ゲスト
(ka0000)
【陶曲】青竜紅刃流~人食い馬車
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~5人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 3日
- 締切
- 2017/09/18 07:30
- 完成日
- 2017/09/29 02:37
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
同盟領の農耕推進地域、ジェオルジでのお話。
「ふうん。そういえばハンターオフィスで報告書を見たかなぁ」
ジェオルジの田舎村「タスカービレ」でイ寺鑑(kz0175)が呟いた。
手にした触れ書きには、「集団行方不明への注意と対策」の文字が大書してある。以前にハンターが解決した依頼、「【陶曲】ジェオルジの笛吹き男」で判明したジェオルジ各地で発生した集団行方不明事件のあらましと、まだ残っているかもしれない歪虚への注意を呼び掛けた内容だ。
「陶器製の壁掛け猫があれば叩き割ること。それ以外にも不審な笛吹男がいれば注意されたし。この場合、村の外の目立たない場所に見慣れない馬車が隠れていれば人食い歪虚である可能性が高い、か」
壁掛け猫が吟遊詩人歪虚による可聴域外の催眠音波を増幅し村の外におびき出し馬車が食う、という形だ。操られて村の外に出ようとする人が増幅器の壁掛け猫を抱いていた場合、止めに入った人も催眠効果にやられるという質の悪さがあるという。村の壁掛け猫を壊し、村の近くに隠れた歪虚馬車がいれば退治するのが良く、もし馬車を発見した場合は不用意に近付くと操られるため即座にハンターに連絡すること、と結んである。
なお、問題の壁掛け猫は今春の春郷祭で販売されたという。
「そういやこの村でも壁掛け猫、見たな」
鑑、下宿する青竜紅刃流道場の食卓に座る。
「おはようございます、鑑さん。紅茶はストレートでしたよね? 今朝はエッグトーストですよ」
すかさず住み込みで手伝っている女性がにこやかな笑顔を見せる。
「ありがとう。留守の間に行方不明事件なんてのはないね?」
「あれば騒ぎになってますよ。壁掛け猫もいくつかありましたけど、すべて処分済みです」
聞いた鑑に紅茶を出しつつ話す。
「気に入っていた子供に、代わりのぬいぐるみを買ってあげたり家の人は大変だったようですが」
「そりゃそうだろうなぁ」
鑑、紅茶ずずず。
「そう言えばハンターさんの師範さんを呼ぶの、もうすぐですよね?」
「ああ、手配して戻ってきたところだ」
なおタスカービレ、人口流出が続いていたがサルヴァトーレ・ロッソ戦線投入による移民を受け入れていた。東方風の村づくりで復興を目指したため、日系や中華系の移民を特に呼び込んだ。銃剣流派の青竜紅刃流はこの時に立ち上げた。ハンターにも指導的立場の者がいる。
もちろん、ハンターに来てもらえば金がかかるのだが……。
「助かりますよね。塩や薬は都心部に頼らなくちゃならないし、運ぶのにも信用できる人がいりますので」
「まあ、稽古をつけてもらうついでになってちょうどいい」
もちろん鑑もハンターなのでここに定住していないが、何度も往復している。ロッソ移民受け入れ自体、同盟の魔術師協会広報室が受け持ったので資金的にも援助してもらえる。人が往来すれば活気も出る。新しい風が吹き込む。
なかなかうまくいっていた。
「じゃ、ハンターさんにもここが好きになってもらえるよう、当日の料理は頑張りますね」
お手伝いさん、そう言ってにこりと微笑む。
というわけで、タスカービレの銃剣流派「青竜紅刃流」の一般人門下生に二泊三日で稽古をつけてもらえる人、求ム。短銃の早撃ちと抜刀術の指導、および通常の短銃による射撃と剣術稽古が内容となる。
……はずだったが、稽古の途中に人食い馬車発見の方が入るので、馬やバイクに乗って現場に駆け付け、逃げながら攻撃してくる馬車歪虚などを倒すことになる。
「ふうん。そういえばハンターオフィスで報告書を見たかなぁ」
ジェオルジの田舎村「タスカービレ」でイ寺鑑(kz0175)が呟いた。
手にした触れ書きには、「集団行方不明への注意と対策」の文字が大書してある。以前にハンターが解決した依頼、「【陶曲】ジェオルジの笛吹き男」で判明したジェオルジ各地で発生した集団行方不明事件のあらましと、まだ残っているかもしれない歪虚への注意を呼び掛けた内容だ。
「陶器製の壁掛け猫があれば叩き割ること。それ以外にも不審な笛吹男がいれば注意されたし。この場合、村の外の目立たない場所に見慣れない馬車が隠れていれば人食い歪虚である可能性が高い、か」
