ゲスト
(ka0000)
【転臨】黄金の夜明け
マスター:WTRPGマスター

- シナリオ形態
- グランド
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~50人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/11/17 19:00
- 完成日
- 2017/12/01 19:55
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
『これは……この景色は』
寂れたがらんどうの塔を登ったメフィストは、最上階に広がる景色に目を見張った。
地を撫でる柔らかな風。風にのって届く草原の匂い。満点の星空には大きな満月が白く輝き、“この美しい世界”を照らしている。
懐かしい景色だった。もう二度と、手に入らぬ世界だと思っていた。
その時に気がついた、いや、思い出したのかもしれない。
──私は、一体“何”であった?
「多大なる労を割いて、このオンボロ塔へようこそ、偉大なる道化、メフィストくん」
メフィストの背後から、朗々とした声が響く。
ゆるりと振り返ったそこには、捜し求めた“懲罰対象”が居た。
『ヘクス・シャルシェレット……』
「ここが“亜空間”と知っていたくせに、よくもまぁのこのこやってきたものだね」
ま、それもキミの傲慢さ故だろうけど──ヘクスがそう言い終えるより早く、古の塔最上階に張られた異界魔術の中へ、次々と何かが飛び込んできた。
『ふ、何かと思えば馬鹿の一つ覚えとはこのこと』
それは王国連合軍総勢百余名。彼らは、メフィストの周囲を取り囲むように布陣していく。
『先の件で、私に“分身”の力があることは理解したでしょう? “無数にある個体のなかの一体でも残れば、こうして私は生き続ける”のですから、戦ったとて無駄死にを出すだけ意味はないのでは?』
メフィストが意図的に放ち始めた殺気は尋常ではなく、先の王国同時多発襲撃に現れたそれと次元の違う凶悪さを誇っていた。しかし、歪虚は夜空を仰ぎ見る。
『……とはいえ今宵、この美しい景色を見ることができた。その礼に、今宵限りの慈悲を与えましょう。余計な被害を出したくなくば、直ちに退くが良い。私は今、ひどく気分が悪いのですよ』
あの日、黒く凝った負の虚で“こいつ”を見つけたときの直感は、間違っていなかった。
──さすがは、傲慢のトリックスター。この状況でまだ“駆け引きの盤上”で戦おうというのだ。
だからこそ、ヘクスは口角を上げた。
「それ、嘘なんだろ?」
その宣告を最後に歪虚の口元から余裕が消え去ったことは、誰の目にも明らかだった。
「キミが、一年半前の戦いまで頑なに“その姿”を隠していた理由を考えてたんだ。その姿に“知られたくない理由がある”のだとしたらそれは何だ、ってね。この最後の疑問は、“キミと同じ姿かたちをした歪虚”が同時に多数現れた時にようやく解けたよ」
『何を言うかと思えば……』
「姿を偽っていた理由。それは、“その姿を見れば解ってしまう”からだ。キミが、蜘蛛をもとに生まれた歪虚だってことがさ」
断言された指摘を前に、歪虚の言葉が宙に舞って消える。
「キミが蜘蛛だとするなら推察は可能だ。先の“分身”とかいうあれは“脱皮”をもとにした能力だったんだろ? 自分と同じ姿かたちの“皮”に魔力を与えて動かしていただけ──これは、キミの“存続”にかかわる切り札だからこそ、種を明かしたくなかった。違うかい?」
あのメフィストが、発するべき言葉を“考えあぐねている”。その事実が、推論を確証に変えているとは思いも及ばず。
「つまり、だ。“身は分かれてない”んだよ。誰か一体が残っていれば死なない、なんてのは嘘。必ず“本体がある”ってことだ。そして──キミこそが、その本体だろ」
『はッ、なぜそう思う』
