ゲスト
(ka0000)
【初心】大穴周囲の植物雑魔退治
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- LV1~LV20
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/14 19:00
- 完成日
- 2017/04/18 19:09
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
グラズヘイム王国東にあるリンダールの森。
とあるエルフの集落付近に、植物雑魔の巣のようになった大穴の存在が確認された。
エルフ達はこの対処の為にと準備を進めているのだが、この間までこの地に詰めていた聖堂戦士団が今、別の雑魔対処に出てしまっていること、そして、多くのハンター達の力を借りたい状況である為、暫くの時間を稼ぎたいと考えている。
「そこで、新人ハンターの皆さんにお力をお借りしたいのですー」
王都イルダーナのハンターズソサエティ。カウンター内から、金髪ウェーブヘアで糸目の女性、シェリーがハンター達へと依頼を斡旋する。
現状、ハンターの数が足りていない状況。実戦経験の浅いハンターをメインに、経験を積んでもらおうというハンターズソサエティの意向もあり、新人ハンター向けの依頼が出ている。
「今回は依頼内容としても合致しますのでー、こうした形での依頼を頼むことになりましたー」
場所は、リンダールの森、エルフの集落南にある大穴だ。
直径は6~7メートルほど。穴は片側からやや急な斜面となり、地中に続いている。この中は現状、植物雑魔が数多くいると見られている為、後々、準備が整い次第、エルフ達はこの大穴の探索依頼を出すとのことだ。
「この大穴の外にいる植物雑魔退治が、今回の依頼ですー」
穴の外には、植物雑魔が6体ほど出ているようだ。これを駆除し、当面の懸念を消しておきたい。
植物雑魔は枯れ木や倒木などに枯れ草が撒きつき、人型のようになった雑魔だ。その身長は大体成人男性と同等くらいだ。
敵は獲物と定めた相手の手足を蔓草で締め上げ、別の蔓草で突きを繰り出し、枝で殴打して相手を倒そうとする。
「倒されたら、養分にされちゃいそうですねー。怖いですー」
ただ、これまでも幾度かエルフ達が依頼を出しているが、連携を行うことで、植物雑魔達は倒すことが出来るはずだ。経験の浅いハンターにとっては、手頃な実戦経験の相手とも言える。
だが、ここで注意点は2つあるとシェリーは言う。
まず、大穴内には立ち入らないこと。無闇に立ち入ると、中にいるであろう植物雑魔達によって穴の奥へと引きずり込まれ、命の危険すらありうる。現状は外側の雑魔退治に専念したい。
また、雑魔討伐後は速やかにこの場を離れたい。新たな雑魔が湧き出る可能性もある。自分達の身を守る為にも、怪我を負った戦闘後の状態であれば、無理は禁物。引き際を見定めるのも、ハンターとしては重要なのだ。
「ご武運をお祈りしていますー。ご無理はなさらずにー」
シェリーはにこやかな顔で、現地に向かうハンター達へと手を振るのだった。
グラズヘイム王国東にあるリンダールの森。
とあるエルフの集落付近に、植物雑魔の巣のようになった大穴の存在が確認された。
エルフ達はこの対処の為にと準備を進めているのだが、この間までこの地に詰めていた聖堂戦士団が今、別の雑魔対処に出てしまっていること、そして、多くのハンター達の力を借りたい状況である為、暫くの時間を稼ぎたいと考えている。
「そこで、新人ハンターの皆さんにお力をお借りしたいのですー」
王都イルダーナのハンターズソサエティ。カウンター内から、金髪ウェーブヘアで糸目の女性、シェリーがハンター達へと依頼を斡旋する。
現状、ハンターの数が足りていない状況。実戦経験の浅いハンターをメインに、経験を積んでもらおうというハンターズソサエティの意向もあり、新人ハンター向けの依頼が出ている。
「今回は依頼内容としても合致しますのでー、こうした形での依頼を頼むことになりましたー」
場所は、リンダールの森、エルフの集落南にある大穴だ。