壁掛け猫が吟遊詩人歪虚による可聴域外の催眠音波を増幅し村の外におびき出し馬車が食う、という形だ。操られて村の外に出ようとする人が増幅器の壁掛け猫を抱いていた場合、止めに入った人も催眠効果にやられるという質の悪さがあるという。村の壁掛け猫を壊し、村の近くに隠れた歪虚馬車がいれば退治するのが良く、もし馬車を発見した場合は不用意に近付くと操られるため即座にハンターに連絡すること、と結んである。
なお、問題の壁掛け猫は今春の春郷祭で販売されたという。
「そういやこの村でも壁掛け猫、見たな」
鑑、下宿する青竜紅刃流道場の食卓に座る。
「おはようございます、鑑さん。紅茶はストレートでしたよね? 今朝はエッグトーストですよ」
すかさず住み込みで手伝っている女性がにこやかな笑顔を見せる。
「ありがとう。留守の間に行方不明事件なんてのはないね?」
「あれば騒ぎになってますよ。壁掛け猫もいくつかありましたけど、すべて処分済みです」
聞いた鑑に紅茶を出しつつ話す。
「気に入っていた子供に、代わりのぬいぐるみを買ってあげたり家の人は大変だったようですが」
「そりゃそうだろうなぁ」
鑑、紅茶ずずず。
「そう言えばハンターさんの師範さんを呼ぶの、もうすぐですよね?」
「ああ、手配して戻ってきたところだ」
なおタスカービレ、人口流出が続いていたがサルヴァトーレ・ロッソ戦線投入による移民を受け入れていた。東方風の村づくりで復興を目指したため、日系や中華系の移民を特に呼び込んだ。銃剣流派の青竜紅刃流はこの時に立ち上げた。ハンターにも指導的立場の者がいる。
もちろん、ハンターに来てもらえば金がかかるのだが……。
「助かりますよね。塩や薬は都心部に頼らなくちゃならないし、運ぶのにも信用できる人がいりますので」
「まあ、稽古をつけてもらうついでになってちょうどいい」
もちろん鑑もハンターなのでここに定住していないが、何度も往復している。ロッソ移民受け入れ自体、同盟の魔術師協会広報室が受け持ったので資金的にも援助してもらえる。人が往来すれば活気も出る。新しい風が吹き込む。
なかなかうまくいっていた。
「じゃ、ハンターさんにもここが好きになってもらえるよう、当日の料理は頑張りますね」
お手伝いさん、そう言ってにこりと微笑む。
というわけで、タスカービレの銃剣流派「青竜紅刃流」の一般人門下生に二泊三日で稽古をつけてもらえる人、求ム。短銃の早撃ちと抜刀術の指導、および通常の短銃による射撃と剣術稽古が内容となる。
……はずだったが、稽古の途中に人食い馬車発見の方が入るので、馬やバイクに乗って現場に駆け付け、逃げながら攻撃してくる馬車歪虚などを倒すことになる。
リプレイ本文
●
かっ、と五芒星型の投擲武器が縄を巻いた丸太に刺さる。
その後すぐさまがつっ、と木刀が入った。
「……よし」
踏み込んだのは東條 奏多(ka6425)。細い目に満足そうな輝きがある。一連の動きは「チェイシングスロー」。振り返る庭の結構先に一歩目の跡が残っていた。
朝稽古に来て奏多の技を見守っていた門下生数人は感心し、拍手を送りどよめいている。
――ここは同盟領「ジェオルジ」の片田舎、タスカービレ。
奏多、現地の青竜紅刃流道場に昨晩から泊まっていた。
「奏多さん、朝ご飯できたよー」
ここで道場から呼ぶ声。
エプロン姿の狐中・小鳥(ka5484)がいた。
汗をぬぐい朝練を切り上げ食卓に向かう。
道場内の二階からもぞろぞろと降りてきていた。
「朝稽古とかはないの?」
「秋は収穫で忙しいから自主練だね」
メルクーア(ka4005)の疑問にそう答えるイ寺鑑(kz0175)。
「お邪魔でないならいいんだけど」
「かんけーないない。呼ばれなくても来たよー! でいいよね」
気にした背後からウーナ(ka1439)が元気良く。
というか、口ばかりか良く動く。ささっと鑑の横に入った。
「それよりお手伝いさんがごはん作ってくれるのかー。鑑センセも独りで寂しそうだし、あたしもこっちすんじゃおっかなー?」
「狭い階段で脇を肘でぐりぐりするんじゃない! ついでに食い物目当てでお手伝いさんの手を煩わせるわけにはいかんだろ」
「でも稽古がてら自分を見直せるし、いい所だわねー」
とかなんとかメルクーアも一緒に三人でわいわい階下へ下りる。
「あ、ちょうど良かったんだよー」
キッチンでは小鳥が人数分の紅茶を入れていた。テーブルにはお手伝いの若い娘が朝食を並べている。
で、奏多も加えて揃ったところで、いただきます。
そこに。
――どたどたどたっ!
