オートマトンと夏の海(プロレス付き)

マスター:cr

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2017/08/23 07:30
完成日
2017/09/01 01:18

みんなの思い出? もっと見る

焼き鳥ちゃん

オープニング


「ルビーさん、助かりました!」
 ある日のハンターオフィス。そこでミリア・クロスフィールド(kz0012)がルビー(kz0208)にそう話しかけていた。ミリアはたまりにたまった書類の整理のためルビーにお願いしていたのだが、その結果は圧倒的だった。あっという間にテキパキと書類を整理し終え、綺麗に片付いていた。
「いえ、この程度でお役に立てたのでしたら私もうれしいです」
「それじゃあまたお願いしちゃおうかな……あれ?」
 このときミリアは何かに気が付いた。
「そういえばルビーさんって、大渓谷からあまり離れちゃいけなくて、行けてもピースホライズンまでじゃありませんでした?」
「それなんですけど……私が再び目覚めた時から、その制約が無くなってまして……誰かがしてくれたのでしょうか。今の私はこうして自由にどこにでも行けますよ」
 実はこれはトマーゾ教授がESSをアップデートしたことによる効果なのだが、そのことを知る者は居なかった。ともかく、ルビーは彼女の言うとおり世界中どこにでも行ける様になっていた。
「それならどこか遊びに行きたいんじゃないですか? ルビーさん、どこか行きたい所ありますか?」
「そうですね……皆さんの話を聞いていると『海』というものが楽しそうです。一度行ってみたいです」


「あいたたた……」
 一方そのころ、別の場所では一人の女性が顔を押さえてうずくまっていた。6メートル程度の正方形の空間に3本のロープが張られている。つまりここはリングの上であった。
 顔を押さえているほうは愛星 美織、リアルブルーで活躍していたプロレスラーであった。一方そんな彼女に向かい合っているのはサファイア。こちらはエバーグリーンからやって来たオートマトンである。
「何か悪いこと……した?」
「パンチは反則……」
「でも反則は5秒まで大丈夫って」
「いやそうだけど……」
 そんな二人をあちゃーという顔で見ているのがイバラキ(kz0159)。なぜこういうことになっているのか? それはこうだった。去年に引き続きイバラキ達の元へ海水浴場の集客のためにプロレス大会をしてほしいという依頼が来ていたのであった。去年はイバラキと美織がハンター達を集めて行ったのだが、今年はそこにイバラキと知り合ったサファイアを加えようということになった。そこで彼女にプロレスを教えるために実際にリングで向かい合ったのだが、その結果がこれである。ゴングと同時に火を噴いたサファイアの右ストレートが美織の顔面に直撃していたのであった。
「美織さん、大丈夫?」
「この程度なら平気。いきなりで面食らっただけよ」
 というわけで改めてゴングが鳴る。と同時にまたしても火を噴いたサファイアの右ストレート。だが今度は美織はそれを捌くとそのまま腕を掴んで逆上がりをするように回転し、その勢いで首に腕を回すと倒れこんだ。
「ってな感じね」
「おおっ!」
「……うん、すごい……」
 というわけでルビー達が海水浴を楽しんでいる頃、同じ海水浴場でプロレス大会が行われリング上では熱い戦いが繰り広げられることになったのである。
 ……そんなプロレス大会では今年も宣伝のために全選手ビキニを着ることになることをこの時のサファイアは知らないのであった。

