里の虎猫、反乱を起こす?

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/01/02 22:00
完成日
2018/01/11 07:10

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●広いところで練習
 エトファリカ連邦国天ノ都を出発したその魔導トラックは、たぶん無事に目的地に到着した。最後に柵にドンとぶつかっているけれども、人や獣をはねたりどぶにはまったりはしなかった。
「結構揺れましたけど到着できました……帰るんですよね……」
 大江 紅葉(kz0163)はトラックから下りると、柵にぶつけたところを確認する。
「ご宗主様……それは何ですか」
 里人が問う、当たり前だが。柵の様子をうかがう、修繕が必要なのかこの大きい物体をどければどうにかなるのかと。
「魔導トラックです。これで荷物も運びやすくなります!」
 胸を張る紅葉に、誰もが心配そうにそれを見た。どう考えてトラックにはぶつけり擦った跡が多数あるのだから。
 紅葉の説明を聞くと、馬車を使うより早く、楽だということは理解した。
 本日の荷物は年始をここで迎える人たちのためのものが満載であった。

●点検
 紅葉は今後里の修繕をどうするかチェックする。
 まずは橋だ。橋があることで、がれきの撤去もしやすくなるし、物資も搬入しやすくなる。
「あと、別のところに虎猫橋をつけたほうががいいでしょうか?」
 足元に来た柴犬を撫でる。
「うーん、大きな橋を作ればわざわざ動物用いらないですね」
「ワン」
「次は道の整備です」
「ワン」
「それから……」
 紅葉はメモに書き込みながら見て回った。柴犬たちは紅葉にまとわりつく。特に、袖が気になり飛び掛かってくることがある。
 紅葉はそれを避けながら進む。
 あらためて気づくのは小さい頃より島が小さいということ。
「私が大きくなったというのを差し引いて、えぐれた痕ありましたよね……」
 歪虚がいた間に何があったか知らないから仕方がない。内部でもめて爆発すれば、のり面がえぐれることもあろう。
「来年は戌年です。シバたちの年ですね」
 紅葉は寄ってきた柴犬たちを全体的に撫でて可愛がったのだ。

 それを虎猫達は見ていた、じーと冷めた目かはわからないけれど。
 驢馬も見ていたが、通りかかった虎猫に猫パンチを食らって逃げて行った。

●緊急事態
 紅葉が戻った後、里の方から緊急連絡が入った。
「大変です! 虎猫達が大暴れして、柴犬を里から追い出したのです」
「は?」
 紅葉はぽかんと口を開ける。家令が咳ばらいをする「みっともない」と。あわてて紅葉は口をふさぐ。
「こちらを見張り、近づくと攻撃してくるみたいなのです」
「え、ええと?」
 再度里人が説明するが、紅葉と家令は事態を飲み込めないでいた。
「とりあえず、どうにかしてください」
 里人に言われ、紅葉はうなずいた。
「まさか、先日言ったとき『来年はお前たちの年だね』と言ったのがいけないのでしょうか!」
 紅葉がおろおろし始めたが家令と里の連絡係は「ないと思います」と冷静に答えたのだった。
 気を取り直して紅葉は依頼を出しに行く。
「どうにかしてください」
 当たり前だが職員も困惑した。
「どうにかとはどうなんでしょうか? まず調査ですか? 虎猫討伐……ってことはないでしょうし。まさか、虎猫にだけはやる奇病とか?」
 職員は思った通り口に出す。
「それは大変です」
「いや、私の適当な言葉をうのみにしないでください」
 職員はどういうふうに依頼とするか、紅葉の口から聞きたいのだ。
「で、どうしてほしいんです?」
「虎猫達に何があったのか調査してください。それと、問題があった場合はそれを排除しましょう」
「段取り決まりましたね……虎猫たちの好物は何ですか?」
「動く動物です」
「……ネズミですか」
「虫もとらえますね」
「……猫ですね、ただ単に」
「だから、虎猫ですってば。ユグディラとか妖怪じゃありません!」
 職員はうなずく。大江家の虎猫、どれだけ猫ばなれしているように思われているのだろうか。
「ちくわ好きとか、……もう少し運びやすいものをお願いします。それと、個別の特徴をお願いします」
「私、識別できるの一匹か二匹ですよ」
「……え?」
「総計二十匹をこえています。柴犬も二十匹に到達しました……私、そこまで観察できていません! 全個性を把握してこその飼い主だと思います。でも、無理ですう」
 紅葉が机に突っ伏して泣き出した。
「ああ、大江様すみません! この近辺に落ちている犬猫を引き取っていただいて!」
 原因がそれだ。紅葉はオフィスに顔を出した結果、その近辺にいる落ちている動物を見つけてしまい、放置できずに引き取っていたに過ぎない。
「というわけで、依頼、お願いします。私はちょっと手が離せないようなので、当家のペット大臣テユカに行ってもらいます」
「ペット大臣って……」
 さらりと紅葉は告げたことに職員はため息を漏らした。でも、ペットたちのことを知っている人が行くのであれば、それが一番であるのは事実だった。

