ゲスト
(ka0000)
ここはうちらの縄張りニャ!
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/06/12 19:00
- 完成日
- 2017/06/17 12:46
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
港町「ガンナ・エントラータ」
人々の活気で溢れ、物が行き交う街。
この地は陸上からだけでなく、自由貿易同盟から船による輸送などもあり、大量の物資が集まるが、その多くは王都イルダーナに運ばれることとなる。
そんなグラズヘイム王国における物流の要となる街なのだが。ある日、その物流を担う商人達が頭を悩ませることとなる。
「なんじゃ、こら……」
街路に鎮座しているもの。それは、いや、それらは……。
「にゃー」
「なーお」
「うみゃう」
おびただしいほどの猫の群れ。猫達は、なんともマイペースに欠伸し、ごろりとお昼寝し、じゃれ合っている。しかしながら中には近づく商人を威嚇してくる猫の姿も。
ともあれ、この猫達を街路から移動させねば、人の往来ができないし、物流にも影響が出る。メインストリートでないのが救いだが、その街路を通れずに苛立つ住人もいる。また、この近辺に店や倉庫を構える業者は業務に支障が出ており、仕事にならないということだ。
「移動させんと、邪魔じゃのう」
なんとか抱えて移動させようとするのだが、別の猫を移動させようとすると、前に移動させた猫がこの場に戻ってきている。これではいたちごっこになってしまう。
ならば、馬車などで多くの数を移動させようとすると、気性の荒い猫が襲い掛かってくる。多少、怪我を覚悟で移動させる必要がありそうだ。
「食べ物で釣るにも、この数じゃな……」
別の商人が魚などでおびき寄せようとするのも考えるが、うまくやらないと、これまたたくさんの猫に襲われる危険がある。
また、よしんばうまく移動させたとしても、移動先が問題となりそうだ。
街の外だとゴブリンや雑魔などに襲われても目覚めが悪いし、街中だと衛生的な問題が発生してしまう。
たくさんの猫の移動手段と移動場所。どうした物かと商人や町の住人は頭を悩ましてしまうのである。
港町「ガンナ・エントラータ」
人々の活気で溢れ、物が行き交う街。
この地は陸上からだけでなく、自由貿易同盟から船による輸送などもあり、大量の物資が集まるが、その多くは王都イルダーナに運ばれることとなる。
そんなグラズヘイム王国における物流の要となる街なのだが。ある日、その物流を担う商人達が頭を悩ませることとなる。
「なんじゃ、こら……」
街路に鎮座しているもの。それは、いや、それらは……。
「にゃー」
「なーお」
「うみゃう」
おびただしいほどの猫の群れ。猫達は、なんともマイペースに欠伸し、ごろりとお昼寝し、じゃれ合っている。しかしながら中には近づく商人を威嚇してくる猫の姿も。
ともあれ、この猫達を街路から移動させねば、人の往来ができないし、物流にも影響が出る。メインストリートでないのが救いだが、その街路を通れずに苛立つ住人もいる。また、この近辺に店や倉庫を構える業者は業務に支障が出ており、仕事にならないということだ。
「移動させんと、邪魔じゃのう」
なんとか抱えて移動させようとするのだが、別の猫を移動させようとすると、前に移動させた猫がこの場に戻ってきている。これではいたちごっこになってしまう。
ならば、馬車などで多くの数を移動させようとすると、気性の荒い猫が襲い掛かってくる。多少、怪我を覚悟で移動させる必要がありそうだ。
「食べ物で釣るにも、この数じゃな……」
別の商人が魚などでおびき寄せようとするのも考えるが、うまくやらないと、これまたたくさんの猫に襲われる危険がある。
また、よしんばうまく移動させたとしても、移動先が問題となりそうだ。
街の外だとゴブリンや雑魔などに襲われても目覚めが悪いし、街中だと衛生的な問題が発生してしまう。
たくさんの猫の移動手段と移動場所。どうした物かと商人や町の住人は頭を悩ましてしまうのである。
リプレイ本文
●
港町「ガンナ・エントラータ」の街路を埋め尽くす猫の群れ。
「にゃー」
「なーお」
「うみゃう」
それらを目にしたハンター達はというと。
「はにゃぁん! にゃんこがいっぱい♪」
「わー、猫にゃん、猫にゃん!」
可愛らしい猫達の姿に、アルス・テオ・ルシフィール(ka6245)も夢路 まよい(ka1328)もメロメロである。
「右を見ても左を見ても、猫さんだらけですね……」
どうしてこんなに猫が集まったのかと鳳城 錬介(ka6053)は気にならなくはなかったのだが、この素晴らしい光景を目にしてどうでも良くなってしまったらしい。
「たくさんのねこさんですね。……和む風景ですが、確かに、往来の邪魔にはなりそうです」
「いつまでも見守っていたいところですが……流石に困りますよね」
ただ、ハンターとして、気丈にこの状況に対処するメンバーもいる。ミオレスカ(ka3496)の言葉に、錬介は我を取り戻したようだ。
「困ってる皆さんを助けないとですね!」
実際、ここを通れずに困っている住人、商人らがいるという。このままにはできないと、龍華 狼(ka4940)は表向きで正義感を露わにしていたが。
(シメシメ。これは上手くいけば、謝礼金がっぽりだぜ!)
