ゲスト
(ka0000)
【陶曲】エメラルド・オートマティック
マスター:大林さゆる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/09/02 09:00
- 完成日
- 2017/09/11 00:55
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
深淵の底。
白い仮面を付けた男……カッツォ・ヴォイは、恭しく御辞儀をした。
「エバーグリーンから持ち帰った自動兵器、まだまだ改造の余地がありそうです」
「そうかい。君の好きなようにしたまえ」
小奇麗な老紳士は、シルクハットを右手で抱えたまま、応じた。
一礼するカッツォ。
「御意」
そう一言、告げた後、カッツォはエメラルドの宝石を3つ、左手に持ったまま、瞬間移動で、その場から姿を消した。
●
自由都市同盟、極彩色の街「ヴァリオス」近郊。
鉱石が採掘できる山々の麓に、古びた館があった。
以前、とある豪商が住んでいたらしいが、数年前に行方不明となり、今は誰も住んでいないはずだった。
異変が起こるようになったのは、数日前。
館の二階から、シンバルを鳴らす音が響いていた。
「毎日毎日、朝から晩まで騒いで、何してるのやら」
リアルブルー出身のハンター、水本 壮(みずもと・そう)は、各地を転々としていたが、騒ぎに気が付いて、館を訪れた。
「すみませーん。どなたか、いらっしゃいませんか?」
壮が玄関のドアを叩くと、二階の窓から無数の人形が降ってきた。
「うっぎゃあぁぁぁぁぁーっ?!」
体長60センチの緑色のリスたちが、壮の身体に群がり、口から毒針を吐いてきた。
ジワジワと毒が肉体を蝕み、耐えられなくなった壮は気を失って倒れ込んだ。
●
「……なんだ、ここは……?」
壮が目覚めると、自分は縄で縛られたまま、椅子に座っていることに気が付いた。
目の前で、緑色のリスたちが棒を使い、シンバルを叩いて鳴らし、騒いでいた。
「こいつら……歪虚か? なんとかして逃げ出さないと……」
縄を解こうと試みるが、なかなか身体が抜け出せなかった。
毒が効いているせいか、かなりの脱力感だった。
「わー、誰でもいいから、助けてくれー!!」
慌てて叫ぶ壮。その声は、弱々しかった。
●
魔術師協会広報室にて。
偵察から帰ってきた魔術師たちが、事の次第をハンターたちに伝えていた。
「どうやら、水本くん、嫉妬の歪虚に連れ去られてしまったみたい」
ラキ(kz0002)が心配そうに言うと、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)は武器の装備を整えていた。
「水本は、以前から嫉妬の歪虚に狙われていたからな。ついに、ヤツらも、本格的に動き出したとも考えられる」
「けどさ、どうして、水本くん、嫉妬の歪虚に狙われるようになったのかな?」
いろいろと思いを巡らすラキ。
「嫉妬の『本質』を調べれば、何か分かるかもしれない。それに、館の入口にオート・パラディンがいたという報告が気になる。急いだ方が良いだろう」
マクシミリアンはそう告げ、ラキを連れて、古びた館へと向かった。
同盟での一連の騒動には、嫉妬の眷属たちが見え隠れしていた。
クリムゾンウェストの危機。
もう二度と、過去の過ちを繰り返すことだけはしたくない……。
そう願うラキであった。
白い仮面を付けた男……カッツォ・ヴォイは、恭しく御辞儀をした。
「エバーグリーンから持ち帰った自動兵器、まだまだ改造の余地がありそうです」
「そうかい。君の好きなようにしたまえ」
小奇麗な老紳士は、シルクハットを右手で抱えたまま、応じた。
一礼するカッツォ。
「御意」
そう一言、告げた後、カッツォはエメラルドの宝石を3つ、左手に持ったまま、瞬間移動で、その場から姿を消した。
●
自由都市同盟、極彩色の街「ヴァリオス」近郊。
鉱石が採掘できる山々の麓に、古びた館があった。
以前、とある豪商が住んでいたらしいが、数年前に行方不明となり、今は誰も住んでいないはずだった。
異変が起こるようになったのは、数日前。
館の二階から、シンバルを鳴らす音が響いていた。
「毎日毎日、朝から晩まで騒いで、何してるのやら」
リアルブルー出身のハンター、水本 壮(みずもと・そう)は、各地を転々としていたが、騒ぎに気が付いて、館を訪れた。
「すみませーん。どなたか、いらっしゃいませんか?」
壮が玄関のドアを叩くと、二階の窓から無数の人形が降ってきた。
「うっぎゃあぁぁぁぁぁーっ?!」
体長60センチの緑色のリスたちが、壮の身体に群がり、口から毒針を吐いてきた。
ジワジワと毒が肉体を蝕み、耐えられなくなった壮は気を失って倒れ込んだ。
●
「……なんだ、ここは……?」
壮が目覚めると、自分は縄で縛られたまま、椅子に座っていることに気が付いた。
目の前で、緑色のリスたちが棒を使い、シンバルを叩いて鳴らし、騒いでいた。
「こいつら……歪虚か? なんとかして逃げ出さないと……」
縄を解こうと試みるが、なかなか身体が抜け出せなかった。
毒が効いているせいか、かなりの脱力感だった。
「わー、誰でもいいから、助けてくれー!!」
慌てて叫ぶ壮。その声は、弱々しかった。
●
魔術師協会広報室にて。
偵察から帰ってきた魔術師たちが、事の次第をハンターたちに伝えていた。
「どうやら、水本くん、嫉妬の歪虚に連れ去られてしまったみたい」
ラキ(kz0002)が心配そうに言うと、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)は武器の装備を整えていた。
「水本は、以前から嫉妬の歪虚に狙われていたからな。ついに、ヤツらも、本格的に動き出したとも考えられる」
「けどさ、どうして、水本くん、嫉妬の歪虚に狙われるようになったのかな?」
いろいろと思いを巡らすラキ。
「嫉妬の『本質』を調べれば、何か分かるかもしれない。それに、館の入口にオート・パラディンがいたという報告が気になる。急いだ方が良いだろう」
マクシミリアンはそう告げ、ラキを連れて、古びた館へと向かった。
同盟での一連の騒動には、嫉妬の眷属たちが見え隠れしていた。
クリムゾンウェストの危機。
もう二度と、過去の過ちを繰り返すことだけはしたくない……。
そう願うラキであった。
リプレイ本文
自由都市同盟、鉱山付近の古びた館。
「思った通り、廃墟になってんな。だったら、嫉妬の眷属も入り易いってことか?」
ユーロス・フォルケ(ka3862)はグリフォンに騎乗すると、空中飛行しながら仲間たちと館へと向かった。
「館に捕らわれた水本さんという方が心配ですね。嫉妬の眷属に執着されていると聞きましたが、尚更、早めに救出したいところです」
鳳城 錬介(ka6053)はゴースロンに騎乗して、魔導拡声機「ナーハリヒト」を使いながら、刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸に指示を出していた。
