• 陶曲

【陶曲】帆と同盟うまいもの市~チクワ焼き

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/02/27 12:00
完成日
2018/03/15 23:20

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●おエライさんたちの話
「あ? 帆に市民の寄せ書きだと? なんでそんなもん……」
「昨年の春からこっち、同盟の各都市で大きな歪虚騒ぎが起きてるのは知ってるだろう? しかも人が操られるか利用されたりしている節がある。都市ごとに襲ったり狙われなかったりするのも同盟内部の分断を狙っている節がある。だからだ」
「んなこと言っても人が集まるかも分からんし、下手に住民の危機感をあおるのも良くないぞ?」
「そうだそうだ。歪虚が来るかもと噂を広めて王国や帝国に大量移住されても困るし、来なけりゃ文句を言われる。来たなら来たで、何で国として対策しなかっただのどうだの……」
「だから同盟の一体感醸成イベントとしてやるんだよ! ほら、同盟は機能分散型の都市構成だろ? 地産地消もできるが高度な流通でその良さが一番発揮できる。いわば同じ船に乗ってるんだよ」
「なるほど。だから帆か……」
「ただ、市民は理念では動かんぞ?」
「……分かってる。いま、同盟各地の特産を集めている。例えば、ポルトワールからは牡蠣を大量に仕入れた。後は、大通りを封鎖してそこで同盟うまいもの市と未来へこぎ出す船として大きく広げた帆に希望の言葉とサインを入れるイベントならば、と考えているが……」
「それなら賛同する。が、そうすると手伝う人が多く必要じゃの」


●その頃のイ寺鑑
「殻付きカキのバーベキューだって?」
 同盟領の農耕推進地域「ジェオルジ」の片田舎、タスカービレ村でそんな声が上がった。
「あれはうまいんだ。みんなにもぜひ食べてもらいたいと勧めるよ。どこでやってるって?」
 イ寺鑑(kz0175)である。青竜紅刃流門下生や東方茶屋の面々はぽかーんとしている。
「すごいはしゃぎようですね、イ寺さん。まるで子供のよう」
 ジェオルジのタスカービレ駐在役人、フィーネ・リスパルミオがくすくす笑いをかみ殺した。
「いや……それだけ楽しくはあるし、ここは内陸の奥だから常々みんなに海鮮も味わって欲しいと思ってたし……」
 唇を尖らせ拗ねながら言う鑑。これを見てまた皆が笑うが。
「とにかくどこでやってるんだ?」
「あ、はい。蒸気工業都市のフマーレです。そこで市民の寄せ書きイベントと同時に『同盟うまいもの市』があって、その市で出店するそうです」
 情報を持ってきた役人が説明する。
 なお、役人の目的はこの情報を持ち回り、ジェオルジからも出店の付き合いをしてもらえる村をいくつか集めることだった。
「よし。ウチの東方茶屋も出店するぞ。チクワがこっちで珍しいのはまだ変わらないはずだ。落選はせんだろ?」
「そ、そうですね」
 鑑、押し切った。
 実際、リアルブルーでもチクワの実践販売は観光地で行われている。魚肉のすり身を鉄の棒につけてくるくる回しながら焼いている、アレだ。タスカービレではマス科の川魚「ブラウントラウト」を養殖し材料にしている。中の穴にチーズやピクルスなどを入れて供し、淡麗で華やかな味わいの白ワイン「レ・リリカ」と一緒に楽しんでもらっている。酒がだめな人には、甘みを含む高級茶「白茶」がある。いずれも特産品だ。
「え、ええ。こちらは剣術流派もあり、ジェオルジから派遣する屋台団体全体の護衛にもなるので是非に、というかとでしたから」
「そのくらい任せておけ。よし、決まりだな。青竜紅刃流及び東方茶屋、出動だ! 焼きガキを食いに出るぞ」
「お、おお!」
 鑑の欲望にまみれた掛け声に、戸惑いながらもうまいものを期待し応じる声が響く。
「今回の真の目的はあくまで殻付きカキの炭火焼きだ。二班で午前と午後を担当。空いた時間でカキを食っとけよ。次の機会はあると思うな!」
「ぷっ……」
 大真面目な指令。フィーネが思わず吹き出すのも無理はなかった。

