この俺と勝負しろ!

マスター:小林 左右也

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/06/02 15:00
完成日
2017/06/11 00:20

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 険しい山道を乗り越え、麓の街明かりがようやく望めるようになった。深まる夕陽に追い立てられるよう歩みを進めていたが、これなら完全に夜闇に包まれる前に宿場街へ到着できるはずだ。
「あともう少しだ。今夜は温かい寝床で休めるぞ」
 護衛の男が声を掛けると、旅人の一団の間に、安堵の笑みがこぼれる。
 山と街を隔てる河を渡す吊り橋。これさえ渡ってしまえば、もう街へ着いたも同じようなものだ。河を流れる水音が次第に大きくなってくると、護衛の男は灯りを点し行く先を照らした。
「……!」
 そこに映し出されたものに、誰もが思わず息を呑んだ。
 背後の一団の歩みを制すると、護衛の男は静かに腰にはいた剣の柄に手を沿える。
 吊り橋の前には、巨大な人影が立ち塞がっていた。まるで大猿のような体格と、鉄仮面に簡易的な甲冑を纏った姿は異様だった。鉄仮面の奥に潜む両眼が旅の一団の姿を捉えると、低い笑い声を漏らす。
 その猿のような男は背負った大剣をざらりと抜き放ち、山に響き渡るほどの声で叫んだ。

「昨夜、亜人ジャイアントによる被害報告がありました」
 まだ早い時間だった。職員のコウ・リィは、一晩中対応していたらしく、目の下にうっすらとクマができている。ハンターたちも、まだ眠い目を擦りながら、彼女のに説明に耳を傾けた。
 昨日の夕刻、旅の一団が謎の大男に襲われるという事件が起きた。大柄な男性でも見上げるほどの身の丈と、丸太のような太い腕、隆起した分厚い筋肉で覆われた男だったという。例えていうなら、まるで猿のような風貌らしい。
「殺害されたのは護衛の男性1名で、旅の一団の方々は山道を引き返し、山小屋へ退避している状態です」
 疑問に感じたハンターのひとりが「はい質問です」と手を挙げた。
「はい、そこの君どうぞ」
「他に被害の報告は? 旅人の被害状況は?」
「ありません……いえ、ありました。旅人のケガ人は1名。逃げる時に足をひねって捻挫したそうです」
 その方以外は無傷です。とコウ・リィは言う。
「金品の略奪は」
「ありません」」
「近くの宿場街の被害は?」
「それもありません」
「じゃあ、大猿男の目的って、一体何なんですか?」
 盗賊の紛いなら、間違いなく積み荷は強奪され、旅人たちも殺害されてもおかしくない。宿場街が近いなら、なおのこと。なのに被害者は護衛の男性のみという、あまりない状況に首を傾げるばかりだ。
「推測ですが、大猿男の目的は……腕試しです」
「腕試し?」
「そう。彼は護衛の男性に向かって、大声で叫んだそうです」
「何と、ですか?」
「橋を渡りたければ、この俺と勝負しろ! のようなことを」
 ジャイアントの言語は独特な訛りがあるため、聞き取るのはなかなか困難だ。だが幸い旅人の中に、彼らの言語を多少理解できる人物がいたという。
「自分がどれだけ強いかを知るための腕試しではないかと思われます」
 一同が押し黙る中、再び彼女は淡々と語る。
「現在は厳戒態勢をしいて吊り橋付近への立ち入りを禁じています。あまり時間が経過すると、大猿男がしびれを切らして宿場街や山小屋へ退避している旅人にも危害を加える可能性があります」
 被害が広がる前に大猿男の討伐する必要がある。また、唯一の被害者である護衛の男性の遺体の回収も。
「一刻も早い対応が必要です。出発は1時間後、お願いできますか?」

