ゲスト
(ka0000)
【AP】チューダがいっぱい???
マスター:四月朔日さくら

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~10人
- サポート
- 0~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/04/04 19:00
- 完成日
- 2018/04/12 06:15
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
――朝、目が覚めたらふくふくになっていた。
頬を触ってみるとぴんと伸びた髭。
ふくふくでふさふさの毛並み。
すなわち――見た目がチューダにそっくりになっていた。
「な、なんででありますかー!?」
あ、口調もチューダになっていた。
●
「どういうことでありますか?!」
そう叫んだのは当のチューダ本人。たまたま遊びに来ていたリゼリオで自分そっくりな存在に何人も遭遇したら、そうも言いたくなるのは当然である。
しかもそれが普段はハンターだというのだから、二重に驚いてしまう。
「何かのマテリアルの影響でありましょうか……むう」
チューダもハンターたちも悩みまくる。
「しかしであります。折角我輩と同じ姿なのですから、少し我輩の気分を楽しむのは如何でありましょうや?」
チューダ(本物)がそう言うと、チューダ(ハンター)は目をぱちくりさせた。
「我輩これでも大幻獣であります。我輩にしかわからない思いや、我輩の日常を体験して、我輩をもっと知るのも面白いのでありましょう」
確かにチューダの一日を体験すると――なんだか自堕落そうだが、面白そうではありそうだ。
仲間たちはこくっと頷いて、チューダの言葉に乗ることに決めたのだった。
即ち、今日一日をチューダとして過ごす、と。
――朝、目が覚めたらふくふくになっていた。
頬を触ってみるとぴんと伸びた髭。
ふくふくでふさふさの毛並み。
すなわち――見た目がチューダにそっくりになっていた。
「な、なんででありますかー!?」
あ、口調もチューダになっていた。
●
「どういうことでありますか?!」
そう叫んだのは当のチューダ本人。たまたま遊びに来ていたリゼリオで自分そっくりな存在に何人も遭遇したら、そうも言いたくなるのは当然である。
しかもそれが普段はハンターだというのだから、二重に驚いてしまう。
「何かのマテリアルの影響でありましょうか……むう」
チューダもハンターたちも悩みまくる。
「しかしであります。折角我輩と同じ姿なのですから、少し我輩の気分を楽しむのは如何でありましょうや?」
チューダ(本物)がそう言うと、チューダ(ハンター)は目をぱちくりさせた。
「我輩これでも大幻獣であります。我輩にしかわからない思いや、我輩の日常を体験して、我輩をもっと知るのも面白いのでありましょう」
確かにチューダの一日を体験すると――なんだか自堕落そうだが、面白そうではありそうだ。
仲間たちはこくっと頷いて、チューダの言葉に乗ることに決めたのだった。
即ち、今日一日をチューダとして過ごす、と。
リプレイ本文
――これはある奇妙な夢に巻き込まれたハンター達の物語であり、あくまでフィクションである事をあらかじめ付け加えておく。
●
「はっ!?」
目が覚めた瞬間、そう思わず口に出したのは岩井崎 旭(ka0234)、まだ少年の風情が残る青年である――中身は。
(周りがでっかいような、視線が低いような……これは我輩がちっさいのですか?)
そう思って、はて、ある事に気付いた。……口調がおかしい。慌てて両手を見れば、ちんまりしたお手々、そしてふっくらした毛に覆われた腕、見覚えのあるその毛並みは、
「ちゅ、ちゅ、チューダになっているであります!?」
おおおおおちつくでありますすすすす。
自分に何度も言い聞かせ、そして大きく息をついて一言。
「これは……一日『幻獣王』でありますな」
その表情は妙にキリッとしていた。……チューダなのに。
目覚めたときの違和感が半端ないのはリュー・グランフェスト(ka2419)もだ。
起きようとして、起きられない。
(おかしいな、ハンターになってから眠気で怠いなんてことは無かったんだが。風邪か……?)
そう思って頬に触れると、ぷよん。そしてふさふさ。
……いや、手がふさふさ?
「お? お?」
あちこちぺたぺたと触ってみる……うちにある事に気付いた。
即ち、手に肉球がある事に。慌てて近くの鏡を引き寄せ、おそるおそる確認すると……
「な、なんでありこりゃー!?」
普段の口調とチューダの口調の混じったへんな言葉遣いで、驚愕の声を上げた。
(なんだこれ、チューダに感染でもしたのか、これ……!?)