これでまだ年端のいかぬ少年なのだから、末恐ろしい。
「それでは、頑張りましょうか。俺に出来る事なら全力でお手伝いしますよ」
「とはいえ、百匹の猫達を養うのもかなり費用がいりますから、どうしましょうか?」
錬介が仲間達へと呼びかけるが、そこで、エルバッハ・リオン(ka2434) が難色を示す。さすがに、この数を飼うのは論外だろう。
エルバッハは周囲を見回す。馬車などは通れぬ状況だが、通り沿いに住む人など往来自体はあり、多数の人目がある。
「いきなり、街中で猫達の駆除活動をする訳にもいかないですよね」
いくら通行の妨げとはいえ、目の前で駆除などは住民とて黙ってはいないだろうし、そもそも心情的に取りたくはない手段だ。
ただ、各自、色々と案は巡らせているらしい。
「意外と面倒な仕事みたいだし、猫とじゃれ合うのは他の人に任せるか」
少女のような外見のステラ・レッドキャップ(ka5434)は、裏方として動くと言う。
「みんなと協力してがんばるの」
すでに猫の群れの中へと混じってはいたが、アルスはニャーニャーしたい気持ちを抑えて、仲間と共に状況打開に向けて動き出すのである。
●
8人のハンター達は別々に行動を開始する。
「まずは、荷車を借りてくるか」
そう考えたステラはガンナ・エントラータの街中を歩く。
他にも、別件で猫のいる街路を離れるメンバーもいたが、この場に残るメンバーは原因究明の為にこの付近を探る。
「しかし、一晩でこれだけの数が集まるってのも、普通じゃないな」
一体何が起こったのかと、ヴァイス(ka0364) は考える。
こうした事態は総頻繁に起こるはずもない。ヴァイスはなるべく猫達を刺激しないようにと注意しながら、その街路に何か異常がないかと確認していく。
この近辺には魚などを扱う業者も見受けられる、業者が荷車をひっくり返すこともまれにあるだろうから、街路に猫が好きな匂いが染み付いているのかもしれない。
「本当にそれだけか?」
時に、気性の荒い猫がヴァイスを引っかいていたが、それでも、彼は優しくその猫をなだめていた。
ステラも荷車を借りに出向く途中、街路を見回りながら直感視で魚の問屋や店が並んでいるのを把握していた。
「餌場としては最適だろうが……」
実際、この近辺にいれば、あまりものの魚を分け与えてもらえ、残飯ですらも豪華な食事になりうる。この辺りで寝ているだけで、猫にとっては天国と言えた。
「一番の解決策を探してみるか」
とはいえ、まずはと彼は目に付いた運送業を営む店へとはいっていくのである。
狼は、周辺の人に聞き込みを行っていた。昨夜、大きな物音がなかったか、馬車が走り去る音が聞こえなかったのか等々、彼は色々な線でこの原因を考える。
だが、街の人から聞かれる話は、徐々に猫の声が大きくなってきた、そういったものばかり。直接的な原因はつかめずじまいだ。
(人の勝手な都合だと思ったんだがな……)
狼は飼い主が勝手に捨てたのかと考えていた。もし、人のエゴによって連れてこられたのならば、守るべき対象と彼は考えるが、どうやらその猫達に首輪を掛けられた跡はない。
そこで、ステラが荷車を借りて戻ってくる。猫くらいならばと彼は自らの力で引く予定だ。
メンテナンスの都合もあってか、レンタル代はしっかり取られたが、これなら、一度にかなりの数の猫を運べそうだ。
「街の裏通りに移動させる感じだな」
ステラがそう呟き、早速猫を荷台に載せ始める。この猫達を一ヶ所で管理できればよいが、それは別働班次第といったところか。
「いっぱい、なでもふしたいな~」
