ゲスト
(ka0000)
【陶曲】百年旅~チェスシフト
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/01/18 19:00
- 完成日
- 2018/02/10 22:25
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●その後の「宵闇の剣」
「ほう……」
「ふぅん」
ひげ面のグランジが顎をさすりながら見上げ、色男のアルゼアが目を細めた。
彼らならず者集団「宵闇の剣(セラータ・スパーダ)」が森の中で発見したのは、自然の木々を利用した巨大なボウガン、というかバリスタだった。
「これならあのチェスピースゴーレムを空に飛ばすことなんざ朝飯前だな」
「方向も砕石場を向いてる。間違いない」
木立の先に幾重にも重ねた蔦を渡し、倒木を滑走路にした固定砲台といっていい構造は、明らかに作為的なもの。それが、ハンターオフィスに残る「【陶曲】百年旅~チェスゲーム」の報告書にある砕石場にゴーレムを撃ち込んで急襲させた道具であることは明白だった。
「そりゃいいがボス。俺っちらここに長居すんのヤバくねーのか?」
鉤っ鼻の小男、ラデオラが神経質そうに言ってきた。
「居座ってるわけじゃねーのは周りに何もないことから分かんだろ」
ボスのグランジの代わりに、はげ頭の大男バルデオが答えた。
「つっても、長居して何になるわけじゃねーしな」
その隣にしゃがんでいる下唇の捩れた男ステイゼがぽそり。
「……」
ついでにステイゼの横では少年のエドアムが居眠りしていた。
「情報売るにしても少しは調べとかないと色が付かねーだろが」
どやしつけるグランジである。
「……気軽に移動できんとはいえ、資材をそのままということはもうこの手は使わない、ということか?」
「まあ、気持ちは分からんでもないがな。わざと現場に手掛かり残して『実はこうやったんだよ』って教えてやんのはよ」
考え込むアルゼアにがははと笑うグランジだった。
●今度は伐採場
「うわっ、なんだあれは!」
同盟領のとある森の中で悲鳴が響く。
「あれは……白い馬か?」
人々が指差した先で、森の中から木々を越えるくらい高く跳躍した馬がいた。
そのなんと大きなことか。
――どしん……。
はるか遠くでの着地なのにここまで振動が伝わって来る。重量もなかなかのものだ。
「こっち……きてるな」
「普通の馬より一回り二回り……いや、明らかに倍はあっただろ?」
「ば、ばけもんじゃ……」
再び森の中に隠れ見えなくなるが、地響きは明らかに大きくなっている。
「……こっちに、来てるのか?」
「まて! しかも馬だけじゃないだろ、これ!」
どかっどかっというギャロップの音の他に、二足歩行のような音も聞こえるような気がする。
「そう言えばあっちに伐採へ行った班がいたはず……」
「ば、バケモンじゃ~っ!」
不安そうに顔を見合わせているその最中、振動がする方から数人が転がるように逃げて来た。
「巨人と大きな馬のバケモノと……石の塊じゃ~っ!」
「木を切るどころじゃない。逃げろ~っ!」
ここは、人里離れた木々の伐採場。
とにかく作業員は木の枝を落としたり表面をはつる仕事を投げ出して逃げた。
「で、どうなったの?」
ハンターオフィスでフラ・キャンディ(kz0121)が眼鏡の女性係員に聞いた。
「幸い、素早い避難で作業員に被害はありませんでした。現場は伐採の中継地点で、木々を乾燥させたりする本拠地が手前にありましたので」
眼鏡の係員、さらさらと簡単な位置関係を記した。
で、中継地点にバツ印を付ける。
「襲ってきた石の巨人と馬はそこにあった材木を奪って引き上げましたが、四角柱の動く塔はその場に残ってますね。塔には泥人形がいて矢を構えたりするそうです」
つまり、奪われて占拠された、と。
「なんかそれ、似たようなことが前にも遭ったような?」
「だからフラさんに声を掛けました。前は確かチェスピースのポーン8体でしたよね? それを考えると今度はルーク、ナイト、ビショップですかね」
「つまりルモーレの仕業ってことだね」
「前の砕石場と違うのは、材木を蓄えている場所がここだけではなく、作業員が避難した本拠地にも大量にある、ということです」
つまり、いずれここがやられるかもと新たにバツ印。
「じゃ、先にボクたちがここに入ればいいわけだね!」
「そうですね。そしてできれば、敵が攻めて来るのを待つのではく、こちらからここに攻め入って本拠地に被害が出ないようにしてもらいたい、とのことです」
フラが本拠のバツ印を指差すと、眼鏡っ娘係員はさらさらっとその指先から中継地点へと矢印を書いた。
「うん、分かった。頑張るよ!」
こうしてフラ、ルモーレの手勢と戦うためユニットで出撃する。
幸い、敵は材木を馬型歪虚に括り付けていったん引いていたため、フラたちが本拠地入りするまで攻めてこなかった。
逆に、本拠地に入ったころに敵輸送部隊が中継地点まで戻り、両陣営万全の態勢で相対することになる。
とはいえ攻め込まれるわけにはいかない。急いで森の中を移動し中継地点の敵を攻めてもらえる人、求ム。
「ほう……」
「ふぅん」
ひげ面のグランジが顎をさすりながら見上げ、色男のアルゼアが目を細めた。
彼らならず者集団「宵闇の剣(セラータ・スパーダ)」が森の中で発見したのは、自然の木々を利用した巨大なボウガン、というかバリスタだった。
「これならあのチェスピースゴーレムを空に飛ばすことなんざ朝飯前だな」
「方向も砕石場を向いてる。間違いない」
木立の先に幾重にも重ねた蔦を渡し、倒木を滑走路にした固定砲台といっていい構造は、明らかに作為的なもの。それが、ハンターオフィスに残る「【陶曲】百年旅~チェスゲーム」の報告書にある砕石場にゴーレムを撃ち込んで急襲させた道具であることは明白だった。
「そりゃいいがボス。俺っちらここに長居すんのヤバくねーのか?」
鉤っ鼻の小男、ラデオラが神経質そうに言ってきた。
「居座ってるわけじゃねーのは周りに何もないことから分かんだろ」
ボスのグランジの代わりに、はげ頭の大男バルデオが答えた。
「つっても、長居して何になるわけじゃねーしな」
その隣にしゃがんでいる下唇の捩れた男ステイゼがぽそり。
「……」
ついでにステイゼの横では少年のエドアムが居眠りしていた。
「情報売るにしても少しは調べとかないと色が付かねーだろが」
どやしつけるグランジである。
「……気軽に移動できんとはいえ、資材をそのままということはもうこの手は使わない、ということか?」
「まあ、気持ちは分からんでもないがな。わざと現場に手掛かり残して『実はこうやったんだよ』って教えてやんのはよ」
考え込むアルゼアにがははと笑うグランジだった。
●今度は伐採場
「うわっ、なんだあれは!」
同盟領のとある森の中で悲鳴が響く。
「あれは……白い馬か?」
人々が指差した先で、森の中から木々を越えるくらい高く跳躍した馬がいた。
そのなんと大きなことか。
――どしん……。
はるか遠くでの着地なのにここまで振動が伝わって来る。重量もなかなかのものだ。
「こっち……きてるな」
「普通の馬より一回り二回り……いや、明らかに倍はあっただろ?」
「ば、ばけもんじゃ……」
再び森の中に隠れ見えなくなるが、地響きは明らかに大きくなっている。
