• 陶曲

【陶曲】嵐の前触れ

マスター:月原みなみ

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/04/26 22:00
完成日
2017/05/05 03:49

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ●

 そこは同盟地域の北の端――住んでいる者など100名にも満たないが、土地だけは広い事もあり、近くを流れる川を水源とした畑と、家畜で、自給自足の暮らしを営む小さな村。
 村人は全員が家族。
 そんな近しい関係を築いている土地で、その日、90歳を過ぎた老人が亡くなった。
 子どもや孫たちに見守られて永遠の眠りに付いたその人の表情はとても穏やかで、誰もが「いい最期だったね」と、涙を滲ませつつも笑みを零したという。
 さて、この土地では土葬が習わしだったこともあり、近親者や近所の男衆がスコップを握り墓を掘っていた時だ。
 順調に掘り進めていたはずだったのに、一人のスコップが何やら奇妙な物に当たってしまう。
 金属ではない。
 陶器、とも違う。
 奇妙としか言いようのない音を立てたそれが被っている土を手で払い除けてみるも、滑らかな肌触りという事以外はさっぱり分からない。
 更に周りの土を掘り進めることで判明したのは、それがとてつもなく巨大だということだけだった。
 村人達は顔を見合わせた。
 謎だらけ。
 だが、……なぜか彼らは「気味が悪い」という意見で一致していた。
 そこで村人達は、騎馬が得意な青年・タケトに急いでハンターオフィスへ向かうよう指示を出した。
 自分達では手に負えない、こういう事態に慣れていそうな彼らに任せるのが正しいと考えたからだ。
 そうして、今現在――。


 ●
 ハンターオフィスで依頼人となる青年・タケトの話を聞き終えたのはオフィスの受付嬢だけではなく、魔術協会に所属する魔術師ユージィン・モア(kz0221)もだ。
「なるほど……あっちで見つかったというソレの情報をもらいに来たのだが、まさかの……」
 ぶつぶつと周囲には意味不明な事を言いながら考え込むように顔を伏せると、適当に一括りにしている伸び放題の銀髪が視界を遮ったらしく、乱暴に掻き上げた。
「あ、あの……?」
 タケトに声を掛けられたユージィンは、それでも更に己の思考の海に潜り続けていたが、いよいよ受付嬢もしびれを切らした頃になってようやく「よし」と立ち上がった。
「判った、君の依頼には俺も同行しよう。気になる事がある」
「え」
「さぁ早くハンター達を集めてくれ。一刻を争う事案の可能性があるからな」
「え、ちょ」
「さぁ急げ」
 全く人の話を聞こうとしない魔術師に目を白黒させていた受付嬢だったが、言っても無駄だと察するまでにそう時間は掛からなかった。
 納得しきれない部分は多々あったものの、受付嬢は言われるがままに依頼書を作成、ハンター達への公開したのだった。



 ●嫉妬の眷属達
 ドクン――……
  ドクン――……

 この身に心があるかと言われれば、おそらくは否。
 しかし心などないのかと言われれば、それも否。
 何もないのなら『衝動』など起きるはずがないのだから。

 欲シイ
 欲シイ
 欲シイ
 欲シイ

 道端に落ちていた汚い人形が蠢く。
 弦が切れ捨てられていた楽器が奇怪な音を鳴らし、使う者のいなくなった古びたおもちゃが行進する。
 カタカタ。
 ガタガタ。
 ギュイィイィン。
 ブオーン、ブオーン。
 
 数多の無機物達が、群がり始めていた。
 群がった歪虚達は『彼』の指示を受けてその村を、――襲った。

 ――……フフ……フフフ……ようやく、見つけた……

 男の愉悦に応じるように歪虚達は狂乱した。
 逃げ惑う人々の悲鳴を。
 嘆きを。
 苦しみを味わうように殺し、殺し、殺しつくした。
 100にも満たない村人達の死体が土地を覆った時、墓で発掘されたそれは無数の歪虚達と共に消え失せていた。

