ゲスト
(ka0000)
【繭国】未来の英雄達、その回顧録 第六編
マスター:ムジカ・トラス

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~4人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/08/02 19:00
- 完成日
- 2017/08/16 14:54
みんなの思い出? もっと見る
オープニング
●
『賢明なる読者諸君には既知の事柄に過ぎるため、是より先は全て、自己満足の為の駄文に過ぎぬ。
しばしお付き合い願いたい。
グラムヘイズ王国で、庶民の娯楽として広く愛されているものを一つ挙げるとなると……さて、何を挙げるだろうか。
ある者は、劇場での観劇というかもしれない。またある者は、酒場で耳にする吟遊詩人の詩歌というかもしれない。
文化を愛する心。嗚呼、素晴らしい事だ。文化的素養は人生を豊かにする。
さて。賢明なる読者諸君。あなた方なら、きっとこういうことだろう。
たとえどれだけ下劣でも、どれだけ愚昧でも、どれだけ低俗でも、どれだけ醜穢でも、どれだけ猥雑だとしても。
ヘルメス情報局の『号外』こそが我々の娯楽だ、と。
――勿論、我々の記事が斯様に下劣で愚昧で低俗で醜穢で猥雑であるというのは仮定に過ぎない事もまた、賢明なる読者諸君ならご理解いただける事と思う』
●
昨今、サルヴァトーレ・ロッソなる紅い方舟の出現に呼応するように登録されたハンターの数が激増している。
覚醒者とは、何か。
覚醒者とは一定量以上のマテリアルを保有し、それを任意で行使出来る者を指す。
通常であれば、素養のあるものが覚醒者の高み――それすらも常人には計り知れない程の高みなのだ――に至るためには、筆舌に尽くし難い修練を要する。
そのため、現在は精霊との契約により、短期間で覚醒者に至る方法論が採択されている。
人の身で、精霊に触れる。
――そのことが何を意味するかは、触れた者にしか分かるまい。
読者諸君の中には、その邂逅について既に聞いたことがある者もいるかもしれない。筆者もその一人だ。
「もう一人の自分が、語りかけてきた」
そんな話を耳にした事がある。
今回、当情報局では精霊との接触――即ち契約について取材し、記事にした。
極めて個人的な内容も含まれるため、取材を快く受けてくれたハンター達に敬意を表するためにも、匿名性の高い記事になっている。
それでも、読者諸君らの知的好奇心をくすぐるに違いない。
何より――この世界の守護者であり、反抗の象徴である覚醒者達の物語だ。
未来の英雄達の、始まりの物語。
心行くままにに、お楽しみあれ。
―『未来の英雄達、その回顧録』序文―
●
親愛なる読者諸君。再びこの序文を掲載出来たことを嬉しく思う。
さて。最後にこの記事を上梓したのは、先年の四月――あるいは、昨々年の十二月であろうか。
その間、この記事の公開が止んでいたのは、一重に筆者の多忙によるところである。務め人の常ではあるのだが、ここ数年の王国の事件ぶりといえば過去の比ではないことは、読者諸君であれば了解していただけることだろう。
この度、改めてこの記事を記すに至った経緯は明快で、ひとえに、王国をとりまく事象が一様の安定をみたからである。
目出度きことに、仇敵にして大敵のベリアルを滅することができたことは王国史に残るべき快事。それを受けて、筆者にも創作的自由が訪れたのである。嗚呼。晴れやかなるかな。
勿論、それだけではない。世界もまた、動き続けている。やはりこれも、善き方へと。
たとえば――北方では竜人らとの交流が始まり、更には機人なる妙なるヒトとの出会いもあった。
これからも、斯様にして世界はかわり、巡っていくのだろう。
――けれど。
変わらないものもまた、あることだろう。
故に、改めて、記すとしよう。
この世界の守護者であり、反抗の象徴である覚醒者達の物語。
未来の英雄達の、始まりの物語。
心行くままにに、お楽しみあれ、と。
『賢明なる読者諸君には既知の事柄に過ぎるため、是より先は全て、自己満足の為の駄文に過ぎぬ。
しばしお付き合い願いたい。
グラムヘイズ王国で、庶民の娯楽として広く愛されているものを一つ挙げるとなると……さて、何を挙げるだろうか。
ある者は、劇場での観劇というかもしれない。またある者は、酒場で耳にする吟遊詩人の詩歌というかもしれない。
文化を愛する心。嗚呼、素晴らしい事だ。文化的素養は人生を豊かにする。
さて。賢明なる読者諸君。あなた方なら、きっとこういうことだろう。
