ゲスト
(ka0000)
秋のたのしいキノコ狩り
マスター:cr
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/11/14 09:00
- 完成日
- 2014/11/21 08:15
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●ハンターオフィスにて
「今回は皆さんにキノコ狩りをお願いします」
依頼を請け負って集まったハンター達を前に、受付嬢であり今回の依頼主でも有るモア・プリマクラッセはそう口を開いた。
続けてモアはテーブルの上に地図を広げ、ある一点を指差す。
「ここですね……ここに一つ、山があります。正式な名前は別にあるのですが、地元の人々も我々も通称である『キノコ山』と呼んでいます」
キノコ山はその名の通り、数多くのキノコが生えている。しかも相当に上質なキノコが沢山採れるらしい。モアが番頭として働いているバロテッリ商会では、このキノコ山からキノコを収穫し、それに幾許かの値段を付けて販売しようと考えていた。
●よくわかるキノコの話
概要を説明したところで、ハンター達の質疑応答を行い、細部を説明していくモア。
「この山には入山権が設定されています。ですので、皆さんがキノコ狩りを行えるのは一日だけとなるでしょうか。もちろんその日の入山権は我々の方で抑えておりますので、皆さんは時間いっぱいまでキノコを集めてください」
そう説明すると、一冊の本を取り出すモア。
「朝の7時から入山が可能です。入山は午後3時まで。我々で買い取る料金は報酬に含めておりますので、一定量までしか買い取りませんが、逆に余った分に関しては依頼後、皆さんで食べて頂いて結構です」
そしてモアは本を開く。
「ただ二点程問題があります。まず、食べられるキノコもありますが毒キノコも多く生えていること。ですがこれに関しては、この『キノコ山のキノコ辞典』を参照すれば判別できます」
見ればそのページには、美味しそうなシメジの横に毒々しい色のキノコの絵が描かれている。毒キノコの下にはドクロマークが記され、誰でも分かるようになっている。
ハンター達はペラペラと辞典をめくって行く。様々な食用キノコ、そして毒キノコが描かれている。どんな美味しいキノコが食べられるのか……否が応でも期待が高まる。
「そしてもう一つ……キノコ山では一部のキノコが雑魔化する現象が起きるのです」
その時ハンター達がめくったページには、ご丁寧なことに雑魔化したキノコについて描かれていた。
「今回は皆さんにキノコ狩りをお願いします」
依頼を請け負って集まったハンター達を前に、受付嬢であり今回の依頼主でも有るモア・プリマクラッセはそう口を開いた。
続けてモアはテーブルの上に地図を広げ、ある一点を指差す。
「ここですね……ここに一つ、山があります。正式な名前は別にあるのですが、地元の人々も我々も通称である『キノコ山』と呼んでいます」
キノコ山はその名の通り、数多くのキノコが生えている。しかも相当に上質なキノコが沢山採れるらしい。モアが番頭として働いているバロテッリ商会では、このキノコ山からキノコを収穫し、それに幾許かの値段を付けて販売しようと考えていた。
●よくわかるキノコの話
概要を説明したところで、ハンター達の質疑応答を行い、細部を説明していくモア。
「この山には入山権が設定されています。ですので、皆さんがキノコ狩りを行えるのは一日だけとなるでしょうか。もちろんその日の入山権は我々の方で抑えておりますので、皆さんは時間いっぱいまでキノコを集めてください」
そう説明すると、一冊の本を取り出すモア。
「朝の7時から入山が可能です。入山は午後3時まで。我々で買い取る料金は報酬に含めておりますので、一定量までしか買い取りませんが、逆に余った分に関しては依頼後、皆さんで食べて頂いて結構です」
そしてモアは本を開く。
「ただ二点程問題があります。まず、食べられるキノコもありますが毒キノコも多く生えていること。ですがこれに関しては、この『キノコ山のキノコ辞典』を参照すれば判別できます」
見ればそのページには、美味しそうなシメジの横に毒々しい色のキノコの絵が描かれている。毒キノコの下にはドクロマークが記され、誰でも分かるようになっている。
