イルムさんの休日大作戦!

マスター:えーてる

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~12人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2014/10/23 22:00
完成日
2014/10/28 11:48

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 ある夕方、斜陽に赤く染まったヴァリオスの街にて。
「休日、ですか」
 眼鏡の似合う冷徹受付嬢イルムトラウト・イトゥリツァガは、少々困ったように眉根を寄せた。
「すみません、既に予定で一杯ですね。次の休日ではどうですか?」
 すげなく断られ、ハンターたちは肩を落とした。
 きっかけは大したことではない、ちょっとした雑談である。休日暇をしていた奴らが集まってあーだこーだと言っている中、仕事帰りのイルムとばったり出くわした、それだけの話だ。
 今からなら酒を嗜むくらいであれば、ということで一同はひとまず場所を酒場に移した。
 酒場と言っても、流行の最先端を担うヴァリオスの酒場である。落ち着いた内装の店は食事も美味であり、イルムの行きつけらしかった。
 十人近い人数である。ちょっとした宴会だった。
 彼女はかなりザルである。一気飲みなんてはしたない事はしないけれど、大ジョッキをぐいぐい傾けてすぐさま空にすると、イルムは平然と次を頼んだ。流石のドイツ人である。無表情に酒を煽る姿はいっそ機械か何かか。
 食べて飲んでと会話が弾む中で、ふと誰かが「イルムの休日の予定って?」と酒の勢いに任せて尋ねた。
 もしや男かと色めき立つ中、いえいえ、とイルムは苦笑した(風に口元を緩めた)。
「あまり面白いものではありませんよ?」
 と前置きして語られる、イルムの私生活とは――。
「午前中に、近所のマダムの飼っている子猫がいなくなったらしいので、その子を探しに行きます」
 人助けか、と誰かが落胆した。
「それから、最近依頼を受けた孤児院へちょっと出向いて、子供たちと少し遊んできます」
 近所のいいお姉さんじゃん、と誰かが呟いた。
「友人の務めるファッションショップが人手が足りないということで、午後はそちらのヘルプに入って」
 ……この辺りから、雲行きが怪しくなってきたのを誰もが感じた。
「後輩の恋愛相談に乗ったあと、夜は合コンの数合わせに向かって、その後知り合いのオーナーに頼まれてバーのヘルプに入り、後は趣味の天体観測……」
 待て待て待て!と制止が入り、イルムはきょとんと首を傾げた。
「どうかしましたか?」
 どうかも何も、休日だよな?という確認に、イルムは頷いた。
「休日ですが」
 休んでねぇだろ、と総ツッコミを受ける彼女は、またしても首を傾げた。予定かつかつってレベルではない。そもそもそれは一人で終わらせられる仕事の分量なのか。などと質問が乱舞する中で、とある人物が口にした。
 ――もしかして、いつもそんな感じ?
「ええ、大体いつも人助けを……あ、安心してください。皆さんの依頼を奪っているわけではありませんから」

 ハンターたちは決意した。
 なんとしてでも、この行き過ぎた善人を休ませてやらねばならない――!

 イルムトラウト休日大作戦、発令である。

リプレイ本文


 朝の活気が訪れる少し前の頃。レイン・レーネリル(ka2887)とリアリュール(ka2003)は、イルムトラウト・イトゥリツァガ(kz0067)を連れて街へ散歩に出ていた。
 爽やかな空気を胸一杯に吸ってレインは大きく伸びをする。
「私服のイルムさんって新鮮だね」
「普段制服だしね」
 小首を傾げるイルムに、リアリュールは微笑んだ。
「私も星を見るのが大好きなの。星見によさそうな場所を一緒に探さない?」
「目星はつけてありますよ。行ってみますか?」
 今日はイルムを何かに釘付けにする必要があり、リアリュールはまず散歩を提案したわけだ。
 家を出てすぐ、大きな邸宅が目につく。件のブラン邸である。イルムの顔がじーっとそっちを向いているのを、リアリュールは体で遮った。
「今日は、私と約束したわよね?」
「えっ、はいその、そうですね……」
「さ、どんどん行こー!」
「レインさん、あまり引っ張らなくても歩けますから……」
 レインはイルムの手をぐいっと引いて、その場を離れさせた。

