ゲスト
(ka0000)
若宮大路一の鳥居 巨大百足討伐戦
マスター:貴島春介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/09/02 07:30
- 完成日
- 2017/09/14 23:19
このシナリオは3日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
北鎌倉駅。稲村ヶ崎。逗子マリーナ。
鎌倉のランドマーク3カ所のアンテナ塔、破壊。
参戦したハンターたちの活躍により、鎌倉クラスタ攻略への足がかりを得たメタ・シャングリラの面々。
鎌倉クラスタが居座る鶴ヶ丘八幡宮へと伸びる若宮大路
アンテナが破壊されたことにより、機械類の使用制限が解除された。即座に鎌倉クラスタ周辺の索敵、電子的な調査が開始される。
復旧後の電子機器をフル稼働させた探査で、飛び込んできた情報があった。
鶴ヶ岡八幡宮へと続くメインストリート、若宮大路に鎮座する鳥居の異常であった。
若宮大路に立つ3つの鳥居のうちもっとも由比ヶ浜海岸に近いもの、通称「一の鳥居」と呼ばれる御影石の鳥居。その壮麗な岩肌に取り付く巨大な雑魔の姿。
それは、巨大な百足の姿をしていた。全長8.5mの一の鳥居にぞろりぞろりと幾重にも巻き付いていることから、全長は15mほどと推定される。
荒廃した大路に鳥居だけが立ち尽くす様はどこかしら神秘的なものが漂う。これも、古都鎌倉という場所が持つ霊力であろうか。
そして、その神々しいモニュメントに巻き付く多足の怪物は、神意を汚す悪魔じみて、我が物顔に大路を睥睨している。
鎌倉クラスタ到達のために、百足雑魔との対決は必至。
巨大百足討伐作戦の決定が下された。
鎌倉のランドマーク3カ所のアンテナ塔、破壊。
参戦したハンターたちの活躍により、鎌倉クラスタ攻略への足がかりを得たメタ・シャングリラの面々。
鎌倉クラスタが居座る鶴ヶ丘八幡宮へと伸びる若宮大路
アンテナが破壊されたことにより、機械類の使用制限が解除された。即座に鎌倉クラスタ周辺の索敵、電子的な調査が開始される。
復旧後の電子機器をフル稼働させた探査で、飛び込んできた情報があった。
鶴ヶ岡八幡宮へと続くメインストリート、若宮大路に鎮座する鳥居の異常であった。
若宮大路に立つ3つの鳥居のうちもっとも由比ヶ浜海岸に近いもの、通称「一の鳥居」と呼ばれる御影石の鳥居。その壮麗な岩肌に取り付く巨大な雑魔の姿。
それは、巨大な百足の姿をしていた。全長8.5mの一の鳥居にぞろりぞろりと幾重にも巻き付いていることから、全長は15mほどと推定される。
荒廃した大路に鳥居だけが立ち尽くす様はどこかしら神秘的なものが漂う。これも、古都鎌倉という場所が持つ霊力であろうか。
そして、その神々しいモニュメントに巻き付く多足の怪物は、神意を汚す悪魔じみて、我が物顔に大路を睥睨している。
鎌倉クラスタ到達のために、百足雑魔との対決は必至。
巨大百足討伐作戦の決定が下された。
リプレイ本文
「グレン、ここがリアルブルーだが問題ないか?」
ヴァイス(ka0364)は、初転移である相棒のグレンにリアルブルーの感触を確認する。
ぐるる、と軽いうなりで返答するグレンの体に緊張はなく、適度なリラックスを保っている。これならばいつもの調子が出せるだろう。
今回、大型で動きが読めない敵に相対するに当たり、各々がトランシーバーを持ち連携を取ることになった。ヴァイスがトランシーバーの周波数を設定すると仲間の会話が聞こえてくる。
「巨大百足ねえ……。こりゃあ、中々のゲテモノだな?」
魔導型デュミナスのカメラで敵影を視認したソレル・ユークレース(ka1693)が言う。
「そーいや、でかいムカデを唾付けて倒すってジャパニーズフォークロアあったよな。あれってマジなのか?」
アニス・テスタロッサ(ka0141)が博識なところを披露する。