リプレイ本文


 川音に混じって、時折野太い男の叫び声が聞こえる。
 吊橋までもうすぐだとハンターたちが歩を進めていくと、不意に突然密集した木々が途切れる場所があった。足を止めると、そこからは眼下に広がるのは緑の木々のと、その間に覗くのは、色とりどりの屋根が並ぶ小さな集落が見える。
 これだけ辛い山道の途中に街明かりが見えれば、どんなに旅なれた者でもきっと安堵の息を吐くところであろう。
しかし、昨夜ここから街明かりを目にした旅人たちには安堵が訪れることはなかった。
「うーむ、弁慶の再現でもしたかったのじゃろうか?」
 街道から見下ろす位置にある吊橋にジャイアントはいた。橋の中央で仁王立ちになる彼の姿を見て、レーヴェ・W・マルバス(ka0276)はひとりごちる。
 赤錆が浮かんだ鉄仮面と、ゆうに彼の体長ほどの長さを帯びた剣とあの巨体。あれが今回の依頼対象であるとことは間違いない。時折、苛立ったように大声を上げる。恐らく挑戦者は来ないのかと催促しているのだろう。そんな彼の背後……吊橋の岸向こうに動かない人影を見つける。その背には本人のものであろう剣が突き立てられていた。報告にあった唯一の犠牲者であろう。風に乗って血糊の匂いが鼻を掠める。
「どうしようもない死にたがり屋だな。それともただの向こう見ずか? いずれにしろ愚かの極みだ」
 冷やかな表情でライフルを手に取るコーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)に待ったの声を上げたのは仙堂 紫苑(ka5953)だった。
「取り敢えず、橋から降りて勝負してくれるように交渉しようと思うんですよね」
「私も賛成です。橋を壊さないためにも対話を試みたいと思います」
 アメリア・フォーサイス(ka4111)も同意する意見を述べると、コーネリアは静かにライフルを下げる。
「……わかった。だが不可能なようなら」
「はい。お願いします」
 コーネリアの意図を読み取ったアメリアは大きく頷く。
「こちらも劣勢と判断すれば勝手に行動させてもらうぞ」
 任務に失敗したくないからの、とレーヴェは薄く笑む。
 仙堂とアメリア、南護 炎(ka6651)とが吊橋へ向かうのを見届けると、レーヴェはジャイアントの裏を衝くべく木々の中に姿を潜ませ行動を開始した。
 ミモザ・エンヘドゥ(ka6804)もまた、前を行く若者たちを見届けると、眼下に見えるジャイアントの姿に目を細める。
「武道のなんたるかをわきまえずに腕試しを騙るなど笑止千万」
 ここで断って差し上げましょう。と彼女は静かにほほ笑んだ。


 上流の激しい水音に負けないほどのその声の主は、吊橋の中央で苛立ったように大剣を振り回していた。吊橋はまだ無傷のようだが、このままにしてはジャイアントの手によって破壊される危険がある。
 対話をして橋から降りてもらうよう、正々堂々の勝負をしようとの提案を考えていたが、ここに来て大きな問題に気づいてしまった。
「言葉通じるでしょうか?」
 イントネーションや語尾が多少訛っている程度かと思いきや、これではまるで違う言語だ。アメリアの危惧は仙堂も同じように感じていた。
「奴はかなり訛りが強いですね」
 言語の問題に行き詰まる2人の様子に、南護は不思議そうに首を傾げる。
「もし通じなかったとしても、奴を倒すってことには違いないんだろ」
「まあ確かに」
 いざとなったら任せておけ、と南護は胸を叩いた。


