【AP】エクスカリバーの悲哀

マスター:奈華里

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • duplication
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2018/04/10 09:00
完成日
2018/04/25 01:28

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●骨董品
 その剣はかつて勇者と共に世界を救った伝説の剣だった。
 しかし時は過ぎ、そんな英雄伝がただの物語として語られるようになった頃、悲劇は起こる。
「何でぇ、このぼろっちぃ剣は?」
 男が見つけた剣を手に取り言う。
 ここはこの街の骨董屋、いつの間にか彼は店へと流れついてしまっていたのだ。
(無礼者、ワシに触るでないわっ)
 彼が必死にそう言うも勿論男には聞こえない。
「ぼろでも元は良いんですぜ。なんたってこれは」
 店主が自慢げにその剣の価値を語ろうとする。
「はぁ? 元は良くてもぼろはぼろだろっ…」
 が男は聞く耳を持たず、勝手に品定めをしてその剣を五千で買い取る事を決める。
「ちょっちょっとお客さん! 流石に五千ではやす…」
「文句言うなよ。これでも高い位だろうがッ!」
 ぎょろりと睨むその瞳に店主は怖じ気づいた様だった。
 そうして黙って金を受け取ると、彼を安価で手放してしまう。
(ハッ、何たる侮辱! 聞こえぬかっ! その薄汚れた手を離せッ!)
 剣が必死に訴えかける。しかし、相手がただの男では彼の声が届く筈がない。
 かつては世界を救った剣であっても、道具である彼にはどうする事も出来なかった。
 後はなされるがまま――男は鍛冶屋だった。しかも、丁度今素材を切らしていて……。
『熱い…止めろ……ワシは、まだ、生きたい…』
『剣として、生きるが本望……なのに、悔しや…口惜しや……』

●受け継がれし力
「あ、あなたがあのエクスカリバーだというのですか?」
 時は流れて、とある古道具屋で青年・ギアが一本のバールを前に話しかける。
 傍から見れば異様な光景であるが、実は今結構な緊急事態である為それを気に留める者などいやしない。それ程までに今、世界は混乱していた。いや、世界と言うには少し大げさかもしれないが…武器を持つ者を中心に、些か困った事態となっているのは事実である。
『如何にも…ワシは伝説の剣。そしてこの事態は多分ワシのせいなのじゃ』
 元エクスカリバーがギアに心の声で話しかける。
「と、いいますと?」
『おおっ、聞いてくれるか青年よ! ワシは勇者と共に戦ったのち力を失い、流れに流れ骨董屋に売られてもうた。そしてあろうことか、あの男はワシをワシを…』
 ううっと嗚咽を噛み締め(口はないのだが)、彼は続ける。
『こんな姿にしよったのじゃーーー! 全く怪しからんとは思わぬかっ! ただ叩き直してくれたおかげで魔力は戻ったのじゃが、その時ワシもどうかしておって…故にこの通りじゃ』
 今度はしゅんとした声で彼は言う。ただ、どう見ても見かけはバールであるから、見た目では判断がつかない。
(本当にこれがあのエクスカリバーなのでしょうか?)
 全くもって威厳も風格もないただのバールを前にギアは考える。
『これ、青年! 疑うでないわっ! ワシを今怒らせると事態が悪化するぞよ』
 元エクスカリバーがギアの心を読んだように言い、ギアの手をすり抜けふわりと宙に浮き通りを目を向けさせる。
 するとその先ではハンター達が慌てふためく光景――。
『あんた腕悪過ぎなのよ! もう、工房に帰らせて頂きます!』
 一人のハンターのホルスターから拳銃が飛び出し、猛スピードで飛び去ってゆく。
『ぐははははっ、我は妖刀。血を、もっと血を吸わせろーッ』
 そう言って所有者の意志に構わず、ブンブン自分を振り回させているのはそのハンターの刀らしい。
『お主はワシの近くにおるからのう…奴らの声も聞こえたか』
 元エクスカリバーが言う。
「という事はこの武器の暴走事件はあなたが」
『だからそう言っておろう。ワシの怒りと悲しみの感情が暴走したらしいのう…解決策はただ一つ』
「それは?」
 ギアが静かに問う。
『ワシを元のエクスカリバーに戻すことよ。さすれば元に戻るじゃろう。お主、武器職人なのじょろう?』
 何でもお見通しといった雰囲気で元エクスカリバーが問う。
「……わかりました。最善を尽くします」
 ギアはそう言うもこの大仕事に不安を隠せないのであった。

