ゲスト
(ka0000)
雨上がりの迷宮
マスター:一要・香織

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/12/12 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/12/21 19:00
オープニング
ザーーザーザーザー、ザーザーザーー………………。
墨を垂らしたような雲は空一面に広がり、うねるようにその形を変えた。
地面を叩く雨は時折強く吹く風に煽られ、窓ガラスを濡らし、鮮やかな色彩の花が揺れる庭は厚い雲に光を絶たれ、昼間だと言うのに暗い。
それはグランツ領の領主屋敷で働く者達の気分をも重くさせ、皆どことなく沈んだ顔をしていた。
「随分長い事降りますね……」
書類仕事がひと段落し、淹れたての紅茶を口にしたレイナ・エルト・グランツ(kz0253) は、憂鬱そうに窓の外に視線を向けた。
「もう5日も降っておりますね」
絶え間ない雨音に溶け込むような低い声で、執事のジルが相槌を打つ。
領内の畑ではほとんどの収穫が終わっているものの、その他の心配はレイナの胸をどんより重くさせる。
「サイファーは大丈夫でしょうか?」
窓ガラスに張り付いていた葉っぱが雨に流され落ちていく様子を見ながら、レイナはポツリと呟く。
サイファーは今、南の川近くにある村に氾濫警戒の為に出向いている。
一度決壊すれば村をも飲みこむ濁流が襲い掛かってくる。そんな危険な場所で、避難の指示や決壊防止の為に動き回っていることだろう。
「川の治水工事も大分前に終わっておりますし、問題はないかと存じます」
「そうだと、良いのですが…………」
窓に向けていた視線を手元に戻すと、カップの中で揺れる紅茶に暗い顔の自分を見つけ、レイナは唇をキュッと結んだ。
(私が暗い表情をしていては、屋敷の皆に心配をかけてしまうわ)
小さく頭を振り、努めて明るい声を出した。
「ジル、次の書類を運んでくれるかしら? それから料理長に、今日は寒いので夕食に温かいシチューが食べたいと伝えて」
穏やかな笑みを浮かべたレイナにホッとしたジルは深く頭を下げ、
「承知いたしました」
不要になったティーポットやカップを乗せたトレイを手に部屋を後にした。
それから数日後―――。
燦々と輝く太陽は大地を暖かく包み込み、冬咲きの花の蕾を大きく膨らませ、大雨が嘘のように空気もカラリと爽やかで、澄み渡る空に己の心さえも澄んでいくようだった。
雨が止み、川の水嵩が減った頃サイファーは屋敷へと帰還した。
無事サイファーが戻った事を喜ぶレイナの顔には笑顔が浮かび、裏庭にシーツを干すメイドたちの表情も晴れやかになった。
いつもの様に執務室で仕事をするレイナの元に、サイファーが1枚の報告書を持って入ってくる。
「サガラの村からの報告なのですが、村近くの森の中にあった崖が、先日の雨で崩れたようです。周辺は狩場となっているそうなので危険がないか、整地の必要があるか調べいてほしいと要請がありました」
書類に視線を落としていたサイファーは顔を上げ、レイナを見る。
「まあ、崖崩れですか? 2次災害にならないよう調べておく必要がありますね」
翌日、森の中にはレイナとサイファー、そして部下の兵士2人の姿があった。
何日も降り続いた雨の勢いは相当なものだったのだろう。崖を崩し、森の中に小さな水路を作り上げていた。
僅かに湿り気の残る水路には枯草が溜まり、気付かず歩けば足を取られそうだ。
「随分と大きく崩れ落ちたのですね……」
自然の驚異を目の当たりにしレイナは眉を顰めた。
「はい。巻き込まれた人が居なくてよかったです」
頷いたサイファーは部下に周辺の様子を見てくるよう指示を出す。
「レイナ様も少し後ろへお下がりください。また崩れてくる危険もありますから」
サイファーに手で下がるよう指示されると、レイナは大人しくそれに従った。
レイナは森の入り口から崖まで続く獣道に視線を滑らせる。そしてその視界の中に僅かな違和感を覚え、その違和感の正体を確認するため、獣道を戻り始めた。
中程まで来た頃だろうか―――、土がむき出しの地面に、レイナよりも小さな足跡が幾つかついていた。
まだ僅かにぬかるんでいる所をみると新しいようだ。
しゃがみ込んだレイナの側にサイファーが駆け寄ってくる。