たとえどれだけ下劣でも、どれだけ愚昧でも、どれだけ低俗でも、どれだけ醜穢でも、どれだけ猥雑だとしても。
ヘルメス情報局の『号外』こそが我々の娯楽だ、と。
――勿論、我々の記事が斯様に下劣で愚昧で低俗で醜穢で猥雑であるというのは仮定に過ぎない事もまた、賢明なる読者諸君ならご理解いただける事と思う』
●
昨今、サルヴァトーレ・ロッソなる紅い方舟の出現に呼応するように登録されたハンターの数が激増している。
覚醒者とは、何か。
覚醒者とは一定量以上のマテリアルを保有し、それを任意で行使出来る者を指す。
通常であれば、素養のあるものが覚醒者の高み――それすらも常人には計り知れない程の高みなのだ――に至るためには、筆舌に尽くし難い修練を要する。
そのため、現在は精霊との契約により、短期間で覚醒者に至る方法論が採択されている。
人の身で、精霊に触れる。
――そのことが何を意味するかは、触れた者にしか分かるまい。
読者諸君の中には、その邂逅について既に聞いたことがある者もいるかもしれない。筆者もその一人だ。
「もう一人の自分が、語りかけてきた」
そんな話を耳にした事がある。
今回、当情報局では精霊との接触――即ち契約について取材し、記事にした。
極めて個人的な内容も含まれるため、取材を快く受けてくれたハンター達に敬意を表するためにも、匿名性の高い記事になっている。
それでも、読者諸君らの知的好奇心をくすぐるに違いない。
何より――この世界の守護者であり、反抗の象徴である覚醒者達の物語だ。
未来の英雄達の、始まりの物語。
心行くままにに、お楽しみあれ。
―『未来の英雄達、その回顧録』序文―
●
親愛なる読者諸君。再びこの序文を掲載出来たことを嬉しく思う。
さて。最後にこの記事を上梓したのは、先年の四月――あるいは、昨々年の十二月であろうか。
その間、この記事の公開が止んでいたのは、一重に筆者の多忙によるところである。務め人の常ではあるのだが、ここ数年の王国の事件ぶりといえば過去の比ではないことは、読者諸君であれば了解していただけることだろう。
この度、改めてこの記事を記すに至った経緯は明快で、ひとえに、王国をとりまく事象が一様の安定をみたからである。
目出度きことに、仇敵にして大敵のベリアルを滅することができたことは王国史に残るべき快事。それを受けて、筆者にも創作的自由が訪れたのである。嗚呼。晴れやかなるかな。
勿論、それだけではない。世界もまた、動き続けている。やはりこれも、善き方へと。
たとえば――北方では竜人らとの交流が始まり、更には機人なる妙なるヒトとの出会いもあった。
これからも、斯様にして世界はかわり、巡っていくのだろう。
――けれど。
変わらないものもまた、あることだろう。
故に、改めて、記すとしよう。
この世界の守護者であり、反抗の象徴である覚醒者達の物語。
未来の英雄達の、始まりの物語。
心行くままにに、お楽しみあれ、と。
リプレイ本文
●クローディオ・シャール(ka0030)
貴公子然とした佇まいの青年であった。その家名には筆者も聞き覚えがあった。
聞けばやはり、王国貴族の出身であるらしい。以前にも貴族への取材は行ったが、よくよく縁があるものであると我が身を憂うばかりである。
とはいえ、かの御仁は生まれを押し付けるような人物では無かったことは、記しておきたい。義腕の存在も、彼が高慢なる人物ではない証左であろう。
――馬にのって現れたのは、些か面食らったものだが。
この青年の『契約』は、どのように成されたか。
きっかけとなったのは、生死の境を彷徨うことになった不慮の事故であるという。
薄れ行く意識が見せた幻覚――では、ない。それは紛うことなき、契約の一場面であった。
―・―
真っ暗な闇の中で一人揺蕩っていた。
無明だ。実に私らしい空間だった。そこには、虚無が満ちていた。
自嘲する気にもなれなかった。闇は、刻々と私を呑み込んでいく。
終わりは……苦しかった。心身の苦しさではない。何者にもなれないまま、無意味な死を迎える。
そのことが、ただ。
だから――"それ"を見た時、私は安堵を抱いた。
優しい、光だった。
―・―
死の淵にあった彼が抱いた心象は、恐らくはその過去に起因するものであろう。
虚無に象徴されるような心象は、痛ましいことこの上ないが――兎角、彼は死に目にみた光景に、納得と共に恐怖を抱いた。終わりが来るのならばこのようなものであろうという理解を、感情が拒んだのだ。
――故に、そこに顕れた光は、当時の彼が見出し得ないものだった筈だ。
都合よく未来に希望を抱くなど、ありえない。そうであるならば、彼は虚無無明を感じずに済んだ筈だ。