「後、気をつけることってえと、建造物……目立つものだと鳥居か。それに被害が出ないようにってとこか」
「この場所で全員ユニットっていうのもね……せっかくの鳥居が壊れちゃいそうな気がしたのよ」
マリィア・バルデス(ka5848)マリィアが会話に参加した。彼女は、今回超遠距離から援護に回ることになっている。
「鳥居は、出来るだけ破壊しないようにするけどよ、壊れたならそれはそれで仕方ねーんじゃねえの?」と、アニス。
「リアルブルーのことには詳しくないが、神サマの通り道って奴なんじゃないのかね。そりゃあ大事にしないとな」
「あの大きさなら、制圧射撃が敵の身体だけで済みそうだもの。皆に攻撃を当てて貰うためにも積極的に使うべきね」
「ク。クリムゾンウェストのスライムが可愛く思えてきたかも。あんまり直視したくない相手だけど、頑張らないと」
天王寺茜(ka4080)茜の声に、ちょっと弱気が入っている。異世界で異様な形状のモンスターと戦った経験を持ってしても、巨大な害虫の姿というのは中々つらいものがある。
「リアルブルーだろうが、クリムゾンウェストだろうがやることは変わらんさ。請けた依頼は最後までしっかりと遣り遂げるのがポリシーってやつだ」
ソレルが気合をいれろとばかりに声を上げる。
「さて、怪物退治といきますか!」
場所変わって、ユニットに搭乗するメンバーたちから離れた後方。
若宮大路からやや離れた4階建てのビルの屋上に、八原 篝(ka3104)が陣取っていた。
仕掛ける前に、後手ごろな高さの建物に登って射線を確保した。すでに電気の供給も途切れ、窓ガラスも屋上の鍵も壊れた建物だったが、壁を歩ける篝はビルの状態をものともせず屋上に侵入した。
作戦前に、周辺の地図と地形を頭に入れておいたのが功を奏し、最適な建物を見つけることができた。
射線を確認し、トランシーバーに一報。
「こちら篝。位置に付いた。範囲攻撃で鳥居が巻き込まれる恐れがあるから、わたしが射撃して百足を釣り出す」
篝の視点の先には、巨大百足が巻き付く一の鳥居。
さらにビルの篝よりも高度上空。飛行竜の背に体を預けたエルフの美女が、眼下の巨大百足に嫌悪の視線を向けている。
「何とも禍々しく醜悪な様じゃ……神域への入口を斯様に穢すとはのう……」
扇子で口元を隠し、蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)蜜鈴は独りごちた。
「さぁ天禄……初仕事じゃ……何故じゃろうのう……おんしと斯様に空を飛ぶを、懐かしいと感じるのは……」
蜜鈴は天禄の首筋を撫でながら微笑む。
(頭部と尾を常に意識し隙を突かれぬ様留意せねばのう……)
上空からであれば、戦場を俯瞰して確認することができる。巨大百足の様子や、敵味方の位置取りなども容易にわかる。
ちらりと地上のユニット部隊、8m級のユニットに挟まれた、3m足らずの魔導アーマーを見やる。何事もなければよいが……
「フッ、重体でもそこそこ戦える、ユニットとは実に良いものだ」
上空から不安げな視線を注がれているとはつゆ知らず、呵々大笑するルベーノ・バルバライン(ka6752)。
未だ傷の癒えぬ体をがっちりとユニットに固定してはいるものの、1発殴られただけで昇天可能な体力。プラヴァーの動きからも、普段の冴えは失われている。
「ふむ、この大きさだからこそ鳥居を気にせず戦える。小さいこともこういう時は悪くないな、ハッハッハ」
危機的状況だとしても。いや、危機的状況だからこそ、か。ルベーノの余裕とポジティブさは揺るぎない。
それが、命取りにならなければよいのだが……
ふたたび、ビル屋上。
篝は歯車の回る音と共にピアッサーを展開して破魔矢をつがえる。
(そういえば、大百足退治の英雄の昔話があったわね)
今の篝の手にあるのは和弓ではなく異世界の機械弓、龍神からではなくソサエティの依頼だけれど……
物語に倣い破魔矢のやじりを舐めて引き絞り――放つ!