直径は6~7メートルほど。穴は片側からやや急な斜面となり、地中に続いている。この中は現状、植物雑魔が数多くいると見られている為、後々、準備が整い次第、エルフ達はこの大穴の探索依頼を出すとのことだ。
「この大穴の外にいる植物雑魔退治が、今回の依頼ですー」
穴の外には、植物雑魔が6体ほど出ているようだ。これを駆除し、当面の懸念を消しておきたい。
植物雑魔は枯れ木や倒木などに枯れ草が撒きつき、人型のようになった雑魔だ。その身長は大体成人男性と同等くらいだ。
敵は獲物と定めた相手の手足を蔓草で締め上げ、別の蔓草で突きを繰り出し、枝で殴打して相手を倒そうとする。
「倒されたら、養分にされちゃいそうですねー。怖いですー」
ただ、これまでも幾度かエルフ達が依頼を出しているが、連携を行うことで、植物雑魔達は倒すことが出来るはずだ。経験の浅いハンターにとっては、手頃な実戦経験の相手とも言える。
だが、ここで注意点は2つあるとシェリーは言う。
まず、大穴内には立ち入らないこと。無闇に立ち入ると、中にいるであろう植物雑魔達によって穴の奥へと引きずり込まれ、命の危険すらありうる。現状は外側の雑魔退治に専念したい。
また、雑魔討伐後は速やかにこの場を離れたい。新たな雑魔が湧き出る可能性もある。自分達の身を守る為にも、怪我を負った戦闘後の状態であれば、無理は禁物。引き際を見定めるのも、ハンターとしては重要なのだ。
「ご武運をお祈りしていますー。ご無理はなさらずにー」
シェリーはにこやかな顔で、現地に向かうハンター達へと手を振るのだった。
リプレイ本文
●
グラズヘイム王国、リンダールの森。
この地にあるエルフの集落の南にある大穴を目指し、まだまだ戦闘経験の浅いハンター達が向かっていた。
「ふーん、今度のは、植物の雑魔をぶち倒せばいいんだな? まっかせてくれよ!」
意気込む竜胆(ka6789)。彼女は孤児院で草むしりや竹割りをしていたそうだが。……どうやら、今回のお仕事はちょっと、いや、かなり趣旨が違うらしい。
「……え、そういうのじゃないのか? むぅ、どう違うんだ……?」
仲間から総突っ込みを受ける彼女は、首を傾げてしまっていた。
「それはともかく、大穴、気になるな」
メンバーの中ではセルゲン(ka6612) のみ、以前、森に現れるヤギ雑魔との交戦を行っていた。聞くところによると、憤怒の歪虚も暗躍しているのだとか。
(奥に、一連の騒動の黒幕が潜んでたりするのか?)
セルゲンは今回の事件について考えるが、今は目の前の依頼が先だろう。
「皆、よろしくね!」
王国の地下アイドルを自称するViVi(ka6802) は仲間に対し、チャーミングに挨拶する。
「……まだまだあたしも未熟だからね。鍛錬のつもりで一生懸命頑張るから、みんなも宜しくね」
「ああ」
明るく挨拶を返す、サクヤ・フレイヤ(ka5356)。玄武坂 コウ(ka5750)もぶっきらぼうに返事する。
(戦闘経験は正直まだまだ少ない。しかも、少人数での戦闘は未経験)
今回の依頼は、いい経験になるかもしれないとコウは意気込む。
「援護に徹して状況把握とおびき寄せ、できる事をやらないとね……」
本格的な討伐依頼が初めてのミリア=シャートラウム(ka5766)。慣れない仕事ではあるが、彼女はさほど気負いもしていない様子だ。
「新人に求められるのは、速度よりもしっかり確実にお仕事をこなすことだと思うんだよ!」
メンバーで最年少と思われる雅・彩楓(ka6745)もまた、元気に叫ぶ。
「さーて、今日も頑張るよ!」
思いっきり腕を振り上げる彩楓に応じ、仲間達は思い思いに意気込みを見せる。
そこで、六道銭 千里(ka6775)は1つ溜息をつき、5円玉を取り出した。
「上手くいくか占っとこうか……」
彼が試すのはシンプルなもの。トスをして出たのは……稲穂の柄、五円と書かれた側。一般的に表らしい。
それは、千里にとって良い結果だったようだが、占い通りになることを願いながら彼は仲間と共に現場へと向かうのである。
森を歩く8人のハンター達。
サクヤの提案でメンバーは2班4人ずつに分かれることとなり、作戦に当たって役割分担を詰める。