「……こっちに、来てるのか?」
「まて! しかも馬だけじゃないだろ、これ!」
どかっどかっというギャロップの音の他に、二足歩行のような音も聞こえるような気がする。
「そう言えばあっちに伐採へ行った班がいたはず……」
「ば、バケモンじゃ~っ!」
不安そうに顔を見合わせているその最中、振動がする方から数人が転がるように逃げて来た。
「巨人と大きな馬のバケモノと……石の塊じゃ~っ!」
「木を切るどころじゃない。逃げろ~っ!」
ここは、人里離れた木々の伐採場。
とにかく作業員は木の枝を落としたり表面をはつる仕事を投げ出して逃げた。
「で、どうなったの?」
ハンターオフィスでフラ・キャンディ(kz0121)が眼鏡の女性係員に聞いた。
「幸い、素早い避難で作業員に被害はありませんでした。現場は伐採の中継地点で、木々を乾燥させたりする本拠地が手前にありましたので」
眼鏡の係員、さらさらと簡単な位置関係を記した。
で、中継地点にバツ印を付ける。
「襲ってきた石の巨人と馬はそこにあった材木を奪って引き上げましたが、四角柱の動く塔はその場に残ってますね。塔には泥人形がいて矢を構えたりするそうです」
つまり、奪われて占拠された、と。
「なんかそれ、似たようなことが前にも遭ったような?」
「だからフラさんに声を掛けました。前は確かチェスピースのポーン8体でしたよね? それを考えると今度はルーク、ナイト、ビショップですかね」
「つまりルモーレの仕業ってことだね」
「前の砕石場と違うのは、材木を蓄えている場所がここだけではなく、作業員が避難した本拠地にも大量にある、ということです」
つまり、いずれここがやられるかもと新たにバツ印。
「じゃ、先にボクたちがここに入ればいいわけだね!」
「そうですね。そしてできれば、敵が攻めて来るのを待つのではく、こちらからここに攻め入って本拠地に被害が出ないようにしてもらいたい、とのことです」
フラが本拠のバツ印を指差すと、眼鏡っ娘係員はさらさらっとその指先から中継地点へと矢印を書いた。
「うん、分かった。頑張るよ!」
こうしてフラ、ルモーレの手勢と戦うためユニットで出撃する。
幸い、敵は材木を馬型歪虚に括り付けていったん引いていたため、フラたちが本拠地入りするまで攻めてこなかった。
逆に、本拠地に入ったころに敵輸送部隊が中継地点まで戻り、両陣営万全の態勢で相対することになる。
とはいえ攻め込まれるわけにはいかない。急いで森の中を移動し中継地点の敵を攻めてもらえる人、求ム。
リプレイ本文
●
木々に囲まれた伐採場中継地点のだだっ広い敷地の中央に、大きな白いチェスの駒三体があった。
いつもならば広場のあちこちに枝を荒く落とした樹木や作業途中の木、ここでの荒いはつりを終えて重ねられた丸太などが多くみられるが、今はきれいさっぱりなくなっている。広場の片隅にログハウスが残っている程度だ。
――ぴくっ……。
不意にチェスの駒が少し動いた。
丸っこいナイトの駒が首を巡らし、細身のビショップが体を揺らし、そしてそれらよりも大きな四角柱のルークがほんの少しだけ振動した。
それらの注意は伐採場本拠地につながる大きな道へと向けられた。
今ならその理由も分かりやすい。
その方面から何かが向かって来ているような音がしているのだから。
――どど……どどどどど!
今やはっきり聞き取れる。振動もしっかり伝わって来る。
大きく、複数。
そして、とても友好的とは思えない荒々しさ。
――がこん、がこん!
丸っこいナイトの駒が前肢を胴体部分から出しながら前傾姿勢に。
細身のナイトの駒の底から細い二脚の足が伸びて胴体を持ち上げ腕二本も左右に開く。
大きな四角柱のルークは屋上の出入り口を開け弓を持つ泥人形歪虚数体を配備した。
こうしてチェスの駒は一角獣のナイトと、双剣ならぬ双十字架棍棒のビショップ、そして攻撃塔のルークに変形し後衛のルークを頂点をした逆三角形の迎撃陣形を取るのだった。
その変形している最中。
「変形……したね」
広場に向かって疾駆するレグルス(イェジド)(ka5819unit001)の背中で、鞍馬 真(ka5819)の目が細められた。まだ距離は遠いが強襲がバレたことは明らかだ。
「前回がポーンで今回がナイト、ビショップ、ルークですかぁ。ここで倒してもまだ次がいそうですねぇ」
汗たら~な感じでぼやくのは、魔導型デュミナス(ka4679unit002)コクピット内の弓月・小太(ka4679)。前回ポーンのピースをちょうど白一式分倒している。そう思うのも自然かもしれない。
「前より数は少なそうだけど…手強そうだね。今度は材木を奪っていくなんて、今度は一体何を企んでるんだろう?」
「ふーんむ、なんか拠点でも作ってるのかしらね。あのならず者。これで決戦兵器でもせっせと作り込んでたら逆に感心しちゃうわよ、私」
シグレ(イェジド)(ka4130unit001)に乗る霧雨 悠月(ka4130)の独り言通信には、後方からラムルタフル(刻令ゴーレム「Volcanius」)(ka4642unit002) で部隊全体を見渡すキーリ(ka4642)が反応。一見、首をひねっているような言葉ではあるが、明らかに胸を張っているに違いない。
「さて、どうしましょう?」
改めて皆に確認する通信は、ガルム(イェジド)(ka2434unit001)に騎乗するエルバッハ・リオン(ka2434)から。
「歪虚を本拠地へ攻め込ませるわけにはいかない、チェスの駒は取り除かせて貰うよ!!」
大陸疾風『ロードランナー』(リーリー)(ka1250unit006)に跨る時音 ざくろ(ka1250)が速度を上げた。
この時にはもう、敵は変形を完了している。
(こっちの本拠地に辿り着かれたら負けか……)
レグルスの真、横を上がっていったざくろとロードランナーの背後を見ながら思う。
一方、ざくろのように急がず、真のようにじっくり敵を見る姿がもう一つ。
「……ナイトが一番素早そうかな?」
シグレの悠月だ。
「じゃ、あたしはナイトの対応に回るわね。フラさんはビショップ、よろしくねん」
ギムレット(魔導アーマー「プラヴァー」)(ka4005unit002)に乗るメルクーア(ka4005)が加速した。
「了解だよ、メルクーアさん!」
「ふ、フラさん…無理はしないでくださいねぇ?」
同じく加速するロリポップ(魔導アーマー「ロリポップ」)のフラ・キャンディ(kz0121)がメルクーアの指示にサムズアップ。その様子に慌てて小太が通信を入れた。
「大丈夫大丈夫。小太さんがいるんだもん!」
フラ、蛇行してお尻フリフリ。
「も、もちろん後ろから援護しますけどぉ」
信頼してもらえるのはうれしいのですがぁ、と複雑な小太だったり。
ともあれ、もうすぐ伐採中継地の広場に到着する。
目標のチェスピース三体は変形し戦闘態勢を取ると分散。
初期配置から戦闘配置へと変わった。
「…本当にチェスみたいだな」
物思いにふけっていた真、思わず声に出してから味方に続くべくレグルスを加速させる。
戦闘開始である。
なお余談だが、この時友軍の最後方。
「そういや今回は幻獣が多いわね。とても素晴らしい光景ね、もふもふ王国。……やっぱり獣は良いわー、知性を感じる」
キーリが何だかご満悦である。
おや、何かを感じたか自らのユニットを見上げたぞ?
