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【CF】冬のある日

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
イベント
難易度
不明
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
1~50人
サポート
0~0人
報酬
無し
相談期間
8日
締切
2017/12/29 22:00
完成日
2018/01/09 08:15

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●リゼリオ
 十鳥城の代官の一人である仁々木 正秋(kz0241)がハンターオフィスの一室で目を丸くしたまま座っていた。
 彼の隣に座っている瞬も、同じ様な表情だった。二人の視線はテーブルの上のある書類に注がれている。
「正秋様、如何致しましたか? 何か、ご不満でもおありでしょうか?」
 首を傾げながら、ハンターオフィスの受付嬢である紡伎 希(kz0174)が尋ねる。
 その言葉に、正秋はプルプルと首を横に振った。
「こ、この金額は“間違いない”のですね」
「はい。持ち込まれましたレインボーカカオなどのカカオ類を計算したままであります」
 希の台詞に、正秋と瞬は目を合わせる。
 長江西の開拓地を守る為に、十鳥城の兵力とハンター達は鳩マッチョと戦い続けた。
 結果、討伐した鳩マッチョから得られたレインボーカカオ。それを売却する為、そして、ハンター達を派遣する費用を支払う為に、正秋と瞬はリゼリオに訪れていたのだ。
 転移門をくぐった所で、偶然にも希と逢った。思い返せば、久しぶりの再会である。
 そして、希に手続きを頼んで、清算の手続きが終了した……所である。
「お、おい……正秋、これ、すげぇ額だな……」
 瞬が途切れ途切れに言った。
 ハンター達を派遣する費用は元々、幕府から拠出されたものであり、十鳥城が負担するものではない。
 だが、鳩マッチョを討伐した時に得られたレインボーカカオは、基本的には討伐した者に取得権があった。それゆえ、レインボーカカオを求め、多くのハンターが長江西に足を運んだのだ。
「ど、どうしよう、瞬。こんな大金、見た事ない」
 そして、ハンター達同様、正秋らもレインボーカカオを得ていた。
 正秋と瞬、そして、十鳥城の兵士達が集めただけではなく、タチバナという浪人が集めた分も含めれば、かなりの量になる。
 開拓地が守られたおかげで、普通のカカオ豆の輸出も始まっている。西方では季節の行事によりチョコレートの需要が見込まれ、多くの取り引きがなされた。
「これだけあれば、支払いが滞っていた分だけじゃなく、特別恩給も出せるな!」
「やっと、十鳥城の皆にこれまでの辛い事を労う事が出来る」
 歪虚から解放され、これまで何もない所から復興を続けていた成果が実ったのだ。
 正秋は感無量だった。これで、父にも顔向け出来ると言うものだろう。
「よし、それじゃ、早速戻ろう!」
「ま、待て、正秋。折角、大金も得たし、少しはリゼリオであs……じゃなかった。情報収集すべきだ!」
「……それもそうだな。東方は秘宝の件でゴタゴタしていたのもあって、世界情勢を知るのはいい機会だ」
 真面目な正秋の言葉に瞬は心の中で、よっしゃ! と叫んだ。
「あまり、羽目を外し過ぎないで下さいね、瞬様」
「な、なに、言っているのかな、希さんは。あくまでも、情報収集だよ!」
 希の忠告に、瞬がキリっとした表情で返したのであった。

●港町ガンナ・エントラータ
「綺麗ですね。まるで、夜空の星が地上で煌めいているようです」
 フライング・システィーナ号の甲板で水の精霊――ソルラ――が港町のイルミネーションに魅入っていた。
 赤や青、黄や緑……様々な色に光る魔導照明が煌々と港町を照らす。
 その中に、フライング・システィーナ号も交じっていた。イスルダ島で照らした時と同じようにここでもライトを放つ。
「船の後の事は、部下に任せましたので、ソルラさんも自由にして下さい」
 そう言ったのは、夜だというのに甲板上に並べられた様々な物資を確かめている『軍師騎士』ノセヤだった。
 イスルダ島での激戦を終え、フライング・システィーナ号は一時、ドッグ入りだ。
 その間、ノセヤは縁あって王国北部へと赴く事になっており、今は、目的地に運ぶ資材の最終確認をしていた。
「分かりました」
「調子に乗って、陸に上がり過ぎないように気を付けて下さいね」
「はい」
 ノセヤの忠告を素直に聞くソルラ。
 水の精霊であるソルラは、元々、王国西部の海流を司る精霊の一つだ。
 その為か、王国西部の海から離れれば離れる程、陸地に上がれば上がった間、存在を維持する為に消費するらしい。
 人間の世界が珍しいのか、時間が経つのを忘れて長時間陸地に上がっていた事があり、暫く寝込んだ事があったので、それ以降、特に注意するようになった。
「そういえば、ノセヤさんはどこに行かれるのですか?」
「……フレッサという名の街に行く予定です」
「忙しいのですね」
「暇になるような日が来て欲しいです」
 苦笑を浮かべて答えるノセヤだった。

●月面基地『崑崙』
 『ムーンリーフ財団』のおかげで、盛大なクリスマスパーティーが開かれている月面基地に、一組の親子が観光目的で到着した。
「一面、真っ白!」
 興奮した声を挙げていたのは、星加 籃奈(kz0247)の一人息子である孝純だった。
 少年は瞳を輝かせてスタジアムを見渡している。
「招待して正解だったね」
 どれだけドヤ顔なんだよとツッコミが入りそうな表情で鳴月 牡丹(kz0180)が親子を出迎える。
 地球からはロケットに乗らなければならないのだが、牡丹がその費用を負担したのだ。
「ありがとう、牡丹」
 籃奈の感謝の言葉に牡丹が手を横に振る。
「気にしなくていいよ。ボク自身は、お金を使わなさ過ぎて実家から怒られるから」
「実は……お嬢様かお姫様なのかい?」
「そんな、洒落たもんじゃないけどね」
 爽やかに牡丹は笑うが、彼女はエトファリカ武家四十八家門の第五家門 鳴月家の現当主の養女という身分である。
 『女将軍』としての活躍は家名を高める役割を十分に果たしていた。当然のことながら、牡丹に対する評価に相応しい待遇を鳴月家としては用意しなければ、家名の体面に関わるというもの。
「孝純にとっても、きっと、良い日になる……」
 崑崙でのイベントでは多くのハンターが参加しているという。
 クリムゾンウェストの文化などにも触れる機会があるだろう。
「息子を見る目がすっかり、母親だよ、籃奈」
 茶化すような牡丹の台詞に籃奈は微笑を浮かべた。
「親としての責任……というものさ。牡丹も早く母親になってみればいい」
「歪虚を殲滅……したらね」
 言葉を一度区切り、牡丹はそう答えた。
 まだまだ戦いたい。それが牡丹の純粋な想いだ。
(それに……)
 頭に過った考えを振り払う牡丹だった。

●解説
●目的
ある日を過ごす事

●内容
当シナリオは、ほぼ、フリーアタックとなっています
参加者は、おおよそ、以下の内容を選択できる事とします
(報酬の有無は個々に変わります)
・NPCと絡む
・何かしらの情報を探す行動を行う
・依頼を受ける
 (亜人や雑魔数匹程度の単純な討伐)
 (配達や探索、調査など戦闘以外の簡単な依頼)
 (プレイングでの指定がない限り、内容に関してはMSの裁量になります)
・何気ない日常を過ごす
 (自宅や自室、あるいは、街中など)
・完全にMSに任せる

リプレイ本文

●根国・H・夜見(ka7051
 雪景色も良いが季節を楽しむパーティーも開催されている。
 その中であって、根国が手に持った皿に瞳を輝かせていた。
「崑崙で食べ物いっぱいって事っスか! 崑崙……何て読むんスかこれ!」
 こんろん……で合っているはずだが、今の彼女にとってはどうでもいい事かもしれない。
 ひたすら色々な会場を回って、くいだおれ状態である。
「食べ放題なんスかねー。お皿いっぱい盛ってちゃって良いんスかねー♪」
 芸術的なまでに盛りに盛られたスイーツ。
 それを堪能しながら、根国は展望台の方へと向かった。
「星見えたりするんスかね。見えるんなら眺めてみたいっスねー。地球は、特に綺麗らしいっスから」
 外の景色をモニターで写す特別な展望台に上がると、思わず、息をのむ。
 真っ暗な中、星々が宝石のように煌いていた。そんな中、地球だけが鮮やかな青を際立たせ、美しかった。
「自分なんかでも、こんな場所に来れるんスね……来ても良いんスね……」
 スイーツを盛った皿を手にしていた事を思い出し、根国は一つ、口の中に放り込む。
(自分が来れるなら、他の人も来れるように。そんな年にしたいものっスね)
 そんな決意と共に。

●イレーヌ(ka1372
「その……人のお尻を揉むのは、イレーヌさんの育った文化か何かの影響ですか?」
 純朴な瞳を向けながら、恥ずかしげに訊ねてきたのは、強化人間 星加 籃奈(kz0247)の一人息子、孝純だった。
 籃奈と牡丹は二人でスキーに行き、その間、孝純の子守はイレーヌの役目なのだ。
「それはね。深い意味があるんだよ。でも、孝純は真似しちゃ駄目だよ」
「は、はい」
「それより、孝純の話も聞きたいな」
 母親の藍奈の事をどう思っているのか。父親はどんな人物だったのか。孝純自身、将来の夢はあるか。
 聞きたい事は幾らでもある。
「……考古学者になりたいけど……父さんのように軍人にもなりたいです」
 軍人になると言うと母親が心配するからと少年は小さく続けた。
 その応えを聞きながら、イレーヌはうんうんと頷く。
「まぁ、どんな道を辿ったとしても、応援してあげようと思っているさ」
 子供には目指したいものを目指して強く生きてもらいたいからだ。
 イレーヌの言葉に孝純は照れながらお礼を述べる。その言葉が、今後、少年が自分の道を決める時に大きな支えになるとは、この時、イレーヌ自身ですら思いもしなかっただろう――。

