• 界冥

【界冥】鎌倉クラスタ殲滅戦

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
イベント
難易度
難しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/08/29 19:00
完成日
2017/09/12 09:04

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

『交信受信、認証完了……ハロー、AP-S。私はエンドレスです』
『ああ、そっちは順調みたいだね』
『戦闘データは集まりつつあります。想定通りです』
『バグ抱えて敵味方無差別攻撃する鎌倉の狂気を人間に倒させながら、戦闘データ回収……なかなか悪くなかったね。彼から借りたサトゥルヌスも頑張って盛り上げてくれたよね。サトゥルヌスを前にした人間達は面白かったなぁ。……そうだ。あっちの方も動き出したみたいだから、そろそろ派手に動くときかな』
『あっちの方……検索終了。該当あり。それに差し当たって問題があります。逆算すると戦闘データ回収までの時間が不足する可能があります』
『え? そうなの? それは困るなぁ』
『こちらからの戦闘を提案します。積極的な戦闘データ収集に加え、現段階での実験機をテストが可能です』
『あ、それいいね。それで行こう。うん』
『では、準備を開始します』
『じゃあ、鎌倉では気を付けてね。危なくなったら撤退するんだよ。まだ本番は先なんだから』
『お気遣い感謝します。交信終了』


「聞いてないザマス! どういうことザマス!?」
「私に言うな。別部隊からの要請だ」
 メタ・シャングリラ艦長の森山恭子(kz0216)は、本日二度目となる恨み言を口にした。
 モニター越しの上官は、とても涼しい顔をしている。
「名前はレギ。強化人間だ。実力は……データ上ではあるが、お前が頼りにしているハンター達を凌駕するはずだぞ?」
「年端もいかぬお子様ザマス! こんな子を戦地に送り込むなんてまるで……」
 ――これでは、体のいい実験ザマス。
 そう言いかけた恭子。モニター越しの恭子の目線を反抗的だと受け取ったのか。上官は彼女を睨みつける。
「……忘れたのか? ここは地球統一連合軍だ。そして、私はお前の上官だ。確認するが、上官である私に『進言』か? 答えによっては……分かっているな。戦力を増強してやっているんだ。文句を言われる筋合いはない」
「……分かったザマス」
「結構。良い返事だ、森山君。強化人間の実戦データは専用回線を使って送信するように。くれぐれも外部に漏らすなよ」
 それだけ言い残し、一方的に切れた通信。
 恭子は眉間に皺を寄せて、深くため息をつく。
 ――これは上官が良く使う手だ。分かっている。だけど……。
 ノックに続いて開く扉。そこには軍服を着た銀髪の少年……レギ(kz0229)が敬礼をして立っていた。
「森山艦長、失礼します。今回作戦に同行させて戴くハンターさんに挨拶の許可を戴きたく……どうかされましたか?」
「何でもないザマス。挨拶くらい許可なんていらないザマスよ。好きにすると良いザマス」
「ありがとうございます!」
「……ところでレギちゃんは何歳ザマス?」
「はい? ええと、今年で15歳になりました」
「そうザマスか。数年したらイェルズちゃんみたいになるザマスね……。イケメンいっぱいザマス」
「森山艦長……?」
 はふぅ、とまた違う意味でため息をつく恭子にレギは不思議そうな目線を向けた。


 鎌倉クラスタ攻略へ乗り出すメタ・シャングリラは、鎌倉海浜公園の辺りに停泊していた。
 ハンターの尽力で鎌倉各地に設置されたアンテナ塔は破壊。妨害電波の影響も小さくなった事から、本格的に鎌倉クラスタ殲滅作戦を始動させたのだ。
「いいザマスか? あたくしたちはこれから鎌倉クラスタ攻略へ乗り出すザマス。鎌倉クラスタを包囲した後、精鋭部隊によるクラスタ突入を敢行。函館クラスタと比べれば小振りな上、妨害電波も鶴岡八幡宮周辺のみザマスから今回は正面から真っ向勝負ザマス」
 映し出されたモニターを前に、恭子は簡単に状況を説明する。
 鶴岡八幡宮に築かれた鎌倉クラスタを包囲するため、鶴岡八幡宮の西側、東側、正面へ進軍。突入路を確保した後、精鋭部隊が鎌倉クラスタへ突入して核を破壊する。
 概ね函館クラスタ攻略と同様だが、今回は鎌倉クラスタの規模も小さい。あの変な宇宙強襲揚陸艇型の歪虚もいない。前回よりも余裕だと恭子は考えていた。
「今回は割と単純な作戦ですね。とはいえ、クラスタが相手ですから油断できませんけど」
「そうザマス。さすがイェルズちゃんいいこと言うザマス」
「……イェルズさん、相変わらず大変そうですね」
「そうだなー……」
「もう別働隊は進軍を始めているザマス。皆も準備が出来次第、すぐに進軍を開始するザマスよ。……ああ、その前に1人紹介する子がいるザマス」
 恭子からバチンとウィンクを向けられたイェルズ・オイマト(kz0143)に同情の眼差しを送るハンター達。続いた恭子の言葉に、彼らは首を傾げる。
 恭子の後ろから、パリッとした軍服姿の少年が現れた。
「失礼します! 地球統一連合軍所属の強化人間、レギと申します! 今回、皆さんの作戦に協力するよう指令を受けました。どうぞよろしくお願いします」
「わあ。新入りさんですね。初めまして」
「協力者が増えるのは有り難い。宜しく頼むな」
「はい!! こちらこそ!」
 ハンター達に明るい笑顔を返すレギ。
「いいザマスか? では、皆さんよろしくザマ……」
『緊急報告! 鎌倉クラスタ上空よりVOIDが高速で接近中!』
『上空に大型VOID発見! 木古内と函館クラスタを襲った強襲揚陸艇『エンドレス』と思われます!』
「何ですってェ……!? またザマスか……!!」
 言葉を遮った緊急通信に目を見開く恭子。
 今回はクラスタの規模に比べ、多くの人員を確保できた。
 だから前回よりは楽だと思ったのだが……エンドレスに対応するとなると話は変わって来る。
 もう作戦は動き出している。これからの増員は間に合わない……!
「仕方ないザマス。部隊を二手に分けるザマス。片方はそのまま進軍、鎌倉クラスタを破壊、もう片方はエンドレスを食い止めるザマス」
「分かりました。全然余裕じゃなくなっちゃいましたね……」
「……函館クラスタ戦再びな感じだな」
 恭子の指示に頷くハンター達。
 そこにすっとイェルズが挙手をする。
「森山艦長。俺はエンドレスの対応に向かいたいです。許可を戴けますか?」
「……イェルズちゃんはあのおばけ戦艦と因縁があったザマスね。分かったザマス。レギちゃんはクラスタ突入部隊に加わって欲しいザマス」
「了解しました!」
 恭子の指示を受け、バタバタと出撃の準備を開始するハンター達。
 そこに、聞きなれた合成音声が聞こえてきた。

『ハロー、シチズン。私はエンドレスです。現在、フェイド6実行中』
『ハロー、シチズン。私はエンドレスです。鎌倉クラスタに接近する敵性存在に宣戦布告』
『ハロー、シチズン。私はエンドレスです。これより攻撃を開始します』

