ゲスト
(ka0000)
兄がプレゼントと悪質商法?
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/09 22:00
- 完成日
- 2017/05/14 22:11
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●妹へプレゼント
グラズヘイム王国のとある町で、ケント・ハウエルは学校休みの日を使って妹への誕生日プレゼンを探していた。
母親が違う妹、可愛い。
新しい母親が来た時は非常にびっくりした。死んだ母とは似ても似つかぬ人物、と本人は思っている。周りの意見は「ああ、旦那様ああいう美女に弱いんですよね」となっているらしい。
実は初恋だったとケントは後ほど気づいてしまった。
だから、父親と義母の間に子供が生まれたときは衝撃だった。その上、妹、可愛い。
かといってそれを素直に言うのは、シスコンと言われるし、義母への恋心もなかったことになるのではないかといろいろ思った挙句、妹の耳を引っ張った。
そろそろ認めてあげたいと思っても、もう妹には嫌われ、泣かれるし、そうなるとまたいじめるという悪循環。
去年、たまたまハンターに脅――諭され、一応、耳を引っ張ってスキンシップをするのはやめた。
だからこそ、今年は誕生日プレゼントをあげようと考えた。
しかし、女の子が何を欲するかさっぱりわからない。
考えた挙句、アルミ箔にした。
リアルブルーに興味を持っているとリサーチ結果わかっている。
アルミ箔というのは調理に使い、うまいことすれば工作にも使える品物だという。
リアルブルーとの行き来が多少できたとはいえ、一般人であるケントが入手するには難しかった。ちょっと裏通りのいかがわしいかもしれないお店だったけれども、ようやく入手できたとき安堵した。
可愛く包装紙とリボンを付ければいいと、包装紙が売っている店に向かった。
●そのあとあった、いかがわしい店でのやりとり
この後、そのいかがわしい店の、奥から来た人が尋ねる。
「おい、ここの箱はどうした!」
「さっき客がいたので売りました」
「売ってどうするんだ! あれの中には……」
「……ま、まずい」
「とりあえず、穏便に取り上げろよ」
「合点で」
「最悪な場合は」
二人は残忍な笑みを浮かべていた。
●どうしたらいいのか!
ケントは包装紙とリボンを買って帰路についた。隣町までは人通りの多い街道であり、一般人のケントも問題なく通れる。
彼の目の前でことは起こった。
「おっかさん!」
「あんた、おお、げふげふっ」
年老いた女性が倒れ、男が助ける。
「大丈夫か! 発作か」
「そ、そうじゃ、げふっ。ああ、でもあれは高価なもので……」
「そんなこと言わないで、おっかさん」
男性は血走っためで周囲を見渡す。
「誰か、誰かアルミ箔を持っていませんか」
野次馬というか、何事かとこの寸劇を見ていた通りすがりに目を走らせる。
「おっかさんの発作はアルミ箔を砕いて飲ませれば、いいのです」
「え?」
ケントは荷物をぎゅと抱きしめる。
これは妹との仲直りのための誕生日プレゼントだ。しかし、目の前で人が死ぬもの困る。
「誰か、誰かお願いです、助けてください」
ケントは悲壮な表情で前に出たのだった。
グラズヘイム王国のとある町で、ケント・ハウエルは学校休みの日を使って妹への誕生日プレゼンを探していた。
母親が違う妹、可愛い。
新しい母親が来た時は非常にびっくりした。死んだ母とは似ても似つかぬ人物、と本人は思っている。周りの意見は「ああ、旦那様ああいう美女に弱いんですよね」となっているらしい。
実は初恋だったとケントは後ほど気づいてしまった。
だから、父親と義母の間に子供が生まれたときは衝撃だった。その上、妹、可愛い。
かといってそれを素直に言うのは、シスコンと言われるし、義母への恋心もなかったことになるのではないかといろいろ思った挙句、妹の耳を引っ張った。
そろそろ認めてあげたいと思っても、もう妹には嫌われ、泣かれるし、そうなるとまたいじめるという悪循環。
去年、たまたまハンターに脅――諭され、一応、耳を引っ張ってスキンシップをするのはやめた。
だからこそ、今年は誕生日プレゼントをあげようと考えた。
しかし、女の子が何を欲するかさっぱりわからない。
考えた挙句、アルミ箔にした。
リアルブルーに興味を持っているとリサーチ結果わかっている。
アルミ箔というのは調理に使い、うまいことすれば工作にも使える品物だという。
リアルブルーとの行き来が多少できたとはいえ、一般人であるケントが入手するには難しかった。ちょっと裏通りのいかがわしいかもしれないお店だったけれども、ようやく入手できたとき安堵した。
可愛く包装紙とリボンを付ければいいと、包装紙が売っている店に向かった。
●そのあとあった、いかがわしい店でのやりとり
この後、そのいかがわしい店の、奥から来た人が尋ねる。
「おい、ここの箱はどうした!」
「さっき客がいたので売りました」
「売ってどうするんだ! あれの中には……」
「……ま、まずい」
「とりあえず、穏便に取り上げろよ」
「合点で」
「最悪な場合は」
二人は残忍な笑みを浮かべていた。
●どうしたらいいのか!
