或る少女と歯車の思い出―訪問―

マスター:佐倉眸

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
寸志
相談期間
5日
締切
2018/03/02 07:30
完成日
2018/03/09 00:30

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●或る老人、ジャン・ジェポッテの若かりし頃
 その男はリアルブルーから渡ってきたと言った。
 既にこちらでの生活に馴染んで、今はどこかの店で働いていると言うが、その店の模様替えだかの用事で、この辺の工場を彼方此方覗いていたらしい。
 模様替えが終わった頃、この界隈で連んでいた私とあと5人ほどが彼と親しくなっていて、酒でも飲もうかという話しになった。
 その席に彼は、最近はこの辺でも見る様になったが、あの頃はまだ珍しかった着物、絣模様の紬だと言っていたが、それを着て木の人形を抱えていた。
 袴を着けた人形は盆を持っていて、そこにカップを乗せるとこちらに向かって歩いてきた。
 良い具合に酒の回った私たちはひゅうひゅうと囃しながら、彼の言うままにそのカップを人形から受け取った。
 すると人形はかくんと揺れて、くるりと向きを変えて進んでいく。

 私たちは彼に頼み込んでその人形の隅々まで調べて図面を引いた。
 それから、何度もその人形と同じ物を作ってはバラしてと繰り返し、一年ほどでそれらしく動くように作り上げた。
 ぎこちなく動いて茶を運ぶ人形が、私たちの最初の玩具だった。
 最初の人形を作ってから、私たちの熱は昇った。
 そして次は、立って歩いて騎士風の礼をさせようという話しになった。
 その人形作りはなかなか難しくて、時間も掛かった。
 完成を待たずに仲間達は仕事を変えたり、独立したり、集まれる時間も減っていった。
 私たちはその計画を凍結させることにして、作りかけの図面と頭を私が、右腕、左腕、胴、右脚、左脚、をそれぞれ別の仲間が預かることにした。
 いつか完成させようと誓ったあの日、私たちの青春は終わった。


 メグこと、マーガレット・ミケーリはオフィスで以前の依頼の続報を探していた。
 大型の歪虚の目撃情報を得ていたが、まだ見付かっていないらしい。
 受付嬢が代わりにと持って来たのが、フマーレ近郊での簡単な手伝いの依頼だった。
 或る老人が若い頃に大切な物を保管していた工場が10年以上前に閉鎖した。
 杖を手放せない状態となった彼自身がその品を取りに行くには工場の劣化が酷く、また、それは身近な人にはどうにも頼みづらい品らしい。
 それを回収に行くのが1つ、もう1つの手伝いは同じ品を分け合った仲間に声を掛けて回る付き添いだという。
 1人で出歩くと家族が心配されるそうで、こちらへも娘さんと一緒にいらっしゃいました。
 受付嬢がそう言って朗らかに笑む。

 依頼の住所へ向かったメグが、依頼人を探して見回す。
 寂れた工場が並んで蒸気の音は控えめだが、何れも稼動しているらしく職人達の声は賑やかだ。
「……ジャンさーん、ジャン・ジェポッテさーん……」
 呼びながら地図のメモを睨む背後、淡く緑に光る精霊がぽんと跳ねた。


 依頼を聞いて集まったハンター達にジャンは若い頃の出会いと別れを語った。
 白く不揃いの顎髭を撫でながら、懐かしそうに細めた柔和な瞳がハンター達を見詰める。
「町を出てった奴が右脚を持って戻ったんで、私の頭と繋ぐためには腹がいるって、もう1人……腹持ってる奴に声を掛けたんだ。だが、私の頭が前の工場に置きっ放しで……取りに行くんじゃ、丁度良い、全部集めようじゃねぇかって、彼奴等言いだしてなあ」
 木訥と大らかな笑い声。
 まあ、出来上がりまで付き合ってくれ。
 そう言いながら、ジャンは杖を片手に立ち上がった。
 右腕と左腕、それから左脚を持っている嘗ての友人に声を掛けに行くらしい。
 ハンターの一人にはジャンの持っていた頭と図面の回収の為、工場の見取り図が渡される。
 確かここら辺に置いたと、皺だらけの指が納戸と書かれた部屋を指した。

