• 王臨

【王臨】錆色の羊毛

マスター:柏木雄馬

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
8~12人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/03/28 22:00
完成日
2017/04/05 15:00

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 歪虚・黒大公ベリアルの軍勢がグラズヘイム王国軍との決戦に敗れてはや幾月── 王国西部リベルタースに留まっていたその敗残の群れが動き出したとの報告が、その日、狼煙と早馬によってハルトフォート砦にもたらされた。
 だが、その時点においては、砦の司令部には(一部を除いて)まだそこまで緊迫した空気はなかった。既に一度決戦に敗れて痛撃を被った敵であり、その後の追撃と掃討戦も順調に推移していたからだ。一部、『イスルダ島から上陸してベリアルに合流した集団があった』、『敵の残存戦力の中にこれまでと違う羊が見られた』等の気になる情報は入っていたが、規模的に大勢には影響がないと見られていた。
「連中、追い詰められてついに自棄を起こしたか」
「義勇兵たちにも連絡を入れろ。大規模な羊狩りを行う、と。死に体のベリアル軍にこの一戦で引導を渡す」
 幕僚たちの行動は迅速だった。
 ただ、『敵』の『中身』が別物だった。
 『彼ら』は自分たちを舐めてかかってきたほぼ同数の貴族私兵部隊を呆気なく蹴散らすと、まるでイナゴの群れの如く、無秩序に、だが、ある一定の法則性をもって、立ちはだかる全てを喰い散らかしながら進軍した。
 彼らが示した唯一の法則性── それは、ただひたすらに東に侵攻している事だった。
 全てを飲み尽くす大波の様な軍勢、と形容するには、『彼ら』は数が少な過ぎた。
 言うなれば『彼ら』は『暴風』だった。軍としては以前ほどの秩序もなく、ふらふらと定まらぬ針路で無数の離散と合流を繰り返しながら、立ち塞がるもの、触れたものを皆、切り裂き、吹き散らしていく悪魔の風だ。


 そんなリベルタースの、とある戦場──
 マーロウ大公お抱えの私兵戦力の一つ、『ホロウレイド戦士団』の副団長を務めるハロルド・オリスト──気質的には攻勢を好むが能力的には守勢に長じるこの(見た目はゴツい)青年貴族が、この戦場では敵に押されまくっていた。
 前方、正面に位置するのは、黒大公ベリアル麾下の、二足歩行の羊型歪虚──最早、この戦線では馴染みとなった、何度も剣を交えた敵だ。だが、今回のこの正面の羊たちは、その性質も、戦い方も、まるで同じ羊型とは思えぬ程に『凶暴』だった。己の身を顧みることなく、ただがむしゃらに、狂ったようにこちらへと食らいついて来る。
「いったい何なのだ、こいつらは! 倒しても倒しても次から次へと……!」
 ある種の肉食魚の如き鋭い歯牙を剥き出しにして躍り掛かって来る羊? を、盾で叩き落としながら。ハロルドがそう言うほどには敵の数は多くはなかった。だが、一度、倒したと思った敵がいつの間にか──1分もしない内に──兵たちの脚や頸を狙って死角から飛びついて来るのはザラだった。
 既に、ハロルドが指揮する兵は戦士団の部下たちだけではない。周囲で敗れた部隊も取り込み、彼らは戦い続けていた。
 戦士団、貴族私兵、砦の正規軍人に、義勇兵── 皆、立場は違えども(上層部の思惑はどうあれ)現場の意志は一つだった。
 ──祖国を、故郷を、愛する人たちや家族を守る。これ以上、王国の母なる大地を寸土たりとも歪虚に汚させはしない──!
「押し返せ!」
 ハロルドの号令の下、雄叫びを上げて歪虚の群れを押し返す男たち。奮戦する彼らの傍らを、しかし、離れた場所を通る歪虚は無視して東へと──王都方面へと抜けていく。
 それを歯噛みして見送るしかない彼らに一瞬、飛び過ぎる様に影が落ち── 空を見上げた戦士たちの表情に驚きが浮かび……次の瞬間、喜色が爆発した。
 兵たちの上げる声援と歓声の中。彼らの頭上をスラスターを全開にして一瞬で飛び越えていくハンターたちのCAM部隊──
「来たか……ようやく!」
 遅いぞ、と微笑で悪態を吐くハロルドの視線の先で、王都方面へと向かう歪虚の群れの側へとCAMたちがズシン、と着地して……
「全機、武器使用自由。……蹴散らせ!」
 30mmアサルトライフルを腰溜めに構えた巨人たちが、凶暴な羊たちの群れに一斉に砲火を放った。

「HQ、HQ、こちら『lynx』。指定された目標の撃破に成功。30mm弾と推進剤の補給を要請する。……腹ペコのヤマネコさんは、まだまだ羊が食い足りないの」
「『lynx』、こちらHQ。了解、餌係には急がせる」
 一しきり笑った後、生真面目な口調で告げる指揮所のオペレーター。タックネーム『lynx』のCAMパイロット、リーナ・アンベールはヘルメットを外すと、外の空気を感じるべくコクピットハッチを開けて身を乗り出した。
 歓声と共に手を振るハロルドの部下たちに手を振り返し、風に流れる髪を手で押さえながら、欠片一つ残さず歪虚の消えた戦場を見渡す。
「本当に霞みたいに消え去るわよね、歪虚って……」
 戦場に戦いの記憶を残すは、地面にばら撒かれた無数の空薬莢と弾痕のみ── 倒した実感も何も湧かないわよねぇ、とずれた眼鏡を指で直す。


 同刻。その指定された合流地点──
 荒野に広がる森の中で、ハルトフォート砦『特殊兵站幕僚』兼『砲戦用ゴーレム開発責任者』、『ちび眼鏡』ジョアン・R・パラディールは、木陰に身を潜ませつつ、その『敵』を双眼鏡で見続けていた。
 彼の背後には、同様に隠れた8台の『砲戦用ゴーレム』試作型──刻令術と呼ばれる魔術で動く人型の岩に、王国製の大砲(旧時代的な前装式滑腔砲)を乗せたもの── 敵の予想進路が砦ではなく王都と知った司令部が、迎撃の為に送り出した虎の子だ。
 そして、彼の視線の先には、館ほどにも巨大な『大型ヒツジ』。以前、ベリアルがリベルタースに上陸した際にも遭遇したことがある強敵だ。その巨体もさるものながら、攻撃手段として強力な破壊光線を持ち、また、その全身を覆う『スチールウール』は硬くありながらもしなやかで非常に高い防御力を誇る。
 以前に遭遇した時は、その自慢の体毛を砲戦ゴーレムの粘着弾でべとべとにされ、泣きながら海へと帰っていった。だが、今、ジョアンの視線の先にいる大型ヒツジは──他の羊型と同様──以前のそれとは違っていた。……陽光に煌いていたご自慢の体毛はまるで錆びたかのように赤茶けて。以前に見られた愛嬌の様なものは完全に鳴りを潜め、まるで幽鬼か何かの様にその巨体を揺らして進んでくる……
「……これはもう『ポマード』だけでは追い返すことはできない、かな?」
 ジョアンは刻令術師のエレン・ブラッドリーを呼ぶと、味方の歩兵とユニット部隊を招集するように頼んだ。砲戦用ゴーレムは高威力・長射程を誇るが近接戦闘には弱い。運用するには前衛役が必要だ。