 此処に辿り着いたハンター達が魔術師と共に見たのは、一夜にして滅びた村のなれの果てだった――。

リプレイ本文


 その村に近づくにつれ、ハンター達の表情は険しさを増す。
 我知らず歩調が速くなり、チョココ(ka2449)が連れていた柴犬の芝丸も低く唸り出し、村に到着したと同時に全員が言葉を失った。
 荒らされた畑、焼け落ちた家屋。
 人の気配はなく、……鼻を刺すような、錆びた鉄のような、血の。
「……っ、父さ……っ、母さん!! エリナ!!」
 突如としてタケトが走り出すのを、仲間と目配せした凍崎 翠(ka2436)が追う。そうしてようやく場の空気が動き出した。
「こいつは……酷いねぇ……」
 エアルドフリス(ka1856)は目の前の光景に眉根を顰める。
「いったい、何が……」
 歩夢(ka5975)も茫然と立ち尽くすが、すぐにハッとした。
「俺たちが固まってる場合じゃないな」
「ああ……、まだ出来る事はあるはずだ」
 アルルベル・ベルベット(ka2730)が抑揚のない声音でそれに応じれば、フェルム・ニンバス(ka2974)も。
「取り合えず手分けして歩き回ればいいか」
 幸いにも村の配置は道すがらタケトから聞いていた。
「念のためチームに分かれよう。単独行動は危険過ぎる」
 エアルドフリスの提案に全員が賛同。
「では、わたくしはまずタケト様と翠様と合流しますの。タケト様が心配ですし……」
「だったら俺もそっちに行ってやる。伝話持ってる奴が分かれた方がいいだろ」
「ああ。では此方は俺とアルルベル、歩夢だな。さて、あとは……」
 フェルムがチョココと翠、タケト達に同行するとし、エアルドフリス達三人もチームを組んだところで、もう一人の同行者に目を向けたハンター達だったが、その人はさっさと一人で村の奥へ進んでしまっていた。
「放っておいていいんじゃねえか?」
「……今は時間が惜しい」
 フェルムが言い、アルルベルが頷けば、エアルドフリスにも異論はない。
「行くか」
 互いに充分に気を付けようと言葉を掛け合い、彼らは村を探り始めた。



 チョココとフェルムが近付くと、翠がそっと振り返る。
 重なり合った無言の視線は、そのまま大地に座り込んだタケトへと向けられた。
 タケトの傍に、無残な姿で息絶えている男の姿。
「……さ……父さん……っ」
 泣きながら震える背中を、チョココがトントンとあやす様に優しく叩いた。
「タケト様、深呼吸ですの」
 少女は多くを語りはしないけれど、いまこうして目の前で泣き崩れる青年の姿は数年前の自分に重なる。
 何も残らなかったあの日を繰り返してはいけない。
「まだ、やるべきことが、ありますの」
「ぇ……?」
 顔を上げる依頼人に、翠も言葉を重ねる。
「いま遠目に見ている限りだが、女性や子供の、……亡骸が、極端に少ない気がする。道中の話では、あなたにも妹がいたはずだ」
「あ……っ」
 そこでようやく何かを思い出したらしいタケトは慌てた様子で周囲を見渡す。
「あの、昔、俺がまだ5歳くらいの時に、避難用の地下室があるって聞いたことがあって!」
「それどこ」
 フェルムの間髪入れない問いかけに、しかしタケトは頭を振った。
「判りません。全員が知っていたら意味がないとかで……っ」
 幼少の頃の記憶を引っ張り出そうと懸命になっているタケトを見て、翠は仲間達に言う。
「一先ず秘密の隠れ家のようなものがある事はあちらにも伝えておこう」
「だな」
 応じたフェルムが魔導短伝話を手に取った。


