クリムゾンウェストの歴史

リアルブルーの未来

本頁では、血断作戦以後の、リアルブルーの未来について記す。

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西暦2020年1月
月が正常に稼働開始したことを確認しつつ、地球周辺のデブリ排除が最終段階へ入る。
公転運動を再開しても問題がないというリアルブルー大精霊のお墨付きを得た後、凍結封印が解除される。

世界中で停止していた時間が動き出したことによる混乱が生じたが、地球には既にVOIDが一体もいない状態であり、混乱は予想よりもかなり短期で収まっていく。
凍結されていたはずの人々が口々に「同じ夢を見ていた」と供述。
原因などは不明だが、封印されている間も一部の人々は邪神戦争の様子を何らかの手段で認識していた模様。
この意図せぬ現象もまた混乱終息に一役買う。
以後、しばらくの間は停止していた社会インフラの復活などを最優先とし、復興の日々が続く。
西暦2020年5月

停止していた社会が概ね正常に動作を開始するも、各国それぞれ自国の調整で手一杯な状況が続く。
統一連合議会はほとんどその実行力を失うも、ドナテロ・バガニーニ(kz0213) の働きかけで宇宙開拓における利権の公平な分配という、設立当初の理念に原点回帰した集団として再編される。
なお、ドナテロは【空蒼】事件後もそもそも議長職を正式に解任されていなかったため、引き続き議長続投という形に収まる。
「あんなに色々あったのに、我輩でいいのであるか!?」と当人は困惑気味であったが、むしろ彼以外誰も矢面に立ちたくない状況であった。
これもある意味原点回帰である。

クリムゾンウェストにいた頃からちゃっかり根回しを進めていたドナテロ、崑崙に本部を置く宇宙自治政府(月とコロニーへの宇宙移民社からなる自治組織)の権限拡大に成功。
これによりかねてより存在していた宇宙と地上との権利格差がある程度是正され、スムーズにコロニーの復元作業が進められることとなった。
宇宙に住まう人々は地上国家権力からある程度解き放たれ、完全とは言えないものの、対等な関係性を築いていくことになる。
これにより宇宙開拓には国家よりも民間企業の発言力が高まっていく。これまたちゃっかり、アワフォード社が宇宙開拓事業に乗り出す。
西暦2020年6月
ドナテロが準備を進めてきたクリムゾンウェストとの交流に進展あり。
第二次帰還と呼ばれる、未だにクリムゾンウェストに残されているリアルブルー人の帰還が行われる。
サルヴァトーレ・ロッソを用いた転移による人員輸送により、前回の第一次帰還に同行できなかった人々も地球への帰還を果たした。
彼らは自分達がクリムゾンウェストでいかに厚遇されたかを解き、恩人であるクリムゾンウェスト人との再会を望んだ。

どういうわけか一度廃案になった法案と同じ名前の「異世界特別対策法」が持ち上げられる。
過去、既にリアルブルーで行われていた許諾を受けた都市同士の転移許諾と、覚醒者という超人が異世界を行き来する上で必要とされる法整備であり、かなり現実的な内容であった。
異世界とのターミナルポイントとして真っ先に名乗りを上げたのは宇宙自治政府。
月面都市崑崙限定で異世界転移門が稼働し、覚醒者限定ではあるものの、自由な行き来が可能となる。
西暦2020年9月
世界各国にターミナルポイントが設置される。
覚醒者限定ではあるものの、かなり自由に2つの世界を行き来できるようになった。
リアルブルーに永住も可能であるが、定期的にかなりの量の書類を提出しなければならないなど、不便が多い。

一方、異世界転移門を通過できるのは覚醒者に限定されるため、非覚醒者の移動には至っていない。
また、覚醒者を受け入れない国家・組織・宗教も少なくはなく、表立って揉めることはなくとも、両世界の完全な融和を目指すのは困難な状況。

クリムゾンウェストから転移してきた覚醒者が起こすトラブルへと対策するため、ハンターズ・ソサエティと協力し、リアルブルー側にもオフィスが設置される。
この活動に協力する覚醒者は統一連合議会から「ライセンス」が発行され、「エージェント」として活動することになる。
しかし、もっぱら彼らの仕事は異文化コミュニケーションのすれ違いを仲裁することで、いかにもな凶悪犯罪は稀である。
西暦2021年3月
かねてより建造計画が進められていた、戦闘能力を排除した異世界転移船「サルヴァトーレ・リーラ」が完成。
見た目はサルヴァトーレ級四番艦ではあるものの、非武装。その分ホテルやショッピングエリア、貨物スペースを大幅に強化している。
リーラによる異世界への転移には片道2週間ほどを要する。瞬時に行われない転移だが、ゆっくり転移する分ローコストであった。
これにより、非覚醒者の異世界旅行が可能となるが、まだまだ庶民が手を出せる価格帯ではない。

また、リーラを用いたリアルブルー難民の第三次帰還が行われる。
これにより、「帰りたいけど帰れなかった」というリアルブルー人はクリムゾンウェストからいなくなった。
まだクリムゾンウェストに残っているのは、あちらの世界が気に入ってしまった永住希望者である。