ハンター達はペラペラと辞典をめくって行く。様々な食用キノコ、そして毒キノコが描かれている。どんな美味しいキノコが食べられるのか……否が応でも期待が高まる。
「そしてもう一つ……キノコ山では一部のキノコが雑魔化する現象が起きるのです」
その時ハンター達がめくったページには、ご丁寧なことに雑魔化したキノコについて描かれていた。
リプレイ本文
●
「キノコ狩りだな。『チャンスの女神には前髪しか生えていない』、それが師匠の教えだ……」
サムズアップしながら、集まった他のハンター達に向かってドミノ・ウィル(ka0208)がそう言った。
まだ太陽が出て間もない午前7時、キノコ山の麓に集まったハンター達。今回の目的は、キノコ山でのキノコ狩りである。
「キノコハンティングだ、ひゃっはーっ!」
と、ウーナ(ka1439)のテンションが異様に高い。
「この日のために、得物も新調してきたんだよねー」
その手にアサルトライフルを持って、妙に盛り上がっている。
「違う……キノコ狩りは……キノコを集める事……」
と、ツッコミを入れるのは、ズィルバーン・アンネ・早咲(ka3361)。
「え、そういうのじゃない?」
ウーナは素っ頓狂な声を上げた。
「そういうのじゃない……でも、雑魔がいるから……倒すのも大事……一人で行動しない方がいい……」
「アンネ殿の言う通りでござる。山では何が起こるかわからないのでござるよ」
と、アンネに藤林みほ(ka2804)が同意する。見た目からして忍者なみほは、忍者流の山で活動する際の知識を幾つか披露する。
「というわけで、互いに互いの居場所を確認しながら動くのが大切でござるよ」
と自慢げに話すみほ。
「ふぇ~、キノコ狩りですかぁ~。当然食べられないキノコさんもいっぱいありますよねぇ~? ……ちゃんと分別してもらえるんでしょうかぁ~?」
そんなみほに、おっとりとした口調でスノゥ(ka1519)が話しかける。
「それなら拙者が鑑定するでござるよ」
「私もサバイバルの知識ある、から……食べられるか鑑定、する。食べられるキノコとそっくりの、キノコ……よくある、から……そういうのは、特に注意して……見る」
と、スノゥの不安にはみほとアンネが反応する。その時、どこからともなくこもった声が聞こえた。
「こういうのはちゃんと『キノコ山のキノコ辞典』を参照したらいいだろ」
声の主は、ザレム・アズール(ka0878)。他のハンター達は声の聞こえた方に一斉に振り向く。目にしたのは、マスクと水中眼鏡を装着したアズールの怪しい姿だった。
「何をしているのでござるか?!」
「ほら、キノコ雑魔のバラ撒く胞子を吸い込むと、いろいろとおかしくなるって言ってただろ。だからこうやって対策するんだ」
と辞典の雑魔が掲載されたページを見せながら、得意気にアズールは語った。
●
「ふぁぁ……朝7時集合って眠いよぉ。9時くらいからにして、夕方までやらせてくれればいいのに」
先ほどまでテンション高くしていたウーナだが、いざキノコ狩りを始める段になって大あくびを一つ。
「山の天気は移ろいやすい。油断すると暗くなるまでに降りられなくなる。『山を甘く見るな』、それが師匠の教えだ……」
と、ドミノがサムズアップで答える。
アンナもこくこくと頷き、
「ダイバーズウォッチある、から……時計合わせ……下山時刻……気をつける」
と各々の時計の時間を合わせて準備を整える。
「そんなものなのかなぁ……じっとしてると眠っちゃいそうだから、どんどんいこ」
ウーナを先頭に山に入っていくハンター達。いざ山中に入れば、キノコを効率良く集めるため適当に別れながら集めていく。
「採って採って採りまくるぞ!」
と、アズールはフル装備&やる気満々で採りまくる。もちろんただ採りまくるだけではない。
「これは食べられる、これは毒キノコ……」
と辞典片手にテキパキと仕分けしつつ、食用キノコを背嚢に放り込んで行く。あっという間に満杯になったら次の背嚢を取り出し、再び山へ。山中の食用キノコを全て取り尽くす勢いだ。
その後ろから追いかけるようにアンナが付いて行き、キノコが無いか神経を研ぎ澄まして探す。
一方ドミノはせっかくキノコ狩りをするなら、たくさん採るのが本当はいいのだろうが、自分の好きな物探すのが一番だろ、という考えの元にターゲットをナメコに絞っていた。
