ゲスト
(ka0000)
森の脅威の根絶を!
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~10人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/26 12:00
- 完成日
- 2017/05/31 11:26
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
グラズヘイム王国東部、リンダールの森。
以前、その森内部のとあるエルフの集落南に大樹があった。
ある日、その木は何者かに切り倒され、一時は切り株となっていたのだが……。今やその切り株ごとなくなってしまい、巨大な穴が地中に向かって開いている状況である。
先日の調査で、その中は、植物雑魔の巣となっていることが確認され、奥には歪虚らしき姿が発見されている。かなり手強い相手と見られており、エルフ達は別所の雑魔討伐に臨んでいた聖堂戦士団の到着を待つなど、万全の対策を練ってその討伐準備を進めていた。
王都イルダーナ。
そのハンターズソサエティには、関連依頼の斡旋を行う金髪ウェーブヘアで糸目の女性シェリーが、聖堂戦士団小隊長、ファリーナ・リッジウェイ(kz0182)と共に、森の植物雑魔撲滅の為の作戦に臨むハンターの来訪を待っていた。
「ついに、このときが来ましたねー」
「ようやく、森に平穏を取り戻せるのですね……」
森のエルフの集落周囲には幾度となく、ヤギ雑魔と植物雑魔が現れ、エルフ達を苛んでいた。
ヤギ雑魔はすでに討伐を完了しているが、残る植物雑魔は、集落南の大穴内部に巣食って繁殖を続けていると見られている。
エルフ達はハンターに調査と雑魔討伐の依頼を重ねて敵の勢力を削ぎつつ、本作戦に向けての準備を整えていた。
「話によれば、調査に当たったハンターの皆さんが巨大なモノを見たそうです」
調査の途中に植物雑魔をけしかけてきた為、残念ながらその全身を確認はできなかったが、強力な歪虚に間違いないと調査に当たったメンバーは報告書を残している。
この歪虚を討伐したいのだが、一筋縄で行く相手とは到底思えない。
「相手をするには、植物雑魔やその上位の大木雑魔と同様の対策で問題はないと思いますがー」
何せ、敵も総力戦で襲ってくると予想される。この為、エルフ、聖堂戦士団が植物雑魔どもを抑えつつ、力のあるハンターで歪虚を手早く倒してほしいとファリーナは主張する。
「残念ながら、我々では思うようには戦えないかと……。調査によれば、穴の奥はかなり狭く、陣形の展開が難しいようなのです」
だからこそ、個々の能力の高いハンターに任せたいとエルフ達も同意を見せる。
ここでこの歪虚を倒せなければ、これまでの作戦、準備が無駄になってしまう。最悪、歪虚が根を張り巡らせる場所すら変えてしまう恐れがあるのだ。
「ここで必ず、全ての元凶と思われる歪虚を倒したいですね……!」
会話も可能であれば、敵の企みを聞き出すことも出来るかもしれない。それらも合わせ、ここで全てを終わらせてしまいたい。
「ご武運をー……」
転移門へと向かうハンター達を、シェリーは不安げに見つめるのだった。
グラズヘイム王国東部、リンダールの森。
以前、その森内部のとあるエルフの集落南に大樹があった。
ある日、その木は何者かに切り倒され、一時は切り株となっていたのだが……。今やその切り株ごとなくなってしまい、巨大な穴が地中に向かって開いている状況である。
先日の調査で、その中は、植物雑魔の巣となっていることが確認され、奥には歪虚らしき姿が発見されている。かなり手強い相手と見られており、エルフ達は別所の雑魔討伐に臨んでいた聖堂戦士団の到着を待つなど、万全の対策を練ってその討伐準備を進めていた。
王都イルダーナ。
そのハンターズソサエティには、関連依頼の斡旋を行う金髪ウェーブヘアで糸目の女性シェリーが、聖堂戦士団小隊長、ファリーナ・リッジウェイ(kz0182)と共に、森の植物雑魔撲滅の為の作戦に臨むハンターの来訪を待っていた。
「ついに、このときが来ましたねー」
「ようやく、森に平穏を取り戻せるのですね……」
森のエルフの集落周囲には幾度となく、ヤギ雑魔と植物雑魔が現れ、エルフ達を苛んでいた。
ヤギ雑魔はすでに討伐を完了しているが、残る植物雑魔は、集落南の大穴内部に巣食って繁殖を続けていると見られている。
エルフ達はハンターに調査と雑魔討伐の依頼を重ねて敵の勢力を削ぎつつ、本作戦に向けての準備を整えていた。
「話によれば、調査に当たったハンターの皆さんが巨大なモノを見たそうです」
調査の途中に植物雑魔をけしかけてきた為、残念ながらその全身を確認はできなかったが、強力な歪虚に間違いないと調査に当たったメンバーは報告書を残している。
この歪虚を討伐したいのだが、一筋縄で行く相手とは到底思えない。
「相手をするには、植物雑魔やその上位の大木雑魔と同様の対策で問題はないと思いますがー」
何せ、敵も総力戦で襲ってくると予想される。この為、エルフ、聖堂戦士団が植物雑魔どもを抑えつつ、力のあるハンターで歪虚を手早く倒してほしいとファリーナは主張する。
「残念ながら、我々では思うようには戦えないかと……。調査によれば、穴の奥はかなり狭く、陣形の展開が難しいようなのです」
だからこそ、個々の能力の高いハンターに任せたいとエルフ達も同意を見せる。
ここでこの歪虚を倒せなければ、これまでの作戦、準備が無駄になってしまう。最悪、歪虚が根を張り巡らせる場所すら変えてしまう恐れがあるのだ。
「ここで必ず、全ての元凶と思われる歪虚を倒したいですね……!」
会話も可能であれば、敵の企みを聞き出すことも出来るかもしれない。それらも合わせ、ここで全てを終わらせてしまいたい。
「ご武運をー……」
転移門へと向かうハンター達を、シェリーは不安げに見つめるのだった。
リプレイ本文
●
グラズヘイム王国、リンダールの森。
聖堂戦士団、エルフと共に、10人のハンターが目的地を目指す。
「元凶が、わかりましたね」
おどおどしながらも、ミオレスカ(ka3496)が小さく呟く。
この場のメンバーのほとんどは、この森で起きていた雑魔事件の関連依頼に参加した経験のある者達ばかり。皆、今回こそ終わらせようとそのテンションは高い。
「穴が先か歪虚が先か……」
「何を目的に、この森を拠点にしていたのかしら」
一行が向かうは森に開いた大穴。それが開いた経緯を考えるロニ・カルディス(ka0551)の言葉に、ふわふわした雰囲気のリアリュール(ka2003) も疑問を口にする。