 場所の特定には時間が掛かりそうだが、万が一の事態に備えた避難場所があるらしいと連絡を受けたもう一方のチームで、歩夢は『生命感知』を使いながら歩いて回るが、希望の欠片すら見つかる気配がない。
「北側には生存者も遺体もない、……ってことは、南側か」
「そう見せかけて北の端、森の奥という可能性もあるかな」
 歩夢の推測にエアルドフリスの応え。
 避難場所があると聞き「やはりな」と頷いたのはアルルベルだった。彼女は辺りを確認し、遺体となって大地に伏しているのが男性ばかりであることに気付いて以降は、ずっとその可能性を考えていたからだ。
 彼らのやり取りは、村を一つの円状に見た場合、東西に畑を置いて、住居範囲が南側に集中している事を確認してのものだ。タケトを追った仲間達が南側にいるため、彼らは北側から捜索を開始したわけだが、此方側に来るほど、目に見えて被害は減っていた。
「おい! 誰かいないか!」
 エアルドフリスが声を上げ、アルルベルは地面に伏した遺体に声を掛けては死亡を確認し、黙祷を捧げた後に状態を検分する。
「……先ほどから打撲痕が多いな。貫通している傷も多いが刺し傷ではなく……表現し難いが、砲丸が体を貫通したような……」
「確かに銃弾というには大き過ぎる」
 周囲には陶器の欠片らしきものも無数に散らばっており、村人達の抵抗の跡が窺えた。
「陶器の欠片、か」
「……確か先日の、ポートワールやフマーレで起きた騒動の際に暴れていた嫉妬の歪虚……陶器人形、だったか」
 嫌な沈黙が辺りを包み込んだ。
 遺体となった彼らの傍には鋤や鍬といった農作業用の道具が落ちている。
 それで部分的に破壊する事は出来たかもしないが倒す事は出来ない。不死者のように襲ってくる連中への恐怖はどれ程のものだったか。
「……それでも女性や子供達を守るために戦ったあなた達は、とても勇敢だった……」
 アルルベルはぽつりと零し、改めて黙祷を捧げるのだった。



 タケト曰く、昔、行倒れていた旅人を助けたらそれが山賊の仲間で、数日間一緒に過ごした後に受けた襲撃で避難所も襲われ、酷い目に遭ったことから、避難場所を知るのはごく一部の家長に限られるようになった、と。
「見るのも辛いとは思うが、何か違和感のようなものがあれば教えてほしい」
 翠の気遣う言葉に、タケトは「はい」と素直に応じる。
 生きている人を助けたい、それはハンター達と依頼人に共通する思いだ。
 チョココの愛犬・芝丸が、タケトの妹の匂いを覚えてしきりに地面を嗅いでいるが、特別な訓練を受けたわけではないため捜索は難航。
 フェルムは襲撃が行われたのなら、行われた方向から逃げる方向に向けて遺体が増えているのではと考えたが、だとするならば襲撃は村の南側に広がる森の全方向から行われたと考えるしかないような光景が目の前にあった。
(近くにいた歪虚が全方向から集まってきたって? 今まで平和だった村にソイツが丁度よく見つかって、都合悪くこうなるなんて偶然……そうはねえだろ)
 声に出すには憚られる推測を胸中に零すフェルムの表情は険しい。
 そしてそれは翠も同じだ。
(この方だけが背中をやられているな……森から飛び出してきた歪虚に最初に襲われたのか……)
 遺体の傷は、アルルベル達の見立てとほぼ共通。
 これは享楽や儀式によるものではなく、例えるなら――。
(行軍……)
 実際に見る事は出来ないが、当時の状況を想像してみる。
 最初の一人が襲われ、近くにいた誰かが悲鳴を上げる。
 男達は武器代わりに農作業の道具を手に取り、女子供に逃げろと声を張り上げる。そして彼女達が避難所に行けるよう道を拓き、時間を稼ぎ――。
(道を拓く? こんなにも居住地に遺体が集中しているのに……? ――……ああ、そうか)
 翠は気付く。
 道を拓いたのではない。
 道を閉ざしたのだ。
(これは……もしかすると……)
 ひどく嫌な想像は、しかし残酷な可能性。
 魔導短伝話が鳴り出したのは、その直後だった。



