ゲスト
(ka0000)
桃紅のパンプキンヘッド
マスター:惇克

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/11/18 15:00
- 完成日
- 2014/11/26 12:10
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
ピースホライズンの南、王国へと伸びる街道に繋がる脇道に怪しげな人影があった。
時は夕暮れ、場所は道沿いに建てられた納屋の陰。
納屋の軒下の生い茂る秋草の中に、頭に大きなカボチャ(ショッキングピンク)のかぶり物をつけ、つやつやとした黒いマントを身につけた男が蹲っていた。
運悪く、バイト警備員の疾影士の男がそこへと通りかかる。
いかにも怪しげでめんどくさそうなものを見つけてしまった疾影士は、見ないふりをしてやり過ごしたかったのだがそういうわけにもいかず、渋々といった体で大丈夫ですかとお定まりの声をかける。
ピースホライズンにて催されていた仮装パーティーの『普通』の、『正常』なホストであってほしいと思いながら。
だがそんなささやかな願いは打ち砕かれるのがお約束。
疾影士の声に反応したカボチャ頭の男はやおら立ち上がり、マントを両手で跳ね上げる。
マントの下は、はい、全裸ー。
どう見ても変態です。本当にありがとうございました。
最大限の譲歩と最低限の配慮の結果、股間はコウモリで隠されている。
また、紳士としての身だしなみか拘りなのか、紺色のソックスと革靴だけは着用していた。
「うわあああああああああああああああ変態だあああああああああああああああああ!!!」
恥も外聞もなく悲鳴を上げる疾影士。
カボチャ頭の男は『貴様の悲鳴がBGMだ!』とばかりに、無駄毛に覆われだらしなくたるんだ中年男性体型を晒しながら、ウォウウォウ腰を振り始めた。股間のコウモリも興奮気味にバタバタ羽ばたく。
正常な一般人が正視すれば正気を削られ恐慌状態に陥ってもおかしくない光景だ。
疾影士は覚醒者であるが故に耐えることができたが、それもあまり長くは持たないだろう。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
腹の底からの悲鳴に気をよくしたのかカボチャ男は、ナイトフィーバーっぽいポーズをとり、掲げた指先に炎をともす。
露出狂と放火魔のハイブリッド犯罪者、そして男色趣味という救いようのない性質のカボチャ男。
恐れおののくがいい、と股間のコウモリが牙をむく。
「あ、雑魔じゃんコイツ」
こんな珍奇小器用な真似ができる人間の変態がいるものか。
雑魔なら殺れる!! と何か急に正気に戻った疾影士は魔導短伝話を用いてハンターオフィスに雑魔の出現を通報した。
ピースホライズンの南、王国へと伸びる街道に繋がる脇道に怪しげな人影があった。
時は夕暮れ、場所は道沿いに建てられた納屋の陰。
納屋の軒下の生い茂る秋草の中に、頭に大きなカボチャ(ショッキングピンク)のかぶり物をつけ、つやつやとした黒いマントを身につけた男が蹲っていた。
運悪く、バイト警備員の疾影士の男がそこへと通りかかる。
いかにも怪しげでめんどくさそうなものを見つけてしまった疾影士は、見ないふりをしてやり過ごしたかったのだがそういうわけにもいかず、渋々といった体で大丈夫ですかとお定まりの声をかける。
ピースホライズンにて催されていた仮装パーティーの『普通』の、『正常』なホストであってほしいと思いながら。
だがそんなささやかな願いは打ち砕かれるのがお約束。
疾影士の声に反応したカボチャ頭の男はやおら立ち上がり、マントを両手で跳ね上げる。
マントの下は、はい、全裸ー。
どう見ても変態です。本当にありがとうございました。
最大限の譲歩と最低限の配慮の結果、股間はコウモリで隠されている。
また、紳士としての身だしなみか拘りなのか、紺色のソックスと革靴だけは着用していた。