しかしそこは旭もだが、歴戦のハンターである。ちょっとくらいの異変に驚く――いや驚くのは驚くが尾を引くという意味で――リューではない。一通り驚きまくったら、とりあえずは何か食べようと街へ繰り出す事に決めたのだった。
そう、だいたい朝一番に一通り驚きまくれば、ある程度落ち着くというものだ。
とりあえず手足が満足に動く事を確認してしまえば、夜桜 奏音(ka5754)はほうっとため息をつく。
「なんだか普段の自分の身体と違いすぎて……動きにくくなった感じがしますね」
それでもそれなりに動けるようになっているのだから、まあ心配する事は無かろうが――そう思ってしまえば、
(まあ、チューダだし)
そう思ってだらけた一日もまあいっかぁ、と結論づけてだらける事に決め込んだ。
(いつもなら動くところではあるんですが……でもまあチューダですし、怠けてもいいでしょう……)
もっともそれに飽きれば、その時はまあその時だ。
その辺、のんびりしているというか、なんというか。これもチューダ効果、なのだろうか?
●
そんなこんなで街に出たハンターもいれば、そうではないハンターも居たりする中、まだまだ修行中のハンター・多由羅(ka6167)は街にでて似たような人影ならぬチューダ影(?)を見つけ、声をかけた。
「いや、今朝起きたら太っておりました。ついでに毛深くなって、気のせいか身長や手足も短くなって……女としてはややはしたないですし、このままでは満足に刀も振れるか不安であります……」
そう説明をすると、相手――星野 ハナ(ka5852)も似たような体格のまま、ふむふむと神妙そうな顔でそれを聞き、そして
「まあ、問題ないでありますよ。この姿は幻獣王チューダにそっくり……というか、同じと思われるでありますからな」
すると多由羅は初めて聞いた名前、と言うふうに目を丸くして、
「ふむ……たゆら……てゅーら……チューダ……なるほど、似てますね」
そういって納得したとばかりにぽんと手を打つ。
「いや、そう言う問題でもねーでありますが!?」
そう言って話に加わってきたのはチリュウ・ミカ(ka4110)。先ほどまではその近くで丸くなり、ぶつぶつとなにやら
(これはもしやハンターとして未熟な私への、天からの試練なのか……?)
(いや、もしかして……まさかこの歳で伴侶もいない私へのマリハラなのか……!?)
などと考え込んでいたが、あまりに脳天気そうな二人の会話に思わず突っ込みを入れてしまった、と言う次第である。
「二人ともどうしてこの状況下でそんなに余裕こいていられるんだー!?」
そう思いきり叫ぶと、また頭を抱えてしゃがみ込む。
何しろミカはチューダの姿になってしまった衝撃で軽く正気を失い、一時的狂気……ではないがそれだけでぐったりしてしまったのだから、ある意味仕方がない。同志がいたと言う事で、自分一人じゃないという妙な安堵感は手に入れたが。
「でも折角チューダの姿でありますよ? これを活用しない手はないであります」
そう言って妙にキリッとした表情を浮かべるハナ。
「どういうこと?」
「で、ありますか?」
「いや、もちろんこの姿なら雄……と言う事が明白でありますから、即ち……ッ、雄しりや雄っぱいを独り占めして堪能できると言う事でありますな、ヒャッハー!」
一瞬の、間。
しかしハナは本気だ。その目がらんらんと輝いている。そりゃあもう幸せそうに。
もともと色んな意味でぶっ飛ぶ傾向のあるハナではあるが、普段ぶりっこめいた言動をしている分、こういう時は欲望に忠実になってしまうらしい。欲望、と言うか妄想、と言うか。……むしろハナってそこまでお腐れ様だったのかと周囲が悩む程度に擬態が上手いのかも知れない。ぶりっこのせいでそう言う要素を隠しきっているというのかも知れないが、まあ深く追求するとあとが怖そうである。
ハナの深い闇を垣間見た、とそこに居るだれもが思ったとき。
「……それにしてももっちりまんまるでありますだんずなぁ」
そこでのんびり声をかけてきたのはやっぱりチューダ――の姿になってしまった杢(ka6890)だ。とはいえ元も幼さの残る幼児体型、その上のんびりおっとり世間知らずともなれば、むしろこちらが本物のチューダなのかも知れない、いやそうしてしまった方が世の為人の為かも知れない、なんて思わず思う輩もいそうである。
