みんなどんな武器、考える?

マスター:DoLLer

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/11/17 07:30
完成日
2014/11/25 21:18

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「しかし、前の剣機は見た目が良かったね。製作者は誰だか知らないが、造形美があった。口に機導砲、尾に剣を取り付けるなんていいセンスしてると思ったよ」
「私達が対応した巨人は、ゾンビ以下のセンスでしたけどね……」
 ゾンネンシュトラール帝国の城内に設置された武器庫の中をのんびりと眺めながらそう話しているのは、帝国第一師団副師団長のシグルドだった。その横では部下である兵長が、武器の在庫と点検作業のチェックを行っていた。実際は兵士達が幾日も前に行ったものを最終点検しているだけの仕事だが。何故副師団長であるシグルドが横にいるのか、兵長は皆目見当がつかなかった。
「あの、仕事はいいんですか?」
「襲ってくる相手がいないのに、何の仕事をすると言うんだい? 第一師団は守備隊だよ。団長のオズワルドは陛下の子守りもやってるけど。それに武器を実際見て回るのも大切な仕事じゃないか」
 お気楽そうにいうシグルドに、兵長は何かしらピンとくるものがあった。
「別に後でこの点検表をお渡しするんですから。それとも何か……気になることでも?」
「もちろん。ここに見に来てよかったと思うよ。僕は大切なことに気が付いた」
 予感が不安に少しずつ様変わりする。
「ここの武器はね。造形美がない」
「何ですか、それ!?」
「兵士が訓練してマニュアル通りにすれば一定の成果をあげられるという取り回しの良い武器ばかりでつまらないな、と。軍服は自由にアレンジしていいのに、ここの武器は画一的だと思わないか?」
「武器に何を求めているんですか」
「だから、造形美。機能美でもいい。持っているだけで本人の資質を最大に引き出し、敵を圧倒するものが欲しいんだ」
 兵長はひっくり返りそうになった。質実剛健と謳われるゾンネンシュトラール帝国の武器は質素だからこその美しさがあると信じている。そこには誰もが戦えるという便利さや、収納管理がしやすいという面もすべて含んでのものだ。
「新しい武器や兵器を一つ拝見したいものだと思うんだがね」
 ようやくシグルドの言いたい事が見えてきた。
 武器の点検にかこつけて訳の分からない新武器を作ってみたい、というのだ。そういえばシグルドは本を読む以外にしばしば機械をいじくり回している姿をみかける。機械好き、というより新しい物が好きなのだろう。特にサルヴァトーレ・ロッソが来てからというもの、その機械好きは日に日に度を強めているようだ。
「というわけでだ。ハンターには武器や兵器製作が得意な者もいるらしいし、一度声をかけてみようと思うんだ」
 兵長は長いため息をついた。
「考案して、素材を決めて、形にして、不具合を取り払って、検証して。実用化するのに、そんなハンターの一回の依頼で可能な期間じゃとても片付きませんよ。その点はどうされるんですか」
「企画の聴取だけでもいいじゃないか。全く構造の違うものはできないだろうけど、アレンジくらいならできそうだし、そういうのは試作品として見せてもらえるかもしれないね。ハナから革新的なものができあがるなんて思っていないさ。だけどね、同盟の半魚人から始まり、帝国に剣機、今は王国。歪虚の攻勢は強くなっている。敵は強化されるのにこのまま同じ武器に固執するのはいただけない。それに……ハンターの技術力を見れば、他の国やリアルブルーの技術力もうかがえるんじゃないかな、とね。有意義な企画になりそうじゃないか」
 シグルドの問いかけに兵長は声を詰まらせた。シグルドはどうでもいいフリをして、そういうこともしっかり考えているのだから手に負えない。無能な上司の方がいくらか助かるのに。と思わずにはいられなかった。