 仙堂は一歩吊橋へと足を踏み出すと、腹に力を入れ大声で呼び掛けた。
「俺はあんたと腕試しをしにきた!」
 不意にジャイアントの雄叫びが止まった。ようやくハンターの存在に気づいたらしい。続いてアメリアが凛とした声を上げる。
「ですがこの橋を壊すわけにはいきませんし、思う存分力が振るえるとは思いません。だから橋から降りて勝負致しましょう」
 意外にもジャイアントはじっと耳を傾け、こちらの話を聞いているようにも見える。
「通じたのでしょうか?」
「さあ?」
 しかしジャイアントは橋の上から動こうとしない。じっと鉄仮面の奥の両目が、交渉に挑む2人を睨みつけている。橋の上から降りて欲しいという言葉は、残念ながら届いていなかったようだ。
 その時、ジャイアントを狙った弾丸が鉄仮面を掠める。それぞれ違う方向から撃たれた弾丸は鎧を、足下を狙う。姿の見えない攻撃に、巨体はたたらを踏む。
 遠距離からのコーネリアとレーヴェによる射撃であることは明白だ。見えない威圧に堪え切れなくなったのだろう。どこだ! と言わんばかりに叫び声を上げる。
 当然狙撃手の姿は見えないが、立て続けに足元に弾丸が弾ける。見えない敵に対して苛立ちを見せるように、剣を振り上げやみくもに振り回し始めた。
「ほら、こっち! あなたの相手はこっちですよ!」
「情けねぇなあ。タイマン張る度胸もないのかよ!」
 アメリアと仙堂が最後の対話を試みる。言葉は通じなくても馬鹿にされていることは伝わるものだ……と誰かが話していたのを思い出し、取り敢えずやってみようという結論に達したわけだ。
 子供じみた挑発に乗るかどうか不安もあったが、幸いなことにその挑発に彼は見事に乗ってくれた。馬鹿にするな! とでも言うかのように怒声を上げ、ジャイアントは2人に向かって突進してきた。
「南護さん、あとは任せます!」
「おう!」
 ジャイアントが橋を渡り終えたのを見届けると、最初の対戦者南護へとバトンを渡した。


「南護炎、行くぜ!!!」
 ようやく同じ土台に立った敵と対峙する。剣心一如によって研ぎ澄まされた心のまま、帯刀するエアリアルをすらりと抜き放つ。その長く美しい刀身は、彼のマテリアルに反応して青い輝きを帯びる。
「オラオラ!! 行くぜ!行くぜ!!」
 電光石火。その素早い攻撃に、ジャイアントは身構える余地も、逃げる余地もなかった。真っ向から苛烈な一撃を受け、音を立ててその巨体は大きく転倒する。
 技は見事に決まり、相手にはかなりのダメージがあったはずだが、彼はむっくりと起き上がった。鉄の胴衣に大きな亀裂が入っている。胴衣に衝撃は吸収され、彼自身にはそこまでのダメージは無かったようだ。
 好敵手を得たと言わんばかりに、ジャイアントは喜々とした叫び声を上げる。跳ねるように立ち上がると、鉄板のような剣を構えて大きく地面を蹴った。
「俺がお前を満足させてやるぜ! 満足して逝きやがれ!!」
 ジャイアントの単純かつ力任せな攻撃を読むのは簡単だった。大剣による攻撃を受け流すと、相手の剣が届かない位置へ飛び退りながら再度電光石火による一撃を喰らわす。大剣ごと吹き飛び、背後の大樹に激突する。
 木々は大きく揺れ、根本は大きく抉れている。起きあがったジャイアントの身体は所々傷つき、血に汚れていたが、本人は気にしていない。手にした剣が半分に折れていることに気づき、憤りの声を上げた。
 恐るべき体力の持ち主だ。一度、二度剣を合わせる。力任せで真っ直ぐな太刀筋。剣の腕など大したものではない。ただ体力だけは底なしのようだ。簡単にこちらの体力を削り取っていく。
「仙堂さん、頼む!」
 このままでは体力が先に尽きてしまう。仙堂が前衛に出たのを見届けると、南護は静かにエアリアルを鞘に納めた。