リプレイ本文

 ――鶴岡八幡宮。
 鎌倉の代表的な神社として知られているその場所は、鎌倉に幕府が開かれる100年以上前、鎌倉初代将軍源頼朝の先祖頼義が源氏の氏神である京都の石清水八幡宮を由比郷鶴岡に勧請し、社殿を創建したのが始まりと言われている。
 武家、武士の守護神を祀るこの場所も、今や狂気の歪虚に覆い尽されていた。
 地球統一連合軍と連携準備の為待機しているハンター達。
 鶴岡八幡宮の見取り図を確認しながら、道元 ガンジ(ka6005)がぽつりと呟く。
「ここは勝負ごとや出世にご利益があるらしいけど……狂気の歪虚も神頼みしたかったのかなあ」
「あいつらにそんな脳味噌あるとも思えないけど……って言うか、いい加減拠点落ちすぎじゃないかな!!」
「こんな綺麗な場所を壊すなんて歪虚に文化を思う気持ちなんて微塵もないんでちゅね。歪虚もパンツを理解すべきでちゅ」
「クラスタがどこに現れるか予測つかないし、仕方ないんじゃ……って、えっ。何……?」
 プンスコするステラ=ライムライト(ka5122)に真顔で続けた北谷王子 朝騎(ka5818)。
 時音 ざくろ(ka1250)はそれを聞き流しかけて、思わず彼女を見る。
「パンツは文化でちゅよ」
 こくりと頷く朝騎。ここに来る前、メタ・シャングリラの艦長の森山恭子(kz0216)に口伝符を渡すついでに勝負パンツについて熱く語って来た。
 まあ、恭子は覚醒者ではない為、口伝符を渡したところで役には立たないのだが。
 パンツについて語れたので良しとする。
 今までのものより小規模とはいえ、それでも大きなクラスタ。
 その前に浮遊する巨大な宇宙強襲揚陸艇を見つめて、ミグ・ロマイヤー(ka0665)はふぅん……と声をあげる。
「あれが噂の悪落ち戦艦かや。醜悪な形をしておるのう」
「あれだけでっかいと、落とし甲斐がありそうだね!」
「そうだな。……しかし、高みの見物を決め込んでた癖に、どういう風の吹き回しだろうな」
「うむ。高度を落として、妨害電波を無効化するなぞ、まるで『狙ってくれ』と言っているようなものじゃしな」
 夢路 まよい(ka1328)に頷くアーサー・ホーガン(ka0471)と紅薔薇(ka4766)。
 それにルシオ・セレステ(ka0673)が考えながら口を開く。
「……恐らくハンターと交戦しても落ちない自信があるのだろうね。陽動かとも思ったが……先日の電波塔破壊の戦いも観察していたようでね。別な目的があると思った方がいいと思う」
「そうね。こちらの武器が鹵獲されて再利用された例もあるし。人間ですら鹵獲して使うわよ、あいつ」
「全ての行動に意味があり無駄がない。そういう奴だ」
 ルシオの呟きに頷きつつ、統一連合宙軍に語り継がれていた英雄のことを思い出すマリィア・バルデス(ka5848)。エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)が小首を傾げる。
「ふむ。鹵獲が目的としても、目立ちますし……いささか非効率な気もしますね。まあ、相手の目的が推測できたところでやることは変わりませんが」
「……ったく。毎度毎度ロクなことしない奴だね! 悪い子にはお仕置きだよ!」
「そうだな。用心を重ねることは大事だが、お帰り戴かないことにはどうしようもない」
「なるべく早く帰って貰うようにするしかなさそうだな」
 指をパキパキ鳴らすラミア・マクトゥーム(ka1720)に頷く榊 兵庫(ka0010)と対崎 紋次郎(ka1892)。
「とにかく殴ればいいんだろ!? 任せときなよ!!」
「僕も頑張るよ。穴空きチーズになりたくないし……!」
「何だい。穴空きチーズって」
「だってリニアカノンに巻き込まれたら穴空いちゃうでしょ!!?」
「そんなん当たらなければどうってことないだろ」
「ええ!!? そういう問題なの!?」
 ボルディア・コンフラムス(ka0796)とノノトト(ka0553)のやり取りに苦笑を漏らすフィルメリア・クリスティア(ka3380)。
 レギ(kz0229)にしなやかな動きで一礼する。
「レギさんでしたね。私がユニットに同乗して現場まで同行します。宜しくお願いしますね」
「はい! こちらこそ宜しくお願いします!」
「うん! よろしくねー! 頑張ろうね!」
 笑顔で続いたリューリ・ハルマ(ka0502)。彼女が不思議そうな顔をしたのに気づいて、アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が首を傾げる。
「リューリちゃん、どうかした?」
「ううん。レギ君、どこかで会ったことあったかなって……」
「ん? そういわれてみれば……」
 親友の言葉に考え込むアルト。
 この鮮やかな銀髪をどこかで見たような気がするが……。
 そんな2人を見て、レギは爽やかな笑みを浮かべた。
「貴女達みたいな天使に一度でも会ったら忘れたりしませんよ。特に赤毛の貴女は僕の好みのタイプですし」
「あ。そうなんだ。確かにアルトちゃん可愛いもんね」
「……!? 年上をからかうんじゃないの」
「あら。レギ君は女性を口説く能力も強化されてるの?」
「やだなー。そんな訳ないじゃないですかー」
 これが素だとするなら別な意味で大分先が思いやられると感じたフィルメリア。
 思いつめた顔をしているイェルズ・オイマト(kz0143)にルシオが声をかける。
「イェルズ。大丈夫かい? 必要があれば、私のレオーネに乗せるから」
「ありがとうございます。いつもすみません。しつこいって思われるかもしれないんですけど、やっぱりシバ様をあんな目に遭わせた奴が許せなくて」
「そりゃそうさ。仕方ないだろそれは」
「……ああ。良く分かるよ」
 頷くラミアに遠い目をするルシオ。
 ――気高き蛇の戦士を追い詰めた怨敵。
 故郷を離れてまで追い続けるのは執着……そうかもしれない。
 相手はあれだけの強敵だ。直接倒すことは出来ないかもしれない。
 それでも……あの人を追い詰めたモノが滅びるのを見届けたいと思った。
 その先にはあの人が希望を馳せたものがあるかもしれないから――。
「いいかい。アレに引導を渡したいと思う気持ちは皆同じだ。焦るんじゃないよ」
「君は一人ではない。それを忘れてはいけない」
「はい……いたっ。ラミアさん痛いですって」
 ラミアに背中をバシッと叩かれるイェルズ。どこか自分に言い聞かせるようなルシオの声に素直に頷く。
 そこに聞こえた通信音。トランシーバーを手にしたアーサーがそれに受け答えつつ仲間達に向き直る。
「さて。宙軍の援護射撃の用意が完了したそうだ。いっちょ行くとしますか」
「了解。ここから二手に分かれるよ。準備はいいかい?」
「ああ、いつでも。宜しく頼むな、アーク」
「ああ。頑張ろう」
 淡々と言うクラン・クィールス(ka6605)に笑顔を返すアーク・フォーサイス(ka6568)。
 大伴 鈴太郎(ka6016)は、鶴岡八幡宮を覆うクラスタを痛いくらい鋭い目で見つめていた。
「いよいよだな……。これで最後にすっぞ」
「ああ、分かってる。あたしらの地元、返して貰おう」
「……核まで必ず送り届ける。2人とも無理はするなよ」
 緊張した面持ちの鈴太郎と柄永 和沙(ka6481)に声をかけるテオバルト・グリム(ka1824)。
 鎌倉は2人の故郷だと聞いた。心中穏やかではないだろう。
 とりあえず婚約者を守り、核まで進軍する。その為なら、何だってできる……!
 そしてデバイスに黙々とデータを入力していたクレール・ディンセルフ(ka0586)。
 愛機の計器を見つめて、操縦桿を握る――。
「よーし。データ入力完了! システムオールグリーン! コロナ、発進します!」


