど、今夜はお酒の女神の勢ぞろいよ。……そして最後に、【ショコラ】」
リラが跳ねるようにクウの横に。
最後に悠月が出て来た。ゆったり衣装を腰できゅっとまとめつつ。
「今日はありがとう。まずはノリのいい曲で一緒に口ずさんで」
これを合図に小太がダララと本格的に。クウもぎゅんぎゅん。フラがしゃんしゃん。
♪
胸が高鳴る、鼓動が騒ぐ
嗚呼、僕はこの瞬間を……
♪
期待感を煽るような歌詞。悠月は背を丸め誰かを抱くように歌い上げる。女装しているが声は飾らずワイルドに。中性的な響きに女性たちのハートもずっきゅん。
「はいはい、これが今日のメニューね~」
キーリは曲に乗って踊りつつテラス席の手すりからリトルファイヤ。目を引いてから身を乗り出してチラシを配って宣伝宣伝。
「続いてしっとり行きましょうか? 【スカーレットヴィーナス】」
「わ、私の思い、聞いてください」
メルクーアの紹介で、悠月と入れ替わりに前に出たリラが健気な声を出す。
そして深呼吸。ゆったりしたメロディーが流れる。
♪
もしも変わることができるなら
貴方を知らない私になりたい……
♪
「お待たせしました~」
じっくり聞かせる曲。この隙にハナが注文を取ったカクテルを届けていた。味わい、うっとり耳を傾ける客たち。
「へえっ。いい感じ!」
クウ、満面の笑顔でちょっぴり妖しげに。
「ゆっくり、ですよ~」
「うん、ゆっくり」
小太とフラもムーディーに。
「それじゃ最後のナンバー。『ショコラヴィーナス』愛の囁き!」
三曲目は悠月を中心に、皆で。
♪
ショコラヴィーナス 愛のささやき
夜はこれから とろける予感
大人の魅惑 悶てね
♪
「なんというか大人の雰囲気の歌詞ですね」
リラ、改めて赤面。改めて胸元ざっくりな自分の衣装にも意識が行ったようで。
「その点、ユッキーはさすがねー」
キーリ、踊る合間にフラにこっそり。
「うん。歌の合間に客席に手を振ったりウインクしてるし」
「そうじゃないわ。あの歌詞を女装して歌ってるからよ」
「す、すごいですよねぇ」
小太も改めて悠月の背中を見る。
●
「さあ、開店ですぅ」
ミニライブの最後、ハナがテラス席の入り口をオープン。
歌った悠月とリラが、踊ったキーリとフラが、演奏したクウと小太が左右に分かれて道を空ける。
「張り切っていくわよー」
最初はMCをしていたメルクーア、いつの間にか奥のカウンターに陣取っていた。ショコラヴィーナスの瓶を手に、カクテルの量産体制だ。
「【ホワイトデー】、下さい」
「【エンジェラ】、一つできるかしら?」
次々群がる女性客。
「うふふん、甘い一杯をどうぞ~。そちら、恋は冷めないうちに~」
メルクーア、乗りよく気の利いた一言を加え対応していく。
おや。
メルクーアはあまり動かないぞ?
客は手を伸ばすしかないので、積極的な姿勢になる。恋もこのように積極的に、ということなのか?