鋭い風斬り音と共に放たれた矢は、あやまたず巨大百足の顔面に命中する。
百足はギチギチと節足を鳴らし、体をくねらせて悶える。鳥居から離れると、攻撃の発生源を探すように周囲に体を伸ばし始める
そこを狙い澄ましたかのように、ビームガンの掃射が百足の体を打った。
「タダの的になりたくなきゃ来いよデカブツ。遊んでやんよ」
好戦的な笑みを浮かべ、アニスはビームガンの掃射を続行する。
アニスのユニットが攻撃の発生源と認識した百足はアゴをがつんがつんと打ち鳴らし、深紅のCAMに接近する。
百足が完全に鳥居から離れるまで、アニスは挑発するようにビームガンを撃ちながら接近する。
(そうだ、そのままもっと寄って来やがれ!)
「罪の果実に手を伸ばした事を懺悔するがよい……如何に地に伏せようと許しはせぬがのう? (くすくす)」
艶めいた唇に、とろけるような微笑み。
百足が鳥居から充分に放れたのを見計らい、蜜鈴は広域魔法を解き放つ。
『広がる枝葉、囲むは小さき世界、大地に跪き、己が手にした罪を識れ』
重力が巨大百足を中心に収束し、何倍にもなった自重が、その体をギシギシと押し潰す。
悲鳴のようにキチキチと節足を鳴らす巨大百足。
「鳥居から離れてくれりゃあ、あとは気兼ねなくブチのめせるってもんだ!」
アクティブスラスターも使って一気に距離を詰めたアニスが真正面から剣を叩きつける。
動きの自由を奪われた百足に、魔導型デュミナスの渾身の一撃が叩きつけられる。片刃の斧が、百足の甲殻を易々と砕き割った。
「この攻撃で警戒もしてくれたら儲けもんだな」
デュミナスの斧を構え直し、ソレルは百足の反撃に備える。
「自分のスキルが使えなくてもプラヴァーのスキルがある! まだまだやれるぞ、はっはっは」
余裕の高笑いを響かせ、プラヴァーの鋼鉄の拳が百足の頭を打ち据える。
「いくぞ、グレン!」
グレンは燃えるがごとく紅い毛並みをなびかせ、ヴァイスはマテリアルのオーラをきらめかせ。マテリアルを注ぎ込み構えた槍が百足の顔面を貫いた。攻撃の手応えを確かめたのち、グレンの機動力を活かし即座に引く。グレンと共に動き回りながら確実に攻撃を加えていく戦法だ。
ギチギチ、ギチギチと耳障りな音をまき散らし、百足はアゴを大きく開閉する。
その瞬間、百足の頭は胴体から離れ、接近したレラージュ・ベナンディ、デュミナス、プラヴァー、ヴァイスとグレンを巻き込み、毒牙を突き立てた!
ユニットの装甲は泡立って腐食し、グレンの体はガクガクと震え始める。
「グレン! 大丈夫か?」
ヴァイスの焦った声。
「毒を浄化します!そのまま!」
茜が即座に『機導浄化術・浄癒』を発動させる。生物からは解毒、機械からは防御低下を取り除く。
ハンターたちに一矢報いた百足の頭部はそのまま沈黙し、頭部を失った残りの部分は長々と地面に横たわる……かに見えたが。
「気を付けろ! 体は生きているぞ!」
ヴァイスの警告が飛ぶと同時に。
頭部を失った残りの胴体が、ケイレンじみた動きをしながら地面を跳ね回った。
地響きをとどろかせ、ハンターたちを巻き込み惜し潰そうとする。
そこに打ち込まれる正確無比な射撃。マリィアによる、戦闘の隙間を縫った遠距離からの狙撃が百足の動きを押さえ込んだ。