 空から迫る狂気の歪虚の群れ。巨大な宇宙強襲揚陸艇から、聞き慣れた甲高い合成音声が聞こえて来る。

『ハロー、シチズン。私はエンドレスです。鎌倉クラスタに接近する敵性存在に宣戦布告』
『ハロー、シチズン。私はエンドレスです。これより攻撃を開始します』

 その声は何度聞いても慣れないし、耳障りなもので……ノノトトは顔を顰める。
「仲良くする気なんてないくせに、わざわざ挨拶するな! エンドレス!!」
「はい、わざわざどうも。そう言われて引き下がる訳にもいかないんでね……!」
「俺も全力で行かせて貰うぞ……!」
 R7エクスシアを駆る紋次郎と兵庫。手にした魔導銃から放たれる2つの光弾。
 それは浮遊している小型狂気を巻き込み、エンドレスの装甲に吸い込まれる。
 続いた破裂音。装甲を焼く匂い。
 ビーッビーッという通信音が聞こえる。

『――装甲損傷、軽微。これより開戦を宣言します』

「おいおい。2発とも直撃だぞ? 随分と頑丈だねこりゃ……!」
「ドローン来るぞ! 総員砲撃用意!」
 ぼやきながらデュナミスの操縦桿を操り、スナイパーライフルを構えるアーサー。続いたマリィアの鋭い声。
 ヴァルハラから聞こえる鈍い音。どこかが開いた音だろうか。
 音もなく黒い円盤――無数のドローンが空中へと発射される。
 マリィアのR7エクスシアの後ろから、紅薔薇の刻令ゴーレムが姿を現す。
「狙ってくれというのであればお望み通りにしてくれよう! ゆくぞ! 砲弾の雨を降らせるのじゃ!!」
「了解! 湧く先から潰すまで!!」
 紅薔薇とクレールの叫び。同時にゴーレムのカノン砲から発射される炸裂弾。
 燃えるような赤のオファニムが手にしたアサルトライフルも火を噴いて……ドローンどころか、近くにいた小型狂気も巻き込んで殲滅していく。
「うっわ。えげつなーい! あそこに下手に近づいたら私達ごと撃ち落とされちゃいそう」
「流石にそこまで見境ないとは思いたくないけど……あれを見るとちょっと不安になるねえ」
 飛行を命じたグリフォンの背の上から敵の状況を伺っていたまよいとラミア。
 容赦のない仲間達の砲撃。数の暴力で押して来ている歪虚達とドローンがやられてボトボトと落ちていく様はなかなかに圧巻で……。
 小気味のいい光景ではあったけれど、それが自分達の身に降りかかるとなれば話は別だ。
 そんなことを考えていた2人に聞こえた声。通信機越しのエラのものだ。
「皆さんの位置は都度砲撃部隊に伝えますが、当たったら命の保証は出来ないので十分気を付けてください」
「あー。やっぱりそうなるよねーー」
「こりゃ敵の誘導も命がけだね」
「いっそヴァルハラごと全部潰しちゃえばいいんじゃない?」
「……まよいも可愛い顔に似合わず大胆だね。気に入った!」
「あはは。褒められちゃった☆ 褒められついでにお願いしてもいい?」
「なんだい?」
「あのね。今マテリアルを練り上げ中で……作戦開始前に済ませておこうと思ったんだけどちょっと間に合わなくて。100%まであともう少しなんだ。溜まるまで露払いお願いしてもいい?」
「勿論さ。お安い御用だよ! 行くよレガリア! まよいを守るよ!」
 まよいにウィンクを返したラミア。グリフォンに命じて、こちらに迫る歪虚を薙ぎ払う。
「むー。つまらんのう」
「仕方ないさ。宙軍って組織にも色々あってな。メタ・シャングリラはいわば冷や飯食わされてる立場だから、何かあったら困るんだろうさ」
 むくれるミグをまあまあ、と宥めるアーサー。
 エンドレスがリニアカノンを撃つところを見たいミグとしては、メタ・シャングリラに近くに出てきて貰いたかったのだが……あまりに危険すぎるという理由で却下された。
 元々宙軍出身のアーサーは、この組織が一枚岩ではないことはよく知っている。
 メタ・シャングリラに何かあれば、即恭子のクビが飛ぶであろうことも理解出来た。
「大将ってのは後ろでどーんとしててナンボだ。……無謀は嫌いじゃないが、目的の為に支払う代償としては高すぎるぜ。嬢ちゃん」
「うむ。そなたの説明で良く分かったのじゃ。――でも、リニアカノンを撃つ様を見るのまでは諦める必要はないな?」
「ああ、そうだな。ドローンを撃ち落として、無力化してからお願いしたいとこだけどな」
「分かっておる!」
 言うが早いか、ビームで歪虚を掃射するアーサー。緑のどっしりとしたドミニオンを駆るミグも機関砲で容赦なく敵を薙ぎ払う。
 雨のように降り注ぐ光弾。あちこちから巻き起こる爆風。風に巻き上げられた煙と砂が襲ってきて、ノノトトが咳き込む。
「大丈夫かい?」
「ゲホゴホっ! は、はい。大丈夫です。でもこれだけの攻撃で全滅しない歪虚ってどんだけなんですかね……」
「あたしの分をとっといてくれたってことだろ!? 上等じゃないか!」
 心配そうなルシオに咳き込みながら答えるノノトト。今までも大分数を減らしてはいるが、敵はまだまだ沢山いる。
 ボルディアが紅焔の毛並みを持つイェジドを伴って駆け出した途端、通信機から受信を知らせる音が鳴る。
「ボルディアさん、下がってください。着弾します」
 聞こえたエラの声に咄嗟に飛びずさるボルディア。次の瞬間、光弾が彼女を掠めて……撃ち抜かれた狂気の歪虚が音もなく崩れ去る。
「コラ―! あたしの獲物を取るんじゃないよ! っていうかエラ! そういうことはもっと早く知らせな!!」
「ボルディアさんなら避けられるかと思いまして」
 吠えるボルディアにしれっと答えたエラ。紋次郎の駆るR7エクスシアから声が聞こえて来る。
「おっと、すまない。しかし、流石リニアカノンを避けると断言しただけはあるな」
「ああ。良い身のこなしだったぞ。姐さん」
「お前達後で覚えてろーーー!!」
「軽口を叩いている暇があったら手を動かせ! ヴァルハラの真下には入るなよ!」
「わーーーってるっつーのーーーー!!」
 続いた声に振り返るボルディア。あの深い青のR7エクスシアは兵庫のものだろう。
 マリィアの言葉に頷きつつ、この憂さ晴らしは歪虚でさせてもらうと心に誓って……幻影を纏い巨大化すると、炎のオーラを纏った斧を手当たり次第にブン回し、人型の歪虚をそれこそ木こりのように両断していく。
「わー。こわー……。ボルディアさんユニットに負けてないよ……」
 ボルディアの討ち漏らした敵を銃で狙撃していくノノトト。ルシオが難しい顔をしているのに気づいて首を傾げる。
「……何かおかしいな」
「……? ルシオさん、どうかした?」
「エンドレスの動きだよ。何故後方の戦艦を狙わない……?」
 ヴァルハラほどの巨体ともなれば、目の前をうろちょろしているハンター達よりも後方にいる艦隊の方が狙いやすいはずだ。
 そしてクラスタに向かう仲間達を攻撃する素振りも見せない。
 リニアカノンを撃つ様子もない。
 これではまるで。
 自分達と『戦う』ことが目的のような――。
 これはどういうことなのか。
 考えろ。奴の行動に意味がないことなんて一つもない。
 ルシオは答えを探すように、地上近くに浮遊する巨大な歪虚を睨みつける――。


