ゲスト
(ka0000)
【王臨】潜む斥候隊を叩け!
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/03/12 22:00
- 完成日
- 2017/03/17 01:04
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
グラズヘイム王国、リベルタース地方。
その前線基地ともなっている、ハルトフォート砦。
この地域の西部は多数の歪虚の姿が確認されており、砦に常駐している騎士達が西方へと侵攻を続けようと試みるも、中部にまで次々に進出している敵小部隊の抵抗もあって、なかなか西岸にはたどり着けない。
軍を率いるのは、黒大公べリアル。傲慢の1種である彼は同じ格下の傲慢勢をメインに、亜人や雑魔を率いている。
この地の聖堂戦士団はそれらの侵攻を食い止めており、同時並行で大規模作戦に備えている最中だ。
この地へと配属された聖堂戦士団のロジェ。一時は新入団員を率いて、グラズヘイム東部で雑魔退治に当たっていた青年だ。
数々の雑魔を討伐した力を買われた彼はハルトフォートへと転属後、黒大公べリアル率いる歪虚との戦いに明け暮れることとなる。
さすがは前線基地。連日、あちらこちらの戦いに出向くこととなり、なかなか気の休まる暇もない。
その日、ロジェは休憩中、転寝をしてしまっていた。自身の部下達は今日も頑張って雑魔討伐をしているのだろうか。そんなことを夢で見つつ……。
しばしして、ロジェは目覚めると、いつの間にか毛布が掛けられていた。椅子に腰掛けたまま眠ってしまった彼へ、隊長が掛けてくれたらしい。
「目覚めたか。すまないが、砦の近くに斥候を行う歪虚の姿が発見された」
「はい……!」
その目覚めを待っていた隊長に促され、ロジェは自らの剣を手にして会議室へと向かう。入るとすでに先輩隊員達が集まっており、黒板に敵の布陣を描かれて説明が始まっていた。
「この砦から西、数百メートルのところに、砦を監視している傲慢の歪虚を確認した」
時折、2体の歪虚が液体金属のような雑魔を、砦へと近づけさせてきている。監視を行う者達が代わる代わるその駆除に当たっているがすぐに逃げられ、いたちごっこのような状況が続いている。
「この為、斥候に来ている歪虚……2体の傲慢の撃破が本作戦の目的だ」
敵は高さ十数メートル、直径三十メートルほどある岩場に潜む形だ。
以前、同僚に当たる歪虚が特攻し、砦の人間達によって討伐されたことが要因としてあるからなのか、率先して動く様子はない。
「後に控える大規模作戦を、敵に知られるわけには行かぬからな。先んじて叩く」
本作戦の準備もあり、今回はハンターにも助力を願うとのことだ。
2体の傲慢の手勢は以前、砦を襲撃しようとした傲慢とほぼ同じ力を持つ歪虚だ。筋肉質な体と頑丈な装甲を持ち、力で攻める相手なだけに十分注意したい相手だ。
そいつらは液体金属のような雑魔を率いて攻めてくる。数は9体。移動はスライムのように液状で、攻撃は人の上半身を象ってから行うようだ。
「これらを、ハンターチームに助力を得て討伐する。さすれば、我々とハンターの2隊で対処は十分可能だと踏んでいる」
とはいえ、油断すると大怪我を負いかねない。全力で当たる必要はあるだろう。
「では、諸君。健闘を祈る」
そうして、出陣する聖導士達。ロジェもまた、先輩隊員達に続いて砦を後にするのである。
●
一方、砦から西の岩場に潜む歪虚。
スライムにも似た液体状の雑魔が、2体の歪虚が集まる場所へと戻っていく。
その歪虚達は金属質でかつ筋肉質な体を持ち、全身にそれぞれ、黒と灰色の鎧を纏っている。
傲慢の手勢のようだが、やや知性は劣るようだ。
「ちっ、力で叩くのが早いのによ……」
黒鎧の男が地面を殴りつけると、マテリアルも加わって威力が高まったのか、地面が軽く抉れた。
「言うな。あのアホどもがやられたせいだ」
今は亡き同胞。しかしながら、グレーの鎧の男は人間如きに破れた彼らを見下しすらしてみせる。
「まあいいさ。人間どもが動くまで待てばいい」
そうなれば、暴れる口実ができると、黒鎧の男が口元を吊り上げたのだった。
グラズヘイム王国、リベルタース地方。
その前線基地ともなっている、ハルトフォート砦。
この地域の西部は多数の歪虚の姿が確認されており、砦に常駐している騎士達が西方へと侵攻を続けようと試みるも、中部にまで次々に進出している敵小部隊の抵抗もあって、なかなか西岸にはたどり着けない。
軍を率いるのは、黒大公べリアル。傲慢の1種である彼は同じ格下の傲慢勢をメインに、亜人や雑魔を率いている。