「……実は背が低いから脚立の上に立ってて、それで移動できないだけなのよねぇ」
オーナーのシエラは裏側にいるから、メルクーアがお尻を振って右に左に対応しているのは丸見えなのだったり。
さて、積極的でない引っ込み思案の女性客たち。
「『女神(ヴィーナス)も虜にするチョコレイト』なんだけど、どうかしら!?」
クウがにこにこ笑顔でテラス席を回っている。
「あの……あれ、あります?」
「え? 【スカーレットヴィーナス】は……」
カウンターから預かって盆の上に載せた中には、ない。
「あ、フラ~。こっち~」
巡回するフラを見つけて大声で呼ぶ。
「うん、それならあるよ」
フラ、全種類のカクテルを持ってた。一件落着。
……でもない。
「チョコを買いに来たの? 本命? わー、頑張って! きっとうまくいくよ。だって、オンナノコは砂糖とスパイス、それとステキな何もかも、でできてるモン。可愛く甘く、刺激的にね!」
「あ……は、はい」
すっかり客と話し込んでいる。
「……だからわたしもちょっと飲んでみていい?」
「それはさすがに……」
カワイイ暴走中のクウの首根っこを掴み、リラが止めた。危うくキャバクラみたいになるところだった。
その頃、女子更衣室。
ばさっ、と【エンジェラ】が足元に落ち、代わりにエプロンドレス「メナージュ」の裾がばさーっと垂れて来た。
「うふふふふ~、ちょうどエプロンドレスを着たかったんですぅ。今日はチョコレートにたくさん愛をこめて振舞っちゃいますよぅ」
ハナ、家事効果の上がる衣装に着替えて本気モードだ。
「いらっしゃいませぇ、チョコレート・ハウスへようこそぉ。いつも頑張っているご自身に素敵なプレゼントはいかがですぅ?」
テラス席に駆け出し声を出し、接客を頑張る。
「【ホワイトデー】はホットとアイス2種類あるといいですよぅ。ホットだともっとくらっと来ちゃいます、うふふ~」
実際、ホットでいきなりくらっと来てる若い女性も。
「ええと……少し食べるものもほしくなっちゃった」
「ショコラヴィーナスがけフレンチトーストはいかがですぅ?」
隅にチョコで四つ葉のクローバーを描き可愛らしく。
「こ、今回は二人で、というよりも女性一人の方が多いですねぇ」
小太は女性服を着ているのでいつもよりさらに引っ込み思案でもじもじ。
そこに、寂しそうな視線。
チラチラ見る客の視線に耐え兼ね行ってみる。
「はぅ……なんでしょう」
「その、私に勇気を……」
「え、ええと、それじゃあお祈りがいいでしょうかぁ?」
もじもじしつつ求められた小太、六芒星のアクセを出したが、「ううん」と首を振られてしまう。
「ど、どうすれば……ふぇっ?!」
聞くと、無言で自分の手をテーブルに置いた。チラチラと小太の反応を見ている。
(に、握ってあげるのがいいんでしょうかぁ?)
ドキドキしつつ手を重ねた。
女性、きゅんと胸の前で反対の手を結んだ。
とても満足しているような笑顔。
悠月にはファンがついていた。
「去年も聴きました! 良かったですっ!」
「あはは、ありがとう」
男ってバレてるなーでも別にいいか、な感じの悠月。ライブで客が呼べてむしろほっとしている。
「握手してください」
「一緒に横に座ってください」
「いや、それは……」
握手からエスカレートしそうになって、酒を給仕するとすぐに笑顔を振り撒いて離脱する。
そこで、一人でこちらを熱心に見ている大人女性客に気付いた。酒が切れている。
「いかがですか?」
「ありがとう。ついでにこれ、飲んでもらえる? わたしが後でそこに口を付けて飲むから」
「いや、それは……」
「あら、あっち」
指差す客。
そちらでは、クウが気の合った客の酒を味見させてもらっていた。
「さっきはリラさんが止めてたのに……」
どこいったの、と探すが背後から腕に絡まれ引き込まれた。南無南無。
その、リラ。
「もう一度、歌ってほしい」
客からそんなリクエストをもらい、頷いていた。
♪
けど、駄目ね それは無理
私はやっぱり 自分も貴方も、皆が好きだから
私はただただ 歌をうたおう
自分のために 私の好きな皆の事を
♪
歌詞の続きを歌うリラ。次を期待する客。
♪
……皆が幸せになります様に
♪
「うん」
客、じーんと胸に手を当てていた。
カウンターもにぎわっている。
「濃厚な恋がしたいの!」
「はいはい~♪」