●真相
 里人が大江家に行く前にさかのぼる。
 夜明け間近でうっすらと陸をつなぐ道ができるころ、雑魔が二体渡ってきた。その結果、虎猫と柴犬たちは追い出すために戦ったのだった。
 まあ、吠えるとかだけであるけれど。
 十数匹に追われ、それらは島を出た。
 柴犬はそれを追いかけて行った。
 そのまま、夜になった。柴犬たちは戻ってきたのだが、島に戻れず陸で一晩明かす。
 ここまでは問題がなかった。
 虎猫達は混乱の上、空腹が増してきて、正常な判断ができなくなってくる。
 雑魔の形状から似たような形を敬遠する。里に餌はあるが、自力で取り出すのは難しい。
 ――おなかすいたにゃん。
 ――こわいにゃーん。
 ――戻りたいわん。
 ――トラさんたちがいないと寒いわん。

 ハンターたちの到着が待たれる現場だった。

リプレイ本文

●到着
 冬の冷たい風が吹く海辺にハンターと大江家のペット大臣テユカがやってきた。不安げな里人と柴犬たちの歓迎を受ける。
 以前来たことがある人は拠点の小屋が増えていることに気付ける。
 エルバッハ・リオン(ka2434)とミオレスカ(ka3496)は馬からテユカ用の荷物を下す。持ってきたペット用の好物である。
「本当ですね……柴犬たちが島の外にいますね、これは良くないです」
 ミオレスカは寄ってきた柴犬を撫でる。こちら側にいる為、餌はもらっているため穏やかそうだが、落ち着きはない。
「過去の依頼を考えると、歪虚に操られている可能性もゼロではないですね。念のために警戒しましょう」
 エルバッハは気を引き締める言葉をつぶやいているが、柴犬に「何かくれるの」という期待のまなざしから荷物を守る動作をしている。
 龍宮 アキノ(ka6831)がエルバッハの言葉ににんまりと笑う。
「あたしもその可能性は考えてはいるよ。動物たちに異常行動を起こさせる……か、面白い奴が出てきたねぇ。どうやってやったのか……」
 研究対象として歪虚どころか覚醒者も入るアキノにとっては興味惹かれる出来事。
 ディーナ・フェルミ(ka5843)は犬猫兼用のペレット状の餌を背負えるだけ持ち、犬猫の数分の皿も用意していた。それに加え、ブラッシング用のブラシも持参している。
「今の生活に満足してたら反乱なんて起きないの。島が狭すぎるのが原因だとどうにもできないけど、ご飯と住処だけならお手伝いできるの」
 早速、柴犬たちに餌をあげるなか、日曜大工で小屋を作る道具があるか里人には確認をとる。
 ステラ・フォーク(ka0808)はミルクやカリカリを用意してやってきた。
「彼らはおなかは減っていると思いますの……反乱なのでしょうか? 先日見たときは大変仲が良かった様子ですのに……。テユカさん、お疲れではありませんか?」
 ステラは動き回っているテユカに心配して声を掛ける。
「大丈夫だよ。このくらいは……それより虎猫達の方が心配だよ。驢馬もあっちだし」
 テユカは眉を中央に寄せ、不安そうに島を見た。
 アシェ-ル(ka2983)は島の様子を見に海岸線を歩く。
「とりあえず、にゃんこを保護してもふればいいんですね!」
 そのにゃんこたちはじっとこちら側を見ている。遠目ではっきりとわからないが、どこかやつれているようにも見える。
「一刻を争うようですね。皆さん、どうやってわたりますか? 今なら陸地とつながっていますが」
 アシェ-ルは仲間に確認をとった。

