ゲスト
(ka0000)
秋の晴れ間に大掃除
マスター:KINUTA

このシナリオは2日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2018/10/05 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/10/16 19:00
オープニング
●ご契約ありがとうございます
「こんにちは、お久しぶりです」
営業所に入ってきたカチャを、ハンターギルド推薦の不動産屋は、最大限の恵比寿顔で出迎えた。
「これはこれはカチャ様、お久しぶりです。お元気でしたか」
「ええ、はい。あのー、キープしてた例の物件のことなんですけど……あの後いくつか回ってみたんですけど、やっぱり一番安くて、かつ立地条件もいいのがあそこなんですよ」
「そうでしょうそうでしょう、間違いなく掘り出し物件ですよあそこは。商店街の並びで買い物も便利、おまけにハンターオフィスも近い。そりゃもちろん、あそこで商売を始めると必ず失敗するというジンクスはありますが、それだって前にご説明したとおり商売をしないなら問題ないはずですからね」
「……商売をしないっていう前提で入居した人これまでいないんですよね?」
「はい」
「なら、その場合本当に何も起きないかは確認出来てないわけですよね?」
「まあそうです。ですがこれまでのジンクス発生の統計からしてほぼ、ほぼ間違いなく何も起きないかと。大丈夫ですよ、何か起きたとしても大丈夫、あなたなら、きっとなんとか出来ます。ハンターなんでしょう?」
「はい、まあ、ハンターですけど」
「現在当社では秋の新規契約キャンペーン中です。今なら例の物件、表示額から最大60%オフに出来ますよ?」
「えっ。そんなにしちゃっていいんですか!」
「いいんです! 当社としては、いつまでたっても貰い手がつかぬ事故物件など、早め早めに手放したいと考えておりますので! どうせなら賃貸ではなくローンで買取していただいてもいいんです!」
「……本音漏らし過ぎじゃないですかね」
「いいんです。上の許可は取れていますから。で、この話お進めになりますか?」
「……はいその、進める方向で」
●まずは、片付けから
カチャは不動産屋から渡された鍵で1階店舗部分の扉を開き、中に入った。
曇りがちな窓から入ってくる日差しが、あせた壁紙と隅に溜まった埃を照らしている。
2階居住スペースに繋がる階段を上がり窓を開ける。
ハケで掃いたような雲が空に浮かんでいた。空の青も薄れてきている。
もう初秋から、本格的な秋に入ろうとしているのだ。これからどんどん涼しくなっていくことだろう。
立て込んだ建物の向こうで海がきらめき、かもめが飛び交っている。
カチャはそれらを眺めながら、初めてリゼリオに来たときのことを思い出していた。
あの頃の自分には、見るもの聞くもの何もかも目新しかった。
あれから色んな人に会って色んな体験をして、大好きな人と巡り合って、今自分はここにいる。
「……そういえば私、ハンターとして独り立ちするに当たって、帝国に行くのか同盟領に行くのか迷ってたんですよねえ、始めは」
最終的にハンターオフィス本部があるリゼリオを選択したのだが、もしあそこで帝国の方を選んでいたら、今頃どんな感じの日常を送っていたのだろう。
「……何だか想像つかないですねえ」
自分自身のことなのに、とおかしくなってきて、カチャは思わず苦笑する。
肩の上に乗せたパルムが、むい?と不思議そうな顔をした。
そこで、階下から声が聞こえてきた。
「失礼しまーす」
「カチャ、いるー?」
それは、片付けの手伝いに来てくれたハンターたちの声だった。
カチャはきびすを返し、ぱたぱた階段を下りて行く。
「あ、はーい! 今日はありがとうございます!」
●小さな残りかす
ダレカ、キタ?