まずは館の入口に居るオート・パラディンSたち目掛けて、崩天丸が移動……『砲撃:煙幕弾』が地面に着弾すると、煙が空間に留まり、前方の射線と視線を妨害することができた。
オート・パラディンSたちは攻撃目標を見失い、館の入口に立ち尽くしているだけだった。
ジャック・エルギン(ka1522)はイェジドのフォーコに騎乗して、一気に駆け抜け、ロングボウ「レピスパオ」を構えた。敵の射程まで間合いを詰めることができたが、エメラルド・ドールたちが鳴らすシンバルの音が館の二階から響き渡り、水本 壮が捕まっている場所までは把握できなかった。
オート・パラディンSの額には、エメラルドの宝石が埋め込まれていた。
「今回はエメラルドか。カッツォ・ヴォイ、何を企んでいやがるんだ……嫉妬の眷属の手がかりを探さねえと、マズイ気がするぜ」
ジャックには、水本が嫉妬の眷属に狙われる理由がまだ分からなかったが、『嫉妬』は気にいった遊びには執着する性質があるという噂は聞いたことがあった。
ならば、早急に水本を救い出す必要があるのでは…と感じ取っていた。
「おじぃ、しっかりつかまってて」
イレーヌ(ka1372)は魔導二輪「龍雲」に乗り、館の近くまで移動していた。「おじぃ」と呼ばれたユグディラのラオは、イレーヌの背中にしがみ付いたまま、魔導二輪「龍雲」から落ちないように必死だった。
一人乗りのバイクではあったが、ラオを乗せて、イレーヌは崩天丸と並ぶように前方へと走った。
アリア・セリウス(ka6424)はイェジドのコーディに騎乗して、右側寄りに駆け抜けていく。
「カッツォの脚本は、今、こうしている間にも進んでいるはず……必ず、追いついて、止めてみせるわ」
「連れ去られた人が、どういう状況になってるのか分からないけど、可能な限り時間をかけずに、すべての障害を排除して、館へ突入して助け出すだけよ。だけど、こんな所にオート・パラディンって、連れ去られた人以外で、あの屋敷に何か隠してるものでもあるのかしら」
ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)も、水本を助け出すことを優先した方が賢明だと考え、イェジドのオリーヴェに騎乗して、館の入口を目指して全力で駆けていった。
雨月彩萌(ka3925)は、機体の危険を察してはいたが、R7エクスシアのアイリスMk-2に搭乗して、コックピットからモニター越しで位置を確認すると、MEシールド「カーラント」を構えたアイリスMk-2が、オート・パラディンSが居る場所を目指して移動していく。
「機械を操る敵もいる事は知っていますが、それに対抗する手段を見つける必要もあります。カッツォ・ヴォイは、無機物を融合させる能力があると聞きました。わたしたちの勝利と正常を証明する為に。共に戦いましょう、アイリス」
彩萌は覚悟の上で『機導の徒』を発動させ、イニシャライズフィールドを展開しながらアイリスMk-2を操縦していた。
カイン・マッコール(ka5336)は、イェジドの-Wild Hunt-に騎乗して、錬介が操縦する崩天丸の動きに合わせて、館の入口付近まで駆け抜けていく。
「館での救出の仕事、敵単体としてはゴブリンよりはかなり強いから、油断はできないか」
正面からの戦いは避けて、カインの指示で、崩天丸の背後に付く-Wild Hunt-。獣機銃「シエージュR4」で援護射撃をして、敵を牽制する。
オート・パラディンSたちは、未だに煙幕が発生している状態とは言え、お構いなしにマテリアルレーザーで攻撃をしかけてきた。敵がいるという認識ではなく、ただ機械的に攻撃しているようにも思えた。
コーディは騎乗しているアリアを守るため、スティールステップでレーザーを回避しながら、同時に大きく跳躍してオート・パラディンSたちに接近していく。
「ありがとう、コーディ」
「オリーヴェ、頼むわよ」
イェジドのオリーヴェは、ユーリの指示で彼女を乗せたまま、スティールステップでレーザーを回避し、オート・パラディンSとの間合いを取りながら、跳んで移動していく。
ユーロスは、飛翔の翼で飛行したグリフォンに騎乗していたこともあり、館の屋上から仲間たちの動向を窺っていた。
「……庭があるな。そこから降りて、合流するか」
オート・パラディンSの手前に、庭があり、グリフォンが飛行したまま移動していく。
グリフォンに騎乗した状態から、ユーロスは飛び降りようと試みるが、落下……軽い怪我で済んだこともあり、すぐに立ち上がることができた。
「外で待ってろ」
ユーロスの指示で、グリフォンは飛行しながら館の上を飛び廻り、外で待機することにした。
「館の中には、人形がいるらしいが……シンバルの音が邪魔で、水本らしき男の声が聞こえねえな」
ジャックは二階の窓を警戒していた。フォーコはジャックが敵を狙い撃ちできるように、スティールステップでレーザーを回避し、オート・パラディンSの射程内まで駆け抜けていった。
「おじぃ、気を付けて」
イレーヌは魔導二輪「龍雲」に騎乗し、ユグディラのラオも乗せたまま、オート・パラディンSの懐まで接近していたこともあり、敵のマテリアルブレードがイレーヌの頭上から振り下ろされる。
イレーヌの『シールドバッシュ』が発動……とっさにシールド「セリニキクロス」でマテリアルブレードを受け止め、その勢いでオート・パラディンSが転倒し、移動不能にさせることができた。
「対策は、ばっちりだからね」
イレーヌの言葉に、同意するように頷くラオ。
「二階の窓から、緑色のリスたちが現れました。皆さん、気を付けてください。崩天丸、二階の窓です。煙幕弾、放て!」
錬介は、魔導拡声機「ナーハリヒト」を使い、仲間に呼びかけた。そして、刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸が、二階の窓に狙いを定めて『砲撃:煙幕弾』を解き放った。
緑色のリスに似たエメラルド・ドールたちは、魔法の煙に巻き込まれ、毒針を放つことができなくなった。
「錬介、助かったぜ。これで、オート・パラディンSを狙えるな」
ジャックが弓矢を構えたのは、オート・パラディンの額にあるエメラルドを救うためであった。 ロングボウ「レピスパオ」の弦を引き、『制圧射撃』を繰り出した。矢が命中し、オート・パラディンSを一体、行動不能にすることができた。
「宝石へと託され、精霊となるまで宿った想い……救うわ」
アリアは行動不能になったオート・パラディンSを狙い、大太刀「破幻」による『透刃花・玲瓏』で貫いていく。オート・パラディンSの胴部が砕け散り、頭部と脚部に亀裂が走った。額にあったエメラルドが衝撃で地面に転がると、すかさずコーディが宝石を銜えた。
それを見た彩萌は、アイリスMk-2に装備した「セークールス」を発動体とした『マテリアルライフル』を放った。狙いはオート・パラディンS……攻撃範囲内には味方がいないことを念入りに確認しての攻撃だ。