 エンドレスとハンター達が交戦してまもなく、クラスタ対応班の面々はクラスタの近くに到達することが出来た。
 まとわりつく狂気の歪虚を蹴散らして、アークは呼吸を整える。
「……何だかやけにあっさりとここまで来られたな」
「そうだな。歪虚も障害になる程ではなかったしな」
「外にいない分、中に控えているのかもしれないね。気を付けて行こう」
 クランの言葉に、今までのクラスタの戦いを思い出して考え込むステラ。
 続いた言葉に、仲間達が頷き……アルトがスラリと刀を抜き放つ。
「さて、突入口を作る。皆下がってて」
「僕も手伝いますよ。赤毛の天使さん」
「……僕はアルトだ。変な呼び方しないでくれ」
「私も手伝うよー!」
 アルトとレギのやりとりにくすりと笑うリューリ。
 その様子を、フィルメリアは冷静な目で見つめていた。
 ――レギは男子とはいえ手足が細く、まだ身体が出来上がっているようには思えない。
 勿論、ハンターにも幼くして覚醒者となる者もいるが、一般人より遥かに多く保有するマテリアルの為か身体がとても頑丈だ。
 強化人間もそういった類のものなのだろうか?
 まあ、それも見ていれば分かるかしらね……。
 正直ちょっと心配だけれど軍上層部としては、この子の戦闘データ収集……『試験運用』も兼ねているんでしょうし。戦わせない訳にも……。
「行きます!」
「……!?」
 フィルメリアの思考を遮るレギの宣誓。己の横からあふれ出た力に反射的に距離を取りそうになるアルトとリューリ。
 そしてフィルメリアは己の目を疑った。
 彼から放たれる力。これはハンター達とは異質のものだ。
 そして、この力を彼女達は良く知っている。
 そう。これは、自分達が倒すべき存在である、歪虚から出るもの――負のマテリアルだ。
 ……これが新たな『仲間』の力? 強化人間全てがこの力を使うのか?
 もしそれが事実なら……統一連合宙軍は一体何をしようとしている?
 いや、考えるのは後だ。今は目の前のことに集中しないと……!
「リューリちゃん」
「OK! 合わせるよ!!」
 アルトの考えを察したのか、頷き返すリューリ。
 レギの放った銃撃。その強烈な一撃は、壁に穴を開けるには至らなかったけれど削り取るには十分すぎる程の威力。
 修復を始めようと動き出したらしい。壁がビリビリと震える。
 そこに叩き込まれる剛刀と斧。アルトが切り割き、リューリがその穴を広げて……修復するより早い、切れ目ない連携した攻撃に壁の穴があっと言う間に大きくなっていく。
「これから突入することを宙軍の皆さんにお知らせしないといけないでちゅが……恭子さん口伝符使えなかったでちゅ」
「あ。じゃあざくろが知らせるよ。……J9!」
 朝騎の呟きに爽やかな笑顔を返すざくろ。
 名を呼ばれ嘶くグリフォン。主の命に従って、大きく竜旗を振る。
 どれくらいそうしていただろうか。間もなく聞こえた破裂音。統一連合宙軍の艦隊から空砲が放たれた。
 それに気づいたガンジがニヤリと笑う。
「おっ。伝わったみたいだな。それじゃ行きますか!」
「よし。突入するぞ。目指すは本殿……でいいんだな?」
「おう。そこか、舞殿のどちらかだと思う」
「本殿はその前にある階段が厄介でね。舞殿にいてくれたらちょっと楽なんだけど……」
 テオバルトに頷く鈴太郎と和沙。急速に塞がろうとする穴にもう一撃加えて、アルトは仲間達を見る。
「皆が突入するまではここを維持する。穴が塞がる前に行ってくれ!」
「分かった。行くぞ! 皆俺に続け!」
 切り込むようにして飛び込んだテオバルドに続く仲間達。
 ハンター達はクラスタ内に足を踏み入れると、侵攻を開始する。


「なんだこれ……!」
「うわ……。マジで洒落になってないんだけど……」
「何度見ても慣れないよね、この光景」
 飛び込んで来た光景に言葉を失う鈴太郎と和沙にぽつりと呟くステラ。
 見慣れているはずの光景。紅の世界に転移するまでは、2人で良く訪れていた場所。
 今くらいの季節であれば、蓮の花が咲き乱れているはずの源平池もまた、狂気の歪虚で埋め尽くされている。
 光のない空を見上げるステラ。幾重にも折り重なった歪虚によってドームが生成されているというクラスタの状況を何度も見てはいたけれど……やはり、異様だし気持ち悪い。
 圧倒的な威圧感。じりじりと感じる重圧は、狂気の精神干渉だろうか。
 ガンジはバシバシと気合を入れるように自分の頬を叩くと、続く参道を見据える。
「こりゃ長居したらやべえな。一気に駆け抜けてカタつけようぜ」
「同感だ。……と。どうやらお出ましのようだな」
「俺とクラン、ガンジとざくろで囲むように空から来る歪虚を担当しよう」
「うん! 任せて!」
「いいぜ! 要は露払いだよな!!」
 侵入者の気配を察知したらしい。集まって来る歪虚に冷淡な目を向けるクラン。
 続いたアークの言葉にざくろとガンジが頷く。
 入口を維持していたアルトとリューリ、フィルメリアとレギが駆けつけて来るのを確認した面々は、グリフォンとワイバーンに跨ると空へと舞い上がり――それが、開戦の合図となった。
「ちょっ。ちょっと何でちゅこれは! どこからこんなに湧いて出るでちゅか!!?」
「わー。キモい! 本当すごい数だね」
 周囲を覆い尽くさんばかりの狂気の歪虚に火の精霊力が宿った符を投げつけながら叫ぶ朝騎。
 自分の身長を遥かに超える大きさの斧を軽く振り回して歪虚を薙ぎ払いながらリューリが呟く。
「うーん。数の多さは今までと変わらない気がするけど、ちょっと密度が高い気がするのはクラスタが他より小さいせいかな……」
「クラスタの規模が変わっても抱え込んでる狂気歪虚の数は変わらないってことか……」
 今までのクラスタ戦を全て経験しているステラの声にむう、と唸るアルト。
 小さくても腐ってもクラスタ、ということなのだろう。
 フィルメリアの短い詠唱。光線で歪虚を焼き払いため息をつく。
「数を少しでも減らしておかないと核に到達した時面倒なことになるけど、かといって立ち止まったら囲まれてあっと言う間に蜂の巣にされるわね……。レギくん。ちょっと走りが荒くなるかもしれないわ。しっかり捕まっていて頂戴」
「はいっ! フィルメリアさんの背中はお守りしますね!」
「あら。頼りにしていいのかしら?」
 フィルメリアのイェジドの後方に跨り、元気に返事をするレギ。
 ――今はあの負の気配は感じない。ごくごく普通の、人間の少年に見える。
 負のマテリアルを噴出するのは意識して能力を使う時だけなのだろうか……。
「全部相手するのは無理だね。一気に駆け抜けよう。ステラさん、後ろ乗って!」
「はーいっ! それじゃ失礼するね!」
「朝騎さんも乗って!」
「はいでちゅ! 置いて行かれたらひとたまりもないでちゅ!」
 ステラを己のイェジドの後方に乗せて駆け出すアルト。朝騎と主を乗せたリューリのイェジドもそれに続く。
「いいか、応戦は最低限にしろ。敵は全部薙ぎ払ってやるから、とにかく2人は核を目指せ。前に進むんだ」
「でもテオは?」
「俺は大丈夫だよ。故郷を取り返すんだろ?」
「……うん。それだけは譲れねえ。ごめん。テオ」
「そういう時は『ありがとう』っていうんだぞ、鈴」
 心配そうな和沙に笑みを返すテオバルト。彼のツッコミに、鈴太郎は慌てつつも頷く。
「……ん。行こうぜ、和沙」
「うん。テオ、私頑張るから!」
「その意気だ! 行くぞ!!」
 和沙のイェジドの上を飛ぶ鈴太郎のグリフォン。その前を、守るようにテオバルドのイェジドが疾走する。