「……何にせよ、今ここで仕留めておかねばな」
謎が深まる部分もあるが、ここで歪虚を叩かねばならないのは間違いない。ロニはそう感じてこの戦いの勝利を神へと祈る。
左は欠けているものの、2本の黒い角を生やした鬼のセルゲン(ka6612)も幾度かエルフの依頼を受けている。
「いよいよ、森を荒らしてた歪虚の親玉と対面か……」
彼もまたこの森に平穏を取り戻すべく、微力なりにやれることをやろうと考えていた。
「小隊長殿達はまた、宜しく頼む」
「はい、よろしくお願いいたします……!」
聖堂戦士団小隊長のファリーナ・リッジウェイ(kz0182)はやや緊張した面持ちでこの作戦に臨んでいたが、部下の手前もあって気を引き締め直していた。
今作戦の為に、森への調査の他、掃討作戦を重ねて雑魔の間引きを行い、いつもより多くのハンターを呼ぶなど、エルフ達は出来うる限り入念な準備をしてきた。それに応える為、結果を出さねばならないとハンターも聖堂戦士団も肌で感じている。
「くっ、こんな時に……!」
こんな状況なのにと、直前の依頼において深手を負ってしまった南護 炎(ka6651)は顔を引きつらせる。
今回のエルフ達の作戦を聞き、いても立ってもいられず駆けつけたのだが、満足に動かぬ身体に炎は臍をかんでいた。顔なじみのエルフ達が彼の容態を気にかけていたようだ。
「森への被害拡大を、確実に止めたいです」
ミオレスカもまたエルフであり、同族の危機がきっかけで関連依頼に参加し始めている。
「初めて来た場所ですが、エルフの集落を脅かしていたと聞けば他人事とは思えません」
同じく、エルフのアニス・エリダヌス(ka2491)はこの森のエルフ達を見て小さく、そして力強く告げた。
「ここで、禍根を断ちましょう」
アニスの隣には、背中を預けて共に歩むヴァイス(ka0364)の姿もある。負けるなどと、微塵も感じるはずがないのだ。
程なく、一行の前方に大穴が見えてきた。
「この前戦った、植物雑魔達の親玉がこの奥にいるのかあ」
夢路 まよい(ka1328)が唸って考える横で、榊 兵庫(ka0010)が先日の調査で見たモノを思い出す。
大穴の奥。暗くてその全容は分からなかったが、闇の底で巨大な何かが蠢いていた。
「……前回の調査の時、居座っていたのがそいつというわけだ」
突入にあたり、メンバーはハンディライトなどの照明を腰にくくりつける。
ヴァイスは点灯させたランタンを腰に着用する。その際、アニスは火傷に注意して布を当てていた。
リアリュールは灯火の水晶球を操作し、前方を照射する。まよいも、月と星の装飾が施されたカンテラ「流る月夜のカンデラール」を灯す。
そして、敵が縦穴の底にいるということで、降下の為の杭やロープなども用意する。固定する為にとリアリュールはその尖端にアンカーを、エルバッハ・リオン(ka2434)は鉄パイプを巻きつけていた。
その間、兵庫をメインに、一行は作戦の詰めをしっかりと行う。
「地上から大穴への雑魔の流入を防いでほしいな。あと、私達が奥の穴に突入する補助と、第一層からの雑魔の流入を食い止めてほしいかな」
そんなまよいの願いに、聖堂戦士団、エルフ達が頷く。彼らにとっても総力戦。ここで全てを終わらせねば、この次など考える余裕などありはしない。
「いつまでも脅威を放置しておく訳にはいかないし、今回で片をつけてやろう。お互い最善を尽くすこととしよう」
「ま、どんな大物か知らないけど、歪虚なら焼き払っちゃえばいいだけだよね!」
兵庫が意気込みを語るのに、まよいは不敵に微笑む。
「今回で歪虚を全て斃して、終わりにしましょうか」
決意するように呟くエルバッハ。それを聞いたメンバー達は皆頷き合っていた。
●
暗がりの中へと踏み出す一行。
エルバッハがハンディLEDライトで穴の内部を照らし、ヴァイスが手にする七支槍「大雀」に灯火の如きオーラを纏わせると、そいつらはすぐに動き始める。
枯れ木に蔓草が巻きついた植物雑魔。そして、木が動き出した大木雑魔。地上にも、幾体か潜んでいた雑魔も同時に姿を現す。これが最後の戦いになると、そいつらも本能で悟っているのだろう。
「無茶はしないでくださいね」
それらをエルフが相手をし始めるところで、髪から七色の光が漏れ出すミオレスカが一声かけ、前方の敵を見据える。
わらわらと立ち塞がる雑魔達へ、仕掛けるのは、瞳を強く輝かせたまよいだ。
「邪魔しないでよね……!」
見えないオーラに吹き上げられているかのように髪や服を靡かせたまよいはスタッフ「クレマーティオ」を振るい、燃える火球を叩き込み、雑魔どもを焼き払わんとする。
「私達の前に立ち塞がるのでしたら……」
立て続けに、エルバッハがワンド「アブルリー」を振るう。
覚醒したことで、彼女の大きな胸元には、薔薇の花を模した赤色の紋様が浮かんでいる。その腕や、脚にも棘を模した同色の紋様を浮かばせた彼女は燃える火の玉を放る。炎は刹那燃え上がり、敵陣を包む。
「折角ですから、試してみましょう」
牽制ついでの攻撃。ミオレスカは魔導拳銃「エア・スティーラー」でなく魔導銃「サラマンダー」を抜き、連続射撃で敵の脚を止める。まだ改良の余地はあるだろうが、なかなかに使い勝手は悪くない。
「急ぎましょう」
ミオレスカの呼びかけに、メンバー達は先を急いで走り出す。
駆け出すセルゲンは覚醒して長めの襟足の毛を揺らす。彼は幻影の牙をむき出していた。
紅蓮のオーラを身に纏ったヴァイスが七支槍「大雀」を振り回し、前面の敵を薙ぎ払っていくと、背に淡く光を発する羽根が生やしたアニスが彼に随伴していく。
全身に微かに血を滲ませた傷跡が浮かび上がらせた兵庫も、古武術【榊流】の槍術をもって、植物雑魔を切り伏せる。ハンターの攻撃を幾度も喰らったそいつは、全身を黒い霧に変えて消え去っていく。
それを見て、まよいもまた仲間の背を追って走り出す。
「援護をお願い」
「はい! 皆、ハンターの方々の援護を!」
ハンターについてくる聖堂戦士団へ、リアリュールが呼びかけると、ファリーナが叫ぶ。先を行くハンターと雑魔を挟撃する形となる。
「…………」
ロニも前線に向かっていくのだが、その背後に歯痒そうな表情で残る炎の姿を目にする。
炎は地上部でエルフと共に援護を行う形だが、何せ重傷を押しての参戦。戦うのもほとんどままならず、若いエルフ達の指導、後詰めなどして援護を行っていたようだ。
そして、一層では、聖堂戦士団が雑魔と交戦を始める。
「陣形を組みましょう。いつもどおり戦えば問題ないはずです!」