この地の聖堂戦士団はそれらの侵攻を食い止めており、同時並行で大規模作戦に備えている最中だ。
この地へと配属された聖堂戦士団のロジェ。一時は新入団員を率いて、グラズヘイム東部で雑魔退治に当たっていた青年だ。
数々の雑魔を討伐した力を買われた彼はハルトフォートへと転属後、黒大公べリアル率いる歪虚との戦いに明け暮れることとなる。
さすがは前線基地。連日、あちらこちらの戦いに出向くこととなり、なかなか気の休まる暇もない。
その日、ロジェは休憩中、転寝をしてしまっていた。自身の部下達は今日も頑張って雑魔討伐をしているのだろうか。そんなことを夢で見つつ……。
しばしして、ロジェは目覚めると、いつの間にか毛布が掛けられていた。椅子に腰掛けたまま眠ってしまった彼へ、隊長が掛けてくれたらしい。
「目覚めたか。すまないが、砦の近くに斥候を行う歪虚の姿が発見された」
「はい……!」
その目覚めを待っていた隊長に促され、ロジェは自らの剣を手にして会議室へと向かう。入るとすでに先輩隊員達が集まっており、黒板に敵の布陣を描かれて説明が始まっていた。
「この砦から西、数百メートルのところに、砦を監視している傲慢の歪虚を確認した」
時折、2体の歪虚が液体金属のような雑魔を、砦へと近づけさせてきている。監視を行う者達が代わる代わるその駆除に当たっているがすぐに逃げられ、いたちごっこのような状況が続いている。
「この為、斥候に来ている歪虚……2体の傲慢の撃破が本作戦の目的だ」
敵は高さ十数メートル、直径三十メートルほどある岩場に潜む形だ。
以前、同僚に当たる歪虚が特攻し、砦の人間達によって討伐されたことが要因としてあるからなのか、率先して動く様子はない。
「後に控える大規模作戦を、敵に知られるわけには行かぬからな。先んじて叩く」
本作戦の準備もあり、今回はハンターにも助力を願うとのことだ。
2体の傲慢の手勢は以前、砦を襲撃しようとした傲慢とほぼ同じ力を持つ歪虚だ。筋肉質な体と頑丈な装甲を持ち、力で攻める相手なだけに十分注意したい相手だ。
そいつらは液体金属のような雑魔を率いて攻めてくる。数は9体。移動はスライムのように液状で、攻撃は人の上半身を象ってから行うようだ。
「これらを、ハンターチームに助力を得て討伐する。さすれば、我々とハンターの2隊で対処は十分可能だと踏んでいる」
とはいえ、油断すると大怪我を負いかねない。全力で当たる必要はあるだろう。
「では、諸君。健闘を祈る」
そうして、出陣する聖導士達。ロジェもまた、先輩隊員達に続いて砦を後にするのである。
●
一方、砦から西の岩場に潜む歪虚。
スライムにも似た液体状の雑魔が、2体の歪虚が集まる場所へと戻っていく。
その歪虚達は金属質でかつ筋肉質な体を持ち、全身にそれぞれ、黒と灰色の鎧を纏っている。
傲慢の手勢のようだが、やや知性は劣るようだ。
「ちっ、力で叩くのが早いのによ……」
黒鎧の男が地面を殴りつけると、マテリアルも加わって威力が高まったのか、地面が軽く抉れた。
「言うな。あのアホどもがやられたせいだ」
今は亡き同胞。しかしながら、グレーの鎧の男は人間如きに破れた彼らを見下しすらしてみせる。
「まあいいさ。人間どもが動くまで待てばいい」
そうなれば、暴れる口実ができると、黒鎧の男が口元を吊り上げたのだった。
リプレイ本文
●
ハルトフォート砦。
前線基地となるこの場所を観察する歪虚がいるということで、その討伐の為にハンター達は駆けつけていた。
「岩場に潜む傲慢の歪虚に、迂回して強襲を仕掛けやっつけるよ!」
時音 ざくろ(ka1250)が今回の作戦をまとめるように語る。
「好きに偵察させて置いたら後々大変だもん、放ってなんておけないよ!」
それに、いたちごっこで砦の兵士達の精神が磨り減ってしまっている。少しでも安心させたいとざくろは語った。
「相手に地の利のあるかくれんぼに鬼ごっこか……それも今日で終わりにしないとな……」
No.0(ka4640) は思う。それにしても、なんだか逃げ足の速そうなスライムがいるものだと。
ハンター達は、ロジェを始め、一緒に作戦に臨む聖堂戦士団団員達と挨拶を交わす。
「レクイエムはある?」
それなら射程は長いし、岩の裏にいても関係なく削れるからと、カーミン・S・フィールズ(ka1559) が聖導士達へと問いかける。
「そうか、ならば少し待っていて欲しい」
敵が動かぬこともあり、少し時間をもらえれば対処できるとのこと。幾人かがスキル設定に向かったようだ。