紫色の光線が一直線上に迸り、オート・パラディンSが二体、貫かれた。
行動不能になっていたオート・パラディンSは消滅したが、もう一体のオート・パラディンSは胴部を光線で貫かれたものの、まだ戦闘態勢を維持していた。
「額にある宝石、今後の戦いで『鍵』になる可能性も否定しきれませんね」
彩萌は、エメラルドを破壊しないようにオート・パラディンSを攻撃していたのだ。
体勢を整えたユーロスは『アクセルオーバー』で加速……『チェイシングスロー』を発動させ、左寄りにいたオート・パラディンSを引き寄せるように接近し、隣接すると『ベノムエッジ』の毒を纏った手裏剣「朧月」を敵の右腕に投げ付けた。
「ふぅ、うまくいったな。運が良かったか」
ユーロスの一連の動きは、初手の動きが成功したこともあり、疾風の如き速さで、オート・パラディンSに接近することができたのだ。
「確実に敵だけを狙うようにしないとね」
ユーリは蒼姫刀「魂奏竜胆」に『蒼刃共鳴』を纏うと、オリーヴェに騎乗したまま『蒼刃剣舞・白銀雷姫』を繰り出し、左側にいたオート・パラディンSを斬り裂いていく。範囲内にいた敵は粉々に砕け散り、消え去っていった。
続いて、イェジドの-Wild Hunt-が『ブロッキング』で威嚇し、オート・パラディンS一体を移動不能にさせることができた。敵の移動を抑えるため、-Wild Hunt-も移動できなくなるが、カイン自身は行動することは可能だった。
武者甲冑「天目一箇」を装備したカインは、斬魔刀「祢々切丸」を振り上げ、『渾身撃』をオート・パラディンSに叩き込んだ。左肩に斬魔刀「祢々切丸」が討ち込まれ、胴部に亀裂が走ると、オート・パラディンSは衝撃に耐えきれずに爆発……気が付けば、消滅していた。
カインは爆発に巻き込まれたが、武者甲冑「天目一箇」のおかげで軽傷で済んだ。
「おじぃ、援護、お願いね」
イレーヌはバイクから降りて、地面に落ちていたエメラルドの宝石を拾い、ユグディラのラオは横笛を吹き、『旅人たちの練習曲』を奏でていた。
「館の入口を塞いでいたオート・パラディンSは、全て退治できましたね」
錬介は刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸に、館から離れた場所で待機するように指示し、自分はゴースロンから降りることにした。
「ジャック、コーディがエメラルドの宝石を見つけてくれたわ」
アリアの掌には、緑色に輝く宝石があった。
「私も拾っておいたよ」
エメラルドの宝石をジャックに差し出すイレーヌ。
「今回、見つかった宝石は二つか」
ジャックがエメラルドの宝石を回収していく。もしかしたら、精霊が宿っているかもしれない。できることなら、助け出してやりたい。
そう願っていた。
しばらくすると、少女の姿をした精霊が姿を現したが、顔付きが曇っていた。
『……く……う……』
「おい、大丈夫か?」
ジャックが声をかけた瞬間、少女の姿をした精霊は、R7エクスシアのアイリスMk-2に飛びついた。
彩萌は警戒して、アイリスMk-2のMEシールド「カーラント」で身構えた。イニシャライズフィールドを展開させ、妨害効果を遮断することができた。
精霊は、それでも尚、MEシールド「カーラント」にしがみ付き、苦しそうだった。
『……機械の身体が……無いと……私は……』
アイリスMk-2は、盾を構えただけで、受けも攻撃もしていない。
彩萌は宝石の正体が『精霊』だと分かり、危害を加えるようなことはしたくなかった。
だが、精霊は力尽きたように、まるで闇に侵食されたように消滅していった。
『……アメンスィ…様……』
少女の精霊が、最後に呟いたのは、知恵の精霊アメンスィの名だった。
「……。……闇の浸食を……止められなかったの?」
アリアの心に、寄せては返す波のように、悲しみが揺れ動いていた。
「クソッ、このままじゃ同じことの繰り返しだ。なんとしてでも、この連鎖を断ち切らねえと……」
壁に拳を叩き付けるジャック。
「まだだ。まだ終わっちゃいねえ。水本を探し出さないとな」
迷って、立ち止る訳にはいかない。
ジャックは、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)に、水本の私物はないかと尋ねていた。
●
「携帯ゲーム機ならあるが、どうする気だ?」
マクシミリアンは水本が持っていた携帯ゲーム機を、ジャックに手渡した。
「フォーコ、いいか。知らない匂いがあったら、それは水本かもしれない。その匂いを頼りに、追跡してみてくれ」
ジャックは、フォーコに携帯ゲーム機に付いている匂いを嗅がせていた。
クンクンと鼻を小さく鳴らすフォーコ。何度も匂いを確認した後、フォーコはジャックに目配せして、館の内部に走り込んだ。
イレーヌは警戒しながら館に入ると、エメラルド・ドールたちが棒でシンバルを叩きながら、チョロチョロと二足歩行で集まってきた。
「見た目は可愛くても、騙されないからね」
パチッと指を鳴らすイレーヌ。
音が響いた後、エメラルド・ドールたちの身体を突き抜けるような衝撃が走り、その場で消滅した。
この技こそ、イレーヌの『鳴指』だ。
「これで二階にも行けそうだね。私は一階の部屋から探してみよう」
「まずは手分けして、水本を探そうぜ。俺は二階だな」
ジャックはフォーコの後を追って、二階の階段を登っていく。
一階を探索していたのは、イレーヌ、アリア、カイン、ユーロスだ。
「奥の部屋から、ドールが出てきたな」
前衛にいたユーロスが試作雷撃刀「ダークMASAMUNE」でエメラルド・ドール一体を斬り裂くと、弾けるように消滅していった。
イェジドから降りたカインは、斬魔刀「祢々切丸」による『薙ぎ払い』で、前方にいるエメラルド・ドールたちを蹴散らし、通路を切り開いていく。
「ゴブリンよりは、少し強い程度か」
カインは敵の手応えを、自分の勘で述べた。
「毒針を吐くみたいだから、気を付けて」
イレーヌは奥の部屋まで辿り着くと、ユグディラのラオは『猫の幻夢術』を奏でた。部屋の中は、淡い霧が広がり、エメラルド・ドールたちは霧に包まれたが、相変わらず棒でシンバルを叩きながら、騒いでいた。
「ぐああああああー」
何者かが、混乱したのか、大声を上げた。コーディは人の気配ではないと気が付くと、アリアに寄り添うように警戒していた。
「オートマトン? 何故、ここに?」
アリアは一瞬、驚いたが、オート・パラディンSの存在を思い出した。
「そう、あなたも、エバーグリーンから来たのね」
オートマトンは混乱して、その場に座り込んだが、エメラルド・ドールたちは何事もなかったかのように好き勝手に移動していた。
「見て、オートマトンの額」
イレーヌの言葉に、アリアたちは気が付いた。
「エメラルドの宝石が埋め込まれているわ」
「なんにせよ、まずはエメラルド・ドールを片づけよう」