●アイビス・グラス(ka2477
 食事やスイーツを多くの人が楽しんでいる。
 けれど、アイビスにとっては、食べるよりも作る方が楽しみだったりしていた。
「一応、こんな簡単なものだけど、お一つ如何?」
 簡単と言いつつ、パンケーキやハニートーストなどを鳴月 牡丹(kz0180)と星加籃奈、孝純の親子に手渡しした。
 孝純は少年らしい笑顔でお礼を言いながら、パンケーキを頬張る。
「このパンケーキ、とても美味しいですよ。蜂蜜との組み合わせが凄く合っています!」
「旨いよ、アイビス君」
 二人の感想の差に思わずアイビスは心の中で苦笑した。
 学者を目指す孝純の頭の良さを牡丹と比べるのは可哀想ではあるが。
「アイビスさんは、戦うだけではなくて、料理も出来るんだね。良いお嫁さんになれるよ」
 籃奈の言葉に少し照れながら、アイビスは胸を張った。
「料理ぐらいはできるよ、誰かさんと違ってね?」
「ふふーん。言うね、アイビス君。ボクの本気を知らないね」
 アイビスの視線に気が付いて牡丹が挑発的な仕草を見せる。
 牡丹は貸し厨房へと腕まくりして入っていく。
 なお、この後、牡丹のせいで、その厨房が使えなくなったのは、言うまでもない。

●岩井崎 旭(ka0234
 人工の雪が照明で様々な色に彩られた会場を眺めながら、旭はペンを握っていた。
 今日はのんびりと崑崙で過ごしていたのだ。
「……よしっ!」
 そんな気合の掛け声と共に、旭はテーブルに置かれた便箋に書き始める。
 旭はリアルブルーからの転移者である。両親は健在なはずなので、手紙を出そうと思ったのだ。
 父親は、自称「山師」という怪しい男であり、日本国内を飛び回っているので、母親の小さな化粧品会社宛てにする。
「……元気にしている事は書かないとな」
 顔を見せられるのは当分先になる事や成人はクリムゾンウェストで迎えそうな事等、諸々と書き終えた所で追記しないといけない事を思い出す。
 『追伸 そういえば結婚したよ。』
 ――と書き終えた。超重要報告を追伸という形に書くのが彼らしいが。
 一人頷きながら、満足な表情で封筒に糊付けし、配達を頼む為、窓口へと届ける。
「……検閲されますが、よろしいですか?」
「構わないぜ」
 意気揚々に答え立ち去る旭の背中を窓口の職員は見送った。
 旭も、この職員も知る由は無いのだが……彼が書いた手紙は配達事故か諸事情により、両親には届かないかもしれない、と……。

●檜ケ谷 樹(ka5040
「空のさらに上、行ってみたくないかい?」
 そう誘った樹の台詞にリルエナは笑顔を向けたものだが、いざ、崑崙に到着すると、樹の腕を引っ張って、リアルブルーを楽しんでいた。
 ハンターとして活動を再開した彼女であるが、今回のような機会はこれまで無かったようで、宇宙を見せたいと思った樹の選択は大当たりだったようだ。
「クリムゾンウェストとは全然違う…」
「大丈夫かい?」
 無重力に近い空間ドームで、動きに慣れないリルエナが身体を無駄に回転させている。
 いつもは盛大に胸が、重力から解放されて、なお、強調されているように見える。
 動きが止まらなくなったリルエナを止めようとして近づいた樹だったかタイミングがズレ、その豊かな柔らかさの中に顔を埋める事になった。
「樹……」
 その状態でリルエナがギュっと抱きしめてきた。
 そのまま宇宙ではなく天国に行ってしまうのかという程に。
 なんとか顔を挙げて、樹は視界の中に映った青い惑星に指を差した。
「リルエナ……見て、あの星が僕の実家のあるところなんだよ」
「あれが地球。凄く綺麗……」
 二人は一つになったまま、美しい地球の姿を見つめ続けるのであった。

●ソフィア =リリィホルム(ka2383
「ふぅん、成程ー」
 ある酒場で紡伎 希(kz0174)から話を聞きながら、ソフィアはグラスを口に付けた。
 今年最後の仕事を終えたついでに希を飲みに誘ったのだ。最も、希は未成年なので、酒は飲めないが。
 そして、希から、ある事件の顛末を聞いていた。
「ネルが武器の姿のままとはねー」
 歪虚ネル・ベル(kz0082)は【変容】の力で武具に姿を変えていた。
 今は、力を失い続け、存在も縮んでいる。他の歪虚を警戒し、普段は武器の姿になっているという。
「ま、鞘とか矢の注文はいつでも受け付けますよ」
「ほ、本当ですか!?」
 突然の飛びつくような希の反応に、ソフィアは思わず、グラスの酒を零しそうになった。
 希の真剣な眼差しに、ソフィアは鍛冶師としての表情になる。
「何か、事情があるみたいだね」
「負のマテリアルの影響で、普通の鞘では、鞘が消滅してしまうのです」
 なるほどとソフィアは唸った。
 歪虚自身から発せられる負のマテリアルに耐えられるとなると、一筋縄ではいかないだろう。
「……お願いできますか?」
 懇願するような希の言葉に、ソフィアは無言で空になったグラスを差し出した。

●天央 観智(ka0896
 自室の机には彼の研究や集めた様々な情報が記された書類が置かれていた。
「解らないは解らないなりに、マテリアルに関しては、多少の情報も出だして来ましたし……」
 幾つか判明してきている事もある。そんな訳で、観智は情報整理を行っている最中だった。
 彼の知る限り、リアルブルーの物理法則そのままでは説明できない事が続いている。歪虚の存在にしても、転移という世界を飛び越える事についても。
「…覚醒者と強化人間とかに関しても…ですね」
 覚醒者(イクシード)は精霊との契約によって、大きな力を得る。
 これは誰でも成れるというものではないというが、一般的には、観智のような転移者には覚醒者としての資質を持っている者が多い事で知られている。
「という事はですね……」
 強化人間がクリムゾンウェストに転移出来るのなら、覚醒者としての素養もあるはず。
 だが、観智が知る限り、強化人間の覚醒者とは聞いた事が無かった。強化人間の存在は最近の事なので、まだ機会がないだけかもしれないが。
「覚醒者と強化人間の間には、思った以上に深い、何かがある可能性もありますね……」
 そんな事を観智は呟いたのであった。

●アルスレーテ・フュラー(ka6148
「まずは、遅くなったけど、受付嬢復帰おめでとう」
 オフィスの一室で希に向かってアルスレーテは言った。
「で、それは置いといて……希がどう思おうと、ネル・ベルは歪虚、それは変わらないわ」
「アルスレーテ様が危惧される事は理解しているつもりです」
 メフィスト討伐後、歪虚と通じていたのではないかと、ある大物騎士や貴族に嫌疑が掛けられて大騒ぎとなっていた。
 ネル・ベルも歪虚である事は変わらない。それと何らかの関係があると知られたら、大事になるだろう。
「……私は、生涯、絶望と戦い続けると決めました。今、この時も戦っているつもりです」
「そのようね」
「ですが、これは“私の戦い”です。アルスレーテ様や他の皆様の“戦い”の妨げはしません」
 ハンターとして歪虚を滅するという使命を希は否定しないという事だ。
「もし、私が討ったら?」
「悲しみはしますが……アルスレーテ様の事を嫌いにはなりません」
「そう……分かったわ……。この後、用事があるって言ってたね。なんか手伝えそうな作業でもあれば手伝うわ」
 希自身の決着は到達した。後は、其々のハンターが、自らの道を選択していくのだろう。

●星飾りの夜に
 スターライトクリスマスと銘打った季節の行事イベントでリゼリオの街は大いに賑わっていた。
 多くの人が行き交う。一時でも平和な時を迎えたのは、歪虚との戦いの結果ともいえようか。
 アルバ・ソル(ka4189)が待ち合わせ場所から見える時計塔の針を見つめる。
「だ~れだ!」
 唐突に視界が塞がる。
 人混みに紛れて背後から手を掛けたのは、クウ(ka3730)だった。
「クウだろ」
「当ったりー!」
 目を覆っていた手がのけられ、アルバは振り返る。
 そこには、いつもとちょっと違う彼女が居た。
「ドレス……なのか」
 依頼に赴く時のような、あるいは普段とは少し装いが違う。
 髪も、流しているのではなく、結い上げ、うなじが艶めかしく映っている。
「折角のデート、だし。今回はちょっと着飾ってみたよ。私もこれで女の子っぽいよね?」
 純白のドレスの裾をそれぞれの手で摘まんで、ふんまりと持ち上げると、そのままクルクルっと回ってみせた。
「綺麗だよ。クウ。どこのお姫様かと思った」
「ありがとう、アルバ。でも、ちょと寒いわね……」
「だろうな……冬でも寒く無さそうなドレスでも見にいくか」
 気の利いたアルバの誘いにクウは笑顔で頷いた。
 二人は腕を組むと賑わうリゼリオの大通りに向かって歩き出したのだった。