魔導銃の最大射程位置に、バイクに跨がったまま。全弾命中を確認したマリィアは、手元を見ることなく弾丸を高速でリロード。
「これだけ離れていて、しかも乗っているのはバビエーカなのよ? 皆の邪魔にもならず雑魔に追いつかれもしないと信じたいところね」
冷徹なるスナイパーの姿が、そこにはあった。
「うひゃあ……これは想像以上に気持ち悪い(汗)」
どうしても声音に弱気がにじんでしまう茜は、百足から4、5m距離を取り、魔法による射撃を試みる。
茜の目の前に光でできた三角形が浮かび上がり、頂点から放たれた3つの光が、百足の尾を灼く。
さらには、篝の放った2本の破魔矢が、尾に近い節に連続で突き刺さった。百足の体に比べればか細い矢だが、その破魔の威力が、雑魔の体を地面に縫い止める。
「狙いは脚部……手を出させはせぬ……何よりも、逃しはせぬよ?」
くすくす、とどこか嬉しそうに喉の奥で笑う蜜鈴。銃の射程内まで接近、脚部関節を狙い撃ち抜く。
「自慢の脚もなくなってしまえばただの肉塊よのう?」
数本の節足がはじけ飛び、体液がまき散らされる。
無数の節足が空をかき、その鋭い切っ先にハンターたちを捉えようとする。
しかし、ヴァイスの駆るグレンは、木々を利用し飛び跳ね回りながら行動し、百足の動きに巻き込まれるのを防いでいる。
「天禄は随分と張り切って居る様じゃてのう……」
蜜鈴の言葉通り、天禄はアクロバティックな動きで敵を翻弄する様に飛行し、あるじを乗せたまま回避行動をとる。攻撃重視の蜜鈴とは対照的に、回避を重視しているようだ。
動きの鈍った今が好機と、ソレルの魔導型デュナミスが猛然と斧を振り上げ、重さを乗せて叩きつける。そのまま百足に掴みかかった。
「デュナミスでこいつの体を押さえる! そうすりゃあ、もっと攻撃も当てやすくなるだろ?」
トランシーバーに流れるソレルの声。
「ソレル! その意気や良し! そして、我が手にはまだ、ユニットスキルがある!」
ルベーノはソレルの動きに即座に対応した。プラヴァーの魔導エンジンの出力を上昇。
エンジンが最大出力に到達し、プラヴァーの脚部から噴出した光が翼のように広がる。
「ハッハッハ! 雑魔よ! 我が覇道の礎となれぃ!」
足裏と踵のローラーがうなりを上げ、エンジンをフルバーストさせた全速力の突撃が敢行される。
イカロスブレイカー! プラヴァーが、自身の4倍はあろうかという百足の長大な体に、弾丸のように突き刺さる。百足の胴体に一直線に光が走る。マテリアルの光が内側からあふれ、百足は体の内部から甚大なダメージを負う。
『轟く雷、穿つは我が怨敵…一閃の想いに貫かれ、己が矮小さを識れ』
たたみ掛けるように、蜜鈴が歌うように呪文を詠唱する。蜜鈴の前方から稲光が一直線に走り、百足の体を捉え焼き焦がす。
「神の雷……と言うじゃろう? 愚か者は其の身を貫かれ、散り逝くと良いよ」
光と稲妻に打ち据えられ動きが緩慢になる百足の目前に、深紅の影が現れる。アニスのレラージュ・ベナンディがスラスターを全開に肉薄した。
「もらったぁ!」
マテリアルの刃「イディナローク」が、百足の体の中心を捉え、そのまま”縦に”叩き切る!