ユーロスは気怠い顔をしながら、手裏剣「朧月」を投げつけ、エメラルド・ドールを一体、消し去った。
カインが斬魔刀「祢々切丸」を振り上げ、『薙ぎ払い』を繰り出すと、エメラルド・ドール五体が消滅していく。
アリアの大太刀「破幻」が冴え渡る。『透刃花・雪灯』の技で、緑色の宝石が雪のごとく舞い散り、欠片が床に落ちると、溶けるように人形たちが消滅していった。
「……母なる大地へと……どうか、導きを」
消え去った人形たちに、祈りを捧げるアリア。
と、その時。
混乱したオートマトンが、イレーヌに襲い掛かろうとした。
「どうして館にオートマトンがいるのか、事情は分からないけど、押さえるよ」
シールド「セリニキクロス」を構えたイレーヌが、『シールドバッシュ』でオートマトンの体勢を崩して、移動不能にさせた。
抑え込まれた衝撃で、オートマトンが我に返った。
「……あなたたちは……誰?」
「私たちは、ハンターだよ。館に捕まった人がいるって聞いたから、助けに来たんだ」
イレーヌがそう答えると、オートマトンは敵意を剥き出しにした。
「そうか。お前ら、カッツォ・ヴォイ様の敵だな」
「待って……私たちは、あなたの敵ではないわ。もしかして……」
アリアは落ち着かせようと話しかけたが、オートマトンは躊躇いもせず、ハンターたちに対して攻撃をしかけてきた。
イェジドの-Wild Hunt-が『ブロッキング』を駆使して、オートマトンを移動不能にすることができた。
カインが問いかける。
「水本という男を知っていますか?」
「そんなヤツ、知らない。お前らは敵だ!」
オートマトンがそう叫んだ刹那、額からエメラルドの宝石が零れ落ちた。
宝石が床に落ちた途端、オートマトンは一瞬にして消え去った。
そして、エメラルドの宝石もまた、砂が散るように消滅していった。
「……そんな……オートマトンまで?」
アリアは、もどかしい想いを隠すことができず、うっすらと涙を浮かべていた。
●
館の二階。
フォーコが追跡の能力を使い、辿り着いた場所は、二階の一番奥にある部屋だった。
扉は閉まっており、やけに静かだった。
「二階の階段に登ってた時は、シンバルの音が聴こえてたが、奴らも警戒しているのか?」
いつでも中へ入れるように身構えるジャック。
錬介は、通路の窓から外で待機している刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸を確認してみたが、特に変わった様子はなかった。
彩萌も探索に加わるため、アイリスMk-2を館の外に置き、仲間たちと合流していた。
「アイリスMk-2、ごめんなさい。いざとなったら……」
万が一、敵に操られてしまったら、彩萌は自らの手でアイリスMk-2を破壊するつもりでいた。
「開けるわよ」
ユーリが扉を開いた途端、部屋の中から、毒針が飛んできた。とっさにパリィグローブ「ディスターブ」で毒針を受け払うユーリ。
オリーヴェはスティールステップで回避しながら、部屋の中へと跳びこんだ。
エメラルド・ドールが一斉に毒針を吐き出してきたのだ。
ジャックは『鎧受け』を駆使して毒針を受け流し、フォーコはスティールステップで毒針を全て回避すると、水本らしき少年が座っている椅子の近くまで跳躍していく。
「毒と言っても、状態によって対処方法が変わりますからね。水本さん、無事でいてください」
聖盾剣「アレクサンダー」を構え、毒針を受け払う錬介。
彩萌は機杖「エレクトロン」を発動体とした『攻性防壁』の雷撃を纏い、範囲内にいたエメラルド・ドール五体がダメージを受けて身動きが取れなくなり、弾き飛ばされた。
「水本さんを巻き込むことはできませんね」
ここでファイアスローワーを使えば、味方も巻き込む恐れがある。そう考えた彩萌は、攻性防壁で敵だけを狙うことにしたのだ。
ユーリはオリーヴェの背に乗り、蒼姫刀「魂奏竜胆」でエメラルド・ドールを切り裂き、消滅させた。
部屋の入口では、ジャックがエメラルド・ドールたちに行く手を阻まれていた。
フォーコはすでに中へと移動し、水本らしき少年の横で、エメラルド・ドールを『ウォークライ』で威嚇していた。
「完全に歪虚化しちまったらしいな。悪りぃが、成仏してくれよ」
バスタードソード「アニマ・リベラ」を振り回し、『薙払「一閃」』で前方を塞ぐエメラルド・ドールたちを薙ぎ払うジャック。人形たちが消滅すると、ジャックは部屋の中へ入ることができた。
「椅子に座っているのが、水本か?」
「そうかもしれませんね。残りは、わたしが片付けましょう」
彩萌は機杖「エレクトロン」を掲げ、『デルタレイ継式』を発動させ、浮かび上がる三角形の頂点から光が伸びていき、エメラルド・ドールを貫くと、ダメージを受けて消滅していった。
「水本さんですか? しっかりしてください」
錬介が『ピュリフィケーション』を発動させると、空間に漂っていたマテリアル汚染が浄化され、水本の毒も消え去った。
徐々に顔色が良くなる水本。自力で縄を引き千切り、両腕を回しながら、周囲を見渡した。
「一時はどうなるかと思ったけど、助かったよ。ホントにありがとう。……あれ? 確か、オートマトンがいたような気がしたけど、俺の見間違えだったかな?」
水本の言葉に、ジャックが目を見張った。
「オートマトン? まさか、カッツォに?」
「えー?! カッツォって、十三魔のヤツだったよな。今回の事件と関係あるのか?」
水本は自分が狙われる理由が分からず、震えていた。
ジャックは真剣な顔付きだった。
「俺はずっと、同盟での騒動と関わりのある依頼を追ってんだ。カッツォ・ヴォイは宝石や鉱石を歪虚化させて、しかもエバーグリーンから自動兵器まで持ち込みやがった」
「なんで、俺が狙われてんのか、意味不明だけど、思い返せば、以前から青銅の人形とか、鉄の人形に襲われたことがあったな」
水本は、リアルブルー出身のハンターではあったが、カッツォとは面識がないと皆に告げた。
「理由は分からねえが、『嫉妬』の眷属は『遊び』に執着するらしいからな。それが、今後の手掛かりになると良いんだが……」
考え込むジャック。
錬介は、気になったことを告げた。
「先程、水本さんの毒を消すために、ピュリフィケーションを使ったのですが、マテリアル汚染に由来した毒の可能性もあります。俺の考え過ぎかもしれませんが、水本さんのマテリアル汚染がかなり進んでいたら、危険な状態だったのかもしれません」
「えっ……てー、ことは、俺の命、狙われてる? なんで? マジ、意味不明なんだけど。自分で言うのなんだけど、俺はハンターと言っても、それほど強くないし」
そう言いながら、項垂れる水本。
「命を狙われてるなら、すぐにここから脱出しましょう」
彩萌が促して、ハンターたちは二階から一階へと降り、すぐさま本部へと向かった。
●
本部に戻ったハンターたちは、水本を連れて魔術師協会広報室の魔術師たちに報告することにした。
「館の一階に、オートマトンがいたんだ」
まずはイレーヌが話し始めた。ユーリの推測通り、水本の他に、隠されていた者がいた。