「あ、もちろんゴーレムも大好きよ。格好良いわよね」
結構、褒め上手。
●
「行くよランナー、大地を駆け抜ける風の様に!」
どんっ、という音が聞こえるようなほどの勢いでざくろのロードランナーが一本道から伐採中継広場に飛び出した。巨大な鳥の姿をした、大陸疾風の二つ名そのものの剣客ぶりを見せていま、大地に着地する。
ただ、一人突出の形ともいえる。
――ドカッ、ドカッ……。
好戦的な侵入者に、いち早く敵逆三角形陣形から向かって左のルークが動く。
ユニコーンの姿かたちを生かした、一直線の突進だ!
「着装マテリアルアーマー! 魔力フル収束」
マテルアルアーマーを纏うざくろ。受けて立つのかッ?
一対一の正面からのぶつかり合い――。
いや!
「レグルス、いいか?」
二列目の真が自ら跨るイジェド、レグルスの深い蒼色でもふもふの鬣を撫でた。
瞬間、レグルスはオーラを纏い大幻獣フェンリルをも彷彿させる姿となった。
――だっ!
くわえて、驚くべき一瞬の加速。
狙うはざくろのロードランナーを狙っているナイト。
これで二対一の数的優位が確保した。
ただ、そんな単純な戦術ではないッ!
「今だランナー、ジャンプで彼奴の背後を取る」
ざくろ、リーリージャンプでナイトの突進を高く跳躍してかわした。
額の一角を低く構えたナイト、その下をあっという間に通り過ぎた。
「いまだ」
そこへ真のレグルス。
こちらは横合いから大きく跳躍し、飛び越すのではなく上から押し潰すような着地。マウントロックで飛びかかったのだ。
――カカッ! とん……。
「体格差はあまりない……か」
着地したレグルスの背中から振り返る真。
敵を押し潰そうとしたのだがナイトは踏みとどまりよろけただけだった。
ただ、それだけでは終わらない。
♪
戦え・戦え・くじけるな
私で力になれるなら 持てる全力を尽くそう、約束だ
♪
振り向くのをやめて前を向いた真がきびきびとした迫力のある歌を詠唱した。
マーキス・ソングである。
ナイト、今食らったお返しとばかりに真の方に向き直ったが……。
――どごーん!
ミサイル群が飛んできてナイトを横合いから吹っ飛ばした!
「さあさあ、チェックメイトに持ち込むわよー」
ミサイルランチャーを担いだメルクーアのギムレットが到着!
撃ってそのままプラヴァーの機動力を生かして戦場を横切ったのは、真とざくろと、そして自分自身にマテリアルエネルギーを送り込んで多重性強化を仕掛けるため。
「速攻勝負でしょ?」
プラヴァーのコクピットから悪戯そうにウインクするメルクーア。
「もちろんだよ、メルクーア! くらえ必殺デルタエンド! …焼き尽くせ熱線、拡散ヒートレイ!!」
ロードランナーに位置取りを任せたざくろが攻撃に専念。
空中に光の三角を描きデルタレイを放ち、続けて扇状に赤白く輝く無数の熱線を放射した!
――ひひーん!
ほかの敵から孤立させたナイト、苦し紛れにざくろの射程距離から逃げ出した。
「よし」
ここで血色の刃を持つバスタードソードを持つ姿が一つ。
魔導剣「カオスウィース」の刃越しに青い瞳がきらりと光る。
真だ!
避難して来たナイトの行く手をレグルスのブロッキングで邪魔すると、おもむろにソウルエッジからナイトを斬り下ろした。
――ばちっ!
が、ここでナイトの身体が帯電した。近付くものを攻撃する放電との相打ちだ。
「真さん! 止め、行くわよー」
ギュウゥゥゥン、と足のホイール全開で回り込んで来たメルクーアのギムレットが誠をかばう位置に移動しながら半身の状態で魔導銃を撃ち込む。プラヴァーの身長くらいある長い銃身はまるでマドラーのよう。ぎゅん、とその場で回転して移動を止めたままさらに撃ち込んだ。
ナイトの身体はこれで粉々になった。
●
時は若干遡る。
「……よし。厄介な敵が食らい付いたね」
シグレに乗る悠月が突出し横につり出されたナイトを横目にひとつ頷く。ざくろ、真、メルクーアの三人が囲んで孤立させることに成功している。
そして振り向きシグレを撫でた。
「僕たちの獲物はアレだよ、シグレ。おもっきり吠え立てよう!」
だっ、と向かって右にいるビショップへと向かう。
もちろんビショップもナイトの突出に気付いている。いや、わざとナイトが引き付けてその後ろからビショップが狙う作戦か?
「行かせませんよぅ! この距離なら当てられる…はずですぅ。こ、こっちに来るのですよぉっ」」
ごぉぉ……ぅ!
まるでドラゴンの咆哮のような重い響きとともに援護射撃したのは、小太のデュミナス。
長大なロングレンジライフル「ルギートゥスD5」を構えて広場に入る手前から狙った。威力も十分で敵のボディが欠ける。
ビショップ、小太を目の敵にした。ナイト方面には向かわず一気に小太の方へ突撃。かざした腕から発射される石つぶてがデュミナスを襲う。
実はルギートゥス。
取り回しに難がある。接近戦では物の役に立たないばかりか最悪戦闘すらままならなくなる。
ビショップのまず接敵の選択は大正解だ。もちろん小太たちも敵前衛二枚を釣り出すという戦略的な正解を得てはいるが。
問題は、敵の戦術的大正解に小太が耐えられるかどうか!