 ……無線機がコールされる。予想外に早い通信に、リーナはおもむろにコクピットへ戻ると通信機のレシーバーを手に取った。
「『lynx』、補給は中止だ。速やかに指定されたポイントに向かい、他の味方との合流し、速やかに『大型ヒツジ』を撃破せよ」

リプレイ本文

 指揮所を介して、砲戦ゴーレム実験部隊指揮官(という名の責任者)・ジョアンの支援要請を受けた各戦力は、彼らから最も近くに位置していたハロルド隊を基点に集結を初めていた。
 近場の戦力の寄せ集め──元々、意思統一のなされた一つの部隊ではない。無線通信で連絡を取り合ったハンターたちが選択したのは、各自、最速で戦場に突入して各個に撃破される危険を冒すことより、時間を多少浪費してでも一度、戦力を集結させて意志の統一を果たすことだった。
 戦闘前の最後の大休止。簡易ながら補給も受けられた。地面に座り込んで携帯食を齧る兵隊たちに交じって、相棒たるイェシド・レグルスのふわふわの毛並みを枕代わりに、一緒に地面に寝転がって昼寝を決め込む鞍馬 真(ka5819)。その傍らを、自ら炊事係を買って出た褐色の鬼人・閏(ka5673)が、忙し気に、だが、どこかのんびりとした風情で動き回っている。
「補給品です」
「ありがとう」
 新たに合流した歩兵隊に食料を手渡す閏。ぺこりと頭を下げて受け取った若き聖導士・ルーエル・ゼクシディア(ka2473)は、横たえられたハロルド隊の重傷者たちを見るや、自分の食事も後回しにしてそちらへ向けて走り出す。
(王国の補給品に米があれば、皆さんに塩むすびを振る舞う事もできたのですが……)
 人心地ついてふぅ、と額の汗を拭いながら、閏は、遠くから聞こえてきた甲高いスラスターの音を聞いてそちらを振り仰いだ。
 それは集結地点に到着した新たな2機のCAMだった。1機は全体を漆黒に塗装された魔導型デュミナス──『バレット・オブ・ナイト』こと瀬崎・統夜(ka5046)が駆る『黒騎士』と。外見的にはまるで特徴というものがない──主張する個性がまるで感じられない、門垣 源一郎(ka6320)のR6M2bだった。
 2機のR6は、点在する歩兵を巻き込まぬよう、先に到着していたCAMたちが降着していた辺りに片膝立ちで機体を下ろした。スラスター周りから立ち昇る陽炎が、両機が出来得る限りの速度で合流を果たした事を知らしめる。
「推進剤の補給を頼む。弾薬はあるか? 30mmと、200mmと……」
 推進剤補給用のトラックと、弾薬運搬用の馬車と──積み荷を展開した補給部隊に呼びかけるべくコクピットから身を乗り出した統夜を、歩兵たちが歓声でもって出迎えた。
「……CAMを使うだけでありがたられるというのは、どうにも居心地が悪いな」
 その光景を目の当たりにして、源一郎がシートに身体を戻す。
「CAMを使うだけだから、皆が歓声を上げてるわけではありませんよ」
 レシーバーに応答。しまった、と源一郎は眉根と目をひそめ、手の平で顎と口とを撫でた。どうやら通信を入れたまま感想を口にしていまっていたらしい。
「彼らは、CAMが敵をやっつけて追っ払ってくれたから──自分たちを助けてくれたから、感謝の声を上げているのです」
 答えたのはルーエルだった。彼は、新たに来たCAMに手を振る負傷者に頼まれ、その身を起こし、支えながら、共に彼らの方を見ていた。
「まあ、助けを待ち侘びる気持ちは、俺にも分からないでもないが……」
「そう難しく考えなくてもいいさ」
 源一郎の生真面目さに苦笑しながら統夜が言った。
「CAMというのは彼らにとって分かり易いアイコンだ。CAMが戦場にいるだけでだけで兵隊たちの士気が上がる」
 源一郎は溜息を吐いた。……どうせ連中は顔を合わせる事もない間柄。CAMに乗る間くらいは求められる役割を演じて見せねばなるまいか……

「集まったのは、これで全部か?」
 長距離通信機の置かれたテントを潜って、『ターバン姿の』Anbar(ka4037)が通信士に尋ねた。
「まだフワ ハヤテ(ka0004)機とクオン・サガラ(ka0018)機が東からこちらへ移動中です」
「時間がない。連中にはそのまま無線で作戦会議に参加してもらおう」
 Anbarはテントを出ると、源一郎と統夜を引き連れて来たメグらと共にブリーフィングルーム──と言う名のパイプテント──へと向かった。
 そこには既にルーエルと閏、寝ぼけ眼の真に、アーク・フォーサイス(ka6568)とレム・フィバート(ka6552)の幼馴染コンビが集まっていた。額に巻いた包帯にうっすらと血を滲ませたサクラ・エルフリード(ka2598)は、今さっき仮設の救護所で治療を受けて来たばかり。今回の激戦の渦中で受けた傷だった。……それだけ今回のベリアル軍との戦いは厳しさを増している。
「さて、再三にわたって関わってきた大型羊との対戦もいよいよ大詰めだ。此度の再々戦において是が非でもケリをつける。必ずや引導を渡してやろうぞ、皆の者」
 ハヤテやクオンらと連絡が取れる通信機を通信士が持って来るのを待って、まずミグ・ロマイヤー(ka0665)がそう作戦会議の口火を切った。
 Anbarが地図を使って現状を説明する。
 ──大型ヒツジ1体を伴う人型羊の集団は、西から東へ侵攻中。その行く手には、ジョアンら砲戦ゴーレム隊が潜む森。ひいては王都が控えている。
 この集結地点はその森から南東に半里ほどの距離で、現在、進行中の敵は森から2里ほどの距離にまで接近しつつあるという。……軍事的には極めて至近だ。
「砲あり、足あり、装甲は少々…… ふむ。その砲戦ゴーレムというのは実質、自走砲というわけか。ならば、それに準じて守れば良いということだな」
 状況を確認した源一郎は、地図の上に自分たちの駒を進めた。──南東の集結地点から砲戦機が潜む森の南を回り、東進を続ける敵の側方へ。
「あまり時間もない。敵が味方に近づく前に、こちらから仕掛けて敵の進路をこちらへ向ける。……どうか?」
「……良いと思います」
 わずかな思案の後、サクラが最初に頷いた。
「話に聞いた敵の特徴── もし、この前、私たちが出会った敵と同種であるなら……」
 ──二月ほど前だろうか。決戦に敗れたベリアル軍に対する掃討戦をこのリベルタースにて行っていたサクラは、とある前衛陣地を巡る戦いにおいて、それまでの人型羊とはまるで異なる性質の敵集団と遭遇した。
(『狂乱の勢いで獣の様に攻めて来た』、『倒したと思っても、なお起き上がって襲い掛かって来た』──)
 サクラが話した人型羊の特徴は、ルーエルが負傷兵たちから聞いた今回の敵の特徴とも多くが一致していた。そんなものがより大きな集団と化して、王都へと向かっている……?
 ははは、と笑い声が響いた。テーブルの上に置かれた無線機から聞こえたハヤテの声だった。
「知性がない? なるほど、それはいい。相手は稀に見るおバカさん、突進すること以外を知らない。つまり、陽動攻撃を加えれば、一々反応してくれるということだ」
 ハヤテの言葉を受け、源一郎が自分たちを示す駒を下げた。とある丘の麓へと。
 応じて、サクラが羊たちの駒にそれを追わせた。砲戦ゴーレム部隊との間に丘を挟むその位置へ。
「ゴーレム隊の森に対して移動が困難な、時間を要する場所に敵を誘引するのですね。良いと思います」
 反対意見はない。方針は決定された。
「では、通信はミグに一任する。これより先の戦場に無線の中継器は存在しない。ゴーレム隊との連絡をお願いする」
「うむ、我が愛機ハリケーンバウはいつも以上の重装甲型だが、こんなこともあろうかとコマンダーカスタムを加えて通信機能強化型に仕上げておいた。中継はどーんと任せよ」
 源一郎に任されて、ミグが一足早くテントから出て行った。皆の通信機を『通話連結』する為だ。
「よし。では、全員、作戦中は仲間との連絡用にトランシーバーのチャンネルはオープンにしておくように。戦闘に当たっては単独行動を厳に慎み、仲間との連携を意識し、共に相互補完を図るように務めること。では、解散。ただちに戦場へ進発する」
 そう言ってAnbarが作戦会議を締め。締めてからふぅと溜息を吐いた。──いやはや、見よう見まねで作戦会議を仕切ってみたけど、【蒼】世界の元軍人っつー自分とこの小隊長みたいにゃなかなかいかないわ……