ズ……ズン、と巨大な質量が地をゆらす音が2つ響く。百足雑魔の体は両断され、そのままマテリアルの炎で燃え朽ちてゆく。
「マテリアル兵装特化運用のテストにゃちょうど良かったか」
コックピット内で、アニスは不敵に笑った。
百足の無力化を確認したあと、ヴァイスを先頭に、全員で付近の安全確認を行った。鳥居のある地面には、百足が這い出てきたと思しき大穴が空いていたが、別個体又は別胴体の危険はなさそうだ。
もっとも生還が心配されていたルベーノも、無事だった。プラヴァーは多少傷ついたが、茜の迅速な浄化魔法によって被害は最小限に抑えられている。
「天禄……妾の騎士……その名を持つ者をこの手の中で喪い……今一度この名を授ける者が現れると思うて居らなんだ……なれどおんしは妾に逢いに来てくれた……心より感謝しよるよ」
天禄に愛おしげに頬寄せて、蜜鈴は感謝の言葉を囁く。
一方で、バビエーカで合流したマリィアが、考え込む表情で鳥居を見つめている。
「雑魔だからどこに居てもおかしくないのかもしれないけど……リアルブルーで、鎌倉クラスタで、この大きさの雑魔が出るというのは違和感があるの……本当に自然発生なのかしら。界を渡る高位歪虚が協力用に持ち込んだものじゃないかしらって思ってしまうのよ」
浮かない顔のマリィアを見て、つとめて明るく茜が言った。
「あ、そうだ。鳥居にお参りしておきませんか?」
(……皆が無事に帰ってきますように)
きちんと合掌し、鳥居に向かって頭を垂れる。クリムゾンウエスト出身者も、茜にならう者、自分の信仰に合わせた祈りをする者と様々だ。
鎌倉クラスタ攻略戦の成功と皆の無事を祈って戦勝祈願をする。クリムゾンウェストに精霊がいるのなら、茜にはリアルブルーの神仏もあながち無碍にできない。
「首尾よく百足を退治できたから、鳥居の先の鶴岡八幡宮まで足を伸ばせたらよかったけど」
篝が少し残念そうにつぶやいた。
一の鳥居をくぐり、若宮大路を直進すれば鶴ヶ岡八幡宮。現在は鎌倉クラスタの中心。多数のハンターが派遣され、いまなお攻略戦が戦われている。
鎌倉クラスタ殲滅戦には友人も参加している。無事を祈り、茜は真摯に手を合わせた。
ヴァイス(ka0364)は、初転移である相棒のグレンにリアルブルーの感触を確認する。
ぐるる、と軽いうなりで返答するグレンの体に緊張はなく、適度なリラックスを保っている。これならばいつもの調子が出せるだろう。
今回、大型で動きが読めない敵に相対するに当たり、各々がトランシーバーを持ち連携を取ることになった。ヴァイスがトランシーバーの周波数を設定すると仲間の会話が聞こえてくる。
「巨大百足ねえ……。こりゃあ、中々のゲテモノだな?」
魔導型デュミナスのカメラで敵影を視認したソレル・ユークレース(ka1693)が言う。
「そーいや、でかいムカデを唾付けて倒すってジャパニーズフォークロアあったよな。あれってマジなのか?」
アニス・テスタロッサ(ka0141)が博識なところを披露する。
「後、気をつけることってえと、建造物……目立つものだと鳥居か。それに被害が出ないようにってとこか」
「この場所で全員ユニットっていうのもね……せっかくの鳥居が壊れちゃいそうな気がしたのよ」
マリィア・バルデス(ka5848)マリィアが会話に参加した。彼女は、今回超遠距離から援護に回ることになっている。
「鳥居は、出来るだけ破壊しないようにするけどよ、壊れたならそれはそれで仕方ねーんじゃねえの?」と、アニス。
「リアルブルーのことには詳しくないが、神サマの通り道って奴なんじゃないのかね。そりゃあ大事にしないとな」
「あの大きさなら、制圧射撃が敵の身体だけで済みそうだもの。皆に攻撃を当てて貰うためにも積極的に使うべきね」
「ク。クリムゾンウェストのスライムが可愛く思えてきたかも。あんまり直視したくない相手だけど、頑張らないと」