「お、間に合ったか? つーかよ、鑑。ここは朝が早すぎるぜ?」
トリプルJ(ka6653)が走って下りて来た。少し寝坊したようで。
「基本、農家の村ですからみんな早いですよ」
これで本当に全員勢ぞろい。改めて、いただきます。
メニューはサンドイッチに紅茶。
「んー、野菜がしゃきしゃきして新鮮ね~」
「ええ。取れたてですから」
満足そうにサンドイッチをはむはむするメルクーアにお手伝いさんが説明。
「タマゴも美味しいよね」
「それより鑑、壁掛け猫どうなった! この村にも売られたって聞いて慌てて飛んできたんだが……」
どん、とテーブルに身を乗り出してJが聞いて来た。
「田舎だからですかね。被害はまだだったので壁掛け猫だけは処分しました」
「……なんだ、もうカタがついたのか。…意外に手が早いな、鑑」
ほっとするJ。
「え? 鑑センセ女に手が早いの?」
ウーナが横からゲスな目で。
「手が早いのはウーナだろう。何個目だ? それにそっちの手が早いのはJに譲るよ」
「そんなこといったら小鳥もメルクーアもサンドイッチには手が早いじゃない」
「ええと……まさかこっちに話が来るとは、だよー」
「健康的な証拠だわねー」
「待て鑑。なんでこっちに振る? お前は俺の何を知ってんだ? つーか奏多。無関係そうに一人で平和に食ってんじゃねぇ!」
「無関係だが……そうだ、となら言ってもいい」
「言っちゃえばいいのに、奏多」
「って、おい、ウーナ! 俺の話を聞けって!」
そんな感じで騒がしい。
「にぎやかだわねぇ」
「いつも静かだから楽しいです」
お手伝いさんを気にするメルクーアだが、問題なさそう。
朝食後、門下生が庭にぼちぼち集まって来た。
「じゃ、まず基礎から」
「どれ。俺は見学させてもらおうかな」
「そうだな」
ウーナが招集を掛け、Jと奏多が道場濡れ縁に座る。
「は、はいっ。よろしくお願いします!」
「な、なんかみんな固いんだよ……」
木刀など運んで来た小鳥が汗たら~。
「あー……あ、新入りくんもいるの? じゃ、優しくね?」
慌てて取り繕うウーナ。また鬼師範と誤解されないようにする。
「流派、か……」
奏多、少しうずうず。
「我流の剣を貫いてきたが、流派の教えに触れてみるのもいいかもしれない」
「あ。おい、いくのかよ? ……ま、俺は刀使わねぇしなぁ」
結局、立った。Jも迷って腰を浮かせたが結局座った。
「あたしもまぜてもらおうかな」
「たまには鍛錬するのもいいよね♪ 時々、私も剣と銃で戦うことあるし」
メルクーアと小鳥も参加。
「じゃ、『青竜紅刃流・射の型』、用意!」
ウーナが声を張り近接射撃を軸とした回避移動剣術戦法の基本的動きを始める。
●
で、昼食時。
「まさかこっちでチクワにお目にかかるとは」
「タスカービレは日本、というか東方風の村づくりをしてますからね」
故郷で見掛けるチーズ入りやキュウリ入りの焼きたてチクワを見てびっくりする奏多に鑑が説明する。
「白身魚のすり身は川魚を使ってんるんだよ♪」
小鳥、みんなで関わって特産になった経緯を軽く説明する。
「前は酒飲んで戦う大会で味わったけど、いいわねん♪」
メルクーアは特産の白ワイン「レ・リリカ」をやりつつチーズに舌鼓。
「お酒が苦手な人は白茶をどうぞ」
お手伝いさんが琥珀色をした、こちらも特産のお茶を出す。
「それにしても斬って動いて撃ってと忙しいな?」
「まあ、東方風ということで刀だったんだけど、村人が村を守るなら銃を使った方が危険がないよねーっ、ていう発想もあってね」
Jとウーナはローストチキンにかぶりつきながらそんな話を。
「じゃ、こういう時はどうなる?」
「昼の稽古でやってみようか?」
というわけで食後、午後の稽古の門下生の前で。
Jとウーナが対決している。
「手数でせめられりゃどうなんだ!?」
ウーナの「射の型」とJのワイルドラッシュが激突!
「受けと回避で対応!」
ぱしんがしんとド迫力の攻防。最後はウーナが移動力を見せつけ距離を取った。門下生たちからどよめき。
「遠近両対応なんだから常に距離を置くことは頭に入れるように」
「ま、こっちにゃさらに奥の手があるがな」
ここまで、と門下生に説明するウーナ。Jの方はまだまだできるがな、と不敵な笑み。
「ああいうのはわたしも得意かなっ♪」
小鳥も剣と銃の両手を広げてくるっと回ってみたり。回った後には最初の位置からずれ、その位置に銃を突きつけた姿勢になっている。
「あたしも低い位置からの攻撃に対する訓練なら稽古できるわよー」
背の低い人は集まってねー、とメルクーア。
その時。
「鑑さーん!」
「村の外に怪しい馬車がいたよーっ!」
村人数人が道場に転がり込んできた。聞けば「壁掛け猫」事件の時と似たものだった。
「なんだと?!」
「あの馬車、こんな所にも出てきたの!?」
振り返り声を大きくするJに、持参した馬の方に行く小鳥。ふわっととスリット深めのチャイナ服の裾をひらめかせ騎乗。
「絶対やっつけるわよーっ!」
メルクーアは怒りを溜め込みつつ魔導バイク「アップルジャック」に跨りアクセル・オン。
すぐに現場に向かった。
まず発見したのは、村に近付こうとしている笛吹男人形歪虚。
敵はこちらに気付き道を外れた。
「私が引き受ける!」
馬上の鑑、笛吹男を追う。
「近くに馬車がいるはずだよ?」
「えぇぃっ! 全速力で倒して戻るよ!」
小鳥の指摘にウーナも同意。本隊はそのまま速度を落とさず直進した。
すると林の中から馬車が出て逃走し始めたではないか!