そこで、待つ間に、仙堂 紫苑(ka5953) はトランシーバーとヘルムを接続し、手放し状態でも通信可能とする。ケーブルはヘルムの内側にしまっていたようだ。
「さほど知能は高くない相手……なんか親近感が……」
セレス・フュラー(ka6276)はそんな言葉を呟きかけて、首を振る。
「あんまりじろじろ見られてるのは、いい気はしないね。さっさとやっつけちゃおう」
聖堂戦士団団員達の準備も出来たところで、メンバー達は早速歪虚討伐へと乗り出すのだった。
●
その大きな岩は、砦から少しいった場所にある。
この岩は、高さ十数メートル、直径三十メートル。歪な形ではあるが、上部が盛り上がった形の出っ張りのような形をしている。
「いかにも伏兵ありますって地形よねー。デートのお誘いとしては無粋ね」
その間に、カーミンがこの場を見回す。繰り返す挑発にこの岩場。敵はうまくこの地形を利用している。
「下からでは、地を這う流体金属は見えにくい。少しは知恵が回るみたいね」
知能は高くない相手ということだったが。カーミンは現場を見て、感嘆する。さらに上級の歪虚の入れ知恵だろうか。
「見事に誘い込まれた形ですか……それでも、打ち勝って見せます。勝たねばならぬのです」
観那(ka4583)がギルドの先輩であるカーミンへと、敵の討伐に意欲を見せる。
その観那は、聖導士達とも会話する。8人が左右に分かれることになっているのだが、そのうちの2人に、回復支援特化を要請していたのだ。
また、敵の範囲攻撃や貫通攻撃に対する警戒も、観那は促していた。
「巻き込まれぬ様己の真後ろには立たず、更に少し離れた位置に立つようお願いしますね」
ドワーフの彼女の微笑みに、聖導士達は少しほっこりしつつ頷いていたようだ。
「とりあえず、隠れている敵のあぶり出しと敵の注目を集めてみますね」
仲間の準備が整ったことを確認し、夜桜 奏音(ka5754) は岩の右砲口へと式符を飛ばす。そうすることで、敵のあぶり出しを行った上、その注意を式符に向けようと考えたのだ。
その間に、アルト・ヴァレンティーニ(ka3109) が妖精とモフロウに依頼し、偵察へと当たらせる。少しでも地形を把握しようと努めていたのだ。
さらに、アルトは気配を抑えつつ、岩場を登っていた。彼女は先んじて、自らの目でも敵の様子を観察しようと考えたのだ。
「あんまりモタモタするわけにもいかないから」
そこで、セレス、ざくろが敵を背後から奇襲すべく、この場から大きく迂回を始める事にする。
偵察を行う仲間達を、この場に残るメンバー達は固唾を飲む。
「そろそろいいんじゃない?」
カーミンが無防備な奏音に声をかけたその時。岩場の上のアルトが、つまらなさそうにだらける歪虚2体の姿を確認していた。
「お、向こうから出向いてきやがったな」
急に現れたハンター、聖堂戦士団混成軍にも、傲慢の歪虚、黒い鎧のガルバに、灰色のゲレダはまるで驚く様子はない。むしろ、望むところだとにやけ、液体金属のような雑魔を攻め込むメンバー達へとけしかけてくる。
アルトはその変化に気づき、トランシーバーで仲間に呼びかける。
「動いたよ」
「……敵、来ます」
そこで、術を解いた奏音はNo.0を先頭に、ロジェを含む聖導士4人と右側へと進む。皆、臨戦態勢に入り、覚醒状態になっている。
彼らを目指し、わらわらと集まってくる雑魔。それを確認したNo.0が左手を高く上げる。それは、雑魔がわらわらと迫っていたことを皆に示す為、彼が事前に仲間達と共有していた合図だ。
ほぼ同時に、左側から、カーミン、観那、紫苑、それに4人の聖導士が動き始める。
それを、すでにかなり移動していたセレスが振り返って見ていた。
「急ごう、みんなが目を引き付けてくれてるうちに」
ざくろはそう告げてマテリアルをロングブーツから噴射して、大きく前方へと跳ぶ。少しでも早く、歪虚の後方に移動せねばならない。
セレスもそれに合わせ、脚にマテリアルを集中させ、全力で移動していくのだった。
●
ハンター達に気づいた歪虚達。彼らは腕組みして雑魔と交戦する人間達を見つめていた。
右手側からいくメンバー達。液状の雑魔が人の上半身を象って臨戦態勢に入り、No.0へと群がる。
そこで、アルトが岩から降り立ち、合流してきた。
「攻撃時に人の姿になるらしいな」
全身をマテリアルに包むアルトは目の前の雑魔にも油断を怠らない。武術知識が活かせるかと試しながら超重刀「ラティスムス」の刃を叩き込む。ただ、敵は弾け飛ぶことがあり、通常の人間と同じようには行かない。
前方では、No.0が数体の雑魔を引きつけていた。これには、彼が式符の主だとご認識させる狙いもある。
