ゲスト
(ka0000)
【郷祭】YOUは試食!
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/11/01 19:00
- 完成日
- 2017/11/14 00:07
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「初華さん、初華さん!」
同盟領一の都会、極彩色の街「ヴァリオス」で南那初華(kz0135)が街角屋台「Pクレープ」で働いていると、慌てた様子の太っちょの青年が駆けこんで来た。
「あ。ポルテさん、どうしたの?」
涼し気に応じる初華。
やって来たのはPクレープのオーナーであるポルカ商会の一人息子、ポルテ・ポルカだった。
「新しい仕事だよ。来月にジェオルジの郷祭に出張販売にいくよね?」
「うん。その時持っていく遊園地遊具もフマーレで作ってきたところよ?」
ちょっと説明すると、ポルカ商会は主に田舎で商いをする零細商会である。
で、そんな零細が同業他社との競争で生き残るため、「同盟領一の都会で店を出すことそれ自体がステイタス」とされるヴァリオスでの取引実績を作る目的で自らクレープ屋台を出している。ただし、利権関係にはうるさいため、店を構える許可は後発商会に下りるわけがない。移動式の臨時屋台という形式をとっているのはそのためだ。それでも出店許可は出なかったので、元ハンターを店長に雇い安全対策として地域に売り込みようやく許可を取り付けている。当時の店名は「Lクレープ」。その後、元ハンターの店長が結婚したため、後釜に現役ハンターながらサボり魔の南那初華に店長をお願いし改造魔導トラック店舗で経営しているのが「Pクレープ」となる。
でもって、同盟領の農業推進地域「ジェオルジ」では、秋に「郷祭」というイベントを開催している。ジェオルジ領内の村長会議という位置付けだが、収穫の時期でもあり村長会議期間後には収穫祭的なこともする。
移動式屋台のPクレープは、ジェオルジの寒村「タスカービレ」から白茶を仕入れて販売している縁もあり、毎年呼ばれている。
今回は事前に、同盟領の蒸気工業都市「フマーレ」で移動販売をした時に職人と雑談したところ、遊具を作るから郷祭に連れて行ってくれ、という話も舞い込んでいる。
「その予定、少し変更が入ったんだ」
「え~っ」
「いや、変更って言っても予定より先に、村長会議期間中にジェオルジ入りするってことなんだけど」
「ほへ? どういうこと?」
どうやら、今年春にあった「春郷祭」で販売した品目の中に歪虚に関する物があったらしく、夏に誘拐事件が起きたというのだ。
「それ、知ってる」
初華、ばつが悪そうに言う。
「え? ま、まあそれなら話が早くていいけど……でも、よく知ってるね」
「それ、私たちが売った『壁掛け猫』だもん……」
一応初華を擁護すると、陶器製の「壁掛け猫」の委託販売はハンターオフィスを通したものだった。
堕落者の歪虚「火付けのY」がフマーレの大火事件で使った物に似た火付けの仕掛けが会場内で発見されたからこれの販売を装って現地入りして騒ぎになる前に見つけ出して排除してくれ、との依頼がハンターオフィスに持ち込まれ初華たちが参加。火付けの仕掛けを排除し陶器も全部売りさばくという大成功を収めたが、すべては「歪虚の魅了能力増幅器」である陶器人形を広めるための囮だったのだ。
その後、ジェオルジで誘拐事件が多発した。
ハンターオフィスにも依頼が来て、騙されたと知った初華たちも怒りの参加。手分けして退治し、被害を食い止めることとなった。
「とにかく、村長たちは二度とそんな事件が起きないよう、事前に取扱品のチェックをすることにしたんだ」
「ほへ? あの郷祭に出回る品物、全部?」
初華が驚くのも無理はない。
はっきり言って事前の100%チェックは不可能である。
「あくまで安全対策らしいよ? あんな事件があって何も対策してません、じゃ筋が通らないから形だけでもやっておこうって」
そもそも最初から取扱品が安全なものかどうかは出店者説明会などで徹底しているらしい。
これは当然の話で、だからこれまで公序良俗から激しく逸脱するものが出回ったことはないし、大規模な食中毒なども発生していない。元々常識的な範囲では安全対策はしっかりしていたのだが、歪虚が絡むと一般人にはお手上げになる、だからハンターにざっと確認してもらいたい、というらしい。
「まあ、これまで何もなかったところに一つの事件が発生しただけ、ともいえるから形式的なもので大丈夫だっていうんだよ」
というわけで、気になる出店者たちが事前チェックを実施できるときに、各自対応するという流れになった様子。ポルテもそういった出店者グループの一つからハンター集めを頼まれたらしい。
「これからオフィスに依頼を出しに行くけど、初華さんも参加にしておくからね~」
そう言って出発するポルテ。
「うん。分かった。準備しとくね」
見送る初華だが、この時まさかあのようなことになろうとは思いもしなかったのである。