「レイナ様、勝手に居なくならないで下さい……」
少し呆れたような声で文句を言うサイファーに小さな声で謝ると、レイナは小さな足跡を指差し尋ねる。
「これ、子供の足跡だと思うのだけど、今日は誰か森に入ったのかしら?」
「いえ、先日崖崩れを発見して以降は森に入らないよう指示を出していますので、誰も入っては居ないと思うのですが……」
しかし地面に残る足跡を見詰めるサイファーの顔が段々と険しくなる。そこに……、
「隊長。よろしいですか?」
部下の兵士が息を弾ませ戻ってきた。
「どうした?」
その様子に眉を寄せたまま尋ねると、
「実は、正面より左手に、一部崖が崩れた場所があるのですが、その崖肌に亀裂が生じています」
「亀裂は大人1人が入れるくらいで、中は空洞……洞窟のようになっているのです」
レイナとサイファーは顔を見合わせ、その場所へと急ぎ向かった。
話通り、崩れた岩が辺りに散らばり、その崩れた崖肌部分に亀裂が生じ隙間が出来上がっている。
ランタンに火を付けたサイファーが洞窟内へと体を滑り込ませた。
隙間から、明るい光が漏れだし、それがユラユラと揺れているのを見ると、サイファーが内部を確認していることが分かる。
「っ!!」
次の瞬間、洞窟内のサイファーが驚いたような声を上げ、直様戻ってきた。
「どうしたのです?」
心配になって声を掛けると、
「急ぎ村に戻りましょう。確認しなければいけません」
焦りを滲ませた声に、3人は黙って頷いた。
ハンターオフィス
「森の中で崖崩れが起こり、洞窟が出現したようなんですよぅ。それで、その洞窟に子供が入ってしまったみたいで、捜索の依頼なんですよぅ」
いやにねっとりと喋るローゼと名乗った受付の女性は、1枚の紙をカウンターの上に置いた。
「洞窟の深さははっきりとはわかっていないのですが、隊長さんが言うには、深そうだ……と」
「おいおい、いい加減だな」
カウンターに寄り掛かるハンターが苦笑いを浮かべた。
「出来たばかりですし、入り口部分だけ調べたみたいですからねぇ。ただ、村の男の子3人が行方不明になっているので、洞窟に入ったのは確実だと思うんですよぅ」
「じゃあ、依頼内容は洞窟内を捜索して、3人の子供を救出する事ね」
サラリと顔に掛かった髪を掻き上げた女ハンターが、受付の女性に視線を向ける。
「はぃ。洞窟内には、もしかしたら危険な生き物なんかも出るかもしれませんので注意してほしいのですよぅ」
「わかったわ」
紙と羽ペンを差し出した受付嬢は、少し妖しい笑みを浮かべ口を開く。
「捜索に必要なランタンとかロープとかは貸し出せるので、必要なら言ってくださいねぇ」
墨を垂らしたような雲は空一面に広がり、うねるようにその形を変えた。
地面を叩く雨は時折強く吹く風に煽られ、窓ガラスを濡らし、鮮やかな色彩の花が揺れる庭は厚い雲に光を絶たれ、昼間だと言うのに暗い。
それはグランツ領の領主屋敷で働く者達の気分をも重くさせ、皆どことなく沈んだ顔をしていた。
「随分長い事降りますね……」
書類仕事がひと段落し、淹れたての紅茶を口にしたレイナ・エルト・グランツ(kz0253) は、憂鬱そうに窓の外に視線を向けた。
「もう5日も降っておりますね」
絶え間ない雨音に溶け込むような低い声で、執事のジルが相槌を打つ。
領内の畑ではほとんどの収穫が終わっているものの、その他の心配はレイナの胸をどんより重くさせる。
「サイファーは大丈夫でしょうか?」
窓ガラスに張り付いていた葉っぱが雨に流され落ちていく様子を見ながら、レイナはポツリと呟く。
サイファーは今、南の川近くにある村に氾濫警戒の為に出向いている。
一度決壊すれば村をも飲みこむ濁流が襲い掛かってくる。そんな危険な場所で、避難の指示や決壊防止の為に動き回っていることだろう。
「川の治水工事も大分前に終わっておりますし、問題はないかと存じます」
「そうだと、良いのですが…………」
窓に向けていた視線を手元に戻すと、カップの中で揺れる紅茶に暗い顔の自分を見つけ、レイナは唇をキュッと結んだ。
(私が暗い表情をしていては、屋敷の皆に心配をかけてしまうわ)
小さく頭を振り、努めて明るい声を出した。
「ジル、次の書類を運んでくれるかしら? それから料理長に、今日は寒いので夕食に温かいシチューが食べたいと伝えて」