「うわあああああああああああああああ変態だあああああああああああああああああ!!!」
恥も外聞もなく悲鳴を上げる疾影士。
カボチャ頭の男は『貴様の悲鳴がBGMだ!』とばかりに、無駄毛に覆われだらしなくたるんだ中年男性体型を晒しながら、ウォウウォウ腰を振り始めた。股間のコウモリも興奮気味にバタバタ羽ばたく。
正常な一般人が正視すれば正気を削られ恐慌状態に陥ってもおかしくない光景だ。
疾影士は覚醒者であるが故に耐えることができたが、それもあまり長くは持たないだろう。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
腹の底からの悲鳴に気をよくしたのかカボチャ男は、ナイトフィーバーっぽいポーズをとり、掲げた指先に炎をともす。
露出狂と放火魔のハイブリッド犯罪者、そして男色趣味という救いようのない性質のカボチャ男。
恐れおののくがいい、と股間のコウモリが牙をむく。
「あ、雑魔じゃんコイツ」
こんな珍奇小器用な真似ができる人間の変態がいるものか。
雑魔なら殺れる!! と何か急に正気に戻った疾影士は魔導短伝話を用いてハンターオフィスに雑魔の出現を通報した。
リプレイ本文
●
「あぁ、こういうん困るんよなぁ、真っ当なもんへの風評被害にしかならねぇぜ」
「そうそう、こういう手合いがあたし達のイメージを悪くするのよね!」
苦虫を噛み潰したような表情の武神 守悟(ka3517)の言葉にカミーユ・鏑木(ka2479)が同意を示す。
「マイノリティな立場の人間として見逃せないわ、あたしの手で討たなくちゃ」
「ってーこった、即刻削除! 消去! 消し去るぞ!」
「全国の皆に変わってお仕置きよ!」
世に憚りなく同性を愛するものとしての使命に燃え、気炎を上げる二人。
その横ではスタン・ファーコート(ka3417)がウサギの着ぐるみの上から頭を抱えていた。
「あれが雑魔? 思っていたよりもクレイジーでござるな。拙者、初めての依頼でござるが早速頭痛がしてきたでござるよ」
初めての依頼がこれかよ、と今更ながら後悔の念を抱くが後の祭りというやつである。
仕方がないと気持ちを切り替え、とりあえず、戦闘前に雑魔とコミュニケーション? をとれるか試してみようと、相手が腰を振るなら、こちらも腰を振ってとかモノマネ的なことをしてみようかと考え、ポーズをとるが
「依頼を聞いた時には冗談かと思ったけど、本当にピンクのカボチャ頭とか……」
ガチでドン引きした白金 綾瀬(ka0774)の「キモッ……」という小さな呟きに、スタンは行動をキャンセルした。同類と思われては社会的に死ねる。
「あっはっはっは!なんて見事な変態なんだ。見ているだけで吐き気がするね!」
そこをまた追撃するかのごとくフワ ハヤテ(ka0004)からからと笑う。
ゴシックドレスを身に纏い、化粧もばっちり。という姿ではあったが。
これはあれか心に棚を作れというそういうことなのかどういうことなのか。
「さ、男に狂った CRAZY Pumpkin をぶっ殺すぞ。あんな視覚的暴力やべぇヤツほっとけねーし。そろそろ精神が死に掛けてるストライダークンも居る事だし、ぶっ殺した方が世の為人の為ってね」
lol U mad ?(ka3514)が竦めた肩越しに親指で指し示す方には、なぜかその場に正座し、虚ろな表情で明後日の方向を見ているストライダーがいた。
「……ああ、彼についてはノータッチだ。ご自由に逃げてもらおうじゃないか」
攻撃の邪魔にさえならなければどうでもいい、とフワは移動を開始する。
彼は雑魔と距離をとり、後衛として安全に攻撃できる位置取りを考える。
現場となる農道の幅はそれほど広くはなく、前衛三人が雑魔と接近した場合、同じ道上にいたままでは射線を通すことは難しくなる。誤射の危険性も高い。
そう考えたフワは道を外れ、枯れ草がまばらに生えた畑へと遠慮なく踏み入った。
(収穫後だし、問題ないよね?)