リプレイ本文

●ファランクス
 場所は雲一つない秋晴れが広がる小さな演習場に一同は集まっていた。
「それじゃ、まずはボクからだね!」
 サーティカ・ソウディアム(ka0032)サーティカは荷物からごそごそと取り出すと、ハンター達に『発明品』を渡していく。それは大き目のラウンドシールドだったが中央右手に小さな穴がぽっかりと空いている。
「ほう。この穴はなんだ?」
 ゼカライン=ニッケル(ka0266)の質問に、サーティカはにまっと笑うと、長槍を取り出し、その柄を穴の中に差し込んだ。
「じゃじゃーん。これで攻めも守りも完璧! 実用性もバッチリのシールド&スピアっ。ファランクス陣形は、槍と盾を維持し続けるのが大切なんだ。そこで問題になるのは盾と盾の隙間! それを埋めることで死角はなくなるっ」
「なるほど。じゃあ、実際に使ってみようか。ハンターは全員これを装備で二列横隊。兵長。正面から突っ込んでくれたまえ」
「可動範囲がわかるから使い物にならないですよ」
「ふふふ。やってみるべし!!」
 兵長の指摘にもサーティカは余裕の顔だった。そしてそれにムっとしたのか、兵長は槍をもって峻烈なスピードでファランクス陣形に突っ込んでくる。覚醒者である彼の踏み込みはかなり鋭い。
 が。
 ゴスゴスゴスっ。という鈍い音が立て続けに響いた。穂先ではないが槍衾の柄で滅多打ちにされた兵長が転がった。
「この穴を使えば、てこの原理が利用できるから、長槍でも高速で動かせるのでーっす。どう? この穴を開ける位置もだいぶん考えて作ったんだよー」
「いや、これはなかなかアイデアの一品だね。機動力や飛び道具が発展する前ならこれは使えていたかもしれない」

●バーストブレード
 炸裂音が響き、同時に先の発表に使われていた鉄の棒が真っ二つに叩き割れた。どよめきの声を受けるのはクレール(ka0586)のバーストブレードだ。クレールは大剣鉈を鞘に戻して得意げにしていた。鞘というか人間が帯びるには少々馬鹿でかい円筒状の筒にしかみえない。
「空気の圧力で爆発的な推進力を得て強力な一撃を生み出します。鞘の中で研磨できるようになっているので、切れ味は落ちません! 空気もつながっているポンプから再充填されるので何度も使えます」
「この威力は強烈ですね……多少の防御など無視できそうですね」
 猫実 慧(ka0393)は興味深げに鉄棒の切り口を見つめていた。爆発力に耐えるあの刀身もそれなりの耐久力はあるのだろう。
「色んな意味で業物だね、面白い。それでは使ってみようか。兵長。防具は任せるので一合切り結んでくれないか」
「無茶苦茶いいますね……」
 兵長はショートスピアとダガーを装備してクレールと対峙した。回避にモノを言わせるのようだ。持ち運ぶのも苦労するような大きな鞘を持っていてはまともにあてるのも難しいと判断したのだろう。クレールはそれなら、と腰をかがめ、大剣鉈の柄を握り締めた。
「いっきます!!」
 再び派手な炸裂音が響いた。先とは違い轟音とも呼べるそれは肌でその振動を感じることができたものもいるほどだ。
 兵長が吹っ飛ぶ。同時にクレールも。
 何が起こったのか、しばらく誰もわからなかった。
 一瞬の静寂の後、剣鉈が天から降り落ちてきてシグルドの足元に鈍い音を立てて突き刺さる。それと同時に爆散したゴムの破片やら鞘の中にいれられた研磨石の破片が次々と落ちてくる。
「高威力すぎたようだね……大丈夫かい?」
 至急医療班が呼ばれ、発表会は一時中断となった。

