• 初心

【初心】森を疾走するヤギの群れ

マスター:なちゅい

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
LV1~LV20
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/03/22 07:30
完成日
2017/03/27 16:35

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 グラズヘイム王国、リンダールの森。
 この森には現在雑魔が現れ、ひっそりと暮らすエルフがその襲来に怯えているという事件が起こっている。
 先日、ヤギ雑魔を引き連れた歪虚をハンターの一行が倒したのだが、依然としてヤギ雑魔の目撃証言は続いている。
 どうやら、エルフの集落からは離れた場所、森北部での証言が増えているらしい。雑魔はどうやら移動したのか……。
 これには、リンダールの森北部に住む住人としてはたまらない。実際、街のすぐ横を雑魔が走り去ったというのだから、次は住人が狙われてもなんら不思議ではない。
 それだけならば、まだいい。エルフの集落付近では目撃のなかった、一回り大きく黒いヤギ雑魔が現れたというのだ。
 しかも、こいつは一直線に走る白いヤギ雑魔に指示を出し、ある程度、そいつらを操ることが出来る。もちろん、白い個体よりも強いのは間違いない。
 とはいえ、集落民に雑魔と対する戦力などはない。速やかな雑魔退治をと、彼らはハンターズソサエティへと依頼を持ちかけるのである。

 王都イルダーナのハンターズソサエティ。
 カウンターでは、金髪のウェーブヘアで糸目の女性、シェリーがにこやかな顔でハンターを出迎える。
「いらっしゃいませー。依頼ですかー?」
 やってきたのは、比較的ハンターの経験が浅い者達だ。彼らの為にと、シェリーは比較的対処のしやすい依頼を斡旋する。
 なんでも、グラズヘイム王国東のリンダールの森。そこに、雑魔が現れているのだという。
「熟練ハンターさんや、聖堂戦士団の皆さんがその討伐を行っているのですが、皆さんにもそのお手伝いをお願いしたいのですー」
 森ではヤギ型の雑魔が疾走し、エルフの集落が襲われるなどの被害が遭っている。
 ただ、今回現れるヤギは森の北側。依頼を出してきたのは、人間達の住む集落のようだ。
「南側のエルフさん達が雑魔討伐を行った影響で、他の集落に被害が出ているようですねー」
 エルフ達も自衛の為に行ったこと、彼らに責任はない。
 その雑魔出現の原因は気になるものの……、今は襲われる人々を守るのが先だ。
「聖堂戦士団の小隊の皆さんが協力してくれますので、心配はご無用ですー」
「はい、皆さん、よろしくお願いいたします」
 傍には、小隊長を務めるファリーナ・リッジウェイ(kz0182)の姿がある。立ち上がった彼女は、ハンター達へと丁寧に頭を下げた。ちなみに、彼女はハンターとしても活動しているそうだ。
「熟練ハンターさんであれば、対処は十分可能な相手だと思いますー」
 ハンターズソサエティは、この依頼をハンター初心者向けの依頼として出すことにしたらしい。
 各地で様々な事件が起こっている。ハンターの数はいくらいても苦にはならない状況だ。
 未来の大型作戦に参加できるようなハンターを育てたい。依頼をこなすハンターが増えるのは、ハンターズソサエティにとっても有益なことなのだ。
 集落を守る為、疾走してくるヤギ雑魔の対処に当たることとなる。
「皆さんはー、聖導士さん達が白ヤギさんを相手にしている間にー、黒ヤギさんの対処をお願いしますー」
 8人の聖堂戦士団小隊メンバーが少し間隔を置き、白ヤギの討伐に当たってくれる。ただ、彼女達もまだまだ戦闘経験を積んでいる最中である為、白ヤギ全てを相手にするというわけにもいかない。幾体かはハンターが黒ヤギと同時に相手することは、想定しておくべきだろう。
「以上ですー。討伐、がんばってくださいねー」
 シェリーはにこやかに手を振り、ハンターを見送るのだった。