天王寺茜(ka4080)茜の声に、ちょっと弱気が入っている。異世界で異様な形状のモンスターと戦った経験を持ってしても、巨大な害虫の姿というのは中々つらいものがある。
「リアルブルーだろうが、クリムゾンウェストだろうがやることは変わらんさ。請けた依頼は最後までしっかりと遣り遂げるのがポリシーってやつだ」
ソレルが気合をいれろとばかりに声を上げる。
「さて、怪物退治といきますか!」
場所変わって、ユニットに搭乗するメンバーたちから離れた後方。
若宮大路からやや離れた4階建てのビルの屋上に、八原 篝(ka3104)が陣取っていた。
仕掛ける前に、後手ごろな高さの建物に登って射線を確保した。すでに電気の供給も途切れ、窓ガラスも屋上の鍵も壊れた建物だったが、壁を歩ける篝はビルの状態をものともせず屋上に侵入した。
作戦前に、周辺の地図と地形を頭に入れておいたのが功を奏し、最適な建物を見つけることができた。
射線を確認し、トランシーバーに一報。
「こちら篝。位置に付いた。範囲攻撃で鳥居が巻き込まれる恐れがあるから、わたしが射撃して百足を釣り出す」
篝の視点の先には、巨大百足が巻き付く一の鳥居。
さらにビルの篝よりも高度上空。飛行竜の背に体を預けたエルフの美女が、眼下の巨大百足に嫌悪の視線を向けている。
「何とも禍々しく醜悪な様じゃ……神域への入口を斯様に穢すとはのう……」
扇子で口元を隠し、蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)蜜鈴は独りごちた。
「さぁ天禄……初仕事じゃ……何故じゃろうのう……おんしと斯様に空を飛ぶを、懐かしいと感じるのは……」
蜜鈴は天禄の首筋を撫でながら微笑む。
(頭部と尾を常に意識し隙を突かれぬ様留意せねばのう……)
上空からであれば、戦場を俯瞰して確認することができる。巨大百足の様子や、敵味方の位置取りなども容易にわかる。
ちらりと地上のユニット部隊、8m級のユニットに挟まれた、3m足らずの魔導アーマーを見やる。何事もなければよいが……
「フッ、重体でもそこそこ戦える、ユニットとは実に良いものだ」
上空から不安げな視線を注がれているとはつゆ知らず、呵々大笑するルベーノ・バルバライン(ka6752)。
未だ傷の癒えぬ体をがっちりとユニットに固定してはいるものの、1発殴られただけで昇天可能な体力。プラヴァーの動きからも、普段の冴えは失われている。
「ふむ、この大きさだからこそ鳥居を気にせず戦える。小さいこともこういう時は悪くないな、ハッハッハ」
危機的状況だとしても。いや、危機的状況だからこそ、か。ルベーノの余裕とポジティブさは揺るぎない。
それが、命取りにならなければよいのだが……
ふたたび、ビル屋上。
篝は歯車の回る音と共にピアッサーを展開して破魔矢をつがえる。
(そういえば、大百足退治の英雄の昔話があったわね)
今の篝の手にあるのは和弓ではなく異世界の機械弓、龍神からではなくソサエティの依頼だけれど……
物語に倣い破魔矢のやじりを舐めて引き絞り――放つ!
鋭い風斬り音と共に放たれた矢は、あやまたず巨大百足の顔面に命中する。
百足はギチギチと節足を鳴らし、体をくねらせて悶える。鳥居から離れると、攻撃の発生源を探すように周囲に体を伸ばし始める
そこを狙い澄ましたかのように、ビームガンの掃射が百足の体を打った。
「タダの的になりたくなきゃ来いよデカブツ。遊んでやんよ」
好戦的な笑みを浮かべ、アニスはビームガンの掃射を続行する。
アニスのユニットが攻撃の発生源と認識した百足はアゴをがつんがつんと打ち鳴らし、深紅のCAMに接近する。
百足が完全に鳥居から離れるまで、アニスは挑発するようにビームガンを撃ちながら接近する。
(そうだ、そのままもっと寄って来やがれ!)