「各班、遠距離の人に1体ずつ釣り出してもらって叩けるといいな」
彩楓が仲間達へと告げる。A班は千里が、B班はミリアがその役割につく。
「なんにしろ、援護役に回る、或いは多人数の行動も慣れてないですからね……」
いかに戦場に慣れるか。そして、いかにリラックスして援護ができるか。そう考えるミリアの表情は思いのほか明るい。
また、彩楓は近接攻撃しかできない為、前衛で頑張ろうと考えている。彩楓を含むA班は他に、竜胆とサクヤがいた。
「……前の方頼んだわ」
女性に守られる形となるのは、男性として……そんな考えを抱きながらも、千里は自身の役割を果たそうと考える。
程なく、メンバー達は森にぱっくりと開いた大きな穴を発見する。
「お、そろそろか?」
火がボワッと出る斧でババッと燃やして……と胸を張っていた竜胆だったが。大穴周辺にいたのは、枯れ木に蔓草が手足のように巻きついて人型のようになった植物雑魔の姿。
「……って、人型だったのか!? せ、説明ちゃんと聞いとけばよかった」
慌てるA班竜胆に対し、B班側では、覚醒してスポットライトのような光に包まれたViViがA班とは逆方向へと躍り出る。
「巨大な洞穴のセットの前で華麗に踊る! そう、ViViちゃんよ!」
身に纏う衣装を華やかに見せながらも、ViViは大穴周辺で蠢く植物雑魔達に呼びかける。
穴の周りにいた植物雑魔の反応は距離の差もあって反応はバラバラ。ViViは上手く誘導できず、足元の石を拾って投げつける。
「ちょっと! あたしを無視するなんてどこに目を付けてるわけ!?」
そうは言うものの、植物雑魔に目は存在しない。
「ミリア、誘引を頼む」
大穴の手前側に開けた場所。セルゲンはそちらに植物雑魔の誘い込みを考えて呼びかける。
(ここなら、多少敵味方が入り乱れても……)
そのミリアは狙いやすさを考え、樹上へと陣取っていた。右目と右掌に光を灯らせた彼女は、自身の身長よりもやや大きな蒼弓「ヴォジャノーイ」を引く。
そちらに1体近づく敵を見て、練り上げたマテリアルを纏うコウが前線で構えを取っていた。
再び、A班。
「……いやでも! やる事は変わらねえぜ!」
吹っ切った竜胆の手足に紅い帯状の光が纏い重なる。籠手と脚甲を象ったそれらは覚醒が完了した瞬間に花びらとなって弾け消えた。
「オラオラ雑魔共っ! この竜胆さんが相手だ! 燃やされたいやつからかかってきやがれっ!!」
「それじゃあこちらも、しっかり引きつけ役こなさしてもらおうかな……」
紅く瞳を変色させた竜胆が敵を挑発するところに、千里が燃え上がる符を投げ飛ばし、植物雑魔の引き付けを図る。
「……即座の連携は難しいと思うけど、それぞれ自分が出来る事を話し合っておけば、それなりの形になると思うよ。だから頑張ろう!」
仲間を鼓舞するサクヤもまた手にするカードにマテリアルを込め、勢いよく投擲するのだった。
●
覚醒する感覚に、B班ミリアは未だ慣れない。
「……あんまり使う機会が無いし、慣れておきたいとは思うけど」
ここからならば、誤射もなさそうだ。ミリアはギアモノクルを調整し、マテリアルを込めた矢を強く射る。
「まぁ、気楽に気張って頑張りましょうっ」
そうして、胴体を射抜かれた植物雑魔は、獲物と見定めたハンター達へと迫ってきていた。
ようやく、敵がこちらに迫ってきているものの。自身の声で応じぬ敵に、感情を爆発させるViViは大太刀「紅炎」を握りしめる。
多少広いとはいえ、森の中。大きく横に薙ぐことを避け、ViViは幅を狭めた上下の斬撃と突きをメインに攻撃し、長い蔓草や枝葉は極力、無力化の為に切り裂こうとした。
「コウ! 蔓に気を付けてね!」
そのコウは練り上げたマテリアルを纏い、敵の触手を受け止めつつナックルでの反撃を試みるが……。
(くっ、相手の方がリーチは上か)
さすがに、兄との組み手のようにはいかない。
出来る限り至近距離で。コウは触手の突きに合わせて熱気を纏う拳を叩き込むと、植物雑魔の体にめり込む音が響く。
そんなコウは初戦闘、しかも敵の真正面から敵の攻撃を受けて反撃している。
「なのに、危険な敵正面を買って出てくれるとは……。良いねぇ、その漢気!」