ケントは包装紙とリボンを買って帰路についた。隣町までは人通りの多い街道であり、一般人のケントも問題なく通れる。
彼の目の前でことは起こった。
「おっかさん!」
「あんた、おお、げふげふっ」
年老いた女性が倒れ、男が助ける。
「大丈夫か! 発作か」
「そ、そうじゃ、げふっ。ああ、でもあれは高価なもので……」
「そんなこと言わないで、おっかさん」
男性は血走っためで周囲を見渡す。
「誰か、誰かアルミ箔を持っていませんか」
野次馬というか、何事かとこの寸劇を見ていた通りすがりに目を走らせる。
「おっかさんの発作はアルミ箔を砕いて飲ませれば、いいのです」
「え?」
ケントは荷物をぎゅと抱きしめる。
これは妹との仲直りのための誕生日プレゼントだ。しかし、目の前で人が死ぬもの困る。
「誰か、誰かお願いです、助けてください」
ケントは悲壮な表情で前に出たのだった。
リプレイ本文
●乱入者
人通りのある道で発生した質の悪い寸劇。通行人にはハンターもいる。
依頼帰り道のエルバッハ・リオン(ka2434)は怪しがりながら見ていた。
「アルミ箔を飲ませないといけないなんて、おかしなことを言っていますね」
見物人の中に見覚えのある少年――ルゥル(kz0210)の兄のケント・ハウエルを見つける。ケントは意を決した表情で荷物に手を当てており、見るほうには嫌な予感を与える。
リアルブルーの料理に興味があるミオレスカ(ka3496)が足を止める。
「アルミ箔と言いましたか? どうかなさったのですか! アルミ箔が必要なのですか?」
調理の道具がなぜ必要なのかと問いかけるまなざしをミオレスカは送る。
マリィア・バルデス(ka5848)は怒気のはらんだ声で、周囲の音をたたき切った。
「素敵な小芝居だったわね。それで、子どもからアルミ箔なんて取り上げようとするあんたちはどんな悪党なのかしら?」
マリィアはケントがルゥルをいじめていたということで腹を大変、非常に腹を立てている。ここで助けるのはルゥルのためだし、悪党の野放しもできないから。
材料買い出しで通ったヴァージル・シャーマン(ka6585)とそれに付き合ったニーナ・フォーレルトゥン(ka6657)もここにいた。ヴァージルは群衆に見覚えのある少年を見て、放っていいのか見極めようとする。
「あれはいつだったか脅……もとい、諭した少年じゃないか。またうっさん臭いのに絡まれてんな」
ヴァージルは自転車から降りた。もし必要ならと「発煙手榴弾」を握る。
「アルミ箔自体、魔術的なものはないはずなんだけどなぁ……なんで必死なんだろう?」
ニーナは首をかしげる。
●茶番は終わらせる
「大体、アルミ箔は誤食しても翌日には排出され、ほぼ消化されないのよ。アルツハイマーとの関連を疑われたから、アルミニウムも市販製品も体内への摂取量が――」
マリィア、機関銃のようにアルミ箔について説明する。
その横でミオレスカが「そうなんですか」とか「へえ」と感嘆の声をあげる。
「具合が悪いのでしたら、お医者様のいるところまで、ご一緒しましょうか?」
ミオレスカが親切に尋ねる。できの悪い何か事件の一端だとは感じるが、万が一ということがあれば悔やむと思う。
「放っておいていいと思うけど」
マリィアは冷たい視線を不審者二人に注いでやる。
不審者二人はぶるぶる震え、真っ青で冷や汗と脂汗を流す。しきりに目くばせをし、会話をしているようだ。まあ、テレパスなんてないから忖度。
「おっおっかあ」
「おおおおう、なんということじゃ、元気になったぞ」
「そうか、良かった! それほどひどい発作じゃなかったんだな」
息子、非常に安堵した息を吐く。
「あんたがたになんてお礼を言っていいやら」
二人は低姿勢でぺこぺこする。
ミオレスカはきょとんとし、マリィアの頬の神経がピクリと動く。
「ありがとうございました」
不審者はすごい勢いで元気いっぱいに離れた。
ヴァージルとニーナが見ている間に状況は終息しそうだった。
「ヴァージル……これ、どうなるのかな?」
「どうなるもこうなるも……彼のほうに行こう。念のため話を聞いたほうがいいだろうし」
自転車を押して移動した。
「お久しぶりですケントさん」
ミオレスカとマリィアが対応している間、エルバッハはケントに近づき声をかけた。