 こちらは外れだったのかも知れませんね。
 回収を選択したメグが眉を垂れて笑う。
 想像以上に古い工場は柵の外からでも建物の破損、剥がれた壁や屋根の穴が覗えた。
 気を付けようと言いながら、ハンターの一人は預けられた鍵を手に柵の鎖の南京錠に手を掛けた。

リプレイ本文


 薄暗い工場の中へ進む。
 そろそろと慎重に進みながら、ハンター達はジャンの言葉を思い出していた。
「かなり老朽化が進んでいるな……爺さんが記憶していた場所にすんなりあればいいが……」
 ヴァイス(ka0364)が鉄扇を開く。紅蓮のオーラを纏うとそれが光りを帯びて辺りを照らした。
 見えるかと、影を覗くように進む足跡が埃を踏んで浮かび上がる。
「お人形さんの頭と、えっとえっと、お人形さんの図面の回収だったわね」
「あまり大きな物では無さそうでしたが……それから、こちらを」
 カリアナ・ノート(ka3733)が工場内を見回す。間取図よりも広く感じるその空間は、納戸を探すことさえ難しそうだ。
 指折り考え込むように、探し物を思い出すと、マキナ・バベッジ(ka4302)が応じて、皺だらけの手で示された頭の大きさを真似て眺める。
 出発前、集まったハンター達を見回したジャンは、1番小柄なカリアナを見て、その半分ぐらいだと言っていた。
 頭の大きさは手の中に収まるよりも1、2周り大きいくらいだろうか。
 マキナは同じく工場で頭と図面を探す仲間に軍手を差し出す。
 必要だろうかと尋ねてジャンから貸し出されたそれは、マキナの手にはよく収まるが、カリアナとメグの指先は余り、ヴァイスの手には少し窮屈そうだ。
「まずは教えていただいた納戸から調べましょう……皆さん、気を付けて作業してくださいね」
 ヴァイスの光りが足元と広げた間取図を照らし、入り口と窓を合わせながら方向を示す。
 ささくれた足元、抜けそうな床板。安全靴も有った方が良かっただろうかと首を傾がせた。
「年季の入った工場みたいだから、念のために床とか天井とか気をつけなくっちゃ!」
 顔を埃から庇って深呼吸。カリアナは久しぶりに依頼を共にしたメグに喜んで跳ねそうな心地を落ち付かせる。
 一人前のレディらしくと、仲間と離れないように続いて暗い工場を歩いて行く。

 鉄扇の明かりが揺れる。舐めるように柱を昇り、吊り下げられたプレートを見る。
 割れた壁の向こうに机が並んだその部屋は、「作業場」と吊られていた。隣の扉にも同じ物。入り口が2つあるらしい。
 プレートの高さで光りを走らせると、階段の近くにもう1つのドアを見付けた。
「……あれだよな? 行くぜ」
 掠れた文字が納戸と読み取れると、ヴァイスは振り返って3人に声を掛ける。
 床の軋む音を響かせてハンター達は納戸へ、錆びたノブを掴んで引き開ける。
 倒れてきた箒の柄を掴んで、まずヴァイスが中へ一歩踏み込んだ。


 いってらっしゃい、気を付けて、鍋の中身はシチューだからね。
 そう言って中年の女性、ジャンの娘はにっこりとハンター達を見送った。
 ひらひらと手を振って、家の仕事へ戻っていく。
 杖を掲げてそれに答えたジャンは、鳳凰院ひりょ(ka3744)に鍋を任せて道なりに歩いて行く。
 矍鑠と歩むジャンの足で10分を少し過ぎたところで、目的の家に着く。
 道中、フィロ(ka6966)が尋ねた人形の思い出に、ジャンは楽しそうに答える。皺だらけの手で示す大きさは曖昧だが、とても凝った作りをしているようだ。
「そこまで愛された人形が羨ましいと……いえ、なんでもありません」
 ドアが見えて言いかけた言葉を閉ざす。
 ノックに答えた声は、ジャンと同じ年の頃の男のそれ。ややあってドアが開けられ、繋ぎ姿の老人が出迎えた。
 この間ぶりだと笑い合う二人を横目に、彼の妻だという老婦人に鍋を渡して用件を伝える。
 談笑する様子を一瞥すると、彼女はハンター達を招き入れた。