「我輩もビックリでありますよ……まったく」
あ、本物のチューダも居た。
「何しろ歩いているものの中に、我輩そっくりな面々がいれば驚くのも当たり前であります」
そう言うが、同時に、
「でも一番男前は我輩でありますな!」
そう言って聞かない辺り、流石チューダであった。
「でありますかなぁ」
はじめこそ普段の「だんず」が残っていた杢もすっかりチューダ口調。
しかし杢は何しろ丸くてふくふくのボールのごとき体躯を存分にいかしてボールになって遊んでみよう、と言う非常に可愛らしい、そう可愛らしい発想の持ち主で――
ぽよん。
ぽよよん。
身体に空気を吸い込んでぽよぽよと跳ねて、ボールのようにどのくらい跳ねる事ができるか、それを遊びにできるという子どもらしい発想力をそのまま活かせるのが、杢の最大の強みだった。
「さ、チューダもやってみるであります」
ぽよんぽよんと跳ねながらチューダにダイレクトアタック。
「ひ、そんな遊びは結構なのでありますー!?」
そう叫ぶチューダ(本物)。しかし、
「チューダ、ここで負けたら男が廃るんじゃない?」
どこからか聞こえた声にしたがって、ついつい自分もチャレンジしているのであった……チューダとはそう言う存在なのである。
●
「それにしても皆どうしてそんな面白い喋り方に……もしかして街の流行りですか? どうにも私は世間に疎いので……」
そう尋ねてくるのはこれまたマイペースな多由羅。
どうやら彼女は口調の変化が無かったらしく、しみじみと、そういう言葉を放つわけである。
その上、
「それにしても、皆様そろって太ってむだ毛だらけとは……私生活がだらしないのではありませんか?」
「いやいやいや、おまえも同じ姿だから!?」
本人はいたって悪気なく言ったのかも知れないが、ミカとしては――いやほかの皆もだろうが――ツッコミどころ満載な多由羅の言葉に裏拳でぺしっと突っ込む。
「そもそもどうしてチューダなんだろう……」
「きっとどこかにいる偉大なる大精霊の悪戯でありますよ」
ぽよぽよ弾みながらチューダが自慢げにそう言ってみせる。
「何しろ我輩は幻獣王! 大幻獣の中でもとくにえらいでありますゆえ!」
と胸をはって言っているものの、何しろボールのように弾みながらだから、威厳とかそう言うものがほとんど感じられない。
「って言うか、チューダは……ひんぱんにリゼリオに来ているけれど、大丈夫なのですか?」
適度に怠けてからのっそりやってきた奏音が尋ねると、
「我輩、これでもしっかり仕事をこなしてから遊ぶようにしているであります!(どやぁ)」
そう言ってふんぞりかえ――ろうとして杢のダイレクトアタックを受けて言い切れない。
まあそれならそれでいいのかなぁ、と思う面々の中、ミカは
「まあ起きた事は仕方がないから……むしろ今日はチューダのおつきになってもいいかな? チューダ『師匠』?」
そう尋ねてみるとチューダはひげをぷるぷる震わせて、
「し、師匠……! そう呼ばれると、なんだかうれしいでありますな!」
感激の余り身体を震わせている。先生と呼ばれたりした事はあるけれど、師匠という響きもまたチューダにとっては感激すべきものであったらしい。まあ確かにそうだろう。
「なれば、我輩について回るといいでありますよ!」
「あ、はいっ」
奇妙な二人の一日限定師弟関係、誕生であった。
●
ところで、一日幻獣王を決意した旭はと言えば。
一人聖地で不思議がられていた。
「チューダが……仕事してる……!?」
「怠けてない……なんで??」
影で巫女たちがそう囁くのも無理はない。彼の思う『幻獣王』を演じたら、自然と巫女たちの手伝いをしていて、それが逆に怪しまれるというのだから、チューダの今までの所業というのは一体何だったのだろうかと旭も不安になるくらいである。
他にもチューダの身体能力を試す為の鍛錬をしたり、試しに空を飛んだりしてみたり(?!)、とりあえずチューダのサイズで出来そうな事を試した結果が『何故か働いてるチューダ』になったというわけである。
(どこにでも現れ、何処かへ飛び去る……我輩こそ嵐の幻獣王でありますよ……)
そんなことを思って僅かに笑う旭。
食事もいつものお菓子ざんまいでなく、野菜や果物といったものもバランス良く摂取する。このバランス良い食事というのも普段のチューダらしからぬと言う事で遠巻きに見られていたが――