「罪の果実に手を伸ばした事を懺悔するがよい……如何に地に伏せようと許しはせぬがのう? (くすくす)」
艶めいた唇に、とろけるような微笑み。
百足が鳥居から充分に放れたのを見計らい、蜜鈴は広域魔法を解き放つ。
『広がる枝葉、囲むは小さき世界、大地に跪き、己が手にした罪を識れ』
重力が巨大百足を中心に収束し、何倍にもなった自重が、その体をギシギシと押し潰す。
悲鳴のようにキチキチと節足を鳴らす巨大百足。
「鳥居から離れてくれりゃあ、あとは気兼ねなくブチのめせるってもんだ!」
アクティブスラスターも使って一気に距離を詰めたアニスが真正面から剣を叩きつける。
動きの自由を奪われた百足に、魔導型デュミナスの渾身の一撃が叩きつけられる。片刃の斧が、百足の甲殻を易々と砕き割った。
「この攻撃で警戒もしてくれたら儲けもんだな」
デュミナスの斧を構え直し、ソレルは百足の反撃に備える。
「自分のスキルが使えなくてもプラヴァーのスキルがある! まだまだやれるぞ、はっはっは」
余裕の高笑いを響かせ、プラヴァーの鋼鉄の拳が百足の頭を打ち据える。
「いくぞ、グレン!」
グレンは燃えるがごとく紅い毛並みをなびかせ、ヴァイスはマテリアルのオーラをきらめかせ。マテリアルを注ぎ込み構えた槍が百足の顔面を貫いた。攻撃の手応えを確かめたのち、グレンの機動力を活かし即座に引く。グレンと共に動き回りながら確実に攻撃を加えていく戦法だ。
ギチギチ、ギチギチと耳障りな音をまき散らし、百足はアゴを大きく開閉する。
その瞬間、百足の頭は胴体から離れ、接近したレラージュ・ベナンディ、デュミナス、プラヴァー、ヴァイスとグレンを巻き込み、毒牙を突き立てた!
ユニットの装甲は泡立って腐食し、グレンの体はガクガクと震え始める。
「グレン! 大丈夫か?」
ヴァイスの焦った声。
「毒を浄化します!そのまま!」
茜が即座に『機導浄化術・浄癒』を発動させる。生物からは解毒、機械からは防御低下を取り除く。
ハンターたちに一矢報いた百足の頭部はそのまま沈黙し、頭部を失った残りの部分は長々と地面に横たわる……かに見えたが。
「気を付けろ! 体は生きているぞ!」
ヴァイスの警告が飛ぶと同時に。
頭部を失った残りの胴体が、ケイレンじみた動きをしながら地面を跳ね回った。
地響きをとどろかせ、ハンターたちを巻き込み惜し潰そうとする。
そこに打ち込まれる正確無比な射撃。マリィアによる、戦闘の隙間を縫った遠距離からの狙撃が百足の動きを押さえ込んだ。
魔導銃の最大射程位置に、バイクに跨がったまま。全弾命中を確認したマリィアは、手元を見ることなく弾丸を高速でリロード。
「これだけ離れていて、しかも乗っているのはバビエーカなのよ? 皆の邪魔にもならず雑魔に追いつかれもしないと信じたいところね」
冷徹なるスナイパーの姿が、そこにはあった。
「うひゃあ……これは想像以上に気持ち悪い(汗)」
どうしても声音に弱気がにじんでしまう茜は、百足から4、5m距離を取り、魔法による射撃を試みる。
茜の目の前に光でできた三角形が浮かび上がり、頂点から放たれた3つの光が、百足の尾を灼く。
さらには、篝の放った2本の破魔矢が、尾に近い節に連続で突き刺さった。百足の体に比べればか細い矢だが、その破魔の威力が、雑魔の体を地面に縫い止める。
「狙いは脚部……手を出させはせぬ……何よりも、逃しはせぬよ?」
くすくす、とどこか嬉しそうに喉の奥で笑う蜜鈴。銃の射程内まで接近、脚部関節を狙い撃ち抜く。
「自慢の脚もなくなってしまえばただの肉塊よのう?」
数本の節足がはじけ飛び、体液がまき散らされる。
無数の節足が空をかき、その鋭い切っ先にハンターたちを捉えようとする。
しかし、ヴァイスの駆るグレンは、木々を利用し飛び跳ね回りながら行動し、百足の動きに巻き込まれるのを防いでいる。
「天禄は随分と張り切って居る様じゃてのう……」
蜜鈴の言葉通り、天禄はアクロバティックな動きで敵を翻弄する様に飛行し、あるじを乗せたまま回避行動をとる。攻撃重視の蜜鈴とは対照的に、回避を重視しているようだ。
動きの鈍った今が好機と、ソレルの魔導型デュナミスが猛然と斧を振り上げ、重さを乗せて叩きつける。そのまま百足に掴みかかった。