「小太さん!」
フラ、ロリポップで小太に到達する前に止めに入る。
これに対して敵はぶうんと十字架二槌を振り回す。一発目はハンマーで受けるも二発目を食らいふらつくロリポップ。
「随分重そうな武器を振り回してるじゃない…近付き辛いね」
この様子に口角を不敵に上げる悠月。シグレの鬣を撫でる。
――ウォォ……ン。
ここでシグレのウォークライが響いた。
さらに悠月自身はマーキス・ソングを。
♪
君が踏み出せないときは 少し背中を押してあげる
それで勇気が出るのなら 僕は守る狼になろう…
♪
「そ、そういうことですかぁ? だったら……」
小太、敵の防御が甘くなったと見るや、右にスラスターでズレつつガトリングガン「エヴェクサブトスT7」を構える。後の一手ともなる動きだ。
「だ、弾幕行きますよぉ。当たらないように気を付けてくださいねぇ!」
どがががが……とガトリングの砲身が回る。狙いは敵の足元。点を狙った精密射撃ではなく面を狙った制圧射撃。敵に食らわせるという達成感には薄いが……。
「この手ごたえがフラさんを……みんなを守ってる証なんですよぉ」
射撃の振動を感じながらもしっかりガトリングをホールド。小太、戦況を見詰める瞳に迷いはない。
「フラさん、引いて!」
「え? うんっ!」
小太の援護に一呼吸置いたフラに悠月の指示。戸惑いながらも左足を軸に回転しぎゃーんと後退するフラ。
もちろんビショップはこのチャンスを見逃さない。
フラの背中を狙うべく十字架を振り下ろした。
「シグレ!」
フラとビショップの中間に、横合いからシグレが矢のように突っ込んだ。
「ここだっ!」
騎乗の悠月は斬魔刀「祢々切丸」で振り下ろされる敵の十字架に激しく打ち込んだ!
――がきっ……。
フラを狙った一撃は見事に逸れた。もちろん敵の一撃は重い。悠月にも相応のダメージがあったが歯を……いや、牙をむき出しにするよう食いしばり雄たけびを上げる。勝負所に赤い瞳が一瞬煌く。
「もう一回!」
上体を伏せ渾身の力で斬魔刀を振り抜いた。
――きんっ! くるくるくる……どしっ!
振り上げ空に伸ばした刃。
その先を追うように敵の手を離れた十字架槌が回転して飛び……遠くの大地に刺さった。
「やった!」
喜ぶフラ。
その隙にも敵はもう一つの十字架槌で悠月を襲うがシグレが気付き離脱。敵は射撃で追撃するが。
さらにここに小太のガトリング。
ただし、ここで再び敵がフリーで動けるようになった。
だっ、と小太のデュミナスに再び詰める!
「はわわわ!? こっちに来ないでいいのですよぉ!? 近接は得意じゃないのですぅっ!?」
小太、スラスターで短くジャンプしつつガトリングから素早く魔導機銃「エストレジャ」に換装。弾は食うが仕方なし。
ただし。
現在の小太の位置は、ナイトとルークから最も遠い位置。
二体の距離を短くし戦線をコンパクトにする役目のビショップを引きはがすことに成功していた。
「いま助けに行くねっ!」
「これでいい…次だ。シグレ、一気に駆け抜けるよ。力を貸してくれ!」
フラ、一直線に小太の元へ。
敵の引き離しを狙っていた悠月は勝利を確信しつつ、囲むような位置取りになるよう回り込みながら敵との距離を詰めるのだった。
●
一方、エルバッハ。
「ガルム、我慢ですよ」
黒い体毛に寝そべるかのように身を伏せ騎乗するイジェドに言い聞かせている。
時は、ざくろがナイトの頭上を飛び越え、悠月がナイトを援護しようとしたビショップの方に向かい小太が長距離射撃で敵を狙ったところだ。
まさに敵分断の少し前。
エルバッハの視界には左右にS字のルートが開こうとしていた。
逆に、どちらの援護にも向かえるともいえる。
あるいは、ガルムが特に好戦的だったり主人の言葉に従わない性格であれば違ったであろう。
が、温厚なガルムはエルバッハの考えることを忠実に実行した。
――スタン、スタン……。
華麗に左ステップして回り込み、右に大きくステップして味方の戦場を迂回した。
その先にいるのは敵逆三角陣形の一番奥にいた、ルーク。
実はこの時、ルークの屋上にいた泥人形弓兵はまずはざくろ、次に悠月と山なりの射撃でナイトとビショップを援護していた。
「……特に強力な弓というわけではなさそうですね」
観察する間に敵も気付き、こちらに弓を放ってきた。通常の弓攻撃。ただし手数はあるようだ。
そこに背後から山なりの砲撃。頭上を越えてルークを襲う。
ゴーレム砲だ。
「ナイトは絶望的に噛み合わないから他の人に任せるわー」
味方最後方、広場の入り口に入る道に陣取るキーリが腕を組んで戦況を見詰めていた。
傍らにはもちろん、ラムルタフルが控えている。
キーリ、改めて戦場一番奥に位置するルークを見やる。
「さて、私のボルちゃん改めラムルタフルの超火力を見せびらかす良い機会よね」
何のために砲撃特化にしたのか。
後ろでサボるため?
違う!
「そう、同じような遠距離型のルークなんかに負ける訳にはいかないの。正々堂々と白黒つけるわよ」
あ、もちろんみんなでだけどね、とか付け加える。
何せルークの遠距離支援はざくろや悠月に集中しているのだから。
戦況はさらに推移し、今度は接近を試みるエルバッハに射線が集中している。
「だけど最終的にラムルタフルが勝てば良いのよ、勝てば!」
気迫とともに射撃命令。負けることなど微塵も考えていない。
どぅん……と68ポンド試作ゴーレム砲が火を噴いた。威力重視で射程を大幅に犠牲にしているが、本格砲撃戦闘には十分な広さとは言えない戦場。むしろちょうどいい。
初弾がルーク付近の大地に炸裂。すぐに照準微調整の指示を出す。
「敵は手数重視みたいだけど、砲撃特化ならやっぱり火力よね!」
次弾はルークのテラスに直撃。泥人形弓兵は吹っ飛びルークの城壁も少し削れるが、弓兵は残った小さな光球を中心に再び泥が人形となった。コアによる回復である。
「そーいえばそーだったわね」
以前戦った時もそうだった。
仕方ない、とラムルタフルと前進するキーリである。
この時にはエルバッハ、ルーク付近には到達していた。敵弓兵の回復で射線が来ていなかったのも大きい。
「ガルム、回避は任せます」
光球コアを中心に泥が集まり復活した弓兵が再び照らす前に出てきたのを見てガルムに指示を出す。
そして自身は上体を起こし、銀色に輝くガントレット「アガートラーム」に少し視線をやった。
息を吸い、おもむろにガントレットの両手を前に掲げると掌の瞳のような宝玉が煌いた。
「一度、やってみたかったんですよね。両手から魔法を放つというのを」
呟くと右手から炎が、左手から吹雪が渦巻きほとばしった。ダブルキャストだッ!
――どごぉん、ごぉぉう……。
たちまちテラス上に響く爆音と突風が荒ぶる!