精霊は――光は、青年の身体、あるいは心を照らした。彼を呑み込まんとする闇を、ほどくように。
その光に、当時の彼は、何を見出したか。
……自然、彼は光の先へと手を伸ばしていたという。
光瀑の如く光が溢れ、そして――青年は、意識を失った。
一命を取り留め、目を覚ました彼は、覚醒者に成っていた。
貴族であった彼は、そのまま領内に残る道もあったはずだが、彼はハンターになった。それまでの教育とは異なったであろう、ハンターのための知識を修めたうえで、ハンターズソサエティの門を叩いた。
―・―
――聖導士としての力を得たことに皮肉めいた運命を感じるが……すまない、独り言だ。
ハンターになることに、躊躇いは無かった。命を繋いだことに意味を感じていた。死ぬべき時では無かったのならば、私には為すべきことがあるのだと、そう思った。
……得たのは、闘うための力だった。
だからこそ、戦いの果てにこそ私の生の意味がある……そう思っている。
―・―
ハンターという生き方は、かつて抱いていたであろう生き方とはその根本からして違うものだ。少なくとも、覚醒者であっても貴族として生きることは決して矛盾はしない。現に、その選択の結果として、青き血が流れる高貴な身体は義肢を要するようになっていた。
取材の間の僅かな時間にも透けて見えたように、日々の生活の不便は否めず、その道行きが決して平坦なものではあり得ないことは明らかだった。
しかしあの時、精霊は確かに、彼に光を齎していた。
実に、契約の場面として相応しいことに。
――結びに、彼はこう言って、微かに笑ったのだ。
「それにしてもハンター業というのはなかなか悪くないものだ。
……失ったものはあるが逆に得たものもある。
それでも。
友も相棒も、今の私にとっては大切な存在だ」
●ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549)
鮮やかな髪の色と同色の瞳。どちらも似た色彩であるが、筆者には特にその瞳が印象的であった。
前髪に片目が隠されているからこそ、残る瞳がなお、際立つ。透き通るような、青。
――そんな彼女は、自ら"魔女"を名乗った。
口調だけは穏やかで、言の葉は厳かに、声色は少しばかり、可愛らしく。
「我が覚醒したのは、10歳の頃であったのう」
そんな風に己が昏き過去を語り始めた。
―・―
我がおった屋敷を、ある歪虚が襲ってな。
人の形をしていた歪虚でのう。凶相であった。両の手は長く、その爪は――我が見えたときにはもう、血で汚れておった。
滴る雫の音よりも、その姿に目を奪われたものじゃ。
両の眼窩は虚。ただただ暗い穴が、ぽかんとあいておった。その口元が、つり上がってのう。
ああ、笑ったんだ、と。そう思った。
それからじゃ。
「イタ、ワタシノカワイイコ」
――そう言って、あやつが使用人たちを殺し始めたのは。
―・―
歪虚は確かに、少女に執着していた。歪虚はただ、彼女だけを見つめていた。その昏き眼窩で。
その執着を、その時の彼女は知らなかった。しかし、気づいていた者もいた。
恐怖に震える彼女を叱咤し、立ち上がらせた者が居た。彼女の父と母であった。
なだれ込んできた歪虚の手下の骨型の雑魔が逃げ惑う使用人を噛み殺す中、母は魔術を編み上げ、父が武器を取り、血路を開く。
母は笑って、こう言った。
逃げなさい。
響く声は震える少女の足を動かし――彼女は濃霧が包む夜の森に飛び込んだ。
―・―
何度も転んで。何度も立ち上がって。
走りながら、我は、なんで、と。そればかり考えておった。なんで。なんで。なんで。
だから。
「皆、コロシタ」
転び、立ち上がった時に響いた声に――その内容に、我は竦んでしまってのう。
「キミホシイ。キミノタメ皆シンダ、サア 目 チョウダイ」
焼けるような痛み。爪、じゃった。跳ねた身体は別な爪で抑え込まれた。
――ああ。痛かった。苦しかった。
だが、不意にそれらが止んだのじゃ。
目は開かれておったからのぅ、すぐに、それを目にした。
目の前には、闇霧と化物の腕しかなかったはず。けれど――そこに、水色の霧がかかっておった。歪虚を包み、押し退けるように。
声が、聞こえたよ。
『走って逃げろ』
父に似た、温かな声じゃった。痛みは、失せておった。立ち上がると、暗かった筈の森が見通せるようになって、のぅ。
我は走りながら、顔を上げて、こう問うておった。
「きりのまじょさん……なの?」
答えは、無かった。じゃが、父も母もついていてくれるような――心強い気持ちになって、な。
そうして、生き延びたのじゃ。
……我、一人、な。