「んー。なんだかいっぱいやる事あるみたいだけど、レムさんは歩兵で陽動ってことだよねっ!」
 幼馴染のアークと共にテントから外に出て。レムはんー、と伸びをしながら、にへらっ、とアークに笑い掛けた。
「……お前、ちゃんと分かっているのか?」
「分かっているよぅ。ゴーレムくんのこーげきを活かしたいから、私たちは別方向から殴るんでしょー?」
「……しかし、大型ユニットが殴り合う戦場で、俺たち歩兵が出来る事なんてあるのでしょうか……」
 アークとレムが振り返る。その呟きの主、閏が2人の視線に気づいて、俯いた顔を上げて慌てて両手を左右に振った。
「いえ、弱気とかそういうわけではなくて……!」
「あるよー」
 ほんわかとした(呑気とも言う)笑顔でレムが断言した。
「歩兵の良いところは、じゅーなんせいが高い事。えーと、CAMくんとかと違って強くはないけど、色々できるってことだねっ! うん、似たよーなこと師匠が言ってた!」
 大型ユニットにはカバーできない部分を連絡したり、死角を補ったり。他にも、見つかりにくいことを活かして偵察したり、遮蔽物に潜んだり……
「CAMとかのことは全然わかんないけどねー。いやー、CAMを操縦できるとか、やっぱりアーくんはすごいなー(チラ」」
 そうアークを褒めつつ意味ありげな視線を向けて来る幼馴染。アークは溜息を吐きながら、半眼でレムを見返した。
「……何だ?」
「えへ。戦場までアーくんのCAMに乗せてって♪ 掌の上でいーから(はぁと」
「アホ。皆、歩いて行くんだ。お前だけ特別扱いできるか」
「えぇー」
 断られたレムはあっけなく諦めると、楽しそうにてってけてーと歩兵たちの方へ走っていった。そして、ルーエルやハロルドほか共に戦う歩兵たちに「ずっと走りっぱなしになりそーだねっ、がんばろーっ♪」と檄を飛ばす。
「……ったく」
「あのっ……!」
 自機に搭乗するべく手を掛けたアークに、残っていた閏が声を掛けた。
「アークさんの機体にこれを貼ってもよろしいでしょうか?」
「それは……」
 閏が取り出したのは『加護符』だった。符を介して術者のマテリアルを対象に付与し、守護を与える符術の札だ。
「でも、加護符の効果時間って……」
「はい。戦闘に入るまでには符の効果は切れてしまうでしょう。なので、お守りみたいなものですが」
 今の自分にはこれくらいしか出来る事がありませんから──寂しそうに閏が微笑む。

 非アクティブモードで待機していた各機体に火が入り、鋼鉄の巨人たちが次々と身を起こした。
 仮設補給所の撤収や負傷兵たちはその場に残した部隊に任せ。手を振る彼らに見送られつつ、彼らはそれぞれの戦場へ向かってズシン、ズシンと走り出す。
 統夜機は閏を腕に乗せて、ハヤテとクオンに合流すべく、砲兵隊──砲戦ゴーレム部隊が潜む森へ。
 残る全機と歩兵部隊はその森の南を抜けて敵側面へ──


 通信機越しの作戦会議を終えて、ハヤテは無線機を左手に持ち替え、それまで保持していた右手をプラプラ振って血行の促進に努めた。
「ボクとしたことが。会議に集中し過ぎて持ち替えるのを忘れていたよ」
 白衣を荒野の風になびかせながら、やれやれと肩を竦めて見せるその傍らには、最後に指示じた『歩行』のまま歩き続けるGnomeのH・G。更には、真紅のカラーリングと狙撃機改造が施された、クオン・サガラが駆る重装高出力型デュミナス『Phobos』──
「急ごう。直に作戦が始まる。彼我の間に森を挟んで移動すれば、敵に見つかることもないはずだ」
「走らせますか? 足音とか舞い上がる砂塵とかでこちらの存在を気取られたりはしないでしょうか……?」
「まだ距離はあるみたいだから、多分、大丈夫だと思うよ。どうやら敵はおバカさんになってるようだし、そこまで高い感知能力を持っているとは、あまり想像したくはないかな」
 ハハハ、と乾いた苦笑を返して、了解、と機を加速させるクオン。ハヤテもまた帽子を右手で押さえながら、H・Gに対して駆け足のコマンドを送る……
 そうして敵に捉えられることなく、2人は森に潜んだ砲戦ゴーレム隊と合流した。
 コクピットから降りるクオンを、責任者のジョアンが出迎えた。
「来援、感謝します」
「とんだ実戦演習になってしまいましたね」
「演習というか、なし崩し的にもう事実上の実戦投入ですよ。まだ量産もされてないけど、使えるものはなんでも使えっていう」
 ……それからまた少しして。陽動本隊から閏を乗せた統夜機が到着した。
 閏は統夜機の腕から飛び降りると、片膝立ちで鎮座した砲戦ゴーレムを見上げて息を呑んだ。
「ゴーレムさん…… 初めて目にする訳ではないのですが、やはり凄い大きいですね」
 ハヤテのGnomeと比べても、砲台を役目とする砲戦機は重量と強度を確保するべく岩石製。しかも、砲と砲弾ラックを背負っているので、さらに重量感が増している。
「噂の砲撃専門ゴーレムを見れるとは嬉しいね。なんだい? これ用の刻令術とか開発したりしちゃったんだろう? その辺についても是非ちょっと詳しく……」
 魔術師らしい好奇心で、刻令術師のエレンを質問攻めにするハヤテ。その勢いに多少たじろぎながらも、自分の手掛けた機体に興味を持たれて嬉しさを隠せず彼女が答える。
「Gnomeの壁作りや穴掘りとかと一緒よ? まずは手動で操作して刻令術の挙動を観察して…… 数をこなして動作の最適化を図っていって、その最適化された挙動を外付けの作業動作の1パックとしてフォーマット化して、移植と言うかコピーというか……」
 なんだか盛り上がりそうなので、統夜は一旦、それを止めた。
「そこまでだ。続きはあの敵をなんとかしてからな」
「おっと、そうだった。僕はこの先の森まで前進して、そこに陣地らしきものを構築してくるとするよ。……じゃあ、エレン、また戦闘が終わった後で」
 そう言うと、ハヤテはゴーレム隊の皆に手を振って、一人、H・Gと共に森へ向かって進んでいった。
 閏は砲戦機護衛に森に残る。離れるGnomeや2機のCAMに加護符のお守りを貼って見送り、残るゴーレムたちにも札を貼るべく急ぎ森の中へと戻る。
「確かに、演習にしては敵の数が多すぎますね。特に大型ヒツジなんて危険過ぎ。叩き潰して来るとします」
 クオンはゴーレム隊に貰ったサンドイッチを咥えて愛機の操縦席へ戻ると、統夜機と共に西南西に広がる丘へと向かった。
 やがて、丘の中腹に差し掛かったところで、本隊から攻撃を開始したとの連絡が入り、統夜機とクオン機は互いに頷き合うと、そのまま全力で丘を駆け上がる。
 丘の稜線に達する直前で一旦、ブースターを切り、機体を陰へと潜ませて。そのまま丘の向こう側──戦場へ頭部カメラを向ける。
「始まった……」
 異口同音に、2人のCAM乗りが告げた。
 丘の上から見下ろす眼下の戦場は、怒涛の寄せを見せる羊たちに味方が押されまくっているように見えた。