泥人形の光体コアは残っているが、体をなす泥が近くになくなっている。再生は時間が掛かりそうだ。
「もちろん、テラスも削ります」
エルバッハ、容赦ない。
再び掲げたアガートラームの両手。炸裂するファイアーボールにブリザード。残った光体コアたちを潰すにはお釣りの来るくらいの激しい攻撃。ルークの上部もすっかりすり鉢状だ。もちろん、連続攻撃できたのは相打ちだった敵の弓をガルムが華麗なステップで避けていたからでもある。
「あら、いきなり勝負所?」
最後方でキーリが慌てて射撃命令。ラムルタフルの咆哮が唸る。
「こう、指示しながらの戦闘はやっぱり慣れないわねー」
手数が必要とみて、マントをなびかせ素肌を晒し最前線へと走る。
●
そして、粉々になったナイト。
「よし、これでいい」
相打ちで傷つきながらも真が達成感をにじませていた。
ところが、その瞳が再び見開かれた。
何と、粉々になった空間に光体コアが残っていたのだ。
見る見るうちに砕かれた石が戻り、元の一角獣の形になっているではないか!
「前のポーンもそうだったわねー。とりあえずこっちには逃がさないわよ」
撃ち込むだけ撃ち込んで離脱していたメルクーアが振り返って呟く。一応、ビショップ方面にウォールを築いておく。
「もう一度私にチャンスをくれ! レグルス、行くぞ!」
真の闘志は衰えていない。というか、いつもよりテンション高い。髪を振り乱しながらざくろに叫んだ。
「これで決着だ。多弾ヒットのデルタの光とすべてを焼き尽くす光線を食らえ!」
再び三人で囲む位置にリーリージャンプ。空に華麗に舞うざくろ。滞空しながらホーリーメイスを掲げ全力攻撃が再び繰り返される。
――どどどん……。
やはり反対に逃げるナイト。すでにかなり体は崩れている。
その逃げた方向に誠が回り込んでいた。肘を弓引き半身になって魔導剣を水平に構えている。
まさかッ!
「これが私の全力だ!」
ナイトは慌てて額の角を低くするがもう遅い。深く沈みながらレグルスと一緒に突っ込んで来た真の……。
――どごぉ!
「……刺突一閃」
「畳み掛けならこれで決まりだわ!」
すれ違い敵を貫き通した手ごたえに瞳を閉じる真の背後で、メルクーアのギムレットから放たれた六連装ミサイルの爆風が吹き荒れる。再生するはずの石を拭き散らし、もちろん残った光体コアも潰す。
ひょう、と硝煙が霧散したあとにはもちろん光体コアは残っていなかった。
「フラさん、頑張りすぎですよぉ!」
ビショップの方では、果敢に突撃したフラを小太が援護していた。
「いや……」
そこに、悠月。
「僕は守る狼にならなくちゃね」
敵の片方の武器がないのでシグレの脚で容易に敵の懐に入り込めていた。弾き飛ばされたフラの敵とばかりに敵の細い胴体を突撃の勢いのまま斬る。ちょうど小太の射撃でのけぞっていたこともあり綺麗に砕くことに成功した。
「あ! それは倒さないと!」
「分かってますぉ、フラさん!」
姿を現した光体コア。フラの叫びに小太がこたえ、綺麗に撃ち抜いた。
「相当しぶといじゃない。もしかして貧乏くじを引いた?」
「まるで城壁を幾重にも重ねているようですね」
ついに前線に来たキーリが長距離仕様のメテオを食らわせ、エルバッハがガルムのスティールステップで動き出したルークの突撃攻撃をかわしている。
実際、結構攻撃を食らわしているが破壊に至っていない。
エルバッハの言う通り、敵は玉ねぎのように幾重にも表皮を重ね攻撃のたびにそこだけ崩している感じだ。いま、ゴーレム砲の砲撃でまた表皮が崩れた。
「お待たせ!」
そこへリーリージャンプでざくろが駆けつけた。
「逃げ道は塞いだわよ~。これでチェックメイトかしら?」
ジェットブーツでメルクーアのギムレットが大きく回り込んで敵の背後を取った。
ほかの仲間も来る。
手数が必要な敵も、これで時間の問題だ。
「敗者に口無し。ルモーレのルークは私のラムルタフルに完敗って吹聴してやるわ」
ゴーレム砲が止んだが、それはキーリの全力の合図でもあった。もちろんエルバッハの両手攻撃もあと数回残っている。
●
ルークの光体コアは大きな体の最奥にあったが、その分再生も時間が掛かるようだった。
戦闘は終了。最後の攻撃は熾烈を極めた。
「ルモーレ、いませんねぇ」
「いないねー」
「前と一緒でここの資材を奪っただけ、かな」
ほふぅ、とため息をつく小太とフラに、周囲を調べた悠月が戻って来る。
「火付けのYを倒したんだし、あとはコイツなんだけど面倒だわねぇ」
メルクーアがそう言うのは、火付けのYとルモーレが同じ技を使っているからでもある。
「あー、さっさとアイツの居場所分からないもんかしら」
キーリはつま先で小石蹴り蹴り。どうやら後手後手は性に合わないようで。
とはいえフラの故郷の時と違い、居場所は分からない。
近くでは真とエルバッハがイジェドの世話をしつつ話をしている。ざくろもリーリーを連れて話題に加わり、話がさらに弾んでいた。
ともかく敵は取り逃がさず全滅。現地の安全は確保された。
木々に囲まれた伐採場中継地点のだだっ広い敷地の中央に、大きな白いチェスの駒三体があった。
いつもならば広場のあちこちに枝を荒く落とした樹木や作業途中の木、ここでの荒いはつりを終えて重ねられた丸太などが多くみられるが、今はきれいさっぱりなくなっている。広場の片隅にログハウスが残っている程度だ。
――ぴくっ……。
不意にチェスの駒が少し動いた。
丸っこいナイトの駒が首を巡らし、細身のビショップが体を揺らし、そしてそれらよりも大きな四角柱のルークがほんの少しだけ振動した。
それらの注意は伐採場本拠地につながる大きな道へと向けられた。
今ならその理由も分かりやすい。
その方面から何かが向かって来ているような音がしているのだから。
――どど……どどどどど!
今やはっきり聞き取れる。振動もしっかり伝わって来る。
大きく、複数。
そして、とても友好的とは思えない荒々しさ。
――がこん、がこん!