リプレイ本文

●正統派
 業物であれば業物である程使用者を選ぶ。昔からそう言われてきた。
 使いやすいだけの得物など玄人には味気ないと。であるから真の強者ならば粗削りで武骨な得物でも我が物とする…それこそが極みだ。
「ああ…まさか貴方と語り合う時が来るとは思いませんでした」
 そう言って引き抜くはもう一つの彼女の武器・大太刀『鬼霧雨』。
 彼女のそれとて十分大きいが、彼女と相対している刀はそれ以上。大きさだけで言えば彼女のそれの倍はある。
 名は斬魔刀『祢々切丸』と言った。黒い刀身に白銀の波紋――魔物を斬る為だけに叩き上げられたその刀は、彼女にとっては大事なものだ。何故なら、盟友(とも)から譲り受けたものだから…。その刀が彼女に牙を剥いた事に彼女自身は意外な程冷静だった。それは彼を譲り受けたのがまだ最近の事だからというのもある。
『…お主、そんな太刀で儂と戦うつもりか?』
 彼女の身長よりも更に長い刀身を持つ祢々切丸が言葉する。
「ええ、この場を収めるにはこれが一番かと」
 愛刀の事は自分が一番知っている。彼女はそれを行動で示してみせる。
『ほう…ならばやってやろうではないか。儂を扱うに相応しいかどうか…存分に試させて貰うぞ』
 するときらりと刀身が光り踏み込む足音もないままに、祢々切丸が上段から斬りかかる。
 だが、そんな大振りの動きでは多由羅(ka6167)を仕留める事は出来ようもない。真一文字に刀を翳して、彼女はその一撃を大太刀で受け止める。けれど見た目以上に祢々切丸の力は強くて、彼女の太刀に重くのしかかる。
(くっ、ここまでとは…)
 祢々切丸の初手に圧倒される彼女。しかし、ここは必死に食下がる。
『おうおう、どうした小娘…そんなもんか?』
 その挑発に触発されて、彼女のスイッチが入った。
 体中のマテリアルを研ぎ澄ましそのまま太刀を押し上げ突き返す。
「貴方が私を認めて下さるまで…私は負けないッ」
 そうしてその勢いのまま、下がった祢々切丸に反撃開始。縦に斜めにラッシュの如き打ち込みをかける。
『ハッ、そうでなくてはつまらんわっ! ゆくぞっ、小娘ェェ!』
「望む所ですっ!」
 刀と多由羅が激しくぶつかる。ここは河川敷――周りを気にする必要はない。

 だが、こちらのペアは違った。
 ゴゴゴゴゴーー
 そんな威圧感を肌で感じて、ジャック・エルギン(ka1522)は大通りのど真ん中で後ろを振り返る。
 けれど、その気の主は見当たらない。
(あれ、気のせいだったか…?)
 そう思いやり過ごそうとしたその時だ。
『何無視してんだ、ゴラァ…』
 聞こえたのはドスの利いた女の声――明らかな敵意に再び振り返るもやはりそこに声の主はいない。
 が次の瞬間後頭部に痛みが走って、そちらに手を当てれば生暖かい液体が…。
『フンっ、峰打ちだよ。感謝しなっ』
 宙に浮いたバスターソード『アニマ・リベラ』が言う。
「いや、剣に峰ってないか……って、なんじゃこりゃあぁぁ!!」
 冷静に突っ込みかけた彼だったが、思わぬ事態にそれ所ではない。流れる血液もそのままに思わず叫んでしまう。
 その声に周囲の人々も事態を知って更に混乱が伝染する。
「お、おま…何で、どうして…」
 無意識に後づさるジャックを前に剣がキラリと刀身を光らせる。そして、
『おうおう、よくもこれまでぞんざいに扱ったくれたねぇ…覚悟はできてるかい?』
 とじりじり詰め寄り彼を追い込む。
「ちょっ、ちょっと待てって……俺には、何がなん」
『はっ、逃げんじゃないよ。アタシは今猛烈に怒ってるんだからねッ』
 言うが早いか、特別な龍鉱石を元に作られた剣が赤黒く輝きが猛然と主に斬りかかる。
(う、嘘だろ…俺の愛剣が雑魔化したのかよっ!)
 状況をそう勝手に理解して、彼は一旦逃走を開始する。
『あっ、待ちな! 言いたいことは五万とあるんだからねーッ!』
 その様子に更に腹を立てて、一人と一本の鬼ごっこが始まるのであった。