「――何か、聞いてることは無いかな?」
 2人の老人達も促されてテーブルに。彼等の前にはマグカップで、玲瓏(ka7114)と鳳凰院、フィロの前にはソーサを添えた白いカップでコーヒーが出される。すぐに持ってこられた人形の左脚。
 磁器の白く滑らかなそれは球体関節を用いて動く作り。
 足の裏は靴底のように平らに作られ、随所に歯車が取り付けられて噛み合っている。
 歯車一つ一つの大きさは、関節や部位の大きさに合わせて異なっており、その不揃いさが洒落た印象を抱かせる。
 滑らかな白磁を飾る金色の歯車、大腿の中央を回すとかちかちと噛み合って一つずつ動き始め、膝を引き上げて足が蹴り出すように揺れた。
 腕も似たような作りだという老人に鳳凰院がそう尋ねた。
 その持ち主の近況を知らないかと。
 夫婦は顔を見合わせて首を横に振った。
 腕の持ち主の訪問を予定しているフィロと玲瓏は少し残念そうな視線を交わすが、気を取り直してカメラを取り出す。
「人形自体の大きさは50センチから……」
 脚を写しながらフィロは全体像の当たりを付ける。
「触れてもよろしいでしょうか?……こういうものを私の国では、浪漫、と、申します。是非、完成させましょう」
 玲瓏が手を伸ばし、歯車をそっと撫でた。冷たく硬いその真鍮の感触に、噛み合わせの緻密さに、黒い双眸は真っ直ぐに2人を見詰めた。


 隈無く探したが納戸の中には見付からず、4人はそれぞれ手分けして探すことにした。
 広げた間取りに指を置く。
「ねえねえ、どこから探し始める? 分担した方が早いと思うの」
 納戸に似たような場所じゃ無いかしらって、思うのだけど。間取りと内装を交互に眺めてカリアナが考え込む。
「……ジャンが間違ったっていうなら、ここの可能性もあるな」
 ヴァイスは納戸を指した指を紙面上で真上に滑らせる。階段を見上げ、丁度納戸の上にあたる部分へ鉄扇の光りを向けた。ドアの凹凸が覗えるが、何の部屋かは分からない。
「……近くの作業場はどうでしょう……僕はこちらを中心に軽く見て回ります」
 閉鎖の際に物の動きがあったのなら、そのままにされてしまった可能性がある。
 納戸には掃除用具があったから、埃や破片を片付けて探すことも出来るだろう。
「それじゃあ、手分けして探すか。手間は掛かるが見落としがないようにしないとな」
「はい、散らばった破片などもあると思うので……皆さん、気を付けて作業してくださいね」
 ヴァイスは階段を上がっていき、マキナも使えそうな箒と塵取りを手に作業場へ。
 カリアナはもう一度納戸を念入りに探してから作業場を覗いた。

 据え付けの机が整然と並ぶ暗い部屋。
 床の埃と散らかったままの忘れ物。降り積もった時を感じる工場をマキナは手際よく片付けていく。
 軋む窓を開けて取り込む光りが落とした影に目を遣ると、それは箱で、中身はどうやら皿らしい。
「……皿、……そう言えば絵付けの工場と……」
 ジャンが営んでいた工場の商品だった物だろう。
 簡単に中を確かめたそれを机の上へ、掃除の手を進めれば、そう言った物はまだ幾つか見付かりそうだった。
 カリアナの声に入り口へ、納戸や廊下をもう一度見たが矢張り無かったらしい。
「図面などは事務室あたりでしょうか……」
 そう書かれた部屋が合ったはず。間取りを思い出しながら尋ねるとカリアナは頷いて2階へ向かった。
 軋む階段を昇り、仄暗い廊下に薄ぼんやりと吊られたプレートが目に留まる。
 目を凝らすとそれらしい文字が覗えるが、掠れたそれを読もうとするほど眉が寄った。
 足元と天井と、確かめてからカリアナは慎重にドアノブを捻った。
 暗闇の中、切れたカーテンの隙間から光りが零れるその部屋は、両側の壁が書棚になっていた。
 殆ど空の棚に数枚の書類、バインダーが1冊置かれていた。
 机が1つあり、その上には洒落た絵の描かれたティーカップが置かれていた。
「倉庫とか……では無さそうね、でも、何かあるみたいだわ」
 部屋の中へ、レディらしく埃は立てないように歩み入って書類を手に取って見る。
「……お仕事の、お手紙かしら……?」
 見慣れない言葉の並んだそれらを揃えて机の上へ。机の下や引き出しの中を覗いても、その部屋に人形や図面は見付からなかった。