丸っこいナイトの駒が前肢を胴体部分から出しながら前傾姿勢に。
細身のナイトの駒の底から細い二脚の足が伸びて胴体を持ち上げ腕二本も左右に開く。
大きな四角柱のルークは屋上の出入り口を開け弓を持つ泥人形歪虚数体を配備した。
こうしてチェスの駒は一角獣のナイトと、双剣ならぬ双十字架棍棒のビショップ、そして攻撃塔のルークに変形し後衛のルークを頂点をした逆三角形の迎撃陣形を取るのだった。
その変形している最中。
「変形……したね」
広場に向かって疾駆するレグルス(イェジド)(ka5819unit001)の背中で、鞍馬 真(ka5819)の目が細められた。まだ距離は遠いが強襲がバレたことは明らかだ。
「前回がポーンで今回がナイト、ビショップ、ルークですかぁ。ここで倒してもまだ次がいそうですねぇ」
汗たら~な感じでぼやくのは、魔導型デュミナス(ka4679unit002)コクピット内の弓月・小太(ka4679)。前回ポーンのピースをちょうど白一式分倒している。そう思うのも自然かもしれない。
「前より数は少なそうだけど…手強そうだね。今度は材木を奪っていくなんて、今度は一体何を企んでるんだろう?」
「ふーんむ、なんか拠点でも作ってるのかしらね。あのならず者。これで決戦兵器でもせっせと作り込んでたら逆に感心しちゃうわよ、私」
シグレ(イェジド)(ka4130unit001)に乗る霧雨 悠月(ka4130)の独り言通信には、後方からラムルタフル(刻令ゴーレム「Volcanius」)(ka4642unit002) で部隊全体を見渡すキーリ(ka4642)が反応。一見、首をひねっているような言葉ではあるが、明らかに胸を張っているに違いない。
「さて、どうしましょう?」
改めて皆に確認する通信は、ガルム(イェジド)(ka2434unit001)に騎乗するエルバッハ・リオン(ka2434)から。
「歪虚を本拠地へ攻め込ませるわけにはいかない、チェスの駒は取り除かせて貰うよ!!」
大陸疾風『ロードランナー』(リーリー)(ka1250unit006)に跨る時音 ざくろ(ka1250)が速度を上げた。
この時にはもう、敵は変形を完了している。
(こっちの本拠地に辿り着かれたら負けか……)
レグルスの真、横を上がっていったざくろとロードランナーの背後を見ながら思う。
一方、ざくろのように急がず、真のようにじっくり敵を見る姿がもう一つ。
「……ナイトが一番素早そうかな?」
シグレの悠月だ。
「じゃ、あたしはナイトの対応に回るわね。フラさんはビショップ、よろしくねん」
ギムレット(魔導アーマー「プラヴァー」)(ka4005unit002)に乗るメルクーア(ka4005)が加速した。
「了解だよ、メルクーアさん!」
「ふ、フラさん…無理はしないでくださいねぇ?」
同じく加速するロリポップ(魔導アーマー「ロリポップ」)のフラ・キャンディ(kz0121)がメルクーアの指示にサムズアップ。その様子に慌てて小太が通信を入れた。
「大丈夫大丈夫。小太さんがいるんだもん!」
フラ、蛇行してお尻フリフリ。
「も、もちろん後ろから援護しますけどぉ」
信頼してもらえるのはうれしいのですがぁ、と複雑な小太だったり。
ともあれ、もうすぐ伐採中継地の広場に到着する。
目標のチェスピース三体は変形し戦闘態勢を取ると分散。
初期配置から戦闘配置へと変わった。
「…本当にチェスみたいだな」
物思いにふけっていた真、思わず声に出してから味方に続くべくレグルスを加速させる。
戦闘開始である。
なお余談だが、この時友軍の最後方。
「そういや今回は幻獣が多いわね。とても素晴らしい光景ね、もふもふ王国。……やっぱり獣は良いわー、知性を感じる」
キーリが何だかご満悦である。
おや、何かを感じたか自らのユニットを見上げたぞ?
「あ、もちろんゴーレムも大好きよ。格好良いわよね」
結構、褒め上手。
●
「行くよランナー、大地を駆け抜ける風の様に!」
どんっ、という音が聞こえるようなほどの勢いでざくろのロードランナーが一本道から伐採中継広場に飛び出した。巨大な鳥の姿をした、大陸疾風の二つ名そのものの剣客ぶりを見せていま、大地に着地する。
ただ、一人突出の形ともいえる。
――ドカッ、ドカッ……。
好戦的な侵入者に、いち早く敵逆三角形陣形から向かって左のルークが動く。
ユニコーンの姿かたちを生かした、一直線の突進だ!
「着装マテリアルアーマー! 魔力フル収束」
マテルアルアーマーを纏うざくろ。受けて立つのかッ?
一対一の正面からのぶつかり合い――。
いや!
「レグルス、いいか?」
二列目の真が自ら跨るイジェド、レグルスの深い蒼色でもふもふの鬣を撫でた。
瞬間、レグルスはオーラを纏い大幻獣フェンリルをも彷彿させる姿となった。
――だっ!
くわえて、驚くべき一瞬の加速。
狙うはざくろのロードランナーを狙っているナイト。
これで二対一の数的優位が確保した。
ただ、そんな単純な戦術ではないッ!
「今だランナー、ジャンプで彼奴の背後を取る」
ざくろ、リーリージャンプでナイトの突進を高く跳躍してかわした。
額の一角を低く構えたナイト、その下をあっという間に通り過ぎた。
「いまだ」
そこへ真のレグルス。
こちらは横合いから大きく跳躍し、飛び越すのではなく上から押し潰すような着地。マウントロックで飛びかかったのだ。
――カカッ! とん……。
「体格差はあまりない……か」
着地したレグルスの背中から振り返る真。
敵を押し潰そうとしたのだがナイトは踏みとどまりよろけただけだった。
ただ、それだけでは終わらない。
♪
戦え・戦え・くじけるな
私で力になれるなら 持てる全力を尽くそう、約束だ
♪
振り向くのをやめて前を向いた真がきびきびとした迫力のある歌を詠唱した。
マーキス・ソングである。
ナイト、今食らったお返しとばかりに真の方に向き直ったが……。
――どごーん!
ミサイル群が飛んできてナイトを横合いから吹っ飛ばした!
「さあさあ、チェックメイトに持ち込むわよー」
ミサイルランチャーを担いだメルクーアのギムレットが到着!
撃ってそのままプラヴァーの機動力を生かして戦場を横切ったのは、真とざくろと、そして自分自身にマテリアルエネルギーを送り込んで多重性強化を仕掛けるため。
「速攻勝負でしょ?」
プラヴァーのコクピットから悪戯そうにウインクするメルクーア。
「もちろんだよ、メルクーア! くらえ必殺デルタエンド! …焼き尽くせ熱線、拡散ヒートレイ!!」
ロードランナーに位置取りを任せたざくろが攻撃に専念。
空中に光の三角を描きデルタレイを放ち、続けて扇状に赤白く輝く無数の熱線を放射した!
――ひひーん!
ほかの敵から孤立させたナイト、苦し紛れにざくろの射程距離から逃げ出した。
「よし」
ここで血色の刃を持つバスタードソードを持つ姿が一つ。
魔導剣「カオスウィース」の刃越しに青い瞳がきらりと光る。
真だ!
避難して来たナイトの行く手をレグルスのブロッキングで邪魔すると、おもむろにソウルエッジからナイトを斬り下ろした。
――ばちっ!
が、ここでナイトの身体が帯電した。近付くものを攻撃する放電との相打ちだ。
「真さん! 止め、行くわよー」
ギュウゥゥゥン、と足のホイール全開で回り込んで来たメルクーアのギムレットが誠をかばう位置に移動しながら半身の状態で魔導銃を撃ち込む。プラヴァーの身長くらいある長い銃身はまるでマドラーのよう。ぎゅん、とその場で回転して移動を止めたままさらに撃ち込んだ。
ナイトの身体はこれで粉々になった。
●
時は若干遡る。
「……よし。厄介な敵が食らい付いたね」
シグレに乗る悠月が突出し横につり出されたナイトを横目にひとつ頷く。ざくろ、真、メルクーアの三人が囲んで孤立させることに成功している。
そして振り向きシグレを撫でた。
「僕たちの獲物はアレだよ、シグレ。おもっきり吠え立てよう!」
だっ、と向かって右にいるビショップへと向かう。
もちろんビショップもナイトの突出に気付いている。いや、わざとナイトが引き付けてその後ろからビショップが狙う作戦か?