リプレイ本文


「わーい! ルビーと海だネ♪ なみの音、海の生き物、海のしょっぱさ、波の力強さ。ぜんぶぜんぶ、一緒に体感しましょ。いのちの楽しさ、一緒にわくわくしましょ」
「はい、海というものを体いっぱいに感じたいです」
 煌めく太陽。輝く水面。寄せては返す波の音が聞こえる中、彼女達は海水浴場へとやって来た。パトリシア=K=ポラリス(ka5996)ははしゃぎながらルビーにそう話しかけた。ルビーの返答はパティに比べれば落ち着いているが、それもただ表現の仕方が違うだけで内心自分と同じぐらいはしゃいでいることがパティには感じ取れた。
「ルビー、どこにでも行けるようになって良かったわね」
「はい、いろいろな場所に行ってみたいです」
「ルビーと一緒って久しぶりだね♪ みんなで思い出作ろうね!」
「はい、皆さん楽しそうですし、きっと楽しい思い出ができそうです」
 天王寺茜(ka4080)と央崎 遥華(ka5644)の言葉にルビーはそう返す。
「ルビーは海は初めてだったか」
 そこにいつも通りウィッチハットを被った雨を告げる鳥(ka6258)が声をかけた。
「初めてです。だからこそ楽しみです」
「海は塩分を含んでおり、やや塩辛い。クリムゾンウェストで最も海に親しい国は自由都市同盟であろう。連合軍の中でも屈指の海軍を保持している他、長年歪虚の支配領域であった暗黒海域を抜けて南方大陸の発見。東方に位置するエトファリカ連邦国と海路で結ばれたことで貿易も活発化している……ふむ。これらはただの薀蓄か。海を楽しむには必要なさそうだ」
「ええ、私にもそのデータは蓄積されていますが、こうやってこの目で見るデータはありませんでした。これを総して『百聞は一見にしかず』というそうですね……ところでその服装は?」
 ハットはいつもどおりのレインだったがその下はまるで違った。フリルの付いたブルーのバンドゥビキニが彼女のスレンダーな体によく似合っている。
「これか。これは水着だ」
「みず……ぎ?」
 海のデータはあるが水着のデータは無い様で小首をかしげるルビー。


 その頃、ハンス・ラインフェルト(ka6750)と穂積 智里(ka6819)は二人で浜辺に来ていた。智里は祖母の国と同じ出身のハンスとこのように一緒に行動する機会が増えたが、最近になってこれはひょっとしてデートというのではないかと思い始めていた。が、だとしたら。彼女はビタミンカラーのワンピースと夏らしい装い。それに対しハンスはと言うと
「……何で……何でこういう時に褌なんか選ぶんですかー!」
「東方の水着と言ったらこれでしょう?」
「確かにハンスさんらしいですけど……」
 何か納得の行かない智里に対し、ハンスは別のことが気になっていた。それは荷物だった。彼も嵩張る各種荷物を持っていたのだが、それらは大きいだけでさほど重くはない。それに対し彼女の持つクーラーボックスはいかにも重そうだった。
「持ちますよ。そういう重い物は男性に任せるべきです」
「え、あ、ありがとうございます」
 その中身は智里が何故か作らなければいけない気がした食事だった。気の利く智里にテンションが上がるハンス。しかし。
「……季節柄安全に配慮するとおにぎりよりサンドイッチの方が衛生的かもしれませんね」
 和食でないのだけが少し残念。だからといってケチをつけるほど野暮でも無かった。
 一方夢路 まよい(ka1328)はお気に入りのつばの広い帽子を被って浜辺に来ていた。
「そういえば、ハンターのお仕事で海辺にきたことはたくさんあるけど、海水浴で遊びにくるってしたことないから、すっごい新鮮かも!」
 そう、彼女も海の楽しみ方を良く知らなかった。
「転移前は、ずっとお部屋だったしね~」
 どうしたものか、辺りを見回す。
「うーみー! 見せる相手は居なくても毎年1度は新作を着ないとですぅ!」
 一方星野 ハナ(ka5852)は気合満々で海に来ていた。この日のためにと用意したサロペット付きのビキニ、いわゆるタンキニに身を包んでいる。が、そこまで気合満々なのに彼女自身は泳ぐつもりは余り無かった。更衣室用に用意されている小屋、その側に大きなパラソルを立て、水を張ってジュースの瓶やら西瓜やらを冷やし始めた。
「だってぇ、この方が簡単にみんなの笑顔が見られますからぁ」
 彼女は海の家的な物を用意することをメインに考えていた。そんなハナの海の家に早速お客がやってくる。
「美味しい食べ物とか、ジュースとか売ってないかな! ……あっ!」
 色気より食い気と言わんばかりのまよいは早速ジュースを堪能。そんな所にルビー達もやってくる。海の開放的な雰囲気が距離を近づけたのか、皆はすぐに打ち解け一緒に遊ぶことにした。そのためにはまず着替える必要がある。