 エアルドフリス達が気付いたのは、彼らが北側から遠目に居住地を探っていたからだ。
 手掛かりも掴めず、気ばかりが急く。
 そんな気持ちを落ち着かせようと歩夢が『占術』を始めた。
「柄でもないって? ま、一応は陰陽師だしな」
 当たるも八卦だが何も指針が無いよりは……と出した結果が『火』だった。
「そういえば火気が使われた形跡は此方にはなかったな」
「ああ……火気が使われた形跡はなかった……のに、どうしてあそこは焼け落ちてるんだ?」
 アルルベルとエアルドフリスは言いながら南側を見つめ、そして気付いたのだ。
 焼け落ちている5、6棟の家屋は、他に比べて周囲の空きが広いことに。
「そうか、燃やしたのは歪虚ではなく住民か……!」
 こうして急ぎ仲間達と連絡を取り、合流を果たした彼らは焼け落ちた家屋に集まり、その瓦礫を取り除いた。
 そして見つけたのだ、地下への入り口だと思われる扉を。
 襲撃を受けたら決められた家屋の地下に逃げ、その家屋を燃やす。
 そうすることで焼け落ちる瓦礫が、更なる障害物となって地下を守る、それがこの村の自衛手段。
 1軒目の地下には十数人の女子供。
 2軒目には数人の男衆が武器を構えて背後の家族を守っており、3軒目でタケトは母親、妹と再会し涙を流した。
 4軒目、5軒目、6軒目……その頃には生き延びた村の男衆も協力して瓦礫を取り除き、ハンター達は怪我人の治療にも取り掛かる。
 最終的に、100名弱の村で17名の男性と2名の女性が犠牲になった。
 その原因は、ほぼ間違いなく墓で見つかったという『ソレ』――。