「以前の……」
「手短に言いますと……アルミ箔の材料のアルミニウムは金属ですよ。アルミ箔を飲んだりすれば、かえって体を悪くすると思いますが?」
ケントは理解したとうなずく。
「これ以上かかわらず、この場をすぐに立ち去ることをお勧めします」
ケントはうなずくと野次馬から離れる。
エルバッハは寸劇以外におかしいことはないか見渡す。近づいてくる人影があるが、見覚えのあるハンターであった。
「よお」
「こんにちは」
ヴァージルとニーナはケントに声をかけた後、エルバッハとあいさつを交わす。
ケントは前回のこともあり、少しびくつく。
「何に巻き込まれたんだ?」
「……?」
「いや、だって、どう考えても、あいつら『アルミ箔』と言いながら、ちらちらお前見てた」
ヴァージルの言葉にニーナが同意するが、当の本人は気づいていなかったらしい。
三人のハンターがどこから説明しようかと一瞬黙ったころ、野次馬も立ち去り始めた。残るのは巻き込まれたケントとハンターたち。
道の端っこで会話は続く。
「確認ですが、アルミ箔は持っているのですか?」
エルバッハの問いかけにうなずくケント。
「見せていただいてよいですか?」
「しかし」
「何に巻き込まれたかわからないのですよ? 手がかりはそれです」
エルバッハは説得し、箱を受け取る。アルミ箔の箱を開けると本体以外に袋があり、その中には白い粉があった。
「これが原因ですね。隠しておいて、忘れて売ったのでしょう」
エルバッハの推測に誰も異は唱えない。
「災難ですね……でもなんでこれをお持ちなんですか? アルミ箔は料理に使えるものですが、お料理するのですか?」
ミオレスカが尋ねる。
「実は……妹の誕生日プレゼントにしようと思ったんだ」
ケントの告白に沈黙が流れる。
「えっ……プレゼント?」
「アルミ箔?」
誰ともなく声が漏れる。
徐々にケントの顔が赤くなる。
「でも、まあ、一生懸命考えたのなら、妹さんも、きっと喜ぶとは思います」
ミオレスカが控えめに褒める。
「んー……素敵な話ですよ? 話ですけれど……でも、なんでアルミ箔!」
ニーナは妹という部分を自分に置き換えて考える。突然、リボンがかかったアルミ箔の箱をもらって嬉しいか否か。
「ルゥルはリアルブルーが好きだというから、俺が持つお金で買えるものを考えてそれらしいものとして選んだんだ」
「……聞いたことのある名前なのですが……気のせいでしょうか」
ミオレスカがケントがあげた名前に首をかしげる。
「最近、一緒に昼ご飯食べたあの子」
マリィアが教えるとミオレスカが手をポンと打つ。
「……え、お兄さんがいたんですね」
「その上、このクソガキ、ルゥルをいじめて家から追い出したんだ」
ミオレスカは困惑する。ケントと初対面であるし、いろいろ深い事情があるのだと理解する。
「違う、追い出していない!」
「なら、なんで、家族が必要な時期に、あの子は別の家にいるの」
マリィアの指摘にこれ以上濡れ衣は困るとケントは説明責任を果たすこととした。
「……ルゥルの住んでた別宅の近所に住んでいた貴族の坊ちゃんが主犯だ。確かに俺も……」
ケントの語尾は消える。
「まあ……ひとまず、その件はおきましょう。今はこの白い粉問題です」
エルバッハが割って入る。入らないと、話が進まない。
「しかるべきところに届けたほうがいいと思います」
「ハンターオフィス?」
マリィアの問いを受け、エルバッハはケントを見た。
「……ケントさん、どこに届けます?」
「分かった、行く」
「ついでですから、同行します」
ケントは驚く。
「あんな変な芝居を打つということは、人手はあります。なりふり構わない場合、あなたに危険は及びます」
「……ありがとう……ございます」
ケントは頭を下げた。
「いえいえ」
エルバッハは淡々と答える。
「私もついでに行きますね。せっかくならプレゼントのアドバイスなんか僭越ながらできるかもしれません」
ミオレスカがアルミ箔を見つつ思案する。
「そうそう。さすがにアルミ箔って……いえ、まあ、それをあなたが心を込めて選んだのだから一番いいと思うの。でも、でも」
ニーナの内に沸き上がるもやもやを表そうとする。鈍感という二文字がよぎり、ついヴァージルを見る。幼馴染かつ妹分というポジションだということは気づいている。