それが、オートマトンだ。
「額にはエメラルドの宝石が埋め込まれていたわ」
アリアは静かに、思い出しながら告げた。
「オートマトンの額にあった宝石が零れ落ちたら、オートマトンと宝石が消滅しました。これは、何を意味するのでしょうか?」
カインはゴブリン以外の敵には殆ど興味が無かったが、任務の一環として事務的に述べていた。
「ああ、俺も見たぜ。久し振りの仕事で、奇妙な事に出くわすとわな」
ユーロスも証人として、報告に加わっていた。
錬介は懸命に、館での出来事を魔術師たちに伝えていた。
「水本さんは毒に侵されて捕まっていましたが、周囲にマテリアル汚染があったのか、ピュリフィケーションを使ったら、浄化できました。水本さんが狙われているのと、関係があるのかもしれません」
彩萌が、決定打になりそうな事を告げた。
「ジャックさんから、オート・パラディンの額に埋め込まれている宝石は『精霊』だと聞きましたが、わたしも精霊が出現するのを見ました。精霊は『機械の身体が無いと…私は…』と言っていたようですが、『宝石』が今後の手掛かりとなる可能性は高いでしょう」
さらに、ジャックが念を押す。
「カッツォ・ヴォイが宝石や鉱石を利用して、嫉妬の眷属を生み出しているのは確かだ。水本が『嫉妬』に狙われているのは、言い方は悪いが『遊び』に巻き込もうとしている恐れもあるぜ」
それを聴いて、アリアが言った。
「殺戮の戯曲……カッツォにとっては、そういうことになるわ」
「つまり、遊び感覚で殺すってことか……許さねえ」
ジャックは拳を強く握りしめた。
●
自由都市同盟、ヴァリオス近郊の港街。
依頼は無事に終わり、水本はしばらくマクシミリアンと行動を共にすることになった。
「水本、これ、返しておくぜ」
ジャックが携帯ゲーム機を、水本に手渡す。
「お、ありがとう。まさか、俺の私物が役に立つとはね~」
「何を言っている。役に立ったのは、フォーコだろう」
マクシミリアンが、真顔で言う。
フォーコが得意げに目を輝かせていた。
「お疲れさん、フォーコ。今回も助かったぜ」
ジャックが背中を撫でると、フォーコは気持ち良さそうに目を細めていた。
一方、ユーロスが空中を旋回していたグリフォンを呼び戻す。地面に降り立つグリフォンに、ユーロスは干し肉を与えた。
「食え」
グリフォンは嘴で干し肉を銜えると、一気に呑み込んだ。
ユーロスの気遣いに、グリフォンはどこかうれしそうに見えた。
「さてと、オリーヴェ、ブラッシングしてあげるよ。今回も、よくがんばったね」
ユーリはラキ(kz0002)から借りた櫛を使い、オリーヴェの毛並を整えていた。
しばらくすると、カインがユーリに声をかけてきた。
「ヴァレンティヌスさん、よかったら、これをどうぞ。お店で自家焙煎されるのでしたら、生豆も用意しておりますので」
カインがコーヒー豆を渡すと、ユーリはブラッシングの手を休めた。
「ありがとう。私の店のこと、知ってたのね」
ユーリは大切そうに、コーヒー豆を受け取った。
「思った通り、廃墟になってんな。だったら、嫉妬の眷属も入り易いってことか?」
ユーロス・フォルケ(ka3862)はグリフォンに騎乗すると、空中飛行しながら仲間たちと館へと向かった。
「館に捕らわれた水本さんという方が心配ですね。嫉妬の眷属に執着されていると聞きましたが、尚更、早めに救出したいところです」
鳳城 錬介(ka6053)はゴースロンに騎乗して、魔導拡声機「ナーハリヒト」を使いながら、刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸に指示を出していた。
まずは館の入口に居るオート・パラディンSたち目掛けて、崩天丸が移動……『砲撃:煙幕弾』が地面に着弾すると、煙が空間に留まり、前方の射線と視線を妨害することができた。
オート・パラディンSたちは攻撃目標を見失い、館の入口に立ち尽くしているだけだった。
ジャック・エルギン(ka1522)はイェジドのフォーコに騎乗して、一気に駆け抜け、ロングボウ「レピスパオ」を構えた。敵の射程まで間合いを詰めることができたが、エメラルド・ドールたちが鳴らすシンバルの音が館の二階から響き渡り、水本 壮が捕まっている場所までは把握できなかった。
オート・パラディンSの額には、エメラルドの宝石が埋め込まれていた。
「今回はエメラルドか。カッツォ・ヴォイ、何を企んでいやがるんだ……嫉妬の眷属の手がかりを探さねえと、マズイ気がするぜ」
ジャックには、水本が嫉妬の眷属に狙われる理由がまだ分からなかったが、『嫉妬』は気にいった遊びには執着する性質があるという噂は聞いたことがあった。
ならば、早急に水本を救い出す必要があるのでは…と感じ取っていた。
「おじぃ、しっかりつかまってて」
イレーヌ(ka1372)は魔導二輪「龍雲」に乗り、館の近くまで移動していた。「おじぃ」と呼ばれたユグディラのラオは、イレーヌの背中にしがみ付いたまま、魔導二輪「龍雲」から落ちないように必死だった。
一人乗りのバイクではあったが、ラオを乗せて、イレーヌは崩天丸と並ぶように前方へと走った。
アリア・セリウス(ka6424)はイェジドのコーディに騎乗して、右側寄りに駆け抜けていく。
「カッツォの脚本は、今、こうしている間にも進んでいるはず……必ず、追いついて、止めてみせるわ」
「連れ去られた人が、どういう状況になってるのか分からないけど、可能な限り時間をかけずに、すべての障害を排除して、館へ突入して助け出すだけよ。だけど、こんな所にオート・パラディンって、連れ去られた人以外で、あの屋敷に何か隠してるものでもあるのかしら」
ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)も、水本を助け出すことを優先した方が賢明だと考え、イェジドのオリーヴェに騎乗して、館の入口を目指して全力で駆けていった。
雨月彩萌(ka3925)は、機体の危険を察してはいたが、R7エクスシアのアイリスMk-2に搭乗して、コックピットからモニター越しで位置を確認すると、MEシールド「カーラント」を構えたアイリスMk-2が、オート・パラディンSが居る場所を目指して移動していく。
「機械を操る敵もいる事は知っていますが、それに対抗する手段を見つける必要もあります。カッツォ・ヴォイは、無機物を融合させる能力があると聞きました。わたしたちの勝利と正常を証明する為に。共に戦いましょう、アイリス」
彩萌は覚悟の上で『機導の徒』を発動させ、イニシャライズフィールドを展開しながらアイリスMk-2を操縦していた。
カイン・マッコール(ka5336)は、イェジドの-Wild Hunt-に騎乗して、錬介が操縦する崩天丸の動きに合わせて、館の入口付近まで駆け抜けていく。
「館での救出の仕事、敵単体としてはゴブリンよりはかなり強いから、油断はできないか」
