ゲスト
(ka0000)
【郷祭】レフト・ボーイ【空蒼】
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
魔術師協会広報室- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/11/22 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/12/01 07:30
オープニング
●一人では何もできない
連れと喧嘩をした。
エドワード・ダックワース……普段エドと名乗っている少年はむすっとしながら郷祭の雑踏をずんずんと進んでいる。
何のことはない。ハンク、ジョンと言う友人と三人で来ていたのだが、空腹と初めての場所での不安が募ってつい心にもないことを言った。それに噛み付いたジョンと大喧嘩になって、彼は単独行動になってしまったと言うわけである。
そもそも、エドは人付き合いが得意な方ではない。距離の取り方が下手なのだ。ハンクやジョンと一緒に転移してきたのが奇跡のようなものである。
だいたい、いつも勢いで心ないことを言ってしまって後悔する。言うんじゃなかったと思っても後の祭りで、皆咎めるような目でこちらを見る。
俺が悪いわけじゃない。怒らせるのが悪い。そう胸中で言い訳しても、後悔と後ろめたさは正直なものだ。
買った軽食を食べてしまうと、段々落ち着いてきた。だが、ハンクならともかく、ジョンとあまり仲が良くないエドは素直に謝ると言うことに抵抗があった。要するに意地を張っているのである。
と、前方に人だかりが見えた。なにやら舞台でもやっているらしい。エドが出たのは舞台の斜め前方で、小学生くらいらしい子どもたちが、どうやらハンターの芝居でもしているようだ。
少し離れたところでそれを見る。
エドはあがり症でもある。おおよそ、注目される場面になると、指先がすっかり冷たくなって喉がカラカラになってしまう。普段横柄な口を叩いているせいで誰もそんなことは知らない。
(よくあんなことするなぁ)
小道具の剣を振り回しながら、淀みなく台詞を言い放つ少年を見て、呆れた様な、感心したような、あるいは憧れたような気持ちになる。
エドには絶対にできない。観衆は、舞台に立つ者を選んでいる。エドが立てばたちまちブーイングに相違ないだろう。
別に良い。問題は、ブーイングするくせに立たせる連中であって……。
場違いに甲高い音がした。悲鳴が上がる。はっと顔を上げると大きな猪がのっしのっしと舞台の上に上がっている。
「やだ、猪?」
「どこから来たんだ?」
「迷い込んできたのかしらね」
「これも演出? それとも偶然?」
(違う!)
覚醒者になったエドにはわかる。あれは……歪虚だ。後から、もう少し小さいのが数頭、のしのしとやって来る。
「出たな歪虚!」
主役の少年はやや戸惑ったようだが、どうやら歪虚が出るところまでは台本通りらしい。なんてタイミングの悪い!
エドは駆け出した。
「おい! 待て!」
舞台に上がる。猪はぐるりと振り返って彼を見る。
彼を見たのは猪だけではなかった。客席からも視線が彼に突き刺さる。
猪よりも、人間の視線の方が彼には怖かった。笑われるような気がして。
いつもそうだ。勢いで何かして、後悔する。自分が立てばたちまちブーイング。
「父兄の飛び入り?」
「でもなんかリアルブルーっぽい人」
「最近転移者増えたからなぁ」
「もしかしていたずら?」
ひそひそと囁かれる声が、エドの指先から温度を奪っていく。手の指も、足の指もどんどん冷たくなっていくのがわかる。
やるんじゃなかった。舞台に一人、置き去りにされたような気持ち。視界も段々狭くなる。
死ぬほど後悔した次の瞬間だった。
「なんと言うことでしょう!」
教師の一人が声を張り上げていた。
「なんと言うことでしょう! 歪虚が現れてしまったのです! これは大変だ! 子どもたちだけではとてもかないません! でも大丈夫! 今日この会場にはハンターがいるから! 彼らと協力すれば、きっとこの舞台にも平和が戻ることでしょう!」