 その少し前。森と丘の南側を回り、北上へと転じる陽動班──
 多数の歩兵を引き連れて、遮蔽物を利用しながら隠密行動を取るCAM部隊。その隊列のやや後方に、通信と観測を任されたミグ機と、負傷したサクラが乗るR7が位置していた。
「……そろそろ接敵する頃合いじゃ。傷の具合は大丈夫か?」
「ちょっと身体が動かしづらいですが、機体に乗ってればまだ何とか。とは言え、激しい戦闘機動は正直、厳しいかもしれません。固定砲台としてなら、どうにか」
 ミグ機に続きつつ、歩行状態の機体の中で包帯を締め直すサクラ。ミグは周囲に視線を飛ばしていたが、無線機のコール音に一旦その足を止めた。
「目標を視認。敵もこちらに気付いた」
 彼我の遭遇── 真っ先に行動に移したのは、東に進む敵隊列の右側にいる人型羊たちだった。それまではまるで幽鬼の様な足取りでふらふらと足を前へと進めていた連中が、敵の姿を認めた瞬間、思考する間もなく、故に悩む時間も掛けず、猛り狂い、まるで狂犬の群れの様に四つ足になって怒涛の勢いで一斉にこちらへ向け突進を開始する。
「ハロルドさん!」
「おう! 歩兵隊、横列に展開! 盾と槍で壁を築け!」
 ルーエルの呼びかけに応じて、行軍隊形から戦闘隊形への移行を命じる戦士団副長。ルーエルは手綱を引いて戦馬を横へと向けると、駆け足で左右へと展開していく歩兵たちの前を駆けながら「横隊へ! 急いで横隊へ!」と指示を飛ばして行き来する。
「聞いてた通り羊型、だね。もの凄い勢いだ」
 自らも下馬して戦列に加わりつつ、波の様に迫る敵影と蹄の地鳴りにルーエルが息を呑み。周囲の兵たちも盾と槍とを構えつつも、初見の者たちは若干、腰が引けている。
「おーっ。大分気が立ってますなぁ、羊くん♪ でもでも、ここから先は立ち入り禁止っ。通らせはしないのだっ!」
 手の平を目の上に当て、背伸びするように前を見やって、どこかおどけた調子で、レム。そのまるで動じていない声と態度を見聞きして、兵たちの緊張が若干、薄れる。
「やはり、あの時と同じような羊たち…… これは厄介そうです」
 後方からカメラでその様子を確認しながら、サクラは操縦桿を握る手に力を込めた。
 ──しかし、最初はキラキラと綺麗だったり、どこか可愛かった羊たちも、今は見る影もない。スチールウールの体毛を自慢げにしていた大型ヒツジも今は見る影もなく、まるで錆びた鉄塊のよう。いったい何があったというのか……
「考えるのは後回しだ。今は戦闘のみに集中するんだ」
 魔銃「ナシャート」を構えたR7を前に出しつつ、アークが操縦席で言った。
 ──今はただ敵歪虚を可能な限り倒す。その為だけに戦う。……命は護られるべきものだ。そして、それは些細な事で失われてしまうもの── だから、失われる可能性を少しでも無くす為。憎しみや恨みに依らず、生けとし生けるものの為に歪虚は必ず殲滅する。