穏やかな笑みを浮かべたレイナにホッとしたジルは深く頭を下げ、
「承知いたしました」
不要になったティーポットやカップを乗せたトレイを手に部屋を後にした。
それから数日後―――。
燦々と輝く太陽は大地を暖かく包み込み、冬咲きの花の蕾を大きく膨らませ、大雨が嘘のように空気もカラリと爽やかで、澄み渡る空に己の心さえも澄んでいくようだった。
雨が止み、川の水嵩が減った頃サイファーは屋敷へと帰還した。
無事サイファーが戻った事を喜ぶレイナの顔には笑顔が浮かび、裏庭にシーツを干すメイドたちの表情も晴れやかになった。
いつもの様に執務室で仕事をするレイナの元に、サイファーが1枚の報告書を持って入ってくる。
「サガラの村からの報告なのですが、村近くの森の中にあった崖が、先日の雨で崩れたようです。周辺は狩場となっているそうなので危険がないか、整地の必要があるか調べいてほしいと要請がありました」
書類に視線を落としていたサイファーは顔を上げ、レイナを見る。
「まあ、崖崩れですか? 2次災害にならないよう調べておく必要がありますね」
翌日、森の中にはレイナとサイファー、そして部下の兵士2人の姿があった。
何日も降り続いた雨の勢いは相当なものだったのだろう。崖を崩し、森の中に小さな水路を作り上げていた。
僅かに湿り気の残る水路には枯草が溜まり、気付かず歩けば足を取られそうだ。
「随分と大きく崩れ落ちたのですね……」
自然の驚異を目の当たりにしレイナは眉を顰めた。
「はい。巻き込まれた人が居なくてよかったです」
頷いたサイファーは部下に周辺の様子を見てくるよう指示を出す。
「レイナ様も少し後ろへお下がりください。また崩れてくる危険もありますから」
サイファーに手で下がるよう指示されると、レイナは大人しくそれに従った。
レイナは森の入り口から崖まで続く獣道に視線を滑らせる。そしてその視界の中に僅かな違和感を覚え、その違和感の正体を確認するため、獣道を戻り始めた。
中程まで来た頃だろうか―――、土がむき出しの地面に、レイナよりも小さな足跡が幾つかついていた。
まだ僅かにぬかるんでいる所をみると新しいようだ。
しゃがみ込んだレイナの側にサイファーが駆け寄ってくる。
「レイナ様、勝手に居なくならないで下さい……」
少し呆れたような声で文句を言うサイファーに小さな声で謝ると、レイナは小さな足跡を指差し尋ねる。
「これ、子供の足跡だと思うのだけど、今日は誰か森に入ったのかしら?」
「いえ、先日崖崩れを発見して以降は森に入らないよう指示を出していますので、誰も入っては居ないと思うのですが……」
しかし地面に残る足跡を見詰めるサイファーの顔が段々と険しくなる。そこに……、
「隊長。よろしいですか?」
部下の兵士が息を弾ませ戻ってきた。
「どうした?」
その様子に眉を寄せたまま尋ねると、
「実は、正面より左手に、一部崖が崩れた場所があるのですが、その崖肌に亀裂が生じています」
「亀裂は大人1人が入れるくらいで、中は空洞……洞窟のようになっているのです」
レイナとサイファーは顔を見合わせ、その場所へと急ぎ向かった。
話通り、崩れた岩が辺りに散らばり、その崩れた崖肌部分に亀裂が生じ隙間が出来上がっている。
ランタンに火を付けたサイファーが洞窟内へと体を滑り込ませた。
隙間から、明るい光が漏れだし、それがユラユラと揺れているのを見ると、サイファーが内部を確認していることが分かる。
「っ!!」
次の瞬間、洞窟内のサイファーが驚いたような声を上げ、直様戻ってきた。
「どうしたのです?」
心配になって声を掛けると、
「急ぎ村に戻りましょう。確認しなければいけません」
焦りを滲ませた声に、3人は黙って頷いた。
ハンターオフィス
「森の中で崖崩れが起こり、洞窟が出現したようなんですよぅ。それで、その洞窟に子供が入ってしまったみたいで、捜索の依頼なんですよぅ」
いやにねっとりと喋るローゼと名乗った受付の女性は、1枚の紙をカウンターの上に置いた。
「洞窟の深さははっきりとはわかっていないのですが、隊長さんが言うには、深そうだ……と」
「おいおい、いい加減だな」
カウンターに寄り掛かるハンターが苦笑いを浮かべた。
「出来たばかりですし、入り口部分だけ調べたみたいですからねぇ。ただ、村の男の子3人が行方不明になっているので、洞窟に入ったのは確実だと思うんですよぅ」