リプレイ本文


 グラズヘイム王国、リンダールの森の北。
 森の外れの集落に、まだまだ依頼経験の浅いハンター達の姿があった。
(ここで暮らす人々を、何も持たない自分が守るのは必至)
 そして、この場を共にするメンバー達の一矢となるのも、また必然。白樺 伊織(ka6695)はそう考える。
(前回の討伐のせいで、人郷に影響が出るなんてな……)
 その1人、セルゲン(ka6612)はエルフからの依頼に参加していたこともあり、複雑な思いを抱いて参加している。同じく作戦に参加していた、聖堂戦士団小隊長のファリーナ・リッジウェイ(kz0182)が気に病んでいなければと、セルゲンは慮っていたが。
「今回も張り切っていくの」
 そのファリーナに、札抜 シロ(ka6328)が挨拶を交わす。2人は、狼雑魔討伐記念のパーティーでの縁だ。その際、シロは得意の手品を披露したが、実戦を共にするのは初めてのこと。
(あたしにとっては戦場でさえ、活躍のステージになるところを見て貰わないと)
 今日は覚醒者として、自身のカードマジックを披露しようと彼女は意気込む。
「はい、よろしくお願いします」
 笑顔を見せ、前向きに依頼に臨むファリーナの姿に、セルゲンは安心していたようだ。
「……ともあれ、ヤギ討伐だな」
 改めて、依頼について考えるセルゲンの傍には、実戦経験の浅いメンバーの姿がある。
「ハジメテのセントー!! ドキドキ! 今のボクにナニができるカナー?」
「初めての依頼だけど……、気負わずにいきたいね」
 リアルブルー出身ながらも、どことなく片言な喋り方のアレクシス・ラッセル(ka6748) 。そして、クリムゾンウェスト育ちではあるが、父がリアルブルー出身という銀髪の男装少女、氷雨 柊羽(ka6767) 。境遇はかなり違うが、2人に共通するのは、今日は初陣ということだ。
「私、少人数での集団戦闘って、これが初めてなのよね」
 ぼんやりとした雰囲気の坂上 瑞希(ka6540)は戦闘経験こそあれど、こうした形での戦闘依頼は初めてということだ。
「鹿は狩ったことも多いけど、ヤギの歪虚……かぁ」
 東方の森で暮らしていた久瑠我・慈衛(ka6741)は若干の経験はある様子。ドワーフとしてはかなりの高身長である彼は、ほとんど相手したことのない敵をどう攻めるか考えていたようだ。
 実戦経験の少ないメンバーの為にもフォローを心がけ、アレクシス、柊羽の初陣を飾れるようにとセルゲンは意気込む。
「まぁ、無理せず頑張りましょう。私、防御紙だしね」
 相手がヤギだけに。そんな瑞希の言葉で場が和む。
「……ところで、雑魔のヤギって、手紙食べたりするのかしらね?」
「確かに、お手紙食べちゃって意思疎通ができなさそうな組み合わせの雑魔だね」
 瑞希の問いに、シロが笑う。実際は、黒ヤギの指示で白ヤギ達が動いているみたいだが……。
「おそらく命令を出す黒ヤギが倒れれば、白ヤギ達も足並みは乱れるだろう」
「司令塔が居るんなら、話は早い」
 柊羽の言葉に、クラン・クィールス(ka6605)が淡々と語る。
 その司令塔をさっさと潰すか、ある程度抑える事が出来れば、戦況はハンター達にとって有利に動くはずだ。