正面からの戦いは避けて、カインの指示で、崩天丸の背後に付く-Wild Hunt-。獣機銃「シエージュR4」で援護射撃をして、敵を牽制する。
オート・パラディンSたちは、未だに煙幕が発生している状態とは言え、お構いなしにマテリアルレーザーで攻撃をしかけてきた。敵がいるという認識ではなく、ただ機械的に攻撃しているようにも思えた。
コーディは騎乗しているアリアを守るため、スティールステップでレーザーを回避しながら、同時に大きく跳躍してオート・パラディンSたちに接近していく。
「ありがとう、コーディ」
「オリーヴェ、頼むわよ」
イェジドのオリーヴェは、ユーリの指示で彼女を乗せたまま、スティールステップでレーザーを回避し、オート・パラディンSとの間合いを取りながら、跳んで移動していく。
ユーロスは、飛翔の翼で飛行したグリフォンに騎乗していたこともあり、館の屋上から仲間たちの動向を窺っていた。
「……庭があるな。そこから降りて、合流するか」
オート・パラディンSの手前に、庭があり、グリフォンが飛行したまま移動していく。
グリフォンに騎乗した状態から、ユーロスは飛び降りようと試みるが、落下……軽い怪我で済んだこともあり、すぐに立ち上がることができた。
「外で待ってろ」
ユーロスの指示で、グリフォンは飛行しながら館の上を飛び廻り、外で待機することにした。
「館の中には、人形がいるらしいが……シンバルの音が邪魔で、水本らしき男の声が聞こえねえな」
ジャックは二階の窓を警戒していた。フォーコはジャックが敵を狙い撃ちできるように、スティールステップでレーザーを回避し、オート・パラディンSの射程内まで駆け抜けていった。
「おじぃ、気を付けて」
イレーヌは魔導二輪「龍雲」に騎乗し、ユグディラのラオも乗せたまま、オート・パラディンSの懐まで接近していたこともあり、敵のマテリアルブレードがイレーヌの頭上から振り下ろされる。
イレーヌの『シールドバッシュ』が発動……とっさにシールド「セリニキクロス」でマテリアルブレードを受け止め、その勢いでオート・パラディンSが転倒し、移動不能にさせることができた。
「対策は、ばっちりだからね」
イレーヌの言葉に、同意するように頷くラオ。
「二階の窓から、緑色のリスたちが現れました。皆さん、気を付けてください。崩天丸、二階の窓です。煙幕弾、放て!」
錬介は、魔導拡声機「ナーハリヒト」を使い、仲間に呼びかけた。そして、刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸が、二階の窓に狙いを定めて『砲撃:煙幕弾』を解き放った。
緑色のリスに似たエメラルド・ドールたちは、魔法の煙に巻き込まれ、毒針を放つことができなくなった。
「錬介、助かったぜ。これで、オート・パラディンSを狙えるな」
ジャックが弓矢を構えたのは、オート・パラディンの額にあるエメラルドを救うためであった。 ロングボウ「レピスパオ」の弦を引き、『制圧射撃』を繰り出した。矢が命中し、オート・パラディンSを一体、行動不能にすることができた。
「宝石へと託され、精霊となるまで宿った想い……救うわ」
アリアは行動不能になったオート・パラディンSを狙い、大太刀「破幻」による『透刃花・玲瓏』で貫いていく。オート・パラディンSの胴部が砕け散り、頭部と脚部に亀裂が走った。額にあったエメラルドが衝撃で地面に転がると、すかさずコーディが宝石を銜えた。
それを見た彩萌は、アイリスMk-2に装備した「セークールス」を発動体とした『マテリアルライフル』を放った。狙いはオート・パラディンS……攻撃範囲内には味方がいないことを念入りに確認しての攻撃だ。
紫色の光線が一直線上に迸り、オート・パラディンSが二体、貫かれた。
行動不能になっていたオート・パラディンSは消滅したが、もう一体のオート・パラディンSは胴部を光線で貫かれたものの、まだ戦闘態勢を維持していた。
「額にある宝石、今後の戦いで『鍵』になる可能性も否定しきれませんね」
彩萌は、エメラルドを破壊しないようにオート・パラディンSを攻撃していたのだ。
体勢を整えたユーロスは『アクセルオーバー』で加速……『チェイシングスロー』を発動させ、左寄りにいたオート・パラディンSを引き寄せるように接近し、隣接すると『ベノムエッジ』の毒を纏った手裏剣「朧月」を敵の右腕に投げ付けた。
「ふぅ、うまくいったな。運が良かったか」
ユーロスの一連の動きは、初手の動きが成功したこともあり、疾風の如き速さで、オート・パラディンSに接近することができたのだ。
「確実に敵だけを狙うようにしないとね」
ユーリは蒼姫刀「魂奏竜胆」に『蒼刃共鳴』を纏うと、オリーヴェに騎乗したまま『蒼刃剣舞・白銀雷姫』を繰り出し、左側にいたオート・パラディンSを斬り裂いていく。範囲内にいた敵は粉々に砕け散り、消え去っていった。
続いて、イェジドの-Wild Hunt-が『ブロッキング』で威嚇し、オート・パラディンS一体を移動不能にさせることができた。敵の移動を抑えるため、-Wild Hunt-も移動できなくなるが、カイン自身は行動することは可能だった。
武者甲冑「天目一箇」を装備したカインは、斬魔刀「祢々切丸」を振り上げ、『渾身撃』をオート・パラディンSに叩き込んだ。左肩に斬魔刀「祢々切丸」が討ち込まれ、胴部に亀裂が走ると、オート・パラディンSは衝撃に耐えきれずに爆発……気が付けば、消滅していた。
カインは爆発に巻き込まれたが、武者甲冑「天目一箇」のおかげで軽傷で済んだ。
「おじぃ、援護、お願いね」
イレーヌはバイクから降りて、地面に落ちていたエメラルドの宝石を拾い、ユグディラのラオは横笛を吹き、『旅人たちの練習曲』を奏でていた。
「館の入口を塞いでいたオート・パラディンSは、全て退治できましたね」
錬介は刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸に、館から離れた場所で待機するように指示し、自分はゴースロンから降りることにした。
「ジャック、コーディがエメラルドの宝石を見つけてくれたわ」
アリアの掌には、緑色に輝く宝石があった。
「私も拾っておいたよ」
エメラルドの宝石をジャックに差し出すイレーヌ。
「今回、見つかった宝石は二つか」
ジャックがエメラルドの宝石を回収していく。もしかしたら、精霊が宿っているかもしれない。できることなら、助け出してやりたい。
そう願っていた。
しばらくすると、少女の姿をした精霊が姿を現したが、顔付きが曇っていた。
『……く……う……』
「おい、大丈夫か?」
ジャックが声をかけた瞬間、少女の姿をした精霊は、R7エクスシアのアイリスMk-2に飛びついた。
彩萌は警戒して、アイリスMk-2のMEシールド「カーラント」で身構えた。イニシャライズフィールドを展開させ、妨害効果を遮断することができた。
精霊は、それでも尚、MEシールド「カーラント」にしがみ付き、苦しそうだった。