幻影の犬歯を見せながら叫ぶセルゲンは、攻めくる植物雑魔を側面から狙う。精霊に祈りを捧げ、戦意を向上させた彼は腕に嵌めた鉄拳「紫微星」で素早い連撃を浴びせかける。
敵の胴体に拳が深くめり込む。完全に胴体に風穴が穿たれた植物雑魔は、その場で爆ぜ飛ぶように姿を消していった。
一方、A班メンバー。
千里が射程の長い火炎符を投げ飛ばし、命中させた植物雑魔を誘い出す。
(狙うんは敵の足とか下の方……。外して木とか当たって、火事になったら洒落にならんからな……)
枯れ木の手足を構成する蔓触手。千里はできるだけそこを狙って焼き焦がす。
サクヤもまたカードを投げ、植物雑魔が迫るまでの間にダメージを増やしていく。
迫り来る植物雑魔。その前に立ち塞がるは竜胆だ。機械斧「アオスブルフ」を携えた彼女は伸びてくる蔓触手に対し守りに徹しつつ、敵の動きを阻害する。
時折、オーラの楓を自身の周囲に舞わせた彩楓は前に立ちながらも、攻性植物の様子をジッと『見る』。
(憧れのあの人も言ってた。戦いにおいて敵を『見る』ことは大切だって)
手足のように蔓触手を蠢かすその雑魔。しっかりと敵を観察しながらも、彩楓は先んじて仕掛ける。
大きく息を吸い込み、息を整えた彩楓。地面を擦り上げるように試作振動刀を操ることで、刹那刀身を発火させた彼女は、迫り来る植物雑魔を断ち切らんとした。
幾度も浴びせられる炎のカード。そして、竜胆は敢えて、周囲の木々や雑草を刈り取るようにしながら機械斧の刃で切り裂いていく。
効いてはいると確信した彩楓も刃を重ねた。サクヤも合わせ、鞭「カラミティバイパー」をしならせる。マテリアルを潤滑させた彼女は、強かに植物雑魔の体を打ちすえた。
1人だったなら、苦戦は免れなかっただろうが、鞭を操るサクヤの表情は明るい。
「……思ったよりはもろいようだね」
目の前で胴体と蔓触手にバラけて消えた雑魔の姿に、サクヤは笑みすら浮かべていたのだった。
●
交戦を続けるB班メンバー。
(狩りと一緒、欲張るといい事は無いからねぇ……。走り回りたいけど)
敵に弓を向けるミリアは仲間が攻撃を受ける瞬間を狙い撃つが、敵は矢で射られただけでは止まらない。
枝による殴打を食らったViViは、半身の姿勢で武器を水平に構えて前に進み出ながら素早く攻性植物の体を刺突する。
「巻き付いた枯草が本体で、他の木に移って攻撃……なんてことは流石にないわよね?」
ViViがそう勘ぐるものの、さすがにそんな様子はないらしい。
そこで、横から蔓草で締め付けようとしてくる敵。だが、セルゲンがその前に立ち塞がった。
「順番は守ろうな?」
そのまま、彼は敵へと鉄拳制裁を見舞った。
四肢代わりの蔓触手でジタバタともがく植物雑魔には、コウが畳み掛けていく。
「玄武流、内発勁っ!」
正面から叩き付けた拳。コウはその瞬間、一気に体内のマテリアルを流し込む。
そのエネルギーに耐えられなくなった植物雑魔は胴体の木が吹き飛んでしまい、周囲に飛び散った蔓触手は黒く霧散していった。
残る植物雑魔に焦りは見られない。ただ、生ある者へとその手を伸ばし、蔓触手を真っ直ぐ伸ばす。
前後に並べば、触手の餌食だ。セルゲンは仲間との位置取りに気をつけ、殴りかかっていく。
(こいつの突き攻撃は確かに厄介だ)
しかし、それは一方向のみの攻撃でしかないとコウは把握していた。
「多角からの攻撃には対応できまい!」
そいつへと飛び込むコウが敵の触手を受け止め、仲間へと呼びかける。
「敵は抑え込んだ。今だ、皆!」
仲間が狙われる。そう感じたミリアは木から飛び降り、ダガーを振るって蔓触手を切り払う。
そこを狙い、セルゲンがViViと息を合わせる。
側面から殴りかかるセルゲン。そして、ViViが敵の体を頭上から真っ二つに切り裂く。
地面に落ちる前に消えていく植物雑魔を目にし、コウは考える。実戦経験の差は皆で連携することでカバーできると。
(俺達は一人で戦っているんじゃない、皆で戦ってるんだ)
植物雑魔の狙いを分散させる為、サクヤは仲間とは距離を置き、敵へと攻撃を行う。
(火力は他の仲間の方が上。だったら……)