 階段近くの納戸の真上に当たる部屋。
 プレートの無いその部屋は、責任者の使っていた場所なのだろう、扉や窓の作りがどことなく豪奢だ。
 床板も僅かに艶が残っているように見えるが、2つ3つの木箱の他は何も見当たらない。
「これか?」
 呟く様に、ヴァイスが箱の1つに手を掛けた。
 かたん、とその蓋は簡単に開く。中身は白磁の食器らしい。
 もう1つの箱は古い塗料の型録だった。備品か処分される予定だったのだろうそれらに蓋を閉め直して部屋を見回す。
 他には何も無いかと思ったところ、目に留まった黒の天鵞絨。
 日の当たらぬ隅に置かれたそれに手を伸ばした。
 屈んで、息を潜めるように慎重に布を剥がす。
 陽差しや埃から庇われていた箱の蓋には、はっきりと文字が覗えた。
「――見付かったぞ!」
 他の部屋を探す仲間に声を掛けて部屋へ呼ぶ。
 全員が集まったところで、「頭、G.G.」そう書かれた蓋に手を掛けた。


 ジャンとその友人に見送られ、玲瓏は写真を手に、馬の背で地図を見ながら左腕の持ち主の家へ急いだ。
 写真は左脚を写した物と集合写真。鳳凰院が撮影した物には玲瓏も一緒に写っている。
 暫く走って、周りの雰囲気が少し変わったところで馬を下りる。表札の番地を確かめながら馬を引いて、見付けた家の前で止まりノッカーに手を掛けた。
 朗らかに答えた老婦人の声。
「こんにちは、……失礼します、こちらに……」
 可愛らしいお客様、初めまして、そう言って出迎えた老婦人にすっと背筋を伸ばして辞儀を。
 そう言えばと思い出す、同じ聖導士の少女のこと。ハンターとしては先輩らしい彼女をそう呼ぶと、とても強張ってから深々と頭を下げた。
 その頭の上で跳ねる精霊はとても楽しそうだった。
 彼女達も今頃は頭部と図面を見付けているだろうか。
「人形を完成させるべく、ジェポッテ様のご友人の方々を訪ねております」
 写真を見せて事情を話すと、老婦人は、どうぞ、と玲瓏を招き入れる。
 話は聞いたことがあると言って居間で待たせ、数分と経たずに戻ってきた手には箱が抱えられていた。
 開けられた箱の中には歯車の飾られた人形の左腕、当人は病床に就いているという。
「少しの時間でもお目に掛かれませんでしょうか?……ジェポッテ様も心配なさってました」
 自身にも医療の心得がある。妻は少し困ったように微笑んで、それからゆっくりと寝室へ招いた。
 氷嚢を額に乗せ、厚い布団を被っている老人が苦しそうに寝返りを打った。

 フィロは長く走った魔導バイクを降り表札を確かめる。転居していたらしい右腕の持ち主の新しい住まいは、仲間と連絡の取れる距離を超えてしまっていた。
 ノックに答えたのは子供だった。
「こんにちは、こちらに……」
 相手の名前を尋ねれば、子供は少し小さな声で、お祖父ちゃんは一昨年にと項垂れた。
 唇をきゅっと結んだ小さな子に掛ける言葉を知っていただろうか。
 フィロが僅かに黙ると父親らしい男性が出てきた。
「ご愁傷様です。……私は、この度の御主人様、ジャン・ジェポッテ様のご依頼により……」
 写真を見せて事情を話すと、彼と子供は顔を見合わせて頷いた。
 父がそんな話をしていたことがある。彼はそう言って、思い出す様に続けた。
 若い頃に仲間の連中と特別な人形を作っていた、その腕を俺は持っているんだ。
 しかし、実物を見たことはない。引っ越しの際の処分品に紛れ込んでしまったのかも知れないが。
 話しは本当だったんだ、是非完成した物を見てみたいと言って、親子は写真を見詰め、緻密な作りの脚や亡き祖父の友人の様子に目を輝かせている。
 2人に礼を言って辞し、バイクに跨がって空を仰ぐ。
「当たってほしくない予想は当たるものですね。皆様に連絡して追えるところまで追わなくては」
 近辺の質屋を覗きながら来た道を戻り、通信の圏内に入ったところですぐに連絡を取る。
 この家の場所を聞いた折、確かめていた前の住まいに近い質屋も覗くが、収穫は得られなかった。