「本人に聞ければ一番だが……」
ヴァージルは魔導短伝話を眺める。1キロメートルという微妙な距離で溜息が漏れた。
●アドバイス
ケントとニーナを中心にエルバッハやミオレスカたちが囲む。
「それにしても……そんな怪しいところによく行くよな」
ヴァージルが行くとしても躊躇はするだろう、裏路地のちょっと怪しげな、商品が埃をかぶっている上、店員が怪しい雰囲気だと。
「探していて気づいたら」
そして今、こうして事件に巻き込まれている。
「あれで終わって下さればいいんですけれど」
ミオレスカは町中ということでもあり、武器を使うような事態は避けたい。
「まあ、どうかしら? 私たちがハンターであると分かれば来ない可能性はあるけど」
マリィアは肩をすくめる、覚醒状態等見せていないため何とも言えない。
「アルミ箔は確かに珍しいかもしれないけど……もらってどうすれば良いのかわかりません!」
ニーナはバッサリと言った。
ケント、たじろぐ。
「変にひねった物もらうより、日常使いできるもの方が絶対嬉しいはずよ! 例えばティーカップとか!」
ニーナの視線がヴァージルに時々向かう。私がほしいものアピールなのかもしれない。
「ティーカップか……あの子だろう? ぬいぐるみとかのほうが喜ぶんじゃないのか?」
ニーナの気持ちはヴァージルに伝わらないが、答え自体は一般的に見て問題はないようだ。
「……ペットにパルムとフェレットを連れて歩いていると聞いたし」
ケント、きちんと事実を仕入れいてた。
「生き物とぬいぐるみ、かぁ」
「生き物とぬいぐるみ違うし。ケントさんが選んだならぬいぐるみでもいいんじゃないですか?」
ニーナの言葉にケントがうなる。
「手作りはどうでしょう? クッキーを焼いてみるというのはいかがでしょうか?」
「料理はしたことがない」
ミオレスカの提案に、ケント全身で拒否を表す。
「いえいえ、簡単ですよ。小麦粉とお砂糖、卵、バターなどをよく混ぜて……鉄板に載せて焼くのです。アルミ箔があれば利用できますけど」
ミオレスカの説明にケントはうめく。
「手っ取り早く、町の有名なお菓子屋は?」
マリィアがぼそっと言う。
「まあ、わかるけど」
「なら、そこで菓子を買いなさい」
「え?」
「可愛く包装したお菓子買えるでしょ」
「そうだけど……」
「大体、あの子を苛め抜いて、あの子があなたを本当に許せるようになるまで、消え物以外渡すのは論外よ。あの子に見るたびに恐怖を与えるつもり?」
視線で殺せるというのがあればこれだろうか?
マリィアにすごまれ、一瞬拳銃をあごの下に押し付けられられた。
「……う、うわああ」
ケント、真っ青である。
「はい、そこまでにしましょう」
エルバッハが止めたとき、近くで悲鳴が上がった。
人通りが少し少ない地域に差し掛かってはいた。
●一応
「あっち」
「見てきます」
マリィアとミオレスカが細い路地を走る。
陽動の可能性はなくはないが本当に事件ならという問題がある。
「ヴァージルさんとニーナさんはケントさんのそばで」
エルバッハが少し前に出る。
「分かりました」
「ああ」
ニーナは実戦も少ないため少し不安だが、頼りにヴァージルがいる。自分も頑張るが、相手は一般人であるが悪党。悪党なら脅してもいいのだろうかと悩む。
「もし、魔法使っても許される?」
「何を考えているかわからないが、一般人に無意味に力を振うのは良くないけど、悪党に対して防衛はいいぞ」
「そうよね?」
ヴァージルの忠告に「普段鈍いのにどうしてこれはわかるの!」とニーナはどきどきする。
「君はここにいて、俺たちの言うことを聞く、よけること」」
ヴァージルの言葉にケントは「分かった」と悲壮感漂う雰囲気で答えた。
と、柄が悪そうな複数の男たちに囲まれた。
「へっへっへっ、店で買ったものおいて行け」
「……【スリープクラウド】」
マテリアルを活性化し、エルバッハが先陣を切る。魔法の雲が覆ったあたりの者は睡魔に襲われ眠った。
「……ハンターかよ!」
逃げ始めたため、エルバッハは「捕まえます」と告げる。
「やるだけやってみます【アイスボルト】」
「逃げるとこれを当てるぞ? 【機導砲】」