「こういうの持って着たんだけど……」
「一応……幾つかの水着を用意してみましたけど、好みの物はありますか?」
 女の園と化した更衣室内で、茜に加えフィルメリア・クリスティア(ka3380)が幾つかの水着を並べ見繕わせていた。だがその前に
「ルビーさんの肌が焼けちゃう! って、オートマトンの皮膚って、そもそも焼けるのでしょうか?」
 アシェ-ル(ka2983)が騒ぐ。
「日焼け……私は紫外線に応じて褐色に変色する機能は搭載されておりませんが、何にせよ高すぎる紫外線はパーツに多少のダメージを与えるのは確かなようです」
「それなら……」
 というわけで日焼け止めを塗ってあげるアシェール。
「フェイシャルケアセットもありますよ。肌のお手入れはしっかりしないといけませんよ」
 と抜かり無いフィル。そんなこんなしている間にどの水着を着るか決めたようだ。
「どうでしょうか」
 水着を来たルビーが出てくる。上品な赤色のワンピース形の水着、流行からは少し外れるが、確かに彼女によく似合っていた。
「さあ、目一杯楽しむぞー」
 水着の上にパーカーを羽織った鞍馬 真(ka5819)が皆を先導する。この夏海に来たことはあってもそれは皆仕事。遊びで来たこの夏初めての海に彼は年甲斐無くはしゃいでいた。


 水着に着替え終えたルビー達が外に出たところで、見知った顔を見かける。
「鈴太郎さん、何をされているのですか?」
 そこでは大伴 鈴太郎(ka6016)が炭やら金網やらなにやらを運んでいた。何をしているのか、その答えはすぐにわかった。
「よし! 大伴さん、BBQの下拵えOKだよ!」
 藤堂研司(ka0569)が鈴太郎に声をかける。火を取り扱うことになるので当然皆服を着ているのだが、それは海で遊ぶなら水着を着るということをたった今学習したルビーにとっては不思議な状況だった。
「鈴太郎さんは遊ばないのですか?」
「そうです。リンさんもルビーさんと一緒に遊んだら如何です? 火は僕が見ておきますよ」
 魚介類を捌きながらカール・フォルシアン(ka3702)がそう言った。ちなみに彼は料理を良くするわけではないが、彼が白衣を着ていることからも分かるように実験のために魚介類を捌く事には慣れていた。それ故喋りながらも実に手早く魚介類を捌いていく。
「いいからいいから皆と遊ンで来いって! 海つったらBBQ! 用意しとっからさ!」
 それを何故か必死に押し切る鈴太郎。押し切られる形でルビー達は海水浴場へ向かう。
「ルビー、海の水しょっぱいから気ぃ付けろよー!」
 そんな彼女達にそう声をかける鈴太郎であったが、視界の端に別のものが見えた。
「ん? アレはサファイア達……何やってんだ?」


「初めまして、エルバッハ・リオンです。よろしければ、エルと呼んでください。よろしくお願いします」
「あっ! ……よろしくな!」
「よろしくね、エル!」
「……よろしく……」
 サファイア達はビーチの片隅に作られた小屋に入っていく。その中でエルバッハ・リオン(ka2434)が他の者達に挨拶していた。この小屋は海水浴場プロレス大会のための控え室。どちらかというとスレンダーな美織とサファイアに対し、赤くなってるイバラキは見事なまでのダイナマイトバディ。では青色のハイレグビキニに身を包んだエルはどうかというとこれはどう見てもイバラキ側であった。
 その様子にクライアントであるモア・プリマクラッセも満足なようだ。
「これで観客の人たちも面白い反応を見せてくれるでしょう。楽しみです」
「何か言いましたか?」
「いえ、何も」
 そんな中、他のレスラー達が入ってくる。
「ルールなら仕方ないなぁ……さぁさぁ盛り上がって行くぞー!」
 と入ってきたのはテンシ・アガート(ka0589)。
「やぁっぱプロレスやるならこれだよなぁ」
 と黒ビキニに黒リングシューズといかにもストロングスタイルな感じで入ってきたトリプルJ(ka6653)、二人ともビキニ姿である。
「流石に男までビキニは着なくていいよな? いやルールなら着るけど」
「ええ、今年は男性向けは扱っておりませんので、構いませんよ……説明が遅れましたか」
 とレイオス・アクアウォーカー(ka1990)の質問にモアが答えていたが、他の男性陣は既に出て行ってしまっていた。
「脱げねばいいのだろう?」
 そして最後にドアをバーンと開けて入ってきたルベーノ・バルバライン(ka6752)は見事なまでの六尺褌姿である。
「いえ、商品の宣伝……」
 とモアが言い終える前に彼は出て行ってしまった。