 敵が迫る。
 後方、横列に展開を始めた歩兵部隊を見やりながら、ライトブルー塗装のR7『アルタイル』に30mmガトリング砲を背部から前面へと引き出させながら、Anbarが無線機に問うた。
「どうする? 俺たち(=CAM隊)も横列に展開して敵を迎え撃つか?」
「まだ大型ヒツジや敵の左翼が動いていない。まずはこちらに喰いつかせるのが先決だ。このまま縦列で突撃する」
 答えたのは、主の瞳と同じ深蒼色のイェシドに乗った真。つい先程までは眠そうな目をして、まるでロバか何かに乗っているかのように揺れていた闘狩人は、今はその目をスッと開いて背筋を伸ばし、肩に掛けていた大鎌を右手に提げて、相棒の背を挟んだ両腿にしっかりと力を入れる。
「それじゃ、頑張ろうか、レグルス。狼が羊に狩られてしまったら洒落にならない」
 鎌槍の穂先を迫る敵の軍勢へ向ける真。瞬間、レグルスが誰よりも早く先頭に立って走り出す。
「CAM隊、続くぞ。攻撃開始」
「前衛各機の前進を援護します」
 レグルスに乗った真を先頭に前進を開始するAnbar機、源一郎機、アーク機。それを支援する為、ミグ機が轟音と共にスフィーダ99──腰部と左腕部とで提げるように保持した520cmの単発式カノン砲──を敵の只中へとぶっ放し。それに呼応するようにサクラが機の背負い式に装備した機関砲「ゴルペアール」──元々は対空砲であったものを機械系ユニット用に転用したもの──の引き金を引き、味方進路上にいる敵へ向けて大口径の機関砲弾をばら撒いた。
 爆発、轟音、鋼の雨── 常人であれば崩れてもおかしくないその猛攻に、だが、敵は崩れない。まるで感情などないかのように、怯えず、狼狽えず。ただ血に飢えた獣のように。
 彼我の先鋒が激突する。直前、真は相棒の背を叩き、イェシドが装備した幻獣砲を正面の敵へと撃ち放った。魔力の砲弾が閃光と共に砲口から放たれ、正面より飛び掛らんとした人型羊を直撃する。ひしゃげて地面に落ちたそれを真とレグルスは無視して飛び越え、そのまま敵の只中へと突入し。相棒の背の上で振り構えた鎌槍にマテリアルを込め──魔力を乗せて淡く光った刃を真横に一閃。3体の羊の腕や首を切り飛ばしつつ、更に跳躍し。狼上にクルリと回して構え直した鎌槍の穂先で、突進の勢いもそのままに2体を串刺しにして、全く歩速を緩めることなく死骸を振り捨て、敵隊列の奥へと進む。
 続けて、連続する砲声と共に30mm弾をばら撒きながら後続するAnbar機と源一郎機。その装甲に写って揺れる砲炎の紅に、続くアーク機が単発で放つ光弾の白き光が反射して眩しく輝く。
 接敵── 真とイェシドに突破を許した人型羊たちが、後続する彼らに群がった。機を手早く操作し、右腕に突撃砲を保持したまま左腕で斬機刀の柄を手に取って鞘を外す源一郎。Anbar機は引き金から指を放すと空回りする多重砲身が止まる間もなくガトリング砲を背部へ回し、斬竜斧を引っ掴む。
 アーク機は撃ち尽くした魔銃を地面へ放ると、主兵装たる斬魔刀をスラリと引き抜いた。右から、左から、正面から──CAMの装甲板すら引き千切る顎と歯を剥き出しにしながら、群がるように跳びかかって来る羊たち。アークはその全てを視線で捉えると、脳内で素早く攻撃ルートを策定すると、各部スラスターを噴射。まるで円舞を舞うように地面を滑るように走りながら、下段に構えた斬魔刀でもって次々と羊を狩っていった。常に3体以上には囲まれないように独楽の様に動き回りつつ、黒き刀身に浮かんだ白銀の波紋を煌かせ。その刃が振るわれる度に人型羊の頸が宙を飛ぶ。
「このまま囮を引き受ける……!」
「了解だ。アーク機を頂点にトライアングルを形成。右は任せろ。源一郎は左を頼む!」
 返事の代わりに機を動かしてそれに応じる源一郎。Anbarはニヤリと笑って自身も機を前進させた。そして、全長2mの斬竜斧をCAMの腕で軽々と振るい、切り飛ばすというより切り潰しながら、敵陣を切り裂く鋒矢と化して前進を継続する。
 その渦に巻き込まれるようにしながら、群がり、襲い掛かる敵陣右翼中央の羊たち。だが、3機から離れた左右の羊たちはそのまま脇目も振らずに突進を継続し、CAM隊後方、横隊を完成させた歩兵隊へと躍り掛からんと──
「みんな、来るよ! 準備はいいね!?」
 槍と盾を構えた歩兵に交じって檄を飛ばすルーエル。迫る敵の前面、右から左にサクラ機が放った銃撃の着弾の土煙が走り。被弾して粉々に砕けた同胞らをよそに、白目を真っ赤に血走らせた、或いは真っ黒に染め、涎を引いた羊たちが、予想より遥かに手前の地面を蹴って、恐るべき身体能力で兵たちに飛び掛かり……
「~♪」
 歩兵の盾の壁の前に無造作に飛び出していったレムが、その身にマテリアルの鎧を纏いつつ…… 逆にこちらから地面を蹴って空中に出向いて行った。
 宙に交差する羊とレム── 肉食魚の如き歯を剥き出しにする羊のその顔面を、レムは手にした鉄拳でもって星が出るほど思いっきり((>v<)←こんな顔して)ぶん殴る。
 なんか生物(?)にあるまじき音を立ててひしゃげて地面へ落ちる羊。レムはクルリと身を回転させると、膝からその腹の上へと着地した。そして、そのまま片膝でマウントを取ったまま何度も拳を振り下ろし、完全に沈黙して動かなくなるまで絶対に許してあげなかったり。
 そこへ迫る新手の集団── 思わぬ光景に呆然としていたルーエルがハッと我に返り、「突き出せぇ!」と兵に指示を飛ばした。ボコ殴りを続けるレムを避けて突き出される無数の槍の穂先──何本ものそれに串刺しにされた羊が眼前のレムを噛もうとガチガチと歯を鳴らし。ルーエルは首から提げたパイルバンカーを手に飛び出すと、腰溜めに構え直して引き金を引き、箱状の『銃身』から目にも留まらぬ速さで放たれた杭でもって貫き、『頭部を吹き飛ばして』止めを刺す。
 白煙を吐いて飛び出した杭を『棹桿』を引き戻してリロードし……ふと間近で聞こえた破壊音に驚いたように顔を上げる。見れば、自身に飛び掛かって来た羊の頭を、立ち上がったレムが手にした鉄扇でパキャッ! と叩き落としたとこだった。
「止めを刺す前に油断しちゃダメだよ♪」
「そうでしたね……」
 バシュッ! とパイルバンカーが放たれ、レムの背後で起き上がろうとしていた(完全に沈黙したはずの)羊が杭に吹き飛ばされた。
「あっと……そう言えば『生き返る』んだっけ」
「倒した敵には不用意に近づかない方が良いね…… 中々敵の進軍が止まり辛い、厄介な能力だよ、まったく……」
 ルーエルは杭をリロードしながら、兵たちに安易に前に出ぬよう──『死体』を踏み越えぬよう指示を出した。『蘇った』羊たちに盾の壁の内側から食い破られてはかなわない。
「じゃー、みんな。遮蔽とか活かして姿ちまちま隠しながら殴ってこーっ!」
 迫る羊たちの第二の波。歩兵隊は盾の壁を維持しつつ、むしろ後退しながらそれを迎撃した。
 盾の壁は揺るがず──正確には揺らぎつつも立て直しつつ──、羊たちの第二の波もその壁に砕けて散った。

 不意に足を止めた大型ヒツジが、虚ろに落ち込んだ両の眼をのっそりとした動きで右へと向けた。
 応じて足を止めた隊列左側の羊たちが、1体、また1体と大型ヒツジの動きに倣う。
 その先に広がる光景は、いつの間にか自陣を切り裂き走る狼とその乗り手、そして、羊たちを蹴散らす3機の鋼の巨人たち── 敵を見つけた大型ヒツジが、のっそりとその巨体を南へ向け転回させる……