鞭を操る彼女は地面を叩きつけて牽制し、敵の態勢を崩す。
戦いの間にテンションを高めて瞳と髪を朱に染めた彩楓は、確実にその植物雑魔を叩こうと動く。後方から仲間が攻撃を仕掛けるのを察し、彼女は刀で手足のようになっている蔓触手を切り裂いた。
「いくで、気ぃつけてな」
素早く符をリロードする千里が仲間に呼びかけると、前にいた竜胆が飛びのく。
「へへっ、こうすっとよく見えんだろ?」
しかし、手足に絡みつく蔓触手はしつこい。竜胆は出来る限り斧で切断しようとする。
射線が開いたことで、千里は符に火の精霊の力を込め、命中した植物雑魔の体を焼き焦がす。
その間に拘束から逃れた竜胆は攻撃重視の構えに切り替えて。
「サァテ、こっからがあたしの本気だぜ! 覚悟しやがれっ!!」
機械斧を振り上げた彼女は目の前の雑魔に渾身の一撃を叩き込む。体を寸断されたそいつは、体が維持できずに崩れ落ちていった。
――残り1体。
その植物雑魔を、サクヤは拘束しようと鞭を振るう。敵はそれから逃れたが、大きく態勢を崩す。
「……この隙に攻撃を掛けて!」
すぐに反応した千里が火炎符を投げ飛ばし、竜胆が敵へと接近する。
「当たりにくい攻撃もっ、限界まで近づきゃ嫌でも当たるッてなぁ! 逃さねーぞ!」
竜胆が重い斧で敵の蔓触手を叩き切ると、植物雑魔は残る蔓草を集めてよろよろと動く。
(通常攻撃だって、効くはず……)
試作振動刀「オートMURAMASA」を振りかぶる彩楓。斜めに振るわれた刃は敵の胴体となる枯れ木に食い込み、そいつを無へと帰したのだった。
●
6体全ての植物雑魔の撃破を確認したハンター達。
覚醒状態を解いたサクヤは一息つく。
「……あたし達はまだまだ力不足だし、ね。もっと力をつけてからも一度挑戦したいね」
「好奇心は猫を殺すっていうしね」
撤退をとこの場を離れるサクヤに彩楓も同意し、ハンターズソサエティへの報告の為にこの場を離れる。
少なからず、皆、消耗はしている。一応、コウは用意していたヒーリングポーションを道具袋に温存はしていたのだが。
「大穴は周囲を警戒くらいが良さそうだな」
ただ、他のメンバーは、戦場から奥にある大穴が気になる様子だ。
セルゲンは仲間達が穴から離れていることを確認しつつ、大穴の上空へとカラスを飛ばす。
(負のマテリアルの気配から、敵の強さや数を大まかにでも感じ取れないだろうか)
カラスとシンクロしたセルゲンは、カラスの視線で大穴を見下ろす。
「ねぇ、何が見える……?」
ViViはハンディLEDライトでの手伝いを申し出たが、大穴に近寄るのは危険だからとセルゲンは遠慮する。
今のところ、敵増援が出現する様子は無いが……、動きがあれば、すぐに魔導短伝話での連絡もコウは考えつつ、様子を見るメンバー達を注視する。
千里は面倒と感じていたものの、その場に待機して不測の事態に備えていた。
(嫌な予感するし、見れる範囲だけ……)
大穴に興味を抱いていたミリアは再び樹上に登り、ギアモノクルで大穴を覗く。中は暗く、外からではよくは見えない……が。中で蠢く幾つかの植物にセルゲンは気づいた。
「……これ以上は危険だ。戻ろう」
最も率先して様子を窺うセルゲンが言う以上、他のメンバーも強く出ることはない。増援が外へと現れる前に、全員この場を離れていくのだった。
グラズヘイム王国、リンダールの森。
この地にあるエルフの集落の南にある大穴を目指し、まだまだ戦闘経験の浅いハンター達が向かっていた。
「ふーん、今度のは、植物の雑魔をぶち倒せばいいんだな? まっかせてくれよ!」
意気込む竜胆(ka6789)。彼女は孤児院で草むしりや竹割りをしていたそうだが。……どうやら、今回のお仕事はちょっと、いや、かなり趣旨が違うらしい。
「……え、そういうのじゃないのか? むぅ、どう違うんだ……?」
仲間から総突っ込みを受ける彼女は、首を傾げてしまっていた。
「それはともかく、大穴、気になるな」
メンバーの中ではセルゲン(ka6612) のみ、以前、森に現れるヤギ雑魔との交戦を行っていた。聞くところによると、憤怒の歪虚も暗躍しているのだとか。
(奥に、一連の騒動の黒幕が潜んでたりするのか?)