 夏の砂浜に突如現れたリングは存在感を放つ。人々は一体何事かとその周りに集まる。ルビー達もその様子に気になって近づいていく。そんな中流暢なアナウンスが聞こえてきた。
「さあまもなく始まる海水浴場プロレス大会。選手達は一体どういった戦いを見せてくれるのでしょうか」
 照りつける日差しの中スーツを着込んで汗一つかかず喋っているのは岩井崎 旭(ka0234)だった。
「プロレスって、ポロリする戦いらしいですね」
「え、首を取り合うのですか?」
「首がポロリじゃないですよ! もっと、もっと凄いのが!」
 浜辺に座ったルビー達。アシェールとそんな会話をしている最中選手達が入場してくる。トリプルJはリングインと同時にコーナーを駆け上がり、筋肉を隆起させポージング。それに張り合うかのごとく逆サイドに上がったルベーノも筋肉を隆起させポーズを取った。
「お、プロレスか!? しからば……」
 その光景に気がついた藤堂はBBQの準備を一旦止め、どこかに行く。
「来い、サファイア! 本気で殴りあうぞ」
 その頃、コーナー上のルベーノはマイクを取りサファイアにそうアピールしていた。それに頷くサファイア。そんなこんなの最中リング中央に何者かが降り立った。
「子供達よ、待たせたな! ミスタ~! フォーアイズ! 夏の浜辺に最強を決めるため参上ッ!」
 正体不明のマスクマン、ミスター・フォーアイズ(中身は藤堂)だった。
「即ち! ガチンコ! バトルロイヤルだ!! そこの三人を始め、我こそはと思うレスラー達よ! 来るがよい!!」
 その言葉に男女問わずレスラー達はリングに上がる。
「おおっと、ルールはバトルロイヤル、3カウント以外に海への転落で失格になる特別ルールが採用される模様です!」
 と岩井崎の実況もヒートアップする。
 そしてゴングが鳴り響いた。
「語り合うぞ、サファイア!」
 と同時に殴り合いを始めるルベーノとサファイア。猛烈な拳の雨を互いに降らせる二人。パンチをかわしてカウンター、さらにかわしてカウンター。やっていることはプロレスと言うより総合格闘技である。
「なかなかやるな! さあ来い!」
 ルベーノの言葉に答えるようにサファイアは渾身のパンチを放つ。だが、ルベーノはそれを掻い潜って潜り込むと腕を捕らえ、そのままアームホイップで投げ飛ばした。
 リング上をコロコロと転がるサファイアに満足気なルベーノ。しかしこの戦いはバトルロイヤル。今まで周りで見てくれていた他の者も放ってはおかない。
 トリプルJはやおら両足でルベーノの頭を挟むとそのまま回転して投げ飛ばす。ヘッドシザースで投げ飛ばされたルベーノはそのまま海へ転落、失格である。
 一方のサファイアにはテンシが組み付き、関節技を仕掛けようとしていた。が、それを振りほどくと鳩尾にソバットを叩き込む。苦しむテンシ。
「大丈夫……?」
 思わずそう声をかけてしまうサファイアだったが、テンシは見えないように頷いて大丈夫なことを伝える。苦しむことで彼女の技の威力を観客達に伝えられる、これもセルと呼ばれるプロレスの技術である。
 それで安心したのかサファイアは走りこみ次の技を仕掛けようとする。そこにテンシは飛びつき、両足を腹部に当ててそのまま跳ね飛ばした。ポーンと跳んだサファイアの体はそのままトップロープを超えて海へと落下していた。
 一方レイオスにはイバラキがハイキックを食らわせていた。
「骨身に染みる一撃だ。でもオレを倒しきるにはまだまだだ」
 喰らったレイオスだが、そのままロープに飛ぶと逆にビッグブーツを叩き込む。それをイバラキは正面から受けお返しのビッグブーツ。長身二人のダイナミックな攻防は海に映える。
「さあ、互いに得意のビッグブーツの打ち合い、これは戦いの花いちもんめか、寄せては返す波のようだ!」
 岩井崎の比喩表現を加えた実況も熱を帯びていく。
 だが、もう一度レイオスがロープに飛んだ時、横から現れたエルが彼の足をカニ挟みに捉えて転ばせていた。すかさず自分の両足を絡め関節技に持ち込む。素早さを生かした見事な攻撃である。
 一方イバラキの方へはトリプルJが駆け込み、頭を両足で挟むと回転、ぐるりと回り終えるとさらにもう一回転し、そこから首を抱え込むとDDTと呼ばれる技の形で叩き付けた。頭を押さえるイバラキをトリプルJはフォールせず飛び退く。