ただ距離がある。ハンターが近道して追うには不整地を通る必要がある。
「荒れてるな……」
「こっちは大丈夫。まずは足止め!」
馬に乗る奏多の心配はバイク組。が、ウーナの魔導バイク「ソーペルデュ」はモトクロスタイプ。比較的不整地を苦にしない。
「俺も行くぜ!」
Jも加速。馬「ゴースロン」に拍車を掛けて一直線。
「じゃ、こっちから先回りしちゃおう!」
小鳥、馬首を巡らし奏多も続く。改造バイクのメルクーアもこちらだ。
で、起伏のある最短距離をクリアしたウーナとJ。
「近距離だけだと思わないでよね!」
少し遠いがオートマチック「チェイサー」を引き抜く。
手前に青く輝く幾何学円状の「的」が出現。これを狙いぶっ放す!
馬に命中してよろける隙にJが追いすがった。
まだ距離はあるがずおんと幻影の大きな腕を出す!
「逃がすかぁ!」
ファントムハンドで馬を掴んだ。移動を止め引き寄せることもできるが……。
「おわっ!」
あくまでつかんだのは馬だけ。馬車の移動エネルギーまでは止められず、歪虚の馬ともどもつんのめる形となる。
ただ、これでかなり時間を稼げた。
再び加速する馬車。これを待後ろから追うウーナは馬車を撃つ。さらに後方から態勢を立て直したJ。
ところが馬車から蛇が数体伸びて来て二人にかぶりつこうとする。
その戦闘の隙に。
「よし!」
大回りしていた奏多、ついに左斜め後方至近距離に付けた!
馬車内の蛇、襲い掛かる。
「邪魔だな」
「させないよ!」
奏多自身、これを嫌い減速して距離を取る。ウーナも援護射撃。
馬車の御者人形歪虚もこれを振り返り確認したが……
すぐに奏多の姿が消えた。
どこにいった、と探そうとしたところ、別の事態に気付く!
「こらあっ! よくも壁掛け猫ちゃんで利用してくれたな。ぶっ飛ばしてやるからね!」
左横遠めでメルクーアが杖型の魔導計算機を掲げている。
空中に三角形を描き、その頂点から三本の光条が放たれる。
――ど・ど・どっ!
それぞれ馬車、御者、馬車に命中。さらに速度は弱まった。
ここに小鳥が接近。
大きく息を吸い高く掲げるは禍炎剣「レーヴァテイン」!
「これだけ近づければ私の剣の間合いなんだよ!」
言うほど接近していない。剣が届くはずはない。
御者はダメージの衝撃から回復しつつそう感じたに違いない。
ただ、攻撃は想像の斜め上だった。
「つなぎ目を狙うよ。次元斬っ!」
どしっ、と有無を言わさぬ衝撃。馬と馬車の分断を狙ったが、さすがにそこの強度は高い。
分断、失敗。
いや、逆サイドから至近距離真横にすっと上がって来た影がある!
「……挟み撃ちだ」
奏多だ。
朝練で見せたチェイシングスローで加速し一気にこの位置までつけていた。
そして大太刀「獅子王」を振りかぶり……一閃!
――どかっ。ヒヒン、がががが……。
逆からも一撃を食らい、これで馬と馬車が分断された。
「よっしゃ!」
機会を狙っていたJ、ここで再びファントムハンド。馬車のみを捕え止めた。
「それだけじゃないぜぇ……食らえ、グラゼロ!」
右腕の バンカーナックルを繰り出し鋼鉄の杭五連発。さらに再びファントムハンド。
「これでもう絶対逃げられないね!」
ウーナ、呼応。今度は緑に輝く幾何学円状の「的」を現出させ、そこ越しに撃ち抜く。
狙ったのは車輪。移動力を奪った!
「どうだ!」
がっしゃーん、と馬車を横転させるJ。これでこちらは勝負あり。
「鍛錬したかいがあったかな? 馬に乗りながらだと銃の方が対応しやすいよね♪」
馬の方は軽くなって逃げ足が速くなったが、小鳥が追い掛け銃撃で対応している。
「ん?」
いや、少し馬をずらして場所を開けたぞ?
「恨みがあるから徹底的にぶっ飛ばすわよん」
メルクーアが狙っていたことに気付いたのだ。
射線が開いたことで、充填完了。魔導砲、怒りを込めて嵐を呼ぶぜな感じで、どーん!