 ハンター達が村人の案内で墓場に着くと、そこには巨大な長穴が開いていた。
 その大きさに驚くが、村人達の驚きはそんなものではなかった。
「なんてこった……消えちまってる……!」
「消えた……?」
 聞き逃せない言葉に、フェルムが眉根を寄せた。
「おい、本当にここに何かがあったんだな?」
「そ、そうだ! 爺さんの墓を掘っていたら急に当たって……!」
「そういう事は今までになかったのか?」
「なかったよ! あったらもっと前に連絡していたさ!」
 叫ぶような応えに顔を見合わせるハンター達だったが、
「おそらく運んで行ったんだろうな、この村を襲った歪虚達が」
「!?」
 今の今まで此処の調査に没頭していたらしいユージィンが、穴の中から姿を現して告げた言葉に村人達は動揺し、ざわめく。
 そんな人々の気持ちを慮るハンター達は彼を穴の中に押し戻して囲み、エアルドフリスが小声で問い詰める。
「そろそろ説明が欲しいんだが」
「説明?」
「此処にあった物の正体を、あんたは知っているんじゃないのか?」
「知らん」
「――」
「おいあんた、そういう笑えない冗談は」
 こめかみを引き攣らせたフェルムが口を挟むも、魔術師は真顔で応じる。
「俺も冗談は好かん。知らないから知らないと言っている」
「……なのに、此処に来たがったのか?」
 アルルベルの問い掛けにも淡々と「そうだ」と。
「だが、此処にあった何かを調べたい理由はあったはずだ」
 更にアルルベルが問を重ねると、これもあっさりと肯定する。
 翠も問う。
「それは、この村が歪虚に襲われた理由と関係あるのではないのか」
「知らん」
「だったらあんたは何を知ってんだよ!」
 痺れを切らした歩夢が声を荒げれば、魔術師は少し考えた後で言う。
「此処に何かがある事は知っていた」
「ですがユージィン様は、それが何かは知らないですの……じゃあ、どうして此処に何かがあるのを知っていたんですの?」
 チョココが言葉を選びながら訊ねると、
「文献だ」と短い応え。
「文献……それは、魔術師協会の、か」
 アルルベルの確認。
 ユージィンは頷いた。
 ……頷くが、それきりだ。まるで手の内を明かさない魔術師に、ハンター達はこの村を調査した結果、村を襲ったのは嫉妬の歪虚であること、もしかすると先日のフマーレやポルトワールでの騒ぎと関係があるかもしれない事などを話した。
「いいか? 今の今までなかったはずのものが見つかった途端に、平和だった村が歪虚に襲われるなんて都合がよすぎる。誰だってそれくらいの予測はするだろう」
 フェルムが押し殺した声で言い放てば、翠も言葉を繋ぐ。
「亡くなった方々の遺体を確認した……どれも障害物を排除したとでも言うような力任せの打撲痕だ……これがどういう意味か分かるだろうか……? 何もせずに隠れてしまえば死ななかったかもしれない可能性を示す、ということだ……っ」
 穴の外にいるだろう村人達には聞こえないよう、必死に声を抑えた。
 翠は悔しかった。
 彼女だけではない、この場にいる全員が悔しかった。
「情報の開示は貴方の探求にも有益になるはずだ……魔術師殿。あなたの情報も、此方に渡して欲しい」
「……有益、か。なるほど」
 ユージィンはハンター達の顔を順に見遣り、納得したように話し始めた。
「約270年前の話だ。同盟領では巨大な地震が起き、震源地と推定される地域は荒野と成り果て大地が裂けた。時を同じくして嫉妬の歪虚達が暴れ出し、幾度も夜空を駆ける光の帯が目撃された。この村は、その光の帯の終着地点の一つと重なっている」
「一つ、って……もしかして、他にもあるんですの?」
「ここで見つかったと話を聞いた少し前にも、フマーレの奥で炭坑を掘っていたドワーフ達が奇妙な物を見つけたらしく、調査のため協会に送ると同僚から連絡を受けていた」
 そちらも歪虚の襲撃を受けていたのだが、この時点でユージィンはそれを知らない。
「その地点も文献に記されていた光の帯の終着点と一致する」
「その光の帯ってのは?」
 歩夢が聞く。
「幾つの光の帯が確認されているんだ?」
「知らん。とにかく何度も流れたと記録されてはいるが、終着地点が特定されているのはこことフマーレの炭坑を合わせても3か所しかない」
「ですが特定されていたなら、以前から調査していれば今回のような事は起きなかったかもしれないですの?」
「無論調べたさ。だが、その時は何も出なかった」
 ハンター達は眉根を寄せる。
「……本当に何も出なかったのか?」
「何もだ。先ほど此処の住人も言っていただろう。そんなもの、此処にはなかった、と」
「――」
「いつもそうだ、何もないのに何を調べるんだと門前払い。証拠のない推測など誰も聞く耳を持たない。証拠を見つけ出したくとも、いつだってそれ以前の問題だ!」
「あんた一体……」
 エアルドフリスは言いかけて、聞き方を変える。
「事実かどうかはともかく、あんた自身はそれをどういうものだと考えているんだ?」
 あくまでも個人の意見を求める聞き方に変えてみれば、ユージィンの反応も僅かに変化した。
「……わからん」
 若干だが柔らかくなった口調は、しかしすぐに緊張感を取り戻す。
「しかし、この村を見る限り……良いものではないだろうな」
 疲弊した村人達を見る魔術師の横顔からは、彼が何を考えているのか正しく窺い知ることは出来ない。
 しかしハンター達は確信した。
 この土地で、同盟領で、何かが動き出している事を――……。


 ●「 」
 そこは大地の裂け目。
 記憶の傷跡。
 カッツオ・ヴォイは深淵なる闇に恭しく「それ」を差し出した。
「我が君よ……まだ目覚める気にはなられませぬか……?」
 問いかけに応えはない。
 ただ、……ただ、眷属達は狂喜する。

 ――……ドクン……
  ――……ドクン……

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師

  • 凍崎 翠(ka2436
    人間(蒼)|17才|女性|闘狩人
  • 光森の太陽
    チョココ(ka2449
    エルフ|10才|女性|魔術師
  • 真摯なるベルベット
    アルルベル・ベルベット(ka2730
    人間(紅)|15才|女性|機導師
  • 好奇心の一手
    フェルム・ニンバス(ka2974
    人間(紅)|14才|男性|魔術師
  • 真実を照らし出す光
    歩夢(ka5975
    人間(紅)|20才|男性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談所
凍崎 翠(ka2436
人間(リアルブルー)|17才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2017/04/26 19:12:48
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/22 22:59:58