どちらかというと企業がビジネス目的で交易を行うものとして注目を受けることになるが、双方の世界では技術体系が異なり、リアルブルーから送られたものがクリムゾンウェストで正常に動作するとは限らなかった。
また、そもそもいかにハイテクで便利なものでも、クリムゾンウェストの生活に馴染まないようなものは、商売にならない。
頭が柔らかいのはどちらかというとクリムゾンウェスト人の方で、初めて異世界に触れる者ばかりの「地球人」にとっては難しい商談となる
西暦2021年8月
VOIDに破壊されたコロニーらの修復が概ね完了する。
完全なものではなかったが、宇宙自治政府は表向きには既に万全であるとアピールしたい狙いがあった。
同月、アワフォード社と協力し、宇宙自治政府は火星圏の開発に再挑戦することを発表。
火星クラスタ消滅後、調査が中断されていた火星からは新たな資源の入手と人類生活圏の拡大が期待されていた。

元SOT隊員などを含む民間宇宙調査隊「オービタル・ファインダーズ」が結成される。
邪神戦争を生き残ったパイロットが続々と参加し、プロジェクトは凄まじいスタートダッシュを切る。
だが、誰よりも先に火星を目指して飛び立ったのは、黒い超大型艦とそれに一人で乗り込んだ男であったという。
彼についての記録はほとんど残っていないが、噂では「宇宙空間でも自在に活動できるVOIDの生き残りだったのでは」とも囁かれている。
西暦2021年10月

統一連合議会、月面基地「崑崙」を中心に地球全体に「転移門」ことターミナルポイントを設置する「ユグドラシル計画」を発動。
転移の技術を用いて都市を結び、移動時間の大幅な短縮を図る。
ユグドラシル計画は「世界樹」が存在する月面都市崑崙が中心的な役割を果たす。
この頃まで時折トマーゾ・アルキミア(kz0214) の名が歴史上に刻まれているが、このユグドラシル計画の発動前後、彼に関する記録はぱったりと途絶えている。
ターミナルポイントの技術にはエバーグリーンの技術がふんだんに使われていたと言われており、トマーゾがこれに協力したことは間違いない。
ネイサン・アワフォードはその後もトマーゾ教授を探し続けていたようだが、結局トマーゾ教授を捕まえることはできなかった。

「隠居するのはまだ早いですよ、マエストロ! 次は火星に立派なドリルをつけましょう!」
「何百年ジジイやってると思っとるんじゃ!? もう解放してくれ!!」

このユグドラシル計画により世界各地のターミナルポイントが整備され、それは後に世界中でクリムゾンウェストへの転移が可能となる未来へと続いていく。
西暦2023年2月
邪神戦争終戦記念館がオープン。
邪神戦争の記録は散逸が激しく、口伝でしか残らない出来事も多かったが、ハンターズ・ソサエティの協力もあり、かなり信頼性の高い博物館が完成する。
イクシード・アプリや強化人間といった人々の真実が伝えられ、世間を大いに騒がせた。

残念なことに、一度世界と敵対した彼らを「敵」として許さない人々は少なくなかった。
だが、正しい情報が伝えられ、彼らが邪神戦争の最後には地球奪還のために命を擲って戦い抜いたことが世論に認められるようになる。
強化人間の名誉回復にかかった時間は長く、その裏ではムーンリーフ財団などの地道な活動が実を結んだ結果だ。
孤児なども多く身元がわかっていない戦死者も多いが、わかっている分の名前を刻んだ慰霊碑が終戦記念館の敷地内に配置されている。
西暦2032年8月
11年もの歳月をかけ、ユグドラシル計画が完了。
これにより世界各地が転移門で結ばれると同時に、各国主要都市から非覚醒者であってもクリムゾンウェストへの転移が可能に。
ただし、ゲートキーパーと呼ばれる覚醒者のマテリアルエネルギーを利用しているため、計画的な利用が必要となる。

既に法律は整備され、クリムゾンウェスト人がリアルブルーに移住することも可能であり、その逆も然り。
クリムゾンウェストとリアルブルーでは言語が異なるが、パルムと同じ機能を有する携帯端末により、特に問題なく社会へ溶け込んでいく。
町中でエルフやドワーフを見かけるようになる。
西暦2038年9月
火星第一の都市「ベアトリクス」が完成。
崑崙とほぼ同様の機能を持つ都市であり、火星までターミナルポイントを用いて転移することも可能。
火星都市の完成に伴い、世界中が熱狂的な火星ブームに。
火星開拓団を率いていた一人の青年が第ニ都市の開拓を始める。
噂によると青年はもう何十年も「青年」らしい。
西暦2120年12月
歴史上最後となる「神」の活動記録。神によるクリスマスプレゼントの配布。
大精霊と呼ばれた一人の少年は、世界各地を転々としながら紛争を未善に防いだり、地球環境の保護に努めた。
その日までは世界中のあちこちに「神」の記録が残されているが、この日を境に彼の記録は途絶えている。
地球環境はむしろ回復の兆候を強く見せており、消滅したわけではないと思われるが、原因不明。

神が残したとされる手記もいくつか残されているが、いかにも神が書いたとは感じられない低予算&自費出版である。
誰かがイタズラで書いた創作なのか、本当に神が書き記した神話なのか、結局人類は判断できないままでいる。
西暦21XX年X月
ユグドラシル計画により拡張されたターミナルポイントに異世界からのコンタクト。
並行宇宙との扉が開かれる。