これを食らい前に吹っ飛ぶ馬。が、よろりと立ち上がりこちらを向いた。
で、最後の気力を振り絞って向かってくる。
「ん、逃げるのは諦めたのかな? それならもう追いかける必要はないね」
小鳥、馬から下りて逃がした逆に身をかわしつつ、すれ違いざまに止めの斬撃を食らわせた。
「御者が馬を置いて逃げるのか?」
奏多は横転した馬車からこっそり逃げた御者の行く手を塞いで立っていた。馬からすでに下りている。
くっ、とナイフを抜いて向かってくる敵にお手本通りの上段斬りを見舞った。
「……戻って来てくれたのか?」
切り捨てた横に、先ほど下りた馬が寄って来た。
こういうことだ、と思う。
●
その後の夕食はバーベキュー。無事に歪虚を退治したことでにこやかなものに。
「見くびってもらっちゃ困る」
「いやまあ、たまに鑑センセやられることもあるから」
鑑もどうやら一人で笛吹歪虚を倒していた。ウーナとしては心配しただけ。すねたのかなぁ、と肉や野菜の焼けた串を取って渡す。
「ちゃんと赤ワインに前日から漬け込んでるみたいだね~」
「ええ、もちろん」
小鳥は下味の良さに目をつけお手伝いに確認。お手伝いさん、にこやか。
「だから肉が柔らかいのね~」
「確かにうまいな……おい、奏多、食ってるか?」
満足そうに頬張るメルクーアに、Jはがっつきつつも横を向いた奏多を気にした。
「いや、来客だ」
奏多が見た方では、村人たちがどやどやと。
「皆さん、村の危機を救ってくれたそうで」
「お礼も兼ねて差し入れを」
大人たちが野菜や鶏肉を持ってやって来た。
「ボクたちもまぜて!」
「お姉さんたちに遊んでもらいなさいって……」
男の子も女の子もやって来た。
「はいはい。おいでおいで~」
「これは忙しくなりそうだね」
早速手招きするメルクーア。小鳥は野菜を切るべく立ち上がる。
「あ、小鳥さん。座っててください」
「あはは、料理してるの見てるとついついそっちをやりたくなっちゃうね」
お手伝いさんが気を遣うが小鳥は苦笑しつつもう包丁持って手を動かしていたり。
「あ? どんな敵だったか? そりゃ人さらい歪虚だ。馬車型で速くてなぁ……。まずはこう、逃げないように上から押さえつけてだな……」
Jの口も滑らか。
「このワインなら、ワインクーラーとかキールにしても美味しそうよね♪」
「ちょっとメルクーア、子供集めといてカクテル作るってどうなんだ?」
自分も飲んで村人のためにもカクテル作ってと気分の良いメルクーアにくぎを刺す鑑。
「はいはい、子供はしっかり食べるー」
ウーナはしっかりとフォロー。
「今回の騒ぎの最初から知ってるとか?」
「そーなのよ。壁掛け猫ちゃん販売で利用されたのよねー」
メルクーアはそのまま大人の相手。
が、雲行きが怪しい。
「ああもう、腹が立つったらありゃしない」
経緯説明する中、最初は同情したり面白そうだった村人たちも次第に恨み節に眉を顰めるが……
「ああ、だめね。お酒は楽しく呑まないと……そうそう、ここのハウスワインも飲んでみたいわ~」
「おお、家庭ワインか? 分かってるね。おおい、誰か……」
話題を切り替えたのを渡りに船と盛り上がる村人。事件のあらましも分かって満足そうだ。
ちなみにこの時奏多。
「この馬も俺を乗せて戦ったいいもの食わせてくれないか」
「おお、待っとれ。いい飼葉を持ってこさせよう」
自分の馬の世話をしていたのを村人に見つかり談笑。
人も馬もみんな一緒に楽しい時間を過ごすのだった。
かっ、と五芒星型の投擲武器が縄を巻いた丸太に刺さる。
その後すぐさまがつっ、と木刀が入った。
「……よし」
踏み込んだのは東條 奏多(ka6425)。細い目に満足そうな輝きがある。一連の動きは「チェイシングスロー」。振り返る庭の結構先に一歩目の跡が残っていた。
朝稽古に来て奏多の技を見守っていた門下生数人は感心し、拍手を送りどよめいている。
――ここは同盟領「ジェオルジ」の片田舎、タスカービレ。
奏多、現地の青竜紅刃流道場に昨晩から泊まっていた。
「奏多さん、朝ご飯できたよー」
ここで道場から呼ぶ声。
エプロン姿の狐中・小鳥(ka5484)がいた。
汗をぬぐい朝練を切り上げ食卓に向かう。
道場内の二階からもぞろぞろと降りてきていた。
「朝稽古とかはないの?」
「秋は収穫で忙しいから自主練だね」
メルクーア(ka4005)の疑問にそう答えるイ寺鑑(kz0175)。
「お邪魔でないならいいんだけど」
「かんけーないない。呼ばれなくても来たよー! でいいよね」
気にした背後からウーナ(ka1439)が元気良く。
というか、口ばかりか良く動く。ささっと鑑の横に入った。
「それよりお手伝いさんがごはん作ってくれるのかー。鑑センセも独りで寂しそうだし、あたしもこっちすんじゃおっかなー?」
「狭い階段で脇を肘でぐりぐりするんじゃない! ついでに食い物目当てでお手伝いさんの手を煩わせるわけにはいかんだろ」
「でも稽古がてら自分を見直せるし、いい所だわねー」
とかなんとかメルクーアも一緒に三人でわいわい階下へ下りる。
「あ、ちょうど良かったんだよー」
キッチンでは小鳥が人数分の紅茶を入れていた。テーブルにはお手伝いの若い娘が朝食を並べている。
で、奏多も加えて揃ったところで、いただきます。
そこに。
――どたどたどたっ!