階段下の物陰で眠っていた小さな小さなむく犬は、バタバタ騒がしい音に目を覚ます。
カエッテキタノカナ、カエッテキタノカナ
むく犬はもう生きていなかった。だけど、自分ではそうと気づいていなかった。昔々自分を置き去りにし夜逃げしてしまった飼い主を、ずっとずっと待っていた。その飼い主は、とうの昔に死んでしまっているのに。
飼い主じゃない人間が店に来て居座ろうとすると、追い出しにかかった。吠えたり噛み付いたりして。
どちらも相手には聞こえないし感じ取れないのだが、負のマテリアルの影響は確実に伝わった。店内全体にくすんだ空気が漂い始め、店主や店員は体調を崩しがちになり、客足が遠のき、最終的に閉店だ。そうやってむく犬は長い間ここを(彼の主観的には)守ってきた。
ゴシュジンカエッテキタノカナ
ともあれむく犬は物音のする方向へ行ってみた。
そこで、勝手に店の掃除をしているハンターたちを見つけた。
「え? この一階部分を使わせて欲しいって、ニケさんが言ってきてるの?」
「そうなんですよねえ。いえまあ、世間話程度な感じの口調ではあったんですけど。この先を見据え、リゼリオにも足がかりが欲しいからって」
「いいじゃない、貸しちゃいなよ。貸し賃が取れるよ」
「でもねー、ここさっきも話したように変なジンクスがあるみたいで」
チガウ、ゴシュジンジャナイ。シラナイヤツラ
むく犬は怒った。うー、とうなり声を上げる。吠える。
ドロボウ、ドロボウ、ドロボウ、ドロボウ、デテイケ!
ハンターは一般人よりマテリアルに対する感度が高い。だから、むく犬の存在をなんとなく感じ取った。声は一切聞こえないが。
「……なんかいないか?」
「ああ、なんかいる……みたいな」
ハンターたちは目をこらした。
非常に薄いガス体が、部屋の中を移動しているのがちらっ、ちらっと見えるような……見えないような。
「亡霊型ぽい」
「じゃ、暗くした方がいい」
窓のカーテンが引かれる。外からの光が遮断される。
すると、ぼんやりブレブレに見えてきた。
こちらに向かって盛んに吠えている、小さな小さな半透明の、年とったむく犬が。
「こんにちは、お久しぶりです」
営業所に入ってきたカチャを、ハンターギルド推薦の不動産屋は、最大限の恵比寿顔で出迎えた。
「これはこれはカチャ様、お久しぶりです。お元気でしたか」
「ええ、はい。あのー、キープしてた例の物件のことなんですけど……あの後いくつか回ってみたんですけど、やっぱり一番安くて、かつ立地条件もいいのがあそこなんですよ」
「そうでしょうそうでしょう、間違いなく掘り出し物件ですよあそこは。商店街の並びで買い物も便利、おまけにハンターオフィスも近い。そりゃもちろん、あそこで商売を始めると必ず失敗するというジンクスはありますが、それだって前にご説明したとおり商売をしないなら問題ないはずですからね」
「……商売をしないっていう前提で入居した人これまでいないんですよね?」
「はい」
「なら、その場合本当に何も起きないかは確認出来てないわけですよね?」
「まあそうです。ですがこれまでのジンクス発生の統計からしてほぼ、ほぼ間違いなく何も起きないかと。大丈夫ですよ、何か起きたとしても大丈夫、あなたなら、きっとなんとか出来ます。ハンターなんでしょう?」
「はい、まあ、ハンターですけど」
「現在当社では秋の新規契約キャンペーン中です。今なら例の物件、表示額から最大60%オフに出来ますよ?」
「えっ。そんなにしちゃっていいんですか!」
「いいんです! 当社としては、いつまでたっても貰い手がつかぬ事故物件など、早め早めに手放したいと考えておりますので! どうせなら賃貸ではなくローンで買取していただいてもいいんです!」
「……本音漏らし過ぎじゃないですかね」
「いいんです。上の許可は取れていますから。で、この話お進めになりますか?」
「……はいその、進める方向で」
●まずは、片付けから
カチャは不動産屋から渡された鍵で1階店舗部分の扉を開き、中に入った。
曇りがちな窓から入ってくる日差しが、あせた壁紙と隅に溜まった埃を照らしている。
2階居住スペースに繋がる階段を上がり窓を開ける。
ハケで掃いたような雲が空に浮かんでいた。空の青も薄れてきている。
もう初秋から、本格的な秋に入ろうとしているのだ。これからどんどん涼しくなっていくことだろう。
立て込んだ建物の向こうで海がきらめき、かもめが飛び交っている。
カチャはそれらを眺めながら、初めてリゼリオに来たときのことを思い出していた。
あの頃の自分には、見るもの聞くもの何もかも目新しかった。
あれから色んな人に会って色んな体験をして、大好きな人と巡り合って、今自分はここにいる。
「……そういえば私、ハンターとして独り立ちするに当たって、帝国に行くのか同盟領に行くのか迷ってたんですよねえ、始めは」
最終的にハンターオフィス本部があるリゼリオを選択したのだが、もしあそこで帝国の方を選んでいたら、今頃どんな感じの日常を送っていたのだろう。
「……何だか想像つかないですねえ」
自分自身のことなのに、とおかしくなってきて、カチャは思わず苦笑する。
肩の上に乗せたパルムが、むい?と不思議そうな顔をした。
そこで、階下から声が聞こえてきた。
「失礼しまーす」
「カチャ、いるー?」
それは、片付けの手伝いに来てくれたハンターたちの声だった。
カチャはきびすを返し、ぱたぱた階段を下りて行く。
「あ、はーい! 今日はありがとうございます!」
●小さな残りかす
ダレカ、キタ?