 フォーアイズはというと美織に攻め込まれていた。矢のようなドロップキックを喰らい思い切り吹っ飛ばされて地面に叩きつけられる。起き上がろうとしたところに今度はロープに飛び乗った美織が180度回転しながら体当たりを食らわせてくる。一方的に受け続けるフォーアイズ。だが受けながらも受け身をしっかりと取ってダメージは残さない。美織の華麗な空中殺法に観客が沸くのもフォーアイズがしっかりと受けるからだ。
 そして反撃の時が来た。コーナーからクロスボディで跳んだ美織をフォーアイズはキャッチし、そのままパワースラムで叩きつける。叩きつけるとそのまま今度は自分がコーナーに登り、観客達にアピールを始めた。
「おおっと、ここで出るか……出たぁ! お馴染み、フォーアイズボディプレスだ!」
 ふわりと舞ったフォーアイズの体が仰向けに倒れている美織の元へと降ってくる。一発で終わらなかった。命中したところでフォールに行かずそのまま逆のコーナーへと登る。二発目のフォーアイズボディプレスの体勢に入る。
 だがその時だった。息を吹き返した美織は跳ね起き、ダッシュしてコーナー近くのトップロープに跳び乗るとそこからフォーアイズの首を両足で挟み込み旋回しながら後方回転した。飛びつきからの雪崩式フランケンシュタイナー!
 フォーアイズはそのまま海へと落ちていく。しかしこの位置でフランケンシュタイナーを仕掛けた美織も一緒に海に落ちるのだった。
「おおっと、ここで乱入者か? 謎のミミズクマスクの登場だ!」
 実況が叫ぶ。だが乱入者などどこにも居ない。いったい何事かと思った瞬間、リング中央に頭部にミミズクの覆面を被った男が立っていた。謎のミミズクマスクが現れた時、実況席から岩井崎の姿が消え代わりに脱ぎ捨てられたジャケットが落ちていた。
 ミミズクマスクはすかさずトリプルJの首を掴み、股下に腕を差し込む。そして持ち上げ
「ノーザンライトボムだぁ!!」
 と自分で叫びながらトリプルJを頭からマットに叩きつけた。
 トリプルJも立ち上がるとお返しとばかりにティヘラの体勢に入る。
 しかし投げられてなるものかと踏ん張るミミズクマスク。なんとか回転を付け投げきろうとするトリプルJ。二人が力のこもった攻防に入っている最中、テンシはエルと共に並び立ち、観客達の手拍子を煽る。そしてそのリズムに合わせて走り出した二人はそのまま加速を付け、絡み合うミ二人に同時に肩口から体当たりを食らわせた。自分の体を地面と水平になるぐらいの強烈なタックル、テンシミサイルと名付けられた必殺技の二重奏であった。その強烈なツープラトンを喰らえば、二人はそのままリング外にはじき出され海に落ちる他無かった。
 テンシミサイルを決めたテンシとエルはトップロープを掴んでリング内に残ろうとする。だがそこにレイオスが追走してきた。彼は二人の頭部を両脇にそれぞれ抱えると、二人まとめてリング外に投げ落とそうとする。垂直に持ち上げられる二人の体。基本的なプロレス技のブレーンバスターの体勢だが、二人まとめて仕掛けるなどは流石レイオスの体があってこそだ。
 しかしここにイバラキが走ってきた。ダッシュから飛び上がるとレイオスに両膝をぶつけていく。必殺の蒼魔刀を炸裂させた。
 これを食らってはどうすることも出来ない。レイオスはトップロープを越え海へと落ちていく。一緒にブレーンバスターで持ち上げられていた二人も落ちていく。
 だが勢い余ってイバラキ自身も海へと飛び出していくのであった。今年も全員失格で勝敗なしという結果である。
「ってああぁぁぁっっ!!」
 四人一緒に海に落ちたのだが、ダイナマイトな二人のビキニは海水へ突っ込む際の抵抗に耐えられなかった。流されていく二枚の布。邪な発想が浮かんでいるエルはともかく、イバラキはこの状況に耐えられなかった。真っ赤になり失神しそうになる。
 その時勝敗がついたことを示す巨大な水柱が上がった。これは実はレイオスが水面に衝撃波を叩きつけて巻き起こしたものだったのだが、ともかくこれで女性陣のダイナマイトが衆目の前に晒されるのは避けられたのである。