 というわけで、午前中に東方茶屋の調理接客呼び込みと会場警備を、午後から鑑と一緒に殻付き焼きガキを堪能し、寄せ書きにも何か書いてくれる人、求ム。

リプレイ本文


 会場はすでに多くの人でにぎわっていた。
「よし。しっかり働いて休憩時間は交代で海の幸を味わうからな。気合入れてやるぞ!」
「お、おお!」
 東方茶屋の屋台では、イ寺鑑(kz0175)が連れて来た青竜紅刃流門下生とタスカービレ村の者たちを前に気合いを入れていた。
「浮気者」
 ここでウーナ(ka1439)が冷ややかに一言。
 どよ、と門下生たちがざわめく。
「言い出しっぺが浮気って、どういうことなの?」
 赤いセクシーチャイナ服を着たウーナがずんずんと鑑に寄って来る。最後はざっくり開いた胸元をうりうりするように問い詰める。
 この時、新たな人物が。
「ふう……先日はお楽しみでしたねぇ」
 多由羅(ka6167)である。とてもすがすがしい表情だ。
「温泉でゆったりしてくんずほぐれつ……後日は大きな駒とも戯れ……とても素晴らしい体験でした……」
 胸の谷間が露わなセクシー普段着で、うっとり。掌を添えた頬は当時の高揚を思い出してか紅潮している。
「ほう……温泉でくんずほぐれつにお戯れ……そして浮気」
 これを聞いていたジャック・エルギン(ka1522)が状況を推察しようとする。
「ちょ……待った。誤解。っていうかウーナ、浮気者ってなんだ?」
 慌ててジャックに弁明しウーナに聞き返す鑑。
 そこに新たな人影。
「ほう、浮気……イ寺さんもなかなか隅に置けませんなぁ……」
 ハンス・ラインフェルト(ka6750)である。
「それなら見せつけるまでもありませんかねぇ……しかし咳をしても1人じゃないのは乙なものですよ?」
「……ひゃっ!?」
 そう言って腕を組んいた穂積 智里(ka6819)を抱き寄せ耳たぶにキスというか甘噛みしようと……。
「ハンスさん、門下生の前ですよ?」
 鑑、本気で睨んだ。ごごご……。
 それにひるむようなハンスではないが、門下生を持ち出されては仕方ない。彼らに浮ついてもらっても困る。何より智里がびっくりして硬直したので行為に至る直前でぴたりと止まった。
 ただ、勝ち誇っている。
「うらやましいですか? それなら満足です。……そう、ちゃんと美味しい物が食べられると聞いたので来たんですよ」
 薄く笑うハンス。
「……もう。見える所は、駄目ですから」
 隣では智里が上目遣いに軽く睨んでいる。なぜか色っぽい。
 が、智里のはじらいモードはそこまで。
「でも、浮気はダメですよ!」
「だから違う。……っていうか、何でいきなりウーナはそんなこと言うんだ?」
 向き直った智里に注意され、ウーナの方に向く鑑。
「だって、殻付きカキは商売敵じゃない。鑑センセ、そっちばかりにそわそわして」
「だったらちゃんと『商売敵に浮気』って言え~っ!」
「そんじゃ、温泉でくんずほぐれつは何だ?」
 頼むから~っ、と涙目でウーナに詰め寄る艦。ジャックが別の疑問を投げる。
「そう言えば温泉宿で鬼ザルを退治しましたか?」
「でもって、別の戦場で巨大なチェスピースゴーレムと戦ってきたわけね」
 助け舟を出すハンス。ウーナはさらにその後日の依頼を思い出す。
「なかなか張り合いのある敵でした。ウーナ様、お疲れ様でした」
 むふん、と胸を張って満足そうな多由羅である。このように、まったく浮気は関係ない。
「頼むから報告は正確に……」
「分かった。とにかく割と自由な気風の道場、ってことだな?」
 やや疲れ気味の鑑の肩にぽむと手を置くジャック。
「じゃ、とにかく販売ですね」
 ああ、頼れるのは智里一人だけかもしれないとがっくり肩を落とす鑑である。