「鞍馬、鞍馬、こちらサクラ。現在、貴方とレグルスさんは敵中に突出し過ぎています。危険です」
 腰につけた通信機から聞こえて来たその警句に、真はややのんびりとした口調で(そうかなぁ……)と呟いた。
 確かにこの羊どもは凶悪で、その速さは四つ足で掛けた時はレグルスにも匹敵するけれど。自分とレグレスの2人ならば囲まれでもしない限りそんなに怖い相手でもない。
「サクラ? 僕たちなら大丈夫。まだもう少し引っ掻き回せると思うんだけど」
「いえ、危険なのは大型ヒツジが……!」
 狼上に北を振り返る。確かにサクラの言う通り、大型ヒツジがこちらへの転回を始めていた。
(喰らいついた……!)
 両手が塞がっていたので、心の中でグッと拳を握る真。瞬間、誰もいないはずの進路の先で、死んでたはずの羊の群れが起き上がり、一斉に飛び掛って来た。
「レグルス!」
 水面から飛び出す鮫の如く飛び出して来た羊を鎌槍で払いながら、真はバンッ、と平手で相棒の背を打った。応じて放たれる『ウォークライ』──空気を震わすその咆哮に身を竦ませた1体の、その隙間を掻い潜るように敵の包囲を脱出する。
「大型ヒツジが喰らいついた。繰り返す。目標がこちらに喰らいついた」
 だが、冷や汗をかく間もあらばこそ。淡々とした声の中に若干の歓喜を弾ませ真がミグに連絡を入れる。
「了解した。全班、これより作戦の第二段階へ移行する。このまま南へ後退し、敵を丘の西側まで誘引する。……聞こえたかの、源一郎?」
「ああ。殿は俺たちが引き受ける。歩兵隊を先に下がらせろ」
 連絡を受け、隊列を維持したまま敵をいなしつつ後退を開始する歩兵隊。ミグとサクラはその隊列から離れ、『見晴らしの良い』丘の上へと後退する。
 戻って来た真たちを迎えて機動戦へと移行しつつ、全体的にはその場に留まり続けて敵の数を減らすAnbar、アーク、源一郎。その周囲で時折、ドォン、と上がる大きな土柱は、ミグが支援に放ったカノン砲。何体かの羊が巻き込まれて土塊と共に宙を舞う……
 こちらへ向き直った大型ヒツジの頭の角が、バチバチと赤く帯電しつつ闇色の光を纏い始めた。その闇光は急速に大きくなると瞬く間に大型ヒツジの眼前に飽和し、莫大な奔流と化して彼我の空間を灼き、薙ぎ払う。
「回避ィ!」
 Anbarの警告の叫び──彼は瞬間的に機のスラスターを全開にしてそれまでいた空間から全力で離脱を図った。同様にその場から飛び退けるアーク機。回避が間に合わぬと悟った源一郎は機に膝を落とさせ、盾の陰へと隠れさせ── 瞬間、闇光の剣が地面を走り、直後に膨れ上がるようにして線上に沿って爆発した。爆風に機位を揺らがせ地面に落ちるアーク機とAnbar機。どうにかその攻撃をやり過ごした源一郎機の盾の表面は泡状に融解していた。
「わ。あれが破壊光線? そんなのあるんだねー。『青龍』と同じ感じだけど、ぶつけたら弱まんないかなー……」
 味方の盾に喰らいついた羊を鉄扇で殴り剥がして、レム。
 人型羊たちは間髪を入れずにCAMらに群がって来た。Anbarは機を片膝立ちに起こしながら、ガトリング砲を乱射して迫る羊たちを薙ぎ払う。その間に側方、背面から迫り、その腕へ、脚へと噛みついてくる羊たち。どういう理屈かガリガリと装甲を削って来るその攻撃にAnbarはチィッ、と舌を打つと、斬竜斧の『峰打ち』でもって機体から引き剥がした。そして、跳び迫る敵をゴルフやテニスの如き動きで次々と打ち払うと得物の刃を立て、阻霊の力を込めた一撃でもって断ち割り、吹き飛ばして包囲を脱出する……


「……あれは敵を誘引しているのか。それとも本気で逃げているのか……」
 ブースターを噴かせて到着した丘の陰から、そっと覗かせた頭部カメラで戦場の様子を窺って── 判断がつかずにクオンが呟く。
「どちらだって構わないさ。作戦通りに敵を誘引できているのなら」
 そう言い、統夜が後方の砲兵隊へ「状況は予定通り」と報告する。
 確かに、と苦笑しながら、クオンは視線を戦場に戻した。……実際、陽動班は見事に敵をこの丘の西へと誘引することに成功していた。破壊光線が届くか届かないかという距離を保ちつつ、大型ヒツジが攻撃を挟む余地のない速さ(メイン+サブ)でもって敵を引きずり回している。
「始めるぞ。『後方』の準備が整った」
 統夜は黒きR6に身を起させると、背部に負った200mm──四連装カノン砲を起動した。クオンもまた『リンクレヒトW2』ツインカノンを構えて機体を丘の陰から表へ出す。
「さて、今回は一応、ツインカノンの初実戦です。砲戦用にしては若干射程が短いですが、その分は高所の利と高精度の攻撃と重装甲で何とかしたいですね」
 戦場と、丘を登って来るミグ機と、そのミグと『連結通話』を果たした統夜と、その後方の砲戦ゴーレム隊とで、最終確認の通話がやり取りされる。
「……これより、丘西部を南進中の敵集団に向けて側面攻撃を敢行する。統夜機、準備よし」
「クオン機、同じく準備よし」
 ん? と丘の上を仰ぎ見る羊── 丘の上でキラキラの何かが光った次の瞬間。陽動班を追いかける羊たちの只中で、立て続けに爆発が湧き起こった。
 地上に咲いた爆炎の華の数は5。そのそれぞれで吹き飛ばされた羊が宙を舞う。
「初弾、命中」
「まあ、どこに撃っても当たりそうではありますが」
 斉射後の装填を行う統夜機の横で、左右の砲で交互射撃を行うクオン機。その操縦席でカメラを大型ヒツジにズームさせたクオンは、その頭がこちらを指向していることに気が付いた。
「砲撃警報!」
 傍らの僚機の肩を叩き、そのまま稜線の陰へと機を滑らせるクオン。統夜もまた機を前へと倒し、そのまま稜線の陰へと入る。
 直後、闇色の破壊光線が丘の稜線を薙ぐ様に焼き払い。爆発によって巻き上げられた土砂が2機の上へと降り注いだ。
「マジか! 直撃でないのに装甲が灼けたぞ!」
「ああ、これは本気で逃げる。間違いなく逃げる」
 言いながら、2機は再び稜線の上に顔を出し、今度は大型ヒツジを狙って砲を一斉に撃ち放った。
 『マルチロックオン』──二門の砲を別々に操作して『頭』と『脚』とを狙ったクオンの砲弾は、二発とも大型ヒツジの胴部に命中し。マテリアルを目に集中させた統夜は、スキルトレースを用いて4発の砲弾全てを大型ヒツジ手前の地面に『跳弾』させ、その腹部へと跳び込ませた。
 巻き起こる爆発── 体毛=錆びたスチールウールがその猛威によって砕け、金属片となって宙に舞う。
 ようやく丘南方の稜線に達したサクラとミグが、互いに顔を見合わせた。砕けて舞う金属片──? もしや、大型ヒツジの体毛はその柔軟性を無くし、以前の防御性能は既に失っているのでは──?

