• 黒祀

【黒祀】鉄壁の騎士と恋人を

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/11/21 09:00
完成日
2014/11/26 01:08

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●ある屋敷にて
 一人の女性が憮然としていた。
 理由は明らかだった。
「い、今更、お見合いなどと、どういう事なのですか!」
 彼女の怒りの矛先は、自らの父親に向けられていた。
「そう怒るな、ソルラ」
 諭す様に口を開く父親。
「これが、怒られずにいられますか。だいたい……」
 と、そこから、ソルラと呼ばれた女性の話が永遠と続く。
 今まで異性との交際どころか、お見合いや紹介という話は全て、父親が断っていた。
 中には、彼女の淡い初恋もあった。貴族の娘だからと我慢した事もあった。
 それなのに、だ。
「おまけに、その相手が!」
 相手は某大公との繋がりもあるというある大貴族の息子だ
 ソルラはその人物が大嫌いだった。下心の塊の様な男で、『遊び』が過ぎるという噂まである。
「コホン!」
 わざとらしく咳をする一人の人物。
「保守派の勢いをつける為、両家の婚姻は、我らの利になるものなのです」
 その人物は、お相手先からやってきた使者だ。
 縁談の話を持ってきたのも、この人物だ。
「政略結婚というわけですか!」
 父親はその言葉に俯いてなにも言えないようだった。
 いつもは、娘が望む事を第一に考えてくれるが、今回ばかりはそうはいかないようだ。
 相手が大貴族という事もあるのだろう。
「縁談もなにも、ありません! わ、私には……」
 そこで、言葉を区切って一呼吸。
「わ、私には、み、身も、こ、こ、心も、す、既に捧げた殿方が、い、いますから!」
 口調も身振りも表情も嘘だらけの言葉。
 今の彼女にとって、これが精一杯の虚勢だった。
「な、なんだと!」
 父親には嘘と見破られていないようだ。
 そして、それは事態をややこしくする。
「ど、どこの誰だ! 相手は、誰なのだ!」
 慌てて娘の両肩を掴むと、激しく揺さぶる。
 こんなに慌てた父親を見るのは久々だ。
「あ、相手は……」
 誰も頭に浮かんで来なかった。
 どうしよう。どうしよう。どうしよう。
 そんな時、困った時の彼らを思い出した。
「ハンターよ」
「ハ、ハンター……」
 過激な保守派である父親は最愛の娘のその言葉で気を失い、パタリとソファーに倒れ込んだ。
「ほう。それが事実であれば、縁談どころではありませんね」
 事態を見守っていた使者がニヤリと笑った。
「そういう事なので、お帰り下さい!」
「いえいえ、『それが事実ならば』と申したじゃないですか。確かめさせて頂きますよ」
「……わかりました。事実をお見せします」
 その言葉に乾いた笑い声をあげながら使者が立ち去っていった。

●あるハンターオフィスの支部にて
「いらっしゃいませー」
 元気な受付嬢が羨ましいと思いながらソルラは、辺りに誰もいない事を確認して、カウンターにそっと近づいた。
 そして、一つの依頼書を渡した。
 そこには、雑魔によって占拠された見晴らし台の奪還依頼が書かれている。
「依頼ですね。少々お待ち下さい」
「あ、あと……もう一つお願いがあるのだが……」
「なんでしょうか? 書き足しますよ」
 笑顔でペンを持つ。
 書かれては困ると、ソルラは慌てた。
「い、いや……その……な、内密にしてほしくて……」
 怪訝そうな表情を浮かべる受付嬢。
「実はわけあって、恋人の振りも誰かにお願いしたいのだ」
「え……こ、こい」
 受付嬢が驚きのあまり、大声を出そうとしたところを、ソルラが手を伸ばして口にあてた。
「な、内密なんだ。頼む」
 周りに人がいないのか、キョロキョロするソルラ。
 その様子に、受付嬢もコクンと頷くと、ヒソヒソ声で依頼の内容を確認していった。