……まあ、チューダの評価が上がる、と言う意味ではいいことだったのかも知れないが。
●
「リュー! これはいったい如何したことでありますか!! なんの呪いでありますか!?」
リュー(見た目はチューダ)に話し掛けてきたのは、チューダ――の見た目をした戦友ことレイア・アローネ(ka4082)だ。
無論彼女とてこの姿になったのは何かの呪いか何かとおきてすぐは大混乱だったが、とりあえずは小隊仲間でもあるリューと頭付き合わせての相談と相成ったわけで――
リューはリューで、現状をいろいろと調査済みだった。一眠りしたあとに、
『こんな自堕落ヒモ属性毛玉として生きるのはなんというか、生き物として終わってしまう……!』
と言う危機感を抱き、調べてみたら似たような現象に陥っている面々がいることも判明したというわけである。なおその時気が付いたらなにやらもしゃもしゃ食べていたことに更に危機感を抱いたのは言うまでもない。
「……いや、チューダって言うのは感染するものなんだなぁ……って、そう言う問題ですむわけじゃねーけど」
「ちなみに今、本物のチューダはどうしているでありますか?」
リューが比較的暢気に構えているなかでレイアが首をかしげてみると、チューダは今暢気に(?)ほかのチューダと戯れていると伝えられ、その言葉にレイアもああまあチューダだしなぁ、と納得してしまった。
「って、そうではなく! これが呪いで、それに関係あるのなら、詳細を聞き出すであります……!」
レイア、結構マジである。こういう時案外女の方がでんと構える気もするのだが、この二人に関しては逆のようだ。レイアはチューダのもとに押しかけて締め上げようと考えてしまうが、一方のリューはもう少しゆっくり構えている気がしなくはない。無論このままでいいと思っているわけではないが。
「とりあえず聞き込みとかもして、調べていくのがいいんだろうな」
「そうであります! このまま元に戻らなかったら、私たちはチューダハンターとして、一生……」
そこでだん! と、強く机をたたくレイア。
「一生このまま、というのは困るであります! リュー! なんとかするでありますよ!!」
「まあ、確かにな。でも、元に戻る方法もいずれ見つかるだろ? 大丈夫だって」
「リュー!」
そう言うと、レイアはなにやらペンと紙をとりだし、なにやら書き始めた。そしてそれをがっと掴み、天に向かって叫ぶ。
「さあっ! OPをお願いするであります!!」
その紙には――
『日常シナリオ:チューダ達からのお願い
担当マスター:四月朔日さくら
難易度:難しい』
――こう書かれていた。
と、どこからか、じりじりと目覚まし時計の音が響いて――
●
「……はっ!」
レイアはそこで目を覚ます。自分の手を、顔を、身体を確認してみれば、そこに毛の類は無かった。
「ゆ……夢か……なんと恐ろしい……」
額の汗を拭いながら、レイアは大きく息をついた。
夢の中での思考も途中からはまともではなかった気がする。
そもそもあの紙に書いた謎の文言はなんだったのだ?
しかしふと他にも同じ目にあった面々がいたことを思いだし……
「……そ、そうだ。リューたちは無事だろうか……? こうしてはいられん! 今すぐいくでありますよ!」
……ん?
●
夢かうつつか、うつつか夢か。
機械仕掛けの神のみぞ知る。
デウス・エクス・マキナ――この言葉で、この夢を終わろう。
●
「はっ!?」
目が覚めた瞬間、そう思わず口に出したのは岩井崎 旭(ka0234)、まだ少年の風情が残る青年である――中身は。
(周りがでっかいような、視線が低いような……これは我輩がちっさいのですか?)
そう思って、はて、ある事に気付いた。……口調がおかしい。慌てて両手を見れば、ちんまりしたお手々、そしてふっくらした毛に覆われた腕、見覚えのあるその毛並みは、
「ちゅ、ちゅ、チューダになっているであります!?」
おおおおおちつくでありますすすすす。
自分に何度も言い聞かせ、そして大きく息をついて一言。
「これは……一日『幻獣王』でありますな」
その表情は妙にキリッとしていた。……チューダなのに。
目覚めたときの違和感が半端ないのはリュー・グランフェスト(ka2419)もだ。
起きようとして、起きられない。
(おかしいな、ハンターになってから眠気で怠いなんてことは無かったんだが。風邪か……?)