「ナメコは広葉樹の倒木とか切り株とか枯れた木の幹を探すとたくさん生えてることが多い、それが師匠の教え……というか、採集につき合わされた経験なんだが。さて、ブナの木を探すか……」
「ブナの木だね。どうせ、怖いのはオバケマツタケだけだしね。バシバシ狩っちゃうよ」
と、ウーナも森をかき分け、ブナの木を探す。
やがて苔むしたブナの倒木を発見した。ブナの黄色い葉の下、木漏れ日に照らされて濃い褐色のキノコが折り重なるように生えている。お目当てのナメコだ。
二人は顔を合わせ、笑顔になってアイコンタクト。早速協力してキノコを採っていく。
「でも、辞典にはナメコにそっくりな毒キノコがあるって書いてあったよ?」
とは、ウーナの言葉。彼女はちらりと見た辞典のあるページの事を思い出していた。その名もコロリタケ。食べるとコロリと倒れ、そのまま死に至る恐ろしい毒キノコだ。
「それなら後で早咲に鑑定してもらえばいいだろう。さあ、できるだけ採るぞ」
そう言いつつ、ドミノはキノコを手当たり次第に採っていった。
「キノコ、ありませんかぁ~」
その頃、スノゥは目に入ったキノコを全部採っていた。やがて、毒々しい赤色のキノコをスノゥは見つける。躊躇いなく手を伸ばすスノゥ。
「だ、駄目でござるよー!」
と、慌ててみほが駆け寄り、スノゥを止める。スノゥが手を伸ばしていたのは毒キノコ。それも触るだけで毒を受けてしまうような猛毒のキノコだ。
「ふう、危なかったでござる。しかしここらは毒キノコが多いでござるなぁ……」
ぐるりと見回すと、あちこちに派手な色のキノコが生えている。忍者であるみほにはわかる。毒キノコだ。ここは毒キノコの群生地だろうか。そんなことを思っていた時、二人の耳に落ち葉を踏む物音が聞こえた。
とっさに物音のした方向に視線を向け、何が動いたのか注意するスノゥ。もし敵ならすぐに攻撃に移れるように、シルバーマグを手にする。やがてガサゴソと落ち葉の間から顔を見せたのは……
●
アンナは視線を下に向け、目を皿のようにしてキノコを探していた。そうやって顔を下に向け歩いていたアンナは、大木にぶつかってしまった。ポテンと尻もちをついてしまうアンナ。
「大丈夫か?」
と、アズールが慌てて戻ってきてアンナを助け起こそうとする。だが、アンナはそれを制し、
「キノコ……あった……」
と、指差す。アンナは転倒したことでミズナラの大木の根本にどっしりと座るように生えるキノコを発見した。黒褐色のキノコ。見つけたものはその嬉しさから舞い踊ったという伝承から名前が付けられたキノコ、マイタケだ。
「こいつは大当たりだぜ!」
とマイタケをゆっくりと摘み取るアズール。4、5キロはあるだろうか。相当な大物だ。その背後で、
「あ……こんなところに……」
とアンナが別のキノコを発見した。
マイタケの大株をやっと採り終え、アンナが次に見つけたキノコを採ろうと振り向いたアズールが見たものは、
「なんだか身体、熱い……体温下げる、必要……」
といそいそと着ていたセーラー服のリボンをほどき始めたアンナの姿。彼女の頬は火照っている。突然アンナが見せた女の色気に、アズールの顔も赤くなった。
思わず顔を背けたそこにあったのは、もぞもぞと動く大きなピンク色のキノコ。
「イロケタケか!」
すかさず機動砲を放ちイロケタケを吹き飛ばすアズール。そのままあわててアンナの元に駆け寄る。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫……」
と上気した顔を上目遣いにしてそう言うアンナの姿に、思わずドキリとしてしまうアズール。何とか理性で抑え、アンナを休ませると周囲を見回す。
鬱蒼と茂った森に、感じる雑魔の気配。
「奴等の群生地を一網打尽に出来るなら、今後の山の安全も図れるのだが……」
アズールは一人、駆け出していった。
●
森の中をスノゥが一人駆けていく。スノゥの先にはシマリスが一匹、同じように駆けている。落ち葉の間からスノゥが見つけたのは、森の先住人だ。リスを見つけた瞬間、キノコそっちのけで突撃するスノゥ。
「待つでござるよ!」
その後ろから慌ててみほが追いかける。そんなみほの視線の先、スノゥの近くに何かが飛び出した。
「あ、危ないでござあははは!」