 幾つかの店を回りながら、二人は昔話に花を咲かせて歩く。
 お互いに気心知れているというのは、幼馴染から恋人になったとしても変わらない関係だろう。だからこそ、その繋がりが心地好かった。
「日が沈んできたね」
 見晴らしの良い公園についてクウがそう言うと、アルバにギュッとくっついた。
「ほ、ほら、スカートはやっぱり冷えるし……、ね?」
 これまで彼女をエスコートしていたアルバは合わすようにクウの肩に腕を回して抱き締める。
「こうした方が寒くないだろう?」
「うん……」
 甘えるようにアルバの身体に寄りかかる。
 リゼリオの街が灯り始めた。夜空に輝き出す星々のように。
「綺麗……来年とかも、さ。また……こんな風に出来たら良いわね」
「勿論だ」
「来年だけじゃなくてもっとその先も……なんて」
 二人は顔を見合す。
 アルバは感謝の言葉を告げると、クウを更に抱き寄せる。
 風が彼女の長い髪を揺らし、アルバの顔を優しく撫でた。それを外すようにクウの暖かい手が彼の頬に触れる。
 二人は自然と顔を近づけ――夕日の中、二つの影が一つに繋がったのだった。

●リゼリオにて
 歪虚との戦いは収まる事はなく続いている。住む家や働き場所を失った者も多いだろう。
 そうして、リゼリオへと流れついた難民に対し、年末年始、炊き出し等のボランティア活動にミオレスカ(ka3496)は勤しんでいた。
「温かいもので、お腹一杯になれば、気持ちも明るくなりますよね」
 難民達を安心させるかのように笑顔で接するミオレスカ。
 申し訳なさそうに汁物を受け取る難民に彼女はこう言った。
「きっと、お互い様です。少しずつですが、助け合いはできますので、その時は、ご協力をお願いします」
 困った時はお互い様。
 こうした助け合いの輪が広がっていく事に、きっと、大きな意味があるのだろう。
 その時、突如として広場の一角から怒号と悲鳴が上がり、ミオレスカは身構えた。

 時少し遡る。
 リゼリオの街はハンターズソサエティの本部がある。
 どこの国の援助も受けない中立な組織であるが故に、防衛力は自分達で維持するしかない。
 そんな訳で、街中に出没した雑魔を追って、ミーア・インフェル(ka7052)は賑わう街中を走り回っていた。
「簡単な依頼だったのですが、万が一にも表に出てくると危険なはずです」
 彼女が受けた依頼は別のハンターが撃ち漏らした雑魔化した蟲の駆除だった。
 一般人でも手を出さなければ怪我する事は少ないらしいが……。
「ここも居ないですね」
 路地のゴミ箱の下などを確認していると声を掛けられた。
「何か、探し物かい、お姉さん?」
 振り返ると、そこにはドラグーン――ジェスター・ルース=レイス(ka7050)――が居た。遥か北に住むと言われる種族で、リゼリオでは珍しいだろう。
 もっとも、ミーアもオートマトンであり、珍しいという枠では同様かもしれないが。
「はい。実は雑魔の討伐依頼の最中なのです」
「そうなのかよ。それじゃ、俺も手伝おうじゃん」
「よろしいのですか?」
「かまわねーよ」
 正直言うと、リゼリオの広い街中で行く当てもなくプラプラしていた。
 何か手伝える事があれば、ちょうど良いだろう。
 二人は次の路地に向かって走り出したのだった。

 鵤(ka3319)は通りの屋台をはしごしていた。
 地元の人間やハンターソサエティの関係者、そして、色々な人が集まるこの場所は情報の宝庫だ。
 勿論、大声で言えないような情報は出てこないだろう。だが、酒が入れば、あるいは誰も聞いていないと思って、うっかり重大な情報を出してくる時もある。
「どうだい、景気はー?」
 いつもの飄々とした雰囲気で馴染みの店や人の顔を見に行く。
 こうした普段の関わりが大切なものだ。鵤がただ呑みたいだけかどうかは分からないが。
「近々、大きな動きがあるって~?」
 オフィスに出入りしている業者からそんな噂を鵤は聞いた。
 物資の納品の量が急に増えているとなれば、何かあると考えるのが自然だろう。
 飲んだくれながら、引き続き情報を求めていた鵤にオートマトンとドラグーンという珍しい組み合わせが声を掛けてきた。
「蟲の雑魔を見かけませんでしたか?」
「おっさん、何か知らないか?」
 きっと、雑魔の討伐依頼を受けたハンターなのだろうと鵤は判断した。
「おたくら、依頼の最中? いや~、熱心だね~」
「皆目見当がつかねーんだ」
 困ったような表情を浮かべるジェスターをミーアは見つめる。
 なぜ、この人は自分の事のように困るのだろうかと。
「お邪魔しました」
「まぁ、待ちな。その話、詳しく、おっさんに話してみ」
 鵤は煙草を咥えながら若い二人に言った。

 人の繋がりとは不思議なもの。鵤の馴染みの人の中に、蟲を目撃したという情報があった。
 そこは、難民の為に炊き出しを行っている広場。到着すると同時に難民の悲鳴がハンター達の耳に入って来た。
「グッとなタイミングじゃん!」
 威勢よく飛び出したのはジェスター。その後をミーアが続き、最後に煙草を吸いながら鵤が行く。
 外れた側溝から二つの頭を持つ百足が姿を現していた。
 迫ってくるハンターに危険を察知して逃げようとした雑魔だが、その退路にミオレスカが立ち塞がる。
「お手伝い致します!」
「助かるじゃん!」
 逃げられないと感じた雑魔が捨て身の攻撃に出る。
 その出鼻を挫くようにミーアが離れた場所から気を放つ。マテリアルの拳が雑魔に直撃して、揺らめく。
 そこへ、鵤からマテリアルの強化を受けたジェスターの刀が一閃した。
 ボトッと双頭が地に落ち、雑魔は消滅していく。
「皆さん、ありがとうございます」
 ミオレスカの感謝の言葉にジェスターが少し照れながら、ミーアに振り返る。
「やったぜ! ありがとな!」
「良かったな。ミーアちゃん」
 トンと鵤も彼女の肩に手を置いた。
 ミーアは感謝される理由が良く分からなかった。
 だが、広場に集まっていた多くの人々の喝采と感謝を見回し、そして、満面の笑みを浮かべて、こう応えた。
「どういたしまして」
 ――と。

●ヴァイス(ka0364
 受付嬢としての仕事に精を出す希にヴァイスは声を掛けた。
「お疲れ様だな、希」
 パッと明るい表情になる希。
 重たそうな資料の束が入った箱を持っていた。
「ヴァイス様!」
「どうだ、ネル・ベルや仕事の方は」
 そんな事を言いつつ、ヴァイスは希が持っていた箱をひょいと持ち上げた。
 どうやら、資料の整理をしている所のようだ。
「ネル・ベル様は特に変わりはないですね。むしろ、受付嬢の仕事は、まだまだ勉強不足で、先輩の皆様にご迷惑ばかりお掛けしています」
「慣れるまでは誰だって同じだ」
「……実は、この後、パーティーのお誘いがあるのですが、時間に間に合わなくて……」
 困ったように言った希の頭を、ヴァイスはワシャワシャと撫でた。
「折角のお誘いだ、こっちは俺が出来る分を継続して進めて行くから、楽しんで来い」
「それでは……」
「これも、仕事の内だと思えばいい」
 笑顔で言ったヴァイスに希は感謝の言葉を告げると、少しでも仕事を進める為に張り切り出す。
 その後ろ姿、白いワンピースドレスに映える新緑色の髪を見て、ヴァイスは思った。
 きっと、希に似合いそうなアクセサリーは、そんな希望の色なのだろうと。

●ハンター達
 メアリ・ロイド(ka6633)は買い物メモを片手にリゼリオの街中を歩いていた。
 必要な食材は買った。後は自宅に帰って調理するだけだ。
 その時、見知った人達とバッタリ遭遇した。
「エラさん。こんにちわ」
「こんな所で会うなんて奇遇」
 エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142)は微笑を浮かべて応えた。
 そして、一瞬だけ、視線をメアリの持つ買物袋へ向ける。
「何か作るの?」
「はい。クッキーを作ろうと思っています」
「それは美味しそう。食べさせてくれたりする?」
「勿論です」
 頼もしい返事に、エラはメモにサラサラと酒場の名前を書いて渡す。
「今晩は、知り合いと飲んでいるから、もし、よければ、来て」
「間に合うように頑張りますね」
 気合を入れながら、メアリはメモを受け取った。