●ギガントアクス
 中天に輝く太陽の光を黒鉄が遮った。
「でかっ」
 アレア=レアーレ(ka1339)はその異様な姿に一言もらした。
「浪漫、そして実用を考える……鎚の一族の腕の見せ所と言った所か。曰く『大きいのは、浪漫』」
 ヴァーティム・ヤノセレン(ka0645)はやりきった、という目をして斧を天に翳していた。それは斧頭だけでもヴァーティムの下半身を覆い隠せるのではないかと思わせる巨大さ。
「ヴァーティムってあんなの作ってたんだ! 知らなかった!!」
「横で作ってただろ!」
「そうだっけ? 差し入れしたくれたことくらいしか覚えてなくてさ」
 サーティカ、ゼカライン、ヴァーティム、ヴァルトル=カッパー(ka0840)は同じ『歌う鋳槌』のメンバーであり、彼らの武器作成についてはその工房で一部で行われていた。製作期間中はずっと同じ屋根の下だったというのに、全然何を作ってるのか気づいてないなんて! 色々ショックな話ではある。
「にしてもコンセプトは単純明快でいいね。じゃあ兵長、あれの使い手になってくれたまえ。僕が対峙するからかかって来なさい」
 シグルドは長巻をもって立ち上がった。嫌そうな顔をした兵長だが、さんざっばらやられたお返しもしたいのだろう。わかりました、とギガントアクスを手にした。途端にその重量に負けそうになりバランスを崩してしまう。
「一撃必殺こそが戦場の華……! 外すと危険なのもまた良し!!」
「無茶苦茶だ!!」
 悪態をつきつつ、兵長は斧を構え、シグルドに走りこんだ。が、それより早く、シグルドは長巻の柄で軽く兵長の胸を軽く突き当てた。それだけで勢いが完全に殺されてしまい、そのまま荷重に耐えきれず派手に後ろに倒れこんでしまった。その勢いだけでギガントアクスは地面に深々と突き刺さり、その重量感と威力は誰もが垣間見た。
「いやぁ、威圧感は抜群だった。使い手がいれば十分にありだね」

●パワードスーツ
「次は、CAMに向けた取り組みを見てもらおうと思います」
 猫実の言葉にシグルドの顔つきが少しだけ変わった。
「できるのかい?」
「いっしっし、一番技術の変態であるボクに不可能なんて……そんなにないっ」
 シグルドの問いかけにアレア=レアーレ(ka1339)はさも嬉しそうな声でそう主張すると、コードのたくさんついた鋼鉄のヘルメットを取り出した。
「ボクが考えてたのは、人間の五感や機能を拡大する方法でね。ようするに人間の力を何倍にもさせるんだ」
「こちらの技術でどれほどCAMを再現できるか考えたんですけどね。まずは身に纏う兵器である点に集中しました」
 猫実が取り出したのはガントレットであり、アレアの用意したヘルメットから伸びるコードとつなげた。見た目はややスチームパンクな世界の代物に見える。
「これで、さっきの大鉈くらいの威力を自分で出せるのさ。この為に必要な人工筋肉の位置や動かし方なんか、もう計算に次ぐ計算で。いし、ししし」
 アレアの顔をよく見れば目の下にクマができている。多分、この4日間まともに寝てないのではないだろうか。
「これは興味深いね。動力源は?」
「一応、今回は圧縮した空気を挿入する形にしましたけどね。本当は無限機関を利用したいと考えています」
「無限、機関?」
 猫実の言葉に兵長は絵空事と断じて鼻で笑ったが、猫実は決しておふざけなどではなかった。
「帝国にはよく見かけるじゃないですか。死後も延々と動き続ける者が。そのエネルギーは一目置くに値しますよ」
「まて貴様。歪虚の力を借りようというのか」
 猫実が何を言わんとしているかようやく理解した兵長は怒り心頭に達した様子であったが、シグルドはははぁ、と面白そうに聞き入っていた。
「いいじゃないか。ゾンビだって、元々はこちらの兵力を向こうに転化されたものなんだから。利用し返すのは悪くないかもね。さて、では実力の程を見せてもらおうかな。兵長、これを装着してみてくれ」
 ぶつくさ言う兵長を無視してシグルドは、アレアの用意したヘルメットをかぽっと被せた。それに合わせてアレアはヘルメットから飛び出るコードの一端にデバイスをくくりつけて合図する。
「それじゃあ、合図に合わせてこのギカントアクスをもう一度持ち上げてねっ。きっと先よりずっと軽く感じるはずさ」
 アレアの言葉に半信半疑ながらも、地面に突き刺さったままのギガントアクスを手にかけた。
「3、2、……1!」
 勢いよくギカントアクスが引き抜かれた。そのスピードは先と比べ物にならない。確かに効果はあるようだ。
「攻勢強化とか、デバイスを仲介してマテリアルを身体能力に転化するよね? それと同じ感じさ」
 しかし、コントロールは難を極めたようで斧を持ち替えようとするとバランスを失い、そのまま兵長はそのままギガントアクスをそのままバックドロップしてしまう。後ろにはもちろんアレアと猫実がいるわけで。
 医療班2回目の出陣だ。