「さあ、『正々堂々』とやろうや」
 データの計測には役に立ちそうだ。敵の姿を見た時からそう思っていた。仙堂は逸る心を抑えながら、戦闘開始の合図を告げる。
「システムオールグリーン、データ記録を開始、戦闘を開始する」
 ジャイアントが叫ぶ。様子からすると「掛かってこい!」だろうか。受け身の態勢を取る。こちらとしては是非攻撃して欲しいところだ。
 ジェットブーツで移動開始。マテリアルが噴射し、一気にジャイアントめがけて大きくジャンプ。剣状態にしたオーバルチューンを大きく振り上げた。
 目的は挑発だ。相手にわかりやすく攻撃を仕掛ける。ジャイアントは短くなった剣を片手に持ち替え防御すると、空いた片手を大きく振り上げた。
「おあっと!」
 リーチの長い腕が唸り、鋭い爪が仙堂の肩を掠めて浅く抉る。一方折れた剣の打撃をムーバブルシールドで受け止めると、幾何学模様のマテリアルの障壁が出現して彼を守る。
「これは中々」
 さすがにデカいだけはある。
 オーバルチューンを構えて次の攻撃に備える。
 来る! 短くなった剣で真っ直に突いてくる。変化球のない直球のような攻撃を受け止めるたびに、幾何学模様の障壁が輝く。
 この現象に興味を示したジャイアントは、何度も何度も同じ攻撃を繰り返す。そのたびに障壁が現れ、大猿男は感嘆の声を上げる。
「おい、なんだ、この体力オバケは!」
 データが取れるからいいかと思ったのも束の間、そろそろこちらの持ち駒が減ってきた。
 再度の攻撃は、攻性防壁で真っ向から受け止める。瞬間、眩いばかりのマテリアルの光の障壁が出現し、雷撃による衝撃がジャイアントの巨体を弾き飛ばす。
 そろそろ潮時だ。仮面の下の面がどんなものか気になるが、次の対戦者に譲るとしようか。
「貴重なデータが取れた、感謝する」
 ジェットブーツでこの場を退散すると、入れ替わるように最後のタイマン対戦者であるミモザが敵の前へと歩み出た。


「私は腕試しではありません。……殺しに来ました」
 小柄な身体には似つかわしくない大鎌イガリマを携え、ミモザは冷やかに言い放つ。
「腕試しとは相手あってのもの。そこに敬意がなくてはなりません。相手を殺してしまうなど敬意が足りません。それは既に戦であり、人殺しなのです」
 恐ろしげな大きな得物と、小柄な女性が放つ尋常ではない威圧感。だがこれまでの対戦者よりはやり易いだろうと高を括ったのだろう。折れた剣を鞘に納めると、素手でミモザに襲い掛かる。
 鋭い爪での攻撃を、動かざるものによって堅い外殻を持った動物霊が遠ざける。ミモザは自分を守護する霊たちに感謝を述べると、大鎌イガリマを振りながら後方へと飛び退る。
 あくまで自分は防御的に立ち回るつもりだ。背後には優秀な狙撃部隊がいる。少しでも長く、彼らの助けになれればいい。
 彼らを守り切れば勝ちは見える、とミモザは確信していた。
「仮に殺してしまったとしても、弔う心があればまだ見るものがあるやもわかりませんが……どうあれ実力が対等でなければ、なぶり殺しにかわりありません!」
 彼女の言葉の意味など露知らず、ジャイアントは折れた爪先を憎々し気に握りしめると、納めていた剣を再び引き抜いた。
「まとめてかかってこいと言うであろうからではそうしようと思うのじゃが」
 いつの間にか、ジャイアントの背後に忍び寄っていたのはレーヴェ。魔導拳銃「イグナイテッド」による妨害射撃で狙ったのは、彼が振りかざした剣だった。打ち抜かれた剣は、もはや剣の形を保ってはいない。さすがの大猿男も放心する。
「慢心は身を滅ぼすという事を字面通り教育してやるべきだと思うのじゃが」
 木端微塵に砕けたことを目視すると、レーヴェは不敵な笑みを浮かべる。
 唯一の武器を奪われ、ジャイアントは逆上する。跳躍してレーヴェに襲い掛かろうとするが、ミモザのイガリマがそれを制す。
「対戦相手はこちらですよ?」
 彼は案外素直なようだ。攻撃対象をミモザに切り替える。跳躍して長い腕を振るう。動かざるもので防ごうとしたが、彼の爪が届く方が早かった。鋭い爪がミモザの腕を切り裂く。
「くうっ!」
 再びジャイアントの爪がミモザに襲い掛かる。しかし高加速射撃により加速した弾丸が、その爪を腕ごと吹き飛ばす。
「6人で来るとは想定外だったか? 貴様のその自信ならこれくらい想定済みではないのか? どこまでも甘い奴だ」
 現れたのは白銀の魔道拳銃「ベンティスカ」を携えたコーネリア。ミモザが自らに回復魔法を掛ける間、攻撃対象を逸らそうと近距離での戦闘に切り替えたのだ。
 前にも後にも逃げ場を失った。ジャイアントは唯一残った片腕の爪を武器として構える。自分と勝負しろと言うだけはあるようだ。腹を括って戦うつもりらしい。
「タイマンって、漢のロマンですよね。拳銃を新調した事ですし私も参加したいくらいでした」
 アメリアは魔導拳銃「ネグラナーダ」を両手に構え、ジャイアントの懐に飛び込んだ。
 超近接戦闘は時間が勝負だ。胴衣には亀裂が入っている。その隙間を狙って数発引き金を引いたが、案外胴衣は分厚いらしい。
 アメリアを援護すべく、コーネリアはフローズンパニッシャーを仕掛ける。粉雪のようなオーラが銃口に集まっていく。弾丸にマテリアルが集束したのを悟ると、ジャイアントに銃口を向け、引き金を引いた。
「卑怯という言葉は負け犬の言い訳に過ぎない。他でもない貴様自身の詰めの甘さが生んだ失敗だ。そんな愚かな自分を、地獄の底で一生呪い続けるがいい!」
 音を立てて凍っていく巨体。錆びた鉄仮面と胴衣も白い霜に覆われる。元々亀裂が入っていた胴衣は、急な温度変化に勝てず割れた。ジャイアントを覆う体毛までもが凍ってゆく……その前に、アメリアはダブルファイア――二挺拳銃で急所を狙う。巨大といえども、相手は人型。どこを狙えばいいのかと、悩むことなどなかった。
 どうっと、巨体が倒れるとわずかに地面が揺れる。倒れた拍子に鉄仮面が飛んで、素顔が露わになった。その死に顔が満足そうなのか、無念なのか、残念ながら読み取れなかった。
「殺害しなかったならまともな決闘もできたろうに……」
 憐れむようなレーヴェの呟きは、もう彼の耳には届かない。