「行かせませんよぅ! この距離なら当てられる…はずですぅ。こ、こっちに来るのですよぉっ」」
ごぉぉ……ぅ!
まるでドラゴンの咆哮のような重い響きとともに援護射撃したのは、小太のデュミナス。
長大なロングレンジライフル「ルギートゥスD5」を構えて広場に入る手前から狙った。威力も十分で敵のボディが欠ける。
ビショップ、小太を目の敵にした。ナイト方面には向かわず一気に小太の方へ突撃。かざした腕から発射される石つぶてがデュミナスを襲う。
実はルギートゥス。
取り回しに難がある。接近戦では物の役に立たないばかりか最悪戦闘すらままならなくなる。
ビショップのまず接敵の選択は大正解だ。もちろん小太たちも敵前衛二枚を釣り出すという戦略的な正解を得てはいるが。
問題は、敵の戦術的大正解に小太が耐えられるかどうか!
「小太さん!」
フラ、ロリポップで小太に到達する前に止めに入る。
これに対して敵はぶうんと十字架二槌を振り回す。一発目はハンマーで受けるも二発目を食らいふらつくロリポップ。
「随分重そうな武器を振り回してるじゃない…近付き辛いね」
この様子に口角を不敵に上げる悠月。シグレの鬣を撫でる。
――ウォォ……ン。
ここでシグレのウォークライが響いた。
さらに悠月自身はマーキス・ソングを。
♪
君が踏み出せないときは 少し背中を押してあげる
それで勇気が出るのなら 僕は守る狼になろう…
♪
「そ、そういうことですかぁ? だったら……」
小太、敵の防御が甘くなったと見るや、右にスラスターでズレつつガトリングガン「エヴェクサブトスT7」を構える。後の一手ともなる動きだ。
「だ、弾幕行きますよぉ。当たらないように気を付けてくださいねぇ!」
どがががが……とガトリングの砲身が回る。狙いは敵の足元。点を狙った精密射撃ではなく面を狙った制圧射撃。敵に食らわせるという達成感には薄いが……。
「この手ごたえがフラさんを……みんなを守ってる証なんですよぉ」
射撃の振動を感じながらもしっかりガトリングをホールド。小太、戦況を見詰める瞳に迷いはない。
「フラさん、引いて!」
「え? うんっ!」
小太の援護に一呼吸置いたフラに悠月の指示。戸惑いながらも左足を軸に回転しぎゃーんと後退するフラ。
もちろんビショップはこのチャンスを見逃さない。
フラの背中を狙うべく十字架を振り下ろした。
「シグレ!」
フラとビショップの中間に、横合いからシグレが矢のように突っ込んだ。
「ここだっ!」
騎乗の悠月は斬魔刀「祢々切丸」で振り下ろされる敵の十字架に激しく打ち込んだ!
――がきっ……。
フラを狙った一撃は見事に逸れた。もちろん敵の一撃は重い。悠月にも相応のダメージがあったが歯を……いや、牙をむき出しにするよう食いしばり雄たけびを上げる。勝負所に赤い瞳が一瞬煌く。
「もう一回!」
上体を伏せ渾身の力で斬魔刀を振り抜いた。
――きんっ! くるくるくる……どしっ!
振り上げ空に伸ばした刃。
その先を追うように敵の手を離れた十字架槌が回転して飛び……遠くの大地に刺さった。
「やった!」
喜ぶフラ。
その隙にも敵はもう一つの十字架槌で悠月を襲うがシグレが気付き離脱。敵は射撃で追撃するが。
さらにここに小太のガトリング。
ただし、ここで再び敵がフリーで動けるようになった。
だっ、と小太のデュミナスに再び詰める!
「はわわわ!? こっちに来ないでいいのですよぉ!? 近接は得意じゃないのですぅっ!?」
小太、スラスターで短くジャンプしつつガトリングから素早く魔導機銃「エストレジャ」に換装。弾は食うが仕方なし。
ただし。
現在の小太の位置は、ナイトとルークから最も遠い位置。
二体の距離を短くし戦線をコンパクトにする役目のビショップを引きはがすことに成功していた。
「いま助けに行くねっ!」
「これでいい…次だ。シグレ、一気に駆け抜けるよ。力を貸してくれ!」
フラ、一直線に小太の元へ。
敵の引き離しを狙っていた悠月は勝利を確信しつつ、囲むような位置取りになるよう回り込みながら敵との距離を詰めるのだった。
●
一方、エルバッハ。
「ガルム、我慢ですよ」
黒い体毛に寝そべるかのように身を伏せ騎乗するイジェドに言い聞かせている。
時は、ざくろがナイトの頭上を飛び越え、悠月がナイトを援護しようとしたビショップの方に向かい小太が長距離射撃で敵を狙ったところだ。
まさに敵分断の少し前。
エルバッハの視界には左右にS字のルートが開こうとしていた。
逆に、どちらの援護にも向かえるともいえる。
あるいは、ガルムが特に好戦的だったり主人の言葉に従わない性格であれば違ったであろう。
が、温厚なガルムはエルバッハの考えることを忠実に実行した。
――スタン、スタン……。
華麗に左ステップして回り込み、右に大きくステップして味方の戦場を迂回した。
その先にいるのは敵逆三角陣形の一番奥にいた、ルーク。
実はこの時、ルークの屋上にいた泥人形弓兵はまずはざくろ、次に悠月と山なりの射撃でナイトとビショップを援護していた。
「……特に強力な弓というわけではなさそうですね」
観察する間に敵も気付き、こちらに弓を放ってきた。通常の弓攻撃。ただし手数はあるようだ。
そこに背後から山なりの砲撃。頭上を越えてルークを襲う。
ゴーレム砲だ。
「ナイトは絶望的に噛み合わないから他の人に任せるわー」
味方最後方、広場の入り口に入る道に陣取るキーリが腕を組んで戦況を見詰めていた。
傍らにはもちろん、ラムルタフルが控えている。
キーリ、改めて戦場一番奥に位置するルークを見やる。
「さて、私のボルちゃん改めラムルタフルの超火力を見せびらかす良い機会よね」
何のために砲撃特化にしたのか。
後ろでサボるため?
違う!