同盟領一の都会、極彩色の街「ヴァリオス」で南那初華(kz0135)が街角屋台「Pクレープ」で働いていると、慌てた様子の太っちょの青年が駆けこんで来た。
「あ。ポルテさん、どうしたの?」
涼し気に応じる初華。
やって来たのはPクレープのオーナーであるポルカ商会の一人息子、ポルテ・ポルカだった。
「新しい仕事だよ。来月にジェオルジの郷祭に出張販売にいくよね?」
「うん。その時持っていく遊園地遊具もフマーレで作ってきたところよ?」
ちょっと説明すると、ポルカ商会は主に田舎で商いをする零細商会である。
で、そんな零細が同業他社との競争で生き残るため、「同盟領一の都会で店を出すことそれ自体がステイタス」とされるヴァリオスでの取引実績を作る目的で自らクレープ屋台を出している。ただし、利権関係にはうるさいため、店を構える許可は後発商会に下りるわけがない。移動式の臨時屋台という形式をとっているのはそのためだ。それでも出店許可は出なかったので、元ハンターを店長に雇い安全対策として地域に売り込みようやく許可を取り付けている。当時の店名は「Lクレープ」。その後、元ハンターの店長が結婚したため、後釜に現役ハンターながらサボり魔の南那初華に店長をお願いし改造魔導トラック店舗で経営しているのが「Pクレープ」となる。
でもって、同盟領の農業推進地域「ジェオルジ」では、秋に「郷祭」というイベントを開催している。ジェオルジ領内の村長会議という位置付けだが、収穫の時期でもあり村長会議期間後には収穫祭的なこともする。
移動式屋台のPクレープは、ジェオルジの寒村「タスカービレ」から白茶を仕入れて販売している縁もあり、毎年呼ばれている。
今回は事前に、同盟領の蒸気工業都市「フマーレ」で移動販売をした時に職人と雑談したところ、遊具を作るから郷祭に連れて行ってくれ、という話も舞い込んでいる。
「その予定、少し変更が入ったんだ」
「え~っ」
「いや、変更って言っても予定より先に、村長会議期間中にジェオルジ入りするってことなんだけど」
「ほへ? どういうこと?」
どうやら、今年春にあった「春郷祭」で販売した品目の中に歪虚に関する物があったらしく、夏に誘拐事件が起きたというのだ。
「それ、知ってる」
初華、ばつが悪そうに言う。
「え? ま、まあそれなら話が早くていいけど……でも、よく知ってるね」
「それ、私たちが売った『壁掛け猫』だもん……」
一応初華を擁護すると、陶器製の「壁掛け猫」の委託販売はハンターオフィスを通したものだった。
堕落者の歪虚「火付けのY」がフマーレの大火事件で使った物に似た火付けの仕掛けが会場内で発見されたからこれの販売を装って現地入りして騒ぎになる前に見つけ出して排除してくれ、との依頼がハンターオフィスに持ち込まれ初華たちが参加。火付けの仕掛けを排除し陶器も全部売りさばくという大成功を収めたが、すべては「歪虚の魅了能力増幅器」である陶器人形を広めるための囮だったのだ。
その後、ジェオルジで誘拐事件が多発した。
ハンターオフィスにも依頼が来て、騙されたと知った初華たちも怒りの参加。手分けして退治し、被害を食い止めることとなった。
「とにかく、村長たちは二度とそんな事件が起きないよう、事前に取扱品のチェックをすることにしたんだ」
「ほへ? あの郷祭に出回る品物、全部?」
初華が驚くのも無理はない。
はっきり言って事前の100%チェックは不可能である。
「あくまで安全対策らしいよ? あんな事件があって何も対策してません、じゃ筋が通らないから形だけでもやっておこうって」
そもそも最初から取扱品が安全なものかどうかは出店者説明会などで徹底しているらしい。
これは当然の話で、だからこれまで公序良俗から激しく逸脱するものが出回ったことはないし、大規模な食中毒なども発生していない。元々常識的な範囲では安全対策はしっかりしていたのだが、歪虚が絡むと一般人にはお手上げになる、だからハンターにざっと確認してもらいたい、というらしい。
「まあ、これまで何もなかったところに一つの事件が発生しただけ、ともいえるから形式的なもので大丈夫だっていうんだよ」
というわけで、気になる出店者たちが事前チェックを実施できるときに、各自対応するという流れになった様子。ポルテもそういった出店者グループの一つからハンター集めを頼まれたらしい。
「これからオフィスに依頼を出しに行くけど、初華さんも参加にしておくからね~」
そう言って出発するポルテ。
「うん。分かった。準備しとくね」
見送る初華だが、この時まさかあのようなことになろうとは思いもしなかったのである。
リプレイ本文
●
「わ…あ、これは……」
郷祭商品事前チェックの部屋に入るなり、メルクーア(ka4005)は息を飲んだ。
「タダメシで試食なの、キミに決めたの!」
メルクーアの隣ではディーナ・フェルミ(ka5843)がお目めキラッキラ☆。
「いや、それおかしいよディーナさん」
南那初華(kz0135)はすでに及び腰。というか逃げたがっている。
なぜならテーブルに乗っていたのは!
セミの幼虫の素揚げ!
ハチの子の揚げもの!
サソリの串揚げ!
イナゴの佃煮!
マムシ酒!