―・―
霧の魔女、とは、彼女の母親が物語った絵本の登場人物であるらしい。
以後、彼女は覚醒の際に霧を纏うようになった。彼女を救った、水色の霧を。
――そう語る少女の声には、薄い赫怒の気配が乗っていた。
乗り越えたのではない。ただ、時と共に変質した成れの果て。そんな色であった。
ああ。実に、難しい。これは救いの物語であるべきなのに、筆者にはどうにも、そう思えない。
その霧が、父母の祈りを受けた精霊としての顕れであるならば――そこに籠められた願いは切なるものに違いあるまい。
しかし、古来より『瞳』は知覚を、霧は迷いを象徴する。筆者が取材した少女は片目を隠し、霧に抱かれて、微笑していた。
そのことがどうにも、筆者には物悲しさを覚えてしまう。
ああ、願わくばその薬指に光るそれが、彼女の道行きを照らさんことを、と。
そんなことを、考えてしまうほどには。
●レネット=ミスト(ka6758)
かつて辺境の覡を紹介したが、この少女もそのようなものである――と、勘違いしていたことから、告白したい。
彼らに倣えば、"神子"というそれは、"医を担うもの"という意味合いであるそうだ。
言葉の感触で本質を見失うとは恥じ入る他ないが、それには事情がある。
ドワーフの少女は、僅かな暇があろうものなら、歌いだす。あっけにとられる筆者を他所に、景色や情景、言葉遊びが歌になる。
それを神がかりの一種だと好意的に解釈をしたのだ。なるほど、辺境ならば斯くもあらん、と。
兎角。
そのような少女であった。
―・―
……それがしは神子になって世界中の人々を浄め、癒して廻りたいと思っているです。
おじいちゃんも若い頃は一人前の神子になる為に旅をしていたと言ってたです。
だから、それがしも旅をしていたですが……未熟なため、旅を断念してしまったです。
帰ってきたそれがしに、おじいちゃんはこう言ったです。
「お主は神子としての覚悟が足りていない。神子というのは人の命を預かる者、半端な気持ちで神子を名乗れば救える人も救えぬ」
―・―
「良い機会だ、西方へ行き人々と共に戦い、命の重みを感じ取りなさい」
ほがらかな口調ながら、そこだけは――努めて、と注釈をいれたい――厳かに告げた少女はしかし、恥じ入った表情を見せた。
浄め、癒やす。その意味を問うたところ、傷や病を癒やすに限らず、その行いや心根――あるいは後悔などを浄めることをも含むという。
それは、ただの治療行為とは次元が異なる行為だ。故にこそ、その行いや技量ではなく、心の持ちようを厳しく指摘されたことは――痛い。
しかし、と。逆説で結ぼう。
少女はその時はまだ、気づいていなかったのだ。老人が、少女に対して何を望んだのか。何をもって、不足しているとしたのか。
―・―
最初は、何を言ってるのかさっぱりだったです。
でも、りぜりおにでて、契約に臨んだのです。
それがしは、故郷ではよく泉に遊びにいっていたのですが、契約のときにお会いした精霊さんは、故郷の泉にいたとされる妖精さんだったのです!
―・―
泉に歌声を響かせる、陽気な妖精。六枚羽根を羽ばたかせ、風に乗って詩を紡ぐ。
――なるほど。眼前の少女に相応しい契約相手であった。
「それがしもお歌をよく歌うのできっとどこか似ているところがあったのかも知れないですね」
と笑いながら、出会った時の感動などを歌にしていた。一節が終わるまでたっぷり二分程、筆者は紅茶と茶菓子に舌鼓を打つことになったのだが――正直に告白すると、ハンター諸氏の不幸に慣れすぎてしまった筆者は、斯様な幸せな契約もあるものだなあ、と素直に感嘆してしまったものである。尤も、これも少女の太陽のような微笑みをみれば、得心が行くものであるのだが。
さて。歌い踊る少女は、偶然か、はたまた必然か――妖精の導きゆえにか、聖導士になった。
名実ともに、癒し手たる力を得たのである。"神子"たらんとする、彼女の願いに添うように。
それが、神子に繋がる第一歩を歩んだと感じた、と彼女は言っていた。
――けれど、それだけでは、ないのだろう。
彼女は確かに、癒し手たる力を得た。しかし、彼女はその後、様々な出会いを経た。
曰く、「たくさんのはんたーさん」と、出会ったと。
癒せなかったものを、目の当たりにしたはずだ。そうであれば、彼女はすでに"一人前の神子"であるはずだ。
そうでないことを、彼女はちゃんと、識っている。
最後に彼女は、こう言っていた。
―・―
まだまだ未熟ですが皆さんを癒し……少しでも神子らしくなれるよう、それがしは頑張りたいと思ってるです。
そしていつか、一人前の神子になっておじいちゃんを驚かせたいです!