暗くとも広い場所。ファリーナは自らを中心とする形で陣形を組み、雑魔の相手を行っていた。
「必ず、元凶は叩いてくる。それまでこっちの雑魔の相手、宜しく頼む」
「「「はい!」」」
力強く戦士団へと告げるヴァイスに、ファリーナ達団員が力強く返事する。
アニスもまたこの場は彼女達に任せ、穴の奥に潜む脅威の大元へと近づいていくのだった。
●
棚のようになった大穴の奥。
その下方には、何かが蠢くのがハンター達にも見えた。
――ふふ、ふふふ。
不気味な笑い声がここまで聞こえてくる。
それに、ハンター達は寒気を覚えながらも、穴の奥へと降下を始めた。
ロニはロープを巻きつけた杭を、穴の淵に撃ち込む。
リアリュールが水晶球で縦穴を照らす中、ハンター達は作業を進める。ロープを穴の内部へと垂らし、早速兵庫がロープを伝って縦穴を降り始めた。
「……ここまで来ましたか」
冷えた洞窟内を高い声が震わせる。ハンター達は、それが真下にいる巨大な歪虚が発したものだと疑わない。
「このアンドレア、エルフなどに滅ぼされはしません……!」
そいつは、枝を伸ばし、降下してくるハンターを狙ってくる。絡みつく枝は兵庫の動きを封じようとしてきた。
エルバッハは自身の用意した鉄パイプを地面へと深く突き刺し、そこに巻きつかせたロープを垂らして自らも降りていく。
「させない……」
仲間が撃ち込んだロープを絡めた杭を抑えながら、髪が虹色に輝かせるリアリュールは試作型特殊魔導拳銃「憤慨せしアリオト・光罰」の弾丸を発射し、歪虚の枝を撃ち抜いて攻撃を妨害しようと動く。
さらに、彼女は合間に、自らの用意したアンカー、金具を固定した3本目のロープを垂らしていた。
まよいもまた、降下する仲間の援護をと、真下の歪虚へと魔法を撃とうと試みる。
穴の真上からならば、何とか射線が通りそうだと判断した彼女はスタッフを穴の底に向けて突きつけ、発動させたファイアーボールによって歪虚の上部、枝葉の部分を吹き飛ばす。
ロニも折を見て、鎮魂歌を歌う。その静かで穏やかな戦慄は、生無き歪虚に苦痛を与えていく。
「く……」
気丈に耐える歪虚マンドレア。
その隙にと、歪虚の体の上部で一部壁にまで迫った敵の枝へ、ヴァイスが直接乗り移る。
当然ながら、敵の枝が襲い来る為、ヴァイスは光る七支槍で歪虚の枝葉を薙ぎ払っていく。
アニスはヴァイスが傷つくのを懸念し、魔杖「ランブロス」を振る。刹那、アニスの身を虹色の光が包んだかと思うと、光はヴァイスへと飛んで彼を包み、聖なる光の防御壁を展開した。
「危険は承知だが、この位はしないと……炎の分まで」
セルゲンは外で悔しそうにしていた炎を思い出す。彼の分まで、戦わねばならない。
ロープから歪虚の体に乗り移ったセルゲンは祈りを捧げ、マテリアルを高めていく。そうして戦意を高めた彼はヴァイスと同様、戦斧「ネメシス」を歪虚へと叩きつけ、枝を刈り取ろうと動き始めていた。
その間に、他のメンバー達がロープを伝って降下する。
ミオレスカはハンディLEDライトで仲間を照らしながらも、ロープを伝って飛び降りるように下層へと向かう。
場所にもよるが、その穴はほとんどが歪虚の体で埋め尽くす状況だ。隙間は1人から2人が入ることのできる程度の隙間しか開いていない。それもあって、まよいも穴の中での渋滞に気を掛けながら、ロープを握って降りていく。
仲間の状況を見ていたロニは、先行した兵庫らが底にたどりついたのを確認した。
「橋頭保が出来たな」
ロニもまたロープを伝って降下を始め、仲間を追っていくのである。
●
仲間が降りていく中、リアリュールは1人、穴の入り口に残ることとなる。
入り口は狭いが、仲間は普通に通り抜けている。自分1人であれば通れないこともない。
何より、敵の頭上から攻撃はできそうだが、下部の幹まで射線は通らない。
リアリュールはその時、ファリーナがこちらに注意を向けていることに気づき、ロープを託す。
「任せたよ」
「はい……!」
そうして、穴の中に降りていくリアリュール。ファリーナは隊員1人に穴の抑えを任せ、雑魔殲滅を優先させる。
先んじて穴の底、2層となる部分に兵庫らが降り立つ。
底にはマンドレアが根を張り巡らしており、所々が蠢いている。それらもまた時折ハンターらに襲い掛かり、一行に奪われた体力を直接吸収しようとしてくる。
「ちっ、面倒な触手だな」
降りる途中で、枝触手に腕や胴を絡まれていた兵庫。ただ、彼は1人で戦う気などない。仲間と協力体制を敷いてこの難敵に対する。
「悪いが、こいつらへも攻撃を頼む」
兵庫は自身の火炎槍に生体マテリアルを伝達させ、強化する。そうして、彼は渾身の力で容赦なく歪虚へと刃を浴びせかけていく。
ミオレスカはその要望に応え、弾丸にマテリアルを込め、加速した弾丸で枝を狙う。
「そう簡単に当たられるとは思わぬことです」
だが、思いの他その枝触手の動きは速い。別の枝を撃ち抜きはしたが、ミオレスカは銃弾をリロードしながら問いかける。
「あなたはどうして、ここにいるのですか」
やや気弱そうに見えるミオレスカが意を決して問うと、マンドレアはその幹に自身の姿を現す。それは、耳の尖った女性にも似たような姿をしていた。
「この場で力を蓄え、森を我が物とするためです」
その為には、近場で目に付くエルフの集落が邪魔だった。だからこそ、植物雑魔を操っていたのだ。もっとも、その手から離れて勝手に暴れる雑魔もいたようだが……。
マンドレアの根の上に降り立つミオレスカは会話の成立する相手に、情を覚えるかと考えたが、やはり歪虚は歪虚。容赦など出来ない。
「すみませんが、ここで、退治させていただきます」
ミオレスカは迷いを振り払い、再び「エア・スティーラー」の引き金を引く。
銃弾を受けつつも、マンドレアは根を動かし、底にいるハンター達の体力を吸い取ろうとしてくる。
すかさず、エルバッハは大きな胸を揺らしつつ燃える炎の矢を発し、根の触手にぶつけていく。その根が萎れようとも新たな根が伸び、ハンター達を襲ってくる。
それならと火球を飛ばそうとも考えるエルバッハだが、穴の底だと仲間を巻き込みかねないのがネック。どうやら、樹上へと飛び乗る仲間の姿もあり、上側に飛ばすにも、かなりタイミングを図る必要がありそうだ。この為、エルバッハはファイアアローでの牽制に動くこととなる。
(敵のサイズも大きそうだし……)
まよいは敵のみに狙いを定められるライトニングボルトをと、術式を組み立てていく。
その手に握られたのは、黒い縄が巻き付けられた深紅の木製の杖。その尖端に燃え盛る幻影の見える宝玉が嵌められた「クレマーティオ」を操り、精神を集中したまよいは仲間の頭上を一直線に飛ぶ雷撃で、マンドレアの幹を撃ち抜いていく。