 ――その頃、クラスタの外側では狂気の歪虚とハンター達は激しい戦いを繰り広げていた。
 まよいを庇いつつ、砲撃の合間を抜けてやって来る歪虚をなぎ倒すラミア。
 そんな中、人型の狂気に対して『深淵の声』を使ってみたのだが何も見ることは出来なかった。
 人型狂気は人の形を取ってはいるが、狂気の歪虚が寄せ集まってできているもの。
 元々が人間であったということではないらしい――。
 そんなことを考えていた彼女。不意に現れた小型狂気のレーザーを肩に受けて顔を顰める。
「ラミアさん大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ! それよりまよい! 行けそうかい?」
「そろそろ行けるよ! エラさんに伝えて!」
「――こちらエラ。まよいさん、聞こえてますよ。仔細了解です。そしてもう一つお知らせです。ヴァルハラ、砲台より高エネルギー反応。リニアカノン来ます。総員警戒を」
「問題ないぞ、エラ。撃ちたいだけ撃たせてやるがよい。あやつの宝刀は今お飾り状態ゆえな」
「そーよそーよ! 故郷を守る鈴さん達の戦い、邪魔させないんだから!!」
 通信機から響くエラの声に射撃を続けながら言う紅薔薇とクレール。
 そうしている間もヴァルハラの砲台に集まる光。続いた発射音。眩い光。
 来るはずの衝撃はなく、ヴァルハラの放った光線は大きく外れて、浮遊している狂気の歪虚を巻き込み空を撃ち抜く。
 ――ヴァルハラのリニアカノンは今回の戦いで既に何度か発射されたが、これまで全て大きく外れている。
 ハンター達はこれまでの経験から、ヴァルハラから放たれるドローンを最優先で片っ端から破壊し続けていた。
 その結果、リニアカノンの命中精度を上げるにはドローンの数が絶望的に足りず、外れ続けているという訳だ。
 だが、向こうもドローンが狙われることは分かっているらしい。絶え間なく新手の黒い円盤が排出され続けていた。
「本当に邪魔くさいったらないわ。どこにこんな大量な歪虚とドローンを格納してるのかしら……」
「ヴァルハラは空母の役割も果たしているのかもしれないな」
 マリィアのぼやきに答えた紋次郎。
 マリィアもずっとヴァルハラを攻撃できるチャンスを伺っているが、歪虚が邪魔で思うようにいかない。
 攻撃の手を緩めればあっと言う間に形勢が逆転される。予断を許さない状況だった。
 紋次郎はゆらゆら飛来する人型狂気を撃ち抜いて、チラリと時計を見る。
「……リニアカノンの発射間隔は一定ではないな。ということは、ヴァルハラが判断して発射しているということか」
 ヴァルハラを動かしているのは『エンドレス』という名の人工知能だ。
 エンドレスはヴァルキリー1などの別個体も同時に動かしていたと聞く。
 同時多発的な動きは十八番ということなのだろうか……。
「恐らくヴァルハラは中枢機なんでしょうね。ヴァルキリー1やドローンは端末ってとこかしら」
 マリィアの言葉に考え込む紋次郎。その横で、ヴァルハラが放つ天を焼く光にミグが目を輝かせる。
「リニアカノンはなかなかに素晴らしいものじゃ……! しかし、威力はあってもこう命中精度が低くてはのう……。花火というには地味じゃし、もうちょっと改良した方がいいのではないかの?」
「いやいや、待ってくれ。改良されたらタダじゃ済まんだろ」
「ふむ。それもそうじゃなあ。ではミグのハリケーン・バウのとっておきでスクラップになって戴くとしようかの」
「可能ならそうしてくれ。雑魚は駆逐しとく」
 アーサーのツッコミにクククと笑うミグ。彼はマテリアルビームで敵を掃射し続ける。
 紅薔薇の刻令ゴーレムの砲撃、それと彼女自身の猛攻は広範囲に及び、狂気歪虚、ドローン共に大多数を減らしていたものの、作戦の参加者の大半がドローンを集中して狙っていた為、どうしても歪虚に撃ち漏らしが出て来る。
 エラの誘導を受けつつ、ボルディアとルシオ、ノノトトは砲弾の雨を抜けて来た歪虚を優先的に叩いていた。
「こちらエラ。砲撃を抜けた歪虚が接近中。警戒を」
「ったく、ウジャウジャウジャウジャ……うっとおしいってンだよテメェ等ァ!」
「うわっ。ボルディアさんダメダメ! いくらユニット並って言ったって無理があるよ!!」
「うるせえ! 俺はまだいける!! ヴァーミリオン! 行けェ!」
「みぞれ! 紅水晶!!」
 全身から血を噴き出しながら己のイェジドと共に切り込むボルディア。
 ノノトトのユキウサギから編み出される赤い光。それは狂気の歪虚を縛ったが……八つ当たりのように出されたレーザーを食らい、ボルディアが膝をつく。
 深い傷を負った彼女の元にルシオが慌てて駆け寄って助け起こす。
「ボルディア、大丈夫……には見えないな」
「大丈夫だって、言ってんだろォ……!」
「これ以上は命に関わる。あとは仲間に任せて下がるんだ」
 気休めではあったが、癒しの術をかけながら言うルシオに言い返すボルディア。
 レーザーに貫かれて息をするのも辛いだろうに……。
 彼女の闘志には頭が下がる思いだが、矢張りこれ以上はいけない。
 そう決断したルシオは、ボルディアの横に立つイェジドを見上げる。
「……君はヴァーミリオンと言ったかな。ご主人をエラのところまで運ぶんだ。頼めるかい?」
 首を傾げる燃える毛並みのイェジド。ルシオと主人を交互に見て、こくりと頷く。
 ――ルシオは女性だが、男装をしていたことが今回は良い方向に向かった。
 女性に耐性がないヴァーミリオンがその事実に気付いていたら固まったまま動けなくなっていたであろうから。
 ちなみにボルディアも勿論女性だが、主は女と見なしてないので大丈夫らしい。
 ボルディアをイェジドの背に乗せ、見送るルシオ。
 敵の数が減っては増えてを繰り返し、混乱し始める戦況。
 飛来した狂気の歪虚の体当たりを食らって、兵庫のR7エクスシアが一瞬傾ぐ。
「兵庫さん、大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ。……しかしどうにも良くないな。このままではこちらが消耗していくばかりだ」
「そうだね。そろそろヴァルハラ本体に決定打を与えたいよね」
 体勢を整え直してすぐさま敵を薙ぎ払った兵庫に頷くクレール。
 一進一退の攻防戦。ヴァルハラから排出される歪虚とドローンは止む気配はない。
 こちらも応戦しているが、弾数にもスキルの数にも限界がある。
 そんなことを考えていた矢先。通信機からまよいとラミアの声が響いた。
「おっまたせー! 魔力充填率100%だよ!」
「皆! ヴァルハラから離れなぁ! まよいからでっかいのが行くよーーーー!!」
「……ラミアさん、私の仕事取らないでください。まよいさんが最大出力のグラビティフォールを撃ちます。死にたくない人は早急にヴァルハラから退避を。ノノトトさん、念のために例のアレを頼みたいとのことです」
「……! 了解。分かったよ!」
 エラの物騒な通信。それに頷くノノトト。
 仲間達は慌ててヴァルハラから距離を取る。
「エンドレス! これでも食らえ!!」
 ノノトトから伸びる幻影の腕。それはヴァルハラを掴み――。
「――我は断罪者。汝の粛清の楔を打つ者也。紡ぐは幽冥より来たりし光。縛り封じよ」
 まよいから放たれる紫色の光を伴う重力波。それは中央に集まると、ドローンや狂気の歪虚を纏めて縛り上げる。
「好機は来たぞえ! 総員一斉掃射!」
「消えろ! 燃えろ! 焼き尽くせコロナァァァッ!!」
「人間の底力、ナメんじゃないわよ……!!」
「これがミグのとっておきじゃ! 食らうがいい!」
 刻令ゴーレムに命じて火炎弾を撃ち込む紅薔薇。
 クレールとマリィアも最大火力の砲撃を連続で叩き込む。
 そしてミグの放ったミサイルランチャーの一撃が、ヴァルハラのミサイル部に直撃した。
「やったか……!?」
「いいえ。まだです」
 ヴァルハラを襲う光の奔流。装甲の焼ける匂い。目を凝らすアーサーにエラが冷静に答え……そこにビーッビーッという、通信音のようなものが聞こえた。