●カイン・シュミート(ka6967)
その青年は、こういった事には不得手な印象を受けた。鋭く細い目に、きつく結ばれた口元。声色や口調は――それが意図していないものだとしても――少しばかり、他人を萎縮させる類のものであった。
そんな青年が、揃いの指輪を首飾りとして、取材を受けている。珍しいことも、あるものだ。
――さて。彼の物語は、いかなるものであったろうか。
―・―
面白ぇ話でもねぇけど……俺の恋人……幼馴染の女だったんだが、警備の仕事しててさ。
ある日、警備してた屋敷、賊に入られて、多勢に無勢で酷くやられた。
その時は生き延びたんだが、その傷が原因で病気になって……結局、死んだ。
―・―
圧のある声色でそう告げた青年は、変わらず指輪を弄り続けていた。
どれだけ鈍くとも、その意味を理解するのは難くない。
当然の帰結、というべきか。病床の恋人を前にその時はまだ覚醒者では無かった彼は、報復を望んだ。
病床の彼女にそれを誓い、立ち上がる。当然だ。急がなければ、賊の手掛かりすらも失われてしまう。
――しかし、果たせなかった。
彼女が、怒鳴り散らしたからだ。
「自分が好きな俺じゃなくなる、それより傍で看病しろ、病人の我侭位聞け」
何度も、諳んじていたか――あるいは、彼女の知らぬところで復讐に走らんとするのを自制する度に、反芻していたのかもしれない。筆者の視線に気づいたか、苦笑いが返った。
「小柄でふわふわな外見でそう見えねぇくせに、中身は恐ろしく気が強くて、爆発物みたいで……いい女だった」
―・―
……けど、俺が納得するかってとそれは別だろ?
あいつが、短命の俺よりも先に死ぬのが……最後まで、納得できなかった。
俺が納得してないの気づいてたみてぇで、言い含められたよ。
で。言いたいこと言って、眠るように逝っちまった。
―・―
短命であること。それは、彼の生まれに依る。竜人たる彼の種は、長命種が多い中にあって寿命の短さで知られている。
身に有る鱗故にそれを突きつけられ続ける彼にとって、恋人がそれを受け入れたことと、彼女が彼よりも長く生きるであろうことは、心理的支柱に近しいものであったのだろう。少なくとも命の使いみちを決めた。それは、彼にとっては意義深いことだった筈だ。
結果として彼は、離苦を突きつけられ、その双方を喪うことになった。
彼が胸に下げたペンダント――そこに揃えられた指輪であるが、彼らふたりの、瞳の色の石を象った指輪だそうだ。末期に渡さんとしたが、受け取ることを、彼女自身の余命を理由に断られた、という。彼の手元に残ったのは、その指輪だけであった。
そして後日。彼女は悼みの中、葬られた。
その日――彼は、覚醒者に成った。
―・―
別離が、彼に力を与えた――というべきでは、ないように思う。
筆者にはそれが、彼がその力を怨讐に用いず――最後の一時を、最後まで共に過ごすようにという配慮のように、感じられた。
ただしく、彼女の願いの通りに。
―・―
――あいつ、まさか俺に覚醒させるため精霊を脅迫したんじゃと思ったくらい、唐突だった。
結局、受け入れたよ。あいつとの約束守りたいし……俺自身どこかで短命だからって思ってる自分に気づいたから、見つめ直す意味もあった。
で、ハンターになった。精霊との特別な何か、っていうのは無かったな。ただ……こう、なっていたんだ。
あ? 約束?