フワが位置を決めたその頃、カミーユは全力でダッシュしていた。
「ここはあたし達に任せなさい!」
変態の魔の手から哀れな子羊を庇おうと、凜々しく、雑魔とストライダーとの間に割って入るが、その出で立ちは、肉体美を強調するかのようなレーシングスーツに蝶の羽を模した飾りのついた華美な仮面という。
ストライダーは死んだ魚のような目をして「あっ……、あっ……」というのが精一杯だった。
そんな彼にカミーユは逃げるようにと促す。
自失しのろのろと動き出すストライダーと入れ替わりに守悟が走り込んでくる。
「どーせ前衛やってりゃどうやったって避けらんねーんだ!」
覚悟を決めるしかあるまい、と大いに男前ぶりを発揮し、ガンガンと前に出て行く。
「歩く桃色アルマゲドン、ウサライダー参上!」
それに続くスタンは前口上とともに武器を前に構えてポーズを決める。
「奴は色々とヤバい奇術を使うようでござるな? なに、強い心と信念さえあれば大丈夫!」
根拠のない自信を漲らせるウサライダー。
勇敢なる男達が雑魔に接近して行く間、綾瀬は改めて見る標的のおぞましさに引いていた。ドン引いていた。
「なによあれ……ピンクの頭に全裸コートとか頭おかしいんじゃないの? ……これ以上近づきたくないから、悪いけどここから撃たせてもらうわ」
雑魔から十分な距離をとり、アサルトライフルを構えた綾瀬は、戦闘中も継続して一定の距離を保てるようにと移動経路の確保を忘れない。
その近くでlolは両手に花(1名は女装男子だが)とやや上機嫌だった。
「オレちゃん擬似ハーレムで幸せ♪ 目の前に野郎共の地獄が広がってなけりゃ天国だったんだがなぁ」
目線の先で造形も存在もアレな雑魔と相対するのは、彼曰く『カマ・ホモ・キグルミの野郎三点ハッピーセット』な前衛。
なんかもうぱっと見ソドムとゴモラってる光景だった。
「一番注意すんのは男色キ○ガイダンスだな。前の連中がいるし、こっちに来る事はねぇと思いてぇが……もし前衛全員が男に走ったらマジでやべぇな。アイツ等がクソ南瓜と一緒に特攻して来たらとか、考えたくもねぇよ」
ウンザリとした表情で首を横に振るlol。フラグ建築お疲れ様です。
そして雑魔は早速、解放されし肉体の歓喜(セクシーダンス)を踊り始めた。ギャラリーが集まってきてくれた事に大はしゃぎだ。
小太りのおっさんのポールなしポールダンス。
衣服という拘束具から解き放たれた肉体を余すところなく見せつけようと、無駄毛に覆われたるんでぶよぶよの贅肉が、艶めかしく揺れる。股間のコウモリもバタバタ羽ばたく。
羽織っているマントも小道具として利用し視線誘導とチラリズムを演出してくるのが心憎い。
一通り想像してしまった人は自分のその豊富なイマジネーションを恨むといいです。
「あら残念、あたしはこういうのは趣味じゃないのよね。どうせなら、可愛い男の子を連れてらっしゃい」
カミーユは余裕綽々、といった具合にそれをフフン、と鼻で笑う。
欲望にゃめっぽう弱い、と自覚している守悟は「あの中年がちっとずつかっけー兄貴に見えてくんのかなぁ、やだなー……」と思いながらややぼんやりとし始めている。
スタンはひたすらに『全ての悪と変態は斬る』と念じていた。憎み始めてもいた。悪は当然の如く憎むものであると。
ただ、憎むというのは対象を強く意識することであり、余計に囚われてしまうことにもなりかねない。
なんかちょっと暗雲が垂れ込めてきた感があるが、ここで怯んでいては先に進めない。
距離も頃合いもよし、とフワが雑魔の脚部を狙ってウィンドスラッシュを放つ。
「足を潰すのって大事だと思うんだよ」
その衝撃に蹈鞴を踏んだ雑魔へとカミーユが詰め寄る。
「後ろに攻撃なんてさせないわよ!」
後衛を守る壁としての役割を全うしながら、雑魔の攻撃を封じるべく一撃を見舞う。
続く守悟がスラッシュエッジで切り裂き、スタンが強く踏込み剣を振り下ろす。
「立派なコウモリを真っ二つにしてやるでござるよ!」
そこへと綾瀬の牽制射撃が届く。更にlolの矢が雑魔に突き刺さる。
「オレちゃん怖ぇから後ろで矢撃ってんぜ! 卑怯? 何言ってんだ、オレちゃんってばか弱いチンピラだぜ?」
流石というべきか、ハンター達の流れるような連係攻撃が雑魔に叩き込まれる。
並の雑魔であればとっくに瀕死になっていてもおかしくはない。
だが。
「やだ、コイツ、何か喜んでない?」
雑魔の身体には目立った損傷が現れておらず(矢は刺さっているが)、それどころか雑魔は肌を紅潮させ、興奮したかのように息を荒げていた。
そう、雑魔はドMであったのだ。
しかし、ドMだからといって攻撃されてダメージがないとか、回復するとかそういうことはない。
ほぼ全裸人型という姿の雑魔なだけに、そのままダメージの描写をしたらゴアまみれで青少年の健全育成に相応しくないコンテンツになってしまうので、その辺あれこれの事情だと思ってほしい。
『『『『『『きんもーっ☆』』』』』』
ハンター達の心が一つになった瞬間だった。
雑魔はハンター達の侮蔑と嫌悪の視線にも興奮を覚えたのか、先ほどよりさらに激しくダンスを踊る。
「あっ、これはこれであr――っていけないわ! 気を強く持たなくちゃ!!」
いろんな意味で強烈な精神攻撃に、カミーユは脳内で可愛い年下の男の子達とキャッキャッウフフと戯れ愛を育(省略されました……全てを読むには有料会員登録が必要です)妄想を巡らせ、意識を保とうとする。
(今のあたしには、この変態雑魔を倒すという使命があるのよ! それを忘れちゃ駄目!!)