たくさんの猫に目移りし、なおも猫と戯れるまよいに、猫を荷車に載せようとしている仲間からの視線が集まる。
「え、そんなことより、猫さんを運んでくれって?」
猫とじゃれあうのは後のお楽しみと割り切ったまよいは何を思ったのか、戦いでもないのにスタッフ「クレマーティオ」を取り出してみせたのだった。
●
別働班も忙しなく、街のあちこちを動き回っている。
「お船の、ねずみ対策にどうですかにゃ~?」
アルスはそうして、港の船乗りに貰い手がいないかと確認する。
とはいえ、船の食糧事情などを考慮した船乗り達の返事もあり、芳しい成果は得られなかった。
一方、ヴァイス、ミオレスカはというと、この地の領主へと面会を願う。
生憎と領主は別の用事で直接現れなかったが、街路の現状について取次ぎで応対した者へと伝える。
「百匹もの猫達を処分したというのは、風聞も良くないと思います」
エルバッハは予め仲間達と相談の上で、意見を纏めていた。
まず、猫達の保護する建物を用意し、猫達を移す。同時に飼い主の募集を行い、猫を引き取ってもらうのはどうかと彼女は話を持ちかける。
ヴァイスも、その管理に当たって、猫好きな有志を募るよう頼む。
「可能であれば、観光名所の一つとなるような形などどうだろうか?」
そんな提案も実に面白いものだが、即答は出来ないと検討に留まる返答しかもらえないのが現状だった。
一方、別働班。
「猫屋敷を一軒、準備しないといけませんね」
ミオレスカは、裏通りの倉庫を借りられればと動いていた。
開いている倉庫はないかと確認しつつ、彼女はその一つ一つを目にしていく。
「最悪、大型テントを用意していますが……」
錬介は仲間達にそう示し、さらに裏通りの空き地を見定めてもいたようだが。できれば、雨露凌げるしっかりとした建物が望ましいとメンバー達は考える。
その近辺で、狼は働く商人を捕まえ、事情を話した上でこんな提案をしていた。
「猫が多いことを逆手にとって、観光地にするべきですよ」
商人ともあろう方が、まさかこんなチャンスに気づかないとは。言葉巧みに交渉する彼は、商人たちを口車に乗せて。
「これは最大のチャンスですよ。猫たちはうまく利用すればまたとない金の延べ棒です。それをみすみす手放すのですか?」
元々、金にガメツイ狼だからこそ、商人に金策を持ちかける。そのおかげもあって、彼はほぼ無償で開いた倉庫を借りることが出来ていたようだ。
ただ、使用されてなかったその倉庫は、かなり埃を被った状況で。
「暖かく、綺麗な場所に掃除して、猫さんをお迎えしたいですね」
「手伝います。少しでも快適になるようにしませんとね」
ミオレスカが掃除道具を手にするのに、錬介もまた助力を買って出る。掃除の後は猫の給餌や水飲みの皿、それに餌の調達。やることはキリがなさそうだった。
●
猫達がいる街路に視点を戻すと。
「まずは、猫さん達を運びやすくしないとね。きっと、寝顔も可愛いんだろうな~。ワクワク」
まよいはスタッフを振るい、集中力を高めていく。
「果てなき夢路に迷え……ドリームメイズ!」
その上で、彼女は猫達を中心に神秘的な迷路の幻影を描き出し、徐々に猫達は眠りへと誘われていく。可愛い寝顔の猫達。これなら、荷車にかなり運びやすくなったはずだ。
とはいえ、数が数だ。さすがに百匹もいれば、眠らぬ猫の姿もいる。
この場へと戻ってきたエルバッハもなるほどと頷きつつも、ワンド「アブルリー」を手にして詠唱し、眠りの雲を出現させていた。
「おねんねした猫さんを起きてる猫さん達が起こさないように、ね」