などなどだったのだから。
もちろんそれらは幼虫の形そのままで、サソリの形もそのままで、瓶の中には蛇が入っている。
平たく言うと、グロい。不気味。量がわしゃわしゃといっぱい。加えてそれらが一斉にこっち見そう。
とはいえ初華のような反応は少数派。
「……」
空蝉(ka6951)は表情一つ変えない。
いや、少し変わった。
くるっと回って案内した係の女性に向き直ると、抱拳礼を組み「ニーハオ」と挨拶。礼儀正しい。
「ディーナさんは分かる。メルクーアさんもお酒だから分かる。でも空蝉さんまで~」
初華、取り乱している。
「……?」
「なんでそんな目で見るのよ!」
どうかしたのですか、といった感じに微笑したようま気がして空蝉にがうっ、と食って掛かる。
「鵜鷺美味し彼の山~、小鮒釣りし……」
「その鼻歌、歌詞違うじゃない!」
今度はテンションMAXで思わずどこぞの童謡を口ずさんじゃったりなんかして嬉しそうなディーナにがうっ。相当取り乱している。すでに涙目。
「ま、まあ、地方では普通に食べられているんだろうし、意外といけるかもよ」
見兼ねたメルクーア、暴れ出しそうなところををどうどうとたしなめる。
「……でも正直、売る気があるのか考えてしまうわね~」
「ほらーーーっ!」
汗たら~するメルクーアの最後の一言に初華の目から涙がほろり。
「それじゃ初華さん、わたしたちはあっちに行くよ?」
「何があるのだろねー」
狐中・小鳥(ka5484)と藤堂 小夏(ka5489)がそそくさと商品チェックの別室に。
「あ、ちょっと。小鳥さん、私も……」
「逃げちゃダメですよ~ちょうど人数半分なんですから~。初華さんはここで食べてから来てくださいねぇ~」
逃げようとした初華の肩を抑え、星野 ハナ(ka5852)が抜け出します。
「あん。ハナさんヒドイ」
初華、完全に逃げ遅れた。
●
そんなこんなで、試食タイム。
「秋の味覚なの故郷の味大集合なのうれしいの~」
「さてと……」
にこにこディーナの横で、大量に持ち込んだワインを出すメルクーア。
「フッ、佃煮はどこまでいっても佃煮味なの魚でも虫でも変わらないの、もぐもぐ」
「うう……なんか口の中、痛い……」
イナゴの佃煮から食べ始めたディーナにつられて口にした初華、やっぱり涙目。
「郷愁を感じる食べ慣れた人には足つき絶食なし、初めてのチャレンジャーには足なし絶食ありの方が苦みも刺さりもなくて食べやすいかと思うの、もぐもぐ」
「そ、そういうことは早くいってよー!」
面倒くさがって後脚を取らないと意外と口の中で脚が刺さるの、と解説するディーナ。初華、涙目。
「美味しそうです」
横では空蝉が合掌。
空蝉、料理を一瞥すると箸で上品に口に運ぶ。その動きにまったく躊躇も抵抗もない。
「……」
静かに噛みしめ、味わう。
「ね、苦いでしょ?」
初華、仲間を求めるように声を掛ける。
しかし。
「……郷愁を感じます」
「ちょっと待って。いまちらっとディーナさんの方見て言葉を真似したでしょ?」
「空蝉さん、分かってるの~。鮒や鯉だって海魚を食べ慣れた人には泥臭くて匂いがするの、郷愁と新規開拓はたとえ同じ料理でもやり方を変えた方が良いと思うの、もぐもぐ」
ここに初華の味方はいない。ディーナは幸せそうで、空蝉はあくまで上品。というか、机や椅子、機械以外の四つ脚は何でも食べるのではなかろうかという機械的なたたずまい。
「ううう、メルクーアさぁん」
「あら、意外といけるじゃない?」
よよよ、と助けを求めた先ではメルクーアがまあ、という感じで頬に手を添えている。小指なんか立てちゃって、とっても上品で上機嫌。
「セミの幼虫と蜂の子は……表面がカリッとしているけど、中からチーズみたいな濃厚な中身が出てきて……パンチのある赤ワインに合うわね。ディーナさんもどう?」
「あの……メルクーアさん?」
ワイン各種との食べ合わせを考えつつ、というかグラスに注いだ各ワインとともに楽しんでいる姿に初華、目が点。
「確かにお酒と一緒食べるのもいいかもなの、もぐもぐ」
「皆さんもどうですか?」
ちろっとなめつつ食べるディーナに、待機している係員にも酒を勧める空蝉。これは役目上断られたが。
「では貴殿も。……乾杯」
「うう、マムシ……って、その量一気飲みした!」
空蝉に勧められた初華だが、かぱっと空けた様子に愕然。
「……宮中では『良い飲みっぷり』などと返すのが習わし」
「何その宮中って!」
初華、そこにがうっ。
「イナゴは甘辛い味付けが結構濃いから、口をサッパリさせるためにもスパークリングがいけるかも?」
「あと、蚕の素揚げと甲虫系の芋虫も、臭みが強いから食べ慣れていない人にはハードル高いと思うの、売れなくて持って帰るのは食材勿体ないから考えた方が良いと思うのモグモグ」
メルクーアとディーナの方はもう試食の枠を飛び越えてワイン談義とか批評や発展とかにいっちゃってるし! でもって係員もふんふんとメモ取ってるし!