リプレイ本文

●使者が来る前の事
「……と作戦は以上ね。ただ、誤魔化すだけじゃ長続きはしないわ。稼いだ時間は有効に、ね」
 シエラ・ヒース(ka1543)が今回の作戦を説明し、最後にそんな言葉を付け加える。
「はい、わかりました! ふ、不束者ですが、よ、よろしくお願いします!」
 ソルラが少し緊張した赴きで頭を下げる。
 これから、雑魔討伐と、ソルラにハンターの恋人がいるという演技をするのだ。
「では、呼び捨てさせてもらうよ、ソルラ」
  トライフ・A・アルヴァイン(ka0657)が、安心させるような優しい口調で彼女の名を呼んだ。
 困った時にハンターも頼れば良いと以前に言った事から、こんな依頼が来るとは思わなかったが、好青年の恋人を演じるかと思う。
「今回はあくまでも緊急措置である事をわかって欲しいです」
 そう言ったのは、摩耶(ka0362)だ。
「はい。今回ばかりは、相手が相手なので……」
 ソルラが苦笑を浮かべる。よほど、嫌な相手なのだろう。
 その様子をアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が見て思う。
(政略結婚か貴族は大変だ……嫌悪感のある人と結婚は、流石に可哀想だよね)
 貴族には貴族なりに不都合な事もあるという事か。
 そんなアルトの横で、ウォルター・ヨー(ka2967)が羨ましそうな顔で、ソルラとトライフを見ていた。
「いーなー! 美女と恋人役とか役得過ぎでやしょ! あたしもやりたかった!」
「皆で決めた事だからね」
 容赦ないアルトの言葉。
「でも、きみと一緒に雑魔の囮役ってのも、趣あるもんじゃないでやすか! ね、ね、アルトちゃん今晩空いてやせん?」
「空いてないんだよ」
 微笑を浮かべ、ウォルターの言葉に、先程よりも容赦ない一言で返すのであった。
 一方、十司 志狼(ka3284)は、そんな仲間達とは違った心境で、この場に立っていた。
(使者の方に納得の上帰って頂く。俺が動かないに越した事は無いけれど。どうも、ここで彼女を甘やかすのが、俺には正しいとは思えないから……)
 志狼は、使者が真相に薄々気付いていて、わざとソルラを泳がせているのではと推論する。
 なにを理由にそうしているのかわからないが、彼女が不利になるのは見過ごさないようにしないと。

●見晴らし台へ向けて
 一行の先頭を歩くトライフとソルラ。
 一番前で良かったかもしれない。ソルラの顔が真っ赤なのがバレずに済んで。
 確かに、手ぐらいなら繋いでも良いとは言った。しかし、握手の様な握り方ではなく、指と指を合わせるなんて思いもしなかった様だ。
 その後ろを歩くのは摩耶とウォルター。時折、後ろを歩く使者や仲間に振り返って会話に混じる。
 使者の左右には、両手に花のようにシエラとアルトが並ぶ。
「なるほど。先程、トライフさんが仰ってた過去の依頼とは、そのお茶会での話なのですか」
 使者がシエラの話を聞いて納得した様な表情を浮かべた。わざとらしいが。
 細かい依頼を聞こうとした使者の機先を制して、今度はアルトが話を振る。
「今回は、なんで同行を?」
「我が主の御子息のお相手にふさわしい女性がいると言う事でね」
 ニヤリと笑う使者。
 まるで柳の枝だ……。摩耶とアルトが、礼儀正しく接しても、シエラやウォルターの様に自然体で接しても、態度や表情も変わらない。
 ただ、淡々に『仕事』をしている様に見える。
 ウォルターが使者に振り返る。
「ハンターのあたしが言うのも何でやすがね。行動力のある女性を身内に抱え込むってなぁ……意見を違えてるとすりゃ苦労しやすよ?」
 と告げる。しかし、使者は先程からの表情を崩さず、「そうかもしれませんね」と返しただけだった。
 そんな使者の真後ろで無駄口叩かず、背筋を伸ばし歩く志狼。
(保守派の貴族の結婚話か……歪虚の襲来で王国内での勢力争いにも変化があるのか)
 歪虚の襲来は直接的な被害だけではない様だ。
「ハンターと懇意のようだけど結婚は大丈夫?」
 と、アルトの質問。聞けば、この結婚は王国の保守派の縁談だ。ソルラの父親はハンターを嫌っているというし。
「我が主の家に入れば、それに従ってもらうだけですから」
 使者の言葉に、志狼は自分の推論が正しいかもしれないと思い至る。
 