「お、間に合ったか? つーかよ、鑑。ここは朝が早すぎるぜ?」
トリプルJ(ka6653)が走って下りて来た。少し寝坊したようで。
「基本、農家の村ですからみんな早いですよ」
これで本当に全員勢ぞろい。改めて、いただきます。
メニューはサンドイッチに紅茶。
「んー、野菜がしゃきしゃきして新鮮ね~」
「ええ。取れたてですから」
満足そうにサンドイッチをはむはむするメルクーアにお手伝いさんが説明。
「タマゴも美味しいよね」
「それより鑑、壁掛け猫どうなった! この村にも売られたって聞いて慌てて飛んできたんだが……」
どん、とテーブルに身を乗り出してJが聞いて来た。
「田舎だからですかね。被害はまだだったので壁掛け猫だけは処分しました」
「……なんだ、もうカタがついたのか。…意外に手が早いな、鑑」
ほっとするJ。
「え? 鑑センセ女に手が早いの?」
ウーナが横からゲスな目で。
「手が早いのはウーナだろう。何個目だ? それにそっちの手が早いのはJに譲るよ」
「そんなこといったら小鳥もメルクーアもサンドイッチには手が早いじゃない」
「ええと……まさかこっちに話が来るとは、だよー」
「健康的な証拠だわねー」
「待て鑑。なんでこっちに振る? お前は俺の何を知ってんだ? つーか奏多。無関係そうに一人で平和に食ってんじゃねぇ!」
「無関係だが……そうだ、となら言ってもいい」
「言っちゃえばいいのに、奏多」
「って、おい、ウーナ! 俺の話を聞けって!」
そんな感じで騒がしい。
「にぎやかだわねぇ」
「いつも静かだから楽しいです」
お手伝いさんを気にするメルクーアだが、問題なさそう。
朝食後、門下生が庭にぼちぼち集まって来た。
「じゃ、まず基礎から」
「どれ。俺は見学させてもらおうかな」
「そうだな」
ウーナが招集を掛け、Jと奏多が道場濡れ縁に座る。
「は、はいっ。よろしくお願いします!」
「な、なんかみんな固いんだよ……」
木刀など運んで来た小鳥が汗たら~。
「あー……あ、新入りくんもいるの? じゃ、優しくね?」
慌てて取り繕うウーナ。また鬼師範と誤解されないようにする。
「流派、か……」
奏多、少しうずうず。
「我流の剣を貫いてきたが、流派の教えに触れてみるのもいいかもしれない」
「あ。おい、いくのかよ? ……ま、俺は刀使わねぇしなぁ」
結局、立った。Jも迷って腰を浮かせたが結局座った。
「あたしもまぜてもらおうかな」
「たまには鍛錬するのもいいよね♪ 時々、私も剣と銃で戦うことあるし」
メルクーアと小鳥も参加。
「じゃ、『青竜紅刃流・射の型』、用意!」
ウーナが声を張り近接射撃を軸とした回避移動剣術戦法の基本的動きを始める。
●
で、昼食時。
「まさかこっちでチクワにお目にかかるとは」
「タスカービレは日本、というか東方風の村づくりをしてますからね」
故郷で見掛けるチーズ入りやキュウリ入りの焼きたてチクワを見てびっくりする奏多に鑑が説明する。
「白身魚のすり身は川魚を使ってんるんだよ♪」
小鳥、みんなで関わって特産になった経緯を軽く説明する。
「前は酒飲んで戦う大会で味わったけど、いいわねん♪」
メルクーアは特産の白ワイン「レ・リリカ」をやりつつチーズに舌鼓。
「お酒が苦手な人は白茶をどうぞ」
お手伝いさんが琥珀色をした、こちらも特産のお茶を出す。
「それにしても斬って動いて撃ってと忙しいな?」
「まあ、東方風ということで刀だったんだけど、村人が村を守るなら銃を使った方が危険がないよねーっ、ていう発想もあってね」
Jとウーナはローストチキンにかぶりつきながらそんな話を。
「じゃ、こういう時はどうなる?」
「昼の稽古でやってみようか?」
というわけで食後、午後の稽古の門下生の前で。
Jとウーナが対決している。
「手数でせめられりゃどうなんだ!?」
ウーナの「射の型」とJのワイルドラッシュが激突!