まよいの願いを聞き、ヴァイスは早速そうした猫達を優先してステラの借りてきた荷車に載せる。
一応は餌を使って気を引くが、基本的には素直に猫達は聞いてくれていた。多少引っかかれ、纏わりつかれても、もふもふ大好きなヴァイスは幸せを噛み締めていたようだ。
そこにやってきたアルス。すでに移動先が決まっていたこともあり、彼女もまた眠らなかった猫を中心に相手することに。
「にゃ! 待つのね~」
眠らなかった子達の相手ということで動くアルスだが、ぴょーんと飛び出して逃げる猫を追いかけることに。
「追いかけっこは大好きにゃ」
とはいえ、屋根の上に逃げられると大変だ。アルスは幻影の腕を伸ばし、なんとか猫を捕らえようとする。
「きゃうぅぅ、暴れちゃだめ~」
「威嚇射撃は、えっと、ダメですよね」
起きた猫が寝ている猫へと猫ぱんちし、起こしてしまうからなんとも厄介だ。
ある程度移動先の受け入れ態勢が形となったことで、ミオレスカもこちらの様子を見に戻ってきていたが。
「まってー」
……いきなり、走って猫を追いかけることに。
「大丈夫です。回復しますよ」
抵抗する猫もいたが、多少引っかかれても、錬介がヒールを施してくれる。
その錬介は眠っている猫をそっと荷台へ。彼はこうした猫とのふれあいを楽しんでいたようだ。
なお、ステラが引く予定だった荷車だが、エルバッハが連れてきた水牛に引かせることとなった。
荷車に乗る猫が傷を負っていないかと気にかけるエルバッハ。
「無事だったみたいですね」
とりわけ傷つく猫がいないことに、彼女は小さく微笑んでいた。
●
移動先の倉庫の掃除が終わったタイミングで、ハンター達は中へと猫を運び入れる。
餌や食器などは、錬介が出資してくれていたようだ。猫餌「マーシー・オブ・プリンセス」などは、猫でなくとも、商人ですらも目を光らせていた。
さすがに全員分とはいかないが、不足分はこの場を提供した商人達が出資してくれる。彼らは将来の商売を見据えての行為だったが、それでも、猫達が下手に野放しとなるよりは十分に環境が整ったと言えよう。
「とはいえ、それでも猫さんが多いですからね」
錬介の言うように、いくら倉庫とはいえ、百匹の猫は多すぎる。その狭さもあることから、彼は一軒一軒、猫を引き取ってくれる飼い主を探しに出向く。
数えるほどだったが、ネズミを獲ってくれるということで、商品を扱う店などでちらほらと請け負ってくれる住人もいたようだ。
「人も猫も良い出会いがあるといいですね」
こうした新たな出会いに、錬介は顔を綻ばせる。
「ネズミやゴキブリ対策に使えるしよ。リアルブルーでも猫を載せてた船が多いって聞いたぜ?」
ステラも港へと出向いて船乗りへと訴えかける。一度はアルスの要望を断わった彼ら。食料がその分減るという点は、やはり苦しいのだろう。
「可愛いし、寂しさを紛らわせる事も出来るだろ?」
そう言われると、彼らも長い航海で思うことがあるのだろう。少ないながらも、ステラの説得によって引き取ってくれる者がいたようだ。
さて、倉庫では、メンバー達が猫達に餌を与えていた。
「ごはんですよ」
ミオレスカが持参したツナ缶を直接手に餌を乗せて差し出すと、猫達はこぞってそれを食べにきてくれる。それがミオレスカには嬉しい。
「にゃふふ。とっておきにゃん!」
アルスもまた、自前のツナ缶を差し出した。脂が乗っており、実に美味しそうな魚身に猫達はきらりと目を光らせて、それにまっしぐらである。
「にゃぁお」
猫達に囲まれたアルスはネコ化してしまい、片っ端から猫達をもふもふ。なんとも幸せそうである。