階段下の物陰で眠っていた小さな小さなむく犬は、バタバタ騒がしい音に目を覚ます。
カエッテキタノカナ、カエッテキタノカナ
むく犬はもう生きていなかった。だけど、自分ではそうと気づいていなかった。昔々自分を置き去りにし夜逃げしてしまった飼い主を、ずっとずっと待っていた。その飼い主は、とうの昔に死んでしまっているのに。
飼い主じゃない人間が店に来て居座ろうとすると、追い出しにかかった。吠えたり噛み付いたりして。
どちらも相手には聞こえないし感じ取れないのだが、負のマテリアルの影響は確実に伝わった。店内全体にくすんだ空気が漂い始め、店主や店員は体調を崩しがちになり、客足が遠のき、最終的に閉店だ。そうやってむく犬は長い間ここを(彼の主観的には)守ってきた。
ゴシュジンカエッテキタノカナ
ともあれむく犬は物音のする方向へ行ってみた。
そこで、勝手に店の掃除をしているハンターたちを見つけた。
「え? この一階部分を使わせて欲しいって、ニケさんが言ってきてるの?」
「そうなんですよねえ。いえまあ、世間話程度な感じの口調ではあったんですけど。この先を見据え、リゼリオにも足がかりが欲しいからって」
「いいじゃない、貸しちゃいなよ。貸し賃が取れるよ」
「でもねー、ここさっきも話したように変なジンクスがあるみたいで」
チガウ、ゴシュジンジャナイ。シラナイヤツラ
むく犬は怒った。うー、とうなり声を上げる。吠える。
ドロボウ、ドロボウ、ドロボウ、ドロボウ、デテイケ!
ハンターは一般人よりマテリアルに対する感度が高い。だから、むく犬の存在をなんとなく感じ取った。声は一切聞こえないが。
「……なんかいないか?」
「ああ、なんかいる……みたいな」
ハンターたちは目をこらした。
非常に薄いガス体が、部屋の中を移動しているのがちらっ、ちらっと見えるような……見えないような。
「亡霊型ぽい」
「じゃ、暗くした方がいい」
窓のカーテンが引かれる。外からの光が遮断される。
すると、ぼんやりブレブレに見えてきた。
こちらに向かって盛んに吠えている、小さな小さな半透明の、年とったむく犬が。
解説
補足説明
これは、新居の掃除をすることを目的とするシナリオです。
シナリオ「よさげな物件ないですか」に出てきた例のよさげな物件を、手に入れたカチャ。
住み替えに当たって、ひとまずお掃除が必要です。そのお手伝いをお願いいたします。
ついでですので、成仏(と表現していいのかどうか)しそこねているむく犬もきれいに祓ってあげてください。
掃除が済んだら自由行動してくださってかまいません。
この機会に皆で、ハンターになった当初のことなどを語りあってみるのもいいかもです。
これは、新居の掃除をすることを目的とするシナリオです。
シナリオ「よさげな物件ないですか」に出てきた例のよさげな物件を、手に入れたカチャ。
住み替えに当たって、ひとまずお掃除が必要です。そのお手伝いをお願いいたします。
ついでですので、成仏(と表現していいのかどうか)しそこねているむく犬もきれいに祓ってあげてください。
掃除が済んだら自由行動してくださってかまいません。
この機会に皆で、ハンターになった当初のことなどを語りあってみるのもいいかもです。
マスターより
KINUTAです。
秋晴れの一日、カチャは新居を得ました。
商店の集う一角にある一戸建。一階が店舗スペース、二階が住居スペース。
広さ、日当たり申し分なし。風呂つき庭付き壁厚し。
秋晴れの一日、カチャは新居を得ました。
商店の集う一角にある一戸建。一階が店舗スペース、二階が住居スペース。
広さ、日当たり申し分なし。風呂つき庭付き壁厚し。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/10/10 23:32
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 マルカ・アニチキン(ka2542) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/10/05 19:03:25 |
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![]() |
質問卓 マルカ・アニチキン(ka2542) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/10/05 18:07:55 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/05 12:01:51 |