――自分が死んでも絶対幸せになれってさ。
……この指輪はあいつとだけのものだから誰かに贈ることはねぇけど、そっちの約束もいつか果たさねぇとな
貴公子然とした佇まいの青年であった。その家名には筆者も聞き覚えがあった。
聞けばやはり、王国貴族の出身であるらしい。以前にも貴族への取材は行ったが、よくよく縁があるものであると我が身を憂うばかりである。
とはいえ、かの御仁は生まれを押し付けるような人物では無かったことは、記しておきたい。義腕の存在も、彼が高慢なる人物ではない証左であろう。
――馬にのって現れたのは、些か面食らったものだが。
この青年の『契約』は、どのように成されたか。
きっかけとなったのは、生死の境を彷徨うことになった不慮の事故であるという。
薄れ行く意識が見せた幻覚――では、ない。それは紛うことなき、契約の一場面であった。
―・―
真っ暗な闇の中で一人揺蕩っていた。
無明だ。実に私らしい空間だった。そこには、虚無が満ちていた。
自嘲する気にもなれなかった。闇は、刻々と私を呑み込んでいく。
終わりは……苦しかった。心身の苦しさではない。何者にもなれないまま、無意味な死を迎える。
そのことが、ただ。
だから――"それ"を見た時、私は安堵を抱いた。
優しい、光だった。
―・―
死の淵にあった彼が抱いた心象は、恐らくはその過去に起因するものであろう。
虚無に象徴されるような心象は、痛ましいことこの上ないが――兎角、彼は死に目にみた光景に、納得と共に恐怖を抱いた。終わりが来るのならばこのようなものであろうという理解を、感情が拒んだのだ。
――故に、そこに顕れた光は、当時の彼が見出し得ないものだった筈だ。
都合よく未来に希望を抱くなど、ありえない。そうであるならば、彼は虚無無明を感じずに済んだ筈だ。
精霊は――光は、青年の身体、あるいは心を照らした。彼を呑み込まんとする闇を、ほどくように。
その光に、当時の彼は、何を見出したか。
……自然、彼は光の先へと手を伸ばしていたという。
光瀑の如く光が溢れ、そして――青年は、意識を失った。
一命を取り留め、目を覚ました彼は、覚醒者に成っていた。
貴族であった彼は、そのまま領内に残る道もあったはずだが、彼はハンターになった。それまでの教育とは異なったであろう、ハンターのための知識を修めたうえで、ハンターズソサエティの門を叩いた。
―・―
――聖導士としての力を得たことに皮肉めいた運命を感じるが……すまない、独り言だ。
ハンターになることに、躊躇いは無かった。命を繋いだことに意味を感じていた。死ぬべき時では無かったのならば、私には為すべきことがあるのだと、そう思った。
……得たのは、闘うための力だった。
だからこそ、戦いの果てにこそ私の生の意味がある……そう思っている。
―・―
ハンターという生き方は、かつて抱いていたであろう生き方とはその根本からして違うものだ。少なくとも、覚醒者であっても貴族として生きることは決して矛盾はしない。現に、その選択の結果として、青き血が流れる高貴な身体は義肢を要するようになっていた。
取材の間の僅かな時間にも透けて見えたように、日々の生活の不便は否めず、その道行きが決して平坦なものではあり得ないことは明らかだった。
しかしあの時、精霊は確かに、彼に光を齎していた。
実に、契約の場面として相応しいことに。
――結びに、彼はこう言って、微かに笑ったのだ。
「それにしてもハンター業というのはなかなか悪くないものだ。
……失ったものはあるが逆に得たものもある。
それでも。
友も相棒も、今の私にとっては大切な存在だ」
●ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549)
鮮やかな髪の色と同色の瞳。どちらも似た色彩であるが、筆者には特にその瞳が印象的であった。
前髪に片目が隠されているからこそ、残る瞳がなお、際立つ。透き通るような、青。
――そんな彼女は、自ら"魔女"を名乗った。
口調だけは穏やかで、言の葉は厳かに、声色は少しばかり、可愛らしく。
「我が覚醒したのは、10歳の頃であったのう」
そんな風に己が昏き過去を語り始めた。
―・―
我がおった屋敷を、ある歪虚が襲ってな。
人の形をしていた歪虚でのう。凶相であった。両の手は長く、その爪は――我が見えたときにはもう、血で汚れておった。
滴る雫の音よりも、その姿に目を奪われたものじゃ。
両の眼窩は虚。ただただ暗い穴が、ぽかんとあいておった。その口元が、つり上がってのう。
ああ、笑ったんだ、と。そう思った。
それからじゃ。
「イタ、ワタシノカワイイコ」
――そう言って、あやつが使用人たちを殺し始めたのは。
―・―