「ん? ……やべぇ!」
 BBQの準備をしていた鈴太郎がふと海を見ると、プロレス大会の結果海に転落したサファイアが沈んでいるのが見えた。オートマトンは普通の人間に比べて比重が重い。居てもたってもいられなかった。彼女は上着を脱ぎ捨て海を猛スピードで泳いでいく。
「サファイア、大丈夫か?!」
「うん、大丈夫……足が着く」
 しかしそれは早とちりだったようだ。
「ああ、良かった。溺れたかと思ったぜ」
 ほっと胸をなでおろし戻ってくる二人。
「リンさん、その姿もお綺麗ですね」
「あああっ!」
 慌てすぎて自分が黒いビキニ姿になっていることを忘れていた鈴太郎。今ここには鼻の下を伸ばすのとは無縁なカールしかいなかった。その事が余計に恥ずかしく感じさせ、真っ赤になってしまっていた。


「ケイティ、待って!」
 遥華の愛犬が彼女の傍らから飛び出す。この太陽の光の下で浮かれる気持ちを抑えきれないようだった。
「それじゃあ、ケイティもミールも海に行きましょう?」
 そこで茜はゴムボートを出してきた。四人と二匹がそれに乗り海へと出ていく。
 その様子を鞍馬は見ていた。一応年長者だからと監視をしていたのだが、自分の目の届く範囲では危ないことは誰もしていないようだ。静かな時間が過ぎていく。そこにミオレスカ(ka3496)がやって来た。
「海でのんびりできるなんて幸せです。さて、釣りをしてみましょうか」

「うわぁ……」
 少し沖に出た彼女達は周囲に目をやっていた。海水の下に泳ぐ魚達が見える。
「見てミテ! お魚がイッパイダヨ!」
「そうね、何かBBQに使える魚介類を持っていきましょう?」
 というわけで海の恵みを探す一堂。すぐに大きな貝などが見つかった。焼いて食べれば美味しそうだ。そんな中茜は何かを捕まえた。
「それ何ですか?」
「ほらほら狂気のけんぞ、うにゃっ、スミ吐かれたー!」
 もちろん狂気の眷属などでは無くタコなのであるが、反撃を受けて逃げられてしまったようである。
「あ、あちらからも何か来ますね」
「え? なにな……に?」
 それは魔法の力で水面に立つミオの姿だった。
「なにって、釣りって、こういうもの、ですよね?」
 そう言うやいなやミオは水中銃で次々と魚を撃ち抜いていく。
「すごいですね……」
 その様子を海岸から、日傘の下でフィオとまよいが見ているのであった。

「可愛らしい水着だと思いますよ」
 智里のワンピースの下からフリルのオフショルダービキニが現れる。それを見て素直に褒めるハンス。だが。
「ところで今度白の磯着と磯眼鏡を贈りますよ」
「……ええっと、どう言えばいいのでしょうか……」
 いろいろついていけないことも多く頭を抱えるしか無い智里をよそに、ハンスはマイペースだった。
「それより、あちらでビーチボールをやっているようです。まぜて貰いに行きましょうか」


 その頃時音 ざくろ(ka1250)は砂浜に来ていた。セーラー服風の水着が風になびく中ぼんやりと海を眺めるざくろ。一人で来たざくろに特にやることは無い……そんな風に思っていたとき、同じように一人で居る者に目が止まった。
「あの、もし良かったら一緒にビーチバレーどうかな? ざくろ一人で来たから、相手居なくて」
「ビーチボールに誘われたからには全力で遊ぼう!」
 声をかけられたアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)も応じたそんな時、ざくろは見知った顔を見つけた。
「良かったらルビーもどう? 海水浴名物ビーチバレーだよ」
「バレー?」
「ボールを落としたら負けってスポーツだよ。一緒に楽しもう? リンちゃんも誘ってくるね!」
「はい。お願いします」
 というわけでルビーにルールを説明している間、遥華は鈴太郎を誘いに行っていた。恥ずかしいという本当の理由はもうどうでも良くなり、BBQの方はカールが見てくれているという後押しもあった。
 そして始まったビーチバレー。まずはざくろのサーブ。アルトは砂浜を駆けてレシーブし、ボールは遥華の元へ。遥華も走って追いかけるが間に合わない。アルトは武術で身につけた技術を応用し、指先にしっかりと力を加え砂を掴むようにして動いていた。こうしないとやわらかい砂の上ではまともに動けない。
 そこで遥華はとっさに脚を出した。ぎりぎりのところでその脚はボールを捉え空中に浮かせる。
「……ルール上は足でのクリアOKだしっ!」
 といってもこれはサッカー経験者の遥華ならではの芸当なのだが。
 ふわりと浮いたボールはルビーの元へ。彼女もレシーブしたのだが、力の加減が分からなかったのか遥か彼方へ飛んで行ってしまった。
「任せて!」
 だがアルトが走る。砂を強く踏み、その反動で弾き出された己の体に炎のオーラを纏って急加速、結果とんでもないスピードで走り抜けるとなんとボールに追いついてしまった。
 そして彼女が跳ね返したボールが天高く飛ぶ。そこへざくろが飛ぶ。足裏からマテリアルを噴出しジャンプの頂点でボールに追いつくと、そこからスパイク……に行くと思った瞬間だった。
「顕現ハンターライオンの力! ガオー」
 ざくろが吼えた。その瞬間鈴太郎は思わずレシーブの体勢に入る。そこでワンテンポずらし、スパイクを放つ。一人時間差攻撃攻性防壁付きだ。
 完全に体勢を崩された鈴太郎だったが、何とか立て直すとスライディングレシーブ。だが攻性防壁による電撃付きスパイクを受け止めてはどうしようもなかった。
「うう、酷い目にあったぜ」
「よし、じゃあ今度はボクから行くよ!」
「さあ来い!」
 というわけでざくろとアルトのビーチバレーはまだまだ続きそうだった。