 一行は集落から出てすぐ、足音を立てて疾走してくる一団に気づく。
 手前側に並ぶ、白いヤギ。そして、その後方には一回り大きな黒いヤギの姿がある。
「先に仕掛けますので、皆さん、後は頼みます!」
 先に飛び出すファリーナ小隊を見た黒ヤギが、大きく息を吸い込む。
 咆哮が来ると察し、体の表面に蛇のような紋様を現した慈衛がすかさず、ダーツを投擲した。
 しかし、そのダーツを首元に刺されようとも、黒ヤギの咆哮は止まらない。
「ブオオオオオォォォッ!」
 ヤギとは思えぬ咆哮は同時に怨嗟の叫びとなり、ハンターを苛むこととなる。
 そして、その雄叫びは指示も兼ねていたのだろう。5体の白ヤギが方向転換し、聖導士達の方に向かっていく。
 その黒ヤギは、残る3体の白ヤギを引き連れてこちらへと向かってきた。
 背に翼のようなオーラを迸らせるクランは、吠える黒ヤギを迎え撃つ。
「あの外見からして、一筋縄ではいかないだろうが……。やってやろう」
「ガンバレー!」
 その背後から、叫ぶアレクシスがマテリアルを流入してくれ、強化を施してくれた。力を感じるクランは非常に大きな体格のヤギ雑魔の注意を引くべく、赤黒いオーラに包まれた左手を添え、聖剣を構える。
 その左手側には、凛とした態度で戦いに臨む瑞希が移動していた。
(分断されてからが勝負よ)
 交戦が始まれば、しばらくは乱戦が予想される。それまでに傷を負ってはつまらないと、瑞希は直接黒ヤギから攻撃を受けないよう気をつけて立ち回る。
 慈衛も足にマテリアルを集中し、木々を渡るようにして黒ヤギの右側を目指して移動する。敵に狙いを定まらせないようにする為だ。
 ただ、彼は相棒のソウルウルフ、ハチをその場へと置いてきていた。その周りには、先に白ヤギ対処を行うメンバーがいる。
「白ヤギに対応するの」
 敵の接近に、シロは符綴「花吹雪」を手にする。
 ヤギ雑魔は幾つか状態異常を使うという。それに備え、彼女は符を中心にして光の壁のような結界を作り出す。
 その手前では、黒く髪を染めた伊織が紫暗の瞳で敵を見つめ、身構えていた。
「また来てやったぞ……と言っても、前とは違う個体だろうが」
 セルゲンは牙のような犬歯の幻影を覗かせ、ヤギ達へと呼びかける。
「こちらは時間稼ぎ……といきたいところだが」
 柊羽はゆっくりと弓を構える。自分の役目は白ヤギの引きつけだと思っているのだが。
「可能であれば、数を減らせるに越したことはないな」
「何でも良い、鬼さんと遊ぼうか」
 セルゲンも大声で敵の注意を引きつつ、間合いに迫ってきたヤギへと呼びかけるのである。


 森の木々の切れ目から、戦場に日が差し込む。
「交替で前に出て応戦を!」
 日差しを浴び、聖堂戦士団を率いるファリーナは隊員に声掛けをしながら、白ヤギに攻め入る。
 聖導士達の包囲から漏れた白ヤギ3体。ハンターを目指して駆けてくるが、後方の集落を狙っていないとも限らない。
 仲間が白ヤギの気を引く中、伊織も横笛を鳴らしてみせる。
「白ヤギさんをこっち向かせるタメに、おっきな声とか出したほーがイイのカナ?」
 仲間の様子を見て、囮は難しそうと首を傾げたアレクシスが大きく息を吸い込む。
「トツゲキしてくるヤギさんコワイネーっ!!」
 前面に向け、アレクシスが大声で言い放つ。ハチも敵に向けて吠えている。白ヤギ達はそれにつられて走ってきていた。
「そうだ、こちらに来い」
 セルゲンもまた、うまく敵を引きつけ、白ヤギは自慢の脚力で迫ってくる。
 しかしながら、すでにシロが自分達と敵の間に、地縛符による結界を展開していた。そこに踏み込む白ヤギ達は、泥状に絡みつく地面に足をとられてしまう。
「自慢の移動力も、形無しなの」
 まさに、シロの狙い通り。くすりと笑う彼女の周囲で、他のメンバー達も仕掛ける。
(やはり、聴覚と嗅覚に頼っているようですね)
 伊織もこのタイミングを待っていた。
 アレクシスが元気にマテリアルを振りまいて強化を施すのを受け、前に出た伊織は動物霊の力を借り、動けずとも角を突き出してくる白ヤギへと太刀「鬼斬丸」を大きく振り抜く。
「挨拶に応えてくれて、何よりだ」
 セルゲンとしては願ったり叶ったりだが、黒ヤギを相手にしているメンバーの負担は大きいはず。彼らの為にと、セルゲンは全力で鉄拳「紫微星」を白ヤギへ叩き込んだ。