●シャアアア
 ディーナは柴犬たちにも来てもらうことを提案する。
「仲良しなら説得もできるの!」
「そ、そうか」
 ディーナの論にテユカが納得したが、「追い出されている現実を見るように」と誰かが告げる。
 しかし、もしものことを考えると積極的にディーナの案は否定されなかった。
 里に続く日中に現れる砂地の道をハンターたちは歩く。渡れなくはないがぬかるむため歩きにくい。
 テユカがハンターの後ろから、柴犬たちのリードを持ってついていく。柴犬たちは恐る恐る歩いている。時々、陸地の方を見る。
 陸地の方は里人らが日常生活を送っている。いわゆる復興に向けて、道や建物の整備だ。そのうち畑もできるに違いないが、浄化で来ているとはいえ、冬で息吹はわずかだ。
 一行は真っ直ぐ進んでいく。上陸できるあたりに虎猫達の姿がある。驢馬の姿は見受けられない。
「猫たちが『上がりたければ俺たちを倒せ』というくらいな気迫で待っていますね。例えば、海を通ることも可能ですが?」
 アシェ-ルは【ウォーターウォーク】を掛けて回りこんでみるのも一つの手だと提案をする。
「それは最終手段なの」
「そうですわね。虎猫達の状況がはっきりしてからでも遅くはないと思います」
 ディーナとステラにアシェールは「そうですね」とうなずいた。
 ある程度近づいたところで、エルバッハが符を取り出す。
「虎猫だけがいるわけでない可能性もありますから、調査はしますね」
 【式符】を用い見える範囲で様子をうかがう。
 この間、エルバッハを守る必要もあるため、ハンターの動きは周囲を注意しつつ歩みを止める。
 ミオレスカは荷物から魔導マイクを取り出した。
「虎猫達に何か話しかけてみますか? テユカさんの声を聞いて落ち着くかもしれません」
「そうかな……そうだといいな。やってみるよ」
 マイクに向かってテユカは虎猫たちの名前を告げる。虎猫達は何か感じたらしくテユカの方を時々見る。成功はしているようだが、どこかちらちら見ているのは変わらない。
 うんにゃああああ。
 鳴き声は弱弱しい。
「寅吉さん、紅葉様が虎猫も大好きだって言っていたよ。そうじゃないと拾ってこないよー」
 テユカが告げる。
「こっちのお姉さんが、寅吉たち用のおうちを作ってくれるって」
 ディーナが両手をあげてアピールする。
 しばらくやり取りしていると、【式符】で偵察を終えたエルバッハが首をかしげる。
「テユカさんの声がするとこちらを見ているのです。でも、間が空くと一点を見るのです」
 エルバッハは指をさす。陸地の方だということは明快だ。
 柴犬も見ている、その方向。
 軍用双眼鏡など持つ者は念のため見るが、異変はすぐに見つけられない。
「歪虚がいるのかい? その痕跡は……わからない、か」
 アキノはふうと息を吐く。歪虚が長くいるとマテリアルの変化があり、植物が枯れる等がある。この地域はまだ復興しきれていないため、枯れ草がもともと多い。何より、冬である。
「まずは猫たちの様子を確認するの」
 ディーナがすたすた歩き始める。
「推測通り、猫達はこの上り口と船着き場にいると思います」
「それは助かるの。探しに行くとなると大変なの」
 エルバッハの追加情報に、ディーナは真剣にうなずいた。
 ステラは【超聴覚】を用いて確認をする。不審な音はないようだ。
「……何か近づいてくるようないるような音はあるのですわ」
「こちらにですか?」
 アシェールが見るがわからない。
「いえ、外です……島の中も音はしますが」
 ステラは再び耳を澄ませた。
「島には驢馬もいるはずです。エルさん、驢馬の様子は?」
「島の上の方にいましたよ……ただ、ちょっと距離が足りないのでそれらしい姿見ただけですけれど」
「そうですか」
 ミオレスカは驢馬の子とも気にしないといけないと考えたが、今は虎猫だけに集中して良い。