「泳ぐのも悪くないが……たまには砂浜で城作るのもいいな」
 その頃、一人離れたところでカイン・シュミート(ka6967)は作業を始めていた。そんな彼に付いていくふわふわとした二匹の幻獣。
「アントン、ルルディ、喧嘩しないで仲良くな」
 その二匹にそう言い残して作業に入る。彼は砂を集めて大きな山を作り、上から少しずつ水をかけて固めていく。そんな二人の背後でわちゃわちゃとした物音が聞こえる。
「俺が見てると喧嘩しねぇのに、背中向けるとと途端に背後で何かやってるし。女って判んねぇよなぁ」
 実はこの二匹は女の子。つまり修羅場なのだがカインは気付いてもいない。
「海は楽しめているかな?」
「はい、色んなことがあって楽しいです」
 そこにルビー達がやって来た。鞍馬はそんな話をしていたが、何かに気付く。
「……城作りか、一緒にやらせてもらえないか?」
「ああ、いいぜ……泳ぐだけが海で遊ぶことじゃないからな」
 と言うわけで砂山を削りながら形を作っていく。皆の協力があれば作業も捗る。予定よりずいぶん大きな城になりそうだった。
「わぁ……」
 一緒に砂いじりをしていたまよいは綺麗な貝殻を見つけた。その美しさに目を取られ、お土産にしようと仕舞い込む。
 そんな間に城の形が徐々に出来てくる。
「でも、波が来たら壊れてしまいそうですね」
「確かに潮が満ちてくれば壊れてしまうような形に残らない物だけど、その儚さが夏らしくて面白い、って私は思う」
 鞍馬はルビーには無い感情を教えてあげた。それを少女は覚え、胸に仕舞う。
 そして城は出来上がった。皆の協力の元、王国にも持っていけそうな大きな城だ。
「壊れるのはもったいないですね」
「形あるものだけが全てじゃねぇし、だから楽しいんだろ」
 出来上がった城をカインは見せておきたかった。ルビーはそれを確かに記憶していた。