●スカンクガン
「コンセプトは、スカンク!!」
 モカ・プルーム(ka3411)はじゃじゃーんと大砲をひっぱり出してきて紹介した。黒のボディに白いラインがペイントされており、見た目だけでもスカンクを彷彿とさせた。
「煙でも吹き出させるのか? ラインが入っているだけで普通の大砲っぽいが」
 ゼカラインが首をかしげると、モカは「違うよー」と言って、洗濯ばさみで鼻をつまんだ後、用意していた木箱を開けた。途端に皆が、うぇ、っとした顔になる。腐った臭い。というか臭いがきつすぎて無意識に喉がつまってしまい息ができなくなる。
「本当の武器はこちらぁ」
 鼻声で紹介されたのは、大砲の弾だった。臭いの元はどうもこの中の様だ。
「リアルブルーでは煙で視界を奪うとかいう弾があるってきいたから、やってみたの! もう臭いの調合はこの通りばっちり! 何度も気を失いかけたしっ」
 にっこり笑うモカに、シグルドは臭いの届かない遥か遠くからうんうんと頷いて同意してくれた。
「効果は高そうだね。それじゃ兵長……」
 断固拒否の声もむなしく、兵長は遥か先に歩かされ、モカが大砲で狙いを付けた。
「殺さないようにちゃんと外してね」
「はいっ」
 勢いよくモカは返事すると、大砲に着火し、発砲した。ドカンっという音と共に兵長の立っている辺りが白く染まる。
 その煙が晴れる前に兵長はヨレヨレになりながら出てきてそのままパタリと倒れた。
「ね、ばっちり!」
「なるほど、敵を無力化するには最適だね。煙幕弾ならすでにあったと思うけど、これは応用できそうだなぁ」

●トマホーク
「わたしが使っているのは銃と手投げ斧。間合いや隙を埋めるのにはそれぞれを適宜スイッチするようにしていたけれど、それも勝手が悪い。そこで銃剣ならぬ銃斧にしてみるのはどうかと思ったんだ」
 スーズリー・アイアンアックス(ka1687)はそう言うと、手にしていた斧の刃の部分を取り外し、銃剣を取り付ける要領で、銃身に斧を取り付けた。
「……振り回したら、銃身曲がりませんか?」
「そう、更に形状だけに取り回しが困難で……」
 猫実の指摘にスーズリーは苦笑した。斧は遠心力とその重量で標的を叩き割る武器だ。中が空洞の銃身では数回使えば恐らく真っ直ぐ飛ばなくなるだろうし、斧ではバランスの問題から取り回しは大変そうである。
「思いを形にするのは大切なことだ。それなら……」
「銃の機構をもう少しスマートに……」
 サーシャ・V・クリューコファ(ka0723)がライフルの手元の形について、地面に棒でデザインを描き始めると、機械大好き連中は揃ってインスピレーションを得たのか、皆でわいわい相談し始めた。
 これの披露はもう少し後になるらしい。