「漢女(おとめ)はブレてはいけないの!」
自分を叱責しどうにか正気を保つことに成功したカミーユ。
守悟は胸元に潜ませていた『ポートレイト「クリストファー・マーティン」』を握りしめ、彼への熱い思いを燃やして難を逃れる。
「クリストファー兄ぃのコレ持ってると、いつもより生き残れそうだったり強くなれる気がするからなー!」
人目がなければポートレイトに熱いくちづけをしているところだろう。
スタンはふらふらと雑魔へと近づき、『骨をへし折るつもりで』力の限りに抱きしめた。魅了を逆手にとり、ダメージを与えようという心算だったが、もうなんか傍目には熱烈に愛し合っているようにしか見えない。雑魔もノリノリで愛の力比べとスタンを締め上げる。
あれもラヴなら、これもラヴ。ある愛の歌だ。
ツッコミとばかりにフワがウィンドスラッシュを放つ。敵と密着しすぎていたら味方に当たっても不可抗力だよね、という容赦ない攻撃だった。
カミーユと守悟も攻撃を行うが、精神的ダメージが大きいのか心なしか手元が覚束ない。
スタンは引き続き熱い抱擁を交わしている。
綾瀬は冷静に攻撃を続けるが、正直なところ標的を直視したくないという思いでいっぱいだった。
「これヤバくね?」
矢を射かけながらlolは不安を口にする。
(まー腹括って、アヤセと一緒に出迎えてやるしかねぇんだけどな)
ある種の諦めにも似た覚悟を完了させたlol。
そして雑魔はだめ押しとばかりに踊る。スタンと共に絡み合うような情熱のアルゼンチンタンゴ。
「全国の美少年、不甲斐ないあたしを許してぇー!!!!!!」
「これは浮気じゃないぜ兄ィィィ!!!!!」
ついにカミーユと守悟が術中に墜ちた。
野郎三点ハッピーセットfeat.パンプキンヘッド。
HENTAI黙示録の始まりだ。
この事態は非常にマズイ、とフワが即座にスリープクラウドを放つ。
前衛もろとも雑魔に睡眠を付与し、危険を排除しようという意図があった。
これは前衛には事前に同意を得ており、守悟は後衛に迷惑をかけるぐらいなら、と最初から抵抗をしない心積もりまであった。
魔力の雲が効果範囲内にいるものたちに作用を及ぼす。
カミーユは眠った!
守悟は眠った!
スタンは眠った!
雑魔は抵抗に成功した!