ニーナとヴァージルの攻撃により、ならず者は戦意喪失をした。
角を曲がり、路地の奥に入るミオレスカとマリィア。誰もいないどころか袋小路だ。
「陽動だったみたいね」
「帰りましょう」
帰ろうとすると数人ごろつきがたむろして道をふさいでいた。
「ちょっと邪魔」
「わしらがどこにいようとかってじゃろ」
直後、マリィアは拳銃を引き抜く。
「おうおう、いたいけな通りすがりのものに何をするんじゃ」
「……アルミ箔……」
ミオレスカがつぶやいた瞬間、ごろつきの耳がピクリと動く。
「アルミ箔があると良いことありますか?」
「嬢ちゃん、おとなしくしていれば痛い目見ないぜ?」
「……そうですか?」
おどおどとした様子であったとしてもミオレスカは百戦錬磨の猟撃士である。
言葉以上に態度はしっかりとしており、ごろつきは困惑する。
マリィアは地球軍にいたこともある軍人であり、全く動じていない。
「おう、痛い目見せちゃる」
すごんだ男がミオレスカをつかもうとしたが、すっとよけられる。
その瞬間、ミオレスカは覚醒状態となる。
「ちくしょー」
明らかにけんかを売る相手を間違ったとばかりにごろつきたちは逃げ始める。
「捕まえます?」
「できればその方が証拠は挙がる」
逃がさないようにする、逃げても銃撃で止める。
一見多勢に無勢でも、全く問題はなかった。
●報告へ
縛った不審人物たちをひとまずミオレスカとマリィアが見張り、アルミ箔とケントを詰め所にエルバッハとニーナとヴァージルが連れて行く。
詰め所に到着し、説明すると係の者は驚いた。
「小麦粉ってこともないだろうし、調べないと分からないけど」
「不審者を捕まえてありますので、人の手配をお願いします」
「分かった。案内してくれるか?」
「とりあえず私は残ります」
エルバッハはケントの不安そうな表情に暫くいることにした。
「じゃあ、俺たちは案内した後、帰るか」
ヴァージルが詰所の係の人に告げる。
「プレゼント選び直しかもしれないけど、きっと見つかるよ」
「だな。最終手段は菓子でもぬいぐるみでも」
ニーナとヴァージルがケントに別れる前に言葉をかけていく。
「ありがとう」
ケントは素直に頭を下げた。
ケントが教えた店の方にも警備の兵は向かう。そこで老婆が店番をしていたが、話を聞くために詰め所に連れてこられる。
老婆は否認していたが、ミオレスカとマリィアと会った瞬間、顔色に変化が現れる。
「あ、おばあさん、もう体調は良いのですか?」
「アルミ箔飲まなくて良かったわね」
この直後、この老婆は一味に加わっていたことを白状し、いかに騙されたかを語るのだった。
人通りのある道で発生した質の悪い寸劇。通行人にはハンターもいる。
依頼帰り道のエルバッハ・リオン(ka2434)は怪しがりながら見ていた。
「アルミ箔を飲ませないといけないなんて、おかしなことを言っていますね」
見物人の中に見覚えのある少年――ルゥル(kz0210)の兄のケント・ハウエルを見つける。ケントは意を決した表情で荷物に手を当てており、見るほうには嫌な予感を与える。
リアルブルーの料理に興味があるミオレスカ(ka3496)が足を止める。
「アルミ箔と言いましたか? どうかなさったのですか! アルミ箔が必要なのですか?」
調理の道具がなぜ必要なのかと問いかけるまなざしをミオレスカは送る。
マリィア・バルデス(ka5848)は怒気のはらんだ声で、周囲の音をたたき切った。
「素敵な小芝居だったわね。それで、子どもからアルミ箔なんて取り上げようとするあんたちはどんな悪党なのかしら?」
マリィアはケントがルゥルをいじめていたということで腹を大変、非常に腹を立てている。ここで助けるのはルゥルのためだし、悪党の野放しもできないから。
材料買い出しで通ったヴァージル・シャーマン(ka6585)とそれに付き合ったニーナ・フォーレルトゥン(ka6657)もここにいた。ヴァージルは群衆に見覚えのある少年を見て、放っていいのか見極めようとする。
「あれはいつだったか脅……もとい、諭した少年じゃないか。またうっさん臭いのに絡まれてんな」
ヴァージルは自転車から降りた。もし必要ならと「発煙手榴弾」を握る。
「アルミ箔自体、魔術的なものはないはずなんだけどなぁ……なんで必死なんだろう?」