●ウェポンボックス
「その間に、俺の発表といこう。俺のはこれだ」
 そう言ってヴァルトルが取り出したのは手にはめる箱、といったものだった。箱の外側には細い金属の板がとりつけられており、彼がそれをはめて手を動かすとその細い板が、ぐりん、と回転して切り立った。
「クロー系の武器?」
 モカが首をかしげた。しかし、ドリルや爪、というにはやや浅く、殺傷には向きそうもない。
「まあこのままならな。肝心なのはこの機構さ。見た目は箱だから中に別のものを仕込める。こうやって動かすまでは何が出てくるかわからんだろ? 今回は刃物だが、鞭でもいいし、銃でもいい。モカのスカンクガンの弾みたいなのも込めれる。自由にアレンジできる。しかも相手にはそれがわからず間合いが取れないって寸法さ」
 ヴァルトルの言葉に皆感心して、これならどんな武器を仕込めるかの相談が始まる。
「しかし、立ち位置でそれが遠距離か近距離かはわかるんじゃないのか?」
 兵長の言葉にヴァルトルはニヤリと笑った。その言葉を兵長が言うのを待っていましたと言わんばかりだ。
「試してみるか?」
「楽しそうだね。それじゃ、ヴァルトルはそれを装備して兵長の動きを止めてくれ。兵長は素手で攻撃してくること」
 シグルドが楽しそうな顔でそう取り決めると、兵長は「これでも戦闘経験はそれなりにあるんですからね」と余裕の表情を見せた。形状にこだわらず、対応してみせる、というのだ。それを聞いたヴァルトルは口元に笑みを浮かべて別のウェポンボックスを手にはめる。
「それじゃあ、来な!」
 兵長が軽く駆けてくる。そこにヴァルトルがボックスを構えると、光の弾が撃ちだされた。しかし兵長は全く足を止めることもなく光の弾を腕で受け止めると一気にヴァルトルの懐に飛び込んだ。
「武器の種別より、相手の行動を読む、ってことだ」
「御託は結構!」
 ウェポンボックスの金属面をちろりと舐めると、ヴァルトルはその箱を兵長の顔に向けた。そして刹那、白い粉末が噴き出てくる。
 それと同時に鼻をくすぐる香りが皆に悪夢を再臨させた。
「その至近距離でやるのは……熱い漢のニオイがした気がするよ!!」
 自分の発明の材料であることに気付いた、モカは嬉しそうにそう言ったが、もちろんこの悪臭の中でそんなニオイわかるわけない。
「なるほど、相手に間合いを取らせないのは確かに有効だね。暗器として使えるかもしれないな」