 その頃、仁々木 正秋(kz0241)と瞬は、リゼリオの街に繰り出そうとしていた。
 玄関の所で、エステル・クレティエ(ka3783)らが待っていた。
「正秋様。最近は兄が度々お世話になってまして……」
 丁寧に頭を下げたエステルに正秋は照れるのを隠すように、深々と頭を下げた。
「いえ、こちらこそ」
「そして、リゼリオへようこそです。楽しんで行って下さいね」
 ニッコリと笑うエステルの横でミィリア(ka2689)が楽しそうに頷いている。
「情報収集でござるな! 誰か好きな人いないのー? とか、そういう、アレ?」
 如何にも乙女的な発想のミィリアの台詞に対して瞬がツッコミを入れた。
「一概に違うとは言い切れねぇがよ、今回はそんな訳ねーだろ!」
「出来れば、カカオ豆を使った特産品の情報が欲しい所ですね」
 正秋の真面目な話を聞いて、ミィリアは手を突き上げた。
「それなら、お土産屋さんのお菓子を見に行くでござる!」
「ケーキ屋さんにご案内しますよ。チョコレートを使って、本当に多彩なお菓子になるんです」
 パンと両手を合わせたエステルの提案に一行は頷く。
 これまでの流れを聞いていた銀 真白(ka4128)が口を開く。
「リゼリオを案内がてら一回りするのはどうだろうか? エステル殿の言う、けぇき屋も気になる所であるし」
「分かりました。では、街中を回りたいと思いますが……」
 正秋はそこまで言って周囲を見渡す。
「他のハンターの皆さんは?」
「先に酒場で席を取ってるとの事」
 真白は、頭の中で頼りになる面々を思い出していた。
 きっと、もう先に酒盛りが始まっているだろうと。

 劉 厳靖(ka4574)はお酒の入ったグラスを呷った。
 そのワインは、昨年収穫したばかりの葡萄で作られたワインだ。
「いいね~!」
「大将! 酒と焼き鳥を追加だ。ついでに、水もな」
 店の主に注文したのは七葵(ka4740)だった。
 正秋は情報収集をしたいとの事で酒場に来ていた……というのは建前で、実際は息抜きを兼ねていた。
「厳靖殿、貴重品は預かっておきます」
「おお。すまねぇな」
 店内が混んできたので、さり気なく、七葵は厳靖の財布を預かった。
 財布だけではなく、これまで注文した分も確りと記憶している。さすがに、正秋が来る前に飲んで食べたら、別会計だろうから。
「正秋さん達は、これから来るのですね」
 シルディ(ka2939)がホットワインを手にしながら七葵に訊ねる。
「ミィリア殿や真白殿が迎えに行っています。もっとも、寄り道してくる可能性もありますが」
「楽しみですね」
「そういえば、シルディ殿は正秋殿の父上殿をご存知だったとか」
「その通りです……」
 天井を仰ぎ見る。
 あれは、まだ十鳥城が歪虚の勢力域にあった話だ。
 シルディは仲間のハンター達と共に、十鳥城解放の為に潜入した。そこで、当時、代官であった正秋の父と出会った。
 十鳥城の解放の為、正秋の父は城下町に出現した歪虚と戦い、命を落としている。
「シルディ殿、よければ、聞かせて貰っていいですか? 正秋殿の父上殿の事を」
 七葵は真白とエステルと共に正秋の父を看取っている。これも不思議な縁というものだろう。
「えぇ。勿論です」
 手品の道具を取り出しながら、シルディは答えた。

 懐かしそうに話すシルディと七葵の会話を酒の肴としながら、厳靖は空になったグラスをテーブルに置いた。
 すぐに注がれるワイン。視線を上げると、そこにはエルが微笑を浮かべていた。
「手酌は出世しませんよ」
「おう、ありがとな」
 注がれたワインを嬉しそうに喉へと流す厳靖。
 エルは肘を椅子の背もたれに掛けながら壁に掛けられたメニュー表を見つめる。
 店内は賑わいが眩しく感じる。この一時の平和は、ハンター達の奮戦の結果だ。体を張って良かったと充実感をエルは抱いていた。
「……でも、不安もある」
 呟いた言葉を厳靖は聞き流さなかった。
「歪虚の動きか?」
「そうね。あれだけ、歪虚王クラスを叩いた。となると、次は反転攻勢を上層部は画策するのでは?」
 次々と強敵を倒している。王国でも帝国でも、リアルブルーでも、だ。
 ロッソが転移する前と比べれば、状況はかなり、人類に有利になっているはず。
「そりゃ、そうだろうな」
「敵地侵攻の可能性が多くなる……今以上に、厳しい日々が続くだろうか」
 出来れば、知人が無事で済めば良いとエルは心の中で願った。サンタクロースにプレゼントを頼まなかった分、それ位は願ってもいいだろうから。

「どんだけ食べるんだよ、あのドワーフ」
 瞬が呆れた様子でミィリアを見ていた。
「甘い物は別腹でござるよ!」
「お酒が入る前にお腹に何か入れて置いた方がいいですから」
 エステルがケーキ屋で買ったスイーツを手にしていた。
 土産としても丁度いい大きさのものだ。正秋も一つ手に取っている。
「特産品として甘味を作るというのは良いですね」
「土産目的での旅行もありでござるよ! そうそう、旅行といえば温泉! ミィリア、温泉もまたいきたいな~」
 そう言いながら、正秋の腕を強請るように引っ張った。
 手に持ったスイーツを慌てて口の中に入れる正秋。
「温泉は傷や病にも良いと聞く。私も機会があれば、また行きたいと思う」
 真白が温泉を思い出しながらそう言った。
「いいよね、あれ……疲れも吹っ飛ぶみたいなみたいな……東方の文化、さいこー! いえーい! で、ござる!」
「観光地という事であれば、けぇき屋は作ってもいいのではないだろうか?」
 スイーツを楽しみながら言った真白に、瞬が苦笑を浮かべた。
「さっきから、気になっていたが、発音大丈夫か?」
「けぇき屋に、かふぇに、れすとらぁん……何か?」
 東方の出だから……という訳ではないが、その言い方に一行は真白に愛らしい視線を向けた。
「畜生、胸がチーズケーキのように平らな癖に可愛い発言しやがって」
 瞬が頭を抱えながら笑っている。
「……ミィリア殿」
「分かったでござる!」
 ガシっと両脇から抑え込まれる瞬。
「やめろ! チーズケーキに挟まれる趣味はねぇ!」
 必死に抜け出そうとする瞬だが、溢れる女子力二人に敵うはずもない。
 心配そうに眺めている正秋に、エステルは笑顔で告げた。
「さぁ、正秋様。そろそろ、皆様と合流しましょう」

 正秋達が酒場に到着した時には、既に店内は異様な盛り上がりになっていた。
「これは一体……」
 そんな中、七葵が手を振っていた。
「正秋殿! こちらです!」
「とりあえず、ホットワインでも如何でしょうか?」
 人混みを縫って辿り着いた正秋は温かいお酒を手渡された。
「ありがとうございます。シルディ殿ですね。父から話は聞いています。面白いハンターがいると」
「あの代官さんに、ご子息がいるとは存じませんでしたので、少々動揺してしまいましてね……」
 面影があるなとシルディは彼を見て、思った。
「今、この街は、お祭りの最中で華やかですが、光在る所には影ができるものです。御手回品には気をつけて下さいねぇ」
「はい。特に大金を所持しているので」
 そんな事を言ってしまうあたり、純朴だから、悪い大人としては心配だとシルディは苦笑を浮かべた。
「これを、お渡しします。元代官さんと元十烏城城主さんにお供えして貰えれば」
 包みを渡された正秋。中はクッキーのようにも思える。
「美味しそうなブルンスリですね」
 そう言って脇から現れたのは、メアリだった。手にはクッキーが盛られた皿。
 自宅に帰って、クッキーを焼いてきて、わざわざ持ってきたのだ。
「お一つ、どうぞ」
「ありがとうございます」
 遠慮なく、正秋はクッキーを手に取った。
 口の中に入れるとサクッと優しい味が広がる。
「ミィリアも食べるでござる」
「私も頂こう」
 瞬を躾してきたミィリアと真白も、その中に加わった。その後に、瞬がよろめきながらクッキーを一つ手に取る。
 二人が笑みを浮かべて味を楽しんでいる所で、瞬だけが激塩クッキーを手にとってしまい、悶え苦しんでいた。
「おう、待ってたぜ!」
 厳靖がグラスからジョッキに持ち替えて掲げる。
 既に相当、飲んでいるようだ。
「のーむーぞー!」
 元気いっぱい、ドワーフ娘が叫ぶ。
 その勢いに負けないように正秋もグラスを手に取ろうとしたが、エステルが別のコップを手渡してきた。
「酒場で異国のお酒が口や身体に合うか心配なので薬草を準備しておきました。情報収集なら飲み過ぎはいけませんからね」
「これは忝い。ありがたく頂きます」
「厳靖さんも!」
 頭を掻きながら、薬草を受け取ると、正秋に視線を向けた。
「酒で軽くなる口もありゃ、警戒心を和らげる事も出来る。これから色々やって行くなら、こういう方法も覚えといて損は無いぜ?」
「はい! 勉強になります!」

 こうして、酒場で集まって飲みや喰いやが始まった。
 ソフィアが遅れて酒場に入ってきた時には、大宴会会場と化していた。
 なお、ソフィアの大人なからかい方に女性慣れしていない正秋が、真に受けた反応を示し、翌日、大いに反省する正秋であった。

●逢縁
 駆け抜けた風が想像以上に冷たい。皮膚が切り裂けても可笑しくない程だ。
 どこかで誰かブリザード(LV10)を使っていると言われても頷いてしまうだろう。それほどまでに寒い。
「さっぶ!」
「寒いですね♪」
 気が付けば、白い雪も風に交じって吹き付けてくる。これは、寒い訳だ。
 玉兎 小夜(ka6009)が寒さで凍え、玉兎・恵(ka3940)が旦那様――小夜――に、ギュッと抱きつく。
「ぁー……ぬくい……」
「旦那様、もうすぐですか?」
 この天候は予想していなかったが、今日、どうしても行きたかった。
 今日は小夜の案内で、リゼイオから程近い、草原に来ていた。
 一面の草原は冬だからか、草の背丈は低かったが、それでも、風が駆ける模様をなびかせて、二人に見せつけてきている。
 小さい丘の上に立ち、場所を確認する小夜。