「じゃあ、依頼内容は洞窟内を捜索して、3人の子供を救出する事ね」
サラリと顔に掛かった髪を掻き上げた女ハンターが、受付の女性に視線を向ける。
「はぃ。洞窟内には、もしかしたら危険な生き物なんかも出るかもしれませんので注意してほしいのですよぅ」
「わかったわ」
紙と羽ペンを差し出した受付嬢は、少し妖しい笑みを浮かべ口を開く。
「捜索に必要なランタンとかロープとかは貸し出せるので、必要なら言ってくださいねぇ」
解説
洞窟内の捜索の依頼です。
グランツ領にある村近くの森の中に、大雨で崩れた崖に亀裂が入り洞窟が出現しました。
森の中には子供の物とみられる足跡があり、洞窟の入り口部分にも足跡を確認しています。
洞窟内には光源となる物はなく、入り口から見た所明かりなどは見えませんでした。
大人にとってはそこまで広くない洞窟ですが、暗く入り組んでいるので、子供にとってはかなり難易度が高いと思われます。
子供たちがどれくらい深くまで進んでいるかの見当はついていませんが、入ってから6時間以上は経過しています。
洞窟内には危険な生き物が潜んで居ます。毒蛇や吸血蝙蝠、巨大な蜘蛛など様々です。
遭遇はダイス判定にて決定します。何回遭遇するかは分かりません。
分かれ道などもありますので、どのように目印を付けるかなど相談してみてください。
子供たちの居場所の手掛かりを探し、外に出してあげましょう。
洞窟にまつわるエピソードなどありましたら書いてみてください。
全部描写できるか分かりませんが、探索中の会話として採用しようと考えています。
質問がありましたら、レイナがお答えいたします。出発24時間前までにお願いいたします。
グランツ領にある村近くの森の中に、大雨で崩れた崖に亀裂が入り洞窟が出現しました。
森の中には子供の物とみられる足跡があり、洞窟の入り口部分にも足跡を確認しています。
洞窟内には光源となる物はなく、入り口から見た所明かりなどは見えませんでした。
大人にとってはそこまで広くない洞窟ですが、暗く入り組んでいるので、子供にとってはかなり難易度が高いと思われます。
子供たちがどれくらい深くまで進んでいるかの見当はついていませんが、入ってから6時間以上は経過しています。
洞窟内には危険な生き物が潜んで居ます。毒蛇や吸血蝙蝠、巨大な蜘蛛など様々です。
遭遇はダイス判定にて決定します。何回遭遇するかは分かりません。
分かれ道などもありますので、どのように目印を付けるかなど相談してみてください。
子供たちの居場所の手掛かりを探し、外に出してあげましょう。
洞窟にまつわるエピソードなどありましたら書いてみてください。
全部描写できるか分かりませんが、探索中の会話として採用しようと考えています。
質問がありましたら、レイナがお答えいたします。出発24時間前までにお願いいたします。
マスターより
こんにちは。一要・香織です。
寒くなってきましたね。風邪など召されていませんか?
グランツ領では、大雨が続きました。そのせいで崖崩れが起き、崖肌に亀裂が生じ洞窟が出現したそうです。
子供たちがその洞窟に入ってしまったみたいです。
洞窟内は迷路のように入り組んでいます。探しだし、無事に外まで連れ出してあげて下さい。
宜しくお願いします。
寒くなってきましたね。風邪など召されていませんか?
グランツ領では、大雨が続きました。そのせいで崖崩れが起き、崖肌に亀裂が生じ洞窟が出現したそうです。
子供たちがその洞窟に入ってしまったみたいです。
洞窟内は迷路のように入り組んでいます。探しだし、無事に外まで連れ出してあげて下さい。
宜しくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/12/19 21:17
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 エンバディ(ka7328) ドラグーン|31才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/12/11 23:06:19 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/09 22:09:28 |