 虎猫達は怒りと怯えが入り混じる様子でじっとしている。
「寅吉さん!」
「わおーん」
 テユカと柴犬が説得している。
「んー、確かに、テユカと柴犬たちには反応を示しているね。それ以外変な様子はないね」
 アキノは現状を見て原因を推測していく。島全体よりも虎猫だけに何か影響が出ていることが明確になった。
「ほらー、ツナ缶ですよー」
 来られないからと大江 紅葉(kz0163)から預かったツナ缶を、アシェールは開ける。においが風に乗ったらしく、虎猫達がじっとシェールの手元を見ている。アシェールは様子を見て近づいていく。
「そうなの……こちらにはおいしい餌なの……」
 ディーナは皿にカラカラと餌をよそった。
「ああ、駄目だよ。芝六郎はさっき食べたよ!」
 犬たちの方が反応している。テユカが引っ張られているため、ステラとミオレスカが柴犬を一緒に抑えるのを手伝った。
「おいしいのー」
 ディーナはじりじりと近づく。
 猫達「シャー」と言いながら腰は引けながらも目は皿に釘付け。
「おいしいの」
 ディーナは皿をゆすり、音を立てる。近くにいる虎猫の足元に皿を素早く置く。皿に群がる虎猫達。力関係もあり、寅吉が先に食べている。
「……あれ?」
「ディーナさん……危ない!」
 エルバッハの警告したときには、ディーナは虎猫に飛び掛かられていた。六匹があちっこちにかじりつく。
「うう、痛いの、役得でもあるの……」
 一匹捕まえると【サルヴェイション】を使う。
 虎猫はおとなしくなり、「おなかすいたから何か頂戴」という顔になった。
「餌を取ってなの」
 ディーナが告げたため、エルバッハは荷物から袋を取り出し、手渡した。
 手渡された瞬間、ディーナの手から消え虎猫達に持っていかれた。
「かなり空腹のようですわね……」
「ディーナさん……無事ですね」
 ステラとミオレスカにディーナはうなずいた。まだ回復魔法をかけるほどもない。
「どっちにしろ、回復魔法掛けるのはディーナが気絶でもしない限り、本人だね」
 アキノの言葉に、うなずく首がいくつかあった。もしもで掛けられる人員はいるが、聖導士で回復の専門家というのはディーナ自身だ。
「それより数は合っているの?」
 ディーナは一匹にブラシを掛けながら質問をした。
「いるよ!」
 テユカは数え、請け負う。けがはしているようには見えないのは安心だ。
「次は……」
 エルバッハは犬が吠え始めた方向を見た。
「あれは……歪虚? そこまでは強くはなさそうですが……」
 ミオレスカが弓を手に告げた。
「あれがすべての元凶だね」
 アキノは嬉しそうに笑った。
「油断はできませんね」
 ミオレスカはきりりと唇を結んだ。

●ざ・りべんじ
 雑魔たちは弱かった。島に上がって動物を襲ってマテリアルを取ろうとしたら、追い出された。
 それから数日の間、追い出された先でマテリアルを細々と入手した。これならばとそれらは戻って来たのだ。
 いや、この辺りで一番マテリアルが多いということがあるから必然であった。