やや遅れて底に着地したロニ。彼は自分に続いてリアリュールが降りてくることに気づいており、牽制をする為に足元の根へと鎮魂歌を歌い聞かせ、その動きを封じようとする。
そうして、対歪虚に臨むメンバーの中で最後に降り立つリアリュールがマンドレアへと呼びかける。
「他にも、歪虚の仲間はいないのかしら」
「生憎と、協力しようとした相手があまりに使えなくてね」
リアリュールの問いに、マンドレアは悪態づく。おそらくは、ヤギ雑魔を操っていたエゴートという歪虚のことだろう。
そいつは、人間に追いつかれる前に森から出ようとしていた。つまり、マンドレアと協力していたものの、縁を切ったといったところか。
「もう仲間はいないと見て良さそうね」
そのリアリュールの言葉に、敵は根触手を伸ばして応戦するのみ。
「養分吸収は面倒ね」
両手に銃を構えた彼女は足元の根を狙い、弾丸を叩き込む。足元の根は少しずつ砕けてきているが、地中深く根を下ろす敵。そう簡単に、その根全てを破壊するとはいかない。
さて、一度二層に降りたヴァイスはアニスと一緒に、敵の身体を上り始めていた。
魔導ワイヤー「フェッセルン」を使い、ヴァイスは枝を上手く移動する。やや遅れる形でアニスが随伴していた。
マンドレアも自身の身を登る彼らを危険視して、枝触手で縛り上げようとしてくる。ヴァイスがそれらを槍で薙ぎ払うが、数が多くその全てを防ぐとはいかない。
アニスにも枝触手が飛んでくる。彼女はコリシュマルド「フラーメ・ルージュ」でそれを切り裂いていくが、やはり腕を縛られることがあって。
「離しなさい……!」
アニスの中心から、花開くように広がる光。仇なす者だけを駆逐するその光が、マンドレアの体を灼いていく。
その2人へと攻撃がいかぬよう、根の上で攻撃を繰り返す兵庫は炎のオーラで自身へと注意を引こうとする。
「マンドレアと言ったか、こっちだ!」
その上で、火炎槍を大振りに振るって自身に巻きつく枝を兵庫が破壊すると、仲間の状況に合わせて臨機応変に対応して動くセルゲンもまた、ヴァイスの露払いに、あるいは攻撃が集中しそうな兵庫のフォローにとマンドレアの幹に、枝にと戦斧を叩きつける。
「問題ない、そのまま頼む」
個々の仲間の目的を達成させるべく、枝から根の上へと降り立つセルゲンは仲間に声をかけながらサポートを行う。
「それにしても……」
彼は敵の幹を見上げる。この歪虚マンドレアはエルフの集落をメインに襲っていたはず。
「エルフ達を苦しめていた歪虚が、エルフの姿をしてるってのは、どんな皮肉だ?」
その姿に、意味があるのかどうか分からないが。セルゲンはそれに笑えぬ冗談かと眉を顰めてしまうのである。
●
その頃、地上ではエルフ達が襲い来る植物雑魔と交戦していた。
傷を押してこの場に立つ炎。残念ながら覚醒すら出来ぬ状態ではあったが、彼は若手のエルフに指示を出す。
「いいぞ、そこだ!」
ただ、守られているばかりではない。足手纏いにはならぬ様に。炎なりにエルフ達をフォローする。
「歪虚はどうなったんだろうな……」
彼はしばし、その場で穴の奥に向かった仲間を想う。
一方、歪虚マンドレアと戦うハンター達。
植物を中心とした歪虚。人、いや、エルフと融合したような姿をしたそれは、憤怒の一員と見て間違いない。
ヴァイスはそいつの猛攻に耐えながら、敵の核となる部分を探す。
「……これか?」
ヴァイスは、敵の頭上部、枝が分かれる部分へと巧妙に隠された黒い塊。これこそ、敵の核なのではないか。
「おい、ここに黒い塊がある。これを狙ってくれ!」
木の下にいる仲間達へと彼は叫び、強く踏み込んで七支槍「大雀」を突き出す。
「うっ、ううっ……!」
呻くマンドレア。アニスはそれまでヴァイスのフォローに動いていたが、ここぞと自身の疑問をぶつける。
「この森に、他の有力な歪虚はいないのですか?」
「どうかしら。少なくとも、私が根を広げる範囲で大きな顔が出来る者はいないと思うけれど」
その間も、敵は枝で、根で、攻撃を繰り返す。時に、その根を地面に下ろし、地面からマテリアルを吸収して己の力を高めていく。
マンドレアは通常時でも、枝や根の締め付けはハンターを苦しめる。それが力を高めると……。
「させないぜ!」
薄ら寒さすら覚えた兵庫は、仲間が攻撃を与えて破壊した根元から中心に火尖槍で切り払い、渾身の力を浴びせかける。
ロニは光を発して敵の体へと衝撃を与えていたが、やはり主に気を引く兵庫の傷が気になるところ。彼は聖導士として祈りを捧げ、兵庫を強くも暖かな光で包み込んで癒していく。
スキルなど、出し惜しみする余裕などない。ミオレスカはありったけのマテリアルを銃弾に込め、敵の巨体へと銃弾を浴びせていく。
「歪虚である以上、焼き払うだけだよ!」
まよいもまた、ぶれることなく雷撃を発し続ける。すでに集中も切れ、これが最後の雷撃。彼女はありったけのマテリアルを込めて撃ち出す。
「く、ううっ……」
身体に走る電撃が敵の幹を灼く。マンドレアは小さな黒煙が上がるのに苦しみの声を上げた。
「弱ってきたようね。それなら……」
ここから畳み掛けようと、リアリュールは幹の女性の姿をした部分を狙い、リロードした試作型特殊魔導拳銃「憤慨せしアリオト・光罰」の弾丸を素早く発砲する。森の平和の為にも、この歪虚はここで倒さねばならない。
その胸に当たる部分を貫かれた敵。広げる根を動かし、ハンターの体力を吸おうとするが、かなりの部分の根が切り裂かれ、満足に体力を吸うことができない。
「さすが、ハンターといったところですか」
その間も、根を切り裂き続けるセルゲンが一際太い根を断ち切ると、ついにマンドレアの巨体が傾く。根が断ち切られたことで、その身体を維持できなくなってきているのだろう。
そこで、エルバッハは前線……とりわけ、敵の核らしき部分を狙うヴァイスの七支槍に炎の精霊力を付与して。
「今です……」
「うおおおおっ!」
ヴァイスは七支槍を強く握りしめ、周囲の枝ごと黒い塊を切り裂く。
音も無く割れるその塊。マンドレアがその直後、叫び始める。
「あ、ああっ、あああああああああああああっ!!!」
黒いマテリアルのような物に包まれた歪虚は、そのまま爆ぜ飛んでしまう。
ヴァイスはそのまま落下し、地面に叩きつけられる。
そこへ、アニスが駆け寄って応急手当てを始めた。ヴァイスは照れくさくなったのか顔を赤くしてアニスから視線を逸らす。
そんな彼に愛おしさを覚えながらも、アニスははたと思い出す。
「負のマテリアルの発生源、聞けなかったですね……」