 2杯目のコーヒーも空になった頃、フィロからの連絡を受けた鳳凰院に、何か察したらしいジャンが強く励ます様にその背中を叩いた。
「あの子の行ったとこの奴はな、絵が達者だったんだ。だろ?」
 友人も、3杯目のコーヒーにミルクを注ぎながら頷く。
 上手かった、俺たちの中で一番上手かった。彼奴が描いた人形の絵も、お前が持っていっただろう。
 懐かしそうに笑う2人。思い出は未だ尽きないようだ。
 人形への思い入れを、彼等の嘗ての夢を聞きながら、鳳凰院は抑えるように微笑んだ。
「きっと、完成させよう」
 当然だと言う様に2人は笑った。

 ――蓋を開けた。
 先ず目に飛び込んできたのは、つるりとした白い頭部、その下に敷き詰められた歯車と丸められた数枚の紙。
 箱の側面が傾いて見えたのは、一緒に仕舞われていた何かの額の為だろう。
 何だ、と、ヴァイスはそれに手を掛けた。それは少年を描いた水彩画だった。
 飛び込んできた大粒の瞳は、鮮やかな常磐色、柔らかな髪は金色でふっくらした頬は薔薇色。小さな唇が悪戯っぽく微笑んでいる。
 パフスリーブのシャツに、ファンシーな意匠の半ズボンの少女めいた装いに肘当てと膝当てを着け、腰には剣が吊られている。
 額は同じ少年の片膝の跪礼と、捧げ剣の計3枚が収められていた。
「わあっ」
「これで此方の目的は達成だな」
「この子を、……作りたかったのですね……」
 ハンター達の声に絵に見入るメグの頭上で緑の精霊も楽しそうにぽんぽん跳ねていた。

 ジャンの家でハンター達が再び集合する。
 先に戻っていたハンター達が回収した諸々の品がテーブルに並べられていた。
 これで全部だろうかとカリアナは首を傾がせ、心配していたほどの劣化が無い事にマキナが胸を撫で下ろしている。
 ジャンの帰宅に、ヴァイスが見付けたぜと声を掛けて品を示した。
 その中に有った絵に鳳凰院が目を瞠った。
 帰途、矢張り少し気落ちしているように見えたジャンだが、その絵を見ると懐かしいと眦の皺を深く笑む。
 頭の傍らに左脚を置き、暫くして玲瓏が左腕を収めた箱を大切に抱えて帰ってきた。
「……是非完成させてくれと。病状が芳しくなく、歳の為に治りも遅く、生きている内に完成したところを見たいとのことでした」
 ジャンが残念そうに、しかし、確りと頷いた。それから半時間ほどでフィロも帰ってくる。
 ジャンに深く辞儀をして友人の死と、右腕の行方が佚してしまったこと、そして、子供と孫の期待を伝える。
 部屋を覗きに来た娘がシチューを食べていかないかと誘う。
「色んな話を聞いたんだよ。報告させて貰ってもいいかな?」
 それは楽しみと、早速、よく煮えた野菜がごろごろと入ったシチューがハンター達の席に並べられた。

依頼結果

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MVP一覧

  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフka3744

重体一覧

参加者一覧


  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 真白き抱擁
    カリアナ・ノート(ka3733
    人間(紅)|10才|女性|魔術師
  • うら若き総帥の比翼
    ひりょ・ムーンリーフ(ka3744
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 時の守りと救い
    マキナ・バベッジ(ka4302
    人間(紅)|16才|男性|疾影士
  • ルル大学防諜部門長
    フィロ(ka6966
    オートマトン|24才|女性|格闘士
  • 風雅なる謡楽士
    玲瓏(ka7114
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/03/01 01:32:01
アイコン 相談卓
マキナ・バベッジ(ka4302
人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2018/03/01 21:35:21