●使者の質問
 見晴らし台の手前で、休憩となった。
「凛々しく強い騎士である一方で、僕の前ではとても可愛らしい所かな」
 好きな所はと、使者に訊ねられたトライフはさり気なく返す。
 そんな質問が来るとは想定済みだ。
「恋人同士なら、キスぐらいできるでしょう」
 使者が不敵な笑みを浮かべて急にそんな台詞をぶつけてきた。
「キ、キ、キ……」
「この様に恥ずかしがり屋で2人の時さえ、させてくれないのに、人前でなんて尚更ですよ」
 とソルラの慌てぶりをトライフが華麗にフォローする。
 そこに更に追い打ちをかける様に、使者が次なる質問を繰り出してきた。
「既にお二人は、深い仲と聞きました。ソルラ様のお父様から、ソルラ様の身体のある場所にほくろがあると聞いています。どこでしょうか」
「え!? えぇー!?」
 顔を真っ赤にしているソルラ。まるで茹ですぎたタコの様だ。
「それが、未だに灯りを付けさせてくれなくてね」
 しかし、サラリと返すトライフ。
 経験の差というべきか、場数の差というべきか、至って自然体だった。
「その質問を、システィーナ王女殿下にも同じ質問ができますか?」
 毅然とした態度で摩耶が使者に反撃する。
 シエラも同様に抗議の声をあげた。
「確かに、レディーには失礼な質問をした。心から詫びる」
 あっさりと謝る使者。だが、その表情は、とても反省している様に見えない。
「さ、さぁ、雑魔を倒しに行きましょう!」
 ソルラが悪くなった空気に押されて口を開いた。

●見晴らし台の戦い
 雑魔の注意を引く為、摩耶が、見晴らし台の側面に廻って煙をあげた。
 アルトが手裏剣を構えたまま、見晴らし台に上がって行く。
「ボクとウォルターさんで一緒に敵を誘い出してくる」
 振り返って一行に呼び掛けた。ウォルターが笑みを浮かべた。
「見返り美人ってホントなんでやすなぁ……ヘヘヘ」
「無駄口叩いていないで行くよ、ウォルターさん」
 呆れた表情のアルトの背中を守るように、ウォルターも足を進める。
「銃の腕、期待しているわよ」
 精霊に祈りを捧げ終わったシエラが銃を構えた使者に声をかけた。
「貴女は霊闘士でしたか。前衛はお願いしますね」
 その言葉と共に使者の身体の周囲に黒い龍のオーラが立ち上がった。
 彼もまた、覚醒者の様だ。
「もっとも、今回はあまり出番はないようですがね」
 横目でソルラを見る。彼女もまた、覚醒状態に入った様だ。
「雑魔が誘き出されたら、私が対峙します」
「ソルラ、今回は装備も充全、頼らせてもらうわよ」
 顔を見合わせたシエラとソルラ。2人とも口の端をあげて笑う。
 前回の依頼では、碌な武器も防具もない状態だったが、今回は違う。
 騎士として、そして、闘狩人としての実力が存分に発揮されるはずだ。
「油断は禁物だよ」
 トライフがソルラを案じる。
 防御力を上げる為に、自身のマテリアルを彼女に流し込んだ。