マンドレアに問うことができなかったのは、フォローに集中していたが故ではあったが。それでも、アニスは大切な人が無事だったことに安堵し、笑顔を浮かべていたのだった。
●
歪虚の消滅の叫び。
それは、一層の聖堂戦士団メンバー達にも聞こえていた。
「歪虚が……!」
ファリーナは嬉しさがこみ上げ、副隊長であり、親友のセリアと抱き合い、喜びを分かち合う。そして、彼女達は士気を高め、残る雑魔の討伐に全力を尽くす。
そして、地上付近で雑魔討伐に当たっていたエルフ達や炎の耳にも、歪虚の声は届いていた。
「やったか……」
エルフを率いる青年、アルウェスが穴を見下ろす。これで、集落に平穏が戻る。それを信じ、彼もまた同胞達と共に残り少なくなった植物雑魔にトドメを刺していく。
そばにいた炎は、なんとも複雑な表情をしていた。
エルフからの依頼の多くに参加してきた彼にも、自身の手で引導を渡したいという気持ちが多分にあったのだろう。
それを果たすことが出来ず、彼は深手を負ってしまう己の力の無さを痛感してその身を震わせていた。
一方、穴の中では、エルバッハが敵歪虚の残骸がないかと見回す。木々のようなものを見つければ、残さず燃やしていた。万が一にも、その残骸から分身が生まれるなどの事態を彼女は懸念していたのだ。
「この大穴が開いた場所は、元々浄化済みだったはずだよな?」
そういえばと、セルゲンが思い出す。それなのになぜ、歪虚は敢えてこの場に居座っていたのか……。
そこで、アニスが前に出る。本格的な浄化術は出来ないとのことだったが、簡易に祈りを捧げる。
「あるべきものは、あるべき姿へ。全ては光の神の御許へ……」
その光が穴の中を照らす。この場の負のマテリアルも少しずつ抑制させていく。
「改めて浄化してもらえるよう、エルフ達に提案してみるか」
セルゲンはそれを見ながら、考えていた。
「やりましたね!」
一層の雑魔をハンターと協力して討伐したファリーナが、団員と共に穴の上部に駆けつけて喝采をあげる。
ファリーナに聞いたところでは、地下までは十分に浄化しきれていなかったとのこと。だからこそ、歪虚は浄化部分をまるごとふっとばしたのだろう。
セルゲンの要望通りにこの穴内部を隈なく浄化すれば、懸念もなくなるはずだ。
そうして、地上へと出る一行。ここでも、エルフ達が植物雑魔を駆除しきっていた。
頭上を見上げる彼らを木漏れ日が照らすが、それすらもメンバー達には眩しく見えて。
ミオレスカが大きく深呼吸する。澄んだ森の空気で胸を満たした彼女は、全てが終わったという爽快感を実感するのだった。
グラズヘイム王国、リンダールの森。
聖堂戦士団、エルフと共に、10人のハンターが目的地を目指す。
「元凶が、わかりましたね」
おどおどしながらも、ミオレスカ(ka3496)が小さく呟く。
この場のメンバーのほとんどは、この森で起きていた雑魔事件の関連依頼に参加した経験のある者達ばかり。皆、今回こそ終わらせようとそのテンションは高い。
「穴が先か歪虚が先か……」
「何を目的に、この森を拠点にしていたのかしら」
一行が向かうは森に開いた大穴。それが開いた経緯を考えるロニ・カルディス(ka0551)の言葉に、ふわふわした雰囲気のリアリュール(ka2003) も疑問を口にする。
「……何にせよ、今ここで仕留めておかねばな」
謎が深まる部分もあるが、ここで歪虚を叩かねばならないのは間違いない。ロニはそう感じてこの戦いの勝利を神へと祈る。
左は欠けているものの、2本の黒い角を生やした鬼のセルゲン(ka6612)も幾度かエルフの依頼を受けている。
「いよいよ、森を荒らしてた歪虚の親玉と対面か……」
彼もまたこの森に平穏を取り戻すべく、微力なりにやれることをやろうと考えていた。
「小隊長殿達はまた、宜しく頼む」
「はい、よろしくお願いいたします……!」
聖堂戦士団小隊長のファリーナ・リッジウェイ(kz0182)はやや緊張した面持ちでこの作戦に臨んでいたが、部下の手前もあって気を引き締め直していた。
今作戦の為に、森への調査の他、掃討作戦を重ねて雑魔の間引きを行い、いつもより多くのハンターを呼ぶなど、エルフ達は出来うる限り入念な準備をしてきた。それに応える為、結果を出さねばならないとハンターも聖堂戦士団も肌で感じている。
「くっ、こんな時に……!」
こんな状況なのにと、直前の依頼において深手を負ってしまった南護 炎(ka6651)は顔を引きつらせる。
今回のエルフ達の作戦を聞き、いても立ってもいられず駆けつけたのだが、満足に動かぬ身体に炎は臍をかんでいた。顔なじみのエルフ達が彼の容態を気にかけていたようだ。
「森への被害拡大を、確実に止めたいです」
ミオレスカもまたエルフであり、同族の危機がきっかけで関連依頼に参加し始めている。
「初めて来た場所ですが、エルフの集落を脅かしていたと聞けば他人事とは思えません」
同じく、エルフのアニス・エリダヌス(ka2491)はこの森のエルフ達を見て小さく、そして力強く告げた。
「ここで、禍根を断ちましょう」
アニスの隣には、背中を預けて共に歩むヴァイス(ka0364)の姿もある。負けるなどと、微塵も感じるはずがないのだ。
程なく、一行の前方に大穴が見えてきた。
「この前戦った、植物雑魔達の親玉がこの奥にいるのかあ」
夢路 まよい(ka1328)が唸って考える横で、榊 兵庫(ka0010)が先日の調査で見たモノを思い出す。
大穴の奥。暗くてその全容は分からなかったが、闇の底で巨大な何かが蠢いていた。
「……前回の調査の時、居座っていたのがそいつというわけだ」
突入にあたり、メンバーはハンディライトなどの照明を腰にくくりつける。
ヴァイスは点灯させたランタンを腰に着用する。その際、アニスは火傷に注意して布を当てていた。
リアリュールは灯火の水晶球を操作し、前方を照射する。まよいも、月と星の装飾が施されたカンテラ「流る月夜のカンデラール」を灯す。
そして、敵が縦穴の底にいるということで、降下の為の杭やロープなども用意する。固定する為にとリアリュールはその尖端にアンカーを、エルバッハ・リオン(ka2434)は鉄パイプを巻きつけていた。
その間、兵庫をメインに、一行は作戦の詰めをしっかりと行う。
「地上から大穴への雑魔の流入を防いでほしいな。あと、私達が奥の穴に突入する補助と、第一層からの雑魔の流入を食い止めてほしいかな」
そんなまよいの願いに、聖堂戦士団、エルフ達が頷く。彼らにとっても総力戦。ここで全てを終わらせねば、この次など考える余裕などありはしない。