「空腹なのでまだまだ入ります」
「しかし……なにこの状況は」
グロテスクな食材を涼しい微笑で綺麗に次々平らげる空蝉。ディーナの方は揚げサソリの串四本を右手の各指の間に挟んでもりもり食べている。可愛らしい容姿ながら、口の端からサソリの尻尾が出ていたりも。初華としては理解し難い。
「サソリは……エビというかシャコみたいね。白に合うかな」
そんなディーナを横目にワイングラスを傾けながらぷはーしつつ優雅に食べているメルクーアという三人それぞれのたたずまい。変なものを食べているという感じは全くない。
「もしかしたら、わたしがおかしいの?」
空蝉に注いでもらったマムシ酒に視線を落とし考え込む初華。
「ヘビ粉は強壮剤だし風邪に効くの、別にお酒に入れなくてもイケると思うの……」
ディーナ、初華に安心させるようちろちろマムシ酒をなめてにっこり。
「っていうかディーナさん、赤くなってるじゃない! ふらふらしてるし」
「ヘビスープはそのままだと臭みたっぷり家庭料理だけど、酒で洗いまくって臭みを取ったら宮廷料理なの別物なの! ここはヘビ好き人口を増やすためにも一肌脱ぐべきと思うの」
「はい。ディーナさんホントに脱いじゃダメよー」
ががん、な初華の前でぽわわんといい気分で白い羽織を脱ごうとするディーナ。メルクーアは慣れた様子でワイングラス片手に持ったまま襟首つかんでそれを止める。
「……」
空蝉は宮廷料理という響きに何となく物思いにふけっているような……いや、食べるの再開した。
「でもでも……」
「料理と合うワインはこんな感じ。あとは……仕方ないわね」
少し飲んで嫌がる初華にため息をついたメルクーア、リストを係員に渡すとマムシ酒に蜂蜜を入れたり香りのあるリキュールを混ぜてステイしてカクテル風にした。
「これだけでも飲みやすくなるはずよ?」
で、一口飲んだ初華、ぱあっと笑顔になった。
●
その頃、試着体験コーナーに行った三人は。
「何があるんだろ。怪しい物が紛れこんでたりすると困るし、しっかり調べないとだね」
小鳥が部屋に入る。皆に声を掛けたが、その小夏の目は無表情のままだ。
「なんか無性に嫌な予感がするのは私だけかしら?」
脱力した小夏の言葉に慌てて小鳥が部屋の中を見回し、あちゃ~。
「…って、何かこれ、別の意味で怪しい物ばっかりじゃないかな!?」
「これはなんですぅぅっ!」
固まる小鳥にきゃるんと両手を胸の前が組み合わせお目めキラッキラのハナ。
なぜなら目の前にあったのは!
美男子が妙に顔を寄せ合っている妖しげな表紙の本!
股間から白鳥の首が伸びているチュチュ!
ゼラチンっぽいなにかが張り付いてる布っ切れ!
拷問用具のような木製木枠!
寄せて上げて締まってキュ、なる文字の踊るビキニアーマー!
などなどが並んでいたから。
「これは失敗したかな、かな?」
「なんとなくチェックに出されたのが納得できた気がする」
プチ後悔する小鳥。小夏も早退届を懐から出したり。
「谷間ビキニアーマー寄せ上げ桃尻仕立て、ですぅ? ……今全部買わせろや、ゴルァ~!」
ハナだけがテンションアップで猛突進。
あーあ。これでもう引くことはできなくなった。
「まあ、これも仕事」
「だね」
あっさり早退届をしまう小夏に、小鳥も肩を落としてドナドナと従う。
で、早速ハナが女性しかいないので良い脱ぎっぷりで背中を晒す。
ビキニトップを装着した瞬間の、左右からの寄せとカップ下からのしっかりしたアップ感にハートずきゅん♪
足を通してヒップを包んだ桃尻パンツは、ヒップを割るような中央の食い込みとゆったりした丸みの立体縫製に女子力きゃるん♪
「ヤバいですぅ、こんな所で絶対正義な聖衣に出合ってしまいましたぁ……全部買い締めて私だけの物にしたいですぅ~」
すっかり谷間美人になったハナ、自分のサイズを握りしめ2度と離さない勢い。
そしてすかさず痩身矯正用コルセットに目がいった!
「試してみますか?」
「もちろんですぅ! 肉食系愛のハンターとして譲れない道があるんですぅ」
係員に言われて受けて立つ。これぞ肉食系愛の以下略。
しかし。
「……げぼぁっ!? こ、コルセットで締めすぎるから倒れる婦女子が出るんですぅ!」
とかなんとか言いつつ倒れないあたり肉食系以下略の鑑。
「まだこれっぽっちですよ」
係員、全力でぎゅうぎゅう締める。いいぞ、やれやれ!
「う、美しく見せるためとはいえ限度がありますぅ! 不健康な身体の絞めつけは貧血や老廃物の排出不足を助長するんですぅ! 結局肌のくすみやむくみを促進するのでお勧めしないですぅ」
ハナ、正論を吐きつつじたばたと悶絶中。
そんな騒ぎはさておき。
「わ、私でも谷間が! これはいい服……」
小鳥も寄せ上げ桃尻ビキニアーマーを着用していた。少しのけぞり気味にして胸を出すと本当にばいんというセクシーな感じに。その姿勢で引き締まるお尻にも目がいききゃっきゃと盛り上がる。
が!