にやりとわらって、ヘクスは言った。
「一年半前の事件を忘れたのかい? ほら、法術陣の汚染も必要なくなった戦場で、王都を配下のラウムに預けたにもかかわらず、それでもなおキミは王都を目指して自ら進軍しただろう。
キミは真に怒った時、自尊心(プライド/傲慢)を回復させるため、“直接自分の手で原因を排除する”傾向があるんだって、あの時解っちゃったんだよね。
つまり、キミが僕を殺そうと思ってくれたのなら、“必ずや、本体が直接塔に乗り込んでくる”と思っていたよ」
この瞬間、メフィストは作戦の全貌を理解した。
ヘクスのこれまでの2年間の接触は、メフィストのヘイトを最終的に一身に集める為だったのだ。
これまで永きに渡ってメフィストという歪虚が存在を隠匿しながら生き続けてきた事実──その背景には、相対した存在を確実に殺してきたことに加え、瞬間転移と脱皮──これらの能力により“危険な戦場からの離脱能力が高いこと”があったのだろう。
逃亡されれば、戦は仕切り直しだ。そうなれば、メフィストは周到な罠を携え、更に上をゆく襲撃を仕掛けてくるだろう。その時に、再び罠を超えてメフィストを討てる確証などはない。もはや、王国にその体力は残されていないのだ。
だからこそ、恐らくこれが最後の機会。どうしても“転移=逃亡”できない特殊な場所に誘い込む必要があった。それが、王国最後の課題だったのだ。
そして今春、物語はクライマックスへと動き出した。メフィストとの決戦に向け準備を進めていた王国に、ソルラ・クートらアルテミス小隊員たちが、その命をもって“最後のピース”を送り届けてくれたのだ。
「歪虚メフィストは、古の塔内部へ直接転移ができない」
明確な証拠を押さえたヘクスは、古の塔を最後の戦場に選定。無論、塔内部の亜空間へと誘い込み、逃げ場をなくして討伐する為には、当然メフィストそのものを塔内部に侵入させねばならない。だが、それについては“既に手を打ってある”。ヘクスは既に自らにメフィストのヘイトを集め、“自分がこの古の塔にいる”という情報を漏えいさせるだけでチェックメイトへの道筋を確定させることができる状態にあったのだ。
『貴様……まさか一年半前のあの日に、この展開を描いていたのか』
ヘクスの脳裏に、あの日からの記憶が流れゆく。
──ようやく辿り着いた。だが、これは“終わりのスタートラインに立った”だけ。
トリックスター同士の戦いはいつ何が起こるかわからないから面白いのだ。
「まぁね。けど、最後まで気は抜けないよ。そうだろ、エリー?」
「あぁ。今日ここで貴様を倒せなければ、総ては無に帰す」
メフィストの後方から低く落ち着いた声がする。
『黒髪、碧眼の……貴様がエリオット・ヴァレンタイン』
「ここで終わらせてみせる。数え切れぬほどの悲しみ、怒り、苦しみに“意味があった”と証明するためにも」
『ふ……ふふ、ははははッ!!』
──その時だった。
メフィストが高らかな笑い声を上げたと同時“世界の召喚”という茫漠な力が集約した完全管理下の魔術世界に有り得ざる雷が落ちた。
眩い光が弾けた直後、メフィストの遥か後方には新たな歪虚──巨大な“蜘蛛”が出現。よく見ると、その腹から既に大量の小さな蜘蛛が生み出されていた。それは瞬く間に世界を侵すよう広がり、人とメフィストとの間を阻むように世界に満ちてしまう。
『良いでしょう。私を滅ぼすという、その傲慢に──死という罰を与えましょう!』
起死回生の逆転劇が、今、始まる。
『これは……この景色は』
寂れたがらんどうの塔を登ったメフィストは、最上階に広がる景色に目を見張った。
地を撫でる柔らかな風。風にのって届く草原の匂い。満点の星空には大きな満月が白く輝き、“この美しい世界”を照らしている。
懐かしい景色だった。もう二度と、手に入らぬ世界だと思っていた。
その時に気がついた、いや、思い出したのかもしれない。
──私は、一体“何”であった?