カウンターの客にミルクだけではなく溶かしたバターを加えて風味を変えたカクテルを出す。ほかに、カットフルーツでガーリーにまとめた特別製を出したりも。
「私は燃え上がるような恋がしたい!」
「じゃ、これね」
ホイップクリームの上から度数の高い酒をかけ、指ぱっちん。とある仕掛けでぼっと火が付いた。客は目を丸めている。「お客様の愛でクリームが燃え溶けそうですよ」
「うわあっ♪ 魔法使いみたい」
盛り上がる盛り上がる。
キーリの周囲は静かだ。
「ふぅ」
恋の溜息をつく女性客がいた。
その耳元に、横からキーリ。
「この私が背中を押してあげる」
妖しく囁き、目の前のお冷やをつんとつつく。キュアウォーターだ。
「自分に魔法をかけるといいわ」
客、言われるままにお冷やを飲んでびっくりした。
「何か変わってる?」
「変えたんじゃなくて戻ったの。本当の水の姿にね。カクテルも飲んでみて」
言われるままに飲んで、びっくりした。
「良いお酒は良いチェイサーで変わるもの、ってね」
こっそりとその場を後にする。
「魔法使いさん、ありがとう」
背中にそんな声。
●
そして、盛況のうちに閉店。
「うふん、いい気分」
メルクーアがた【ヴィーナスキッス】を味わっていた。
「うん、おいしいね」
最近お酒もたしなむ悠月、ゆっくり余韻に浸り【エンジェラ】を味わう。
「キーリさんとこ、盛り上がってたわね~」
「魔法は生活を豊かにする為に使うべきよね。やっぱり戦闘よりこういうのに魔法使うのが好きだわー」
メルクーアに振られてすまし顔でこたえるキーリ。
そこで、どこかに注目しているリラとクウ、ハナの様子に気付いた。
何やらこっそりと気配を消しているぞ。
その先では。
「はふ、無事に終わりましたねぇ」
「とっても良かったよね」
テラス席の隅で小太とフラがココアを飲んでいた。
「……フラさん、今日も綺麗ですよぉ」
「え?」
突然、囁くように言われて固まるフラ。そこに小太の顔が近くなる。
恋の魔法。
「あ…ほっぺたに何かついてますぅ」
呪文の次に、ちゅ☆。
「……誰かの小さな幸せになれれば素敵よね」
キーリ、そんな様子を見ながら接客した人たちに思いをはせるのだった。
「へぇ~」
「うわぁ」
フラ・キャンディ(kz0121)とリラ(ka5679)が何か仲良く並んで何かを覗き込んでいた。微妙にお尻を揺らして、うずうず。
「って、何やってんのよ、二人とも」
そこへキーリ(ka4642)がやって来た。
「あ、キーリさん」
「クウがこんなものを……」
フラがキーリを振り返り、リラが前に満面の笑みを浮かべ胸を張っている友人、クウ(ka3730)の方を見た。
「神話風で、それぞれカクテルをイメージした色合いの衣装なんてどうかなって!」
じゃじゃん、と広げた両手の間には、
・白色ひらひら【ホワイトデー】
・シックに茶色の【エンジェラ】
・白と茶のドレスにワンポイントの緑のアクセサリー【ヴィーナスキッス】
・薄赤色の【スカーレットヴィーナス】
の衣装があった。
クウ、先にコンセプトを店に伝えて衣装を用意しておいてもらったようだ。それぞれ店のカクテルの名前を付けている。
「他のもこういったのがあったわよ!」
そこに、メルクーア(ka4005)が他の衣装を抱えてやって来た。ワインレッドや黒いドレスなど四点。
先のカクテルイメージの四点とあわせ、いずれもゆったりして神話のイメージにぴったりだ。
「じゃボク、みんなを呼んでくるね」
というわけで、フラが駆け出して行った。
「……何か男物じゃない気がするのですけどぉ」
連れてこられた弓月・小太(ka4679)、白い衣装を摘まんでいる。
「女子更衣室に堂々入ってるんだし別にいいんじゃない?」
「は……えぇ?!」
キーリに指摘されてそれ以前の問題だったと気付き真っ赤になる小太。「摘まんだんなら小太んはそれ決定ね」と【ホワイトデー】を押し付けられる。「キ、キーリさんはぁ?」、「私はこれね。見栄え的に」とか。キーリ、金色アクセがゴージャスな【ヴィーナス】に手を伸ばす。
「気にはなったけどまだ誰も着替えてなかったから」
同じく連れてこられた霧雨 悠月(ka4130)は打ち合わせと割り切っていた様子。
「私はぁ、シエラ嬢と追加メニューを決めてたんですけどぉ」
星野 ハナ(ka5852)はそれどころではないという感じ。