「さて、鑑センセから頼りないって勘違いされてるみたいだし、頑張らないとね」
「口に出してないことまで何で分かるんだ?!」
 ヤル気になったウーナがチクワ焼き実演販売の準備をする。横から鑑が突っ込むが無視無視。
「ふむ、私も協力して差し上げたいところなのですが、生憎料理は食べる方でして……」
「あ、多由羅さん。それは魚のすり身をつける棒です。投擲武器じゃないです」
 多由羅が興味深そうに丸い鉄の棒をもてあそんでいるのを見て智里が注意する。危うく手近な的を探して投げるところだった。
「へー。焼き上がったチクワが丸いのは鉄の棒に通して焼くからか。……で、焼いた後この穴にチーズを通す、と」
 興味深そうに焼き上がったチクワを手にしていたジャック、手際よくチーズを中にセットしていたり。
「ジャックさん、手慣れてますね。料理はお得意なんですか?」
「いーや、さっぱりだな。とはいえ、細工物や彫金なんかは鍛えてっから、細かな作業は任せとけって」
「……期待の戦力がいた!」
 智里の声に軽やかに返す間も手を動かしているジャック。斜めにスライスして美味しそうに仕上がった。鑑、ようやくまともな人が、とこっそり感激。遠くでウーナがジト目であるが。
 一方、ハンスは持参した鍋を持ち出した。
「せっかくの大会場です。酒飲みに受ける物、歩いて食べられる物、何品か試したらどうでしょう。客寄せには焼いて良い匂いが出る物を入れるべきだと思いますよ?」
「待った!」
 鑑、ハンスの腕をがしり。
 その手には支給品のレトルトカレーがあった。
「これは?」
「ハンスさん、それは止めた方が……」
「……イ寺さんだけでなくマウジーまでカレーがけに反対するんですか」
 ハンス、恋人の智里にまで止められショック。
「ホットドッグに甘辛炒め、チクワ丼も作れますが……」
「あ。ハンスさん磯部揚げができるって言ってましたよね。海の幸もそろっていることですし……」
「ああ、それはいいですね」
 ちら、と様子をうかがうハンスを無視して磯部揚げで盛り上がる智里と鑑。ハンス、まあそれでいいのなら、と自らを納得させチクワの磯部揚げの用意をする。
 そのころ、多由羅。
「川魚の焼き方や獣の捌き方、食べられる野草の見分け方などなら出来るのですが…」
「あ、駄目ですよ多由羅さん。直接焼くんじゃないから魚に串を通さないでください」
 はっと気付いた智里によって多由羅の蛮行は何とか未然に防がれた。
「仕方ないので私は試食に協力させて戴くとしましょう」
「……なんか一気に平和になったな」
 もぐ、とチーズ入りチクワを口にする多由羅。鑑、ほっ。
「らっしゃーせ、らっしゃーせー」
 そんな面々を尻目に店頭でぱん、ぱんと手を叩くジャック。
「美味しいチーズ入りチクワいらんかねー」
 威勢のいい、しかもこなれた発音で呼び掛ける。炭火の上に渡した鉄の棒を回して魚のすり身を焼きつつ珍しそうに見ている子供に「お、坊主もどうだ」とか。
「手慣れてますよね?」
「いつでもこういうトコに転職できるな」
「では……」
 こそこそ話す智里と鑑の間をずいと割ってハンスが出陣。おっと、腰に手を回して智里も店頭に連れ出した。
「いらっしゃいませ、タスカービレ名物、チクワとお酒のセットはいかがでしょう」
「あ。そうですね。頑張りましょう、ハンスさん。……いらっしゃいませ。寄せ書きを書く前書いた後、どうぞタスカービレの東方茶屋にお寄りください!」
 二人仲良く呼び込み開始。
「しかし、こうにぎやかだと声が響ききらないかもな」
「チクワ売りと護衛、でいいんだよね」
 心配そうにした鑑の横にウーナが来た。
「あ、ああ。そういえば会場の護衛も……」
「じゃ、青竜紅刃流一門、いくぞーっ。者ども、チクワ串を持て~っ!」
「おおーっ!」
 すでに弟子をまとめていたウーナ、巡回警備にチクワを持って出るようだ。
「え? そのチクワ……」
「腹ごなしに食べ歩きしてもらえば自然と初見の人への宣伝になるでしょ? お代はあたしのオゴリ。ほら、あたしも太っ腹なところを見せられるし」
 弟子を従えにこやかに返すウーナ。鑑、思わずウーナを見直す。
 が、この視線を誤解された!
「…って別に変な意味じゃないからね!?」
「大丈夫。スタイルいいから、抜群だから!」
「ほう、腹ごなしですか」
 この騒ぎに多由羅も参入。
「……どうしました?」
「いや、多由羅もスタイル抜群です」
 たっぷり試食して満足そうにお腹に手を置いた様子を見ていた鑑、慌てて配慮する。
 というわけで、ウーナと多由羅に引き連れられた一門護衛隊、巡回に出発。