●変わり者
 一方、主ではなく武器が困惑しているケースも存在する。
 それはどういう事かというと主が従順…というか、武器を溺愛している場合である。
『いや、もうホント勘弁してくれ…』
 主からの熱い眼差しに頭蓋骨の形状をしたランタン『ババ・ヤガー』は終始困り気味だ。いつもなら左目の淡い緑の炎をギラギラさせているのだが、今日は些か勢いに欠ける。というのも意志を持ったと同時にマルカ・アニチキン(ka2542)が彼にこう言ったのだ。
「あぁ、これは神の思し召し…折角話せるようになったのですから私と毎日一時間おしゃべりして下さいね」と。
 元々彼女はこのランタンと話がしたいらしかった。意志を持つ前もこのランタンを見つめてはうっとりしたり、微笑んだりとまるでこの頭蓋骨を大事なぬいぐるみの様に扱っていたから仕方がない。
「やっぱり、素敵……その輝きは、私が保証します」
 恋人に向ける様な熱い眼差しでマルカが言う。ババ・ヤガーからすればもうその言葉は耳タコだ。
(あーもう、マジでむかつく。誰だよ、俺に意志なんて授けたのは…こちとらこんなの迷惑だってーの…)
 これは彼の本音だ。正直愚痴ってしまいたい所だが、ここはぐっと堪える。きっとここで言葉にすればマルカから十倍の「何で?」が帰ってきそうなのだ。
『なあ、あんたそんなに俺のこと好きか?』
 自分を前に跪いているマルカに彼が尋ねる。するとマルカはこくこくと首を縦に振る。
『いや、だけど、俺を毎回連れ歩くとかどうかと』
 一応魔術道具ではあるが、武器として自分は不十分な事は判っている。なのに、彼女は四六時中自分を連れ歩く。その理由が彼には判らない。戦闘の時もおつかいの時も、寝る時も…流石にこちらとしてもウザく思える程だ。
 だが、彼女はこれにあっさりこう答える。
「だって私にとっては貴方は家族ですから。一緒にいるのは当然の事です」
 と――そう言われるとウザくても悪い気はしない。
(くそぅ、何で俺だけ……あぁ、もうマジ面倒くさいなぁ)
 そこでこの状態を抜け出す策を考えようと周囲を見回し、彼は気付いた。
 視線の先の異質な気配…異質と言うのは少し違うか。悪意のあるモノではなく、どちらかといえば自分に近い気を感じる。
(もしかして、あれって…)
 ぼぅと一瞬瞳の炎が燃え滾る。
「ヤガ―ちゃん?」
 その様子に目を丸くする彼女に、
『おい、俺の為を思うなら協力しろッ! でないとお前を呪うぞ』
 ババ・ヤガーがそう言い飛び出す。
「あ、待って~~」
 その後ろを慌てて追いかけるマルカであった。

