※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●モーターショーの開催決定
　同盟領は蒸気工業都市「フマーレ」にて。
「魔導トラックに必要なのはどこでも走れる踏破性だよ。つまり、ユニバーサル・モータードライブ・ギアだ」
「いーや、古いよ。いま魔導トラックに求められているのは快適な居住性、スーパーサルーンさ」
　どこぞの顔役の園遊会にてそんな熱い口論がなされている。いかにも現場たたき上げ風の男性といかにも商人風の男だ。
「いやいや。魔導トラックにこれまで欠けていたものは洗練されたデザイン。誰もがこの車の所有者になりたいと思わせるプライオリティ溢れるアーバンスタイルだね」
「おほほほほ。魔導トラックをそんな下品なものと捉えていてはこれからの需要は開拓できませんわ。これからはゴージャスでグラマラスでありませんと。いわゆるラグジュアリースタイル」
　そこに気取った男とケバいご婦人が。
「デコならこれまでにも方向性はありましたね」
「馬力だよ」
　執事風の保守派な老人が加わり、男は背中で語る風熱血男性が加わる。
「そんじゃ、魔導トラックの最先端を展示するイベントでも開きましょうかね」
「あら、いいわね」
「それがいい。『同盟モーターショー』と銘打ち大々的にやろう」
　わっと盛り上がるところ、別の男が会話に加わった。
「それなら俺のとこも参加するぜ？　戦闘時の被弾経始を最大限に考慮して……」
　――びくり。
　騒いでいた者たちが一斉に固まった。
「戦闘的なものはダメだ！」
「ど、どうして？！」
　止められ理由を求める先の男。
「……以前、軍への採用を目指し【可変魔導トラック「ＢＭ‐Ｘ」】を開発していたところが歪虚に狙われただろ？」
　元「十三夜（ギボス・ムーン）」のガリアや技術者たちが襲われ新型ビルドムーバーを奪われている。
「ガリアさんらは全員死亡。あの悲劇だけは繰り返したくない」
　しんみりする中、誰かが声を挙げた。
「なあ。今回のモーターショー、また歪虚に襲われないか？」
「ふむ、一理あるが……護衛を頼めばいいだろう」

●そのころのルモーレ
「ひゃっ、ほー！」
　荒野を疾走する【可変魔導トラック「ＢＭ‐Ｘ」】――いや、マイナスマイナスマテリアルを纏った【可変歪虚トラック「ＢＭ‐Ｘ」】の運転席で、堕落者「ルモーレ」がアクセルを踏み込む。
　――ぶろぉん！
　小砂利を跳ねて加速するＢＭ‐Ｘこと「ビルドムーバー」。
「カカカ……。面白れぇ。チェスの手駒は失ったが新しいオモチャはやっぱりいいねぇ」
　楽しそうに運転するルモーレ。すでに腰に提げた以前までのオモチャ――オリーブハイプ「♭」には意もくれない。
　――したたっ。
「ん？」
　その横に、魔導トラックより少し小さいくらいの黒豹――といっても、明らかに生物ではない。表面は泥のようである――が現れて並走しはじめた。
　で、その黒豹がくいっと横に首を一つだけ振る。
「……おもしれぇ」
　ぶろん、と方向転換。
　そしてしばらく走ったところでは、先のような黒豹泥歪虚が幌馬車の商隊を襲っていた。
　護衛には魔導バイク部隊がついていた。黒豹泥歪虚と交戦している。
「こりゃ……初華を誘わなくてよかったねぇ」
「何を言うか。戦線は維持されているではないか！」
　いつも南那初華(kz0135)のＰクレープの隣で自転車修理屋台を開いている「戦場詩人」ことダイン・マイルと「兵飛神速」の赤いバイクがシンボルのマッハ・リーが言い合う。
　実際、黒豹泥歪虚三匹はバイク護衛団の奮闘で抑えていた。このまま逃げ切れるかどうかの踏ん張りどころだった。
「いや……新手だよ。多分」
「なに？！」
　ダインに言われたマッハが首を巡らせると、上がっていた土煙から一気に歪虚トラックがばうんと加速して来た。
　そのまま突っ込んで来ると見て斉射するが、歪虚ビルドムーバーはジャンプしつつ人型に変形。
「何だと？！」
　見上げた中空に、ガニ股で跳躍頂点に達するするビルドムーバー。
　そして金田パースもといド迫力で手にした銃を構え射撃。バイク部隊の数人が倒れる。
「着地間際を狙え！」
　――どしゃっ、ぶろん……。
「なんだとぉ？！」
　ビルドムーバー、着地。しかし衝撃に耐えるため動きを止めることなしに歪虚トラックに変形し、着地の衝撃をそのまま推進力にしてその場を後にした。動きが止まると読んでいたマッハとダインの射撃は外れる。
「まずいね。多分狙いは俺らだ。……ここは商隊から引き離すのが得策だね」
「うむむ。仕方あるまい」
　ダインの言葉に従うマッハ。その逃げ足の速いこと。
「ほう、おもしれぇ」
　ついていくルモーレ。