そばでは、いつの間にかヴァイスが猫にもみくちゃにされていた。豪快なヴァイスも猫にはめっぽう弱いらしい。それでも彼は猫に癒されて満足気だったようだ。
「商人さん達のおかげで、しばらく餌は大丈夫なようですね」
ミオレスカは、こうした状況に安心する。狼の働きかけが大きく、商人達はこの場を猫カフェとしてオープンさせる予定だと言う。
「その収入で、にゃんこの餌代や衛生面を継続的にまかなえたらいいにゃぁ」
すっかりネコ化したアルスも語る。
とはいえ、商人達とて、猫の扱いに全く慣れてはいないところからのスタートである。
ただ、そこに関しても、ハンター達は抜かりがない。
事前に猫の飼い方について調べていたエルバッハが、猫の世話を行い、根気良く気性の荒い猫を躾けていく。こうした猫を下手に客の前に出してしまうと、店の信用問題にもなりかねないからだ。
また、狼はここでもあれこれと立ち回る。
餌場は街路の邪魔にならぬような場所に数箇所設置、さらに衛生面も考慮してトイレの躾けもしっかりと行う。増えすぎぬよう去勢するなどという話も商人達へと持ちかけていた。
「餌は必ず、猫屋敷で与えるようにしておけば、みんなも覚えて、居ついてくれると思います」
これには、ミオレスカもにっこりと微笑む。
「上手く住み着いてもらえれば、猫の住む町として、共存できると思います」
「観光のスポットにするなら、管理者も立てて猫の管理をお願いしたいですね」
これなら、新たな職ともなるし、子供や老人に助力を得て町おこしに繋がる可能性もあるのではと狼は考える。
また狼の提案で、隣の倉庫も解放して多すぎる猫の寝床にしようと商人達は計画しているとのこと。もっとも、それには提供用の飲み物はもちろんのこと、客を迎え入れる為にしばしの準備期間も必要なようだが。
「わ~い、そんな楽しいところができたら、私も通っちゃうよ」
まよいもしばし、猫さん達との触れ合いを求め、掃除だって何だって手伝っちゃうと乗り気である。
里親探しがなかなかに結果に繋がらないこともあって、この猫屋敷……猫カフェの管理が出来る人を集める方がいいかなとミオレスカは考える。管理者がいれば、安心して来訪者も遊べるし、清掃、衛生面も問題なさそうだ。
「いい形で解決できて良かったですね」
円満な形で事態が解決できたことに、エルバッハは笑みを浮かべていたのだった。
港町「ガンナ・エントラータ」の街路を埋め尽くす猫の群れ。
「にゃー」
「なーお」
「うみゃう」
それらを目にしたハンター達はというと。
「はにゃぁん! にゃんこがいっぱい♪」
「わー、猫にゃん、猫にゃん!」
可愛らしい猫達の姿に、アルス・テオ・ルシフィール(ka6245)も夢路 まよい(ka1328)もメロメロである。
「右を見ても左を見ても、猫さんだらけですね……」
どうしてこんなに猫が集まったのかと鳳城 錬介(ka6053)は気にならなくはなかったのだが、この素晴らしい光景を目にしてどうでも良くなってしまったらしい。
「たくさんのねこさんですね。……和む風景ですが、確かに、往来の邪魔にはなりそうです」
「いつまでも見守っていたいところですが……流石に困りますよね」
ただ、ハンターとして、気丈にこの状況に対処するメンバーもいる。ミオレスカ(ka3496)の言葉に、錬介は我を取り戻したようだ。
「困ってる皆さんを助けないとですね!」
実際、ここを通れずに困っている住人、商人らがいるという。このままにはできないと、龍華 狼(ka4940)は表向きで正義感を露わにしていたが。
(シメシメ。これは上手くいけば、謝礼金がっぽりだぜ!)