「あっ」
「あっ」
「あっ」
倒れ伏す前衛、一人立つ雑魔。
なんだこの事態。
後衛の面々の背中をいやな汗が伝う。
綾瀬は即座に牽制射撃を加えて雑魔の足止めをする。こちらに向かってくるようであれば全力で移動できるように体制を整えつつ。
続けてlolも強弾で迎撃を行うが、雑魔の息の根を止めるにはまだ少し足りないようだった。
雑魔を真正面から相手にしていた前衛が眠ってしまったのだから当然、矛先は後衛に向く。
動く獲物を求めて変態まっしぐらだ。
「いいからさっさと眠ってくれないか気持ち悪い」
フワは顔を引き攣らせながら、もう一度スリープクラウド使用する。
だが雑魔はしぶとくも眠らない。ウォウウォウ腰を振りつつじわじわ距離を詰めてくる。
「ちょっ、何でこっち来るのよ! ヤダ、コッチこないでよ、イヤァァァァァ!」
迫り来る雑魔に、絶叫しながらアサルトライフルを乱射する綾瀬。
「てかこんだけやってんのにまだ走れんのかよ。何喰ったらそーなんだ? あ、野郎か、止めとくわ」
lolが射撃を加えながらじりじりと後退る。
雑魔はマントを翻しながら、がに股でだばだばと駆けてくる。
雑魔が迫ればハンター達が退く、ハンター達が退けば雑魔が追いすがる。
地獄の追いかけっこ開幕、ぞ。
「いやはや変態さんは怖いなあ」
やや焦りながら、フワは雑魔を転倒させようと足下を狙ってアースブレッドを炸裂させる。だが、よろけこそしたものの、その足は止まらない。
ずんずんずんずん近づいてくる雑魔に、綾瀬は恐慌状態に陥りかけるが「大量の猫に囲まれてだらだらする」という願望を思い描き、平静を保とうと努めていた。
「とりあえず、全部終わったらぜってぇ埋めてやる」
地中に封印して二度と出てこられなくしてやろうと、lolは堅く心に決める。
このてんやわんやの騒ぎに目を覚ましたスタンは跳ね起き、カミーユと守悟を揺り起こして、雑魔を追いかける。
「この辱めは10倍返しよ!!」
「待てやコラァ!! よくも漢の純情を踏みにじりやがったな!!」
怒り心頭の彼らは怒号を上げながら全力疾走で雑魔を追い詰める。
経緯はどうあれ、雑魔を挟撃することに成功した。
「全国の(変態)紳士・淑女の怒りを受け取りなさい!」
「暗黒の世界に帰れ!!」
ハンター怒りの猛攻撃に晒され、雑魔はついにその息の根を止めた。
雑魔は倒れると同時に形が崩れ、黒いもやのようなものとなり、それもやがて消えていった。
いつの間にか日は傾き、橙に染まった空に塒へと急ぐ鳥の声が響く。
農道の端、枯れ草の上に疲れ果てたように腰を下ろしたハンター達の心は一つだった。
『今日のことはきれいさっぱり忘れよう』
●
こうして、ハンター達の活躍によって地域の平和と安定と青少年のなんかは守られた。
だが、光あるところに陰は必ず存在する。
これから先、第二、第三の変態が現れるやもしれない。
変態に屈っすることなく戦い続けるのが戦士の宿命。
いつか人の心が闇に打ち勝つと信じて、戦え! 自由のために!!
ハンターの戦いはこれからだ!!
「あぁ、こういうん困るんよなぁ、真っ当なもんへの風評被害にしかならねぇぜ」
「そうそう、こういう手合いがあたし達のイメージを悪くするのよね!」
苦虫を噛み潰したような表情の武神 守悟(ka3517)の言葉にカミーユ・鏑木(ka2479)が同意を示す。
「マイノリティな立場の人間として見逃せないわ、あたしの手で討たなくちゃ」
「ってーこった、即刻削除! 消去! 消し去るぞ!」
「全国の皆に変わってお仕置きよ!」
世に憚りなく同性を愛するものとしての使命に燃え、気炎を上げる二人。
その横ではスタン・ファーコート(ka3417)がウサギの着ぐるみの上から頭を抱えていた。
「あれが雑魔? 思っていたよりもクレイジーでござるな。拙者、初めての依頼でござるが早速頭痛がしてきたでござるよ」
初めての依頼がこれかよ、と今更ながら後悔の念を抱くが後の祭りというやつである。
仕方がないと気持ちを切り替え、とりあえず、戦闘前に雑魔とコミュニケーション? をとれるか試してみようと、相手が腰を振るなら、こちらも腰を振ってとかモノマネ的なことをしてみようかと考え、ポーズをとるが
「依頼を聞いた時には冗談かと思ったけど、本当にピンクのカボチャ頭とか……」
ガチでドン引きした白金 綾瀬(ka0774)の「キモッ……」という小さな呟きに、スタンは行動をキャンセルした。同類と思われては社会的に死ねる。
「あっはっはっは!なんて見事な変態なんだ。見ているだけで吐き気がするね!」
そこをまた追撃するかのごとくフワ ハヤテ(ka0004)からからと笑う。
ゴシックドレスを身に纏い、化粧もばっちり。という姿ではあったが。
これはあれか心に棚を作れというそういうことなのかどういうことなのか。
「さ、男に狂った CRAZY Pumpkin をぶっ殺すぞ。あんな視覚的暴力やべぇヤツほっとけねーし。そろそろ精神が死に掛けてるストライダークンも居る事だし、ぶっ殺した方が世の為人の為ってね」
lol U mad ?(ka3514)が竦めた肩越しに親指で指し示す方には、なぜかその場に正座し、虚ろな表情で明後日の方向を見ているストライダーがいた。
「……ああ、彼についてはノータッチだ。ご自由に逃げてもらおうじゃないか」
攻撃の邪魔にさえならなければどうでもいい、とフワは移動を開始する。
彼は雑魔と距離をとり、後衛として安全に攻撃できる位置取りを考える。
現場となる農道の幅はそれほど広くはなく、前衛三人が雑魔と接近した場合、同じ道上にいたままでは射線を通すことは難しくなる。誤射の危険性も高い。
そう考えたフワは道を外れ、枯れ草がまばらに生えた畑へと遠慮なく踏み入った。
(収穫後だし、問題ないよね?)