ニーナは首をかしげる。
●茶番は終わらせる
「大体、アルミ箔は誤食しても翌日には排出され、ほぼ消化されないのよ。アルツハイマーとの関連を疑われたから、アルミニウムも市販製品も体内への摂取量が――」
マリィア、機関銃のようにアルミ箔について説明する。
その横でミオレスカが「そうなんですか」とか「へえ」と感嘆の声をあげる。
「具合が悪いのでしたら、お医者様のいるところまで、ご一緒しましょうか?」
ミオレスカが親切に尋ねる。できの悪い何か事件の一端だとは感じるが、万が一ということがあれば悔やむと思う。
「放っておいていいと思うけど」
マリィアは冷たい視線を不審者二人に注いでやる。
不審者二人はぶるぶる震え、真っ青で冷や汗と脂汗を流す。しきりに目くばせをし、会話をしているようだ。まあ、テレパスなんてないから忖度。
「おっおっかあ」
「おおおおう、なんということじゃ、元気になったぞ」
「そうか、良かった! それほどひどい発作じゃなかったんだな」
息子、非常に安堵した息を吐く。
「あんたがたになんてお礼を言っていいやら」
二人は低姿勢でぺこぺこする。
ミオレスカはきょとんとし、マリィアの頬の神経がピクリと動く。
「ありがとうございました」
不審者はすごい勢いで元気いっぱいに離れた。
ヴァージルとニーナが見ている間に状況は終息しそうだった。
「ヴァージル……これ、どうなるのかな?」
「どうなるもこうなるも……彼のほうに行こう。念のため話を聞いたほうがいいだろうし」
自転車を押して移動した。
「お久しぶりですケントさん」
ミオレスカとマリィアが対応している間、エルバッハはケントに近づき声をかけた。
「以前の……」
「手短に言いますと……アルミ箔の材料のアルミニウムは金属ですよ。アルミ箔を飲んだりすれば、かえって体を悪くすると思いますが?」
ケントは理解したとうなずく。
「これ以上かかわらず、この場をすぐに立ち去ることをお勧めします」
ケントはうなずくと野次馬から離れる。
エルバッハは寸劇以外におかしいことはないか見渡す。近づいてくる人影があるが、見覚えのあるハンターであった。
「よお」
「こんにちは」
ヴァージルとニーナはケントに声をかけた後、エルバッハとあいさつを交わす。
ケントは前回のこともあり、少しびくつく。
「何に巻き込まれたんだ?」
「……?」
「いや、だって、どう考えても、あいつら『アルミ箔』と言いながら、ちらちらお前見てた」
ヴァージルの言葉にニーナが同意するが、当の本人は気づいていなかったらしい。
三人のハンターがどこから説明しようかと一瞬黙ったころ、野次馬も立ち去り始めた。残るのは巻き込まれたケントとハンターたち。
道の端っこで会話は続く。
「確認ですが、アルミ箔は持っているのですか?」
エルバッハの問いかけにうなずくケント。
「見せていただいてよいですか?」
「しかし」
「何に巻き込まれたかわからないのですよ? 手がかりはそれです」
エルバッハは説得し、箱を受け取る。アルミ箔の箱を開けると本体以外に袋があり、その中には白い粉があった。
「これが原因ですね。隠しておいて、忘れて売ったのでしょう」
エルバッハの推測に誰も異は唱えない。
「災難ですね……でもなんでこれをお持ちなんですか? アルミ箔は料理に使えるものですが、お料理するのですか?」
ミオレスカが尋ねる。
「実は……妹の誕生日プレゼントにしようと思ったんだ」
ケントの告白に沈黙が流れる。
「えっ……プレゼント?」
「アルミ箔?」
誰ともなく声が漏れる。
徐々にケントの顔が赤くなる。
「でも、まあ、一生懸命考えたのなら、妹さんも、きっと喜ぶとは思います」
ミオレスカが控えめに褒める。
「んー……素敵な話ですよ? 話ですけれど……でも、なんでアルミ箔!」
ニーナは妹という部分を自分に置き換えて考える。突然、リボンがかかったアルミ箔の箱をもらって嬉しいか否か。
「ルゥルはリアルブルーが好きだというから、俺が持つお金で買えるものを考えてそれらしいものとして選んだんだ」
「……聞いたことのある名前なのですが……気のせいでしょうか」
ミオレスカがケントがあげた名前に首をかしげる。
「最近、一緒に昼ご飯食べたあの子」
マリィアが教えるとミオレスカが手をポンと打つ。