 テユカと柴犬たちにはここで待ってもらうこととなる。なぜなら、島は安全かもしれないが、虎猫達が興奮し始めたら危険になるかもしれないからだ。
「テユカさんと柴犬たちはここで待っていてください」
「分かったよ」
 ステラに指示を出され、テユカはきちんと柴犬のリードを握った。柴犬たちに落ち着くようにテユカは声をかけ、胴体に手で触れる。
「こちらに来てくれれば、里の人たちの方には行きませんね。それに、島の方にだって行かせはしません」
 エルバッハは魔法を使う準備をしつつ、距離を詰め始めた。
「この島に雑魔が住み着くのは許さないの。ここは大江家とその動物たちの島なの!」
 ディーナは怒りとともに雑魔に向かっていく。
「射程に届き次第、矢を射ます」
 ミオレスカは近づきつつ、距離を目測する。
「ふむふむ……敵の正体は人間と犬だったという感じだね。本能に任せて動く感じ……なんだ、洗脳とか特殊な力はないと見えた」
 アキノは距離を測って近づきながら敵を分析する。意外と面白みに欠けるとあってため息が漏れそうだ。
「で、この島の猫達が中途半端に賢いせいで、この騒ぎってわけだな」
 研究対象からは外れるが面白い事実には変わりないし、問題があれば排除はする。
「幽霊じゃなければ怖くないですよ。大体、一度は虎猫と柴犬連合に追われた雑魔。油断さえしなければ私たちの敵ではありません」
 鼓舞するようにアシェールが告げる。
 その時、射程の長さ随一のミオレスカの矢が敵に向かって放たれた。
 距離が詰まったところでエルバッハは【ダブルキャスト】を用い【ファイアアロー】と【風雷陣】を放った。炎の矢と符とともに雷撃が飛ぶ。ディーナは【プルガトリオ】を放った後、接敵する位置まで向かう。アシェールが【ウィンドスラッシュ】を使い、敵を切り刻む。アキノが近づいたところで【機導砲】で攻撃をした。ステラは仲間の援護をすべく敵の動きを見て、銃弾を叩き込んだ。
 これだけの攻撃を食らえば雑魔たちは満身創痍となる。その上、動きが封じられており抵抗し立ち向かいたいところだった。
 しかし、次に動けたとしても、一矢を報いるどころが無に帰るまでの時間が遅くなるだけであった。

●カリカリ
 カリカリカリカリ……。
 ハフハフハフハフ……。
 ケフ……。
 虎猫達は一心不乱に餌を食べていた。安堵している様子がうかがえる。
 柴犬が恐る恐る近寄って、虎猫の背中をなめる。途端に猫パンチが飛んできた。
「ふふっ……近寄りたいんですね」
 ステラはほのぼのとした様子を見つめる。
「これで終わってよかったですわ。慌てて食べると、むせてしまいますわ」
「そうだよ、慌てて食べると駄目だよ」
「そうですわね」
 テユカは飽きれたように虎猫達を見ているが、その目は大役をこなした安堵に満ちている。
「テユカさん、ご苦労様」
 ステラにねぎらわれて、テユカは照れた。
「食事が終わったら、モフモフタイムなの」
「そうですね。徹底的にかわいがって差し上げます」
 ブラシを持ってディーナが真剣なまなざしを注ぎ、手をワキワキと動かし準備運動をするアシェール。
「さすがに食事中はしないの」
「柴犬さんたちは気が早いのです」
 二人はじっと見守った。一心不乱に食事をとる虎猫達の様子を見るのも心は和むのだ。
「洗脳だったということ……か、も細かいことはわからないね。残念とも思うけど、仕方がないね」
 アキノは虎猫達の様子を見て口元を緩めた。
「猫たちの早とちりかい?」
 一心不乱に食事をとる虎猫達の言葉はわからない。
「戦闘の名残で、ここの守護をしてくれるような存在になれれば……祀ってもらえるのですよね」
 ミオレスカは虎猫達の安全を見届けた後、島の頂点に登った。墓があり、眠るものもある場所。
「なかなかうまくいかないものです」
 死後どうなるかなど、誰にもわからない。
 驢馬たちは「おなかすいた」と言う雰囲気を醸し出しているため、ミオレスカは驢馬たちの餌を取りに丘を下ることになる。
 エルバッハは島の外に渡り、事件が片付いたことを里人たちに告げた。
「虎猫達の世話はこれまで通りよろしくお願いしますね」
「そりゃそうさ。何もないところで復興作業。犬猫……驢馬で和むのに」
 里人たちは楽しげに笑い、お礼を述べた。
「それより、小屋を作るとか言っていたし、使える板とか持っていくぞ?」
 エルバッハは「まだ毛並み調えタイムかもしれませんが、よろしくお願いします」と告げておいた。

依頼結果

依頼成功度大成功
面白かった! 5
ポイントがありませんので、拍手できません

現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!

MVP一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオンka2434
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミka5843

重体一覧

参加者一覧

  • 冷静射手
    ステラ・フォーク(ka0808
    人間(蒼)|12才|女性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 好奇心の化物
    龍宮 アキノ(ka6831
    人間(蒼)|26才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 猫年初め?
ミオレスカ(ka3496
エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2018/01/02 21:23:50
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/12/31 10:01:41