●思いを形にしました。その名は
「これが完成形」
 スーズリーの銃斧の手直しが終わり、覆い隠されている布が彼女の手によって取り払われた。
「これは……!」
 手直しに参加していないメンバーたちはその姿に声を詰まらせた。
 スーズリーの下半身を覆い隠すほどの巨大な斧頭、それはギガントアクスだ。それに連なる柄にはスーズリーを超える長さの槍、サーティカのファランクスに使った槍3本を束にしてそれを支えている。手元はクレールのバーストブレードに使われた鞘が利用されていた。
「それは銃斧……ではないね。どうやって使うんだい?」
「両手で万全に攻撃ができて、なおかつ隙や間合いを確実に埋める武器だ。スーズリーの武器をベースにしているけど、コンセプト案は私のものだ。今回は皆の協力で急いで作ったので、このサイズだが、小型化すればそれなりに利用はできると思う」
 サーシャの言葉に兵長はもはやあきれ顔だった。先のギガントアクスよりさらに装備が増していてまともに使えるのはまさしく巨人の類しか無理だろう。小型化といってもまるで想像がつかない。
「今回、これを使うのはスーズリーだ。斧と銃を愛するスーズリーだからこそ扱える武器だ。本人の想いを力に変えるという力をここで見てやってほしいと思う」
 サーシャと共に改造のプランをてがけたゼカラインもやり切ったという表情だ。
「魔法ってあれだろ? 術者の思いを術具を媒介にして力に転化しているって感じだ。そこでだな。それを武器にこめるわけだ」
 スーズリーの言葉にゼカラインは「そこは任せておけ」と猫実、アレアのコンビで作り上げたヘルメットとガントレットを渡した。それを装着してやおら攻勢強化が送り込まれる。
「これで……振り回せるっ」
 スーズリーは多少ふらつきながらも斧を持ち上げ、それを振り回した。
「しかし、その隙や間合い埋めるのは無理があるだろう。槍の柄を複数巻き付けたところで銃身がなくなっているじゃないか」
「間合いなら埋められるよ。槍の柄を銃身代わりにするのには理由がある。スーズリー、構えて」
 サーシャの指示通り、斧頭を地面に水平にして構える。その姿は大型の銃を構えるのによく似ている。斧なのに何故か照準器がついているあたりが特にそう思わせる。
「ここから射撃モードです。束ねた槍の柄をレール代わりにしてそこから柄に取り付けたバーストブレードに使った機構を利用して弾を押し出します。本当は空気圧縮より電磁誘導を利用したいところなんですが。機導術で代用します」
 サーシャはレールガンの夢に少し後ろ髪をひかれながらも、合図を送った。
「発射!!」
 スドン!!!
 もの凄い爆音と共に構えるスーズリーの体が大きく揺らいだ。それほどの反動だ。同時に爆風が周りを薙ぎ払い、演習場の壁がひどい音を立てて崩れ落ちた。気が付けばギガントアクスの斧頭が消えている。壁を叩き壊したのは恐らくそれだ。
「これは……」
「これが我々の考える武器です」
「名前はトマホーク、だな」
 次作があるならきっとスカッドかパトリオットになるのだろう。

●最後に
「いやぁ、面白かった!」
 シグルドはとても幸せそうな顔で帰り道を歩いていた。彼はいつになくすがすがしい顔だった。
「戦いはこれから楽しくなりそうだなぁ」
 その言葉に不思議がる兵長だったが、間もなく魔導アーマーの動力を利用したCAMの公開実験が行われるという話が持ち上がりはじめたのであった。

依頼結果

依頼成功度成功
面白かった! 11
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

重体一覧

参加者一覧


  • サーティカ・ソウディアム(ka0032
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 鋼のロマン
    ゼカライン=ニッケル(ka0266
    ドワーフ|42才|男性|機導師
  • 求道者
    猫実 慧(ka0393
    人間(蒼)|23才|男性|機導師
  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフ(ka0586
    人間(紅)|23才|女性|機導師

  • ヴァーティム・ヤノセレン(ka0645
    ドワーフ|32才|男性|霊闘士
  • まないた(ほろり)
    サーシャ・V・クリューコファ(ka0723
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
  • 金属ハンター
    ヴァルトル=カッパー(ka0840
    ドワーフ|28才|男性|機導師
  • カラミティ
    アレア=レアーレ(ka1339
    人間(蒼)|14才|女性|機導師
  • 金剛不壊
    スーズリー・アイアンアックス(ka1687
    ドワーフ|20才|女性|猟撃士
  • 落とし穴にハマったで賞
    モカ・プルーム(ka3411
    エルフ|11才|女性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 新武器開発室
サーシャ・V・クリューコファ(ka0723
人間(リアルブルー)|15才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2014/11/16 19:13:17
アイコン 副師団長殿に質問
サーシャ・V・クリューコファ(ka0723
人間(リアルブルー)|15才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2014/11/12 20:43:14
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/11/13 22:19:25