 さてここにも困ったペア。主の名は鞍馬 真(ka5819)、得物は魔導剣『カオスウィース』という。
 ここもまた武器を違った意味で困らせている主である。
『だーかーらー、よいか心して聞けよ。お主はどうしていつもそうなのだっ!』
 剣の腹で主の頭を小突きながら説教する親父の如き口調でカオスウィースが注意する。
 彼の悩みは主がいつも無茶をする事にあるらしい。
「いや、しかしだ。ハンターとしては自分を大切にするより、目の前の人を助ける方が普通だろう?」
 ハンターとしてもっともな意見ではあるが、主の怪我を数々目にしている彼としては引き下がれない。
『そんな正論聞きたくないわーっ! 我が言いたいのはそのせいでどれだけ周りに心配をかけているか、という事だッ! いいか、木乃伊取りが木乃伊になるという諺があるであろう。主もそれになり兼ねんからしてだな…』
「言いたい事はわかるよ。しかし、それでもどうして私はハンターだからな。少し位は」
 チカチカ光る剣を余所に主の方は平然と言葉する。
『少しだと? 馬鹿言うでない。少しでワーカーホリックなどという称号が付くものかっ!』
 直訳すれば仕事中毒――仕事を生き甲斐とするのは悪い事ではないが、何事もやり過ぎはいけないと諭す。
 けれど、当の本人は注意されても苦笑いを浮かべるだけ。いざ現場を前にしたらどうなる事やら気が気ではない。
「それに私はそれ程無茶はしていないよ」
 付け加えるように真が言う。
(うぬぬ、やはり無自覚であったか…)
 その言葉にカオスウィースはない頭を抱えた。
(どういえば伝わるのだ。我がこれほど言ってやっているというのに…)
 周りの武器達の様に戦うべきか。否、力だけでは何も解決しない事を彼は彼なりに理解している。
(全く、人間の言葉とは難しいものだな)
 諦め半分でカオスウィースが溜息をつくような仕草を見せる。それに気付いて真も何かを汲み取ったようだ。
「すまない、こんな主で。とりあえず意図的に減らすのは難しいかもしれないけど、少し努力はしてみるよ。だから、これからも力を貸してくれないかな?」
 終始穏やかな表情で真が言う。それにカオスウィースが折れて、
『…ふん、お主がそう言うならしばし付き合ってやろう』
 そうぼそりと呟く。
(ふむ…私の剣はツンデレだったか)
 真がそう感じていると突然街にまで届く爆音が響いて、真は彼を握り締めそちらへ駆け出す。
(ああ、やはりまだ説教が足らなんだか)
 そう剣は思うも言葉にはしない彼であった。

●復活と終焉
(あーやべぇ、さっきの出血でくらくらしてきた…)
 初手で貰った一撃は思いの外、傷が深い。いや、正確には止血せず走り回っている影響の方が大きいか。手加減はしてくれていたようだが、それでも傷になっている事に違いはない。それでもこの場での騒ぎはまずいと必死にジャックは訓練場を目指す。
『ハッ、反撃してこないとは情けないねぇ~』
 後ろでケラケラとアニマが笑い声を上げる。
「なあ、俺何かしたっけ? 俺には心当たりが…」
『ないって言うのかいッ! ゾンビの時もスライムの時もアタシはどんだけ気持ち悪かったか! なのにアンタはばかすか好き勝手振り回しやがってッ! どうせアンタは威力が高けりゃ何でもいいって思ってんだろォ!』
 彼女の怒りはとうに頂点を越えているらしい。次から次へと怒りの言葉が溢れ出す。
「あっ、あー…確かにあの時は悪かったけども、それはあれだろう。俺はそんだけお前を頼りにしてるって事で」
 そうでなければ彼女を作った時も立ち会ったりしない。このバスターソードはジャックの父と共に叩き上げられたものだ。だからこそ、どんな時も信頼をおいて彼女を相棒としていた彼である。
『はん、都合のいい事言ってんじゃないよ! アタシはアタシは』
「ちょっと待ったー…です」
 とそこへピンク髪の少女が仲裁に入る。
「あんたは?」
「じ、事情は後です。そちらの剣さんは龍鉱石の特別製…ですよね? ぜひ来て下さい」
 内心心臓が飛び出そうになりながらマルカが言う。
『あぁ? 邪魔すんじゃ』
「まぁ、待てって。な、話を聞こうじゃんか」
 尚も不意打ちに近い形で攻撃してくるアルマを寸での所で両手で挟み受け止めジャックが言う。
『チッ、流石だね。今は許してやるよ…だが、次があったら覚悟しなよ?』
 アルマはそこでようやく剣をひき、マルカと遅れてきたランタンに言葉をかける。
『さて、あんた達。訳アリのようだねぇ…アタシになんか用かい?』
『おう、俺らをこんなにした奴を元に戻すにはねぇさんの力が必要なんだよね。だからついてきてくれよ』
 ババ・ヤガーが頼む。
「こいつも喋って…ア、ヤバッ」
 そこで誰かが倒れる音がしたが、こちらの三人は気にしない。
 次はあれとばかりに河川敷から感じる大きな力の方へと進路を取るのであった。