「……に思えるけど、この露出度は流石に恥ずかしすぎるんだよ」
晒したウエストやお腹を隠そうと前屈みに。
そこで、ハナのコルセット着用直前の姿が目に入った。
早速、一緒に試着することに。
が!
「こ、これは新手の拷問器具みたいなんだよ。息が出来ない……」
ぎゅうう……と締め上げられぐったり。暴れるハナとは対照的に口から魂が抜け出しそうな感じで。
「じゃ、こっちはゆったりしてますよ?」
それでも闘い続けるハナを残し、係員に勧められるままスライム服へ。
ゆったりした服にゼラチン的なものが付いている。うわぁ、とか思いつつ頭を通すと。
「本当のスライムとかじゃなくてよかったよ」
全体を改めて見ると、ゆったりした服なのにねとっと肌に張り付く。ついでに冷たい。
「あ、でも意外と冷たくて気持ちいいかも? お、お腹が冷えそうだけど……ふえ?!」
小鳥が驚いたのは、胸がおっきく見えたから。
「胸が小さくて悩んでいる人用のを選んでみました」
「……わざわざありがとうだよ」
そう見えたのか、とスライムで巨乳になった小鳥、がっくり。
「……」
そんな騒ぎをよそに小夏は同人誌コーナーへ。
「懐かしいね、リアルブルーでもよく即売会に行ったよ……もちろん仕事で」
徹夜組ではないけど、とかぽそり。
「ううう……」
ここでやや顔の赤い初華が逃げて来て合流。
小夏は中身チェックのため手に取る。
「どれどれ、表紙でだいたいは察せるけど内容は……わーお、純愛ものかー」
手慣れた様子に初華も一冊手に取るが……。
「ぶっ!」
「何?」
「これ、男の人同士でキスしてる!」
「ああ、純愛もの。入り口にはいいんじゃないかしら? ほら、こっちは……」
「ぶっ! なにこれ」
初心な初華にあれこれ指南。
で、次。
「男性用除毛ワックスは……一応私女だから諦めるしかないね」
歪虚確認だけして、次。
「胃の検査の体験です。簡単です」
「簡単なら……」
小夏、係員から勧められバリウムを飲む。が、ねとねとして飲みづらい。
「あ、げっぷをするとうまく検査できないからもう一杯飲んで再検査です」
「げふっ……これあれだよね、げっぷ出やすくなってるよね?」
「が、我慢しないと小夏さん」
げっぷ出たならもう一杯、と勧める初華。
だが断る!
「私、同人誌で頑張ったし」
「ほへ? わたし~?」
というわけで初華が体験機に張り付け。
「行きますよ~。持ち手をしっかり掴んで。後ろに台が倒れた後は横を向いてそのままの姿勢で」
「きゃっ! これ無理……無理……げふっ」
ぐるん、と後ろに回ってしばらくしたあと前傾姿勢。ここでげっぷが出た。初華、ダウン。
「はい。回転中でもげっぷが出たらもう一杯!」
「小夏さん、楽しそうに言わないで……」
「じゃ、次の人」
「え? おお……これは……」
交代を促された小夏もたっぶり回転。気分が悪くなったとさ。
この時、事件が!
「着れてしまう自分が悲しいんだよ……でもこれ、着たい人いるのかな」
股間から白鳥の首が伸びている白いチュチュを着た小鳥が目尻にきらりと光る何かをぬぐっているのは、衣装が男性用だから。白鳥も力強く天に反っている。
「ヤバいですぅ……何か新たな扉を開きそうな気がしますぅ…みんなの注目の視線が気持ちいぃですぅ…」
隣で同じ衣裳の女性用を着たハナは両手を優雅にそろえて上げ、両脚はつま先立ちを決めていた。何と美しいポーズ。
うっとりしていたハナ、そのまま白き衝動に駆られて窓を開けひらりと軽やかに飛び出した!
「このまま郷祭のチラシ配ってきますぅ……今なら私ぃ、何でも出来そうな気がしますぅ…」
「ダメ~! 止めて止めて。メルクーアさん空蝉さんディーナさん、ハナさん捕まえて~っ!」
「げっそりして動けないね」
「わたしは行かない方がいいよね、よね?」
試食室に慌てて戻る初華に、残された小夏と小鳥。
「ヤバかったですぅ、股間に白鳥は魔物でしたぁ……」
無事に捕獲したハナ、うっとりしていたようで。
「とにかく、斯様にハンターがにぎやかにも厳しく調べたので絶対安全なのです!」
後日、そんなうたい文句で無事に商品が売りに出された。
白鳥のチュチュのみ「着用者の性癖により暴走の危険あり」と記され、むしろ注目を浴びたという。
「わ…あ、これは……」
郷祭商品事前チェックの部屋に入るなり、メルクーア(ka4005)は息を飲んだ。
「タダメシで試食なの、キミに決めたの!」
メルクーアの隣ではディーナ・フェルミ(ka5843)がお目めキラッキラ☆。
「いや、それおかしいよディーナさん」
南那初華(kz0135)はすでに及び腰。というか逃げたがっている。
なぜならテーブルに乗っていたのは!
セミの幼虫の素揚げ!
ハチの子の揚げもの!