スノゥをかばう様に身を投げ出したみほに向かって、ワライタケの胞子が降り注ぐ。地面をのたうち回りながら、笑い転げるみほ。
「大丈夫ですか~?」
とみほの腕の中でスノゥがそう問いかける。みほに胞子をふりかけたワライタケはスノゥが銃を抜き打ちして撃退していた。
「この程度ーっほほほほ、大丈夫でござあははは、るよよよよ」
ワライタケの影響で笑いっぱなしだったみほが突然泣き始める。二人の背後にはもう一つのキノコ雑魔、ナミダタケが襲いかかっていた。ナミダタケの胞子も吸い込んでしまい笑いながら涙が止まらないみほ。
「あ、リスさん~」
とそんなみほの苦しみを知ってか知らずか、スノゥはナミダタケの方も銃で撃退するとそのまま立ち上がり、リス目指して走りだす。
「ま、待ってーっへっへっへっ、一人で動くと危ないでーんえーんえーん、ござるよーっふっふっふっ」
走るスノゥを笑いながら泣きながら、よろよろとした足取りで追いかけるのが今のみほには精一杯だった。
●
「畜生、キリが無いぜ」
雑魔が生まれる時、そこには歪虚の影響がある。キノコ雑魔の動きから奴等の群生地を推測したアズールはそこへ向かった。結果はビンゴ。
戦闘能力が低いキノコに対策を整えたアズールが敗れる道理は無かったが、この量では一人で何とかするのもやはり難しい。一旦退いてハンターオフィスに報告し改めて調査をしよう、そう考え銃を撃ち後ろに下がっていくアズール。
そんな時だった。木漏れ日に照らされていた場所が急に影になり、暗くなる。
後ろを振り向いたアズールが見たものは……
●
「……ったく、しょうがねえなあ」
ドミノとウーナは走りだしていた。アズールからの緊急連絡。
「松茸だ!」
その一言で理解した。やがて少し開けた場所に出てくる。そこではシールドを構えたアズールがいた。そしてそれに対峙するのはマツタケ。ただのマツタケではない。大きさはアズールの倍以上は間違いなくある。オバケマツタケだった。
この難敵は頭部を振り回し、アズールにぶつける。咄嗟にアズールは防御障壁を行うが、光の壁は一瞬で破壊され、光の粒子が空に舞う。衝撃を殺しきれず吹き飛ばされるアズール。そのままドミノとウーナの元にまで飛ばされて来る。
「大丈夫か?」
「何とか」
二、三言言葉を交わすと、再びアズールは立ち上がる。
「さーて、どんなものかなヴォロンテさん!」
ウーナがアサルトライフルを撫で、照準をオバケマツタケに定める。
同時に一気に踏み込み、強烈なパンチを打ち込むドミノ。合わせるようにアズールが機動砲を打ち込む。
この二撃を受けてオバケマツタケは――体を大きく振り回し、ドミノとアズールを吹き飛ばした。
これで分かった。このオバケマツタケ、恐ろしく強い。
「あははは! 熱くなってきちゃった!」
一方、ウーナは大笑いしながらアサルトライフルを乱射していた。片手でトリガーを引きつつ、もう片方の手で服を脱ぎ始めている。ウーナの背後にはキノコが二体、ワライタケとイロケタケだ。オバケマツタケが呼び寄せたそれらの雑魔の胞子の影響を受けてしまうウーナ。
その時だった。銃声が二発響き、ワライタケとイロケタケが崩れ落ちる。
「……みんな大丈夫?」
覗きこむアンネの顔。
「……特に問題ない、と思うから……」
そう言いながらアンナは後ろを向く。そこにはウーナの背後から押し寄せるキノコ雑魔達。ウーナ自身は、
「あははは、あんまりーっひひひ、穴だらけにしたらーっははは、食べられなくなっちゃうかなーっははは」
と笑いながら、下着姿でひたすらオバケマツタケを乱射している。
そしてその時だった。戦場に天使が舞い降りた。
光に包まれた裸の少女がその場で戦う者達にマテリアルを流し込む。マテリアルを流し込まれたものは、その力をさらに発揮し、再び立ち上がって戦い始めた。
天使に見えた少女の正体は、スノゥだった。リスを追いかけてるうちにツキヨタケの胞子を吸い込んで眠ってしまい、目覚めた時にはイロケタケの胞子の影響で一糸まとわぬ姿になっていた。そんな自分の姿を気にせず、再びリスを追いかけた少女がたどり着いたのがこの場所である。なお、光っているのはツキヨタケの胞子の影響だ。これはいろんな意味で助かっている。
そして今一度オバケマツタケに攻撃を開始した。ドミノが全身全霊のパンチを打ち込み、アズールがすかさず機動砲を叩き込む。ウーナは変わらず銃を乱射する。