今すぐ避難しろ言えばパニックになる。だから、あたかも舞台の一環と聞こえるように言ったのだろうが、嘘は一つも言っていない。いつパニックになるかの不安で、彼の顔は引きつっていた。エドと目が合うと、頷いて見せる。背の高い青年が、後を引き取るように声を張った。
「会場にお集まりのハンターさんは、舞台にお越し下さい! 客席の皆様は下がって頂きますようにお願いします!」
その人に、彼は見覚えがあった。マシュー・アーミテイジだった。エドがアメリカの森で無茶をした時に拾いに来てくれた軍人。彼はエドに手招きをする。エドは舞台から飛び降りた。
「エドワード、よく頑張りました。あとはベテランに任せましょう。自分たちは観客避難の誘導を行ないます。君も手伝って下さい」
あまりにも堂々とした宣言だったためだろう。観客は、それが本物の歪虚で、下手を打てば自分たちが死ぬなどとは誰も考えていないようだった。だが、いつあの猪が暴れ出すかわからない。事態に気付いている者たちの顔には緊張と焦りが浮かんでいる。
「全員一度舞台から降りるんだ!」
教師が舞台に向かって叫ぶ。生徒たちは戸惑いながらもそれに従った。
「ヴィクター! 小学校の演劇舞台のところに雑魔出現! 会場からハンターを集めて! あたしとマシューともう一人が避難誘導をする。討伐だけじゃなくて避難手伝ってくれる人も呼んで!」
アジア系の女性が無線に向かって手早く指示を出した。
「了解した曹長。すぐ手配する」
「ゆっくり! ゆっくり下がってください!」
マシューが指示している。観客は戸惑っているようだがパニックにはなっていない。
ハンターたちが駆けつける。猪は舞台の真ん中で、空に向かって高く鳴いた。
深い蒼の空に。
連れと喧嘩をした。
エドワード・ダックワース……普段エドと名乗っている少年はむすっとしながら郷祭の雑踏をずんずんと進んでいる。
何のことはない。ハンク、ジョンと言う友人と三人で来ていたのだが、空腹と初めての場所での不安が募ってつい心にもないことを言った。それに噛み付いたジョンと大喧嘩になって、彼は単独行動になってしまったと言うわけである。
そもそも、エドは人付き合いが得意な方ではない。距離の取り方が下手なのだ。ハンクやジョンと一緒に転移してきたのが奇跡のようなものである。
だいたい、いつも勢いで心ないことを言ってしまって後悔する。言うんじゃなかったと思っても後の祭りで、皆咎めるような目でこちらを見る。
俺が悪いわけじゃない。怒らせるのが悪い。そう胸中で言い訳しても、後悔と後ろめたさは正直なものだ。
買った軽食を食べてしまうと、段々落ち着いてきた。だが、ハンクならともかく、ジョンとあまり仲が良くないエドは素直に謝ると言うことに抵抗があった。要するに意地を張っているのである。
と、前方に人だかりが見えた。なにやら舞台でもやっているらしい。エドが出たのは舞台の斜め前方で、小学生くらいらしい子どもたちが、どうやらハンターの芝居でもしているようだ。
少し離れたところでそれを見る。
エドはあがり症でもある。おおよそ、注目される場面になると、指先がすっかり冷たくなって喉がカラカラになってしまう。普段横柄な口を叩いているせいで誰もそんなことは知らない。
(よくあんなことするなぁ)
小道具の剣を振り回しながら、淀みなく台詞を言い放つ少年を見て、呆れた様な、感心したような、あるいは憧れたような気持ちになる。
エドには絶対にできない。観衆は、舞台に立つ者を選んでいる。エドが立てばたちまちブーイングに相違ないだろう。
別に良い。問題は、ブーイングするくせに立たせる連中であって……。
場違いに甲高い音がした。悲鳴が上がる。はっと顔を上げると大きな猪がのっしのっしと舞台の上に上がっている。
「やだ、猪?」
「どこから来たんだ?」
「迷い込んできたのかしらね」
「これも演出? それとも偶然?」
(違う!)
覚醒者になったエドにはわかる。あれは……歪虚だ。後から、もう少し小さいのが数頭、のしのしとやって来る。
「出たな歪虚!」
主役の少年はやや戸惑ったようだが、どうやら歪虚が出るところまでは台本通りらしい。なんてタイミングの悪い!