「受けと回避で対応!」
ぱしんがしんとド迫力の攻防。最後はウーナが移動力を見せつけ距離を取った。門下生たちからどよめき。
「遠近両対応なんだから常に距離を置くことは頭に入れるように」
「ま、こっちにゃさらに奥の手があるがな」
ここまで、と門下生に説明するウーナ。Jの方はまだまだできるがな、と不敵な笑み。
「ああいうのはわたしも得意かなっ♪」
小鳥も剣と銃の両手を広げてくるっと回ってみたり。回った後には最初の位置からずれ、その位置に銃を突きつけた姿勢になっている。
「あたしも低い位置からの攻撃に対する訓練なら稽古できるわよー」
背の低い人は集まってねー、とメルクーア。
その時。
「鑑さーん!」
「村の外に怪しい馬車がいたよーっ!」
村人数人が道場に転がり込んできた。聞けば「壁掛け猫」事件の時と似たものだった。
「なんだと?!」
「あの馬車、こんな所にも出てきたの!?」
振り返り声を大きくするJに、持参した馬の方に行く小鳥。ふわっととスリット深めのチャイナ服の裾をひらめかせ騎乗。
「絶対やっつけるわよーっ!」
メルクーアは怒りを溜め込みつつ魔導バイク「アップルジャック」に跨りアクセル・オン。
すぐに現場に向かった。
まず発見したのは、村に近付こうとしている笛吹男人形歪虚。
敵はこちらに気付き道を外れた。
「私が引き受ける!」
馬上の鑑、笛吹男を追う。
「近くに馬車がいるはずだよ?」
「えぇぃっ! 全速力で倒して戻るよ!」
小鳥の指摘にウーナも同意。本隊はそのまま速度を落とさず直進した。
すると林の中から馬車が出て逃走し始めたではないか!
ただ距離がある。ハンターが近道して追うには不整地を通る必要がある。
「荒れてるな……」
「こっちは大丈夫。まずは足止め!」
馬に乗る奏多の心配はバイク組。が、ウーナの魔導バイク「ソーペルデュ」はモトクロスタイプ。比較的不整地を苦にしない。
「俺も行くぜ!」
Jも加速。馬「ゴースロン」に拍車を掛けて一直線。
「じゃ、こっちから先回りしちゃおう!」
小鳥、馬首を巡らし奏多も続く。改造バイクのメルクーアもこちらだ。
で、起伏のある最短距離をクリアしたウーナとJ。
「近距離だけだと思わないでよね!」
少し遠いがオートマチック「チェイサー」を引き抜く。
手前に青く輝く幾何学円状の「的」が出現。これを狙いぶっ放す!
馬に命中してよろける隙にJが追いすがった。
まだ距離はあるがずおんと幻影の大きな腕を出す!
「逃がすかぁ!」
ファントムハンドで馬を掴んだ。移動を止め引き寄せることもできるが……。
「おわっ!」
あくまでつかんだのは馬だけ。馬車の移動エネルギーまでは止められず、歪虚の馬ともどもつんのめる形となる。
ただ、これでかなり時間を稼げた。
再び加速する馬車。これを待後ろから追うウーナは馬車を撃つ。さらに後方から態勢を立て直したJ。
ところが馬車から蛇が数体伸びて来て二人にかぶりつこうとする。
その戦闘の隙に。
「よし!」
大回りしていた奏多、ついに左斜め後方至近距離に付けた!
馬車内の蛇、襲い掛かる。
「邪魔だな」
「させないよ!」
奏多自身、これを嫌い減速して距離を取る。ウーナも援護射撃。
馬車の御者人形歪虚もこれを振り返り確認したが……
すぐに奏多の姿が消えた。
どこにいった、と探そうとしたところ、別の事態に気付く!
「こらあっ! よくも壁掛け猫ちゃんで利用してくれたな。ぶっ飛ばしてやるからね!」
左横遠めでメルクーアが杖型の魔導計算機を掲げている。
空中に三角形を描き、その頂点から三本の光条が放たれる。
――ど・ど・どっ!
それぞれ馬車、御者、馬車に命中。さらに速度は弱まった。
ここに小鳥が接近。
大きく息を吸い高く掲げるは禍炎剣「レーヴァテイン」!
「これだけ近づければ私の剣の間合いなんだよ!」
言うほど接近していない。剣が届くはずはない。
御者はダメージの衝撃から回復しつつそう感じたに違いない。
ただ、攻撃は想像の斜め上だった。
「つなぎ目を狙うよ。次元斬っ!」
どしっ、と有無を言わさぬ衝撃。馬と馬車の分断を狙ったが、さすがにそこの強度は高い。
分断、失敗。
いや、逆サイドから至近距離真横にすっと上がって来た影がある!
「……挟み撃ちだ」
奏多だ。
朝練で見せたチェイシングスローで加速し一気にこの位置までつけていた。
そして大太刀「獅子王」を振りかぶり……一閃!