●追悼
 気が付くと空はいつの間にか夕暮れの色に染まろうとしていた。
 アメリアがオフィスに依頼していた遺体回収袋が届くと、そっとその中に唯一の犠牲者となった男性を横たえる。
「こんな馬鹿の手で殺されては被害者も浮かばれまい」
 ジャイアントの遺体に目を向けながら、コーネリアは重い息を吐く。
「彼をきちんと弔うまでが、俺たちの役目ですね……」
 南護は目に焼き付けるように犠牲者を見下ろす。仙堂もまた、同じ敵を相手にした戦士に黙祷する。
 年の頃は無精ひげのせいで40近くかと思ったが、よく見るとまだ若い。恐らくまだ30を越えたばかりであろう。幸いその表情は静かなものではあったが、どこか無念さを残したようにも見える。
「いつ見ても、ご遺体を見慣れることはありませんね」
 ミモザは男性の傍らに跪くと、祈りの形に手を組んだ。
「正しく、星にお帰りください。風が、標となりますよう」
 彼女に続いてハンターたちも跪き、犠牲者の安らかな眠りを祈る。
「生存者の人達が人里へ着くまでお供します。気休めかもしれませんけど護衛代わりです」
 アメリアの申し出に反対する者はいなかった。誰もが倒れそうなほど疲労しているが、山小屋で恐怖に怯えながら待つ旅人に、一刻も早く安心して欲しいと思う気持ちは一緒であった。

依頼結果

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MVP一覧

  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイスka4111
  • 大局を見据える者
    仙堂 紫苑ka5953

重体一覧

参加者一覧

  • 豪傑!ちみドワーフ姐さん
    レーヴェ・W・マルバス(ka0276
    ドワーフ|13才|女性|猟撃士
  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイス(ka4111
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • 大局を見据える者
    仙堂 紫苑(ka5953
    人間(紅)|23才|男性|機導師
  • 覚悟の漢
    南護 炎(ka6651
    人間(蒼)|18才|男性|舞刀士

  • ミモザ・エンヘドゥ(ka6804
    エルフ|25才|女性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 意馬心猿の徒(相談卓)
ミモザ・エンヘドゥ(ka6804
エルフ|25才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2017/05/31 19:28:44
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/05/31 00:27:49