『交信開始。照合要請。ハロー、AP-S。私はエンドレスです』
『やあ、エンドレス。どうかしたの? 例の作戦は上手く行った?』
『緊急報告。ミサイル損傷。出力低下。作戦の進行に問題ありませんが高度情報対処マニュアルに基づき、対処要請』
『ああ、怪我しちゃったんだね。そっかー。んー。やること出来たならもう帰ってきてもいいよ』
『了解。――新規のハンターのデータ受理。データベースを更新します』
『ありがとう。……へえ。なかなかいいじゃないか。うん、悪くないよ』
『類似データ発見。検索結果1件。敵性存在のマリィア・バルテスと判定。データの更新を行います』
『OK。そこは任せるよ。報告はまた後で聞くね。それじゃあね、エンドレス』
『ありがとう。AP-S。交信完了』

「あら。私何かあなたに覚えられるようなことしたかしら……」
「そうか! そういうことか……!」
 名を呼ばれ目を見開くマリィア。エンドレスの通信に、ルシオは雷が落ちたような衝撃を受ける。
 ――クラスタ戦の度に姿を現していたエンドレス。その行動に意味があるはずとずっと考えていた。
 あの少し変わった装甲にも、倒されたヴァルキリー1にも。
 それら全てに意味がある。
 今までずっと追っていたから。見て来たからこそ分かる。
 紅の世界にいたエンドレスが青の世界に渡って来たのは、恐らくあの通信している相手と何らかの取引をしたから。
 そして今までの作戦は全て、ハンターのデータ……戦闘能力から戦略、武器に至る様々なものを集める為だったのだ……!
「どこまで人を弄べば気が済むんだ、エンドレス……!!」
「やっぱりね。そんなことだろうと思ってたのよ」
 血が滲むほど唇を噛むルシオ。マリィアがため息をつく横で、まよいが首を傾げる。
「エンドレス行っちゃうよ? いいの?」
「このまま砲撃を続ければいずれは落ちるんじゃないのかい?」
「いえ、残念ながら見る限り本体の損傷は軽微です。武器の類は壊せるかもしれませんが……このまま砲撃を続けても致命傷に至る前にこちらのスキルが尽きるでしょう」
「戦えば戦うほどこちらのデータを渡すことになる。現状それはあまり得策じゃない」
 ラミアの問いに淡々と答えるエラに悔しさを滲ませるルシオ。
 どうしようもない状況に、イェルズが声を荒げる。
「そんな……! じゃあ一体どうしたら良いって言うんだ……!」
「焦るな坊主。向こうの手の内が分かったんだ。必ず手はある。追い払っただけでも御の字としようや」
 鮮やかなグリーンゴールドとレッドゴールドに塗り分けられた機体から聞こえるアーサーの声。
 離れていく狂気の歪虚を見送りながら、紅薔薇とミグが凄惨な笑みを浮かべていた。
「これだけの猛攻を食らって損傷が軽微とな? そうかそうか……」
「まだ足りんと申すのじゃな。よーくわかった。必ず地面に落としてくれようぞ」
「バーカバーカ! エンドレスのでべそーー!!」
 そして去り行くエンドレスに罵詈雑言をぶつけるノノトト。それに苦笑しつつ、兵庫はふと口を開く。
「あのAP-Sってやつの声、どこかで聞いたことある気がするな……」
「……どこで? 思い出せるか?」
「うーん……ここまで出かかってるんだけどな……」
 紋次郎の問いに兵庫は首をひねり……クレールは後方に聳えるクラスタを見つめた。
「鈴さん達、大丈夫かな……」


 ――エンドレス対応班が、戦いに決着をつける前まで時は遡る。
 その頃、クラスタ内を進む面々も、苦しい戦いを強いられていた。
 鶴岡八幡宮は鎌倉方面にある南側の鳥居から入れば、本宮まではほぼ真っ直ぐに北上するだけの簡単な道のりだ。
 駆け抜ければ恐らく5分とかかるまい。
 しかし、往く手には狂気の歪虚が立ち塞がり、そして内部は薄暗い。
 狂気の感染も相俟って、気を張っていないと方向感覚を失くしてしまいそうだった。
「うおおお! 何だこの歪虚の数! 多すぎねえか!?」
「そうだね。まあでも、方角はこちらで合ってるんだろう。歪虚は核を守るから、核に近づくにつれて増えるとステラさんが言ってたからね」
 ガンジの叫びに頷くアーク。ふむ……とクランが考え込む。
「ということはこれからもっと増えるのか……。先が思いやられるな」
「大丈夫! ざくろ達ならきっとやれる! 頑張ろう!」
 力強いざくろの声に頷く仲間達。
「うわあああん!! 知ってたけどやっぱり多いーー!」
 一方、敵を次々と切り伏せながら叫ぶステラ。
 クラスタ戦に参加するのもかれこれ3回目。
 こうやって襲い来る狂気歪虚も何度も見て来たけれど……やはりキモいものはキモい。
 そして敵は数の暴力とも言える大群で、じわりじわりとハンター達の体力を削っていく。
 銃撃で応戦していた朝騎。狂気の影響だろうか。ふと気が遠くなって頭を振る。
 次の瞬間、飛来するグロテスクな物体が目に入った。
「朝騎さん! 下がれ!」
「しまっ……!」
「……っ!」
 聞こえたのはアルトの叫び。
 朝騎の視界を覆う金色。溢れる赤。それがステラの金髪と、血の色だということに気付いたのは、アルトとリューリが周辺の敵を一掃し、フィルメリアが2人を救助しに駆け付けて来てからだった。
「ステラさん、ごめんでちゅ。油断したでちゅ……」
「仕方ないよ。狂気の感染って強力だからー。うーん。でもこれ以上は無理かな……」
「ええ、動かない方がいいでしょうね」
 止血を試みながら言うフィルメリア。朝騎もステラも酷い傷だ。これ以上の戦闘続行は難しいだろう。
 身の安全を考えてもすぐにでも外に連れ出したいが、通信手段がない以上応援は頼めない。
 さりとて2人を連れて進軍するのも……。
 逡巡するフィルメリア。それを察したのか、レギが口を開いた。
「僕がこの場に残って二人を守ります。フィルメリアさん達は先に進んで下さい」
「えっ。一人じゃ危ないよ!」
 心配そうなリューリに、レギは笑顔を返す。
「大丈夫ですよ。皆さんが派手に暴れて下されば僕達くらい見逃してくれるかもしれません。ダメならその時は応戦しますよ」
「僕達が核に到達すれば、狂気の歪虚達もそっちにつきっきりになるんじゃないか」
「……確かにその方が現実的ね。申し訳ないけどお願い出来る?」
「はい! 帰りに迎えに来て下さいね!」
 明るく言うレギにくすりと笑うフィルメリア。
 ……少年が明るければ明るい程、負のマテリアルとは不釣り合いな気がして……アルトの心がさざなみ立つ。