 向かい来る黒ヤギには、クランが守りを捨てた態勢で聖剣を構え、敵を威圧する。
「お前の相手は俺だ、黒いの。余所見をしてるなよ……!」
 他に気を逸らせばやられる。そんな意識を相手に少しでも植え付けられたらと、クランは黒ヤギの注意を引く。それに乗ったのか、黒ヤギは彼に向けて暴れてきた。
(どこまで知恵があるか分からないが)
 それを確認し、体勢を低くした慈衛。群れを混乱させるには、ボス……黒ヤギを対処するのが定石と、彼は蛇の瞳で敵を凝視しつつ考える。
「ヤギだろうが何だろうが……」
 低木に紛れ、慈衛は側面から素早く敵へと攻め入り、拳に取り付けた刃を突き出す。
「……狩ッテ喰ライ尽クシテヤル」
 まるで、蛇が忍び寄り、飛びつき、絡みつき、毒牙を突き立てるように……。
 一撃を食らわせた慈衛が横っ飛びで茂みに紛れると、逆側から瑞希も龍銃を構えた。
(急所に当たれば、一番なのだけれど)
 瑞希は敵の攻撃の瞬間を見定める。クランに向けて蹴りを繰り出すタイミング。彼女は近づきながら、発砲した。
 しかし、その一発は急所を反れ、敵の下腹部を穿つ。敵もそう易々と狙い通りには当たってはくれない。
 さらに、その隙を見て、クランが渾身の力で聖剣「ヴィジーリア」を上段から振り下ろす。
 その身を切り裂かれ、黒ヤギは叫ぶ。3人は数の利を最大限に活かし、そいつを攻め立てていく。

 最大の長所ともいうべき移動力を奪われ、白ヤギはもがきながらも角や体当たりを繰り出してくる。
 伊織はそれを受けながらも、敵の前足を切り払う。
「……先ずは、一本……」
 確かな手応え。狙った前足は根元からざっくりと断ち切られていて。
「次は……目……」
 仲間の攻撃に続くように、彼女は敵の顔面を狙う。真っ白な体表とは異なり、どす黒い血を噴出す敵。そいつが地縛符から逃れようとするところを、距離を取って弓を構える柊羽がしっかりと狙う。
「任せて」
 暴れる敵の頭を、柊羽はマテリアルを込めた矢で正確に射抜く。それがトドメとなってヤギ雑魔が霧散していくのに、柊羽は表情こそ大きく変えはしなかったが、気を良くしていたようだ。
 その傍では、アレクシスが神罰銃「パニッシュメント」を操り、弾丸を白ヤギへと撃ち込む。彼曰く、生まれた場所が『じゅうしゃかい』だから使い慣れているとのこと。
「マカセテヨー♪」
 そして、アレクシスは懐中時計を媒体とし、高出力のエネルギーが白ヤギの姿を焼いていく。
 しかしながら、白ヤギは全身からどす黒い呪いを発する。
「ノロイコーゲキにはちゅーい、しないとダネー……コワイネー……」
 それに備え、彼は仲間の回復支援も繰り返す。
 だが、1体はすでに虫の息。セルゲンは捕らわれた地面から脚を抜け出すが、もう遅い。祈りを捧げ、戦闘意欲を向上させたセルゲンが鉄拳「紫微星」を叩き込む。
 どうと音を立てて地面に伏せたヤギが姿を消す。セルゲンはそれを見ることなく、残る白ヤギの駆除に当たるのである。


「はあっ!」
 聖堂戦士団小隊長ファリーナの刀が、白ヤギの体を断ち切る。彼女達は順調に雑魔を倒していたようだ。
 ハンター達も負けてはいない。白ヤギの脚を止めている間に、周辺のハンター達は一斉に攻撃を叩き込んでいく。
「こんがり焼き上げるの」
 本当は数体纏めて焼き払おうかともシロは考えていたが、サポートに回る間に仲間達が2体の白ヤギを倒してくれている。
 彼女は宙に符を投げ、稲妻を叩き落とす。それに貫かれた白ヤギが黒コゲになり、弾けるようにその場から消えた。
 まさに、ここは自身のステージと言わんばかりに、シロは胸を張る。
 その間に、柊羽はちゃんと白ヤギを倒せたか確認する。この近辺に、その存在はもはや感じられない。
「黒ヤギ班に加勢しないとね」
 シロに同意するメンバー達は、黒ヤギの元へと向かう。