次の瞬間、オバケマツタケの動きが止まった。一瞬の間の後、傘の部分がずれ始め、そのまま落ちて行く。ズズーンと音を立て二つに分かれたオバケマツタケの後ろに立っていたのは、あられもない姿で手裏剣を手にしたみほである。
しかし敵がうまく倒れてくれたおかげもあり、他の仲間に横を向くチャンスがあったのが究極の救いだった。
●
「うわっ?! あたし何て格好してるんだろ?!」
戦闘が終わり、ワライタケの胞子の効果が切れて初めてウーナは自分の姿に気がついた。そしてくしゃみを一つ。
一方、みほは隅のほうで小さくなってシクシク泣いている。顔は真っ赤。泣いているのはナミダタケの影響ではなさそうだ。
「いやあ、ナメコだけのつもりが意外に採れたなこれ。どれが食えるか分からんが」
その頃、ドミノは収穫物の確認。オバケマツタケだけでも十分な量だ。これだけあれば買い取れるだけ買い取ってもらってもお釣りが来る。
「よっしゃー! キノコ料理を作るぜ!」
と、ここに来てアズールが張り切る。手早くキノコ炒め、キノコグラタン、ホイル焼き……温かいキノコ料理をたくさん作り、
「とりあえず暖かくしたほうがいいぜ」
と皆に勧める。
「……お父さんの、おつまみに……うちではよく、作ってた」
そこにアンナが出してきたのはフライ。小ぶりなキノコを揚げてレモンを添えたものだ。
「あー、これ美味しい!」
「……うう、心に染みるでござる」
「リスさん居なくなったですぅ~」
美味しいキノコ料理を楽しむハンター達。色々酷い目にあったハンター達の心をキノコ料理が癒してくれた。
「さて、これを焼く、と」
その頃、アズールは何やら別のキノコを焼き、口に運んでいた。
「おお、こ、これはうまい! すげえうまいーッヒッヒッヒッ、わ、笑っちゃうぐらい美味いぜーっへっへっ!」
「どうしたでござるか?!」
「……ワライタケを食べれば……こうなる」
その後、辞典のキノコ型雑魔の欄に、しっかりとドクロマークが記されたのは言うまでもない。
「キノコ狩りだな。『チャンスの女神には前髪しか生えていない』、それが師匠の教えだ……」
サムズアップしながら、集まった他のハンター達に向かってドミノ・ウィル(ka0208)がそう言った。
まだ太陽が出て間もない午前7時、キノコ山の麓に集まったハンター達。今回の目的は、キノコ山でのキノコ狩りである。
「キノコハンティングだ、ひゃっはーっ!」
と、ウーナ(ka1439)のテンションが異様に高い。
「この日のために、得物も新調してきたんだよねー」
その手にアサルトライフルを持って、妙に盛り上がっている。
「違う……キノコ狩りは……キノコを集める事……」
と、ツッコミを入れるのは、ズィルバーン・アンネ・早咲(ka3361)。
「え、そういうのじゃない?」
ウーナは素っ頓狂な声を上げた。
「そういうのじゃない……でも、雑魔がいるから……倒すのも大事……一人で行動しない方がいい……」
「アンネ殿の言う通りでござる。山では何が起こるかわからないのでござるよ」
と、アンネに藤林みほ(ka2804)が同意する。見た目からして忍者なみほは、忍者流の山で活動する際の知識を幾つか披露する。
「というわけで、互いに互いの居場所を確認しながら動くのが大切でござるよ」
と自慢げに話すみほ。
「ふぇ~、キノコ狩りですかぁ~。当然食べられないキノコさんもいっぱいありますよねぇ~? ……ちゃんと分別してもらえるんでしょうかぁ~?」
そんなみほに、おっとりとした口調でスノゥ(ka1519)が話しかける。
「それなら拙者が鑑定するでござるよ」
「私もサバイバルの知識ある、から……食べられるか鑑定、する。食べられるキノコとそっくりの、キノコ……よくある、から……そういうのは、特に注意して……見る」
と、スノゥの不安にはみほとアンネが反応する。その時、どこからともなくこもった声が聞こえた。
「こういうのはちゃんと『キノコ山のキノコ辞典』を参照したらいいだろ」
声の主は、ザレム・アズール(ka0878)。他のハンター達は声の聞こえた方に一斉に振り向く。目にしたのは、マスクと水中眼鏡を装着したアズールの怪しい姿だった。
「何をしているのでござるか?!」
「ほら、キノコ雑魔のバラ撒く胞子を吸い込むと、いろいろとおかしくなるって言ってただろ。だからこうやって対策するんだ」