 頭が3つある熊の雑魔と思われる叫び声があたりに響く。
 アルトとウォルターの誘き出しが成功した様だ。見晴らし台の階段を駆け下りてくる。
 その後ろに、雑魔が迫る。
 追いつかれると思った次の瞬間、側面から摩耶が洗練された動きで奇襲を仕掛けた。
「がぁぁぁ!」
 3つある首の内の2つから、炎と酸がまき散らされるが、奇襲を仕掛けた勢いそのままに、ステップして避けると、階段の側面から、飛び降りる。
 そこへ、ナイフと手裏剣が雑魔に突き刺さった。
 ウォルターとアルトが投げた物だ。
 雑魔が怒りの雄叫びをあげながら突進してくる。
「あたしが折角お膳立てしたんだ。ちょっといいとこ見せちゃいな」
 ウォルターの言葉にトライフとソルラが頷く。
「ソルラッ!」
 雑魔の突進を真正面から剣を迎え打とうとしたソルラにトライフがマテリアルの防御壁を作りだす。
 防御壁は突進により容易く崩れ落ちたが、突進の勢いは弱まったようだ。
 肉を切らして骨を断つ。
 ソルラは雑魔の突進に対し、トライフのフォローと金属鎧の防御力に頼り、カウンターに渾身の力を込めた一撃を雑魔に叩きこむ。
 同時に、シエラが金属製のナックルで振り抜く。
 それでも、雑魔は倒せない。使者が放った射撃に反応し、次の標的を彼にした様だ。
 再度突進を試みるが、その前に、ダガーを手にしたアルトと、光を全身に纏った志狼が立ちはだかる。
「ここまでです」
 志狼が雑魔の突進を食い止める。
 動きが止まった所を、アルトが素早い動きで脚を切りつけた。
 使者がタイミングを合わせ、もう片方の脚を打ち抜く。
「これで終わりです!」
 ソルラがシエラと共に繰り出した攻撃で、雑魔はボロボロと崩れ去ったのであった。

●誓いの鐘の前にて
 見晴らし台の南側に鐘が設置してある。
 鐘を鳴らしながら愛を誓うと生涯結ばれるという話があり、ちょっとした観光名所でもある。
 そこに近づく、トライフとソルラ。
 他のメンバーは後ろで控えている。
「鐘の紐を持つ振りをしてくれないか。後ろから見れば分からないさ」
 小さな声でソルラに呼び掛ける。
 彼女が小さく頷いた時だ。
「もう、いいですよ」
 パンパンと、手を叩きながら、使者の声が響いた。
「こ、これから良い所なのに、な、なんですか?」
 緊張の為か、口調が怪しいながらもソルラが使者に向かって言った。
 ニヤリと笑って、何か言おうとした使者よりも先に、志狼が声を上げる。
「もう、止めませんか」
 先程、雑魔と対峙した時よりもピリピリとした空気が辺りを包みこむ。
 ソルラは口を開くが、言葉がでない様だ。
「貴女が乗り気でないのは、伝わったろうと思います。けれど、こんなのはやっぱり三流芝居以外の何物でもない」
「貴方は、私の台詞を奪わないで欲しいな」
 使者が志狼に向かって苦笑を浮かべる。
 そして、ソルラに向かって言い放った。
「屋敷の時から、貴女の様子を見て嘘だとわかっていましたよ」
「政略結婚したくないし、相手も自分で見つけたい……」
 そう言いながら、ペタリと地面に座り込んだ。
 トライフが心配そうに、肩を撫でる。
「お父さんとしっかり話し合うべきじゃないかな?」
 アルトが優しく声をかける。
「それは……」
「親の言いなりでいいの? 反発して家を、騎士を捨てる覚悟はあるの?」
 悩みこむ様な表情を浮かべる。
 そこに、ウォルターが助け舟を出す。
「今回だけじゃない。今後、同じような事が二度三度ある。ご自分でどうにかしなきゃだ。ま、それでも必要ならお助けしやすがね……いじめは、嫌いなんだ。僕」
 キッと使者に視線を向ける。
 家柄の権力を笠に、彼女の父親が断れない縁談をもってくるなんて弱いものいじめもいい所だ。
「ちゃんと断る方が筋だと思うの」
 摩耶もそう言いながら、使者に視線を向けた。
 使者はふざけた様子で肩をすくめて見せる。
「恩義有る父親を騙し、同胞たる貴族の使者を欺き、行き掛かりのハンターに阿るのが貴女の信じる騎士の道ですか」
 志狼が厳しい言葉を投げつけた。
「貴女に誇りが有るのなら退かず、媚びず、省みず、自分の意志を伝えるべきだ」
 彼の言葉がソルラの心に突き刺さる。
 騎士としての誇り。王女を、国を護るという忠誠の気持ち。
「違いますか、鉄壁の騎士。貴女は本当に、これで良いんですか」
 決断を促す、率直な志狼の言葉。
「あなたにとって世界は窮屈なの?」
 そこへ、地面に座り込んだソルラの視線に合わせるシエラ。
 今にも泣きそうな彼女の瞳に話しかける。
「騎士として国を護る? それとも、恋かしら? 望んで囚われるのでなければ、あなたはもっともっと世界を愛せるように生きるべきなのよ」
「望んで囚われ……」
 シエラの言葉を繰り返し、ソルラはしばし、瞳を閉じた。
「答えはでましたか?」
 使者がこれまでと打って変わって真剣な表情で訊ねる。
 全員の視線が彼女に集まった。
 瞳をゆっくりと開ける。
「私は王女様と国を護る。それが私の役目」
 笑顔で全員を見渡す。
「その為に、結婚をするわ。そして、私が保守派を改革するの! ハンターの皆さんと一緒に!」
 騎士としての強い意志が彼女から感じられる。
「それは……私としては困りますね」
 使者が神妙な顔付きになる。
「この縁談はなかった事にさせていただきます。行動力のある貴女だ。言葉通りされても困りますから」
 実に残念ですと続けたが、言葉通り、残念そうな表情ではない。
 むしろ、なにか嬉しそうな、そんな雰囲気だった。
「私は別の方を探す手間が増えましたけどね」
「仕事の依頼はハンターオフィスまでね。誠実に対応するわ」
 使者の疲れた言葉に、シエラが茶目っ気たっぷりの笑みで伝える。
 特上の皮肉に、使者が笑い声をあげ、一同を見渡す。
「それでは、失礼します。また、どこかで逢いましょう」
 一礼をしてから、見晴らし台を降りて行った。