これでまだ年端のいかぬ少年なのだから、末恐ろしい。
「それでは、頑張りましょうか。俺に出来る事なら全力でお手伝いしますよ」
「とはいえ、百匹の猫達を養うのもかなり費用がいりますから、どうしましょうか?」
錬介が仲間達へと呼びかけるが、そこで、エルバッハ・リオン(ka2434) が難色を示す。さすがに、この数を飼うのは論外だろう。
エルバッハは周囲を見回す。馬車などは通れぬ状況だが、通り沿いに住む人など往来自体はあり、多数の人目がある。
「いきなり、街中で猫達の駆除活動をする訳にもいかないですよね」
いくら通行の妨げとはいえ、目の前で駆除などは住民とて黙ってはいないだろうし、そもそも心情的に取りたくはない手段だ。
ただ、各自、色々と案は巡らせているらしい。
「意外と面倒な仕事みたいだし、猫とじゃれ合うのは他の人に任せるか」
少女のような外見のステラ・レッドキャップ(ka5434)は、裏方として動くと言う。
「みんなと協力してがんばるの」
すでに猫の群れの中へと混じってはいたが、アルスはニャーニャーしたい気持ちを抑えて、仲間と共に状況打開に向けて動き出すのである。
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8人のハンター達は別々に行動を開始する。
「まずは、荷車を借りてくるか」
そう考えたステラはガンナ・エントラータの街中を歩く。
他にも、別件で猫のいる街路を離れるメンバーもいたが、この場に残るメンバーは原因究明の為にこの付近を探る。
「しかし、一晩でこれだけの数が集まるってのも、普通じゃないな」
一体何が起こったのかと、ヴァイス(ka0364) は考える。
こうした事態は総頻繁に起こるはずもない。ヴァイスはなるべく猫達を刺激しないようにと注意しながら、その街路に何か異常がないかと確認していく。
この近辺には魚などを扱う業者も見受けられる、業者が荷車をひっくり返すこともまれにあるだろうから、街路に猫が好きな匂いが染み付いているのかもしれない。
「本当にそれだけか?」
時に、気性の荒い猫がヴァイスを引っかいていたが、それでも、彼は優しくその猫をなだめていた。
ステラも荷車を借りに出向く途中、街路を見回りながら直感視で魚の問屋や店が並んでいるのを把握していた。
「餌場としては最適だろうが……」
実際、この近辺にいれば、あまりものの魚を分け与えてもらえ、残飯ですらも豪華な食事になりうる。この辺りで寝ているだけで、猫にとっては天国と言えた。
「一番の解決策を探してみるか」
とはいえ、まずはと彼は目に付いた運送業を営む店へとはいっていくのである。
狼は、周辺の人に聞き込みを行っていた。昨夜、大きな物音がなかったか、馬車が走り去る音が聞こえなかったのか等々、彼は色々な線でこの原因を考える。
だが、街の人から聞かれる話は、徐々に猫の声が大きくなってきた、そういったものばかり。直接的な原因はつかめずじまいだ。
(人の勝手な都合だと思ったんだがな……)
狼は飼い主が勝手に捨てたのかと考えていた。もし、人のエゴによって連れてこられたのならば、守るべき対象と彼は考えるが、どうやらその猫達に首輪を掛けられた跡はない。
そこで、ステラが荷車を借りて戻ってくる。猫くらいならばと彼は自らの力で引く予定だ。
メンテナンスの都合もあってか、レンタル代はしっかり取られたが、これなら、一度にかなりの数の猫を運べそうだ。
「街の裏通りに移動させる感じだな」
ステラがそう呟き、早速猫を荷台に載せ始める。この猫達を一ヶ所で管理できればよいが、それは別働班次第といったところか。
「いっぱい、なでもふしたいな~」
たくさんの猫に目移りし、なおも猫と戯れるまよいに、猫を荷車に載せようとしている仲間からの視線が集まる。
「え、そんなことより、猫さんを運んでくれって?」
猫とじゃれあうのは後のお楽しみと割り切ったまよいは何を思ったのか、戦いでもないのにスタッフ「クレマーティオ」を取り出してみせたのだった。
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別働班も忙しなく、街のあちこちを動き回っている。
「お船の、ねずみ対策にどうですかにゃ~?」
アルスはそうして、港の船乗りに貰い手がいないかと確認する。
とはいえ、船の食糧事情などを考慮した船乗り達の返事もあり、芳しい成果は得られなかった。
一方、ヴァイス、ミオレスカはというと、この地の領主へと面会を願う。
生憎と領主は別の用事で直接現れなかったが、街路の現状について取次ぎで応対した者へと伝える。