エドは駆け出した。
「おい! 待て!」
舞台に上がる。猪はぐるりと振り返って彼を見る。
彼を見たのは猪だけではなかった。客席からも視線が彼に突き刺さる。
猪よりも、人間の視線の方が彼には怖かった。笑われるような気がして。
いつもそうだ。勢いで何かして、後悔する。自分が立てばたちまちブーイング。
「父兄の飛び入り?」
「でもなんかリアルブルーっぽい人」
「最近転移者増えたからなぁ」
「もしかしていたずら?」
ひそひそと囁かれる声が、エドの指先から温度を奪っていく。手の指も、足の指もどんどん冷たくなっていくのがわかる。
やるんじゃなかった。舞台に一人、置き去りにされたような気持ち。視界も段々狭くなる。
死ぬほど後悔した次の瞬間だった。
「なんと言うことでしょう!」
教師の一人が声を張り上げていた。
「なんと言うことでしょう! 歪虚が現れてしまったのです! これは大変だ! 子どもたちだけではとてもかないません! でも大丈夫! 今日この会場にはハンターがいるから! 彼らと協力すれば、きっとこの舞台にも平和が戻ることでしょう!」
今すぐ避難しろ言えばパニックになる。だから、あたかも舞台の一環と聞こえるように言ったのだろうが、嘘は一つも言っていない。いつパニックになるかの不安で、彼の顔は引きつっていた。エドと目が合うと、頷いて見せる。背の高い青年が、後を引き取るように声を張った。
「会場にお集まりのハンターさんは、舞台にお越し下さい! 客席の皆様は下がって頂きますようにお願いします!」
その人に、彼は見覚えがあった。マシュー・アーミテイジだった。エドがアメリカの森で無茶をした時に拾いに来てくれた軍人。彼はエドに手招きをする。エドは舞台から飛び降りた。
「エドワード、よく頑張りました。あとはベテランに任せましょう。自分たちは観客避難の誘導を行ないます。君も手伝って下さい」
あまりにも堂々とした宣言だったためだろう。観客は、それが本物の歪虚で、下手を打てば自分たちが死ぬなどとは誰も考えていないようだった。だが、いつあの猪が暴れ出すかわからない。事態に気付いている者たちの顔には緊張と焦りが浮かんでいる。
「全員一度舞台から降りるんだ!」
教師が舞台に向かって叫ぶ。生徒たちは戸惑いながらもそれに従った。
「ヴィクター! 小学校の演劇舞台のところに雑魔出現! 会場からハンターを集めて! あたしとマシューともう一人が避難誘導をする。討伐だけじゃなくて避難手伝ってくれる人も呼んで!」
アジア系の女性が無線に向かって手早く指示を出した。
「了解した曹長。すぐ手配する」
「ゆっくり! ゆっくり下がってください!」
マシューが指示している。観客は戸惑っているようだがパニックにはなっていない。
ハンターたちが駆けつける。猪は舞台の真ん中で、空に向かって高く鳴いた。
深い蒼の空に。
解説
●目的
猪雑魔の討伐
●敵情報
猪雑魔
サイズ1×3
サイズ2×1
いずれも攻撃力が高く、体当たり、のしかかり、牙での刺突などを行ないます。のしかかりはサイズ1で強度2、サイズ2で強度4の行動阻害が生じます。
サイズ2とサイズ1の1体は開始時で舞台の上にいます。あとは舞台の下両サイド。
●現場
舞台
3×6スクエアの簡素な舞台。猪が歩き続けるとその内壊れますが、壊れてもおとがめはなしです。
観客と舞台までは、OPでは1スクエアでしたが、避難誘導を行なうことでリプレイ開始時には3スクエアまで下がっています。
観客は100人よりちょっと多いくらい。
●NPC
ナンシー(猟撃士)、マシュー(機導師)、ヴィクター(符術師)、エド(疾影士)、ジェレミア(一般人)。
全員避難誘導に回っています。このためPCの避難誘導は無くてもOK。ジェレミアは生徒優先。
必要なら指示に従います。
覚醒者は全員レベル10相当です。
人数少なめだと討伐にレベル30相当の魔術師と聖導士が来ます。
猪雑魔の討伐
●敵情報
猪雑魔
サイズ1×3
サイズ2×1
いずれも攻撃力が高く、体当たり、のしかかり、牙での刺突などを行ないます。のしかかりはサイズ1で強度2、サイズ2で強度4の行動阻害が生じます。
サイズ2とサイズ1の1体は開始時で舞台の上にいます。あとは舞台の下両サイド。
●現場
舞台
3×6スクエアの簡素な舞台。猪が歩き続けるとその内壊れますが、壊れてもおとがめはなしです。
観客と舞台までは、OPでは1スクエアでしたが、避難誘導を行なうことでリプレイ開始時には3スクエアまで下がっています。
観客は100人よりちょっと多いくらい。
●NPC
ナンシー(猟撃士)、マシュー(機導師)、ヴィクター(符術師)、エド(疾影士)、ジェレミア(一般人)。
全員避難誘導に回っています。このためPCの避難誘導は無くてもOK。ジェレミアは生徒優先。
必要なら指示に従います。
覚醒者は全員レベル10相当です。
人数少なめだと討伐にレベル30相当の魔術師と聖導士が来ます。
マスターより
こんにちは三田村です。
【郷祭】【空蒼】のダブル連動でお届けします。
【空蒼】からクリムゾンウェストの日常に帰っていくような〆のシナリオになります。よろしくお願いします。
NPC多くて何がなんだかって感じなんですが、要は猪討伐してくれればOKです。NPCと面識のある方もない方もお気軽にどうぞ。
【郷祭】【空蒼】のダブル連動でお届けします。
【空蒼】からクリムゾンウェストの日常に帰っていくような〆のシナリオになります。よろしくお願いします。
NPC多くて何がなんだかって感じなんですが、要は猪討伐してくれればOKです。NPCと面識のある方もない方もお気軽にどうぞ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/11/29 02:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/11/22 07:32:05 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/20 08:01:24 |