そう思って頬に触れると、ぷよん。そしてふさふさ。
……いや、手がふさふさ?
「お? お?」
あちこちぺたぺたと触ってみる……うちにある事に気付いた。
即ち、手に肉球がある事に。慌てて近くの鏡を引き寄せ、おそるおそる確認すると……
「な、なんでありこりゃー!?」
普段の口調とチューダの口調の混じったへんな言葉遣いで、驚愕の声を上げた。
(なんだこれ、チューダに感染でもしたのか、これ……!?)
しかしそこは旭もだが、歴戦のハンターである。ちょっとくらいの異変に驚く――いや驚くのは驚くが尾を引くという意味で――リューではない。一通り驚きまくったら、とりあえずは何か食べようと街へ繰り出す事に決めたのだった。
そう、だいたい朝一番に一通り驚きまくれば、ある程度落ち着くというものだ。
とりあえず手足が満足に動く事を確認してしまえば、夜桜 奏音(ka5754)はほうっとため息をつく。
「なんだか普段の自分の身体と違いすぎて……動きにくくなった感じがしますね」
それでもそれなりに動けるようになっているのだから、まあ心配する事は無かろうが――そう思ってしまえば、
(まあ、チューダだし)
そう思ってだらけた一日もまあいっかぁ、と結論づけてだらける事に決め込んだ。
(いつもなら動くところではあるんですが……でもまあチューダですし、怠けてもいいでしょう……)
もっともそれに飽きれば、その時はまあその時だ。
その辺、のんびりしているというか、なんというか。これもチューダ効果、なのだろうか?
●
そんなこんなで街に出たハンターもいれば、そうではないハンターも居たりする中、まだまだ修行中のハンター・多由羅(ka6167)は街にでて似たような人影ならぬチューダ影(?)を見つけ、声をかけた。
「いや、今朝起きたら太っておりました。ついでに毛深くなって、気のせいか身長や手足も短くなって……女としてはややはしたないですし、このままでは満足に刀も振れるか不安であります……」
そう説明をすると、相手――星野 ハナ(ka5852)も似たような体格のまま、ふむふむと神妙そうな顔でそれを聞き、そして
「まあ、問題ないでありますよ。この姿は幻獣王チューダにそっくり……というか、同じと思われるでありますからな」
すると多由羅は初めて聞いた名前、と言うふうに目を丸くして、
「ふむ……たゆら……てゅーら……チューダ……なるほど、似てますね」
そういって納得したとばかりにぽんと手を打つ。
「いや、そう言う問題でもねーでありますが!?」
そう言って話に加わってきたのはチリュウ・ミカ(ka4110)。先ほどまではその近くで丸くなり、ぶつぶつとなにやら
(これはもしやハンターとして未熟な私への、天からの試練なのか……?)
(いや、もしかして……まさかこの歳で伴侶もいない私へのマリハラなのか……!?)