「多大なる労を割いて、このオンボロ塔へようこそ、偉大なる道化、メフィストくん」
メフィストの背後から、朗々とした声が響く。
ゆるりと振り返ったそこには、捜し求めた“懲罰対象”が居た。
『ヘクス・シャルシェレット……』
「ここが“亜空間”と知っていたくせに、よくもまぁのこのこやってきたものだね」
ま、それもキミの傲慢さ故だろうけど──ヘクスがそう言い終えるより早く、古の塔最上階に張られた異界魔術の中へ、次々と何かが飛び込んできた。
『ふ、何かと思えば馬鹿の一つ覚えとはこのこと』
それは王国連合軍総勢百余名。彼らは、メフィストの周囲を取り囲むように布陣していく。
『先の件で、私に“分身”の力があることは理解したでしょう? “無数にある個体のなかの一体でも残れば、こうして私は生き続ける”のですから、戦ったとて無駄死にを出すだけ意味はないのでは?』
メフィストが意図的に放ち始めた殺気は尋常ではなく、先の王国同時多発襲撃に現れたそれと次元の違う凶悪さを誇っていた。しかし、歪虚は夜空を仰ぎ見る。
『……とはいえ今宵、この美しい景色を見ることができた。その礼に、今宵限りの慈悲を与えましょう。余計な被害を出したくなくば、直ちに退くが良い。私は今、ひどく気分が悪いのですよ』
あの日、黒く凝った負の虚で“こいつ”を見つけたときの直感は、間違っていなかった。
──さすがは、傲慢のトリックスター。この状況でまだ“駆け引きの盤上”で戦おうというのだ。
だからこそ、ヘクスは口角を上げた。
「それ、嘘なんだろ?」
その宣告を最後に歪虚の口元から余裕が消え去ったことは、誰の目にも明らかだった。
「キミが、一年半前の戦いまで頑なに“その姿”を隠していた理由を考えてたんだ。その姿に“知られたくない理由がある”のだとしたらそれは何だ、ってね。この最後の疑問は、“キミと同じ姿かたちをした歪虚”が同時に多数現れた時にようやく解けたよ」
『何を言うかと思えば……』
「姿を偽っていた理由。それは、“その姿を見れば解ってしまう”からだ。キミが、蜘蛛をもとに生まれた歪虚だってことがさ」
断言された指摘を前に、歪虚の言葉が宙に舞って消える。
「キミが蜘蛛だとするなら推察は可能だ。先の“分身”とかいうあれは“脱皮”をもとにした能力だったんだろ? 自分と同じ姿かたちの“皮”に魔力を与えて動かしていただけ──これは、キミの“存続”にかかわる切り札だからこそ、種を明かしたくなかった。違うかい?」
あのメフィストが、発するべき言葉を“考えあぐねている”。その事実が、推論を確証に変えているとは思いも及ばず。
「つまり、だ。“身は分かれてない”んだよ。誰か一体が残っていれば死なない、なんてのは嘘。必ず“本体がある”ってことだ。そして──キミこそが、その本体だろ」
『はッ、なぜそう思う』
にやりとわらって、ヘクスは言った。
「一年半前の事件を忘れたのかい? ほら、法術陣の汚染も必要なくなった戦場で、王都を配下のラウムに預けたにもかかわらず、それでもなおキミは王都を目指して自ら進軍しただろう。
キミは真に怒った時、自尊心(プライド/傲慢)を回復させるため、“直接自分の手で原因を排除する”傾向があるんだって、あの時解っちゃったんだよね。
つまり、キミが僕を殺そうと思ってくれたのなら、“必ずや、本体が直接塔に乗り込んでくる”と思っていたよ」
この瞬間、メフィストは作戦の全貌を理解した。
ヘクスのこれまでの2年間の接触は、メフィストのヘイトを最終的に一身に集める為だったのだ。
これまで永きに渡ってメフィストという歪虚が存在を隠匿しながら生き続けてきた事実──その背景には、相対した存在を確実に殺してきたことに加え、瞬間転移と脱皮──これらの能力により“危険な戦場からの離脱能力が高いこと”があったのだろう。
逃亡されれば、戦は仕切り直しだ。そうなれば、メフィストは周到な罠を携え、更に上をゆく襲撃を仕掛けてくるだろう。その時に、再び罠を超えてメフィストを討てる確証などはない。もはや、王国にその体力は残されていないのだ。
だからこそ、恐らくこれが最後の機会。どうしても“転移=逃亡”できない特殊な場所に誘い込む必要があった。それが、王国最後の課題だったのだ。
そして今春、物語はクライマックスへと動き出した。メフィストとの決戦に向け準備を進めていた王国に、ソルラ・クートらアルテミス小隊員たちが、その命をもって“最後のピース”を送り届けてくれたのだ。
「歪虚メフィストは、古の塔内部へ直接転移ができない」