 再び大型ヒツジのが反撃──
 再び稜線へと隠れて破壊光線をやり過ごし。土砂と砕けた岩とに装甲を乱打されつつ、クオンと統夜は再び機体を稜線の上へと晒す。

 大型ヒツジの反撃を受ける危険があっても、2人は攻撃を止めるわけにはいかなかった。
 止めるわけにはいかない、理由があった。

 人型羊の一部が、丘の方へと昇り始めた。
 サクラ機が稜線の陰から機関砲で迎撃の銃火を浴びせる。

 少し離れた稜線の陰に潜んだミグ機はジッと動かない。


 空気を切り裂く甲高い音と共に、飛翔して来た一発の砲弾が。丘を越えて戦場の外れに着弾した。
 それが丘を遥かに越えて、その東に広がる森の中から放たれたものだとは、その戦場で戦う歪虚の誰も気付かなかった。同じ丘の方角からの、クオンと統夜の砲撃に紛れて──
「弾着、遠し── って、おい、幾ら何でも遠すぎるわ!」
「仕方ないでしょ、とりあえず丘に落ちないように最大射程で撃ったんだから!」
「とりあえず10目盛り戻せ」
「10! 確かに遠すぎたわね……」
 再び砲弾は丘を越えて…… 今度の砲弾はより近く──だが、敵の集団からは離れた地点へ。
「弾着──左右は良し。今度は近弾だ。逆に2目盛り」
 こうして観測射撃を繰り返すことによって、次第に砲撃の精度が上がっていく。やがて、幾度もの修正を経て砲弾が敵集団のど真ん中を捉え…… ミグはニヤリと笑って最後の報告を行った。
「前後左右よし──ばっちりだ。引き続き効力射に移る前に、全機で煙幕弾をぶちかましてやれ。羊どもの視界を奪って炸裂弾を避け難くするのじゃ」
 エレンは砲戦ゴーレム全機に1番機と同じ砲角に調整するよう指示を出すと、調整完了の返事と共に砲撃準備の指示を出した。
 耳栓をする砲兵たちに気付いて、慌てて耳を塞ぐ閏。エレンが皆に手刀を切り、同時に操作手全員が砲撃のスイッチを押す。
 大地が割れたのかと思しき轟音と共に、8門の大砲が一斉に『火を噴いた』。
 8発の砲弾は丘を越え、空気を切り裂く幾筋もの音と共に、人型羊主力のど真ん中にほぼ同時に降り注いだ。
 着弾と同時に棚引く煙幕── 何が起こったのか分からぬ間に、続けて炸裂弾の雨が降って来た。マテリアルによってばら撒かれた破片が周囲の羊たちを同心円状に薙ぎ倒し。止むことのない砲弾の雨がまだ無事なものも生き返りも何もかもをのべつ幕なく吹き飛ばす。
「……【蒼】の旦那が言ってた通り、『大砲は戦場の女神』だな。全く。頼りになるぜ」
 恐らく最初にミグから指示が出ていたのだろう。南北に伸びた敵の隊列を舐めるように降り注いだ砲弾が羊たちを薙ぎ倒していくのを目の当たりにして、Anbarが呆れたように呟いた。
「物凄い迫力ですね…… 俺も負けていられません」
 キーンと鳴る鼓膜に目を瞬かせながら、閏もまた符の束を手に這い出す様に森を出て、ハヤテが構築を終えたという西の森の陣地へ向かって走り出す……

 この段になってようやく、大型ヒツジは『宿敵』たる砲兵隊の存在に気付いた。知性を無くした今もなお、倒すべき敵としてのイメージを残している……!
「BMooooow……!」
 大声を発して人型たちの注目を無理矢理自身に集め。自ら率先するように丘の上へと昇り始める。
 それを見た人型たちも、バラバラと丘へと向かい始めた。残ったのは歩兵隊の『壁』に取り付いた──目の前に獲物のいる先鋒の羊たちのみ。どうやら敵は残った全隊をもって砲兵に突撃を仕掛けるつもりだ。

「追うぞ、ここの敵はもう放っておいていい!」
 Anbarは傍らのクオンにそう言うと、ガトリング砲で行く手の敵を掃討しつつ、スラスターを使って一気に引き離しに掛かった。
 源一郎もまたサクラやミグが越えた主戦場の南から丘の斜面を越えて回り込むべくハイパーブーストを起動して、丘の斜面に沿って飛ぶように丘の東側へと移動する。
「ここはもう俺たちだけで支えられる。お前たちも行け」
 盾の壁の後方で負傷者の治療に当たっていたルーエルに、ハロルドがそう声を掛ける。
 はいっ……! とその場を離れようとするルーエル腕を、治療を終えた負傷兵の一人が掴んだ。
「俺も、連れて行ってくれ。戦う……もうこれ以上、故郷を……」
(リベルタース出身の義勇兵か……!)
 察したルーエルはその負傷兵の手を両手でギュッと握ると、大丈夫、と言って落ち着かせた。
「あのデカブツはCAMが倒してくれる。それ以外の敵は……僕らがなんとかする」
 改めて気合を入れ直し、愛馬の鐙に掛けるルーエル。走り出そうとするその直前、戦場から戻って来たレムがその後ろに飛び乗った。
「あたしも乗っけてって」
「ええっ!?」
「だって、アーくん、私を置いて先に行っちゃうんだものー」