などと考え込んでいたが、あまりに脳天気そうな二人の会話に思わず突っ込みを入れてしまった、と言う次第である。
「二人ともどうしてこの状況下でそんなに余裕こいていられるんだー!?」
そう思いきり叫ぶと、また頭を抱えてしゃがみ込む。
何しろミカはチューダの姿になってしまった衝撃で軽く正気を失い、一時的狂気……ではないがそれだけでぐったりしてしまったのだから、ある意味仕方がない。同志がいたと言う事で、自分一人じゃないという妙な安堵感は手に入れたが。
「でも折角チューダの姿でありますよ? これを活用しない手はないであります」
そう言って妙にキリッとした表情を浮かべるハナ。
「どういうこと?」
「で、ありますか?」
「いや、もちろんこの姿なら雄……と言う事が明白でありますから、即ち……ッ、雄しりや雄っぱいを独り占めして堪能できると言う事でありますな、ヒャッハー!」
一瞬の、間。
しかしハナは本気だ。その目がらんらんと輝いている。そりゃあもう幸せそうに。
もともと色んな意味でぶっ飛ぶ傾向のあるハナではあるが、普段ぶりっこめいた言動をしている分、こういう時は欲望に忠実になってしまうらしい。欲望、と言うか妄想、と言うか。……むしろハナってそこまでお腐れ様だったのかと周囲が悩む程度に擬態が上手いのかも知れない。ぶりっこのせいでそう言う要素を隠しきっているというのかも知れないが、まあ深く追求するとあとが怖そうである。
ハナの深い闇を垣間見た、とそこに居るだれもが思ったとき。
「……それにしてももっちりまんまるでありますだんずなぁ」
そこでのんびり声をかけてきたのはやっぱりチューダ――の姿になってしまった杢(ka6890)だ。とはいえ元も幼さの残る幼児体型、その上のんびりおっとり世間知らずともなれば、むしろこちらが本物のチューダなのかも知れない、いやそうしてしまった方が世の為人の為かも知れない、なんて思わず思う輩もいそうである。
「我輩もビックリでありますよ……まったく」
あ、本物のチューダも居た。
「何しろ歩いているものの中に、我輩そっくりな面々がいれば驚くのも当たり前であります」
そう言うが、同時に、
「でも一番男前は我輩でありますな!」
そう言って聞かない辺り、流石チューダであった。
「でありますかなぁ」
はじめこそ普段の「だんず」が残っていた杢もすっかりチューダ口調。
しかし杢は何しろ丸くてふくふくのボールのごとき体躯を存分にいかしてボールになって遊んでみよう、と言う非常に可愛らしい、そう可愛らしい発想の持ち主で――
ぽよん。
ぽよよん。
身体に空気を吸い込んでぽよぽよと跳ねて、ボールのようにどのくらい跳ねる事ができるか、それを遊びにできるという子どもらしい発想力をそのまま活かせるのが、杢の最大の強みだった。
「さ、チューダもやってみるであります」
ぽよんぽよんと跳ねながらチューダにダイレクトアタック。
「ひ、そんな遊びは結構なのでありますー!?」
そう叫ぶチューダ(本物)。しかし、
「チューダ、ここで負けたら男が廃るんじゃない?」
どこからか聞こえた声にしたがって、ついつい自分もチャレンジしているのであった……チューダとはそう言う存在なのである。
●
「それにしても皆どうしてそんな面白い喋り方に……もしかして街の流行りですか? どうにも私は世間に疎いので……」
そう尋ねてくるのはこれまたマイペースな多由羅。
どうやら彼女は口調の変化が無かったらしく、しみじみと、そういう言葉を放つわけである。
その上、
「それにしても、皆様そろって太ってむだ毛だらけとは……私生活がだらしないのではありませんか?」
「いやいやいや、おまえも同じ姿だから!?」
本人はいたって悪気なく言ったのかも知れないが、ミカとしては――いやほかの皆もだろうが――ツッコミどころ満載な多由羅の言葉に裏拳でぺしっと突っ込む。
「そもそもどうしてチューダなんだろう……」
「きっとどこかにいる偉大なる大精霊の悪戯でありますよ」
ぽよぽよ弾みながらチューダが自慢げにそう言ってみせる。
「何しろ我輩は幻獣王! 大幻獣の中でもとくにえらいでありますゆえ!」
と胸をはって言っているものの、何しろボールのように弾みながらだから、威厳とかそう言うものがほとんど感じられない。
「って言うか、チューダは……ひんぱんにリゼリオに来ているけれど、大丈夫なのですか?」
適度に怠けてからのっそりやってきた奏音が尋ねると、
「我輩、これでもしっかり仕事をこなしてから遊ぶようにしているであります!(どやぁ)」
そう言ってふんぞりかえ――ろうとして杢のダイレクトアタックを受けて言い切れない。
まあそれならそれでいいのかなぁ、と思う面々の中、ミカは
「まあ起きた事は仕方がないから……むしろ今日はチューダのおつきになってもいいかな? チューダ『師匠』?」
そう尋ねてみるとチューダはひげをぷるぷる震わせて、
「し、師匠……! そう呼ばれると、なんだかうれしいでありますな!」