「だったら、上からエプロンを着ければこれなんか雰囲気いいと思います」
「……了解ですぅ」
リラに【エンジェラ】を進められたハナ、じっと品定め。後、リラから受け取ると衣装を胸に抱いてくるりん☆。気に入ったようだ。
「私はやっぱりこれだわねー」
メルクーアは自ら探してきたワインレッドのドレス【バッカス】を。
「このネーミングはボク用?」
「そうそう。微妙にワインっぽい色だしねー」
フラは紫色の【キャンディ】。メルクーア、微妙にお揃いなのを探してきたようで。
「リラはやっぱりこれが似合うよねー」
クウ、リラに【スカーレットヴィーナス】を勧める。
「ええと、クウはこれ?」
リラ、大地と緑のイメージがあるリラに【ヴィーナスキッス】を合わせた。
「くす……じゃあ僕はこれ」
悠月、きゃいきゃいしている様子に笑みを見せつつ最後の一枚、黒い【ショコラ】を取った。
その時だった。
「その……和装以外は着慣れてないですからこれで大丈夫でしょうかぁ?」
小太がいつの間にか着替えて、ゆったりドレープで袖が振袖のように長い衣装姿で両手を広げていた。
「うん。ばっちりだよ、小太さん」
「ばっちり女性風ですぅ」
「……女子更衣室で着替えたわねー」
好意的なフラと微妙に好意的なハナの声のほか、冷ややかなキーリの評。やっぱり真っ赤になる小太だったり。
●
夕暮れ時のチョコレート・ハウステラス席の前に何人かの女性が集まっていた。
薄暮の臨時営業を事前に知り、期待している人たちである。
「準備いいかしら?」
テラス奥の店舗に隠れ、メルクーアが振り返る。
「うんっ!」
「歌うのは恥ずかしいので……え、演奏だけ頑張りますよぉっ」
頷くフラに、もじりと尻込みする小太。
「小太さんはドラムじゃない。先に行くわよ~」
「ふ、ふぇぇ?」
メルクーア、小太を連れてテラスの前に駆け出した。
「みなさん、たくさんありがとう。それじゃ、演奏する仲間を紹介するわよ……まずドラムは、【ホワイトデー】」
だらら、と白くゆったりして肌の露わな衣装でドラムセットを叩く小太。歓声が応える。
「続いてハンドベルの【キャンディ】」
シャンシャン鳴らし、紫衣装のフラが小太の隣へ。
「ギターは、【ヴィーナスキッス】」
エレキギター「スラッシュV」をギャギャン、とやりつつ白地に茶色で緑アクセのクウが出て来る。小太はツ・タン、ツ・タンとリズムを取り続けている。これにフラとクウのリズムも加わり重厚になる。
「ノッて来たわね。先に注文聞いてもいいわよ。お相手は、【エンジェラ】」
シックな茶色のドレスにエプロンを合わせたハナが、銀盆を手に登場。こちらはテラスから降りて、客にメニューを見せて「いかがですかぁ?」と聞いて回る。
「ダンスはこの人、【ヴィーナス】」
アンニュイな感じに歩いてリズムにアクセントを加えるキーリ。白地に黒のドレスが揺らぎ、金色アクセがゴージャスにきらめく。
「も一人ダンスは【スカーレットヴィーナス】。遅れたけど私はMCの【バッカス】。気付いたと思うけど、今夜はお酒の女神の勢ぞろいよ。……そして最後に、【ショコラ】」
リラが跳ねるようにクウの横に。
最後に悠月が出て来た。ゆったり衣装を腰できゅっとまとめつつ。
「今日はありがとう。まずはノリのいい曲で一緒に口ずさんで」
これを合図に小太がダララと本格的に。クウもぎゅんぎゅん。フラがしゃんしゃん。
♪
胸が高鳴る、鼓動が騒ぐ
嗚呼、僕はこの瞬間を……
♪
期待感を煽るような歌詞。悠月は背を丸め誰かを抱くように歌い上げる。女装しているが声は飾らずワイルドに。中性的な響きに女性たちのハートもずっきゅん。
「はいはい、これが今日のメニューね~」
キーリは曲に乗って踊りつつテラス席の手すりからリトルファイヤ。目を引いてから身を乗り出してチラシを配って宣伝宣伝。
「続いてしっとり行きましょうか? 【スカーレットヴィーナス】」
「わ、私の思い、聞いてください」
メルクーアの紹介で、悠月と入れ替わりに前に出たリラが健気な声を出す。
そして深呼吸。ゆったりしたメロディーが流れる。
♪
もしも変わることができるなら
貴方を知らない私になりたい……
♪
「お待たせしました~」
じっくり聞かせる曲。この隙にハナが注文を取ったカクテルを届けていた。味わい、うっとり耳を傾ける客たち。
「へえっ。いい感じ!」
クウ、満面の笑顔でちょっぴり妖しげに。