「いつまでも脅威を放置しておく訳にはいかないし、今回で片をつけてやろう。お互い最善を尽くすこととしよう」
「ま、どんな大物か知らないけど、歪虚なら焼き払っちゃえばいいだけだよね!」
兵庫が意気込みを語るのに、まよいは不敵に微笑む。
「今回で歪虚を全て斃して、終わりにしましょうか」
決意するように呟くエルバッハ。それを聞いたメンバー達は皆頷き合っていた。
●
暗がりの中へと踏み出す一行。
エルバッハがハンディLEDライトで穴の内部を照らし、ヴァイスが手にする七支槍「大雀」に灯火の如きオーラを纏わせると、そいつらはすぐに動き始める。
枯れ木に蔓草が巻きついた植物雑魔。そして、木が動き出した大木雑魔。地上にも、幾体か潜んでいた雑魔も同時に姿を現す。これが最後の戦いになると、そいつらも本能で悟っているのだろう。
「無茶はしないでくださいね」
それらをエルフが相手をし始めるところで、髪から七色の光が漏れ出すミオレスカが一声かけ、前方の敵を見据える。
わらわらと立ち塞がる雑魔達へ、仕掛けるのは、瞳を強く輝かせたまよいだ。
「邪魔しないでよね……!」
見えないオーラに吹き上げられているかのように髪や服を靡かせたまよいはスタッフ「クレマーティオ」を振るい、燃える火球を叩き込み、雑魔どもを焼き払わんとする。
「私達の前に立ち塞がるのでしたら……」
立て続けに、エルバッハがワンド「アブルリー」を振るう。
覚醒したことで、彼女の大きな胸元には、薔薇の花を模した赤色の紋様が浮かんでいる。その腕や、脚にも棘を模した同色の紋様を浮かばせた彼女は燃える火の玉を放る。炎は刹那燃え上がり、敵陣を包む。
「折角ですから、試してみましょう」
牽制ついでの攻撃。ミオレスカは魔導拳銃「エア・スティーラー」でなく魔導銃「サラマンダー」を抜き、連続射撃で敵の脚を止める。まだ改良の余地はあるだろうが、なかなかに使い勝手は悪くない。
「急ぎましょう」
ミオレスカの呼びかけに、メンバー達は先を急いで走り出す。
駆け出すセルゲンは覚醒して長めの襟足の毛を揺らす。彼は幻影の牙をむき出していた。
紅蓮のオーラを身に纏ったヴァイスが七支槍「大雀」を振り回し、前面の敵を薙ぎ払っていくと、背に淡く光を発する羽根が生やしたアニスが彼に随伴していく。
全身に微かに血を滲ませた傷跡が浮かび上がらせた兵庫も、古武術【榊流】の槍術をもって、植物雑魔を切り伏せる。ハンターの攻撃を幾度も喰らったそいつは、全身を黒い霧に変えて消え去っていく。
それを見て、まよいもまた仲間の背を追って走り出す。
「援護をお願い」
「はい! 皆、ハンターの方々の援護を!」
ハンターについてくる聖堂戦士団へ、リアリュールが呼びかけると、ファリーナが叫ぶ。先を行くハンターと雑魔を挟撃する形となる。
「…………」
ロニも前線に向かっていくのだが、その背後に歯痒そうな表情で残る炎の姿を目にする。
炎は地上部でエルフと共に援護を行う形だが、何せ重傷を押しての参戦。戦うのもほとんどままならず、若いエルフ達の指導、後詰めなどして援護を行っていたようだ。
そして、一層では、聖堂戦士団が雑魔と交戦を始める。
「陣形を組みましょう。いつもどおり戦えば問題ないはずです!」
暗くとも広い場所。ファリーナは自らを中心とする形で陣形を組み、雑魔の相手を行っていた。
「必ず、元凶は叩いてくる。それまでこっちの雑魔の相手、宜しく頼む」
「「「はい!」」」
力強く戦士団へと告げるヴァイスに、ファリーナ達団員が力強く返事する。
アニスもまたこの場は彼女達に任せ、穴の奥に潜む脅威の大元へと近づいていくのだった。
●
棚のようになった大穴の奥。
その下方には、何かが蠢くのがハンター達にも見えた。
――ふふ、ふふふ。
不気味な笑い声がここまで聞こえてくる。
それに、ハンター達は寒気を覚えながらも、穴の奥へと降下を始めた。
ロニはロープを巻きつけた杭を、穴の淵に撃ち込む。
リアリュールが水晶球で縦穴を照らす中、ハンター達は作業を進める。ロープを穴の内部へと垂らし、早速兵庫がロープを伝って縦穴を降り始めた。
「……ここまで来ましたか」
冷えた洞窟内を高い声が震わせる。ハンター達は、それが真下にいる巨大な歪虚が発したものだと疑わない。
「このアンドレア、エルフなどに滅ぼされはしません……!」
そいつは、枝を伸ばし、降下してくるハンターを狙ってくる。絡みつく枝は兵庫の動きを封じようとしてきた。
エルバッハは自身の用意した鉄パイプを地面へと深く突き刺し、そこに巻きつかせたロープを垂らして自らも降りていく。
「させない……」
仲間が撃ち込んだロープを絡めた杭を抑えながら、髪が虹色に輝かせるリアリュールは試作型特殊魔導拳銃「憤慨せしアリオト・光罰」の弾丸を発射し、歪虚の枝を撃ち抜いて攻撃を妨害しようと動く。
さらに、彼女は合間に、自らの用意したアンカー、金具を固定した3本目のロープを垂らしていた。
まよいもまた、降下する仲間の援護をと、真下の歪虚へと魔法を撃とうと試みる。
穴の真上からならば、何とか射線が通りそうだと判断した彼女はスタッフを穴の底に向けて突きつけ、発動させたファイアーボールによって歪虚の上部、枝葉の部分を吹き飛ばす。
ロニも折を見て、鎮魂歌を歌う。その静かで穏やかな戦慄は、生無き歪虚に苦痛を与えていく。
「く……」
気丈に耐える歪虚マンドレア。
その隙にと、歪虚の体の上部で一部壁にまで迫った敵の枝へ、ヴァイスが直接乗り移る。
当然ながら、敵の枝が襲い来る為、ヴァイスは光る七支槍で歪虚の枝葉を薙ぎ払っていく。
アニスはヴァイスが傷つくのを懸念し、魔杖「ランブロス」を振る。刹那、アニスの身を虹色の光が包んだかと思うと、光はヴァイスへと飛んで彼を包み、聖なる光の防御壁を展開した。
「危険は承知だが、この位はしないと……炎の分まで」
セルゲンは外で悔しそうにしていた炎を思い出す。彼の分まで、戦わねばならない。
ロープから歪虚の体に乗り移ったセルゲンは祈りを捧げ、マテリアルを高めていく。そうして戦意を高めた彼はヴァイスと同様、戦斧「ネメシス」を歪虚へと叩きつけ、枝を刈り取ろうと動き始めていた。
その間に、他のメンバー達がロープを伝って降下する。
ミオレスカはハンディLEDライトで仲間を照らしながらも、ロープを伝って飛び降りるように下層へと向かう。
場所にもよるが、その穴はほとんどが歪虚の体で埋め尽くす状況だ。隙間は1人から2人が入ることのできる程度の隙間しか開いていない。それもあって、まよいも穴の中での渋滞に気を掛けながら、ロープを握って降りていく。