サソリの串揚げ!
イナゴの佃煮!
マムシ酒!
などなどだったのだから。
もちろんそれらは幼虫の形そのままで、サソリの形もそのままで、瓶の中には蛇が入っている。
平たく言うと、グロい。不気味。量がわしゃわしゃといっぱい。加えてそれらが一斉にこっち見そう。
とはいえ初華のような反応は少数派。
「……」
空蝉(ka6951)は表情一つ変えない。
いや、少し変わった。
くるっと回って案内した係の女性に向き直ると、抱拳礼を組み「ニーハオ」と挨拶。礼儀正しい。
「ディーナさんは分かる。メルクーアさんもお酒だから分かる。でも空蝉さんまで~」
初華、取り乱している。
「……?」
「なんでそんな目で見るのよ!」
どうかしたのですか、といった感じに微笑したようま気がして空蝉にがうっ、と食って掛かる。
「鵜鷺美味し彼の山~、小鮒釣りし……」
「その鼻歌、歌詞違うじゃない!」
今度はテンションMAXで思わずどこぞの童謡を口ずさんじゃったりなんかして嬉しそうなディーナにがうっ。相当取り乱している。すでに涙目。
「ま、まあ、地方では普通に食べられているんだろうし、意外といけるかもよ」
見兼ねたメルクーア、暴れ出しそうなところををどうどうとたしなめる。
「……でも正直、売る気があるのか考えてしまうわね~」
「ほらーーーっ!」
汗たら~するメルクーアの最後の一言に初華の目から涙がほろり。
「それじゃ初華さん、わたしたちはあっちに行くよ?」
「何があるのだろねー」
狐中・小鳥(ka5484)と藤堂 小夏(ka5489)がそそくさと商品チェックの別室に。
「あ、ちょっと。小鳥さん、私も……」
「逃げちゃダメですよ~ちょうど人数半分なんですから~。初華さんはここで食べてから来てくださいねぇ~」
逃げようとした初華の肩を抑え、星野 ハナ(ka5852)が抜け出します。
「あん。ハナさんヒドイ」
初華、完全に逃げ遅れた。
●
そんなこんなで、試食タイム。
「秋の味覚なの故郷の味大集合なのうれしいの~」
「さてと……」
にこにこディーナの横で、大量に持ち込んだワインを出すメルクーア。
「フッ、佃煮はどこまでいっても佃煮味なの魚でも虫でも変わらないの、もぐもぐ」
「うう……なんか口の中、痛い……」
イナゴの佃煮から食べ始めたディーナにつられて口にした初華、やっぱり涙目。
「郷愁を感じる食べ慣れた人には足つき絶食なし、初めてのチャレンジャーには足なし絶食ありの方が苦みも刺さりもなくて食べやすいかと思うの、もぐもぐ」
「そ、そういうことは早くいってよー!」
面倒くさがって後脚を取らないと意外と口の中で脚が刺さるの、と解説するディーナ。初華、涙目。
「美味しそうです」
横では空蝉が合掌。
空蝉、料理を一瞥すると箸で上品に口に運ぶ。その動きにまったく躊躇も抵抗もない。
「……」
静かに噛みしめ、味わう。
「ね、苦いでしょ?」
初華、仲間を求めるように声を掛ける。
しかし。
「……郷愁を感じます」
「ちょっと待って。いまちらっとディーナさんの方見て言葉を真似したでしょ?」
「空蝉さん、分かってるの~。鮒や鯉だって海魚を食べ慣れた人には泥臭くて匂いがするの、郷愁と新規開拓はたとえ同じ料理でもやり方を変えた方が良いと思うの、もぐもぐ」
ここに初華の味方はいない。ディーナは幸せそうで、空蝉はあくまで上品。というか、机や椅子、機械以外の四つ脚は何でも食べるのではなかろうかという機械的なたたずまい。
「ううう、メルクーアさぁん」
「あら、意外といけるじゃない?」
よよよ、と助けを求めた先ではメルクーアがまあ、という感じで頬に手を添えている。小指なんか立てちゃって、とっても上品で上機嫌。
「セミの幼虫と蜂の子は……表面がカリッとしているけど、中からチーズみたいな濃厚な中身が出てきて……パンチのある赤ワインに合うわね。ディーナさんもどう?」
「あの……メルクーアさん?」
ワイン各種との食べ合わせを考えつつ、というかグラスに注いだ各ワインとともに楽しんでいる姿に初華、目が点。
「確かにお酒と一緒食べるのもいいかもなの、もぐもぐ」
「皆さんもどうですか?」
ちろっとなめつつ食べるディーナに、待機している係員にも酒を勧める空蝉。これは役目上断られたが。
「では貴殿も。……乾杯」
「うう、マムシ……って、その量一気飲みした!」
空蝉に勧められた初華だが、かぱっと空けた様子に愕然。
「……宮中では『良い飲みっぷり』などと返すのが習わし」
「何その宮中って!」
初華、そこにがうっ。
「イナゴは甘辛い味付けが結構濃いから、口をサッパリさせるためにもスパークリングがいけるかも?」
「あと、蚕の素揚げと甲虫系の芋虫も、臭みが強いから食べ慣れていない人にはハードル高いと思うの、売れなくて持って帰るのは食材勿体ないから考えた方が良いと思うのモグモグ」
メルクーアとディーナの方はもう試食の枠を飛び越えてワイン談義とか批評や発展とかにいっちゃってるし! でもって係員もふんふんとメモ取ってるし!