感激の余り身体を震わせている。先生と呼ばれたりした事はあるけれど、師匠という響きもまたチューダにとっては感激すべきものであったらしい。まあ確かにそうだろう。
「なれば、我輩について回るといいでありますよ!」
「あ、はいっ」
奇妙な二人の一日限定師弟関係、誕生であった。
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ところで、一日幻獣王を決意した旭はと言えば。
一人聖地で不思議がられていた。
「チューダが……仕事してる……!?」
「怠けてない……なんで??」
影で巫女たちがそう囁くのも無理はない。彼の思う『幻獣王』を演じたら、自然と巫女たちの手伝いをしていて、それが逆に怪しまれるというのだから、チューダの今までの所業というのは一体何だったのだろうかと旭も不安になるくらいである。
他にもチューダの身体能力を試す為の鍛錬をしたり、試しに空を飛んだりしてみたり(?!)、とりあえずチューダのサイズで出来そうな事を試した結果が『何故か働いてるチューダ』になったというわけである。
(どこにでも現れ、何処かへ飛び去る……我輩こそ嵐の幻獣王でありますよ……)
そんなことを思って僅かに笑う旭。
食事もいつものお菓子ざんまいでなく、野菜や果物といったものもバランス良く摂取する。このバランス良い食事というのも普段のチューダらしからぬと言う事で遠巻きに見られていたが――
……まあ、チューダの評価が上がる、と言う意味ではいいことだったのかも知れないが。
●
「リュー! これはいったい如何したことでありますか!! なんの呪いでありますか!?」
リュー(見た目はチューダ)に話し掛けてきたのは、チューダ――の見た目をした戦友ことレイア・アローネ(ka4082)だ。
無論彼女とてこの姿になったのは何かの呪いか何かとおきてすぐは大混乱だったが、とりあえずは小隊仲間でもあるリューと頭付き合わせての相談と相成ったわけで――
リューはリューで、現状をいろいろと調査済みだった。一眠りしたあとに、
『こんな自堕落ヒモ属性毛玉として生きるのはなんというか、生き物として終わってしまう……!』
と言う危機感を抱き、調べてみたら似たような現象に陥っている面々がいることも判明したというわけである。なおその時気が付いたらなにやらもしゃもしゃ食べていたことに更に危機感を抱いたのは言うまでもない。
「……いや、チューダって言うのは感染するものなんだなぁ……って、そう言う問題ですむわけじゃねーけど」
「ちなみに今、本物のチューダはどうしているでありますか?」
リューが比較的暢気に構えているなかでレイアが首をかしげてみると、チューダは今暢気に(?)ほかのチューダと戯れていると伝えられ、その言葉にレイアもああまあチューダだしなぁ、と納得してしまった。
「って、そうではなく! これが呪いで、それに関係あるのなら、詳細を聞き出すであります……!」
レイア、結構マジである。こういう時案外女の方がでんと構える気もするのだが、この二人に関しては逆のようだ。レイアはチューダのもとに押しかけて締め上げようと考えてしまうが、一方のリューはもう少しゆっくり構えている気がしなくはない。無論このままでいいと思っているわけではないが。
「とりあえず聞き込みとかもして、調べていくのがいいんだろうな」
「そうであります! このまま元に戻らなかったら、私たちはチューダハンターとして、一生……」
そこでだん! と、強く机をたたくレイア。
「一生このまま、というのは困るであります! リュー! なんとかするでありますよ!!」
「まあ、確かにな。でも、元に戻る方法もいずれ見つかるだろ? 大丈夫だって」
「リュー!」
そう言うと、レイアはなにやらペンと紙をとりだし、なにやら書き始めた。そしてそれをがっと掴み、天に向かって叫ぶ。
「さあっ! OPをお願いするであります!!」
その紙には――
『日常シナリオ:チューダ達からのお願い
担当マスター:四月朔日さくら
難易度:難しい』
――こう書かれていた。
と、どこからか、じりじりと目覚まし時計の音が響いて――
●
「……はっ!」
レイアはそこで目を覚ます。自分の手を、顔を、身体を確認してみれば、そこに毛の類は無かった。
「ゆ……夢か……なんと恐ろしい……」
額の汗を拭いながら、レイアは大きく息をついた。
夢の中での思考も途中からはまともではなかった気がする。
そもそもあの紙に書いた謎の文言はなんだったのだ?
しかしふと他にも同じ目にあった面々がいたことを思いだし……
「……そ、そうだ。リューたちは無事だろうか……? こうしてはいられん! 今すぐいくでありますよ!」
……ん?
●
夢かうつつか、うつつか夢か。
機械仕掛けの神のみぞ知る。
デウス・エクス・マキナ――この言葉で、この夢を終わろう。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/04/04 09:18:16 |