「ンまぁ! それで、イルムさんの代わりに皆様が来てくださったんザマスね?」
 その邸宅の中。真白・祐(ka2803)、園藤 美桜(ka2822)、アルフィ(ka3254)の三人は、マダム・ブランの子猫探しにやってきていた。
「そうだよ。皆ハンターだから安心してね、マダム!」
「おう、子猫はちゃんと見つけてくるぜ!」
 二人の言葉に、三角眼鏡のマダム・ブランは満面の笑みでザマスザマスと頷いた。
「猫の名前と、特徴を教えて欲しいんですが」
「勿論ザマス! ささ、こっちへ」
 マダムは絵画を見せ、親猫を見せ、名前やら生まれてからのエピソードを長々語ろうとした所で美桜に丁重に遮られた。
「栗色の毛並みで、名前はマロンちゃんと」
「よし、早速行こう!」
 意気揚々と三人は街に繰り出した。調査の基本は足である。アルフィは道行く人に子猫の特徴を聞いて回った。
「好物などで釣れませんか?」
「ボクもそう思って、ちょっと持ってきたよ」
 塀の上や日向などを確認しながらの美桜の言葉に、アルフィが懐から煮干しを取り出す。
「こういった事をしていると、リアルブルーにいた頃を思い出しますね」
「こっちでもこういう話あるんだなあ……」
 祐は道端の猫じゃらしを摘み取った。美桜とは紅界に来る前からの仲間である。
「いた! 屋根の上!」
 アルフィが指差す先にでは、栗色の猫が丸まって寛いでいた。
 家主に一言断りを入れて屋根上に登り、アルフィは呑気に欠伸する子猫に餌をちらつかせる。
「ほらほら、ご飯だよー」
 釣られてガン見する子猫を祐が後ろからひょいっと持ち上げた。
「よっし捕まえ……いでででで!?」
 驚いた猫が爪を立てたが、祐は手を離さなかった。
「だ、大丈夫?」
「いてて……きっついけど、俺って男だしな」
 ともあれ捕獲完了である。捕まえた子猫をマダムに渡すと、彼女はザマスザマスと出迎えた。
「ンま! こんな短時間で捕まえるなんてハンターさんは優秀ザマス!」
「いやぁ、それほどでも」
「感激したザマス! こちらちょっとしたお包みザマス、そのお怪我も手当するザマスよ!」
 あれこれと駆け回るマダムを前に、三人は顔を見合わせた。

 孤児院はヴァリオスの南に位置する郊外に存在した。
「お久しぶりです、皆さん」
「よう、お前ら。悪役のお姉さんがまた来たぞ!」
 セレス・カルム・プルウィア(ka3145)が一礼すると、わっと子供たちが声を上げた。
「ナレーションのお姉さんだ!」
「悪いおねーちゃん!」
 彼女とジオラ・L・スパーダ(ka2635)は、先日孤児院でちょっとした劇をやってみせたことがあり、おかげで大人気だ。
 すぐさま出来上がった輪を見やって、ウルヴァン・ダイーヴァ(ka0992)は輪の外にいる子供たちに目をつけた。丁度その辺りで孤児院からシスターがやって来た。
「どうも、シスター。今日はイルムの代理で来た」
 ウルヴァンがひとまず挨拶する横に、子供たちに囲まれながら二人もやってくる。
「イルムはちょっと働き過ぎだからな、無理矢理休ませてる」
「なるほど……分かりました。よろしくお願いしますね。皆さんも、ハンターの方々の迷惑にならないようにしましょうね」
 はーい!と元気よく子供たちは答え、ハンターたちも各々子供たちを集めて輪を作った。
「そうだ、イルムとは普段どんな遊びをしてたんだ?」
「んとねー、かくれんぼとか?」
「運動ニガテだってー」
 ジオラの問いかけに、インドアに寄った内容が返る。
「けど、あたしは運動大得意だぞ! 何して遊びたいか言ってみろー!」
 どっと湧いてあれこれと主張する子供たち。
「よーし、じゃあ鬼ごっこだ!」
 ジオラは活気溢れる子供たちと鬼ごっこしたり肩車したりと体を張って動き回った。活力を持て余す子たちは笑顔でジオラにじゃれついたりはしゃいでいる。
 セレスは自作した紙芝居を披露していた。
「――そして、悪いヴォイドはやっつけられて、村は平和になりましたとさ。めでたしめでたし……」
 聞き入っていた子供たちは、結びの言葉と同時に掌が赤くなる程拍手を始めた。
「面白かったー!」
 叫ぶ子供たちの笑顔が劇の時と重なって見えて、セレスは少し目頭を抑えた。
「おねーちゃん、どうしたの?」
「いえ、皆さんが喜んでくれて、嬉しいんですよ」
 子供たちは花が咲くような笑みを浮かべ、セレスはそれを感極まったように見つめていた。
 輪に入る機を逃した子供たちには、ウルヴァンが向かっていく。彼はリアルブルーの知識や風景などを語って聞かせた。
「そうだな。先日フマーレにワニという動物が現れてな……」
 いつも通りに淡々と話すウルヴァンの珍しい話の数々に、子供たちは興味津々で身を乗り出して聞いていた。
「向こうでは珍しくもない動物なんだが、白いワニは中々見なくてな。今はフマーレの何処かで飼われているらしい」
 外の世界への思いを巡らせる子供たちへ、彼は更なる話題を提供し続ける。
 三人のおかげで、子供たちは満足したようだった。