その身を弾けさせて散弾を放ち、高速回転させた腕を突き出す相手へ、No.0はシールドを突き出し、攻撃を受け止めた。
「なるほど、その位置に敵ですね」
後方の奏音はNo.0の報告で雑魔達の位置を把握しつつ、複数の符を使って雑魔数体を包む結界を張る。
「後ろへの被害を抑えるために足止めしておきますね」
奏音は術を起動させ、炎でそいつらを焼く。その雑魔に視覚があるのかは謎だが、動きを封じることには成功していたらしい。そいつらを倒すべく、ロジェは先輩団員と共に、雑魔へと切りかかっていく。
そこで、逆側からもハンター達が飛び出してくる。
「システム正常、戦闘行動を開始する。パワードスーツの性能はどんなもんかな」
紫苑はその身を包むパワードスーツ「DM-5」のチェックも兼ね、戦いに臨む。
「こっちからも来てんぜ!」
逆側からも現れたハンターに歪虚達は思ったよりも早く対処し、灰色の鎧が飛び出す。そいつの声に応じ、4体の雑魔が逆側へと動き始める。
最初、ハンター達から見て右手側に歪虚達は雑魔をけしかけてきていたが、左側からも現れる相手へと灰色のゲレダが直接向かい、雑魔4体をそちらに差し向けようとする。
「自分は灰色を。No.0さんは近場の黒色を」
「分かったよ」
紫苑が通信を入れると、No.0がすぐさま返答し、両者は向かい来る黒い鎧のガルバの相手をと迫る。これにはこの場の雑魔達も対処がすぐできず、その身を硬直してNo.0の突破を許してしまう。
さて、左手側にやってこようとする雑魔。カーミンは雑魔を纏めて相手することを考えていただけに、想定外ではあったのだが。
「歌、お願いねっ」
カーミンが依頼すると、後ろの聖導士数人が鎮魂歌を歌い始める。相手はスライムのように見えようが、魔法生物ではなく雑魔らしい。その身を竦ませてしまっていたようだ。
「筋骨隆々って素敵だと思うけど、まったく面白い進化を辿ったものよねー」
しばし硬直する相手の背後へとカーミンは手裏剣を投げ飛ばしながらも、自らの身もそれに引き寄せるように移動させていく。
そして、彼女はさらに手裏剣を投げ飛ばし、マテリアルを使って操って雑魔を薙ぎ払っていく。
観那は体内のマテリアルを燃やし、炎のようなオーラを纏って敵の注意を引きつけ、雑魔のドリルと散弾を手にする斧でしっかりと受け止める。
一方で、向かい来るゲレダは紫苑に遮られることとなる。
「お前の方が弱そうだ」
向かってくる筋肉達磨へ、紫苑は若干口調を荒くして挑発を行う。
「我らを愚弄するか……!?」
直情的な傲慢の歪虚。しっかりと彼の目論見に乗ってしまい、頭に生やす角を突き出してくる。
「お前の相手は俺だ、アホが」
紫苑は避けられぬと考え、しっかりとそれを受け止めていた。
黒のガルバも水を得た魚のように笑い、豪腕をNo.0へと叩き込んできている。
一方、灰色の鎧、ゲレダは怒りながら咆哮を上げた。
「うおおおおおっ!!」
「もう、大声で怒鳴るなんて。そんなんじゃ、可愛い女の子は寄ってこないわよ?」
カーミンは戦場を動き回りつつ、時には岩を足場代わりに跳躍して見せていた。敵をおちょくる彼女はあることに気づき、右班方面へと移動して。
「訂正。たくさん来たわ、よかったわね」
「あぁ?」
惚ける歪虚2人。その後ろから、ざくろが隙をついて迫る。
「機導発振機フル出力、フリージングレイ! ……後ろががら空きだよ」
ざくろが出現させた氷柱でガルバと雑魔を貫いていく。
やや遅れ、セレスもまた歪虚を狙う。こちらはガルバだ。奏音がすかさず、ガルバを中心に結界を張り、光で焼く。
「くっ……」
呻くガルバ。それに合わせ、毒を纏わせた投具を広範囲へと飛ばしていく。貫かれた雑魔がどろりと溶けてなくなる。
「思ったよりは大したことなさそうね」
不敵に笑うセレスに、ガルバもまた苛立ち始めるのだった。
●
あちらこちらから現れるハンター、聖堂戦士団混成軍に、歪虚達は対処ができない。
右側で黒鎧、ガルバに対するNo.0。彼は身を低くし、角を突き出してくる相手を下からカチ上げるように正面から受け止める。その際、展開した光の障壁に雷撃を纏わせ、防御とカウンターを同時に行う。
弾き飛ぶガルバを、No.0はさらに手にするハンマーを一瞬だけ巨大化させて力の限り叩きつけて行く。
左側には、灰色の歪虚ゲレダの姿がある。こちらは、紫苑が挑発しながら抑えていた。
「見た目どおり筋肉ダルマなんだな。やっぱり、アホだろ?」
「ぐっ……!」
予想以上に直情的な相手で、紫苑も組みやすそうだ。
もっとも、攻撃はまともに受ければ致命傷。パワードスーツとヘルムで彼はうまく攻撃をブロックしつつ、機械槍「タービュレンス」に雷撃を纏わせた一撃で相手の行動阻害を狙う。