『……機械の身体が……無いと……私は……』
アイリスMk-2は、盾を構えただけで、受けも攻撃もしていない。
彩萌は宝石の正体が『精霊』だと分かり、危害を加えるようなことはしたくなかった。
だが、精霊は力尽きたように、まるで闇に侵食されたように消滅していった。
『……アメンスィ…様……』
少女の精霊が、最後に呟いたのは、知恵の精霊アメンスィの名だった。
「……。……闇の浸食を……止められなかったの?」
アリアの心に、寄せては返す波のように、悲しみが揺れ動いていた。
「クソッ、このままじゃ同じことの繰り返しだ。なんとしてでも、この連鎖を断ち切らねえと……」
壁に拳を叩き付けるジャック。
「まだだ。まだ終わっちゃいねえ。水本を探し出さないとな」
迷って、立ち止る訳にはいかない。
ジャックは、マクシミリアン・ヴァイス(kz0003)に、水本の私物はないかと尋ねていた。
●
「携帯ゲーム機ならあるが、どうする気だ?」
マクシミリアンは水本が持っていた携帯ゲーム機を、ジャックに手渡した。
「フォーコ、いいか。知らない匂いがあったら、それは水本かもしれない。その匂いを頼りに、追跡してみてくれ」
ジャックは、フォーコに携帯ゲーム機に付いている匂いを嗅がせていた。
クンクンと鼻を小さく鳴らすフォーコ。何度も匂いを確認した後、フォーコはジャックに目配せして、館の内部に走り込んだ。
イレーヌは警戒しながら館に入ると、エメラルド・ドールたちが棒でシンバルを叩きながら、チョロチョロと二足歩行で集まってきた。
「見た目は可愛くても、騙されないからね」
パチッと指を鳴らすイレーヌ。
音が響いた後、エメラルド・ドールたちの身体を突き抜けるような衝撃が走り、その場で消滅した。
この技こそ、イレーヌの『鳴指』だ。
「これで二階にも行けそうだね。私は一階の部屋から探してみよう」
「まずは手分けして、水本を探そうぜ。俺は二階だな」
ジャックはフォーコの後を追って、二階の階段を登っていく。
一階を探索していたのは、イレーヌ、アリア、カイン、ユーロスだ。
「奥の部屋から、ドールが出てきたな」
前衛にいたユーロスが試作雷撃刀「ダークMASAMUNE」でエメラルド・ドール一体を斬り裂くと、弾けるように消滅していった。
イェジドから降りたカインは、斬魔刀「祢々切丸」による『薙ぎ払い』で、前方にいるエメラルド・ドールたちを蹴散らし、通路を切り開いていく。
「ゴブリンよりは、少し強い程度か」
カインは敵の手応えを、自分の勘で述べた。
「毒針を吐くみたいだから、気を付けて」
イレーヌは奥の部屋まで辿り着くと、ユグディラのラオは『猫の幻夢術』を奏でた。部屋の中は、淡い霧が広がり、エメラルド・ドールたちは霧に包まれたが、相変わらず棒でシンバルを叩きながら、騒いでいた。
「ぐああああああー」
何者かが、混乱したのか、大声を上げた。コーディは人の気配ではないと気が付くと、アリアに寄り添うように警戒していた。
「オートマトン? 何故、ここに?」
アリアは一瞬、驚いたが、オート・パラディンSの存在を思い出した。
「そう、あなたも、エバーグリーンから来たのね」
オートマトンは混乱して、その場に座り込んだが、エメラルド・ドールたちは何事もなかったかのように好き勝手に移動していた。
「見て、オートマトンの額」
イレーヌの言葉に、アリアたちは気が付いた。
「エメラルドの宝石が埋め込まれているわ」
「なんにせよ、まずはエメラルド・ドールを片づけよう」
ユーロスは気怠い顔をしながら、手裏剣「朧月」を投げつけ、エメラルド・ドールを一体、消し去った。
カインが斬魔刀「祢々切丸」を振り上げ、『薙ぎ払い』を繰り出すと、エメラルド・ドール五体が消滅していく。
アリアの大太刀「破幻」が冴え渡る。『透刃花・雪灯』の技で、緑色の宝石が雪のごとく舞い散り、欠片が床に落ちると、溶けるように人形たちが消滅していった。
「……母なる大地へと……どうか、導きを」
消え去った人形たちに、祈りを捧げるアリア。
と、その時。
混乱したオートマトンが、イレーヌに襲い掛かろうとした。
「どうして館にオートマトンがいるのか、事情は分からないけど、押さえるよ」
シールド「セリニキクロス」を構えたイレーヌが、『シールドバッシュ』でオートマトンの体勢を崩して、移動不能にさせた。
抑え込まれた衝撃で、オートマトンが我に返った。
「……あなたたちは……誰?」
「私たちは、ハンターだよ。館に捕まった人がいるって聞いたから、助けに来たんだ」
イレーヌがそう答えると、オートマトンは敵意を剥き出しにした。
「そうか。お前ら、カッツォ・ヴォイ様の敵だな」
「待って……私たちは、あなたの敵ではないわ。もしかして……」
アリアは落ち着かせようと話しかけたが、オートマトンは躊躇いもせず、ハンターたちに対して攻撃をしかけてきた。
イェジドの-Wild Hunt-が『ブロッキング』を駆使して、オートマトンを移動不能にすることができた。
カインが問いかける。
「水本という男を知っていますか?」
「そんなヤツ、知らない。お前らは敵だ!」
オートマトンがそう叫んだ刹那、額からエメラルドの宝石が零れ落ちた。
宝石が床に落ちた途端、オートマトンは一瞬にして消え去った。
そして、エメラルドの宝石もまた、砂が散るように消滅していった。
「……そんな……オートマトンまで?」
アリアは、もどかしい想いを隠すことができず、うっすらと涙を浮かべていた。
●
館の二階。
フォーコが追跡の能力を使い、辿り着いた場所は、二階の一番奥にある部屋だった。
扉は閉まっており、やけに静かだった。
「二階の階段に登ってた時は、シンバルの音が聴こえてたが、奴らも警戒しているのか?」
いつでも中へ入れるように身構えるジャック。
錬介は、通路の窓から外で待機している刻令ゴーレム「Volcanius」の崩天丸を確認してみたが、特に変わった様子はなかった。
彩萌も探索に加わるため、アイリスMk-2を館の外に置き、仲間たちと合流していた。
「アイリスMk-2、ごめんなさい。いざとなったら……」
万が一、敵に操られてしまったら、彩萌は自らの手でアイリスMk-2を破壊するつもりでいた。
「開けるわよ」
ユーリが扉を開いた途端、部屋の中から、毒針が飛んできた。とっさにパリィグローブ「ディスターブ」で毒針を受け払うユーリ。
オリーヴェはスティールステップで回避しながら、部屋の中へと跳びこんだ。
エメラルド・ドールが一斉に毒針を吐き出してきたのだ。
ジャックは『鎧受け』を駆使して毒針を受け流し、フォーコはスティールステップで毒針を全て回避すると、水本らしき少年が座っている椅子の近くまで跳躍していく。
「毒と言っても、状態によって対処方法が変わりますからね。水本さん、無事でいてください」
聖盾剣「アレクサンダー」を構え、毒針を受け払う錬介。
彩萌は機杖「エレクトロン」を発動体とした『攻性防壁』の雷撃を纏い、範囲内にいたエメラルド・ドール五体がダメージを受けて身動きが取れなくなり、弾き飛ばされた。