――どかっ。ヒヒン、がががが……。
逆からも一撃を食らい、これで馬と馬車が分断された。
「よっしゃ!」
機会を狙っていたJ、ここで再びファントムハンド。馬車のみを捕え止めた。
「それだけじゃないぜぇ……食らえ、グラゼロ!」
右腕の バンカーナックルを繰り出し鋼鉄の杭五連発。さらに再びファントムハンド。
「これでもう絶対逃げられないね!」
ウーナ、呼応。今度は緑に輝く幾何学円状の「的」を現出させ、そこ越しに撃ち抜く。
狙ったのは車輪。移動力を奪った!
「どうだ!」
がっしゃーん、と馬車を横転させるJ。これでこちらは勝負あり。
「鍛錬したかいがあったかな? 馬に乗りながらだと銃の方が対応しやすいよね♪」
馬の方は軽くなって逃げ足が速くなったが、小鳥が追い掛け銃撃で対応している。
「ん?」
いや、少し馬をずらして場所を開けたぞ?
「恨みがあるから徹底的にぶっ飛ばすわよん」
メルクーアが狙っていたことに気付いたのだ。
射線が開いたことで、充填完了。魔導砲、怒りを込めて嵐を呼ぶぜな感じで、どーん!
これを食らい前に吹っ飛ぶ馬。が、よろりと立ち上がりこちらを向いた。
で、最後の気力を振り絞って向かってくる。
「ん、逃げるのは諦めたのかな? それならもう追いかける必要はないね」
小鳥、馬から下りて逃がした逆に身をかわしつつ、すれ違いざまに止めの斬撃を食らわせた。
「御者が馬を置いて逃げるのか?」
奏多は横転した馬車からこっそり逃げた御者の行く手を塞いで立っていた。馬からすでに下りている。
くっ、とナイフを抜いて向かってくる敵にお手本通りの上段斬りを見舞った。
「……戻って来てくれたのか?」
切り捨てた横に、先ほど下りた馬が寄って来た。
こういうことだ、と思う。
●
その後の夕食はバーベキュー。無事に歪虚を退治したことでにこやかなものに。
「見くびってもらっちゃ困る」
「いやまあ、たまに鑑センセやられることもあるから」
鑑もどうやら一人で笛吹歪虚を倒していた。ウーナとしては心配しただけ。すねたのかなぁ、と肉や野菜の焼けた串を取って渡す。
「ちゃんと赤ワインに前日から漬け込んでるみたいだね~」
「ええ、もちろん」
小鳥は下味の良さに目をつけお手伝いに確認。お手伝いさん、にこやか。
「だから肉が柔らかいのね~」
「確かにうまいな……おい、奏多、食ってるか?」
満足そうに頬張るメルクーアに、Jはがっつきつつも横を向いた奏多を気にした。
「いや、来客だ」
奏多が見た方では、村人たちがどやどやと。
「皆さん、村の危機を救ってくれたそうで」
「お礼も兼ねて差し入れを」
大人たちが野菜や鶏肉を持ってやって来た。
「ボクたちもまぜて!」
「お姉さんたちに遊んでもらいなさいって……」
男の子も女の子もやって来た。
「はいはい。おいでおいで~」
「これは忙しくなりそうだね」
早速手招きするメルクーア。小鳥は野菜を切るべく立ち上がる。
「あ、小鳥さん。座っててください」
「あはは、料理してるの見てるとついついそっちをやりたくなっちゃうね」
お手伝いさんが気を遣うが小鳥は苦笑しつつもう包丁持って手を動かしていたり。
「あ? どんな敵だったか? そりゃ人さらい歪虚だ。馬車型で速くてなぁ……。まずはこう、逃げないように上から押さえつけてだな……」
Jの口も滑らか。
「このワインなら、ワインクーラーとかキールにしても美味しそうよね♪」
「ちょっとメルクーア、子供集めといてカクテル作るってどうなんだ?」
自分も飲んで村人のためにもカクテル作ってと気分の良いメルクーアにくぎを刺す鑑。
「はいはい、子供はしっかり食べるー」
ウーナはしっかりとフォロー。
「今回の騒ぎの最初から知ってるとか?」
「そーなのよ。壁掛け猫ちゃん販売で利用されたのよねー」
メルクーアはそのまま大人の相手。
が、雲行きが怪しい。
「ああもう、腹が立つったらありゃしない」
経緯説明する中、最初は同情したり面白そうだった村人たちも次第に恨み節に眉を顰めるが……
「ああ、だめね。お酒は楽しく呑まないと……そうそう、ここのハウスワインも飲んでみたいわ~」
「おお、家庭ワインか? 分かってるね。おおい、誰か……」
話題を切り替えたのを渡りに船と盛り上がる村人。事件のあらましも分かって満足そうだ。
ちなみにこの時奏多。
「この馬も俺を乗せて戦ったいいもの食わせてくれないか」
「おお、待っとれ。いい飼葉を持ってこさせよう」
自分の馬の世話をしていたのを村人に見つかり談笑。
人も馬もみんな一緒に楽しい時間を過ごすのだった。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/09/16 23:56:33 |
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相談なんだよー 狐中・小鳥(ka5484) 人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2017/09/16 21:48:23 |