と辞典の雑魔が掲載されたページを見せながら、得意気にアズールは語った。
●
「ふぁぁ……朝7時集合って眠いよぉ。9時くらいからにして、夕方までやらせてくれればいいのに」
先ほどまでテンション高くしていたウーナだが、いざキノコ狩りを始める段になって大あくびを一つ。
「山の天気は移ろいやすい。油断すると暗くなるまでに降りられなくなる。『山を甘く見るな』、それが師匠の教えだ……」
と、ドミノがサムズアップで答える。
アンナもこくこくと頷き、
「ダイバーズウォッチある、から……時計合わせ……下山時刻……気をつける」
と各々の時計の時間を合わせて準備を整える。
「そんなものなのかなぁ……じっとしてると眠っちゃいそうだから、どんどんいこ」
ウーナを先頭に山に入っていくハンター達。いざ山中に入れば、キノコを効率良く集めるため適当に別れながら集めていく。
「採って採って採りまくるぞ!」
と、アズールはフル装備&やる気満々で採りまくる。もちろんただ採りまくるだけではない。
「これは食べられる、これは毒キノコ……」
と辞典片手にテキパキと仕分けしつつ、食用キノコを背嚢に放り込んで行く。あっという間に満杯になったら次の背嚢を取り出し、再び山へ。山中の食用キノコを全て取り尽くす勢いだ。
その後ろから追いかけるようにアンナが付いて行き、キノコが無いか神経を研ぎ澄まして探す。
一方ドミノはせっかくキノコ狩りをするなら、たくさん採るのが本当はいいのだろうが、自分の好きな物探すのが一番だろ、という考えの元にターゲットをナメコに絞っていた。
「ナメコは広葉樹の倒木とか切り株とか枯れた木の幹を探すとたくさん生えてることが多い、それが師匠の教え……というか、採集につき合わされた経験なんだが。さて、ブナの木を探すか……」
「ブナの木だね。どうせ、怖いのはオバケマツタケだけだしね。バシバシ狩っちゃうよ」
と、ウーナも森をかき分け、ブナの木を探す。
やがて苔むしたブナの倒木を発見した。ブナの黄色い葉の下、木漏れ日に照らされて濃い褐色のキノコが折り重なるように生えている。お目当てのナメコだ。
二人は顔を合わせ、笑顔になってアイコンタクト。早速協力してキノコを採っていく。
「でも、辞典にはナメコにそっくりな毒キノコがあるって書いてあったよ?」
とは、ウーナの言葉。彼女はちらりと見た辞典のあるページの事を思い出していた。その名もコロリタケ。食べるとコロリと倒れ、そのまま死に至る恐ろしい毒キノコだ。
「それなら後で早咲に鑑定してもらえばいいだろう。さあ、できるだけ採るぞ」
そう言いつつ、ドミノはキノコを手当たり次第に採っていった。
「キノコ、ありませんかぁ~」
その頃、スノゥは目に入ったキノコを全部採っていた。やがて、毒々しい赤色のキノコをスノゥは見つける。躊躇いなく手を伸ばすスノゥ。
「だ、駄目でござるよー!」
と、慌ててみほが駆け寄り、スノゥを止める。スノゥが手を伸ばしていたのは毒キノコ。それも触るだけで毒を受けてしまうような猛毒のキノコだ。
「ふう、危なかったでござる。しかしここらは毒キノコが多いでござるなぁ……」
ぐるりと見回すと、あちこちに派手な色のキノコが生えている。忍者であるみほにはわかる。毒キノコだ。ここは毒キノコの群生地だろうか。そんなことを思っていた時、二人の耳に落ち葉を踏む物音が聞こえた。
とっさに物音のした方向に視線を向け、何が動いたのか注意するスノゥ。もし敵ならすぐに攻撃に移れるように、シルバーマグを手にする。やがてガサゴソと落ち葉の間から顔を見せたのは……
●
アンナは視線を下に向け、目を皿のようにしてキノコを探していた。そうやって顔を下に向け歩いていたアンナは、大木にぶつかってしまった。ポテンと尻もちをついてしまうアンナ。
「大丈夫か?」
と、アズールが慌てて戻ってきてアンナを助け起こそうとする。だが、アンナはそれを制し、
「キノコ……あった……」
と、指差す。アンナは転倒したことでミズナラの大木の根本にどっしりと座るように生えるキノコを発見した。黒褐色のキノコ。見つけたものはその嬉しさから舞い踊ったという伝承から名前が付けられたキノコ、マイタケだ。
「こいつは大当たりだぜ!」