仲間の状況を見ていたロニは、先行した兵庫らが底にたどりついたのを確認した。
「橋頭保が出来たな」
ロニもまたロープを伝って降下を始め、仲間を追っていくのである。
●
仲間が降りていく中、リアリュールは1人、穴の入り口に残ることとなる。
入り口は狭いが、仲間は普通に通り抜けている。自分1人であれば通れないこともない。
何より、敵の頭上から攻撃はできそうだが、下部の幹まで射線は通らない。
リアリュールはその時、ファリーナがこちらに注意を向けていることに気づき、ロープを託す。
「任せたよ」
「はい……!」
そうして、穴の中に降りていくリアリュール。ファリーナは隊員1人に穴の抑えを任せ、雑魔殲滅を優先させる。
先んじて穴の底、2層となる部分に兵庫らが降り立つ。
底にはマンドレアが根を張り巡らしており、所々が蠢いている。それらもまた時折ハンターらに襲い掛かり、一行に奪われた体力を直接吸収しようとしてくる。
「ちっ、面倒な触手だな」
降りる途中で、枝触手に腕や胴を絡まれていた兵庫。ただ、彼は1人で戦う気などない。仲間と協力体制を敷いてこの難敵に対する。
「悪いが、こいつらへも攻撃を頼む」
兵庫は自身の火炎槍に生体マテリアルを伝達させ、強化する。そうして、彼は渾身の力で容赦なく歪虚へと刃を浴びせかけていく。
ミオレスカはその要望に応え、弾丸にマテリアルを込め、加速した弾丸で枝を狙う。
「そう簡単に当たられるとは思わぬことです」
だが、思いの他その枝触手の動きは速い。別の枝を撃ち抜きはしたが、ミオレスカは銃弾をリロードしながら問いかける。
「あなたはどうして、ここにいるのですか」
やや気弱そうに見えるミオレスカが意を決して問うと、マンドレアはその幹に自身の姿を現す。それは、耳の尖った女性にも似たような姿をしていた。
「この場で力を蓄え、森を我が物とするためです」
その為には、近場で目に付くエルフの集落が邪魔だった。だからこそ、植物雑魔を操っていたのだ。もっとも、その手から離れて勝手に暴れる雑魔もいたようだが……。
マンドレアの根の上に降り立つミオレスカは会話の成立する相手に、情を覚えるかと考えたが、やはり歪虚は歪虚。容赦など出来ない。
「すみませんが、ここで、退治させていただきます」
ミオレスカは迷いを振り払い、再び「エア・スティーラー」の引き金を引く。
銃弾を受けつつも、マンドレアは根を動かし、底にいるハンター達の体力を吸い取ろうとしてくる。
すかさず、エルバッハは大きな胸を揺らしつつ燃える炎の矢を発し、根の触手にぶつけていく。その根が萎れようとも新たな根が伸び、ハンター達を襲ってくる。
それならと火球を飛ばそうとも考えるエルバッハだが、穴の底だと仲間を巻き込みかねないのがネック。どうやら、樹上へと飛び乗る仲間の姿もあり、上側に飛ばすにも、かなりタイミングを図る必要がありそうだ。この為、エルバッハはファイアアローでの牽制に動くこととなる。
(敵のサイズも大きそうだし……)
まよいは敵のみに狙いを定められるライトニングボルトをと、術式を組み立てていく。
その手に握られたのは、黒い縄が巻き付けられた深紅の木製の杖。その尖端に燃え盛る幻影の見える宝玉が嵌められた「クレマーティオ」を操り、精神を集中したまよいは仲間の頭上を一直線に飛ぶ雷撃で、マンドレアの幹を撃ち抜いていく。
やや遅れて底に着地したロニ。彼は自分に続いてリアリュールが降りてくることに気づいており、牽制をする為に足元の根へと鎮魂歌を歌い聞かせ、その動きを封じようとする。
そうして、対歪虚に臨むメンバーの中で最後に降り立つリアリュールがマンドレアへと呼びかける。
「他にも、歪虚の仲間はいないのかしら」
「生憎と、協力しようとした相手があまりに使えなくてね」
リアリュールの問いに、マンドレアは悪態づく。おそらくは、ヤギ雑魔を操っていたエゴートという歪虚のことだろう。
そいつは、人間に追いつかれる前に森から出ようとしていた。つまり、マンドレアと協力していたものの、縁を切ったといったところか。
「もう仲間はいないと見て良さそうね」
そのリアリュールの言葉に、敵は根触手を伸ばして応戦するのみ。
「養分吸収は面倒ね」
両手に銃を構えた彼女は足元の根を狙い、弾丸を叩き込む。足元の根は少しずつ砕けてきているが、地中深く根を下ろす敵。そう簡単に、その根全てを破壊するとはいかない。
さて、一度二層に降りたヴァイスはアニスと一緒に、敵の身体を上り始めていた。
魔導ワイヤー「フェッセルン」を使い、ヴァイスは枝を上手く移動する。やや遅れる形でアニスが随伴していた。
マンドレアも自身の身を登る彼らを危険視して、枝触手で縛り上げようとしてくる。ヴァイスがそれらを槍で薙ぎ払うが、数が多くその全てを防ぐとはいかない。
アニスにも枝触手が飛んでくる。彼女はコリシュマルド「フラーメ・ルージュ」でそれを切り裂いていくが、やはり腕を縛られることがあって。
「離しなさい……!」
アニスの中心から、花開くように広がる光。仇なす者だけを駆逐するその光が、マンドレアの体を灼いていく。
その2人へと攻撃がいかぬよう、根の上で攻撃を繰り返す兵庫は炎のオーラで自身へと注意を引こうとする。
「マンドレアと言ったか、こっちだ!」
その上で、火炎槍を大振りに振るって自身に巻きつく枝を兵庫が破壊すると、仲間の状況に合わせて臨機応変に対応して動くセルゲンもまた、ヴァイスの露払いに、あるいは攻撃が集中しそうな兵庫のフォローにとマンドレアの幹に、枝にと戦斧を叩きつける。
「問題ない、そのまま頼む」
個々の仲間の目的を達成させるべく、枝から根の上へと降り立つセルゲンは仲間に声をかけながらサポートを行う。
「それにしても……」
彼は敵の幹を見上げる。この歪虚マンドレアはエルフの集落をメインに襲っていたはず。
「エルフ達を苦しめていた歪虚が、エルフの姿をしてるってのは、どんな皮肉だ?」
その姿に、意味があるのかどうか分からないが。セルゲンはそれに笑えぬ冗談かと眉を顰めてしまうのである。
●
その頃、地上ではエルフ達が襲い来る植物雑魔と交戦していた。
傷を押してこの場に立つ炎。残念ながら覚醒すら出来ぬ状態ではあったが、彼は若手のエルフに指示を出す。
「いいぞ、そこだ!」
ただ、守られているばかりではない。足手纏いにはならぬ様に。炎なりにエルフ達をフォローする。
「歪虚はどうなったんだろうな……」
彼はしばし、その場で穴の奥に向かった仲間を想う。
一方、歪虚マンドレアと戦うハンター達。
植物を中心とした歪虚。人、いや、エルフと融合したような姿をしたそれは、憤怒の一員と見て間違いない。