 ――間違いない。
 ここだ。あの日、あの時、気が付いた場所は――

「ここが、私の始まりだよぉ」
「ここは……?」
 首を可愛げに傾げる恵。
「ここが小夜の生まれた場所。なんもないけどね」
 小夜は転移者である。つまり、生まれた場所告げたのは、ここに転移してきた所という事だ。
 あの時、空に星々が輝いていた。もう、あれから随分と長い時が経った気がする。その間に様々な出来事があった。悲しい事も楽しい事も。
「こんな寒い日じゃなくてもよかったんだけどね……連れて来たかったんだ」
 これで、見せられるもの全てを愛する人に見せる事が出来たはず。
 恵は周囲の景色をゆっくりと眺める。旦那様が言う通り、確かに何もない。けれども、大事なものもある。
 もし、旦那様が転移しなかったら。もし、ここに転移して来なかったら……きっと、今の二人にはなっていないだろうと。ここには縁という大切なものがある。
「うさぎさん」
「うん……プロポーズして、一年経ちました。その間にもいろいろ、ほんとに色々見せたけど……それでも、恵は受け止めてくれたから」
 恵が呼ぶ声に、小夜は真剣な眼差しを向けて言った。
 全てを受け止めてくれる。それがどれだけ尊い事なのか。今ならそれが分かる。
 そして、小夜は力の限り恵の手を握った。
「恵とずっと、どこまでも一緒に居させてください」
「恵は、うさぎさんのものです。あの時から、ずっと……」
 プロポーズされた時の事を思い出し、恵は顔を赤く染める。
 恥ずかしさに顔を埋めるように抱き締めた。
「ずっと、一緒ですよ♪」

●天竜寺 詩(ka0396
 これも文化の違いだろうか。天ノ都はリゼリオや西方諸国ほど、クリスマス色に染まっていない雰囲気だ。
 そんな中、いつもの麺屋で詩がフライドチキンをタチバナに振舞っていた。
「これは美味しいですね」
「スメラギ君にも持ってってあげてね」
 お土産用の箱を渡しつつ、隣の席に着く詩。
 丁寧に、畏まりましたと頭を下げて、タチバナは受け取った。
 周囲を気にしつつ、詩は静かに尋ねる。
「……秘宝、タチバナさんの記憶とは違ってるの?」
 その台詞に彼の咀嚼が一瞬止まる。
 ゴクンと飲み込むと、呟くように答えた。
「……歳、ですかね。私の記憶が正しいという訳ではないので。見つかった秘宝をもっと調べられれば明らかになるでしょうが」
「ロッソで調べれば、描かれた時代が解るかも?」
「ですね。リアルブルーの技術を持ってすれば可能と思いますが……今は他にも気になる事もありますので」
 秘宝に描かれていた五芒星の事だろう。
「ま、今は調査を待つしかないか。今日は何も考えずどんどん食べてね!」
「それでは、お言葉に甘えて」
 詩の自信満々な言葉にタチバナは微笑を浮かべつつ、フライドチキンに手を伸ばしたのであった。

●天壌無窮
 空を見上げれば、真っ白な水滴の欠片がゆっくりと、音もなく地上へ向かって舞い降りてくる。
 辺り一面を白い世界へと変えていた。時折吹く風が冬という季節を感じさせる。
 志鷹 恭一(ka2487)は墓参りに来ていた。一人では無い。
 両手を合わせながら静かに祈りを続ける彼が降り積もる雪で真っ白にならないように、志鷹 都(ka1140)が恭一の傘を持っていた。
 夫婦の故郷である天ノ都の郊外に在る小さな霊園だ。墓前には、一面の銀世界を彩るように仏花が供えられていた。恭一の両親がこの世から旅立ち、彼が光を失った日から三十年の時が経っていた。
(ご無沙汰しております。お義父様、お義母様……)
 都にとって知らない人の墓ではない。
 幼い自分を可愛がってくれた。そんな思い出と共に、辛い記憶も甦る。二人の死と彼の失明は都の心にも大きな傷を残していた。

 それは、黙したままの恭一も同様なのかもしれない。
(父さん。母さん。久し振り……先日、また一つ歳を重ねたよ。幸せな誕生日だった)
 苦しい時は幾度も思った。あの時、吹雪の中で命が尽きていれば、こんな辛い人生を送らなかっただろうと。
 けれども、今は違う。
 底無しの血沼でもがき、深い絶望の果てに、見つけたから。なによりも、大切な存在を。
 スッと立ち上がると、自分の傘を持っていてくれた都の手に自身の手を重ねる。
 都は身体を寄せ、支えるように恭一は彼女の肩にもう片方の手を伸ばした。
(今は、優しい温もりが、隣に居る。こんな最低な己を愛してくれる、彼女という、愛しい光が)

 グッと肩に入る彼の力に、都はただ身を委ねながら、彼の真剣な表情を見つめる。
 そして、重なった彼の手を握り締めた。
(私は心に決めました。彼の光となり、自らの全てをかけ、護り、愛そうと……生有る限り――いいえ、命尽きても尚、魂は彼と共に在り続けます)
 彼の光となり、自らの全てをかけ、護り、愛すと。この繋いだ手を二度と離さないと。
 決意を告げた都は、顔を僅かに伏せて冥福を祈り出した。

 彼女の僅かに聞こえてくる吐息に、恭一は深呼吸をした。
 あの日の暴挙は生涯許す事は無いが、今は母の気持ちが少し解る気がした。
 今まで、云いたくとも、云えなかった大事な想いを、告げようと思ったからだ。

「母さん……」

 その時、冷たい風が二人を包みながら吹き抜けた。鈴の音が混じったような、そんな、冬の風だった――。

●テノール(ka5676
 立花院 紫草(kz0126)の私邸で茶を飲む。
 それは単に、兄として、妹が楽しそうに語る男を見ておきたかったからという事だけではなく、先の秘宝の事もあったからだ。
「敢えて言います。あの秘宝が本物か偽物かは、どうでもいい事だったと」
 だが、幕府としては調査に行かない訳にはいかなかった。
 そして、その結果、秘宝は見つかった。五芒星や上位6武家の事が記されて。
「罠だと?」
「という事を踏まえて、僕が調査に行ったらまずいだろうか?」
 その言葉に紫草は考えるように手を顎へと当てる。
「いえ、まずくはありませんね。もっとも、内密になると報酬は出せませんが」
「構わないさ」
「武家第四位の御登箭家の動きを機会がある時に見張って貰いたいのです」
 テノールの頭の中で、その武家が宝物庫の管理に関わっていたと告げていた。
 機会があれば、独自に調査出来る日もあるだろう。
「御登箭家は武芸に秀でた者も居ます。お気をつけて」
「俺の戦闘能力とかが不安なら、軽く模擬戦でも……まあ、妹と比べると勝負にならない気もするけれど」
 そう言って、テノールは拳を握る。それを見て、紫草は微笑を浮かべたのであった。

●シェルミア・クリスティア(ka5955
 十鳥城の闘技場は綺麗に整備されていた。
 誰かの命令ではない。十鳥城に住む住民達の自発的な行動によるものだ。
「矢嗚文さんに近況の報告をするなら、最期に居たこの場所がいいかなって」
 激戦の痕跡は残っていない。だが、確かに、ここでシェルミアと仲間達は矢嗚文との死闘を演じた。
 現在の十鳥城の様子や、代官の息子であった正秋の事を、ゆっくりと彼女は語る。
「……少しずつでも良い方向に変わってくれていると信じられたらって」
 東方は秘宝の件や歪虚の件で、色々と考える事が沢山ある。
 不安な事ばかりだが、例え、僅かでも良い方向に進む可能性があるとすれば、それを信じる事は大事だと、矢嗚文は示した。
「貴方が願っただろう先の為に……わたしに出来る事で背負うつもり……」
 統治や政には自身は向いていないだろうが、それを行う人達の力にはなれる。
 自身が行く、一つの道を示してくれた人に対して、出来る、彼女なりの報い方。
「それじゃ、行ってくるね」
 矢嗚文が決戦の時に立っていた場所に手を触れながら、シェルミアは告げた。
 旋風がシェルミアを包み込んで、空高くへと吹き抜けていった――。

●紫煙と共に
 海から吹き抜ける風は冷たい。それは、トライフ・A・アルヴァイン(ka0657)の懐も同様だった。
 幾つかの取引により、少しは暖かみ……いや、厚みを感じるが、それだけの事。
 酒を飲むか、あるいは、女を引っ掛けるかと思った時、ここが、港町ガンナ・エントラータだと思い出す。
「墓の類があるだろ。暇潰しに拝みに行くか」
 ある王国騎士の墓の前に到着すると、彼は改めて、煙草の火を付け直す。
 祈る事もなく、煙を焚かせるだけの時間が流れる――やがて、トライフは紫煙を吐き出した。そして、小さく、誰にも聞こえないように、呟く。
「……このお転婆娘め」
 絶え間なく続く紫煙と共に、彼は静かに立ち去った。