「……という事は、私、振られたって事でしょうか?」
 ソルラが首を傾げる。
 振られたというより縁談破棄なのだが。
「そういう事だね。これからは、父親とよく話し合うといいよ」
 立ち上がろうとしたソルラに手を貸すトライフ。
「そうします」
「咄嗟に嘘を吐くとね、その嘘を守る為に幾つもの嘘を付かなくちゃならなくなる」
「はい。今回の事で、よくわかりました」
 笑顔で彼の手を取り、立ち上がる。
 そして、鳴らされなかった鐘を見た。
「あの鐘を鳴らしに来るのは、当分先になりそうです」
「僕は本当に一緒に鐘を鳴らしても良かったけどね。本気だよ」
 如何にも本気ですという芝居かかった顔のトライフ。
 嘘か本気か。彼のみが知る事だ。
 それでも、初めて会った時に、そんな事言われていたら、きっと、ソルラも本気になっただろう。
「もう……ご冗談を」
 だから、彼にその言葉で返した。
 満面の笑顔と共に。


 後日、優秀な騎士でもある彼女には戦場こそ相応しいという事で、縁談は正式になくなった。
 ちなみに、彼女の『鉄壁の騎士』という二つ名は、健在のままである。


 おしまい。

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重体一覧

参加者一覧

  • 光の水晶
    摩耶(ka0362
    人間(蒼)|15才|女性|疾影士
  • 大口叩きの《役立たず》
    トライフ・A・アルヴァイン(ka0657
    人間(紅)|23才|男性|機導師
  • 縁を紡ぐ者
    シエラ・ヒース(ka1543
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • ミストラル
    ウォルター・ヨー(ka2967
    人間(紅)|15才|男性|疾影士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 決意を呼び覚ます者
    十司 志狼(ka3284
    人間(蒼)|17才|男性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/11/15 21:40:24
アイコン 相談卓
ウォルター・ヨー(ka2967
人間(クリムゾンウェスト)|15才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/11/21 01:36:14