「空腹なのでまだまだ入ります」
「しかし……なにこの状況は」
グロテスクな食材を涼しい微笑で綺麗に次々平らげる空蝉。ディーナの方は揚げサソリの串四本を右手の各指の間に挟んでもりもり食べている。可愛らしい容姿ながら、口の端からサソリの尻尾が出ていたりも。初華としては理解し難い。
「サソリは……エビというかシャコみたいね。白に合うかな」
そんなディーナを横目にワイングラスを傾けながらぷはーしつつ優雅に食べているメルクーアという三人それぞれのたたずまい。変なものを食べているという感じは全くない。
「もしかしたら、わたしがおかしいの?」
空蝉に注いでもらったマムシ酒に視線を落とし考え込む初華。
「ヘビ粉は強壮剤だし風邪に効くの、別にお酒に入れなくてもイケると思うの……」
ディーナ、初華に安心させるようちろちろマムシ酒をなめてにっこり。
「っていうかディーナさん、赤くなってるじゃない! ふらふらしてるし」
「ヘビスープはそのままだと臭みたっぷり家庭料理だけど、酒で洗いまくって臭みを取ったら宮廷料理なの別物なの! ここはヘビ好き人口を増やすためにも一肌脱ぐべきと思うの」
「はい。ディーナさんホントに脱いじゃダメよー」
ががん、な初華の前でぽわわんといい気分で白い羽織を脱ごうとするディーナ。メルクーアは慣れた様子でワイングラス片手に持ったまま襟首つかんでそれを止める。
「……」
空蝉は宮廷料理という響きに何となく物思いにふけっているような……いや、食べるの再開した。
「でもでも……」
「料理と合うワインはこんな感じ。あとは……仕方ないわね」
少し飲んで嫌がる初華にため息をついたメルクーア、リストを係員に渡すとマムシ酒に蜂蜜を入れたり香りのあるリキュールを混ぜてステイしてカクテル風にした。
「これだけでも飲みやすくなるはずよ?」
で、一口飲んだ初華、ぱあっと笑顔になった。
●
その頃、試着体験コーナーに行った三人は。
「何があるんだろ。怪しい物が紛れこんでたりすると困るし、しっかり調べないとだね」
小鳥が部屋に入る。皆に声を掛けたが、その小夏の目は無表情のままだ。
「なんか無性に嫌な予感がするのは私だけかしら?」
脱力した小夏の言葉に慌てて小鳥が部屋の中を見回し、あちゃ~。
「…って、何かこれ、別の意味で怪しい物ばっかりじゃないかな!?」
「これはなんですぅぅっ!」
固まる小鳥にきゃるんと両手を胸の前が組み合わせお目めキラッキラのハナ。
なぜなら目の前にあったのは!
美男子が妙に顔を寄せ合っている妖しげな表紙の本!
股間から白鳥の首が伸びているチュチュ!
ゼラチンっぽいなにかが張り付いてる布っ切れ!
拷問用具のような木製木枠!
寄せて上げて締まってキュ、なる文字の踊るビキニアーマー!
などなどが並んでいたから。
「これは失敗したかな、かな?」
「なんとなくチェックに出されたのが納得できた気がする」
プチ後悔する小鳥。小夏も早退届を懐から出したり。
「谷間ビキニアーマー寄せ上げ桃尻仕立て、ですぅ? ……今全部買わせろや、ゴルァ~!」
ハナだけがテンションアップで猛突進。
あーあ。これでもう引くことはできなくなった。
「まあ、これも仕事」
「だね」
あっさり早退届をしまう小夏に、小鳥も肩を落としてドナドナと従う。
で、早速ハナが女性しかいないので良い脱ぎっぷりで背中を晒す。
ビキニトップを装着した瞬間の、左右からの寄せとカップ下からのしっかりしたアップ感にハートずきゅん♪
足を通してヒップを包んだ桃尻パンツは、ヒップを割るような中央の食い込みとゆったりした丸みの立体縫製に女子力きゃるん♪
「ヤバいですぅ、こんな所で絶対正義な聖衣に出合ってしまいましたぁ……全部買い締めて私だけの物にしたいですぅ~」
すっかり谷間美人になったハナ、自分のサイズを握りしめ2度と離さない勢い。
そしてすかさず痩身矯正用コルセットに目がいった!
「試してみますか?」
「もちろんですぅ! 肉食系愛のハンターとして譲れない道があるんですぅ」
係員に言われて受けて立つ。これぞ肉食系愛の以下略。
しかし。
「……げぼぁっ!? こ、コルセットで締めすぎるから倒れる婦女子が出るんですぅ!」
とかなんとか言いつつ倒れないあたり肉食系以下略の鑑。
「まだこれっぽっちですよ」
係員、全力でぎゅうぎゅう締める。いいぞ、やれやれ!