 時間としてはそれほど長くは無いだろう。
 シガレット=ウナギパイ(ka2884)はソルラ・クート(kz0096)の墓参りにやってきた。
「なんだこりゃァ」
 墓前に1本の煙草が供えてあるように見えたからだ。
 手に取ると、それは見た事もない銘柄。きっと、ソルラと縁がある何か……なのかもしれない。
 彼は持参した花束を、祈りの言葉とともに捧げた。
 彼女の想いを引き継ぎだハンター達と王国が一丸になって、多くの犠牲を払いながらもメフィストを討伐した事。
「……貴女が帰ってくるワケじゃないのが辛いところだなァ」
 一通り報告してシガレットは静かにそう呟いた。
 死んだ者は帰って来ない。だが、王国の夜は明けたのだ。今は安らかな眠りを祈るだけだ。

 央崎 遥華(ka5644)と水の精霊ソルラの二人に挟まれるようにダックスフンドが楽しそうに歩く。
 聖輝節一色の港町に見向きもしないでリードを引っ張る犬に精霊は笑顔を浮かべた。
 その横顔を遥華は見つめる。
「陸地に上がると、楽しい事ばかりです。遥華さん、誘って下さって、ありがとうございます」
「あまり、ゆっくりお話できなかったから」
 フライング・システィーナ号に絡む一連の出来事と、続く、イスルダ島攻略戦でお互い多忙だったからだ。
「精霊さんは、これからとか、やってみたいこととかありますか?」
 肩を寄せ合って並びながら魔導カメラを持つ手を精一杯伸ばす。
「私は……」
 水の精霊が質問に応えようとしたその時だった。路地から姿を現した人物が“杖の先”を向けている事に遥華は気が付いた――。

 銃声が響く。しかし、弾は誰にも当たらなかった。
「……悪いな。死人の姿をしてるんだ。歪虚かと思わず発砲するのも仕方がないだろう?」
「トライフさん!」
 遥華は抗議の声を挙げた。
 覚醒者であれば、歪虚と精霊を見間違えるはずはないと思ったからだ。
「実に『イイ趣味』だ。人紛いに死人の姿をさせて人形遊びとは。度し難い程に――」
「違います! 精霊さんは!」
 トライフの言葉を遮って、遥華は憤る。
 精霊は狙って姿を模した訳ではない。故人を偲ぶ者達の想いを感じて模しただけだと。
 抗議を続けようとした遥華よりも先に、精霊が頭を深々と下げた。
「お気を悪くして申し訳ございません」
 そこへ、偶然にもシガレットが通り掛かかった。
 何事かと思いながら両者を交互に見つめる。そして、一つの結論に思い至った。そう……あの煙草は――。
「フン」
 踵を返して立ち去るトライフの背中を精霊は複雑な表情で見つめる。
 その肩をポンと、軽くシガレットが叩くのであった。
「彼奴も辛い想いを抱えているんだろうぜェ」
 そうでなければ墓参りなどしないだろう。
「精霊さんは胸を張って良いんですからね」
「はい……。遥華さん、シガレットさん、ありがとうございます」
 胸元に手を当てながら、精霊は優し気な表情を浮かべながら、感謝の言葉を告げたのであった。

●フレッサ領にて
 Uisca Amhran(ka0754)と瀬織 怜皇(ka0684)の二人は王国北西部のフレッサ領に訪れていた。
 先に街中を観光したが、特に陰りは見られなかった。むしろ、表向きには急速な発展状態にも見える。
 そして、今は、領主の館の一室で待たされていた。
「あの子に会えるのは久しぶりかな」
「そういえば、イスカには面識があるという話だったね」
 怜皇の台詞にUiscaは頷いた。
 出会いは2年以上昔の事。当時、フレッサ領内で失踪した領主親子の探索の時だ。
 その時の出来事で、少年は王都に単身移り住んだ。騎士になる為だったという。
 それが、最近、フレッサ領主が隠居した事により騎士見習いであった少年が呼び戻されたのだ。
 やがて扉がノックされた。応えると扉が重々しく音を立てて開く。
「お久しぶりです。フレッサ領主のテオフィルです。その節では、大変、お世話になりました」
 現れたのは十代の少年。
 だが、その雰囲気は鋭く、瞳に宿る力は強かった。

 改めて、Uiscaと怜皇は新領主に名乗ると、早速、Uiscaは尋ねる。
「お父様は今何をしてるの?」
 すぐにテオフィルが眉をひそめた。
「表向きは隠居という事で、屋敷近くの塔に住んでいますが、実質、幽閉状態です。もう、表舞台には出てこないでしょう」
「実の親でも、それほどに?」
 怜皇の言葉に対して、テオフィルは深く頷いた。
「ご存知の通り、父は領主という立場でありながら、歪虚ネル・ベルと通じていました。本来であれば、極刑に処したかったぐらいです」
 ひしひしと彼の怒りの感情が感じられた。
 無理もない。テオフィルの父は、家族や部下、多くの市民を見捨てて真っ先に逃げただけではなく、歪虚の手先となっていたのだから。
「肝心の歪虚ネル・ベルの行方も分かりませんし」
 Uiscaと怜皇は顔を見合わせる。
(どうやら、子イケくんの事はよく知らないみたい)
(俺もそう思う。今は、知らせない方がいいかもしれない)
 恋人同士だからこその、阿吽の呼吸というか、お互い頷く。
「とりあえず、お元気そうでなによりです。キミならいい領主さまになれるよ」
「ありがとうございます。皆さんのような高名なハンターにはなれませんが、領民が誇れる領主になりたいと思います」
 胸を張って言った新領主の肩を怜皇はポンポンと叩いた。
「頑張って下さい、ね。」
 怜皇の励ましに、テオフィルは頷いて応えた。

●星輝 Amhran(ka0724
 義妹とその恋人をこっそりと尾行……ではなく、見守っていた星輝はフレッサの街で思いもしない人物から声を掛けられた。
「なにをやっとるのじゃ?」
「……うむ。健全な関係がちゃんt――って、オキナではないか。久しぶりじゃの~」
 何かの買い出しの途中だったのか、オキナは紙袋を抱えていた。
「こんな所で出逢うとはな」
「オキナは知らんのじゃろう。わしには特別なゾーンが存在しているのじゃ」
「次回から気を付けておこうかの」
 苦笑を浮かべるオキナの袖を星輝は引っ張った。
 紙袋の中がチラリと見える。どれも保存の効く食べ物だった。
「なるほどじゃ……希はリゼリオに滞在していると聞く。つまり、今、角折の見張りはオキナがしているとな」
「見張りという言葉は否定しておこうか」
 星輝の手を素早く振り離したオキナ。
 そのまま通りを早歩きで歩きだした。オキナの後をつければ、角折の居る所へ辿り着けるのだろうか。
「ならば、付いていくのじゃ!」
「戦慄の機導師と呼ばれた儂に追いつけるかの!」
 そういう事で、フレッサの街を追いかけっこする覚醒者が居たとか居なかったとか、街の一時の噂話になるのであった。

●冒険拠点『蒼海の理想郷』にて
 リゼリオ内にあるハンター達のギルド区画。その中で、海沿いの一角に立てられた、大きめの一軒家。
 そこが、時音 ざくろ(ka1250)達の冒険の拠点である。
「冒険拠点の大掃除をするよ!」
 それが年末の風物詩ともいえる一大行事。
 拠点にも1年間のお疲れ様の意味を込め……それに、彼にとっては大事な愛の巣なのだから!
 そんな訳で、ざくろは大掃除の陣頭指揮を執る事となったのだ。可愛い仲間達も準備万端だ。
「大事な節目の行事のようなものです。頑張りましょう」
 アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)が大きい籠を手にしている。
 担当場所は拠点の生活区域と洗濯関係だ。
「はやてにおまかせですの!」
 気合十分なのは、八劒 颯(ka1804)だった。
 彼女が一番に片づけるのは自室。もはや、ドリル工房と化しているといっても過言ではない。
「早く終わらせて、みんなでお風呂に入ろう」
 そう言って雑巾やらタワシを持つのはサクラ・エルフリード(ka2598)。
 掃除担当箇所は主に、床と風呂場だ。
「でも……これは、絶対、何か起こりそうね」
 そんな先行き不安な気持ちを隠そうとせず、アルラウネ(ka4841)が呟いた。
 何かというのは、もちろん、らきすけの事ではあるのだが。ちなみに、アルラウネの担当は主に窓掃除である。
「大掃除なぁ……諸共燃やすのはいかんのか?」
 ソティス=アストライア(ka6538)が物騒な事を、悪気もなく言う。
 彼女の大掃除での役目は、分別だ。汚物は消毒(燃やすの)だろうか。
 という事で、ざくろの宣言と共に大掃除が始まったのであった。

 床を一生懸命に拭くサクラ。
 人が通った所は汚れ、人が通らない所は埃が溜まっていく。
 結局、かなりの範囲の床を彼女は拭かなければならないのだ。
「どうだい、サクラ?」
 廊下の角から顔を出したのはざくろだった。
 掃除の進捗具合を見に来たのだろう。
「順調だよ」
「それは良かった。ざくろもちょっとやってm――」
 直後、ピカピカに磨かれた床に足を取られ、盛大に転ぶざくろ。
 当たり前にように、サクラがそれに巻き込まれた。
「イタタ……ごめんねって、あれ? や、柔らかい床」
「……それは、私の胸……」
 両手で顔を覆ってサクラが消え入るように応えた。
 そこでようやく事態を把握し――噴水の様に鼻血が噴き出した。