ヴァイスはそいつの猛攻に耐えながら、敵の核となる部分を探す。
「……これか?」
ヴァイスは、敵の頭上部、枝が分かれる部分へと巧妙に隠された黒い塊。これこそ、敵の核なのではないか。
「おい、ここに黒い塊がある。これを狙ってくれ!」
木の下にいる仲間達へと彼は叫び、強く踏み込んで七支槍「大雀」を突き出す。
「うっ、ううっ……!」
呻くマンドレア。アニスはそれまでヴァイスのフォローに動いていたが、ここぞと自身の疑問をぶつける。
「この森に、他の有力な歪虚はいないのですか?」
「どうかしら。少なくとも、私が根を広げる範囲で大きな顔が出来る者はいないと思うけれど」
その間も、敵は枝で、根で、攻撃を繰り返す。時に、その根を地面に下ろし、地面からマテリアルを吸収して己の力を高めていく。
マンドレアは通常時でも、枝や根の締め付けはハンターを苦しめる。それが力を高めると……。
「させないぜ!」
薄ら寒さすら覚えた兵庫は、仲間が攻撃を与えて破壊した根元から中心に火尖槍で切り払い、渾身の力を浴びせかける。
ロニは光を発して敵の体へと衝撃を与えていたが、やはり主に気を引く兵庫の傷が気になるところ。彼は聖導士として祈りを捧げ、兵庫を強くも暖かな光で包み込んで癒していく。
スキルなど、出し惜しみする余裕などない。ミオレスカはありったけのマテリアルを銃弾に込め、敵の巨体へと銃弾を浴びせていく。
「歪虚である以上、焼き払うだけだよ!」
まよいもまた、ぶれることなく雷撃を発し続ける。すでに集中も切れ、これが最後の雷撃。彼女はありったけのマテリアルを込めて撃ち出す。
「く、ううっ……」
身体に走る電撃が敵の幹を灼く。マンドレアは小さな黒煙が上がるのに苦しみの声を上げた。
「弱ってきたようね。それなら……」
ここから畳み掛けようと、リアリュールは幹の女性の姿をした部分を狙い、リロードした試作型特殊魔導拳銃「憤慨せしアリオト・光罰」の弾丸を素早く発砲する。森の平和の為にも、この歪虚はここで倒さねばならない。
その胸に当たる部分を貫かれた敵。広げる根を動かし、ハンターの体力を吸おうとするが、かなりの部分の根が切り裂かれ、満足に体力を吸うことができない。
「さすが、ハンターといったところですか」
その間も、根を切り裂き続けるセルゲンが一際太い根を断ち切ると、ついにマンドレアの巨体が傾く。根が断ち切られたことで、その身体を維持できなくなってきているのだろう。
そこで、エルバッハは前線……とりわけ、敵の核らしき部分を狙うヴァイスの七支槍に炎の精霊力を付与して。
「今です……」
「うおおおおっ!」
ヴァイスは七支槍を強く握りしめ、周囲の枝ごと黒い塊を切り裂く。
音も無く割れるその塊。マンドレアがその直後、叫び始める。
「あ、ああっ、あああああああああああああっ!!!」
黒いマテリアルのような物に包まれた歪虚は、そのまま爆ぜ飛んでしまう。
ヴァイスはそのまま落下し、地面に叩きつけられる。
そこへ、アニスが駆け寄って応急手当てを始めた。ヴァイスは照れくさくなったのか顔を赤くしてアニスから視線を逸らす。
そんな彼に愛おしさを覚えながらも、アニスははたと思い出す。
「負のマテリアルの発生源、聞けなかったですね……」
マンドレアに問うことができなかったのは、フォローに集中していたが故ではあったが。それでも、アニスは大切な人が無事だったことに安堵し、笑顔を浮かべていたのだった。
●
歪虚の消滅の叫び。
それは、一層の聖堂戦士団メンバー達にも聞こえていた。
「歪虚が……!」
ファリーナは嬉しさがこみ上げ、副隊長であり、親友のセリアと抱き合い、喜びを分かち合う。そして、彼女達は士気を高め、残る雑魔の討伐に全力を尽くす。
そして、地上付近で雑魔討伐に当たっていたエルフ達や炎の耳にも、歪虚の声は届いていた。
「やったか……」
エルフを率いる青年、アルウェスが穴を見下ろす。これで、集落に平穏が戻る。それを信じ、彼もまた同胞達と共に残り少なくなった植物雑魔にトドメを刺していく。
そばにいた炎は、なんとも複雑な表情をしていた。
エルフからの依頼の多くに参加してきた彼にも、自身の手で引導を渡したいという気持ちが多分にあったのだろう。
それを果たすことが出来ず、彼は深手を負ってしまう己の力の無さを痛感してその身を震わせていた。
一方、穴の中では、エルバッハが敵歪虚の残骸がないかと見回す。木々のようなものを見つければ、残さず燃やしていた。万が一にも、その残骸から分身が生まれるなどの事態を彼女は懸念していたのだ。
「この大穴が開いた場所は、元々浄化済みだったはずだよな?」
そういえばと、セルゲンが思い出す。それなのになぜ、歪虚は敢えてこの場に居座っていたのか……。
そこで、アニスが前に出る。本格的な浄化術は出来ないとのことだったが、簡易に祈りを捧げる。
「あるべきものは、あるべき姿へ。全ては光の神の御許へ……」
その光が穴の中を照らす。この場の負のマテリアルも少しずつ抑制させていく。
「改めて浄化してもらえるよう、エルフ達に提案してみるか」
セルゲンはそれを見ながら、考えていた。
「やりましたね!」
一層の雑魔をハンターと協力して討伐したファリーナが、団員と共に穴の上部に駆けつけて喝采をあげる。
ファリーナに聞いたところでは、地下までは十分に浄化しきれていなかったとのこと。だからこそ、歪虚は浄化部分をまるごとふっとばしたのだろう。
セルゲンの要望通りにこの穴内部を隈なく浄化すれば、懸念もなくなるはずだ。
そうして、地上へと出る一行。ここでも、エルフ達が植物雑魔を駆除しきっていた。
頭上を見上げる彼らを木漏れ日が照らすが、それすらもメンバー達には眩しく見えて。
ミオレスカが大きく深呼吸する。澄んだ森の空気で胸を満たした彼女は、全てが終わったという爽快感を実感するのだった。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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ファリーナに質問! 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/05/25 15:05:14 |
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/05/26 01:48:21 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/23 22:31:41 |