「……え、お兄さんがいたんですね」
「その上、このクソガキ、ルゥルをいじめて家から追い出したんだ」
ミオレスカは困惑する。ケントと初対面であるし、いろいろ深い事情があるのだと理解する。
「違う、追い出していない!」
「なら、なんで、家族が必要な時期に、あの子は別の家にいるの」
マリィアの指摘にこれ以上濡れ衣は困るとケントは説明責任を果たすこととした。
「……ルゥルの住んでた別宅の近所に住んでいた貴族の坊ちゃんが主犯だ。確かに俺も……」
ケントの語尾は消える。
「まあ……ひとまず、その件はおきましょう。今はこの白い粉問題です」
エルバッハが割って入る。入らないと、話が進まない。
「しかるべきところに届けたほうがいいと思います」
「ハンターオフィス?」
マリィアの問いを受け、エルバッハはケントを見た。
「……ケントさん、どこに届けます?」
「分かった、行く」
「ついでですから、同行します」
ケントは驚く。
「あんな変な芝居を打つということは、人手はあります。なりふり構わない場合、あなたに危険は及びます」
「……ありがとう……ございます」
ケントは頭を下げた。
「いえいえ」
エルバッハは淡々と答える。
「私もついでに行きますね。せっかくならプレゼントのアドバイスなんか僭越ながらできるかもしれません」
ミオレスカがアルミ箔を見つつ思案する。
「そうそう。さすがにアルミ箔って……いえ、まあ、それをあなたが心を込めて選んだのだから一番いいと思うの。でも、でも」
ニーナの内に沸き上がるもやもやを表そうとする。鈍感という二文字がよぎり、ついヴァージルを見る。幼馴染かつ妹分というポジションだということは気づいている。
「本人に聞ければ一番だが……」
ヴァージルは魔導短伝話を眺める。1キロメートルという微妙な距離で溜息が漏れた。
●アドバイス
ケントとニーナを中心にエルバッハやミオレスカたちが囲む。
「それにしても……そんな怪しいところによく行くよな」
ヴァージルが行くとしても躊躇はするだろう、裏路地のちょっと怪しげな、商品が埃をかぶっている上、店員が怪しい雰囲気だと。
「探していて気づいたら」
そして今、こうして事件に巻き込まれている。
「あれで終わって下さればいいんですけれど」
ミオレスカは町中ということでもあり、武器を使うような事態は避けたい。
「まあ、どうかしら? 私たちがハンターであると分かれば来ない可能性はあるけど」
マリィアは肩をすくめる、覚醒状態等見せていないため何とも言えない。
「アルミ箔は確かに珍しいかもしれないけど……もらってどうすれば良いのかわかりません!」
ニーナはバッサリと言った。
ケント、たじろぐ。
「変にひねった物もらうより、日常使いできるもの方が絶対嬉しいはずよ! 例えばティーカップとか!」
ニーナの視線がヴァージルに時々向かう。私がほしいものアピールなのかもしれない。
「ティーカップか……あの子だろう? ぬいぐるみとかのほうが喜ぶんじゃないのか?」
ニーナの気持ちはヴァージルに伝わらないが、答え自体は一般的に見て問題はないようだ。
「……ペットにパルムとフェレットを連れて歩いていると聞いたし」
ケント、きちんと事実を仕入れいてた。
「生き物とぬいぐるみ、かぁ」
「生き物とぬいぐるみ違うし。ケントさんが選んだならぬいぐるみでもいいんじゃないですか?」
ニーナの言葉にケントがうなる。
「手作りはどうでしょう? クッキーを焼いてみるというのはいかがでしょうか?」
「料理はしたことがない」
ミオレスカの提案に、ケント全身で拒否を表す。
「いえいえ、簡単ですよ。小麦粉とお砂糖、卵、バターなどをよく混ぜて……鉄板に載せて焼くのです。アルミ箔があれば利用できますけど」
ミオレスカの説明にケントはうめく。
「手っ取り早く、町の有名なお菓子屋は?」
マリィアがぼそっと言う。
「まあ、わかるけど」
「なら、そこで菓子を買いなさい」
「え?」
「可愛く包装したお菓子買えるでしょ」
「そうだけど……」
「大体、あの子を苛め抜いて、あの子があなたを本当に許せるようになるまで、消え物以外渡すのは論外よ。あの子に見るたびに恐怖を与えるつもり?」
視線で殺せるというのがあればこれだろうか?