フワが位置を決めたその頃、カミーユは全力でダッシュしていた。
「ここはあたし達に任せなさい!」
変態の魔の手から哀れな子羊を庇おうと、凜々しく、雑魔とストライダーとの間に割って入るが、その出で立ちは、肉体美を強調するかのようなレーシングスーツに蝶の羽を模した飾りのついた華美な仮面という。
ストライダーは死んだ魚のような目をして「あっ……、あっ……」というのが精一杯だった。
そんな彼にカミーユは逃げるようにと促す。
自失しのろのろと動き出すストライダーと入れ替わりに守悟が走り込んでくる。
「どーせ前衛やってりゃどうやったって避けらんねーんだ!」
覚悟を決めるしかあるまい、と大いに男前ぶりを発揮し、ガンガンと前に出て行く。
「歩く桃色アルマゲドン、ウサライダー参上!」
それに続くスタンは前口上とともに武器を前に構えてポーズを決める。
「奴は色々とヤバい奇術を使うようでござるな? なに、強い心と信念さえあれば大丈夫!」
根拠のない自信を漲らせるウサライダー。
勇敢なる男達が雑魔に接近して行く間、綾瀬は改めて見る標的のおぞましさに引いていた。ドン引いていた。
「なによあれ……ピンクの頭に全裸コートとか頭おかしいんじゃないの? ……これ以上近づきたくないから、悪いけどここから撃たせてもらうわ」
雑魔から十分な距離をとり、アサルトライフルを構えた綾瀬は、戦闘中も継続して一定の距離を保てるようにと移動経路の確保を忘れない。
その近くでlolは両手に花(1名は女装男子だが)とやや上機嫌だった。
「オレちゃん擬似ハーレムで幸せ♪ 目の前に野郎共の地獄が広がってなけりゃ天国だったんだがなぁ」
目線の先で造形も存在もアレな雑魔と相対するのは、彼曰く『カマ・ホモ・キグルミの野郎三点ハッピーセット』な前衛。
なんかもうぱっと見ソドムとゴモラってる光景だった。
「一番注意すんのは男色キ○ガイダンスだな。前の連中がいるし、こっちに来る事はねぇと思いてぇが……もし前衛全員が男に走ったらマジでやべぇな。アイツ等がクソ南瓜と一緒に特攻して来たらとか、考えたくもねぇよ」
ウンザリとした表情で首を横に振るlol。フラグ建築お疲れ様です。
そして雑魔は早速、解放されし肉体の歓喜(セクシーダンス)を踊り始めた。ギャラリーが集まってきてくれた事に大はしゃぎだ。
小太りのおっさんのポールなしポールダンス。
衣服という拘束具から解き放たれた肉体を余すところなく見せつけようと、無駄毛に覆われたるんでぶよぶよの贅肉が、艶めかしく揺れる。股間のコウモリもバタバタ羽ばたく。
羽織っているマントも小道具として利用し視線誘導とチラリズムを演出してくるのが心憎い。
一通り想像してしまった人は自分のその豊富なイマジネーションを恨むといいです。
「あら残念、あたしはこういうのは趣味じゃないのよね。どうせなら、可愛い男の子を連れてらっしゃい」
カミーユは余裕綽々、といった具合にそれをフフン、と鼻で笑う。
欲望にゃめっぽう弱い、と自覚している守悟は「あの中年がちっとずつかっけー兄貴に見えてくんのかなぁ、やだなー……」と思いながらややぼんやりとし始めている。
スタンはひたすらに『全ての悪と変態は斬る』と念じていた。憎み始めてもいた。悪は当然の如く憎むものであると。
ただ、憎むというのは対象を強く意識することであり、余計に囚われてしまうことにもなりかねない。
なんかちょっと暗雲が垂れ込めてきた感があるが、ここで怯んでいては先に進めない。
距離も頃合いもよし、とフワが雑魔の脚部を狙ってウィンドスラッシュを放つ。
「足を潰すのって大事だと思うんだよ」
その衝撃に蹈鞴を踏んだ雑魔へとカミーユが詰め寄る。
「後ろに攻撃なんてさせないわよ!」
後衛を守る壁としての役割を全うしながら、雑魔の攻撃を封じるべく一撃を見舞う。