明確な証拠を押さえたヘクスは、古の塔を最後の戦場に選定。無論、塔内部の亜空間へと誘い込み、逃げ場をなくして討伐する為には、当然メフィストそのものを塔内部に侵入させねばならない。だが、それについては“既に手を打ってある”。ヘクスは既に自らにメフィストのヘイトを集め、“自分がこの古の塔にいる”という情報を漏えいさせるだけでチェックメイトへの道筋を確定させることができる状態にあったのだ。
『貴様……まさか一年半前のあの日に、この展開を描いていたのか』
ヘクスの脳裏に、あの日からの記憶が流れゆく。
──ようやく辿り着いた。だが、これは“終わりのスタートラインに立った”だけ。
トリックスター同士の戦いはいつ何が起こるかわからないから面白いのだ。
「まぁね。けど、最後まで気は抜けないよ。そうだろ、エリー?」
「あぁ。今日ここで貴様を倒せなければ、総ては無に帰す」
メフィストの後方から低く落ち着いた声がする。
『黒髪、碧眼の……貴様がエリオット・ヴァレンタイン』
「ここで終わらせてみせる。数え切れぬほどの悲しみ、怒り、苦しみに“意味があった”と証明するためにも」
『ふ……ふふ、ははははッ!!』
──その時だった。
メフィストが高らかな笑い声を上げたと同時“世界の召喚”という茫漠な力が集約した完全管理下の魔術世界に有り得ざる雷が落ちた。
眩い光が弾けた直後、メフィストの遥か後方には新たな歪虚──巨大な“蜘蛛”が出現。よく見ると、その腹から既に大量の小さな蜘蛛が生み出されていた。それは瞬く間に世界を侵すよう広がり、人とメフィストとの間を阻むように世界に満ちてしまう。
『良いでしょう。私を滅ぼすという、その傲慢に──死という罰を与えましょう!』
起死回生の逆転劇が、今、始まる。
リプレイ本文
該当リプレイは以下のURLの特設ページで公開されております。
http://www.wtrpg10.com/event/cp038/opening
http://www.wtrpg10.com/event/cp038/opening
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
MVP一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓 仙堂 紫苑(ka5953) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/11/16 17:41:41 |
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![]() |
(1)選択 相談卓その2 アシェ-ル(ka2983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/11/17 18:56:28 |
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![]() |
(2)蜘蛛型&子蜘蛛対応相談卓 アシェ-ル(ka2983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/11/17 00:55:56 |
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【戦場選択表明卓】 アシェ-ル(ka2983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/11/14 23:38:11 |
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メフィストの能力まとめ等 アシェ-ル(ka2983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/11/12 08:59:28 |
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![]() |
(1)人型メフィスト討伐相談卓 アシェ-ル(ka2983) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2017/11/16 21:16:42 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/11/13 20:59:11 |