マリィアにすごまれ、一瞬拳銃をあごの下に押し付けられられた。
「……う、うわああ」
ケント、真っ青である。
「はい、そこまでにしましょう」
エルバッハが止めたとき、近くで悲鳴が上がった。
人通りが少し少ない地域に差し掛かってはいた。
●一応
「あっち」
「見てきます」
マリィアとミオレスカが細い路地を走る。
陽動の可能性はなくはないが本当に事件ならという問題がある。
「ヴァージルさんとニーナさんはケントさんのそばで」
エルバッハが少し前に出る。
「分かりました」
「ああ」
ニーナは実戦も少ないため少し不安だが、頼りにヴァージルがいる。自分も頑張るが、相手は一般人であるが悪党。悪党なら脅してもいいのだろうかと悩む。
「もし、魔法使っても許される?」
「何を考えているかわからないが、一般人に無意味に力を振うのは良くないけど、悪党に対して防衛はいいぞ」
「そうよね?」
ヴァージルの忠告に「普段鈍いのにどうしてこれはわかるの!」とニーナはどきどきする。
「君はここにいて、俺たちの言うことを聞く、よけること」」
ヴァージルの言葉にケントは「分かった」と悲壮感漂う雰囲気で答えた。
と、柄が悪そうな複数の男たちに囲まれた。
「へっへっへっ、店で買ったものおいて行け」
「……【スリープクラウド】」
マテリアルを活性化し、エルバッハが先陣を切る。魔法の雲が覆ったあたりの者は睡魔に襲われ眠った。
「……ハンターかよ!」
逃げ始めたため、エルバッハは「捕まえます」と告げる。
「やるだけやってみます【アイスボルト】」
「逃げるとこれを当てるぞ? 【機導砲】」
ニーナとヴァージルの攻撃により、ならず者は戦意喪失をした。
角を曲がり、路地の奥に入るミオレスカとマリィア。誰もいないどころか袋小路だ。
「陽動だったみたいね」
「帰りましょう」
帰ろうとすると数人ごろつきがたむろして道をふさいでいた。
「ちょっと邪魔」
「わしらがどこにいようとかってじゃろ」
直後、マリィアは拳銃を引き抜く。
「おうおう、いたいけな通りすがりのものに何をするんじゃ」
「……アルミ箔……」
ミオレスカがつぶやいた瞬間、ごろつきの耳がピクリと動く。
「アルミ箔があると良いことありますか?」
「嬢ちゃん、おとなしくしていれば痛い目見ないぜ?」
「……そうですか?」
おどおどとした様子であったとしてもミオレスカは百戦錬磨の猟撃士である。
言葉以上に態度はしっかりとしており、ごろつきは困惑する。
マリィアは地球軍にいたこともある軍人であり、全く動じていない。
「おう、痛い目見せちゃる」
すごんだ男がミオレスカをつかもうとしたが、すっとよけられる。
その瞬間、ミオレスカは覚醒状態となる。
「ちくしょー」
明らかにけんかを売る相手を間違ったとばかりにごろつきたちは逃げ始める。
「捕まえます?」
「できればその方が証拠は挙がる」
逃がさないようにする、逃げても銃撃で止める。
一見多勢に無勢でも、全く問題はなかった。
●報告へ
縛った不審人物たちをひとまずミオレスカとマリィアが見張り、アルミ箔とケントを詰め所にエルバッハとニーナとヴァージルが連れて行く。
詰め所に到着し、説明すると係の者は驚いた。
「小麦粉ってこともないだろうし、調べないと分からないけど」
「不審者を捕まえてありますので、人の手配をお願いします」
「分かった。案内してくれるか?」
「とりあえず私は残ります」
エルバッハはケントの不安そうな表情に暫くいることにした。
「じゃあ、俺たちは案内した後、帰るか」
ヴァージルが詰所の係の人に告げる。
「プレゼント選び直しかもしれないけど、きっと見つかるよ」
「だな。最終手段は菓子でもぬいぐるみでも」
ニーナとヴァージルがケントに別れる前に言葉をかけていく。
「ありがとう」
ケントは素直に頭を下げた。
ケントが教えた店の方にも警備の兵は向かう。そこで老婆が店番をしていたが、話を聞くために詰め所に連れてこられる。
老婆は否認していたが、ミオレスカとマリィアと会った瞬間、顔色に変化が現れる。
「あ、おばあさん、もう体調は良いのですか?」
「アルミ箔飲まなくて良かったわね」
この直後、この老婆は一味に加わっていたことを白状し、いかに騙されたかを語るのだった。
依頼結果
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- ルル大学魔術師学部教授
エルバッハ・リオン(ka2434)
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アルミ箔を守れ ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/05/09 00:56:24 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/08 22:26:58 |