「そう、同じような遠距離型のルークなんかに負ける訳にはいかないの。正々堂々と白黒つけるわよ」
あ、もちろんみんなでだけどね、とか付け加える。
何せルークの遠距離支援はざくろや悠月に集中しているのだから。
戦況はさらに推移し、今度は接近を試みるエルバッハに射線が集中している。
「だけど最終的にラムルタフルが勝てば良いのよ、勝てば!」
気迫とともに射撃命令。負けることなど微塵も考えていない。
どぅん……と68ポンド試作ゴーレム砲が火を噴いた。威力重視で射程を大幅に犠牲にしているが、本格砲撃戦闘には十分な広さとは言えない戦場。むしろちょうどいい。
初弾がルーク付近の大地に炸裂。すぐに照準微調整の指示を出す。
「敵は手数重視みたいだけど、砲撃特化ならやっぱり火力よね!」
次弾はルークのテラスに直撃。泥人形弓兵は吹っ飛びルークの城壁も少し削れるが、弓兵は残った小さな光球を中心に再び泥が人形となった。コアによる回復である。
「そーいえばそーだったわね」
以前戦った時もそうだった。
仕方ない、とラムルタフルと前進するキーリである。
この時にはエルバッハ、ルーク付近には到達していた。敵弓兵の回復で射線が来ていなかったのも大きい。
「ガルム、回避は任せます」
光球コアを中心に泥が集まり復活した弓兵が再び照らす前に出てきたのを見てガルムに指示を出す。
そして自身は上体を起こし、銀色に輝くガントレット「アガートラーム」に少し視線をやった。
息を吸い、おもむろにガントレットの両手を前に掲げると掌の瞳のような宝玉が煌いた。
「一度、やってみたかったんですよね。両手から魔法を放つというのを」
呟くと右手から炎が、左手から吹雪が渦巻きほとばしった。ダブルキャストだッ!
――どごぉん、ごぉぉう……。
たちまちテラス上に響く爆音と突風が荒ぶる!
泥人形の光体コアは残っているが、体をなす泥が近くになくなっている。再生は時間が掛かりそうだ。
「もちろん、テラスも削ります」
エルバッハ、容赦ない。
再び掲げたアガートラームの両手。炸裂するファイアーボールにブリザード。残った光体コアたちを潰すにはお釣りの来るくらいの激しい攻撃。ルークの上部もすっかりすり鉢状だ。もちろん、連続攻撃できたのは相打ちだった敵の弓をガルムが華麗なステップで避けていたからでもある。
「あら、いきなり勝負所?」
最後方でキーリが慌てて射撃命令。ラムルタフルの咆哮が唸る。
「こう、指示しながらの戦闘はやっぱり慣れないわねー」
手数が必要とみて、マントをなびかせ素肌を晒し最前線へと走る。
●
そして、粉々になったナイト。
「よし、これでいい」
相打ちで傷つきながらも真が達成感をにじませていた。
ところが、その瞳が再び見開かれた。
何と、粉々になった空間に光体コアが残っていたのだ。
見る見るうちに砕かれた石が戻り、元の一角獣の形になっているではないか!
「前のポーンもそうだったわねー。とりあえずこっちには逃がさないわよ」
撃ち込むだけ撃ち込んで離脱していたメルクーアが振り返って呟く。一応、ビショップ方面にウォールを築いておく。
「もう一度私にチャンスをくれ! レグルス、行くぞ!」
真の闘志は衰えていない。というか、いつもよりテンション高い。髪を振り乱しながらざくろに叫んだ。
「これで決着だ。多弾ヒットのデルタの光とすべてを焼き尽くす光線を食らえ!」
再び三人で囲む位置にリーリージャンプ。空に華麗に舞うざくろ。滞空しながらホーリーメイスを掲げ全力攻撃が再び繰り返される。
――どどどん……。
やはり反対に逃げるナイト。すでにかなり体は崩れている。
その逃げた方向に誠が回り込んでいた。肘を弓引き半身になって魔導剣を水平に構えている。
まさかッ!
「これが私の全力だ!」
ナイトは慌てて額の角を低くするがもう遅い。深く沈みながらレグルスと一緒に突っ込んで来た真の……。
――どごぉ!
「……刺突一閃」
「畳み掛けならこれで決まりだわ!」
すれ違い敵を貫き通した手ごたえに瞳を閉じる真の背後で、メルクーアのギムレットから放たれた六連装ミサイルの爆風が吹き荒れる。再生するはずの石を拭き散らし、もちろん残った光体コアも潰す。
ひょう、と硝煙が霧散したあとにはもちろん光体コアは残っていなかった。
「フラさん、頑張りすぎですよぉ!」
ビショップの方では、果敢に突撃したフラを小太が援護していた。
「いや……」
そこに、悠月。
「僕は守る狼にならなくちゃね」
敵の片方の武器がないのでシグレの脚で容易に敵の懐に入り込めていた。弾き飛ばされたフラの敵とばかりに敵の細い胴体を突撃の勢いのまま斬る。ちょうど小太の射撃でのけぞっていたこともあり綺麗に砕くことに成功した。
「あ! それは倒さないと!」
「分かってますぉ、フラさん!」
姿を現した光体コア。フラの叫びに小太がこたえ、綺麗に撃ち抜いた。
「相当しぶといじゃない。もしかして貧乏くじを引いた?」
「まるで城壁を幾重にも重ねているようですね」
ついに前線に来たキーリが長距離仕様のメテオを食らわせ、エルバッハがガルムのスティールステップで動き出したルークの突撃攻撃をかわしている。
実際、結構攻撃を食らわしているが破壊に至っていない。
エルバッハの言う通り、敵は玉ねぎのように幾重にも表皮を重ね攻撃のたびにそこだけ崩している感じだ。いま、ゴーレム砲の砲撃でまた表皮が崩れた。
「お待たせ!」
そこへリーリージャンプでざくろが駆けつけた。
「逃げ道は塞いだわよ~。これでチェックメイトかしら?」
ジェットブーツでメルクーアのギムレットが大きく回り込んで敵の背後を取った。
ほかの仲間も来る。
手数が必要な敵も、これで時間の問題だ。
「敗者に口無し。ルモーレのルークは私のラムルタフルに完敗って吹聴してやるわ」
ゴーレム砲が止んだが、それはキーリの全力の合図でもあった。もちろんエルバッハの両手攻撃もあと数回残っている。
●
ルークの光体コアは大きな体の最奥にあったが、その分再生も時間が掛かるようだった。
戦闘は終了。最後の攻撃は熾烈を極めた。
「ルモーレ、いませんねぇ」
「いないねー」
「前と一緒でここの資材を奪っただけ、かな」
ほふぅ、とため息をつく小太とフラに、周囲を調べた悠月が戻って来る。
「火付けのYを倒したんだし、あとはコイツなんだけど面倒だわねぇ」
メルクーアがそう言うのは、火付けのYとルモーレが同じ技を使っているからでもある。
「あー、さっさとアイツの居場所分からないもんかしら」
キーリはつま先で小石蹴り蹴り。どうやら後手後手は性に合わないようで。
とはいえフラの故郷の時と違い、居場所は分からない。
近くでは真とエルバッハがイジェドの世話をしつつ話をしている。ざくろもリーリーを連れて話題に加わり、話がさらに弾んでいた。
ともかく敵は取り逃がさず全滅。現地の安全は確保された。
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最終発言 2018/01/17 21:55:28 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/01/14 21:02:32 |