とマイタケをゆっくりと摘み取るアズール。4、5キロはあるだろうか。相当な大物だ。その背後で、
「あ……こんなところに……」
とアンナが別のキノコを発見した。
マイタケの大株をやっと採り終え、アンナが次に見つけたキノコを採ろうと振り向いたアズールが見たものは、
「なんだか身体、熱い……体温下げる、必要……」
といそいそと着ていたセーラー服のリボンをほどき始めたアンナの姿。彼女の頬は火照っている。突然アンナが見せた女の色気に、アズールの顔も赤くなった。
思わず顔を背けたそこにあったのは、もぞもぞと動く大きなピンク色のキノコ。
「イロケタケか!」
すかさず機動砲を放ちイロケタケを吹き飛ばすアズール。そのままあわててアンナの元に駆け寄る。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫……」
と上気した顔を上目遣いにしてそう言うアンナの姿に、思わずドキリとしてしまうアズール。何とか理性で抑え、アンナを休ませると周囲を見回す。
鬱蒼と茂った森に、感じる雑魔の気配。
「奴等の群生地を一網打尽に出来るなら、今後の山の安全も図れるのだが……」
アズールは一人、駆け出していった。
●
森の中をスノゥが一人駆けていく。スノゥの先にはシマリスが一匹、同じように駆けている。落ち葉の間からスノゥが見つけたのは、森の先住人だ。リスを見つけた瞬間、キノコそっちのけで突撃するスノゥ。
「待つでござるよ!」
その後ろから慌ててみほが追いかける。そんなみほの視線の先、スノゥの近くに何かが飛び出した。
「あ、危ないでござあははは!」
スノゥをかばう様に身を投げ出したみほに向かって、ワライタケの胞子が降り注ぐ。地面をのたうち回りながら、笑い転げるみほ。
「大丈夫ですか~?」
とみほの腕の中でスノゥがそう問いかける。みほに胞子をふりかけたワライタケはスノゥが銃を抜き打ちして撃退していた。
「この程度ーっほほほほ、大丈夫でござあははは、るよよよよ」
ワライタケの影響で笑いっぱなしだったみほが突然泣き始める。二人の背後にはもう一つのキノコ雑魔、ナミダタケが襲いかかっていた。ナミダタケの胞子も吸い込んでしまい笑いながら涙が止まらないみほ。
「あ、リスさん~」
とそんなみほの苦しみを知ってか知らずか、スノゥはナミダタケの方も銃で撃退するとそのまま立ち上がり、リス目指して走りだす。
「ま、待ってーっへっへっへっ、一人で動くと危ないでーんえーんえーん、ござるよーっふっふっふっ」
走るスノゥを笑いながら泣きながら、よろよろとした足取りで追いかけるのが今のみほには精一杯だった。
●
「畜生、キリが無いぜ」
雑魔が生まれる時、そこには歪虚の影響がある。キノコ雑魔の動きから奴等の群生地を推測したアズールはそこへ向かった。結果はビンゴ。
戦闘能力が低いキノコに対策を整えたアズールが敗れる道理は無かったが、この量では一人で何とかするのもやはり難しい。一旦退いてハンターオフィスに報告し改めて調査をしよう、そう考え銃を撃ち後ろに下がっていくアズール。
そんな時だった。木漏れ日に照らされていた場所が急に影になり、暗くなる。
後ろを振り向いたアズールが見たものは……
●
「……ったく、しょうがねえなあ」
ドミノとウーナは走りだしていた。アズールからの緊急連絡。
「松茸だ!」
その一言で理解した。やがて少し開けた場所に出てくる。そこではシールドを構えたアズールがいた。そしてそれに対峙するのはマツタケ。ただのマツタケではない。大きさはアズールの倍以上は間違いなくある。オバケマツタケだった。
この難敵は頭部を振り回し、アズールにぶつける。咄嗟にアズールは防御障壁を行うが、光の壁は一瞬で破壊され、光の粒子が空に舞う。衝撃を殺しきれず吹き飛ばされるアズール。そのままドミノとウーナの元にまで飛ばされて来る。
「大丈夫か?」
「何とか」
二、三言言葉を交わすと、再びアズールは立ち上がる。
「さーて、どんなものかなヴォロンテさん!」
ウーナがアサルトライフルを撫で、照準をオバケマツタケに定める。
同時に一気に踏み込み、強烈なパンチを打ち込むドミノ。合わせるようにアズールが機動砲を打ち込む。
この二撃を受けてオバケマツタケは――体を大きく振り回し、ドミノとアズールを吹き飛ばした。
これで分かった。このオバケマツタケ、恐ろしく強い。