「すみません、少し遅れてしまいました」
「と思って、店長には一言伝えておいたわ」
 リアリュールはイルムの面倒をレインに任せ、セレスと共に服飾店の店員を代わっていた。ヴァリオスは服飾の街、流行の最先端である。
「どうでしたか、イルムさんは」
「目を離すとふらっと迷子を見つけてきたり、大変だったわ」
 いっそこちらから話を振るべきとファッションについて尋ねると、懇切丁寧に教えてくれたらしい。
「今日の服、お墨付きもらっちゃった」
「私もよくお似合いだと思いますよ」
 合間合間に情報交換しつつ、二人はキビキビ働いた。リアリュールはイルムの助言を元に、自分のセンスを織り交ぜて。セレスは蓄えた知識と話術を使ってだ。
「んもぉー、売上好調! ねぇアンタたち、うちで働かなぁい? ヴァリオスの星目指せるわよぉ!」
 と店長(細身のオカマ)に絶賛されて、二人は顔を見合わせて笑いあった。

 その頃、レインは一人苦戦していた。広場のベンチに腰掛けてイルムの制止を試みている。
「時間を無駄に浪費するなんて贅沢、滅多に出来ないじゃない。ね?」
「分かってます。分かってますけど、落ち着かなくてですね」
「他にないのかなぁ、落ち着く趣味とか」
 お悩み相談という形で何度か足止めを試みるも、彼女のスピード解決ぶりにレインは苦戦していた。そわそわと街中を見回すイルムを引き止めるべく、次の悩みを捻り出すレイン。
「あ、そうだ。イルムさんまた相談なんだけど」
「はい、なんでしょう」
 目が輝いてるんだよなぁ、と思いつつ、レインは名案を口にした。
「私の好意を無碍にしようとする人が目の前にいるんだけど、どうしたらいいかなー」
「う」
「私、悲しいなー」
 動きの止まった彼女の顔をレインは覗きこんだ。
「今日くらいは私と一緒にぐだぐだしてよー。人助けとか関係ない休日をイルムさんに楽しんで貰いたいんだよー」
 こう言われてはイルムも無理は言えず、ベンチに腰を落ち着ける他なかった。

「何やってんだか……」
 イルムの様子を遠巻きに眺め、オウガ(ka2124)は苦笑した。彼は広場に面した喫茶店の前で待っている。中では彼の恋人、フィリテ・ノート(ka0810)がイルムの後輩の相談に乗っているのだ。
「あー……何話してんだろ」
 待ってるからと言いはしたが中の様子がどうしても気になる。オウガはちらっと視線を送った。中では和やかに会話が続いているようだった。
「ヴェールさんと同じでね、幼馴染に告白されたの」
 フィリテはそう切り出すと雑談ムードは鳴りを潜めた。
「想像してみたの、あたし以外の女の子と並んで歩いてたら、どう思うだろって」
「……どう、だったんですか?」
 ヴェールは大人しく読書の似合うような少女だった。フィリテとそう年は変わらない。
 おずおずと聞いた彼女に、フィリテは微笑んだ。
「とっても嫌だったから、告白し返して恋人になったの」
 ちらりとフィリテは視線を店の入口へ向けた。
「その男の子の事、時間かけて考えるといいんじゃないかしら? 結論が出るまで待っててくれると思うわ」
 その言葉に少女はきゅっと胸を押さえた。それを見てフィリテは、ぱちりとウィンクを一つ投げた。
「あ。不安になるだろうから、待っててねって言ってあげてね」
 ややあって、喫茶店から出てきたフィリテに、オウガはぱっと顔を輝かせた。
「お待たせ」
「ぜんっぜん待ってないぜ。じゃ、行こうか?」