その間に、他のメンバーは雑魔の殲滅の手を強めていた。聖導士達はさすがに手練の者達。熟練のハンターには及ばぬが、彼らもその鎚で敵を叩き潰す。
「私が倒れるまでは付き合っていただきます……!!」
どうやら、観那はスキルに難があったようだが、彼女はそれでも燃え上がるオーラで敵の気を引き、攻撃を受け止める。
「正のマテリアル謹製の毒なら効くかしら?」
戦士団と挟撃する形を取ったカーミンは、敵の体が無機質のような物質にも見える為に懸念もしていたようだが、手裏剣「八握剣」に毒を纏わせて投げつける。動きが徐々に鈍ってきていたことから、効果はあったようだ。
その上で観那が斧を一閃させ、雑魔の体を完全に断ち切っていた。
右手側も順調に敵の数を減らしていた。奏音が結界からの光で敵を焼く中、アルトがマテリアルの糸を操って手裏剣を投擲する。
「遊びは終わらせるか」
アルトはある程度雑魔の動きを捉えつつ、ドリルの腕を突き出すのに合わせてカウンターとして刀を叩き込み、そいつを霧散させた。
気づけば、雑魔の姿は全てなくなっていた。これには、傲慢の2人も苛立ちを隠せない。
だが、油断大敵。奏音が結界を展開する。ガルバの足元を泥上に固まらせて行動を阻害していたのだ。
そこへセレスが接近し、短刀「陽炎」で切りかかっていく。
「やっぱり、馬鹿っぽいねー」
「ぐぬぬぬ……!!」
ガルバがセレスの体を殴りつけようとするが、No.0が受け止める。聖導士達がそこに攻め入り、ロジェがガルバに切り込む。
「うおおおおっ!!」
吠えるガルバの横にアルトが飛び込んでくる。彼女は刃を振るい、ガルバの筋肉質な体を易々と切り裂いてきた。
それまで耐えていたNo.0がガルバの頭をハンマーで叩き潰す。ついにガルバは白目を向いて崩れ落ち、その場で消えてなくなった。
「んだと……!?」
これに、ゲレダがすぐ気づき、パートナーの消滅に驚愕する。
それを好機と感じた紫苑が機械槍を突き出し、そいつの体へと痺れを走らせる。
身を竦ませたゲレダへ、観那が回転しながらギガースアックスの刃を叩き込む。
「うるあああああああっ!」
だが、敵もその態勢から攻撃を叩き込もうとする。正面にいたざくろは聖盾「コギト」を操り、敵の豪腕を受け止めて見せた。
ざくろはジェットブーツを活かして戦場を動き回り、ゲレダを翻弄する。
そして、ホーリーメイスで殴りかかるように見せかけたが、それはフェイク。彼の狙いは……。
「伸びろ光の剣……ハイパー機導剣だ!」
ざくろはロボット掃除機を媒体として、マテリアルをエネルギーとして変換し、作り出した光の剣を握りしめる。そして、歪虚の胴を両断してしまう。
「そんな、馬鹿なあああっ!!」
叫ぶゲレダの声はその体の消失と共に途絶える。メンバー達はひとまず、敵の全滅を確認して安堵の息を漏らすのだった。
●
歪虚、雑魔が全て消え失せたが、メンバー達は警戒を怠らない。
「これで敵はいないはずですが、安全が確実ではないので周囲の確認をします」
奏音は岩の小さい隙間や木陰などに式符を飛ばし、完全に敵がいないかと念入りに周囲を探る。
アルトは皆が倒した雑魔の数を合計し、逃げた雑魔がいないかと探す。1体でも逃すと、情報を持ち帰られる危険があるからだ。
しばしの後、それもないことを確認したハンター、聖堂戦士団員達は一息つき始める。
「いい声だったわよ」
カーミンがそう言って聖導士達に応急手当を行うと、聖導士の一人は頬を赤らめていたようだ。
ともあれ、これで憂いはなくなった。砦ではきっと、大規模作戦に向けた準備が加速することだろう。
ハルトフォート砦。
前線基地となるこの場所を観察する歪虚がいるということで、その討伐の為にハンター達は駆けつけていた。
「岩場に潜む傲慢の歪虚に、迂回して強襲を仕掛けやっつけるよ!」
時音 ざくろ(ka1250)が今回の作戦をまとめるように語る。
「好きに偵察させて置いたら後々大変だもん、放ってなんておけないよ!」
それに、いたちごっこで砦の兵士達の精神が磨り減ってしまっている。少しでも安心させたいとざくろは語った。
「相手に地の利のあるかくれんぼに鬼ごっこか……それも今日で終わりにしないとな……」
No.0(ka4640) は思う。それにしても、なんだか逃げ足の速そうなスライムがいるものだと。
ハンター達は、ロジェを始め、一緒に作戦に臨む聖堂戦士団団員達と挨拶を交わす。
「レクイエムはある?」
それなら射程は長いし、岩の裏にいても関係なく削れるからと、カーミン・S・フィールズ(ka1559) が聖導士達へと問いかける。