「海でBBQというのもいいものだ。プロレスをしていた者も居るようだし、遊び疲れただろう。此方も皆で楽しもうではないか」
「そうね、皆でご飯にしましょ♪」
 というわけでBBQが始まる事となった。肉に野菜だけでなく、今獲ってきたばかりの魚介類も沢山含まれている。更にミオは魚をすりつぶしてつみれだんごにしており、ハナはその横で大きな鉄板の上で大量の焼きそばを作っていた。たっぷりのキャベツと肉、見るからに美味しそうだ。
「泳いで体力使ったらしょっぱい物も甘い物もガンガン食べるのが正義ですぅ。食後にスイカも切り分けますよぅ」
 こんなに沢山あったら食べ切れなさそうに思えるが、そこにプロレスをしてお腹を空かせた者達が集まってきた。多くの者が集まり改めて食事のスタートである。
「味付けはこの万能調味料を」
「つみれだんごはちょっと醤油を付けて焼いてください。少々粗っぽい料理ですが、取れたてを焼いて食べる豪快さが楽しいですね」
 網の上で次々と食材は焼かれていき、それが見る見るうちに皆の胃袋の中に収まっていく。
 遥華は脂身が苦手なのでそれを避けながら取り、じっとお利口さんにしている愛犬にも肉をおすそ分け。
「どんどん食べましょう!」
 アシェールはルビーに焼けた食材を出していた。そんな中彼女には気になることがあった。二人の胸元を比べ聞いてみる。
「……オートマトンって太ったりするんですか? いや……その、大きくなったりするんですか?」
「機体によります。私はCAMの様な大きさに変化することはできません」
「いや、そういう意味じゃなくってですね」
 どうも彼女の質問は勘違いされてしまったようだ。
「お疲れでしょう、焼き立てをどうぞ」
「怪我した人はいませんか?」
 ミオはプロレス組に食事を運んできた。カールは応急手当セットを持ってきたがこれが役立つことは無いようだ。
「そういえば鈴太郎はプロレスしないの?」
「つ、次はどんな勝負でもゼッテー受けっからさ? な?」
「1対1の最強はグレイシー柔術だぜ? こういう魅せ物抜きでやらないか」
「うん、いいよ……今やる?」
「と、とりあえず食事しよう、な?」
 そんな会話が弾む中、BBQの時は過ぎていくのであった。


「終わったら海を汚さないようお片づけしなきゃね」
 あれだけ沢山あった食材は皆人々の胃の中に収まっていた。遥華がゴミを片付けた頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。
「それじゃあこれ、します? 夏の思い出作りって言えば、コレも大事な要素だし……」
 フィルが持ってきたものはマテリアル花火だった。それを楽しむにはちょうどいい時間だ。円筒にマテリアルを込めると、程なくして空中に青、赤、緑、様々な色の光の花が咲く。今ここに居るものたちの視線はその花に集まっていた。
 アリア・セリウス(ka6424)は穏やかな夜風と穏やかな波に身を任せていた。浅瀬に腰掛ければさざ波が彼女の足にまとわりつく。実は彼女にとってこれが初めての海水浴だったが、彼女の好きな風と、今好きになった海が彼女を癒やしていた。
「ここ、いいですか?」
 その横にルビーが座っていた。彼女が初めて出会った時も同じような時間だったことを思い出す。そんな中、彼女はゆっくりと口を開いた。
「ずっと前にルビーにいった夢の話、覚えているかしら」
「彼の産まれ、見てきた月を、いずれ見たい……リアルブルーの月は見れたのですか?」
 彼女はこくりと頷いた。彼女の身を包む水着の胸元には青い薔薇。青い薔薇の花言葉は「夢が叶う」。そんな事を思い出していた。
「蒼い世界の月を見たいって夢の他に、もうひとつ、出来たの」
「それは……」
「……緑の世界の想いも、受け継ぎたい」
 笑顔で、幸せでありたい。そんな些細な明日を、この世界で。海と空、月と太陽のように触れあうことなくとも。

「じゃあ記念写真撮るね! また来年も、こうして楽しめますように!」
 遥華の呼びかけて皆がカメラのフレームに収まる。シャッターが落ちる瞬間、テンシは静かに一つ呟いた。
「……今度エバーグリーンに行けたら、緑の子を探しに行きたいな」

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 龍盟の戦士
    藤堂研司(ka0569
    人間(蒼)|26才|男性|猟撃士
  • 遥かなる未来
    テンシ・アガート(ka0589
    人間(蒼)|18才|男性|霊闘士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 世界より大事なモノ
    フィルメリア・クリスティア(ka3380
    人間(蒼)|25才|女性|機導師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • はじめての友達
    カール・フォルシアン(ka3702
    人間(蒼)|13才|男性|機導師
  • 語り継ぐ約束
    天王寺茜(ka4080
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 金色のもふもふ
    パトリシア=K=ポラリス(ka5996
    人間(蒼)|19才|女性|符術師
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎(ka6016
    人間(蒼)|22才|女性|格闘士
  • 雨呼の蒼花
    雨を告げる鳥(ka6258
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 紅の月を慈しむ乙女
    アリア・セリウス(ka6424
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • 離苦を越え、連なりし環
    カイン・シュミート(ka6967
    ドラグーン|22才|男性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 海水浴とプロレスと
フィルメリア・クリスティア(ka3380
人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/08/23 05:51:45
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/08/22 16:12:32
アイコン 質問卓
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/08/21 15:39:19