 どちらからともなく二人は手を繋ぎ、雑踏に紛れていった。

 その頃、イルムは大変にそわそわしていた。
「あの果物屋の商品に荷物がぶつかりそう……あの人靴紐が……看板が倒れそうで危ないですね……」
「き、禁断症状だこれ……」
 放っておくと人助けに邁進しそうだが制止させるとこの調子なので、休ませるためにもレインとジオラは駆けまわる羽目になった。
 薄々感づいていた事だが、イルムはじっとしているのが苦手なのだろう。出来る事が多すぎて逆にやらなくては落ち着かない、因果な体質である。が、それに付き合わされる側も溜まったものではない。
「あー疲れた」
「お疲れ様です。どうぞ」
 ベンチにどかっと腰掛けたジオラに、イルムはお茶を差し出した。
「あぁ、ありがと……じゃなくて、お茶とかあたしらで用意するって」
「そ、そうですか?」
 目に見えて、でも少しだけ困った顔をするイルム。これはこれで貴重な表情なのだが、からかう余裕はない。
「子供と遊ぶより疲れるな……」
「うっ」
 だがジオラの何気ない呟きが、イルムの胸を突き刺した。
「あ、すまん悪気はなくて」
「いえ、いいんです……落ち着きがありませんね、私は……分かってるんです、分かっては……」
「イルムさん、キャラが違ってるって!」
 夕方の一幕であった。

 三河 ことり(ka2821)と御崎・汀(ka2918)は合コンの数合わせにやってきた。
「数、溢れてるんだけど」
 イルムの友人らしいハンターの女性は呆れた顔をした。
「美味しいもの食べさせてもらえるって聞いたの」
「わ、私やっぱり無理です、ことりちゃん」
 おどおどとことりの袖を引っ張る汀。女性はぽりぽり頭を掻いた。
「まぁいいか。とにかく、私が男を捕まえる助けになってくれればいいわ」
「分かったの、ご飯食べるの」
「は、はい、それくらいなら……出来る、かなぁ」
「まぁ、男の世話焼かない分イルムよりはマシか……よおし行くわよ! 戦場へ!」
 そして。
「男の人とお話、色々調べてきたの」
 天体に関するリアルブルーの専門知識を長々と語りまくって引かれることり。自分を下げることで相対的に依頼主を持ち上げるという「こうどなさくせん(棒読み)」だ。
「わ、私なんかで迷惑なんじゃ……」
 汀は顔もろくに上げられずおどおどとしていたが、その様子が逆に男の保護欲を掻き立てた。リアルブルー出身の物珍しさもあって汀に注目が集まり(もう片方はほら、作戦がね?)、汀が更に混乱するという循環が始まった。
「で、宇宙ってすごいの。楽しいの。汀ちゃんも、何か話してほしいの」
「え、ええっ!?」
 と、始終あたふたする汀に和む会になった。依頼主はハンカチを噛んでキーッてしていた。


「いらっしゃいませー!って」
 フィリテの挨拶が酒場に響き、ついでヘルプの三人、オウガ、ウルヴァン、美桜は目を見開いた。イルムたち十人が突然やって来たのだ。
「突然どうした」
「ボクら用事を済ませたから、晩御飯ここで食べようってなったんだ」
 アルフィの言葉に、ウルヴァンはなるほどなと頷いた。
「で、注文はどうする?」
 年長者は酒で未成年はジュース、後は各々食事を頼んだ。
 先日イルムと飲みに来た、彼女行きつけの居酒屋である。
「そういえば、お酒は好きですね」
「……流石に一日中飲ますわけにもいかないしな……」
「イルムさん、ザルだよねぇ」
 からから笑うレインの横で、ジオラは机に突っ伏した。あの後少しは改善したが、依然イルムの制止は体力と神経を使ったのである。
「イルムさん、ダメよ?」
「なんのことでしょうか」
 ヘルプしたそうに店を眺めるイルムに、リアリュールは釘を差した。
「こちらジュースです、どうぞ。お酒はお待ちください」
「ありがとー」
 美桜が置いた林檎ジュースをアルフィは受け取った。
「結構、品数があります……また客として来たいですね」
 皆一様に頷いた。
「へいっ、おー待ちー♪」
「ごめんなさい。少し時間を貰っても構わないかしら?」
「鶏のステーキとエール、お待ちどうさん」
 ぱたぱたと働く彼らが仕事を終えた頃には、夜もかなり更けてきていた。