「そうか、ならば少し待っていて欲しい」
敵が動かぬこともあり、少し時間をもらえれば対処できるとのこと。幾人かがスキル設定に向かったようだ。
そこで、待つ間に、仙堂 紫苑(ka5953) はトランシーバーとヘルムを接続し、手放し状態でも通信可能とする。ケーブルはヘルムの内側にしまっていたようだ。
「さほど知能は高くない相手……なんか親近感が……」
セレス・フュラー(ka6276)はそんな言葉を呟きかけて、首を振る。
「あんまりじろじろ見られてるのは、いい気はしないね。さっさとやっつけちゃおう」
聖堂戦士団団員達の準備も出来たところで、メンバー達は早速歪虚討伐へと乗り出すのだった。
●
その大きな岩は、砦から少しいった場所にある。
この岩は、高さ十数メートル、直径三十メートル。歪な形ではあるが、上部が盛り上がった形の出っ張りのような形をしている。
「いかにも伏兵ありますって地形よねー。デートのお誘いとしては無粋ね」
その間に、カーミンがこの場を見回す。繰り返す挑発にこの岩場。敵はうまくこの地形を利用している。
「下からでは、地を這う流体金属は見えにくい。少しは知恵が回るみたいね」
知能は高くない相手ということだったが。カーミンは現場を見て、感嘆する。さらに上級の歪虚の入れ知恵だろうか。
「見事に誘い込まれた形ですか……それでも、打ち勝って見せます。勝たねばならぬのです」
観那(ka4583)がギルドの先輩であるカーミンへと、敵の討伐に意欲を見せる。
その観那は、聖導士達とも会話する。8人が左右に分かれることになっているのだが、そのうちの2人に、回復支援特化を要請していたのだ。
また、敵の範囲攻撃や貫通攻撃に対する警戒も、観那は促していた。
「巻き込まれぬ様己の真後ろには立たず、更に少し離れた位置に立つようお願いしますね」
ドワーフの彼女の微笑みに、聖導士達は少しほっこりしつつ頷いていたようだ。
「とりあえず、隠れている敵のあぶり出しと敵の注目を集めてみますね」
仲間の準備が整ったことを確認し、夜桜 奏音(ka5754) は岩の右砲口へと式符を飛ばす。そうすることで、敵のあぶり出しを行った上、その注意を式符に向けようと考えたのだ。
その間に、アルト・ヴァレンティーニ(ka3109) が妖精とモフロウに依頼し、偵察へと当たらせる。少しでも地形を把握しようと努めていたのだ。
さらに、アルトは気配を抑えつつ、岩場を登っていた。彼女は先んじて、自らの目でも敵の様子を観察しようと考えたのだ。
「あんまりモタモタするわけにもいかないから」
そこで、セレス、ざくろが敵を背後から奇襲すべく、この場から大きく迂回を始める事にする。
偵察を行う仲間達を、この場に残るメンバー達は固唾を飲む。
「そろそろいいんじゃない?」
カーミンが無防備な奏音に声をかけたその時。岩場の上のアルトが、つまらなさそうにだらける歪虚2体の姿を確認していた。
「お、向こうから出向いてきやがったな」
急に現れたハンター、聖堂戦士団混成軍にも、傲慢の歪虚、黒い鎧のガルバに、灰色のゲレダはまるで驚く様子はない。むしろ、望むところだとにやけ、液体金属のような雑魔を攻め込むメンバー達へとけしかけてくる。
アルトはその変化に気づき、トランシーバーで仲間に呼びかける。
「動いたよ」
「……敵、来ます」
そこで、術を解いた奏音はNo.0を先頭に、ロジェを含む聖導士4人と右側へと進む。皆、臨戦態勢に入り、覚醒状態になっている。
彼らを目指し、わらわらと集まってくる雑魔。それを確認したNo.0が左手を高く上げる。それは、雑魔がわらわらと迫っていたことを皆に示す為、彼が事前に仲間達と共有していた合図だ。
ほぼ同時に、左側から、カーミン、観那、紫苑、それに4人の聖導士が動き始める。
それを、すでにかなり移動していたセレスが振り返って見ていた。
「急ごう、みんなが目を引き付けてくれてるうちに」
ざくろはそう告げてマテリアルをロングブーツから噴射して、大きく前方へと跳ぶ。少しでも早く、歪虚の後方に移動せねばならない。
セレスもそれに合わせ、脚にマテリアルを集中させ、全力で移動していくのだった。
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ハンター達に気づいた歪虚達。彼らは腕組みして雑魔と交戦する人間達を見つめていた。
右手側からいくメンバー達。液状の雑魔が人の上半身を象って臨戦態勢に入り、No.0へと群がる。
そこで、アルトが岩から降り立ち、合流してきた。