「あははは! 熱くなってきちゃった!」
一方、ウーナは大笑いしながらアサルトライフルを乱射していた。片手でトリガーを引きつつ、もう片方の手で服を脱ぎ始めている。ウーナの背後にはキノコが二体、ワライタケとイロケタケだ。オバケマツタケが呼び寄せたそれらの雑魔の胞子の影響を受けてしまうウーナ。
その時だった。銃声が二発響き、ワライタケとイロケタケが崩れ落ちる。
「……みんな大丈夫?」
覗きこむアンネの顔。
「……特に問題ない、と思うから……」
そう言いながらアンナは後ろを向く。そこにはウーナの背後から押し寄せるキノコ雑魔達。ウーナ自身は、
「あははは、あんまりーっひひひ、穴だらけにしたらーっははは、食べられなくなっちゃうかなーっははは」
と笑いながら、下着姿でひたすらオバケマツタケを乱射している。
そしてその時だった。戦場に天使が舞い降りた。
光に包まれた裸の少女がその場で戦う者達にマテリアルを流し込む。マテリアルを流し込まれたものは、その力をさらに発揮し、再び立ち上がって戦い始めた。
天使に見えた少女の正体は、スノゥだった。リスを追いかけてるうちにツキヨタケの胞子を吸い込んで眠ってしまい、目覚めた時にはイロケタケの胞子の影響で一糸まとわぬ姿になっていた。そんな自分の姿を気にせず、再びリスを追いかけた少女がたどり着いたのがこの場所である。なお、光っているのはツキヨタケの胞子の影響だ。これはいろんな意味で助かっている。
そして今一度オバケマツタケに攻撃を開始した。ドミノが全身全霊のパンチを打ち込み、アズールがすかさず機動砲を叩き込む。ウーナは変わらず銃を乱射する。
次の瞬間、オバケマツタケの動きが止まった。一瞬の間の後、傘の部分がずれ始め、そのまま落ちて行く。ズズーンと音を立て二つに分かれたオバケマツタケの後ろに立っていたのは、あられもない姿で手裏剣を手にしたみほである。
しかし敵がうまく倒れてくれたおかげもあり、他の仲間に横を向くチャンスがあったのが究極の救いだった。
●
「うわっ?! あたし何て格好してるんだろ?!」
戦闘が終わり、ワライタケの胞子の効果が切れて初めてウーナは自分の姿に気がついた。そしてくしゃみを一つ。
一方、みほは隅のほうで小さくなってシクシク泣いている。顔は真っ赤。泣いているのはナミダタケの影響ではなさそうだ。
「いやあ、ナメコだけのつもりが意外に採れたなこれ。どれが食えるか分からんが」
その頃、ドミノは収穫物の確認。オバケマツタケだけでも十分な量だ。これだけあれば買い取れるだけ買い取ってもらってもお釣りが来る。
「よっしゃー! キノコ料理を作るぜ!」
と、ここに来てアズールが張り切る。手早くキノコ炒め、キノコグラタン、ホイル焼き……温かいキノコ料理をたくさん作り、
「とりあえず暖かくしたほうがいいぜ」
と皆に勧める。
「……お父さんの、おつまみに……うちではよく、作ってた」
そこにアンナが出してきたのはフライ。小ぶりなキノコを揚げてレモンを添えたものだ。
「あー、これ美味しい!」
「……うう、心に染みるでござる」
「リスさん居なくなったですぅ~」
美味しいキノコ料理を楽しむハンター達。色々酷い目にあったハンター達の心をキノコ料理が癒してくれた。
「さて、これを焼く、と」
その頃、アズールは何やら別のキノコを焼き、口に運んでいた。
「おお、こ、これはうまい! すげえうまいーッヒッヒッヒッ、わ、笑っちゃうぐらい美味いぜーっへっへっ!」
「どうしたでござるか?!」
「……ワライタケを食べれば……こうなる」
その後、辞典のキノコ型雑魔の欄に、しっかりとドクロマークが記されたのは言うまでもない。
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依頼相談掲示板 | |||
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作戦(?)相談卓 ウーナ(ka1439) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/11/13 21:14:03 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/09 06:04:27 |