「う、美しく見せるためとはいえ限度がありますぅ! 不健康な身体の絞めつけは貧血や老廃物の排出不足を助長するんですぅ! 結局肌のくすみやむくみを促進するのでお勧めしないですぅ」
ハナ、正論を吐きつつじたばたと悶絶中。
そんな騒ぎはさておき。
「わ、私でも谷間が! これはいい服……」
小鳥も寄せ上げ桃尻ビキニアーマーを着用していた。少しのけぞり気味にして胸を出すと本当にばいんというセクシーな感じに。その姿勢で引き締まるお尻にも目がいききゃっきゃと盛り上がる。
が!
「……に思えるけど、この露出度は流石に恥ずかしすぎるんだよ」
晒したウエストやお腹を隠そうと前屈みに。
そこで、ハナのコルセット着用直前の姿が目に入った。
早速、一緒に試着することに。
が!
「こ、これは新手の拷問器具みたいなんだよ。息が出来ない……」
ぎゅうう……と締め上げられぐったり。暴れるハナとは対照的に口から魂が抜け出しそうな感じで。
「じゃ、こっちはゆったりしてますよ?」
それでも闘い続けるハナを残し、係員に勧められるままスライム服へ。
ゆったりした服にゼラチン的なものが付いている。うわぁ、とか思いつつ頭を通すと。
「本当のスライムとかじゃなくてよかったよ」
全体を改めて見ると、ゆったりした服なのにねとっと肌に張り付く。ついでに冷たい。
「あ、でも意外と冷たくて気持ちいいかも? お、お腹が冷えそうだけど……ふえ?!」
小鳥が驚いたのは、胸がおっきく見えたから。
「胸が小さくて悩んでいる人用のを選んでみました」
「……わざわざありがとうだよ」
そう見えたのか、とスライムで巨乳になった小鳥、がっくり。
「……」
そんな騒ぎをよそに小夏は同人誌コーナーへ。
「懐かしいね、リアルブルーでもよく即売会に行ったよ……もちろん仕事で」
徹夜組ではないけど、とかぽそり。
「ううう……」
ここでやや顔の赤い初華が逃げて来て合流。
小夏は中身チェックのため手に取る。
「どれどれ、表紙でだいたいは察せるけど内容は……わーお、純愛ものかー」
手慣れた様子に初華も一冊手に取るが……。
「ぶっ!」
「何?」
「これ、男の人同士でキスしてる!」
「ああ、純愛もの。入り口にはいいんじゃないかしら? ほら、こっちは……」
「ぶっ! なにこれ」
初心な初華にあれこれ指南。
で、次。
「男性用除毛ワックスは……一応私女だから諦めるしかないね」
歪虚確認だけして、次。
「胃の検査の体験です。簡単です」
「簡単なら……」
小夏、係員から勧められバリウムを飲む。が、ねとねとして飲みづらい。
「あ、げっぷをするとうまく検査できないからもう一杯飲んで再検査です」
「げふっ……これあれだよね、げっぷ出やすくなってるよね?」
「が、我慢しないと小夏さん」
げっぷ出たならもう一杯、と勧める初華。
だが断る!
「私、同人誌で頑張ったし」
「ほへ? わたし~?」
というわけで初華が体験機に張り付け。
「行きますよ~。持ち手をしっかり掴んで。後ろに台が倒れた後は横を向いてそのままの姿勢で」
「きゃっ! これ無理……無理……げふっ」
ぐるん、と後ろに回ってしばらくしたあと前傾姿勢。ここでげっぷが出た。初華、ダウン。
「はい。回転中でもげっぷが出たらもう一杯!」
「小夏さん、楽しそうに言わないで……」
「じゃ、次の人」
「え? おお……これは……」
交代を促された小夏もたっぶり回転。気分が悪くなったとさ。
この時、事件が!
「着れてしまう自分が悲しいんだよ……でもこれ、着たい人いるのかな」
股間から白鳥の首が伸びている白いチュチュを着た小鳥が目尻にきらりと光る何かをぬぐっているのは、衣装が男性用だから。白鳥も力強く天に反っている。
「ヤバいですぅ……何か新たな扉を開きそうな気がしますぅ…みんなの注目の視線が気持ちいぃですぅ…」
隣で同じ衣裳の女性用を着たハナは両手を優雅にそろえて上げ、両脚はつま先立ちを決めていた。何と美しいポーズ。
うっとりしていたハナ、そのまま白き衝動に駆られて窓を開けひらりと軽やかに飛び出した!
「このまま郷祭のチラシ配ってきますぅ……今なら私ぃ、何でも出来そうな気がしますぅ…」
「ダメ~! 止めて止めて。メルクーアさん空蝉さんディーナさん、ハナさん捕まえて~っ!」
「げっそりして動けないね」
「わたしは行かない方がいいよね、よね?」
試食室に慌てて戻る初華に、残された小夏と小鳥。
「ヤバかったですぅ、股間に白鳥は魔物でしたぁ……」
無事に捕獲したハナ、うっとりしていたようで。
「とにかく、斯様にハンターがにぎやかにも厳しく調べたので絶対安全なのです!」
後日、そんなうたい文句で無事に商品が売りに出された。
白鳥のチュチュのみ「着用者の性癖により暴走の危険あり」と記され、むしろ注目を浴びたという。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/10/28 00:47:43 |
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商品チェーック♪ 狐中・小鳥(ka5484) 人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2017/11/01 01:50:59 |