セルゲンは今回の事件について考えるが、今は目の前の依頼が先だろう。
「皆、よろしくね!」
王国の地下アイドルを自称するViVi(ka6802) は仲間に対し、チャーミングに挨拶する。
「……まだまだあたしも未熟だからね。鍛錬のつもりで一生懸命頑張るから、みんなも宜しくね」
「ああ」
明るく挨拶を返す、サクヤ・フレイヤ(ka5356)。玄武坂 コウ(ka5750)もぶっきらぼうに返事する。
(戦闘経験は正直まだまだ少ない。しかも、少人数での戦闘は未経験)
今回の依頼は、いい経験になるかもしれないとコウは意気込む。
「援護に徹して状況把握とおびき寄せ、できる事をやらないとね……」
本格的な討伐依頼が初めてのミリア=シャートラウム(ka5766)。慣れない仕事ではあるが、彼女はさほど気負いもしていない様子だ。
「新人に求められるのは、速度よりもしっかり確実にお仕事をこなすことだと思うんだよ!」
メンバーで最年少と思われる雅・彩楓(ka6745)もまた、元気に叫ぶ。
「さーて、今日も頑張るよ!」
思いっきり腕を振り上げる彩楓に応じ、仲間達は思い思いに意気込みを見せる。
そこで、六道銭 千里(ka6775)は1つ溜息をつき、5円玉を取り出した。
「上手くいくか占っとこうか……」
彼が試すのはシンプルなもの。トスをして出たのは……稲穂の柄、五円と書かれた側。一般的に表らしい。
それは、千里にとって良い結果だったようだが、占い通りになることを願いながら彼は仲間と共に現場へと向かうのである。
森を歩く8人のハンター達。
サクヤの提案でメンバーは2班4人ずつに分かれることとなり、作戦に当たって役割分担を詰める。
「各班、遠距離の人に1体ずつ釣り出してもらって叩けるといいな」
彩楓が仲間達へと告げる。A班は千里が、B班はミリアがその役割につく。
「なんにしろ、援護役に回る、或いは多人数の行動も慣れてないですからね……」
いかに戦場に慣れるか。そして、いかにリラックスして援護ができるか。そう考えるミリアの表情は思いのほか明るい。
また、彩楓は近接攻撃しかできない為、前衛で頑張ろうと考えている。彩楓を含むA班は他に、竜胆とサクヤがいた。
「……前の方頼んだわ」
女性に守られる形となるのは、男性として……そんな考えを抱きながらも、千里は自身の役割を果たそうと考える。
程なく、メンバー達は森にぱっくりと開いた大きな穴を発見する。
「お、そろそろか?」
火がボワッと出る斧でババッと燃やして……と胸を張っていた竜胆だったが。大穴周辺にいたのは、枯れ木に蔓草が手足のように巻きついて人型のようになった植物雑魔の姿。
「……って、人型だったのか!? せ、説明ちゃんと聞いとけばよかった」
慌てるA班竜胆に対し、B班側では、覚醒してスポットライトのような光に包まれたViViがA班とは逆方向へと躍り出る。
「巨大な洞穴のセットの前で華麗に踊る! そう、ViViちゃんよ!」
身に纏う衣装を華やかに見せながらも、ViViは大穴周辺で蠢く植物雑魔達に呼びかける。
穴の周りにいた植物雑魔の反応は距離の差もあって反応はバラバラ。ViViは上手く誘導できず、足元の石を拾って投げつける。
「ちょっと! あたしを無視するなんてどこに目を付けてるわけ!?」
そうは言うものの、植物雑魔に目は存在しない。
「ミリア、誘引を頼む」
大穴の手前側に開けた場所。セルゲンはそちらに植物雑魔の誘い込みを考えて呼びかける。
(ここなら、多少敵味方が入り乱れても……)
そのミリアは狙いやすさを考え、樹上へと陣取っていた。右目と右掌に光を灯らせた彼女は、自身の身長よりもやや大きな蒼弓「ヴォジャノーイ」を引く。
そちらに1体近づく敵を見て、練り上げたマテリアルを纏うコウが前線で構えを取っていた。
再び、A班。
「……いやでも! やる事は変わらねえぜ!」
吹っ切った竜胆の手足に紅い帯状の光が纏い重なる。籠手と脚甲を象ったそれらは覚醒が完了した瞬間に花びらとなって弾け消えた。
「オラオラ雑魔共っ! この竜胆さんが相手だ! 燃やされたいやつからかかってきやがれっ!!」
「それじゃあこちらも、しっかり引きつけ役こなさしてもらおうかな……」
紅く瞳を変色させた竜胆が敵を挑発するところに、千里が燃え上がる符を投げ飛ばし、植物雑魔の引き付けを図る。
「……即座の連携は難しいと思うけど、それぞれ自分が出来る事を話し合っておけば、それなりの形になると思うよ。だから頑張ろう!」
仲間を鼓舞するサクヤもまた手にするカードにマテリアルを込め、勢いよく投擲するのだった。
●