『もうそろそろ諦めたらどうだ?』
 祢々切丸が言葉する。
「いえ、まだこれは序の口。でなければあの子に顔向けできませんから」
 あの子とは盟友の事か。しかし、よく見れば彼女の鬼霧雨も祢々切丸も所々も歯毀れが始まっている。
「もう二人共やめたらどうだ? 互いにボロボロだろう」
 余りにも大きな騒ぎになっている事から真が二人に呼びかける。だが、言葉で動く二人ではない。
『どっちかが倒れるまでやるまでよ…のう、小娘?』
「ええ」
 やはり性格も似たもの同士か、こう言う所は気が合うようだ。
「困ったな、どうしたら?」
 真が呟く。それを受けて到着早々動いたのはなんとババ・ヤガーだった。
『仕方ねぇ…やってやんよー!』
 再び祢々切丸と多由羅が激突するその前に彼は飛び込んで、両の目を目一杯光らせる。
『むっ、何奴!』
「ま、まぶし」
 その光に包まれて二人の刃は交わらず、祢々切丸は多由羅を、多由羅は祢々切丸を庇う様に動いて…どうやらなんだかんだ言っても互いを気にかけていたらしい。
『ほう、あのランタンやりおるのぅ』
 カオスウィースが感心する。
「あの、貴方方も、協力の程、お願いします…」
 そんな二人にマルカが遅れて声をかけた。

 伝説の剣・エクスカリバー…その名を知らない者はいないだろう。だが、形を知る者は少ない。
 けれど、ギアは博物館のレプリカを作った経験もあり昔の文献もそこそこ所持していたから話は早い。しかし、問題はあった。力だ。一般人の彼では叩き上げるのに力不足。そこで集められた彼等である。それにだ。伝説の剣に戻す為の必須事項が難しい。
「このバールを砕ける程の強靭な武器とそれを溶かす程の灼熱の様なオーラ、そして絆の強き者達の力がいると書かれています」
 特殊な力を秘めたものだけに作る側も特殊でなくてはならないという事らしい。
『でアタシ達を呼んだって訳だね』
 赤のオーラを持つアニマが言う。
『フム、まあ儂にかかればやってやれん事もないからのう』
 そう言うのは祢々切丸だ。パワーが超ド級だという事はさっきの戦いで証明されている。
『で、我らが絆担当と?』
 カオスウィースが照れているのか小さな声で問う。
「はい。あの状況下にあって仲がいい。つまりは負の魔力に打ち勝った方だと判断しました」
 ギアにそう言われて更に照れるカオスウィース。ちなみにマルカとババ・ヤガ―は設計図を照らす役目を担い、ギアは型作りやら打ち込む際の力加減の指示に徹する。
「行きますよ、祢々切丸。貴方の力を見せて下さい」
 まずは多由羅が渾身の力でエクスカリバールに祢々切丸を振り下ろす。出来るだけ細かく、バールを鉄屑へと戻していく。そして次はアニマの出番。意識を取り戻したジャックが握ればさっきと違う深紅色の綺麗なオーラが立ち昇り砕けたバールに力を送られ素材を溶かし始める。そうして最後は真達の番。溶けた素材を型に流しベースを作ったら、カオスウィースと共にギアの指示の元叩き上げる。何度もそれを繰り返して、数日後の朝日に工房が照らされる頃にはエクスカリバーが復活し、皆の武器からは意志が自然と消えてゆく。
「ヤガ―ちゃん…」
 マルカが静かに涙する。
『またな、相棒…』
 だが、ハンター達の心には武器達からのそんなメッセージが届いた気がして、いつも以上に手入れをするハンターが多かった事は言うまでもない。

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参加者一覧

  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • ジルボ伝道師
    マルカ・アニチキン(ka2542
    人間(紅)|20才|女性|魔術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 秘剣──瞬──
    多由羅(ka6167
    鬼|21才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/04/10 09:12:41