 クラスタに侵入してからどれだけの時間が経っているだろうか。
 敵を切り伏せ、なぎ倒し、吹き飛ばしながら突き進むテオバルト。
 和沙と鈴太郎は言われた通り、応戦を最低限にした為、2人のユニットは大分傷だらけになっていた。
「上手く乗ってやれなくてごめんな、ぐり……。もうちっとで終わるから、お前はここで待ってろな」
 鈴太郎に気にしなくていい、とでも言いたげに頭を摺り寄せるグリフォン。
 その頭を抱きしめると、鈴太郎は振り返る。
「ここが核の在処か? でもここ、舞殿だよな」
 荒れ果てた参道の先に見えてきた和風の建物。その周囲に、狂気の歪虚が群がっている。
 びっちりと壁を作るように舞殿を取り囲んでいる歪虚の隙間。一瞬何かが見えて、和沙があっと声をあげた。
「歪虚の隙間から変なものが見えたよ」
「えっ。ここに核があるの?」
「マジか! てっきり本殿にだと思ったのにな」
「クラスタは、概ね中心部に核を構えると聞いたことがある「
「確かに鶴岡八幡宮の中心地点と言ったら舞殿になるな」
 少し遅れてやってきたざくろとガンジ。続いたアークとクランの言葉にテオバルトは考え込む。
 歪虚にとって、聳える階段は壁にしか見えなかったのかもしれない。
 その上に上がればもっと頑丈な建物があったのだが……。
「あの階段を、歪虚なぎ倒しながら全速力で駆け上がるのは厳しいと思ったから助かった……」
「まー、多少マシってだけだけどな」
 正直な感想を漏らす和沙と鈴太郎。フィルメリアとテオバルトは頷きつつ舞殿を覆う歪虚を見つめる。
「建物の代わりに歪虚が壁を作ってる。面倒ねえ……。でも全部消してしまえば同じかしら」
「クラスタに来たら小さいクラスタがあった、って全然笑えないが……ただの狂気歪虚なだけマシか。やるっきゃないな」
「そうだね! よし、さくろが突破口を開くよ! J9、情け無用の急着陸だっ! 行けええええ!」
 マテリアルアーマーを纏い、グリフォンと共に壁のように覆い尽す狂気歪虚に突っ込むざくろ。
 巻き起こる爆風に弾き飛ばされる歪虚。
 風穴が空いて……舞殿の中心にドクリドクリと脈打つ異形のモノが見えた。
 間違いない。あれがクラスタの核だ……!
「ワイバーン! お前は引き続きファイアブレスで敵を掃射! 味方を巻き込まないように気をつけろ! 1匹でも多く減らしてくれ!」
 騎乗状態を解除し、剣と盾に持ち替えたクラン。
 ワイバーンが嘶いてそれに応じたのを見送ると、迷わず歪虚の中に突っ込み、身体を張ってざくろが必死に作り続けている道を広げる。
「……クラン!? 何をしている!」
「見て分かるだろ! 道を作ってるんだ!」
「何て無茶を……!」
「核への道が出来なければ作戦が成り立たないだろ。多少無茶をしても活路は迅速に開いてみせるさ!」
 こうしている間も、歪虚の猛攻を受け続けているクラン。アークは短くため息をつく。
 ――ああ、そうだった。こいつはそういう男だった。
 目的の為なら平気で命を賭ける……それは立派な志なのかもしれないけれど。
 俺の救える限り、命は一つも失わせはしない……!
 そうだ。俺は命を守る。
 このクラスタを滅すれば、未来においてより多くの命が守れるだろう。
 そのためには何としても成さなければ――!
「君が無茶をするなら守るよ」
「おう。俺が最後まで立っていられるように祈っててくれ」
「祈るんじゃなくて実行するよ」
 頭から血を流しながら笑うクラン。彼を。命を守る為に、アークはその剣を振う。
 仲間が作った道を走る和沙と鈴太郎。テオバルトは2人を守るように進み……行く手を遮るように歪虚が現れる。
「チッ。もう戻って来たか」
「構うな! 先に進め!」
 刀を構えるテオバルド。そして不意に現れた影。息をする間に両断された狂気の歪虚。
 素早い動きで敵を翻弄するアルト。全速力で駆け抜けながら、すれ違いざまに敵を斬り倒していく様はまるで赤い風が駆け抜けているようで……。
「僕達もここを維持する! 核を破壊してくれ! 行くよ、リューリちゃん!」
「はーい! 任せて! レイノ! 道を確保するよ!」
「さて、レギ君を待たせてることだし、急いで終わらせましょうか」
 仲間から少し距離を取って、斧を構えるリューリ。体を大きく回転させて周囲の敵を薙ぎ払う。
 氷の微笑を浮かべるフィルメリア。空中に現れた無数の氷柱は真っ直ぐに飛んで、歪虚を薙ぎ払い、氷に閉じ込めていく。
「いよっしゃあ! 俺も行くぜええええええ!! クルミン! お前も敵を一掃してくれ!」
 ガンジのグリフォンは一鳴きすると、狂気の歪虚に弾丸のように突っ込んで行く。
 彼は迷わず舞殿へと突き進む。


 ――クラスタの中心となる核は、予想以上に硬かった。
 大半の歪虚は仲間達が倒してくれていたが……それでも、核に張り付くようにしている歪虚がいたのだ。
 和沙もガンジも歪虚ごと始末するつもりで攻撃を仕掛けているが、その度に核が轟き、周囲が激しく揺れて……それにつられるかのように、周囲の歪虚達の動きが激しくなる。
 戦いが長引けば、周囲の敵を担当してくれている仲間達の身が持つまい。
 早く終わらせなければ……!
「しっかし硬いなぁ、オイ……!」
「ダメージは通ってるよ! 続けよう!」
 歪虚達の攻撃を避けながら、拳とコウモリの形の投擲武器で核に攻撃を仕掛けるガンジと和沙。
 早く終わらせる為には、ただひたすらに攻撃を続けるしかない……!!
 そして鈴太郎は、拳を構えるとピタリと止まり、狙いを定めて……歪虚の攻撃を受け続けていた。
「すず!? あんた何やってんの!? 避けなさいよ!」
「そんな無駄な動きしてる余裕ねえよ! 次の一手で全弾叩き込む! ガンジ、和沙。後は頼んだぜ!」
「ちょっと何バカ言ってんのよ……!?」
 友人の無茶を怒りたいけれど、気持ちが理解できるだけに怒りきれない和沙。
 そのモヤモヤを、核への攻撃にぶつける。
 和沙の投げたコウモリ。それは核へと吸い込まれ――聞こえた、何かがひび割れる音。
 激しく揺れる核。その動きに合わせて、狂気の歪虚が押し寄せて来て――。
「……和沙!」
 押し寄せる目玉のおばけのような歪虚。その前を過る影。
 次の瞬間、和沙の視界が一面の赤に染まって……。
 歪虚の攻撃を一身に受け止めたテオバルト。
 赤い血を噴き出し、崩れ落ちる婚約者に彼女は目を見開く。
「テオ……!?」
「和沙、無事か? 良かった……」
「何やってんの!? 何で庇ったりしたのよ……!」
「婚約者を守るのに理由なんて要らないだろ。……ほら、決着つけて来い」
 血に塗れた手で和沙の髪を撫でるテオバルト。
 彼女は怒りに燃えた目でクラスタの核を見つめる。
 自分の故郷を……婚約者を傷つけて。絶対に、絶対に許さない……!
「くろ汰!! あいつ絶対壊す! 力を貸して!!」
「クェッ!!」
 叫ぶ和沙。鈴太郎が核へと飛び込んだのはほぼ同時。
 彼女の脳裏に浮かぶのは故郷の街並み。両親の顔――。
 大好きだった。また帰れると思っていた。
 それなのに……!
 堪えてきた不安、悲しみ、怒り――その全てを拳に乗せて……。
「鎌倉から……オレたちの街から、消え失せろおおお!!!」
 叩き込まれる六連弾。ピキピキという軽い音が続く。
「これで最後ーーーーー!!!」
 刹那、リーリーと共に飛び込んで来た和沙。その攻撃が吸い込まれ――。

 パキィィィィィン……!!