「百匹もの猫達を処分したというのは、風聞も良くないと思います」
エルバッハは予め仲間達と相談の上で、意見を纏めていた。
まず、猫達の保護する建物を用意し、猫達を移す。同時に飼い主の募集を行い、猫を引き取ってもらうのはどうかと彼女は話を持ちかける。
ヴァイスも、その管理に当たって、猫好きな有志を募るよう頼む。
「可能であれば、観光名所の一つとなるような形などどうだろうか?」
そんな提案も実に面白いものだが、即答は出来ないと検討に留まる返答しかもらえないのが現状だった。
一方、別働班。
「猫屋敷を一軒、準備しないといけませんね」
ミオレスカは、裏通りの倉庫を借りられればと動いていた。
開いている倉庫はないかと確認しつつ、彼女はその一つ一つを目にしていく。
「最悪、大型テントを用意していますが……」
錬介は仲間達にそう示し、さらに裏通りの空き地を見定めてもいたようだが。できれば、雨露凌げるしっかりとした建物が望ましいとメンバー達は考える。
その近辺で、狼は働く商人を捕まえ、事情を話した上でこんな提案をしていた。
「猫が多いことを逆手にとって、観光地にするべきですよ」
商人ともあろう方が、まさかこんなチャンスに気づかないとは。言葉巧みに交渉する彼は、商人たちを口車に乗せて。
「これは最大のチャンスですよ。猫たちはうまく利用すればまたとない金の延べ棒です。それをみすみす手放すのですか?」
元々、金にガメツイ狼だからこそ、商人に金策を持ちかける。そのおかげもあって、彼はほぼ無償で開いた倉庫を借りることが出来ていたようだ。
ただ、使用されてなかったその倉庫は、かなり埃を被った状況で。
「暖かく、綺麗な場所に掃除して、猫さんをお迎えしたいですね」
「手伝います。少しでも快適になるようにしませんとね」
ミオレスカが掃除道具を手にするのに、錬介もまた助力を買って出る。掃除の後は猫の給餌や水飲みの皿、それに餌の調達。やることはキリがなさそうだった。
●
猫達がいる街路に視点を戻すと。
「まずは、猫さん達を運びやすくしないとね。きっと、寝顔も可愛いんだろうな~。ワクワク」
まよいはスタッフを振るい、集中力を高めていく。
「果てなき夢路に迷え……ドリームメイズ!」
その上で、彼女は猫達を中心に神秘的な迷路の幻影を描き出し、徐々に猫達は眠りへと誘われていく。可愛い寝顔の猫達。これなら、荷車にかなり運びやすくなったはずだ。
とはいえ、数が数だ。さすがに百匹もいれば、眠らぬ猫の姿もいる。
この場へと戻ってきたエルバッハもなるほどと頷きつつも、ワンド「アブルリー」を手にして詠唱し、眠りの雲を出現させていた。
「おねんねした猫さんを起きてる猫さん達が起こさないように、ね」
まよいの願いを聞き、ヴァイスは早速そうした猫達を優先してステラの借りてきた荷車に載せる。
一応は餌を使って気を引くが、基本的には素直に猫達は聞いてくれていた。多少引っかかれ、纏わりつかれても、もふもふ大好きなヴァイスは幸せを噛み締めていたようだ。
そこにやってきたアルス。すでに移動先が決まっていたこともあり、彼女もまた眠らなかった猫を中心に相手することに。
「にゃ! 待つのね~」
眠らなかった子達の相手ということで動くアルスだが、ぴょーんと飛び出して逃げる猫を追いかけることに。
「追いかけっこは大好きにゃ」
とはいえ、屋根の上に逃げられると大変だ。アルスは幻影の腕を伸ばし、なんとか猫を捕らえようとする。
「きゃうぅぅ、暴れちゃだめ~」
「威嚇射撃は、えっと、ダメですよね」
起きた猫が寝ている猫へと猫ぱんちし、起こしてしまうからなんとも厄介だ。
ある程度移動先の受け入れ態勢が形となったことで、ミオレスカもこちらの様子を見に戻ってきていたが。
「まってー」
……いきなり、走って猫を追いかけることに。
「大丈夫です。回復しますよ」
抵抗する猫もいたが、多少引っかかれても、錬介がヒールを施してくれる。
その錬介は眠っている猫をそっと荷台へ。彼はこうした猫とのふれあいを楽しんでいたようだ。
なお、ステラが引く予定だった荷車だが、エルバッハが連れてきた水牛に引かせることとなった。
荷車に乗る猫が傷を負っていないかと気にかけるエルバッハ。
「無事だったみたいですね」
とりわけ傷つく猫がいないことに、彼女は小さく微笑んでいた。
●
移動先の倉庫の掃除が終わったタイミングで、ハンター達は中へと猫を運び入れる。
餌や食器などは、錬介が出資してくれていたようだ。猫餌「マーシー・オブ・プリンセス」などは、猫でなくとも、商人ですらも目を光らせていた。