「わぁ……!」
 ヴァリオス郊外の小高い丘の上。草原にシートを敷いて、皆で空を見上げていた。
「空の星……街の灯を天に映したかの如くですね」
 セレスもうっとりと呟く。
「景色の移り変わりだけは、飽きずに眺めていられるんです」
 イルムがぽつりとこぼした。
「夜にしかできん趣味だから、昼の間は予定があってもいいということかもしれんが……」
 イルムは苦笑して、それもありますと答えた。
「こうやって夜空見上げるのも久しぶりだ。故郷を思い出すな……」
 ジオラが呟く。彼女は普段居酒屋で朝まで働いているのだ。
「エルフハイムは森の中だから、樹にさえぎられて星空があんまり見えないんだよね」
「あぁ、それもあるな」
 アルフィの言葉にジオラは頷いた。
「なぁことり、星座とか分かるか?」
「向こうと全然違う空なの」
 いつもの四人組。祐の問いにことりは首を横に振った。
「不思議……でもないですね」
「やっぱり、別世界なんですよね」
 美桜の呟きに汀は答えた。
「イルムさん、こっちの星について教えてほしいの」
「お姉さん達は、星座とか星の名前とか知ってるのっ?」
 ことりとアルフィが身を乗り出して尋ねた。
「私もかじってはいますが、恐らくセレスさんの方が」
 イルムが示すと、セレスは穏やかに微笑んだ。
「私で良ければ、幾らでもお聞きください」
 ことりは息せき切ってセレスに質問を浴びせかけ、セレスは穏やかにそれに答える。
「へー。星ってこんな風に見るんだなあー」
 皆からは少し離れた所で、フィリテとオウガは手を握り合って身を寄せていた。
「寒いわ。こんなに寒いなら、マフラーでも身に着け……きゃっ!?」
 突然肩に手を回されて驚くも、顔を真っ赤にするオウガにフィリテはくすりと笑った。
「うん。寒さ、吹き飛んじゃったわ」
「ほ、星、きれー……だよなっ!」
「良い星空ねー。うん。本当にいい星空」

 ややあって、リアリュールは小首を傾げてイルムを見た。
「イルムさん、今日はどうでした?」
「幸せな一日でした。少々お恥ずかしい所をお見せしましたが……」
 レインがその言葉にぷっと噴き出した。
「今度は、もう少し自分で休めるように頑張ってみます」
「休むことを頑張ると言ってる辺り、先は長そうだな……」
 ウルヴァンの言葉に、イルムは口元を僅かに緩めて、少しだけ眉根を寄せて、困ったようなこそばゆいような、そんな笑みをみせた。

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MVP一覧

  • 恋人は幼馴染
    フィリテ・ノートka0810
  • よき羊飼い
    リアリュールka2003
  • ビューティー・ヴィラン
    ジオラ・L・スパーダka2635
  • 星々をつなぐ光
    アルフィka3254

重体一覧

参加者一覧

  • 恋人は幼馴染
    フィリテ・ノート(ka0810
    人間(紅)|14才|女性|魔術師
  • 戦場の美学
    ウルヴァン・ダイーヴァ(ka0992
    人間(蒼)|28才|男性|機導師
  • よき羊飼い
    リアリュール(ka2003
    エルフ|17才|女性|猟撃士
  • 援励の竜
    オウガ(ka2124
    人間(紅)|14才|男性|霊闘士
  • ビューティー・ヴィラン
    ジオラ・L・スパーダ(ka2635
    エルフ|24才|女性|霊闘士

  • 真白・祐(ka2803
    人間(蒼)|18才|男性|機導師

  • 三河 ことり(ka2821
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 局地的雨女
    園藤 美桜(ka2822
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人
  • それでも私はマイペース
    レイン・ゼクシディア(ka2887
    エルフ|16才|女性|機導師

  • 御崎・汀(ka2918
    人間(蒼)|18才|女性|魔術師
  • 麗しきストーリーテラー
    セレス・カルム・プルウィア(ka3145
    エルフ|26才|女性|魔術師
  • 星々をつなぐ光
    アルフィ(ka3254
    エルフ|12才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/10/22 23:32:02
アイコン 休日大作戦! 相談卓
アルフィ(ka3254
エルフ|12才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2014/10/23 21:42:11