「さてさて、今年も一年平穏……とは言い難いですが、無事に済んで重畳、重畳といった所ですかね」
 穏やかな表情を湛えながら、アデリシアが洗濯物を魔導洗濯機に放り込んでいた。
 洗濯機が回っている間、タンスの中の整理も欠かさない。
「隅々までやってしまいましょう」
「……アデリシア」
 弱弱しく呼ぶ声が聞こえ、振り返ると、そこには何故か衣服を持つ下着姿のざくろが。
 そして、察した。きっと、らきすけの神が降臨し、衣服が汚れたのだろう。見れば下着も汚れている。
「着ていたとしても容赦なく、やってしまいますよ」
「ちょ、ちょっと待って~」
 問答無用だ。ここで洗濯しないで、何時、洗濯するというのだ。
 衣服を脱がそうとするアデリシアと何とか下着だけは粘るざくろ。
 その攻防は、やがて、頂点に達した!
「もう、ジッとしていて下さい!」
「あぁ――――!」
 アデリシアの胸に挟まれ、身動きが取れなくなるざくろだった。

 気を取り直して陣頭指揮に戻ったざくろは、次の場所へと向かった。
 物凄い金属音とエンジン音が響いている。
「お時ちゃん、はやては、ちゃんとやってるよ!」
 颯がドリルを掲げて言った。
 どうやら、自室の掃除の最中のようだ。色々なサイズのドリルが並んでいる。
「これは……ドリルじゃない?」
 ざくろが何気なく手に取ったのは、ドリル状になっていない、先端が丸い棒状のものだった。
 どうやら、これから加工する所らしい。
 スイッチが勝手に入り、バイブレーション的な動きが、彼の中で、何かを思い出させた。
「興味があるの? お時ちゃん」
「い、いや、これどうやって使うのかなって」
 慌てて返そうとした所で、床に転がっている工具に躓く。
 棒状のそれを持ったまま颯へと倒れ込むざくろ。
「……ご、ごめんって、あわわ―!」
 手にしていた未完成ドリルの先端が、颯の大事な所を振動させている光景は、艶めかしく、ざくろは鼻血を巻き散らした。

 このままでは体内の血が無くなってしまう。
 そう思って拠点の外に出たざくろは、窓掃除を続けるアルラウネを見つけた。
「お疲れ様」
「ざくろん、ちょうど良い所に。そっちの窓に水を掛けて」
 窓掃除は手間が掛かる。上下の動きに時間がかかるからだ。
 これで、少しは時間が短縮できるだろうか。ただし、アルラウネの計算は少し間違っていた。
 ざくろが――らきすけであると。
 狙い定めてホースから水を出したはずのざくろだったが、何故か水はアルラウネへと飛んで行ったのだ。
「つ、冷たいって、ざくろん!」
 びしょ濡れのアルラウネは衣服が透けている。
 掃除する為に動きやすさを優先した服装を選んだ為、くっきりと豊かな胸が強調されていた。
 脚立から跳ねるように降りると――当然、その胸が弾けた。
「ぶはぁ――!!」
「ざくろーん!」
 ホースから勢いよく出た水の如く、ざくろの鼻から血が射出されたのであった。

「解せぬ。片付かぬ。何故だ……!」
 ソティスが驚愕の表情で目の前の状況に叫んだ。
 要か不要か、判断する為のとりあえずの待避所には、物ばかりが溜まっていくのだ。
 これは、もはや、不都合といってもいいはずだ。
「ざくろに任せて!」
 そこへ現れたのは、らきすけの帝王……もとい、ざくろだった。
 少し、疲れているようにも見えるが。きっと、掃除のし過ぎだろう。
「それじゃ、分別を頼むよ」
「どんどん、渡していいからね!」
 さすがはギルドの主といった所か。次々と手渡される品物を見て、瞬時に判断。
 必要なものと不要なものを分別していく。その動きは、ますますキレを見せ、ついに、手渡す速度を上回る!
「……ん? 次のは、柔らかい? って、えぇぇ!」
「そうなると思った……」
 次の品物を掴むはずだったざくろの手は、確実にソティスの胸を掴んでいたのだった。

 色々とあったが、とりあえず、掃除を終えて、ざくろと含む全員は風呂場へと向かう。
 まだ、ここは、サクラが掃除しているはず――。
「……」
 全員の視線が止まる。サクラがタオル1枚という姿だったのだ。
 顔を真っ赤に染めてサクラは弁明した。
「お風呂場ですし、タオル姿でも問題ないですよね……」
「バスタオルでくるんでいればと思うが」
 ソティスの冷静なツッコミ。
「このままだと冷えるから、皆で入りながら掃除しない?」
「はやてもそれがいい!」
 水濡れのアルラウネと埃まみれの颯が、遠慮なく衣服を脱ぎだした。
「仕方ありませんね。こうなったら、全員で、隅々まで、洗いましょうか」
 意味深な言葉を発しながら、アデリシアは包容力のある笑顔でざくろを見つめた。
 女性陣全員の視線が自然と彼に集まる。
「えと……ざくろは、向こうを……」
 逃げるように去ろうとしたざくろだったが、床ですべってしまい、全員を巻き込んで、そのまま湯船へとダイブしたのであった。

 なんとか掃除を終わらせたざくろ達。
 この後も食事の準備から、らきすけが大爆発するのだが、それはまた、別の話である。

●クリパッ!
 王都のある店にハンター達が集まった。
「今日はあれですね。ぱーっと騒ぎましょう」
 そう宣言したのはパーティーを呼び掛けた冷泉 緋百合(ka6936)だった。この店は旅館繋がりで紹介された店だ。
 全員が入っても、なお、余裕もあるし、騒いでも大丈夫との事。
「ふふ、家族や皆さんと集まってのパーティーは楽しみ。でも、羽目を外し過ぎないように注意しないとね」
 落ち着いた様子でユウ(ka6891)がそう言った。
 お店から騒いでも良いと言われても、羽目を外し過ぎないのは大事。それに、他のお客さんも居る事だし。
 こんな状況でもいつもと変わらない真面目なユウの脇から、トナカイ衣装に身を包んだ星空の幻(ka6980)が姿を現した。トナカイの角先がプニプニしてて柔らかそうだ。
「お姉ちゃん達と一緒にパーティなの……」
 グラムにとっては、今季が初めてのクリスマス。
 どんな行事かは知識としては知っているが、実感が無いのだろう。
「緋百合様……私は、うさぎさんなのです」
 まるごとうさぎに包まれた瓜生 璃々那(ka6382)が、もごもごと揺れる。
 うさぎの口の部分に該当する所から、璃々那の顔が出ていた。
「グラムもリリーも、可愛いです」
 トナカイとウサギがその言葉に恥ずかしそうに揺らいだ。
 その仕草もまた愛らしい。そこへ、元気な声が店の中に響いた。
「お邪魔しますにゃー!」
 入ってきたのはハヒヤ・ベリモル(ka6620)だ。
「いらっしゃいませ~。ハヒニャ様」
「ぱーてぃってにゃにするのかにゃ!? きっと楽しいことにゃよね!?」
 楽しみで仕方ないといった様子でハヒヤは笑みを浮かべる。
 手には何か包みを持っており、彼女はそれを豪快に高々と掲げた。
「人と遊ぶときはお土産を持っていくって教わったにゃ!」
 どうやら、お土産を持ってきたようだった。
 それを緋百合に手渡すと、店内を彩る装飾に目を奪われる。
「ふわぁ……! きらきらしてるにゃ!」
 思わず万歳。ぐるっと見渡してから、楽しそうに駆け出した。
「わたしが案内してきますね」
「俺もいきます。楽しそう」
 ウサギとトナカイ――ではなく、璃々那とグラムが一緒にハヒヤを追う。
 こうなると、猫とウサギとトナカイのようで……と思う、緋百合とユウであった。
 次に店に入ってきたのは、オウカ・レンヴォルト(ka0301)だ。
「ここ、か……」
 些か寂しげな様子にも見えるが、待っていた二人を見て、表情を緩めた。
「オウカ様、お待ちしておりましたよ」
「レンヴォルトさん、どうぞ、こちらに」
 彼は店内を見渡すと、ホッとしたようだった。
「どうやら、開始時間には、間に合った、ようだな」
「まだ、少しお時間があります。先に席へ案内致しますね」
 ユウは頷きながら、そういうと、オウカを席へと案内する。
 オウカが席に座り、ユウと何か話し出した所まで見届けてから、緋百合は入口の戸をみつめた。
 もう一人、いや、二人、来るはずだから。
 そして、それは唐突に訪れた。勢いよく開かれた扉。
「時間に間に合ったのですー!」
 ズイっと入ってきたのは大型犬――ではなくて、アルマ・A・エインズワース(ka4901)だった。
 長身のアルマの脇から、緑髪が後ろで揺れているのが緋百合には見えた。
「あの……アルマ様。私も……入っていいのですか?」
 それはハンターオフィスの受付嬢である紡伎希の声だった。
 リゼリオでの仕事を終えて、急いで王国に戻ってきた所だ。
「わふーっ! 皆さん、僕のお友達連れてきましたです。仲良くするですー!」
 突然、そんな事をアルマに宣言される希。
 全員の視線が希に集まった。しかし、それで慌てるような希でも無い。丁寧に一礼すると堂々と名乗るのであった。
「お初にお目にかかります。紡伎 希と申します。今日はお招き頂き、誠にありがとうございます」
 こうして、クリスマスパーティーが始まったのだった。