「ゆっくり、ですよ~」
「うん、ゆっくり」
小太とフラもムーディーに。
「それじゃ最後のナンバー。『ショコラヴィーナス』愛の囁き!」
三曲目は悠月を中心に、皆で。
♪
ショコラヴィーナス 愛のささやき
夜はこれから とろける予感
大人の魅惑 悶てね
♪
「なんというか大人の雰囲気の歌詞ですね」
リラ、改めて赤面。改めて胸元ざっくりな自分の衣装にも意識が行ったようで。
「その点、ユッキーはさすがねー」
キーリ、踊る合間にフラにこっそり。
「うん。歌の合間に客席に手を振ったりウインクしてるし」
「そうじゃないわ。あの歌詞を女装して歌ってるからよ」
「す、すごいですよねぇ」
小太も改めて悠月の背中を見る。
●
「さあ、開店ですぅ」
ミニライブの最後、ハナがテラス席の入り口をオープン。
歌った悠月とリラが、踊ったキーリとフラが、演奏したクウと小太が左右に分かれて道を空ける。
「張り切っていくわよー」
最初はMCをしていたメルクーア、いつの間にか奥のカウンターに陣取っていた。ショコラヴィーナスの瓶を手に、カクテルの量産体制だ。
「【ホワイトデー】、下さい」
「【エンジェラ】、一つできるかしら?」
次々群がる女性客。
「うふふん、甘い一杯をどうぞ~。そちら、恋は冷めないうちに~」
メルクーア、乗りよく気の利いた一言を加え対応していく。
おや。
メルクーアはあまり動かないぞ?
客は手を伸ばすしかないので、積極的な姿勢になる。恋もこのように積極的に、ということなのか?
「……実は背が低いから脚立の上に立ってて、それで移動できないだけなのよねぇ」
オーナーのシエラは裏側にいるから、メルクーアがお尻を振って右に左に対応しているのは丸見えなのだったり。
さて、積極的でない引っ込み思案の女性客たち。
「『女神(ヴィーナス)も虜にするチョコレイト』なんだけど、どうかしら!?」
クウがにこにこ笑顔でテラス席を回っている。
「あの……あれ、あります?」
「え? 【スカーレットヴィーナス】は……」
カウンターから預かって盆の上に載せた中には、ない。
「あ、フラ~。こっち~」
巡回するフラを見つけて大声で呼ぶ。
「うん、それならあるよ」
フラ、全種類のカクテルを持ってた。一件落着。
……でもない。
「チョコを買いに来たの? 本命? わー、頑張って! きっとうまくいくよ。だって、オンナノコは砂糖とスパイス、それとステキな何もかも、でできてるモン。可愛く甘く、刺激的にね!」
「あ……は、はい」
すっかり客と話し込んでいる。
「……だからわたしもちょっと飲んでみていい?」
「それはさすがに……」
カワイイ暴走中のクウの首根っこを掴み、リラが止めた。危うくキャバクラみたいになるところだった。
その頃、女子更衣室。
ばさっ、と【エンジェラ】が足元に落ち、代わりにエプロンドレス「メナージュ」の裾がばさーっと垂れて来た。
「うふふふふ~、ちょうどエプロンドレスを着たかったんですぅ。今日はチョコレートにたくさん愛をこめて振舞っちゃいますよぅ」
ハナ、家事効果の上がる衣装に着替えて本気モードだ。
「いらっしゃいませぇ、チョコレート・ハウスへようこそぉ。いつも頑張っているご自身に素敵なプレゼントはいかがですぅ?」
テラス席に駆け出し声を出し、接客を頑張る。
「【ホワイトデー】はホットとアイス2種類あるといいですよぅ。ホットだともっとくらっと来ちゃいます、うふふ~」
実際、ホットでいきなりくらっと来てる若い女性も。
「ええと……少し食べるものもほしくなっちゃった」
「ショコラヴィーナスがけフレンチトーストはいかがですぅ?」
隅にチョコで四つ葉のクローバーを描き可愛らしく。
「こ、今回は二人で、というよりも女性一人の方が多いですねぇ」
小太は女性服を着ているのでいつもよりさらに引っ込み思案でもじもじ。
そこに、寂しそうな視線。
チラチラ見る客の視線に耐え兼ね行ってみる。
「はぅ……なんでしょう」
「その、私に勇気を……」
「え、ええと、それじゃあお祈りがいいでしょうかぁ?」
もじもじしつつ求められた小太、六芒星のアクセを出したが、「ううん」と首を振られてしまう。
「ど、どうすれば……ふぇっ?!」
聞くと、無言で自分の手をテーブルに置いた。チラチラと小太の反応を見ている。
(に、握ってあげるのがいいんでしょうかぁ?)