 黒ヤギを相手にする3人。
「ブオオオオォォッ!」
 再び、叫ぶ黒ヤギ。その咆哮を無効化できないかと、瑞希は「ラントヴァイティル」を発砲させるが……。
(さすがに、無理かしらね)
 体が重くなるのを感じつつ、ハンター達は武器で直接攻撃を繰り返すが、ダメージが徐々に体へと積もってくる。とりわけ、正面から敵を抑えるクランの傷は目に見えて増えていた。
「無理しないで。死んだら、意味無いわよ」
 瑞希はこの場の仲間達を気遣う。慈衛は攻撃して離脱を繰り返してはいたが、彼もダメージが全くないわけではない。
 1対3であっても、なかなかに手強い相手。彼らが敵を攻めあぐねる中、白ヤギを倒したメンバーが駆けつけてくる。
 クランの負担を少しでも減らそうと、セルゲンが敵を睨みつけつつ飛び込み、黒ヤギの体を殴りつけた。続き、伊織が太刀を一閃させ、敵の左腿に大きな斬撃痕を刻む。
「機導砲!! ドッカーン!!」
 そちらに気を取られる黒ヤギの側面から、アレクシスがエネルギー光を放射する。距離を取っていた柊羽も、敵の体深くに矢を突き刺していた。
 そして、シロが結界を展開する。これで、しばらくは敵の咆哮にも耐えられるはずだ。
 仲間の援護を受け、黒ヤギと対していたメンバーの攻勢にも精彩さが戻っていく。
 無駄のない動きで戦場を跳び回る慈衛。木陰から飛び出した彼は、黒ヤギの体へと刃を突き立てる。
 瑞希は仲間が攻撃する隙にリロードする。重撃弾……それは使いきりではあるものの、威力に特化して調節された特殊な弾丸だ。
「ヤギ風情が舐めるんじゃないわよ。小屋に帰って手紙でも喰らってなさい」
 その弾にマテリアルを込め、彼女は黒ヤギの体を撃ち貫く。重そうな敵の体が僅かに衝撃で飛ばされたようにも見えた。
 だが、黒ヤギは倒れない。しっかりと着地し、クランへと後ろ脚で蹴りを叩き込む。
 しかし、クランはそれを受け止め、振り上げた聖剣で渾身の一撃を浴びせかける。
 上半身と下半身を寸断された黒ヤギ。そいつはもはや鳴き声すら上げることなく、霧散していく。
「勝敗は決したようなものだな」
 司令塔がいなくなったことで、クランは勝利を確信するのだった。


 無事に、雑魔を片付けたハンター達。
「ファリーナたちのトコロはダイジョブカナ?」
 心配だけど、きっとダイジョブとアレクシスが叫ぶ通り、聖堂戦士団メンバーも無事に白ヤギ雑魔を倒していたようだ。
 とはいえ、皆、体のあちこちにケガを負っていたようで。
「大丈夫、です……私、魔法の呪文を知っています。さぁ……、痛いの、痛いの、飛んでいけー……です」
 メンバーに応急手当を施す伊織はおっとりと不思議な呪文を唱え、仲間達をほのぼのとさせていたようだ。
(集う人達が守られた、なら……何より、です……)
 この場の皆を、集落の人々を守ることが出来た。それを実感し、伊織は喜んでいたようだ。
「……にしても、何故こんなにヤギ雑魔が?」
 一休みしたセルゲンは、ゆっくり立ち上がる。彼はヤギの現れた方向を見回ることにしていた。
 残念ながら、これといった成果はなかったものの。当面の脅威を払拭し、メンバー達は喜び勇んで集落へと戻っていくのだった。

依頼結果

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  • イッツァショータイム!
    札抜 シロka6328
  • ドント・ルック・バック
    坂上 瑞希ka6540
  • 強襲の蛇
    久瑠我・慈衛ka6741

重体一覧

参加者一覧

  • イッツァショータイム!
    札抜 シロ(ka6328
    人間(蒼)|16才|女性|符術師
  • ドント・ルック・バック
    坂上 瑞希(ka6540
    人間(蒼)|17才|女性|猟撃士
  • 望む未来の為に
    クラン・クィールス(ka6605
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 半折れ角
    セルゲン(ka6612
    鬼|24才|男性|霊闘士

  • 白樺 伊織(ka6695
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 強襲の蛇
    久瑠我・慈衛(ka6741
    ドワーフ|18才|男性|疾影士
  • みんなトモダチ!
    アレクシス・ラッセル(ka6748
    人間(蒼)|23才|男性|機導師
  • 白銀のスナイパー
    氷雨 柊羽(ka6767
    エルフ|17才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 黒ヤギさんと白ヤギさんと
アレクシス・ラッセル(ka6748
人間(リアルブルー)|23才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/03/21 13:52:49
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/03/18 00:30:01