覚醒する感覚に、B班ミリアは未だ慣れない。
「……あんまり使う機会が無いし、慣れておきたいとは思うけど」
ここからならば、誤射もなさそうだ。ミリアはギアモノクルを調整し、マテリアルを込めた矢を強く射る。
「まぁ、気楽に気張って頑張りましょうっ」
そうして、胴体を射抜かれた植物雑魔は、獲物と見定めたハンター達へと迫ってきていた。
ようやく、敵がこちらに迫ってきているものの。自身の声で応じぬ敵に、感情を爆発させるViViは大太刀「紅炎」を握りしめる。
多少広いとはいえ、森の中。大きく横に薙ぐことを避け、ViViは幅を狭めた上下の斬撃と突きをメインに攻撃し、長い蔓草や枝葉は極力、無力化の為に切り裂こうとした。
「コウ! 蔓に気を付けてね!」
そのコウは練り上げたマテリアルを纏い、敵の触手を受け止めつつナックルでの反撃を試みるが……。
(くっ、相手の方がリーチは上か)
さすがに、兄との組み手のようにはいかない。
出来る限り至近距離で。コウは触手の突きに合わせて熱気を纏う拳を叩き込むと、植物雑魔の体にめり込む音が響く。
そんなコウは初戦闘、しかも敵の真正面から敵の攻撃を受けて反撃している。
「なのに、危険な敵正面を買って出てくれるとは……。良いねぇ、その漢気!」
幻影の犬歯を見せながら叫ぶセルゲンは、攻めくる植物雑魔を側面から狙う。精霊に祈りを捧げ、戦意を向上させた彼は腕に嵌めた鉄拳「紫微星」で素早い連撃を浴びせかける。
敵の胴体に拳が深くめり込む。完全に胴体に風穴が穿たれた植物雑魔は、その場で爆ぜ飛ぶように姿を消していった。
一方、A班メンバー。
千里が射程の長い火炎符を投げ飛ばし、命中させた植物雑魔を誘い出す。
(狙うんは敵の足とか下の方……。外して木とか当たって、火事になったら洒落にならんからな……)
枯れ木の手足を構成する蔓触手。千里はできるだけそこを狙って焼き焦がす。
サクヤもまたカードを投げ、植物雑魔が迫るまでの間にダメージを増やしていく。
迫り来る植物雑魔。その前に立ち塞がるは竜胆だ。機械斧「アオスブルフ」を携えた彼女は伸びてくる蔓触手に対し守りに徹しつつ、敵の動きを阻害する。
時折、オーラの楓を自身の周囲に舞わせた彩楓は前に立ちながらも、攻性植物の様子をジッと『見る』。
(憧れのあの人も言ってた。戦いにおいて敵を『見る』ことは大切だって)
手足のように蔓触手を蠢かすその雑魔。しっかりと敵を観察しながらも、彩楓は先んじて仕掛ける。
大きく息を吸い込み、息を整えた彩楓。地面を擦り上げるように試作振動刀を操ることで、刹那刀身を発火させた彼女は、迫り来る植物雑魔を断ち切らんとした。
幾度も浴びせられる炎のカード。そして、竜胆は敢えて、周囲の木々や雑草を刈り取るようにしながら機械斧の刃で切り裂いていく。
効いてはいると確信した彩楓も刃を重ねた。サクヤも合わせ、鞭「カラミティバイパー」をしならせる。マテリアルを潤滑させた彼女は、強かに植物雑魔の体を打ちすえた。
1人だったなら、苦戦は免れなかっただろうが、鞭を操るサクヤの表情は明るい。
「……思ったよりはもろいようだね」
目の前で胴体と蔓触手にバラけて消えた雑魔の姿に、サクヤは笑みすら浮かべていたのだった。
●
交戦を続けるB班メンバー。
(狩りと一緒、欲張るといい事は無いからねぇ……。走り回りたいけど)
敵に弓を向けるミリアは仲間が攻撃を受ける瞬間を狙い撃つが、敵は矢で射られただけでは止まらない。
枝による殴打を食らったViViは、半身の姿勢で武器を水平に構えて前に進み出ながら素早く攻性植物の体を刺突する。
「巻き付いた枯草が本体で、他の木に移って攻撃……なんてことは流石にないわよね?」
ViViがそう勘ぐるものの、さすがにそんな様子はないらしい。
そこで、横から蔓草で締め付けようとしてくる敵。だが、セルゲンがその前に立ち塞がった。
「順番は守ろうな?」
そのまま、彼は敵へと鉄拳制裁を見舞った。
四肢代わりの蔓触手でジタバタともがく植物雑魔には、コウが畳み掛けていく。
「玄武流、内発勁っ!」
正面から叩き付けた拳。コウはその瞬間、一気に体内のマテリアルを流し込む。
そのエネルギーに耐えられなくなった植物雑魔は胴体の木が吹き飛んでしまい、周囲に飛び散った蔓触手は黒く霧散していった。
残る植物雑魔に焦りは見られない。ただ、生ある者へとその手を伸ばし、蔓触手を真っ直ぐ伸ばす。
前後に並べば、触手の餌食だ。セルゲンは仲間との位置取りに気をつけ、殴りかかっていく。
(こいつの突き攻撃は確かに厄介だ)
しかし、それは一方向のみの攻撃でしかないとコウは把握していた。