 押し寄せる羊たちを砲撃で迎撃していたクオンと統夜も、破壊光線を振りまきながら迫る大型ヒツジの接近に、これ以上、稜線での迎撃は不可能と判断して後退を開始した。それを見てサクラも機体を南の稜線から後退させ。マイクに向かって大声で通信を交わすミグの機体を先導しつつ、防衛線へ合流せんとする。
 稜線を越え、零れた黒いシミの如く斜面を駆け下りる羊たち。クオン機と統夜機は石が川面を飛び跳ねる様に斜面を後退しながら砲撃を続けたが、敵はそれをものともしない。
「やらせはしねえよ! 行くぜ、黒騎士!」
 統夜は機に30mm突撃砲を手に取らせた。そして、斜面が終わった所で後退を止めると、その場に踏ん張りながら、坂を下って来る羊たちへ銃撃を浴びせ掛けた。その間に肉薄して来た別の敵が側方から回り込み、そちらへと振り向けた銃口は、しかし、その銃口にまるで怯まぬ敵の頭突きによって逸らされて。舌打ちした統夜は機に銃を逆手に持たせてその銃床でもって頭部を殴打し。怯んだ所を至近距離からこめかみへ30mm砲を発射する……
 クオンもまた試作刀と盾を手に統夜に並ぶと、突進して来た敵の身体を盾で以って受けると言うより打ち弾き。ヴン、という低い音と共に振るった高速振動刀でもって容易く骨ごと両断する。
「僕にもきっと、出来る事があるはずです……!」
 そこへ、ゴーレム隊の森を出てここまで前進して来た閏が、手にした符にマテリアルを通して一斉に宙へと撒いた。無秩序に舞い降りていた符たちがすぐに列を成して閏の周囲を廻り出し……その中の一枚を人差し指と中指で掴み取り、前方の僚機へ投射する。──札の色は黒。まるで目の様に赤い点が二つあり、鳥の姿になって飛翔する様はまるで一羽のカラスの様──
「閏か!」
 統夜機の側面から飛び掛って来た羊が大口開けて飛び込んで来たところを、その顔面に飛んできて張り付いた符が弾けて防ぎ。休む間もなく二つ目の符を空中から掴み出し、今度はクオン機の背後に回らんとした羊の一撃を止める。
「鳥海さん、鳥海さん。立て続けに何度も痛いと思いますが宜しくお願い致します。今日の自分……少し本気を出しますのでっ!」
 今度は両手で五枚ずつ符を掴み取り。右手、左手と立て続けにクオン機と統夜機の周囲に群がる羊たちの真ん中へと投射した。『五色光符陣』──複数の符で形成した結界の中の敵を、敵だけを光で焼く術だ。空中に規則正しく並んだ5つ符が五芒星を形成し──内部を閃光で満たす。閃光が掻き消え、符も散って……敵の視界が灼かれている間に、閏はごくりと唾を呑み込みながら、2体の巨人と羊たちが戦う戦場へと足を踏み入れた。そして、危険も顧みずに2機の間に割り込み、先程、出発前にお守りとして貼った加護符にマテリアルを通して統夜機、そしてクオン機に対して守護の力を張り付ける(通常使用の別描写)
 3人の奮戦は、だが、大型ヒツジの介入でそれ以上の継続を断念された。速度を上げ過ぎて放り出されるような格好で丘の稜線を越えた大型ヒツジが、ゴムまりの様に跳ねながら斜面を転がり落ちて来たからだ。
 その巨体を前に慌てて退避するクオンと統夜。顔面を蒼白にして身を伏せた閏の頭上を大型ヒツジは飛び越えて。その後、暫し平地を転がってから止まって倒れ込んでクルクルと目を回す大型ヒツジの横を、四つ足で駆けた羊たちがハヤテの最後の守りへ迫る。
「ははは、遅いぞ、羊たち。あまりに時間があったものだから、穴ではなく堀になってしまったじゃないか」
 その堀の淵に立つ愛機Gnome『H・G』の左肩の上に立ち。両手を広げて完成した堀を披露するハヤテ。しかし、洒脱を解さぬ獣たちは、敵前にその身を晒したハヤテとその守りを食い破らんと涎を引きつつ突進する。
 ハヤテは溜息を吐いて頭を振ると、Gnomeに前方に転がっている大型ヒツジへの砲撃を命じた。ゴーレムが背負った全長400cmの魔導アーマー用対空機関砲『CC-01』──Gnome用のアタッチメントで繋がれた砲の後部に弾薬ケースをガシッとはめ込み、人差し指で耳を塞いだ主の下、身体を動かして砲口の向きを調整したH・Gが転がった大型ヒツジへドンッ、ドンッ……! と発砲する。
 迫る人型羊たちにはハヤテは何もしなかった。突撃して来る羊たち。正面に掘られた堀などまるで気にした様子はない。彼らの身体能力なら、容易く飛び越えられる幅だ。堀の傍まで来た羊たちは跳躍しようと地を蹴らんと……
 そうした次の瞬間に、だが、その羊たちは突如として沈んだ足元に反応する間もなく、開けた奈落へ落ちていった。
「ほぅ、穴を飛び越えようとする知能はあったんだね! 驚いたよ! でも、それだけでは僕らを相手にするにはまだまだ!」
 落とし穴だった。あまりにも時間があったものだから、ハヤテは堀の向こう側にもう一つ堀を作っていた。
 ハヤテはゴーレムの肩の上から、敵の落ちた穴に向かって『ブリザード』──冷気の嵐を放り込んだ。動きが鈍くなったところを、今度は『ファイアーボール』──爆裂火球を2個投じてきっちりとトドメを刺しておく。
「ちなみに、これ見よがしに厚く守った後ろの森には『何もない』。……つまり、キミらは自らこちらの思うがままの位置へおびき寄せられたというわけだ」
 ハヤテが言い終わるとほぼ時を同じくして。追撃の為、遅れて坂を下りて来た真とAnbar機、アーク機が、後方から羊らを追い立てるように退路をたった。側方へ逃れようとしたものは、北はクオン機と統夜機に、南は源一郎機とサクラ機によって銃火の網に囚われる。
 羊たちは気付けない。自分たちがハンターたちによって同じ個所に固まるように誘導されていたことを。そして、砲戦ゴーレムが潜んだのとは違う森へと誘導されていたことを。
「効力射!」
 通信機に告げるメグの号令。羊たちが丘を越える前にあらかじめ標定射撃を済ませておいた場所──今、羊たちがいる場所へ向けて、再び大砲が火を噴いた。
 敵は逃げない。故に、最小射程ギリギリ、ほぼ真上から降り注いだ砲弾の雨を──殺戮の豪雨をまともに、無防備に浴びてしまった。
「せっかく砲撃支援があるんだ。それを活かさない手はないよな」
 再び現れた『戦場の女神』の威力をまざまざと見やりながら、呟くAnbar。一通り砲撃が終わった時──生き残った羊は殆どいなかった。
「……もう大人しく眠りにつかないとダメじゃない。羊の姿をしてるんだから猶更さ」
 僅かに残った生き残りを『レクイエム』で縛りつつ。聖なる閃光にて止めを刺していくルーエル。──まあ、もっとも、キミたちの姿で数を数えてもぐっすり眠れなそうだけど。


 戦場に、大型ヒツジだけが残っていた。
 他の全ての羊は死んで、虚空に溶けて消えてしまった。

 ただひとりきりになってなお、大型ヒツジは戦う事を止めなかった。
 先の砲撃によって、宿敵たちが潜む本当の場所を知り。よろめく身体を震わしながら、そちらへ向け歩み出す。

 既に勝敗は決していた。故に、これは掃討戦── ただ一匹残った大型ヒツジを滅ぼす為の。だが、大型ヒツジにも意地の張りようは残っている。射程に捉えさえすれば、砲戦機の何機かは道連れに出来るやもしれぬ。

 ハンターたちが突撃する。
 真は再びレグルスと共に大型ヒツジに肉薄し、咆哮を浴びせ掛けつつ、その顔面に幻獣砲を撃ち込み、注意をこちらへ向けようとうする。
 だが、羊は止まらない。CAM隊が左右から挟み込んで激しく砲火を浴びせ掛け、錆びた体毛が周囲に飛び散り、無様な姿を晒してもなお。
 ヒツジの両角に闇光が集まり……拡散破壊光線を全周へ向けて浴びせ掛けた。闇色に煌く一撃を閏が符で受け止めて。再度発砲しようとしたところをミグが機関砲弾に直撃され、角が砕けて爆発が起こる。
(多少の無茶は許容範囲。私自身が撃たれても、ゴーレムを破壊されるよりはマシだ……!)
 味方の砲撃の合間を縫って、ありったけの『ソウルエッジ』でヒツジの脚を斬りつけて…… やがて倒れた大型ヒツジも、他の羊たちと同様、この世に何も残さずに消えていった。

依頼結果

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参加者一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテ(ka0004
    エルフ|26才|男性|魔術師
  • ユニットアイコン
    コクレイゴーレム「ノーム」
    H・G(ka0004unit001
    ユニット|ゴーレム
  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    フォボス
    Phobos(ka0018unit001
    ユニット|CAM
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    ハリケーンバウユーエスエフシー
    ハリケーン・バウ・USFC(ka0665unit002
    ユニット|CAM
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • ユニットアイコン
    アールセブンエクスシア
    R7エクスシア(ka2598unit003
    ユニット|CAM
  • 願いに応える一閃
    Anbar(ka4037
    人間(紅)|19才|男性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    アルタイル
    アルタイル(ka4037unit001
    ユニット|CAM
  • 【魔装】希望への手紙
    瀬崎・統夜(ka5046
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • ユニットアイコン
    シュバルツ
    黒騎士(ka5046unit001
    ユニット|CAM
  • 招雷鬼
    閏(ka5673
    鬼|34才|男性|符術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    レグルス
    レグルス(ka5819unit001
    ユニット|幻獣

  • 門垣 源一郎(ka6320
    人間(蒼)|30才|男性|疾影士
  • ユニットアイコン
    マドウガタデュミナス
    魔導型デュミナス(門垣機)(ka6320unit001
    ユニット|CAM
  • キャスケット姐さん
    レム・フィバート(ka6552
    人間(紅)|17才|女性|格闘士
  • 決意は刃と共に
    アーク・フォーサイス(ka6568
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
  • ユニットアイコン
    ハバキリ
    羽々斬(ka6568unit001
    ユニット|CAM

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/03/26 21:18:29
アイコン 相談卓
閏(ka5673
鬼|34才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2017/03/28 20:29:51