 その後、店頭。
「わー、ころころ転がっておもしろ~い」
「これがそっちにあるようにこんがり色づくんだぜ?」
 実演でチクワの焼ける様子を楽しむ子供たちと触れ合うジャック。彼自身が手つき良く楽しそうなので子供たちもより楽しそう。かぶりついて見ている。
「そこの美人のお嬢さん、タスカービレ名物のチクワ料理はいかがですか」
 どこぞの依頼で重傷のハンスは無理せずにこやかに客引き。いつもよりぐったりして殺気立ったところがないので女性客も安心して寄って来る。
「甘みのあるお茶、甘みのある白ワイン、どちらもタスカービレの特産で絶品です! 同じくタスカービレ名産のチクワと一緒にお試しください」
 そんな女性客に「甘さ」をキーワードにアピールする智里。これで女性客がたくさんついた。
「へー、積極的じゃないか」
「人と人の繋がりのイベントだから、どんどん声掛けした方が良いと思いますから……」
 ジャックから横から軽く声を掛けると智里からそんな声が。
「ほお~。分かってんじゃねーか」
 思わずいい返事が聞けた、という感じのジャック。意気に感じたようで働く動きがさらに良くなった。
 智里の方も試食分を用意して、もっと多くの人に食べてもらうつもりだ。
「うん、うまい」
「淡い甘さにこの食感がいいね」
 売ってるチクワも好評だ。

 この頃、会場の一角で。
「あっ! だ、だれか……」
 女性がひったくりに被害に遭ったようだ。
「騒ぎ?」
「押し通ります!」
「あ、ウーナさん! ……た、多由羅さん!」
 近場にいたウーナ、ひょいひょいと通行人をかき分ける。一方の多由羅は格で威嚇して一直線。
 で、逃げるひったくり犯の前に俊敏に回り込んだ!
「逃がさないよ?」
 びし、と食べかけのチクワ串を差すウーナ。
「くっ。こっちだ……うわっ!」
 犯人、向きを変えたがばいんと何かにぶつかった。
「今のはわいせつこうい、というものでしょうか?」
 胸元に手を置いた多由羅がごごごと殺気立っている。
「ひ、ひいいい……」
 で、結局。
「ありがとうございました」
「いえ、こちらも大変楽しく……いえ、何よりです」
 多由羅、盗られたものが戻った女性に何度もお礼を言われている。
「青竜紅刃流のチクワの屋台は向こうだよ~」
 ウーナはチクワ串を掲げドサクサ紛れに宣伝宣伝♪
「ほらー。二人で大丈夫じゃないか~」
 おや。鑑もこっちにいたようで。
「働かざる者食うべからず! 次行くよ!」
「いや、働かせてくれって」
 そうしてまた引っ張っていかれるのだった。