「多角からの攻撃には対応できまい!」
そいつへと飛び込むコウが敵の触手を受け止め、仲間へと呼びかける。
「敵は抑え込んだ。今だ、皆!」
仲間が狙われる。そう感じたミリアは木から飛び降り、ダガーを振るって蔓触手を切り払う。
そこを狙い、セルゲンがViViと息を合わせる。
側面から殴りかかるセルゲン。そして、ViViが敵の体を頭上から真っ二つに切り裂く。
地面に落ちる前に消えていく植物雑魔を目にし、コウは考える。実戦経験の差は皆で連携することでカバーできると。
(俺達は一人で戦っているんじゃない、皆で戦ってるんだ)
植物雑魔の狙いを分散させる為、サクヤは仲間とは距離を置き、敵へと攻撃を行う。
(火力は他の仲間の方が上。だったら……)
鞭を操る彼女は地面を叩きつけて牽制し、敵の態勢を崩す。
戦いの間にテンションを高めて瞳と髪を朱に染めた彩楓は、確実にその植物雑魔を叩こうと動く。後方から仲間が攻撃を仕掛けるのを察し、彼女は刀で手足のようになっている蔓触手を切り裂いた。
「いくで、気ぃつけてな」
素早く符をリロードする千里が仲間に呼びかけると、前にいた竜胆が飛びのく。
「へへっ、こうすっとよく見えんだろ?」
しかし、手足に絡みつく蔓触手はしつこい。竜胆は出来る限り斧で切断しようとする。
射線が開いたことで、千里は符に火の精霊の力を込め、命中した植物雑魔の体を焼き焦がす。
その間に拘束から逃れた竜胆は攻撃重視の構えに切り替えて。
「サァテ、こっからがあたしの本気だぜ! 覚悟しやがれっ!!」
機械斧を振り上げた彼女は目の前の雑魔に渾身の一撃を叩き込む。体を寸断されたそいつは、体が維持できずに崩れ落ちていった。
――残り1体。
その植物雑魔を、サクヤは拘束しようと鞭を振るう。敵はそれから逃れたが、大きく態勢を崩す。
「……この隙に攻撃を掛けて!」
すぐに反応した千里が火炎符を投げ飛ばし、竜胆が敵へと接近する。
「当たりにくい攻撃もっ、限界まで近づきゃ嫌でも当たるッてなぁ! 逃さねーぞ!」
竜胆が重い斧で敵の蔓触手を叩き切ると、植物雑魔は残る蔓草を集めてよろよろと動く。
(通常攻撃だって、効くはず……)
試作振動刀「オートMURAMASA」を振りかぶる彩楓。斜めに振るわれた刃は敵の胴体となる枯れ木に食い込み、そいつを無へと帰したのだった。
●
6体全ての植物雑魔の撃破を確認したハンター達。
覚醒状態を解いたサクヤは一息つく。
「……あたし達はまだまだ力不足だし、ね。もっと力をつけてからも一度挑戦したいね」
「好奇心は猫を殺すっていうしね」
撤退をとこの場を離れるサクヤに彩楓も同意し、ハンターズソサエティへの報告の為にこの場を離れる。
少なからず、皆、消耗はしている。一応、コウは用意していたヒーリングポーションを道具袋に温存はしていたのだが。
「大穴は周囲を警戒くらいが良さそうだな」
ただ、他のメンバーは、戦場から奥にある大穴が気になる様子だ。
セルゲンは仲間達が穴から離れていることを確認しつつ、大穴の上空へとカラスを飛ばす。
(負のマテリアルの気配から、敵の強さや数を大まかにでも感じ取れないだろうか)
カラスとシンクロしたセルゲンは、カラスの視線で大穴を見下ろす。
「ねぇ、何が見える……?」
ViViはハンディLEDライトでの手伝いを申し出たが、大穴に近寄るのは危険だからとセルゲンは遠慮する。
今のところ、敵増援が出現する様子は無いが……、動きがあれば、すぐに魔導短伝話での連絡もコウは考えつつ、様子を見るメンバー達を注視する。
千里は面倒と感じていたものの、その場に待機して不測の事態に備えていた。
(嫌な予感するし、見れる範囲だけ……)
大穴に興味を抱いていたミリアは再び樹上に登り、ギアモノクルで大穴を覗く。中は暗く、外からではよくは見えない……が。中で蠢く幾つかの植物にセルゲンは気づいた。
「……これ以上は危険だ。戻ろう」
最も率先して様子を窺うセルゲンが言う以上、他のメンバーも強く出ることはない。増援が外へと現れる前に、全員この場を離れていくのだった。
依頼結果
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相談卓 ミリア=シャートラウム(ka5766) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/04/13 20:49:50 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/10 01:20:09 |