さすがに全員分とはいかないが、不足分はこの場を提供した商人達が出資してくれる。彼らは将来の商売を見据えての行為だったが、それでも、猫達が下手に野放しとなるよりは十分に環境が整ったと言えよう。
「とはいえ、それでも猫さんが多いですからね」
錬介の言うように、いくら倉庫とはいえ、百匹の猫は多すぎる。その狭さもあることから、彼は一軒一軒、猫を引き取ってくれる飼い主を探しに出向く。
数えるほどだったが、ネズミを獲ってくれるということで、商品を扱う店などでちらほらと請け負ってくれる住人もいたようだ。
「人も猫も良い出会いがあるといいですね」
こうした新たな出会いに、錬介は顔を綻ばせる。
「ネズミやゴキブリ対策に使えるしよ。リアルブルーでも猫を載せてた船が多いって聞いたぜ?」
ステラも港へと出向いて船乗りへと訴えかける。一度はアルスの要望を断わった彼ら。食料がその分減るという点は、やはり苦しいのだろう。
「可愛いし、寂しさを紛らわせる事も出来るだろ?」
そう言われると、彼らも長い航海で思うことがあるのだろう。少ないながらも、ステラの説得によって引き取ってくれる者がいたようだ。
さて、倉庫では、メンバー達が猫達に餌を与えていた。
「ごはんですよ」
ミオレスカが持参したツナ缶を直接手に餌を乗せて差し出すと、猫達はこぞってそれを食べにきてくれる。それがミオレスカには嬉しい。
「にゃふふ。とっておきにゃん!」
アルスもまた、自前のツナ缶を差し出した。脂が乗っており、実に美味しそうな魚身に猫達はきらりと目を光らせて、それにまっしぐらである。
「にゃぁお」
猫達に囲まれたアルスはネコ化してしまい、片っ端から猫達をもふもふ。なんとも幸せそうである。
そばでは、いつの間にかヴァイスが猫にもみくちゃにされていた。豪快なヴァイスも猫にはめっぽう弱いらしい。それでも彼は猫に癒されて満足気だったようだ。
「商人さん達のおかげで、しばらく餌は大丈夫なようですね」
ミオレスカは、こうした状況に安心する。狼の働きかけが大きく、商人達はこの場を猫カフェとしてオープンさせる予定だと言う。
「その収入で、にゃんこの餌代や衛生面を継続的にまかなえたらいいにゃぁ」
すっかりネコ化したアルスも語る。
とはいえ、商人達とて、猫の扱いに全く慣れてはいないところからのスタートである。
ただ、そこに関しても、ハンター達は抜かりがない。
事前に猫の飼い方について調べていたエルバッハが、猫の世話を行い、根気良く気性の荒い猫を躾けていく。こうした猫を下手に客の前に出してしまうと、店の信用問題にもなりかねないからだ。
また、狼はここでもあれこれと立ち回る。
餌場は街路の邪魔にならぬような場所に数箇所設置、さらに衛生面も考慮してトイレの躾けもしっかりと行う。増えすぎぬよう去勢するなどという話も商人達へと持ちかけていた。
「餌は必ず、猫屋敷で与えるようにしておけば、みんなも覚えて、居ついてくれると思います」
これには、ミオレスカもにっこりと微笑む。
「上手く住み着いてもらえれば、猫の住む町として、共存できると思います」
「観光のスポットにするなら、管理者も立てて猫の管理をお願いしたいですね」
これなら、新たな職ともなるし、子供や老人に助力を得て町おこしに繋がる可能性もあるのではと狼は考える。
また狼の提案で、隣の倉庫も解放して多すぎる猫の寝床にしようと商人達は計画しているとのこと。もっとも、それには提供用の飲み物はもちろんのこと、客を迎え入れる為にしばしの準備期間も必要なようだが。
「わ~い、そんな楽しいところができたら、私も通っちゃうよ」
まよいもしばし、猫さん達との触れ合いを求め、掃除だって何だって手伝っちゃうと乗り気である。
里親探しがなかなかに結果に繋がらないこともあって、この猫屋敷……猫カフェの管理が出来る人を集める方がいいかなとミオレスカは考える。管理者がいれば、安心して来訪者も遊べるし、清掃、衛生面も問題なさそうだ。
「いい形で解決できて良かったですね」
円満な形で事態が解決できたことに、エルバッハは笑みを浮かべていたのだった。
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相談テーブルにゃん(^^♪ アルス・テオ・ルシフィール(ka6245) エルフ|10才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2017/06/12 13:20:59 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/06/12 02:16:52 |