ドキドキしつつ手を重ねた。
女性、きゅんと胸の前で反対の手を結んだ。
とても満足しているような笑顔。
悠月にはファンがついていた。
「去年も聴きました! 良かったですっ!」
「あはは、ありがとう」
男ってバレてるなーでも別にいいか、な感じの悠月。ライブで客が呼べてむしろほっとしている。
「握手してください」
「一緒に横に座ってください」
「いや、それは……」
握手からエスカレートしそうになって、酒を給仕するとすぐに笑顔を振り撒いて離脱する。
そこで、一人でこちらを熱心に見ている大人女性客に気付いた。酒が切れている。
「いかがですか?」
「ありがとう。ついでにこれ、飲んでもらえる? わたしが後でそこに口を付けて飲むから」
「いや、それは……」
「あら、あっち」
指差す客。
そちらでは、クウが気の合った客の酒を味見させてもらっていた。
「さっきはリラさんが止めてたのに……」
どこいったの、と探すが背後から腕に絡まれ引き込まれた。南無南無。
その、リラ。
「もう一度、歌ってほしい」
客からそんなリクエストをもらい、頷いていた。
♪
けど、駄目ね それは無理
私はやっぱり 自分も貴方も、皆が好きだから
私はただただ 歌をうたおう
自分のために 私の好きな皆の事を
♪
歌詞の続きを歌うリラ。次を期待する客。
♪
……皆が幸せになります様に
♪
「うん」
客、じーんと胸に手を当てていた。
カウンターもにぎわっている。
「濃厚な恋がしたいの!」
「はいはい~♪」
カウンターの客にミルクだけではなく溶かしたバターを加えて風味を変えたカクテルを出す。ほかに、カットフルーツでガーリーにまとめた特別製を出したりも。
「私は燃え上がるような恋がしたい!」
「じゃ、これね」
ホイップクリームの上から度数の高い酒をかけ、指ぱっちん。とある仕掛けでぼっと火が付いた。客は目を丸めている。「お客様の愛でクリームが燃え溶けそうですよ」
「うわあっ♪ 魔法使いみたい」
盛り上がる盛り上がる。
キーリの周囲は静かだ。
「ふぅ」
恋の溜息をつく女性客がいた。
その耳元に、横からキーリ。
「この私が背中を押してあげる」
妖しく囁き、目の前のお冷やをつんとつつく。キュアウォーターだ。
「自分に魔法をかけるといいわ」
客、言われるままにお冷やを飲んでびっくりした。
「何か変わってる?」
「変えたんじゃなくて戻ったの。本当の水の姿にね。カクテルも飲んでみて」
言われるままに飲んで、びっくりした。
「良いお酒は良いチェイサーで変わるもの、ってね」
こっそりとその場を後にする。
「魔法使いさん、ありがとう」
背中にそんな声。
●
そして、盛況のうちに閉店。
「うふん、いい気分」
メルクーアがた【ヴィーナスキッス】を味わっていた。
「うん、おいしいね」
最近お酒もたしなむ悠月、ゆっくり余韻に浸り【エンジェラ】を味わう。
「キーリさんとこ、盛り上がってたわね~」
「魔法は生活を豊かにする為に使うべきよね。やっぱり戦闘よりこういうのに魔法使うのが好きだわー」
メルクーアに振られてすまし顔でこたえるキーリ。
そこで、どこかに注目しているリラとクウ、ハナの様子に気付いた。
何やらこっそりと気配を消しているぞ。
その先では。
「はふ、無事に終わりましたねぇ」
「とっても良かったよね」
テラス席の隅で小太とフラがココアを飲んでいた。
「……フラさん、今日も綺麗ですよぉ」
「え?」
突然、囁くように言われて固まるフラ。そこに小太の顔が近くなる。
恋の魔法。
「あ…ほっぺたに何かついてますぅ」
呪文の次に、ちゅ☆。
「……誰かの小さな幸せになれれば素敵よね」
キーリ、そんな様子を見ながら接客した人たちに思いをはせるのだった。
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営業相談ですよぉー 弓月・小太(ka4679) 人間(クリムゾンウェスト)|10才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/02/14 00:01:00 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/13 23:33:06 |