続く守悟がスラッシュエッジで切り裂き、スタンが強く踏込み剣を振り下ろす。
「立派なコウモリを真っ二つにしてやるでござるよ!」
そこへと綾瀬の牽制射撃が届く。更にlolの矢が雑魔に突き刺さる。
「オレちゃん怖ぇから後ろで矢撃ってんぜ! 卑怯? 何言ってんだ、オレちゃんってばか弱いチンピラだぜ?」
流石というべきか、ハンター達の流れるような連係攻撃が雑魔に叩き込まれる。
並の雑魔であればとっくに瀕死になっていてもおかしくはない。
だが。
「やだ、コイツ、何か喜んでない?」
雑魔の身体には目立った損傷が現れておらず(矢は刺さっているが)、それどころか雑魔は肌を紅潮させ、興奮したかのように息を荒げていた。
そう、雑魔はドMであったのだ。
しかし、ドMだからといって攻撃されてダメージがないとか、回復するとかそういうことはない。
ほぼ全裸人型という姿の雑魔なだけに、そのままダメージの描写をしたらゴアまみれで青少年の健全育成に相応しくないコンテンツになってしまうので、その辺あれこれの事情だと思ってほしい。
『『『『『『きんもーっ☆』』』』』』
ハンター達の心が一つになった瞬間だった。
雑魔はハンター達の侮蔑と嫌悪の視線にも興奮を覚えたのか、先ほどよりさらに激しくダンスを踊る。
「あっ、これはこれであr――っていけないわ! 気を強く持たなくちゃ!!」
いろんな意味で強烈な精神攻撃に、カミーユは脳内で可愛い年下の男の子達とキャッキャッウフフと戯れ愛を育(省略されました……全てを読むには有料会員登録が必要です)妄想を巡らせ、意識を保とうとする。
(今のあたしには、この変態雑魔を倒すという使命があるのよ! それを忘れちゃ駄目!!)
「漢女(おとめ)はブレてはいけないの!」
自分を叱責しどうにか正気を保つことに成功したカミーユ。
守悟は胸元に潜ませていた『ポートレイト「クリストファー・マーティン」』を握りしめ、彼への熱い思いを燃やして難を逃れる。
「クリストファー兄ぃのコレ持ってると、いつもより生き残れそうだったり強くなれる気がするからなー!」
人目がなければポートレイトに熱いくちづけをしているところだろう。
スタンはふらふらと雑魔へと近づき、『骨をへし折るつもりで』力の限りに抱きしめた。魅了を逆手にとり、ダメージを与えようという心算だったが、もうなんか傍目には熱烈に愛し合っているようにしか見えない。雑魔もノリノリで愛の力比べとスタンを締め上げる。
あれもラヴなら、これもラヴ。ある愛の歌だ。
ツッコミとばかりにフワがウィンドスラッシュを放つ。敵と密着しすぎていたら味方に当たっても不可抗力だよね、という容赦ない攻撃だった。
カミーユと守悟も攻撃を行うが、精神的ダメージが大きいのか心なしか手元が覚束ない。
スタンは引き続き熱い抱擁を交わしている。
綾瀬は冷静に攻撃を続けるが、正直なところ標的を直視したくないという思いでいっぱいだった。
「これヤバくね?」
矢を射かけながらlolは不安を口にする。
(まー腹括って、アヤセと一緒に出迎えてやるしかねぇんだけどな)
ある種の諦めにも似た覚悟を完了させたlol。
そして雑魔はだめ押しとばかりに踊る。スタンと共に絡み合うような情熱のアルゼンチンタンゴ。
「全国の美少年、不甲斐ないあたしを許してぇー!!!!!!」
「これは浮気じゃないぜ兄ィィィ!!!!!」
ついにカミーユと守悟が術中に墜ちた。
野郎三点ハッピーセットfeat.パンプキンヘッド。
HENTAI黙示録の始まりだ。
この事態は非常にマズイ、とフワが即座にスリープクラウドを放つ。
前衛もろとも雑魔に睡眠を付与し、危険を排除しようという意図があった。
これは前衛には事前に同意を得ており、守悟は後衛に迷惑をかけるぐらいなら、と最初から抵抗をしない心積もりまであった。
魔力の雲が効果範囲内にいるものたちに作用を及ぼす。
カミーユは眠った!