「デュナミスでこいつの体を押さえる! そうすりゃあ、もっと攻撃も当てやすくなるだろ?」
トランシーバーに流れるソレルの声。
「ソレル! その意気や良し! そして、我が手にはまだ、ユニットスキルがある!」
ルベーノはソレルの動きに即座に対応した。プラヴァーの魔導エンジンの出力を上昇。
エンジンが最大出力に到達し、プラヴァーの脚部から噴出した光が翼のように広がる。
「ハッハッハ! 雑魔よ! 我が覇道の礎となれぃ!」
足裏と踵のローラーがうなりを上げ、エンジンをフルバーストさせた全速力の突撃が敢行される。
イカロスブレイカー! プラヴァーが、自身の4倍はあろうかという百足の長大な体に、弾丸のように突き刺さる。百足の胴体に一直線に光が走る。マテリアルの光が内側からあふれ、百足は体の内部から甚大なダメージを負う。
『轟く雷、穿つは我が怨敵…一閃の想いに貫かれ、己が矮小さを識れ』
たたみ掛けるように、蜜鈴が歌うように呪文を詠唱する。蜜鈴の前方から稲光が一直線に走り、百足の体を捉え焼き焦がす。
「神の雷……と言うじゃろう? 愚か者は其の身を貫かれ、散り逝くと良いよ」
光と稲妻に打ち据えられ動きが緩慢になる百足の目前に、深紅の影が現れる。アニスのレラージュ・ベナンディがスラスターを全開に肉薄した。
「もらったぁ!」
マテリアルの刃「イディナローク」が、百足の体の中心を捉え、そのまま”縦に”叩き切る!
ズ……ズン、と巨大な質量が地をゆらす音が2つ響く。百足雑魔の体は両断され、そのままマテリアルの炎で燃え朽ちてゆく。
「マテリアル兵装特化運用のテストにゃちょうど良かったか」
コックピット内で、アニスは不敵に笑った。
百足の無力化を確認したあと、ヴァイスを先頭に、全員で付近の安全確認を行った。鳥居のある地面には、百足が這い出てきたと思しき大穴が空いていたが、別個体又は別胴体の危険はなさそうだ。
もっとも生還が心配されていたルベーノも、無事だった。プラヴァーは多少傷ついたが、茜の迅速な浄化魔法によって被害は最小限に抑えられている。
「天禄……妾の騎士……その名を持つ者をこの手の中で喪い……今一度この名を授ける者が現れると思うて居らなんだ……なれどおんしは妾に逢いに来てくれた……心より感謝しよるよ」
天禄に愛おしげに頬寄せて、蜜鈴は感謝の言葉を囁く。
一方で、バビエーカで合流したマリィアが、考え込む表情で鳥居を見つめている。
「雑魔だからどこに居てもおかしくないのかもしれないけど……リアルブルーで、鎌倉クラスタで、この大きさの雑魔が出るというのは違和感があるの……本当に自然発生なのかしら。界を渡る高位歪虚が協力用に持ち込んだものじゃないかしらって思ってしまうのよ」
浮かない顔のマリィアを見て、つとめて明るく茜が言った。
「あ、そうだ。鳥居にお参りしておきませんか?」
(……皆が無事に帰ってきますように)
きちんと合掌し、鳥居に向かって頭を垂れる。クリムゾンウエスト出身者も、茜にならう者、自分の信仰に合わせた祈りをする者と様々だ。
鎌倉クラスタ攻略戦の成功と皆の無事を祈って戦勝祈願をする。クリムゾンウェストに精霊がいるのなら、茜にはリアルブルーの神仏もあながち無碍にできない。
「首尾よく百足を退治できたから、鳥居の先の鶴岡八幡宮まで足を伸ばせたらよかったけど」
篝が少し残念そうにつぶやいた。
一の鳥居をくぐり、若宮大路を直進すれば鶴ヶ岡八幡宮。現在は鎌倉クラスタの中心。多数のハンターが派遣され、いまなお攻略戦が戦われている。
鎌倉クラスタ殲滅戦には友人も参加している。無事を祈り、茜は真摯に手を合わせた。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 10人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談するとこです。 天王寺茜(ka4080) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/09/01 20:47:34 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/08/30 21:35:22 |