「攻撃時に人の姿になるらしいな」
全身をマテリアルに包むアルトは目の前の雑魔にも油断を怠らない。武術知識が活かせるかと試しながら超重刀「ラティスムス」の刃を叩き込む。ただ、敵は弾け飛ぶことがあり、通常の人間と同じようには行かない。
前方では、No.0が数体の雑魔を引きつけていた。これには、彼が式符の主だとご認識させる狙いもある。
その身を弾けさせて散弾を放ち、高速回転させた腕を突き出す相手へ、No.0はシールドを突き出し、攻撃を受け止めた。
「なるほど、その位置に敵ですね」
後方の奏音はNo.0の報告で雑魔達の位置を把握しつつ、複数の符を使って雑魔数体を包む結界を張る。
「後ろへの被害を抑えるために足止めしておきますね」
奏音は術を起動させ、炎でそいつらを焼く。その雑魔に視覚があるのかは謎だが、動きを封じることには成功していたらしい。そいつらを倒すべく、ロジェは先輩団員と共に、雑魔へと切りかかっていく。
そこで、逆側からもハンター達が飛び出してくる。
「システム正常、戦闘行動を開始する。パワードスーツの性能はどんなもんかな」
紫苑はその身を包むパワードスーツ「DM-5」のチェックも兼ね、戦いに臨む。
「こっちからも来てんぜ!」
逆側からも現れたハンターに歪虚達は思ったよりも早く対処し、灰色の鎧が飛び出す。そいつの声に応じ、4体の雑魔が逆側へと動き始める。
最初、ハンター達から見て右手側に歪虚達は雑魔をけしかけてきていたが、左側からも現れる相手へと灰色のゲレダが直接向かい、雑魔4体をそちらに差し向けようとする。
「自分は灰色を。No.0さんは近場の黒色を」
「分かったよ」
紫苑が通信を入れると、No.0がすぐさま返答し、両者は向かい来る黒い鎧のガルバの相手をと迫る。これにはこの場の雑魔達も対処がすぐできず、その身を硬直してNo.0の突破を許してしまう。
さて、左手側にやってこようとする雑魔。カーミンは雑魔を纏めて相手することを考えていただけに、想定外ではあったのだが。
「歌、お願いねっ」
カーミンが依頼すると、後ろの聖導士数人が鎮魂歌を歌い始める。相手はスライムのように見えようが、魔法生物ではなく雑魔らしい。その身を竦ませてしまっていたようだ。
「筋骨隆々って素敵だと思うけど、まったく面白い進化を辿ったものよねー」
しばし硬直する相手の背後へとカーミンは手裏剣を投げ飛ばしながらも、自らの身もそれに引き寄せるように移動させていく。
そして、彼女はさらに手裏剣を投げ飛ばし、マテリアルを使って操って雑魔を薙ぎ払っていく。
観那は体内のマテリアルを燃やし、炎のようなオーラを纏って敵の注意を引きつけ、雑魔のドリルと散弾を手にする斧でしっかりと受け止める。
一方で、向かい来るゲレダは紫苑に遮られることとなる。
「お前の方が弱そうだ」
向かってくる筋肉達磨へ、紫苑は若干口調を荒くして挑発を行う。
「我らを愚弄するか……!?」
直情的な傲慢の歪虚。しっかりと彼の目論見に乗ってしまい、頭に生やす角を突き出してくる。
「お前の相手は俺だ、アホが」
紫苑は避けられぬと考え、しっかりとそれを受け止めていた。
黒のガルバも水を得た魚のように笑い、豪腕をNo.0へと叩き込んできている。
一方、灰色の鎧、ゲレダは怒りながら咆哮を上げた。
「うおおおおおっ!!」
「もう、大声で怒鳴るなんて。そんなんじゃ、可愛い女の子は寄ってこないわよ?」
カーミンは戦場を動き回りつつ、時には岩を足場代わりに跳躍して見せていた。敵をおちょくる彼女はあることに気づき、右班方面へと移動して。
「訂正。たくさん来たわ、よかったわね」
「あぁ?」
惚ける歪虚2人。その後ろから、ざくろが隙をついて迫る。
「機導発振機フル出力、フリージングレイ! ……後ろががら空きだよ」
ざくろが出現させた氷柱でガルバと雑魔を貫いていく。
やや遅れ、セレスもまた歪虚を狙う。こちらはガルバだ。奏音がすかさず、ガルバを中心に結界を張り、光で焼く。
「くっ……」
呻くガルバ。それに合わせ、毒を纏わせた投具を広範囲へと飛ばしていく。貫かれた雑魔がどろりと溶けてなくなる。
「思ったよりは大したことなさそうね」
不敵に笑うセレスに、ガルバもまた苛立ち始めるのだった。
●
あちらこちらから現れるハンター、聖堂戦士団混成軍に、歪虚達は対処ができない。
右側で黒鎧、ガルバに対するNo.0。彼は身を低くし、角を突き出してくる相手を下からカチ上げるように正面から受け止める。その際、展開した光の障壁に雷撃を纏わせ、防御とカウンターを同時に行う。