 改めて、全員が自己紹介を行った。といっても、見知った仲同士の方が多いのだが。
「お飲み物大丈夫ですか? レンヴォルトさん」
 ユウはパーティーを楽しみつつも、飲み物や食べ物の注文や料理の盛り分けに努めていた。
「あぁ、ありがとう。ユウは細かい所を、よく気が付くな」
「そんな事はありません。皆で楽しめている事が楽しいからです」
 オウカの言葉に穏やかな表情で答えるユウ。
 視界の中で、猫とトナカイとウサギが三人並んで舞台の上で何かやっている。
 その様子を微笑ましくみつめる。
「そうか……そう、だな……」
 表には出さなかったが、オウカの内心は傷ついていた。
 今日、パーティーに参加できて良かったと思う。皆が楽しく過ごしている。その中に自分も居るという事が、僅かでも癒しになるだろうから。

 舞台の上では、ハヒヤとグラムと璃々那が、踊ったり、手を繋いで回ってみたりとしている。
「それでは、ここで、ウサギの璃々那から質問します」
 マイクの代わりなのだろうか、厨房の人から渡された人参を手にする璃々那。
「なんでもこいにゃ~!」
「同じく……」
 そんなハヒヤとグラムの二人に人参の先端を向けてこう言った。
「好きな事はなんですか?」
「歩きまわることにゃー!」
 すぐに答える猫……ではなく、ハヒヤ。
 薄茶色の髪の毛は寝癖がより跳ねて、ますます、猫耳のように見えるというか、もう、きっと、立派な猫だ。
「俺が好きな物は……コーヒー……」
 グラムが舞台の上に居たというのに、何時の間にかコーヒーカップを手にして答えた。
 コーヒーが大好きらしい。ちなみに、ブラックが良いらしい。豆の味が純粋に楽しめるからだろうか。
「それでは、折角ですので、緋百合様にも訊いてみたいと思います……聞くまでもないかもしれませんが」
 唐突に自身に向けられた人参に驚きながらも、手を上に上げて応える。
「はい! お風呂です。お風呂は朝・昼・夜で入ります。アイラブお風呂」
 そんなに入って肌が大丈夫だろうかという気もするが。好きならば仕方がない。
 渇水の時、苦しくなるタイプだろうか。
 次に璃々那はアルマへと人参を向けた。
「僕はネルさんが好きです!」
 いきなりの告白。オウカも同意するようにウンウンと頷いているが、誰それという空気が流れる。
 それでも、淡々と璃々那は続ける。この神経も凄いが。
「そうなのですか」
「そうなのです! 僕がずっと側にいられたら、希さんごと守るんですけど!」
 この大型犬に他意は無いだろうが、希の華奢な体をぐっと引き付けて叫んだ。
 聞いている方が恥ずかしくなるような宣言だが……。
「ネルさんは今日居ないのです……」
 しゅんっと落ち込む。
 その頭を希がよしよしと撫でた。
「申し訳ございません。ネル・ベル様は転移門を通過できないのです」
「だから、オキナさんも居ないのですねー。納得ですー」
 落ち込んでいても仕方ない。出来ない事なのだから、次の機会を待つだけの事だ。
 そう思い直して、アルマは背筋をピンと伸ばした。
「璃々那さんが好きなのも聞きたいのですー!」
「え、えと、わたしは……」
 思いもしないアルマの反撃に、一瞬、言葉を詰まらせた璃々那だった。

 パーティーは区切りがつく様子もなく続いた。
 その時間がかなり経とうとしているのはオウカが飲み干した酒瓶の数が物語っている。
「それは、寝癖……だった、のか」
「きっと、そのうち、本物の耳になるのにゃー」
 風が吹いていないのに、ハヒヤの耳のような髪がぴくぴくと動いているように見えるのは、きっと、酔っているからだ。
「まだ、食事はありますよ、緋百合」
「こちらには、飲み物がありますよ」
「さすがに、お腹がいっぱい……」
 ユウが料理を小皿に分け、璃々那が飲み物を渡してくる。
 受け取りながら緋百合がお腹をさすっていた。今日は食べ過ぎだろう。
「わふー。僕が食べるのですー! 魔王の卵は忙しいですー」
 代わりとばかりに、アルマが皿を受け取る。
 食べる事は大事。リアルブルーの言葉で腹が減っては戦は出来ぬという。
 肝心な所で威力が出ないと、日々、鍛えている意味がないというもの。
「希さんも、確り食べないと大きくなれないのですー」
「お、大きくしたいです!」
 真剣な表情で頑張る希の意気込みに、緋百合も己を奮い立たせた。

 いっぱい遊んで、いっぱい食べて、グラムは寝落ち寸前だった。
 懐かしさをグラムは感じていた。こんな大人数。しかも、大人な男性や女性と一緒に居たからだろうか。
「パパ……ママ……」
 なぜ、そんな言葉が出てきたのか自分でも分からないうちに、トナカイ姿のグラムは安らかな寝息を立て始めたのであった。

●龍崎・カズマ(ka0178
「どうかしたのか? 牡丹」
 牡丹の部屋で料理や片付け等を手伝っていたカズマが、お玉を手に牡丹に訊ねた。
 彼女は真剣な顔をして、洗濯物を干そうとしたまま止まっている。
「……カズマ君はさ、子供って好き?」
 藪から棒にどんな質問なんだと内心で苦笑しつつ、カズマは答えた。
「子供な……。俺は子供は好きだよ。子供は“これから”を生きるからな」
「これから?」
「俺達の思い、願い、望みを下地にした、“明日”を生きるものだから」
 その答えに牡丹は満足そうな笑みを浮かべる。
 彼女の心に思う事があったのだろうか。最近は、強化人間の友人と関わる事が多かったと聞く。何かしら影響を受けたのだろう。
「そっか。ありがとう、カズマ君……ボクさ、そう遠くない未来、親になってみたいと思う」
 今まで戦い一辺倒で『女将軍』と呼ばれる牡丹が自分の将来を思うのは良い事だと思う。
 口元を緩め微笑を浮かべながら、味見の皿を口に運ぼうとした時だった。突如、背後から牡丹が背中に飛びついた。
「カズマ君は、きっと、良いパパになれるよ!」
 質問の意味と飛びつかれた勢いで、思いっきり、味見の汁を吹き出すカズマであった。

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重体一覧

参加者一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 大口叩きの《役立たず》
    トライフ・A・アルヴァイン(ka0657
    人間(紅)|23才|男性|機導師
  • 聖なる焔預かりし者
    瀬織 怜皇(ka0684
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhran(ka0724
    エルフ|10才|女性|疾影士
  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • 母のように
    都(ka1140
    人間(紅)|24才|女性|聖導士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士
  • びりびり電撃どりる!
    八劒 颯(ka1804
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 戦いを選ぶ閃緑
    アイビス・グラス(ka2477
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • 天壌無窮
    恭一(ka2487
    人間(紅)|34才|男性|闘狩人
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 春霞桜花
    ミィリア(ka2689
    ドワーフ|12才|女性|闘狩人
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイ(ka2884
    人間(紅)|32才|男性|聖導士
  • おっとり紳士
    シルディ(ka2939
    エルフ|22才|男性|疾影士
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 疾く強きケモノ
    クウ(ka3730
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • 星の音を奏でる者
    エステル・クレティエ(ka3783
    人間(紅)|17才|女性|魔術師
  • 白兎と重ねる時間
    玉兎・恵(ka3940
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 正秋隊(雪侍)
    銀 真白(ka4128
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 正義なる楯
    アルバ・ソル(ka4189
    人間(紅)|18才|男性|魔術師
  • 正秋隊(紫龍)
    劉 厳靖(ka4574
    人間(紅)|36才|男性|闘狩人
  • 千寿の領主
    本多 七葵(ka4740
    人間(紅)|20才|男性|舞刀士
  • 甘えん坊な奥さん
    アルラウネ(ka4841
    エルフ|24才|女性|舞刀士
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 幸せを手にした男
    檜ケ谷 樹(ka5040
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 雷影の術士
    央崎 遥華(ka5644
    人間(蒼)|21才|女性|魔術師
  • ―絶対零度―
    テノール(ka5676
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • 符術剣士
    シェルミア・クリスティア(ka5955
    人間(蒼)|18才|女性|符術師
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • お約束のツナサンド
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士

  • 瓜生 璃々那(ka6382
    人間(蒼)|22才|女性|舞刀士
  • 白狼は焔と戯る
    ソティス=アストライア(ka6538
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • はんたあ倶楽部
    ハヒヤ・ベリモル(ka6620
    人間(紅)|14才|女性|霊闘士
  • 天使にはなれなくて
    メアリ・ロイド(ka6633
    人間(蒼)|24才|女性|機導師
  • 無垢なる守護者
    ユウ(ka6891
    ドラグーン|21才|女性|疾影士
  • 狂える牙
    冷泉 緋百合(ka6936
    オートマトン|13才|女性|格闘士
  • 白銀の審判人
    星空の幻(ka6980
    オートマトン|11才|女性|猟撃士
  • Braveheart
    ジェスター・ルース=レイス(ka7050
    ドラグーン|14才|男性|舞刀士
  • 最期の一矢を
    根国・H・夜見(ka7051
    オートマトン|15才|女性|魔術師
  • 無垢の白雪
    ミーア・インフェル(ka7052
    オートマトン|16才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【質問卓】
紡伎 希(kz0174
人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/12/28 22:16:55
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/12/29 10:30:28
アイコン 雑談とかお誘いとか
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/12/29 21:12:41
アイコン 【タグ表明卓】
鳴月 牡丹(kz0180
人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/12/28 01:40:29