 やがてお昼。屋台は交代しカキ小屋に繰り出した。
「おお、いつぞやはくれーぷ屋台ではお世話になりましたな」
「あは。演武のとき以来ね」
 多由羅がそこで働く南那初華に軽く挨拶する間にジャックが席は確保している。
「よし、ここでいいだろ?」
「これはなかなか雰囲気がありますね」
 皆を呼ぶジャックの元にハンスが移動する。手には殻付きカキの入ったバケツが。
「はい、みんなで焼き牡蠣楽しみです」
 付き添う智里、にっこり。一緒に座るとトングでカキを網に載せた。
「で、コレは鑑センセが奢ってくれるんだっけ?」
 ウーナも着席。イタズラそうな笑顔。
「あ? 東方茶屋の必要経費に決まってるじゃないか」
 だからみんな頑張ったんだろ、と鑑は涼し気に。
「えーっ! ちょっとは出してくれてもいいのに」
「こっちのは自腹で買い足したがな。ぜひたっぷり味わってほしい。食べてくれ」
 ぶー垂れるウーナを見て満足したのか、楽しそうに鑑がバケツを出した。
「ふーん。あんまり牡蠣って食べた事ないけど、そんなにおいしい?」
「けちの鑑センセが、と言わなかった分答えるが……うまい。磯の香りが染みて味が全然違う」
「本当。美味しいです」
 言い合う二人の横でほふっ、と頬張った智里が目を丸くしている。
「マウジー?」
「え……その、こ、こっちで……」
 ハンスの視線に恥ずかしそうにした智里、皆から背を向けた。
 でもって、あーん、とハンスに。
 美味しそうに頬張ったハンス、小さくなった智里の背中越しにニヤリ。
「うらやましいですか? うらやましかったらイ寺さんもご自分のパートナーとなさったらいかが?」
「……争いは苦手でね」
 鑑、自嘲気味にぽそり。
「そう言えばあんまし昔の話って聞かないけど、海辺の出身だったりするのかな?」
「島国だからね。山も海もあったよ」
 ウーナの一言で元の表情に戻った。
「遊び惚けてたとか?」
「遊んだ遊んだ。自由にね」
「お。そんな話して、なんか飲みたくなったんじゃねーねのか? 良いモン持ってきたぜ」
 そういう話は好物だぜ、とか言わんばかりにジャックが寄って来た。
「食わなくていいのか?」
「いいもん食って乗ってきたからこうやって酒出してんだろ? こいつは俺の奢りだ!」
 ジャック、純米酒「若峰」を取り出して冷のまま酌をして、残りは網に掛けた小さな鍋で燗にする。
「カキなど久し振りです。たっぷりと堪能させて戴きましょう」
 戻ってきた多由羅も慣れた手つきでピックを使い殻を開けては平らげる。ほふほふ。
「どんどん焼きますから食べてくださいね」
 智里は焼き奉行。どんどん焼いている。
 そこにハンスがちょっかいの手を伸ばす。
「今日のマウジーは飲んだみたいに赤いですね」
「ハンスさん……ダメです重傷でしょう……」
 はい、自重してくださいねー。
「しかし、アレはなかなかの敵でしたな」
「ま、その分暴れて楽しかったけどねー」
 多由羅とウーナはぱくぱくしながら戦闘依頼の思い出話だ。

「歪虚か……」
 その話にジャックが立ち上がる。
 そしてつかつかと寄せ書きのところまで行くと筆を手にした。
「この活気ある街と人、守ってみせるぜ」
 言いながら書いた言葉は……。
【どんな嵐が来ようとも、この帆を破らせはしねえ】

「では私も」
 興に乗ったか多由羅も立つと……。
【不撓】
「くじけぬ心、それこそ大切です」

「ほう」
「では」
 ハンスと智里は。
【 Du machst mich gl〓cklich. 】と【家族になったこの場所にこれからも幸せがありますように】

「鑑センセは?」
「今日のこの会場に感謝を込めて」
 ウーナに促された鑑。
【同志】
「じゃ、鑑センセに代わって代表で…」
 ウーナはちらと門下生たちを見てから書いた。
【青竜紅刃流此処有(青竜紅刃流ここにあり)】

「さー、続き食うぜ? 腹が減っては戦はできぬってな!」
 ジャックが皆の書き終わりを確認して髪を翻した。
「ジャック殿、分かってらしっしゃる」
「確かにそう言いますね」
 多由羅とハンスが言い回しに満足して後を追う。
 もちろん、智里も、鑑も、ウーナも。

 祭りは大盛況だったという。

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参加者一覧

  • 青竜紅刃流師範
    ウーナ(ka1439
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 秘剣──瞬──
    多由羅(ka6167
    鬼|21才|女性|舞刀士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/02/24 14:01:16
アイコン チクワ屋展開
多由羅(ka6167
鬼|21才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2018/02/26 23:06:40