　この後、バイク部隊は命からがら逃げおおせたという。

　蒸気工業都市「フマーレ」で開催する「同盟モーターショー」の護衛をしてください。堕落者「ルモーレ」の襲撃を恐れているため、フマーレ郊外の草原で食い止め都市部に入られないようにしてください。

◆敵
・堕落者・ルモーレ×１
　陶器のような肌をしたほっそりした長身の堕落者。
　攻撃はナイフ投げなどのナイフアクション。
　防御は「偽影」による必中魔法回避（または軽減）と、偽影を伸ばした先への瞬間移動（これまで発動が稀だったため、使用回数制限が噂されている）

・可変歪虚トラック「ビルドムーバー」×１
　強奪した【可変魔導トラック「ＢＭ‐Ｘ」】を、マイナスマテルアル動力に変換したもの。サイズ２。
　トラック形態から人形アーマー形態へとスムーズに変形できる。
　攻撃手段は手にした銃による近距離射撃。近距離なので威力は高め。非実体弾。
　防御は左前腕部に固定された盾。マイナスマテリアルナイフも隠し持っている。
　ルモーレが搭乗。変形後、コクピットは背面内部に。

・黒豹泥歪虚×４
　大型（サイズ２）の、泥で形作った高速移動戦闘型歪虚。
　攻撃は肉弾戦のみ。
　防御は特にないが、内部にある小さな光球のコアを潰さないと再生する。

◆勝利条件
　ルモーレの撃破もしくは撤退。

◆敗北条件
　フマーレの市街地に敵歪虚を侵入させること

◆初期配置
　敵はフマーレ郊外。
　参加者はフマーレ内のモーターショー会場の近くもしくはシナリオ「【陶曲】灰色の一夜城～フマーレ」で築いた待機櫓。同シナリオのサーカス会場がモーターショーの会場なので、ルモーレが来る方向を警備できます。

※参加者が有利になる情報は、ＯＰでのハンターたちの戦闘で得ることができるでしょう。いままでルモーレと戦ったことがない人でも、おおむね性格や行動を把握することができます。

　ふらっと、深夜です。

　お待たせしました。
シナリオ「【陶曲】灰色の一夜城～フマーレ」
シナリオ「【陶曲】ルモーレの動く城」
　の続きです。
　ユニットの待機櫓もそのまま活用できます。

　以下、解説の追加。

◆友軍
・フラ・キャンディ（kz0121）
　エルフの隠れ里「♭」の追放者たる「百年目のエルフ」。
　魔導アーマー「プラヴァー」の「ロリポップ」に搭乗して参戦。打撃戦闘特化型。
　今回は最終ラインとなるフマーレの目の前に待機する予定。

　討伐は当然大成功寄り。
　では、よろしくお願いします。