 ガラスが割れるような軽い音。
 核が砕け散り……そして、続く轟音。
 クラスタ全体が揺れ出し……統制を失った狂気の歪虚達が波を引くように散っていく。

「クラン、生きてるかい?」
「おう」
「それは何より。クラスタの破壊に成功したみたいだよ」
「はは。そいつは良かった。身体張った甲斐があったな」
 満身創痍のクランに声をかけるアーク。
 怪我はしたが、失った者はいない。そのことに深く感謝する。
「クラスタの崩落が始まった! 脱出するよ! 急いで!」
 素早く身を翻して、怪我人の回収に当たり始めたざくろ。
 和沙は怪我をして動けなくなっている鈴太郎とテオバルトに縋りつく。
「すず、テオ、しっかりして……!」
「あー。いてぇ。いてぇよ和沙。揺さぶるなよ」
「俺は大丈夫だから、泣くな」
「泣いてなんて……」
 テオバルトの声に抗議しかけた和沙。みるみるうちにその目から涙が溢れて来る。
「うわあああん!! 2人ともいなくなったらどうしようかと思ったんだからああああ!!」
「えっと。気持ちは分かるんだけど、外出てからにしよっか?」
「そうだね。ここにいたら崩落に巻き込まれる」
 申し訳なさそうに言うリューリに苦笑するアルト。フィルメリアも頷いてそれに続く。
「ここに長居は無用ですね。急いで脱出しましょう」
「了解! 戻る時もフルスピードだな!!」
 核への対応で満身創痍の割に元気なガンジ。そのまままっすぐ帰ろうとする彼に、フィルメリアが声をかけた。
「……ガンジ君。レギ君と朝騎さんとステラさん回収しないと……」
「あっ。そうだった!!」


 ――鎌倉クラスタが消えて、妨害電波も同時に消えたらしい。
 機器類の動きが元に戻ったことに気付いたエラは、朝騎から渡されていた口伝符に向かって声をかけた。
「……こちらエラです。朝騎さん、機器が戻ったようなんですがそちらどうなってます?」
「こちら朝騎でちゅ。どうやらクラスタ破壊に成功したみたいでちゅ」
「どうやら……って何故そんな他人事なんです?」
「朝騎、ステラさんと一緒に途中で怪我して動けなくなったでちゅよ……」
「あら。それは大変」
「ステラさんが、クラスタの崩落始まってるでちゅから、破壊成功に間違いないって言ってるでちゅ」
「そうですか。任務お疲れ様でした。こちらの応対も済んでますし、迎えをやりますね」
「おー……助かるでちゅ」
「という訳ですので、どなたかクラスタ班を迎えに……」
「やったー! クラスタ破壊おめでとーーー!! 迎えにいってきまーーーーす!!」
 エラが言い終わる前に飛び出して行ったクレール。
 ボロボロのクラスタ対応班が戻って来たのは、それから間もなくのことだった。


 こうして、ハンター達と統一連合宙軍は鎌倉クラスタを無に還し、長らく歪虚に占拠されていた鎌倉の地を開放することに成功した。
 ――この戦いで、リアルブルーに拠点を置く組織におけるハンターの評価は更に高くなり。そして強化人間を引き続き作戦へと投入する決定が下された。
 エンドレスの目的、協力者共に凡そ推測することが出来、次の戦いは有利になるかと思われたが……。
 それより前。意外な人物がリアルブルーに現れ、混乱を齎すこととなる。

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MVP一覧

  • 杏とユニスの先生
    ルシオ・セレステka0673
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベルka3142
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎ka6016
  • 《大切》な者を支える為に
    和沙・E・グリムka6481

重体一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 献身的な旦那さま
    テオバルト・グリムka1824
  • 甘苦スレイヴ
    葛音 ステラka5122
  • 丘精霊の配偶者
    北谷王子 朝騎ka5818
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎ka6016
  • 望む未来の為に
    クラン・クィールスka6605

参加者一覧

  • 亜竜殺し
    榊 兵庫(ka0010
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    レップウ
    烈風(ka0010unit004
    ユニット|CAM
  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガン(ka0471
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    ドゥン・スタリオン
    ドゥン・スタリオン(ka0471unit001
    ユニット|CAM
  • 元気な墓守猫
    リューリ・ハルマ(ka0502
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    レイノ
    レイノ(ka0502unit001
    ユニット|幻獣

  • ノノトト(ka0553
    ドワーフ|10才|男性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    ミゾレ
    みぞれ(ka0553unit002
    ユニット|幻獣
  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフ(ka0586
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    カリスマリス・コロナ
    カリスマリス・コロナ(ka0586unit002
    ユニット|CAM
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    ハリケーンバウユーエスエフシー
    ハリケーン・バウ・USFC(ka0665unit002
    ユニット|CAM
  • 杏とユニスの先生
    ルシオ・セレステ(ka0673
    エルフ|21才|女性|聖導士
  • ユニットアイコン
    レオーネ
    レオーネ(ka0673unit001
    ユニット|幻獣
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    イェジド
    ヴァーミリオン(ka0796unit001
    ユニット|幻獣
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    ソウカイネップウジェイナイン
    蒼海熱風『J9』(ka1250unit005
    ユニット|幻獣
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • ユニットアイコン
    イケロス
    イケロス(ka1328unit002
    ユニット|幻獣
  • ずっとあなたの隣で
    ラミア・マクトゥーム(ka1720
    人間(紅)|15才|女性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    レガリア
    レガリア(ka1720unit003
    ユニット|幻獣
  • 献身的な旦那さま
    テオバルト・グリム(ka1824
    人間(紅)|20才|男性|疾影士
  • ユニットアイコン
    ルドラ
    ルドラ(ka1824unit001
    ユニット|幻獣
  • 光凛一矢
    対崎 紋次郎(ka1892
    人間(蒼)|24才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    ストライト
    ストライト(ka1892unit001
    ユニット|CAM
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • ユニットアイコン
    イェジド
    イレーネ(ka3109unit001
    ユニット|幻獣
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    ナナカマド
    七竃(ka3142unit004
    ユニット|ゴーレム
  • 世界より大事なモノ
    フィルメリア・クリスティア(ka3380
    人間(蒼)|25才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    ハティ
    Hati(ka3380unit003
    ユニット|幻獣
  • 不破の剣聖
    紅薔薇(ka4766
    人間(紅)|14才|女性|舞刀士
  • ユニットアイコン
    コク
    黒(ka4766unit005
    ユニット|ゴーレム
  • 甘苦スレイヴ
    葛音 ステラ(ka5122
    人間(蒼)|19才|女性|舞刀士
  • 丘精霊の配偶者
    北谷王子 朝騎(ka5818
    人間(蒼)|16才|女性|符術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • ユニットアイコン
    メルセナリオ
    mercenario(ka5848unit002
    ユニット|CAM
  • 今日を笑顔で全力!
    道元 ガンジ(ka6005
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    クルミン
    クルミン(ka6005unit002
    ユニット|幻獣
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎(ka6016
    人間(蒼)|22才|女性|格闘士
  • ユニットアイコン
    グリ
    ぐり(ka6016unit001
    ユニット|幻獣
  • 《大切》な者を支える為に
    和沙・E・グリム(ka6481
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
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    クロタ
    くろ汰(ka6481unit001
    ユニット|幻獣
  • 決意は刃と共に
    アーク・フォーサイス(ka6568
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
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    ムラクモ
    ムラクモ(ka6568unit002
    ユニット|幻獣
  • 望む未来の為に
    クラン・クィールス(ka6605
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
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    ユニット|幻獣

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/08/25 06:27:58
アイコン 選択肢表明用
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/08/28 19:43:06
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大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/08/27 03:07:27
アイコン 選択肢2.エンドレス対応
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/08/29 15:37:52
アイコン 選択肢1.鎌倉クラスタ殲滅
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/08/29 13:39:06