守悟は眠った!
スタンは眠った!
雑魔は抵抗に成功した!
「あっ」
「あっ」
「あっ」
倒れ伏す前衛、一人立つ雑魔。
なんだこの事態。
後衛の面々の背中をいやな汗が伝う。
綾瀬は即座に牽制射撃を加えて雑魔の足止めをする。こちらに向かってくるようであれば全力で移動できるように体制を整えつつ。
続けてlolも強弾で迎撃を行うが、雑魔の息の根を止めるにはまだ少し足りないようだった。
雑魔を真正面から相手にしていた前衛が眠ってしまったのだから当然、矛先は後衛に向く。
動く獲物を求めて変態まっしぐらだ。
「いいからさっさと眠ってくれないか気持ち悪い」
フワは顔を引き攣らせながら、もう一度スリープクラウド使用する。
だが雑魔はしぶとくも眠らない。ウォウウォウ腰を振りつつじわじわ距離を詰めてくる。
「ちょっ、何でこっち来るのよ! ヤダ、コッチこないでよ、イヤァァァァァ!」
迫り来る雑魔に、絶叫しながらアサルトライフルを乱射する綾瀬。
「てかこんだけやってんのにまだ走れんのかよ。何喰ったらそーなんだ? あ、野郎か、止めとくわ」
lolが射撃を加えながらじりじりと後退る。
雑魔はマントを翻しながら、がに股でだばだばと駆けてくる。
雑魔が迫ればハンター達が退く、ハンター達が退けば雑魔が追いすがる。
地獄の追いかけっこ開幕、ぞ。
「いやはや変態さんは怖いなあ」
やや焦りながら、フワは雑魔を転倒させようと足下を狙ってアースブレッドを炸裂させる。だが、よろけこそしたものの、その足は止まらない。
ずんずんずんずん近づいてくる雑魔に、綾瀬は恐慌状態に陥りかけるが「大量の猫に囲まれてだらだらする」という願望を思い描き、平静を保とうと努めていた。
「とりあえず、全部終わったらぜってぇ埋めてやる」
地中に封印して二度と出てこられなくしてやろうと、lolは堅く心に決める。
このてんやわんやの騒ぎに目を覚ましたスタンは跳ね起き、カミーユと守悟を揺り起こして、雑魔を追いかける。
「この辱めは10倍返しよ!!」
「待てやコラァ!! よくも漢の純情を踏みにじりやがったな!!」
怒り心頭の彼らは怒号を上げながら全力疾走で雑魔を追い詰める。
経緯はどうあれ、雑魔を挟撃することに成功した。
「全国の(変態)紳士・淑女の怒りを受け取りなさい!」
「暗黒の世界に帰れ!!」
ハンター怒りの猛攻撃に晒され、雑魔はついにその息の根を止めた。
雑魔は倒れると同時に形が崩れ、黒いもやのようなものとなり、それもやがて消えていった。
いつの間にか日は傾き、橙に染まった空に塒へと急ぐ鳥の声が響く。
農道の端、枯れ草の上に疲れ果てたように腰を下ろしたハンター達の心は一つだった。
『今日のことはきれいさっぱり忘れよう』
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こうして、ハンター達の活躍によって地域の平和と安定と青少年のなんかは守られた。
だが、光あるところに陰は必ず存在する。
これから先、第二、第三の変態が現れるやもしれない。
変態に屈っすることなく戦い続けるのが戦士の宿命。
いつか人の心が闇に打ち勝つと信じて、戦え! 自由のために!!
ハンターの戦いはこれからだ!!
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/11/13 23:17:36 |
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変態討伐会議 武神 守悟(ka3517) 人間(リアルブルー)|22才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/11/17 21:20:25 |