「水本さんを巻き込むことはできませんね」
ここでファイアスローワーを使えば、味方も巻き込む恐れがある。そう考えた彩萌は、攻性防壁で敵だけを狙うことにしたのだ。
ユーリはオリーヴェの背に乗り、蒼姫刀「魂奏竜胆」でエメラルド・ドールを切り裂き、消滅させた。
部屋の入口では、ジャックがエメラルド・ドールたちに行く手を阻まれていた。
フォーコはすでに中へと移動し、水本らしき少年の横で、エメラルド・ドールを『ウォークライ』で威嚇していた。
「完全に歪虚化しちまったらしいな。悪りぃが、成仏してくれよ」
バスタードソード「アニマ・リベラ」を振り回し、『薙払「一閃」』で前方を塞ぐエメラルド・ドールたちを薙ぎ払うジャック。人形たちが消滅すると、ジャックは部屋の中へ入ることができた。
「椅子に座っているのが、水本か?」
「そうかもしれませんね。残りは、わたしが片付けましょう」
彩萌は機杖「エレクトロン」を掲げ、『デルタレイ継式』を発動させ、浮かび上がる三角形の頂点から光が伸びていき、エメラルド・ドールを貫くと、ダメージを受けて消滅していった。
「水本さんですか? しっかりしてください」
錬介が『ピュリフィケーション』を発動させると、空間に漂っていたマテリアル汚染が浄化され、水本の毒も消え去った。
徐々に顔色が良くなる水本。自力で縄を引き千切り、両腕を回しながら、周囲を見渡した。
「一時はどうなるかと思ったけど、助かったよ。ホントにありがとう。……あれ? 確か、オートマトンがいたような気がしたけど、俺の見間違えだったかな?」
水本の言葉に、ジャックが目を見張った。
「オートマトン? まさか、カッツォに?」
「えー?! カッツォって、十三魔のヤツだったよな。今回の事件と関係あるのか?」
水本は自分が狙われる理由が分からず、震えていた。
ジャックは真剣な顔付きだった。
「俺はずっと、同盟での騒動と関わりのある依頼を追ってんだ。カッツォ・ヴォイは宝石や鉱石を歪虚化させて、しかもエバーグリーンから自動兵器まで持ち込みやがった」
「なんで、俺が狙われてんのか、意味不明だけど、思い返せば、以前から青銅の人形とか、鉄の人形に襲われたことがあったな」
水本は、リアルブルー出身のハンターではあったが、カッツォとは面識がないと皆に告げた。
「理由は分からねえが、『嫉妬』の眷属は『遊び』に執着するらしいからな。それが、今後の手掛かりになると良いんだが……」
考え込むジャック。
錬介は、気になったことを告げた。
「先程、水本さんの毒を消すために、ピュリフィケーションを使ったのですが、マテリアル汚染に由来した毒の可能性もあります。俺の考え過ぎかもしれませんが、水本さんのマテリアル汚染がかなり進んでいたら、危険な状態だったのかもしれません」
「えっ……てー、ことは、俺の命、狙われてる? なんで? マジ、意味不明なんだけど。自分で言うのなんだけど、俺はハンターと言っても、それほど強くないし」
そう言いながら、項垂れる水本。
「命を狙われてるなら、すぐにここから脱出しましょう」
彩萌が促して、ハンターたちは二階から一階へと降り、すぐさま本部へと向かった。
●
本部に戻ったハンターたちは、水本を連れて魔術師協会広報室の魔術師たちに報告することにした。
「館の一階に、オートマトンがいたんだ」
まずはイレーヌが話し始めた。ユーリの推測通り、水本の他に、隠されていた者がいた。
それが、オートマトンだ。
「額にはエメラルドの宝石が埋め込まれていたわ」
アリアは静かに、思い出しながら告げた。
「オートマトンの額にあった宝石が零れ落ちたら、オートマトンと宝石が消滅しました。これは、何を意味するのでしょうか?」
カインはゴブリン以外の敵には殆ど興味が無かったが、任務の一環として事務的に述べていた。
「ああ、俺も見たぜ。久し振りの仕事で、奇妙な事に出くわすとわな」
ユーロスも証人として、報告に加わっていた。
錬介は懸命に、館での出来事を魔術師たちに伝えていた。
「水本さんは毒に侵されて捕まっていましたが、周囲にマテリアル汚染があったのか、ピュリフィケーションを使ったら、浄化できました。水本さんが狙われているのと、関係があるのかもしれません」
彩萌が、決定打になりそうな事を告げた。
「ジャックさんから、オート・パラディンの額に埋め込まれている宝石は『精霊』だと聞きましたが、わたしも精霊が出現するのを見ました。精霊は『機械の身体が無いと…私は…』と言っていたようですが、『宝石』が今後の手掛かりとなる可能性は高いでしょう」
さらに、ジャックが念を押す。
「カッツォ・ヴォイが宝石や鉱石を利用して、嫉妬の眷属を生み出しているのは確かだ。水本が『嫉妬』に狙われているのは、言い方は悪いが『遊び』に巻き込もうとしている恐れもあるぜ」
それを聴いて、アリアが言った。
「殺戮の戯曲……カッツォにとっては、そういうことになるわ」
「つまり、遊び感覚で殺すってことか……許さねえ」
ジャックは拳を強く握りしめた。
●
自由都市同盟、ヴァリオス近郊の港街。
依頼は無事に終わり、水本はしばらくマクシミリアンと行動を共にすることになった。
「水本、これ、返しておくぜ」
ジャックが携帯ゲーム機を、水本に手渡す。
「お、ありがとう。まさか、俺の私物が役に立つとはね~」
「何を言っている。役に立ったのは、フォーコだろう」
マクシミリアンが、真顔で言う。
フォーコが得意げに目を輝かせていた。
「お疲れさん、フォーコ。今回も助かったぜ」
ジャックが背中を撫でると、フォーコは気持ち良さそうに目を細めていた。
一方、ユーロスが空中を旋回していたグリフォンを呼び戻す。地面に降り立つグリフォンに、ユーロスは干し肉を与えた。
「食え」
グリフォンは嘴で干し肉を銜えると、一気に呑み込んだ。
ユーロスの気遣いに、グリフォンはどこかうれしそうに見えた。
「さてと、オリーヴェ、ブラッシングしてあげるよ。今回も、よくがんばったね」
ユーリはラキ(kz0002)から借りた櫛を使い、オリーヴェの毛並を整えていた。
しばらくすると、カインがユーリに声をかけてきた。
「ヴァレンティヌスさん、よかったら、これをどうぞ。お店で自家焙煎されるのでしたら、生豆も用意しておりますので」
カインがコーヒー豆を渡すと、ユーリはブラッシングの手を休めた。
「ありがとう。私の店のこと、知ってたのね」
ユーリは大切そうに、コーヒー豆を受け取った。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 アリア・セリウス(ka6424) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/09/02 02:58:37 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/08/29 19:11:37 |