歪虚は確かに、少女に執着していた。歪虚はただ、彼女だけを見つめていた。その昏き眼窩で。
その執着を、その時の彼女は知らなかった。しかし、気づいていた者もいた。
恐怖に震える彼女を叱咤し、立ち上がらせた者が居た。彼女の父と母であった。
なだれ込んできた歪虚の手下の骨型の雑魔が逃げ惑う使用人を噛み殺す中、母は魔術を編み上げ、父が武器を取り、血路を開く。
母は笑って、こう言った。
逃げなさい。
響く声は震える少女の足を動かし――彼女は濃霧が包む夜の森に飛び込んだ。
―・―
何度も転んで。何度も立ち上がって。
走りながら、我は、なんで、と。そればかり考えておった。なんで。なんで。なんで。
だから。
「皆、コロシタ」
転び、立ち上がった時に響いた声に――その内容に、我は竦んでしまってのう。
「キミホシイ。キミノタメ皆シンダ、サア 目 チョウダイ」
焼けるような痛み。爪、じゃった。跳ねた身体は別な爪で抑え込まれた。
――ああ。痛かった。苦しかった。
だが、不意にそれらが止んだのじゃ。
目は開かれておったからのぅ、すぐに、それを目にした。
目の前には、闇霧と化物の腕しかなかったはず。けれど――そこに、水色の霧がかかっておった。歪虚を包み、押し退けるように。
声が、聞こえたよ。
『走って逃げろ』
父に似た、温かな声じゃった。痛みは、失せておった。立ち上がると、暗かった筈の森が見通せるようになって、のぅ。
我は走りながら、顔を上げて、こう問うておった。
「きりのまじょさん……なの?」
答えは、無かった。じゃが、父も母もついていてくれるような――心強い気持ちになって、な。
そうして、生き延びたのじゃ。
……我、一人、な。
―・―
霧の魔女、とは、彼女の母親が物語った絵本の登場人物であるらしい。
以後、彼女は覚醒の際に霧を纏うようになった。彼女を救った、水色の霧を。
――そう語る少女の声には、薄い赫怒の気配が乗っていた。
乗り越えたのではない。ただ、時と共に変質した成れの果て。そんな色であった。
ああ。実に、難しい。これは救いの物語であるべきなのに、筆者にはどうにも、そう思えない。
その霧が、父母の祈りを受けた精霊としての顕れであるならば――そこに籠められた願いは切なるものに違いあるまい。
しかし、古来より『瞳』は知覚を、霧は迷いを象徴する。筆者が取材した少女は片目を隠し、霧に抱かれて、微笑していた。
そのことがどうにも、筆者には物悲しさを覚えてしまう。
ああ、願わくばその薬指に光るそれが、彼女の道行きを照らさんことを、と。
そんなことを、考えてしまうほどには。
●レネット=ミスト(ka6758)
かつて辺境の覡を紹介したが、この少女もそのようなものである――と、勘違いしていたことから、告白したい。
彼らに倣えば、"神子"というそれは、"医を担うもの"という意味合いであるそうだ。
言葉の感触で本質を見失うとは恥じ入る他ないが、それには事情がある。
ドワーフの少女は、僅かな暇があろうものなら、歌いだす。あっけにとられる筆者を他所に、景色や情景、言葉遊びが歌になる。
それを神がかりの一種だと好意的に解釈をしたのだ。なるほど、辺境ならば斯くもあらん、と。
兎角。
そのような少女であった。
―・―
……それがしは神子になって世界中の人々を浄め、癒して廻りたいと思っているです。
おじいちゃんも若い頃は一人前の神子になる為に旅をしていたと言ってたです。
だから、それがしも旅をしていたですが……未熟なため、旅を断念してしまったです。
帰ってきたそれがしに、おじいちゃんはこう言ったです。
「お主は神子としての覚悟が足りていない。神子というのは人の命を預かる者、半端な気持ちで神子を名乗れば救える人も救えぬ」
―・―
「良い機会だ、西方へ行き人々と共に戦い、命の重みを感じ取りなさい」
ほがらかな口調ながら、そこだけは――努めて、と注釈をいれたい――厳かに告げた少女はしかし、恥じ入った表情を見せた。
浄め、癒やす。その意味を問うたところ、傷や病を癒やすに限らず、その行いや心根――あるいは後悔などを浄めることをも含むという。
それは、ただの治療行為とは次元が異なる行為だ。故にこそ、その行いや技量ではなく、心の持ちようを厳しく指摘されたことは――痛い。
しかし、と。逆説で結ぼう。
少女はその時はまだ、気づいていなかったのだ。老人が、少女に対して何を望んだのか。何をもって、不足しているとしたのか。
―・―
最初は、何を言ってるのかさっぱりだったです。
でも、りぜりおにでて、契約に臨んだのです。
それがしは、故郷ではよく泉に遊びにいっていたのですが、契約のときにお会いした精霊さんは、故郷の泉にいたとされる妖精さんだったのです!