弾き飛ぶガルバを、No.0はさらに手にするハンマーを一瞬だけ巨大化させて力の限り叩きつけて行く。
左側には、灰色の歪虚ゲレダの姿がある。こちらは、紫苑が挑発しながら抑えていた。
「見た目どおり筋肉ダルマなんだな。やっぱり、アホだろ?」
「ぐっ……!」
予想以上に直情的な相手で、紫苑も組みやすそうだ。
もっとも、攻撃はまともに受ければ致命傷。パワードスーツとヘルムで彼はうまく攻撃をブロックしつつ、機械槍「タービュレンス」に雷撃を纏わせた一撃で相手の行動阻害を狙う。
その間に、他のメンバーは雑魔の殲滅の手を強めていた。聖導士達はさすがに手練の者達。熟練のハンターには及ばぬが、彼らもその鎚で敵を叩き潰す。
「私が倒れるまでは付き合っていただきます……!!」
どうやら、観那はスキルに難があったようだが、彼女はそれでも燃え上がるオーラで敵の気を引き、攻撃を受け止める。
「正のマテリアル謹製の毒なら効くかしら?」
戦士団と挟撃する形を取ったカーミンは、敵の体が無機質のような物質にも見える為に懸念もしていたようだが、手裏剣「八握剣」に毒を纏わせて投げつける。動きが徐々に鈍ってきていたことから、効果はあったようだ。
その上で観那が斧を一閃させ、雑魔の体を完全に断ち切っていた。
右手側も順調に敵の数を減らしていた。奏音が結界からの光で敵を焼く中、アルトがマテリアルの糸を操って手裏剣を投擲する。
「遊びは終わらせるか」
アルトはある程度雑魔の動きを捉えつつ、ドリルの腕を突き出すのに合わせてカウンターとして刀を叩き込み、そいつを霧散させた。
気づけば、雑魔の姿は全てなくなっていた。これには、傲慢の2人も苛立ちを隠せない。
だが、油断大敵。奏音が結界を展開する。ガルバの足元を泥上に固まらせて行動を阻害していたのだ。
そこへセレスが接近し、短刀「陽炎」で切りかかっていく。
「やっぱり、馬鹿っぽいねー」
「ぐぬぬぬ……!!」
ガルバがセレスの体を殴りつけようとするが、No.0が受け止める。聖導士達がそこに攻め入り、ロジェがガルバに切り込む。
「うおおおおっ!!」
吠えるガルバの横にアルトが飛び込んでくる。彼女は刃を振るい、ガルバの筋肉質な体を易々と切り裂いてきた。
それまで耐えていたNo.0がガルバの頭をハンマーで叩き潰す。ついにガルバは白目を向いて崩れ落ち、その場で消えてなくなった。
「んだと……!?」
これに、ゲレダがすぐ気づき、パートナーの消滅に驚愕する。
それを好機と感じた紫苑が機械槍を突き出し、そいつの体へと痺れを走らせる。
身を竦ませたゲレダへ、観那が回転しながらギガースアックスの刃を叩き込む。
「うるあああああああっ!」
だが、敵もその態勢から攻撃を叩き込もうとする。正面にいたざくろは聖盾「コギト」を操り、敵の豪腕を受け止めて見せた。
ざくろはジェットブーツを活かして戦場を動き回り、ゲレダを翻弄する。
そして、ホーリーメイスで殴りかかるように見せかけたが、それはフェイク。彼の狙いは……。
「伸びろ光の剣……ハイパー機導剣だ!」
ざくろはロボット掃除機を媒体として、マテリアルをエネルギーとして変換し、作り出した光の剣を握りしめる。そして、歪虚の胴を両断してしまう。
「そんな、馬鹿なあああっ!!」
叫ぶゲレダの声はその体の消失と共に途絶える。メンバー達はひとまず、敵の全滅を確認して安堵の息を漏らすのだった。
●
歪虚、雑魔が全て消え失せたが、メンバー達は警戒を怠らない。
「これで敵はいないはずですが、安全が確実ではないので周囲の確認をします」
奏音は岩の小さい隙間や木陰などに式符を飛ばし、完全に敵がいないかと念入りに周囲を探る。
アルトは皆が倒した雑魔の数を合計し、逃げた雑魔がいないかと探す。1体でも逃すと、情報を持ち帰られる危険があるからだ。
しばしの後、それもないことを確認したハンター、聖堂戦士団員達は一息つき始める。
「いい声だったわよ」
カーミンがそう言って聖導士達に応急手当を行うと、聖導士の一人は頬を赤らめていたようだ。
ともあれ、これで憂いはなくなった。砦ではきっと、大規模作戦に向けた準備が加速することだろう。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 No.0(ka4640) 人間(リアルブルー)|20才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/03/12 20:47:30 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/03/09 23:32:12 |