―・―
泉に歌声を響かせる、陽気な妖精。六枚羽根を羽ばたかせ、風に乗って詩を紡ぐ。
――なるほど。眼前の少女に相応しい契約相手であった。
「それがしもお歌をよく歌うのできっとどこか似ているところがあったのかも知れないですね」
と笑いながら、出会った時の感動などを歌にしていた。一節が終わるまでたっぷり二分程、筆者は紅茶と茶菓子に舌鼓を打つことになったのだが――正直に告白すると、ハンター諸氏の不幸に慣れすぎてしまった筆者は、斯様な幸せな契約もあるものだなあ、と素直に感嘆してしまったものである。尤も、これも少女の太陽のような微笑みをみれば、得心が行くものであるのだが。
さて。歌い踊る少女は、偶然か、はたまた必然か――妖精の導きゆえにか、聖導士になった。
名実ともに、癒し手たる力を得たのである。"神子"たらんとする、彼女の願いに添うように。
それが、神子に繋がる第一歩を歩んだと感じた、と彼女は言っていた。
――けれど、それだけでは、ないのだろう。
彼女は確かに、癒し手たる力を得た。しかし、彼女はその後、様々な出会いを経た。
曰く、「たくさんのはんたーさん」と、出会ったと。
癒せなかったものを、目の当たりにしたはずだ。そうであれば、彼女はすでに"一人前の神子"であるはずだ。
そうでないことを、彼女はちゃんと、識っている。
最後に彼女は、こう言っていた。
―・―
まだまだ未熟ですが皆さんを癒し……少しでも神子らしくなれるよう、それがしは頑張りたいと思ってるです。
そしていつか、一人前の神子になっておじいちゃんを驚かせたいです!
●カイン・シュミート(ka6967)
その青年は、こういった事には不得手な印象を受けた。鋭く細い目に、きつく結ばれた口元。声色や口調は――それが意図していないものだとしても――少しばかり、他人を萎縮させる類のものであった。
そんな青年が、揃いの指輪を首飾りとして、取材を受けている。珍しいことも、あるものだ。
――さて。彼の物語は、いかなるものであったろうか。
―・―
面白ぇ話でもねぇけど……俺の恋人……幼馴染の女だったんだが、警備の仕事しててさ。
ある日、警備してた屋敷、賊に入られて、多勢に無勢で酷くやられた。
その時は生き延びたんだが、その傷が原因で病気になって……結局、死んだ。
―・―
圧のある声色でそう告げた青年は、変わらず指輪を弄り続けていた。
どれだけ鈍くとも、その意味を理解するのは難くない。
当然の帰結、というべきか。病床の恋人を前にその時はまだ覚醒者では無かった彼は、報復を望んだ。
病床の彼女にそれを誓い、立ち上がる。当然だ。急がなければ、賊の手掛かりすらも失われてしまう。
――しかし、果たせなかった。
彼女が、怒鳴り散らしたからだ。
「自分が好きな俺じゃなくなる、それより傍で看病しろ、病人の我侭位聞け」
何度も、諳んじていたか――あるいは、彼女の知らぬところで復讐に走らんとするのを自制する度に、反芻していたのかもしれない。筆者の視線に気づいたか、苦笑いが返った。
「小柄でふわふわな外見でそう見えねぇくせに、中身は恐ろしく気が強くて、爆発物みたいで……いい女だった」
―・―
……けど、俺が納得するかってとそれは別だろ?
あいつが、短命の俺よりも先に死ぬのが……最後まで、納得できなかった。
俺が納得してないの気づいてたみてぇで、言い含められたよ。
で。言いたいこと言って、眠るように逝っちまった。
―・―
短命であること。それは、彼の生まれに依る。竜人たる彼の種は、長命種が多い中にあって寿命の短さで知られている。
身に有る鱗故にそれを突きつけられ続ける彼にとって、恋人がそれを受け入れたことと、彼女が彼よりも長く生きるであろうことは、心理的支柱に近しいものであったのだろう。少なくとも命の使いみちを決めた。それは、彼にとっては意義深いことだった筈だ。
結果として彼は、離苦を突きつけられ、その双方を喪うことになった。
彼が胸に下げたペンダント――そこに揃えられた指輪であるが、彼らふたりの、瞳の色の石を象った指輪だそうだ。末期に渡さんとしたが、受け取ることを、彼女自身の余命を理由に断られた、という。彼の手元に残ったのは、その指輪だけであった。
そして後日。彼女は悼みの中、葬られた。
その日――彼は、覚醒者に成った。
―・―
別離が、彼に力を与えた――というべきでは、ないように思う。
筆者にはそれが、彼がその力を怨讐に用いず――最後の一時を、最後まで共に過ごすようにという配慮のように、感じられた。
ただしく、彼女の願いの通りに。
―・―
――あいつ、まさか俺に覚醒させるため精霊を脅迫したんじゃと思ったくらい、唐突だった。
結局、受け入れたよ。あいつとの約束守りたいし……俺自身どこかで短命だからって思ってる自分に気づいたから、見つめ直す意味もあった。
で、ハンターになった。精霊との特別な何か、っていうのは無かったな。ただ……こう、なっていたんだ。
あ? 約束?
――自分が死んでも絶対幸せになれってさ。
……この指輪はあいつとだけのものだから誰かに贈ることはねぇけど、そっちの約束もいつか果たさねぇとな
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/07/29 19:55:52 |