ゲスト
(ka0000)
【碧剣】去りにしモノ、戻りしモノ
マスター:ムジカ・トラス

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(続編)
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在7人 / 3~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/01/02 09:00
- リプレイ完成予定
- 2019/01/16 09:00
オープニング
●
それは、王国北部へと発つ一週間ほど前のこと。
ゲオルギウス・グラニフ・グランフェルト王国騎士団長の招集を受けたロシュ・フェイランドは、さすがに緊張の面持ちを隠せなかった。特例で騎士になったロシュではあるが、経験不足は己も認めるところだ。
相対するのが騎士団でも最長のキャリアを誇る最高役職で――これが彼にとって正念場であるとなれば、過敏になるのも無理はない。
「オーラン・クロスの施術をもってシュリ・エルキンズと彼奴の剣への『処置』は終了した。ロシュ・フェイランド。お前が上げた作戦どおり、猟犬として彼奴を貸し与えるのは問題はない」
「……は」
「――だが、その前に『女王』に誓約を交わせ、ロシュ・フェイランド。此処より先は禁秘となる」
「は。ロシュ・フェイランド。我らが女王とエクラに誓います。今日より私は、真実王家の剣たることを」
すぐに紡がれたのは、『貴族派』である出自からの別離を示す言葉だった。
この老騎士はフェイランド家のことなど把握しているのだろう、とロシュは思う。子息を――長男ではないとはいえ――騎士にしたうえで、シュリ・エルキンズの父親から【碧剣】の核とも言うべきものを預かっていた『貴族』だ。現在のフェイランド家を単に『貴族派』であると括るのは無理筋だろう。
だとすれば。
――だとすれば、貴族であること、ただそれを誇っていた私の、なんと愚かであることか。
だからこそ、いまさら己の口上程度で納得などさせられるものか、とも思う。すでに、裁定は為されているはずだ。
故に、存外長い時間が経つにつれ、いよいよ不安と疑念を覚えるようになった。
「……不足でしたでしょうか?」
「いや、良い」
それを見計らったかのように、ゲオルギウスは一つ頷き、こう告げた。
要領を本分とすべし、を体現する人物らしく、
「まず、あの剣の由来から話すとしよう。歴代の使い手、その数多の武勇を支えたあの剣は――」
端的に、このように。
「精霊だ」
●
「……『剣の出自は不明』だが、その剣の銘は『カルエラマルティ』というそうだ。さておき、その剣の効果と対策自体は以前から騎士団内でも検討・実践されていた」
道中、『集団リンチ』疑惑に対する回答をするロシュ。
「重要なのはあの剣のマテリアルの低減・一時的な枯渇だ。恒常的な覚醒など、シュリ自身のマテリアルでは賄えるはずがない。碧剣の騎士の中には歪虚を撃滅した後も、遠方の歪虚を追跡しようとしたり、き覚醒を解除できない事例はあったらしいが、その間に拘束のうえ、必要に応じて戦闘を行いマテリアルを消費させていたらしい」
「ん? 覚醒って解除しないとだめなの?」
呑気な声は――告げられた剣の銘にぼんやりと剣を眺めていた――馬上のシュリ・エルキンズからのもの。
「……お前は、その限りではないようだな」
「?」
「歴代の碧剣の騎士は、覚醒が解除できない場合、常に興奮――いや、発狂していたようだ。強化は万全ではなかったらしいが、歪虚を求めてな」
「……僕は?」
「だから、お前は例外だといった。理由は騎士団長も知らんと言っていた」
「なんで……?」
「……私に聞くな。思い当たる節はあるのか」
「無い、なぁ……なんでだろ?」
―・―
かつて、ロシュに対してゲオルギウスはこう語った。
「過去の碧剣の使い手はすべて、歪虚への憎悪を喚起されていた。そういう人物しかあの剣を使えなかった、とも言えるが」
「……覚えがあります」
「しかし、あの小僧は違うな」
「……」
「イレギュラーな事態に剣事態がなんらかの異常をきたしているのであろうが……『あの剣がそれを手っ取り早い』と識った上でのことと考えると合点がいく。あの小僧は、違う感情が増幅されているのだろうよ。故に、これだけは覚えておけ、ロシュ・フェイランド」
「は」
ゲオルギウスが指摘する要点だ。傾注するロシュに、ゲオルギウスは厳格な眼差しとともに、告げる。
「あの小僧の手綱を握り続けたいのであれば、あの小僧に歪虚を憎ませるな」
そうして、もし、と。添える。
「もし、彼奴が歪虚を憎悪しそうになったその時は――」
●
「…………どうだ、お前の感知には掛かったか?」
「いや、なにも……」
「だろうな」
今、一同は雪上を進んでいた。5-6メートルの幅で雪除けがされた道は固く、足をとられることはない。
「おそらく、『奴』の所在は山中のはずだ」
「じゃあ、僕たちはどこに向かっているの?」
「まずは拠点に移動する。捜索はそれからだ」
「拠点……?」
「お前も知っている場所だ。他の面々もな」
前方を見据えたままのロシュの横顔は、硬い。
「かつて滅びた、廃村だよ」
●
幾人かのハンターにも、心当たりがある場所だった。
東に巨大な森を構えた元、寒村である。
しかしながら、もはや見覚えは無い、と断じてよいほどに手が加えられていた。
「……事前に、ゴーレムを用いて拠点として構築しなおしている。管理のための従騎士も数人駐在しているが……」
偽装のためだろうか。家屋も再建されており、それとは別にいくつかの兵舎らしいものに、倉庫、そして、何よりも目を引くのは獣程度であれば十二分に対応できそうな隙間のない壁。
更には。
「獣舎……?」
「馬も留められるが、今は王国騎士団付きのグリフォンがいる。今回の場合、膨大な捜索範囲を地上――山に入って探るのは効率が悪い。此処を拠点に、遠出してもらうぞ」
――そうして3日ほど、シュリはほぼ不眠不休で拠点から円を描く形で周囲を探査することとなった。
寒さも感じないシュリよりも、同上することになったロシュや従騎士たちのほうが地獄を見たようだが、拠点で待機するハンターたちには関係のないことである。
問題があったとすれば……その『候補地』が、3箇所見つかったことだろうか。
それは、王国北部へと発つ一週間ほど前のこと。
ゲオルギウス・グラニフ・グランフェルト王国騎士団長の招集を受けたロシュ・フェイランドは、さすがに緊張の面持ちを隠せなかった。特例で騎士になったロシュではあるが、経験不足は己も認めるところだ。
相対するのが騎士団でも最長のキャリアを誇る最高役職で――これが彼にとって正念場であるとなれば、過敏になるのも無理はない。
「オーラン・クロスの施術をもってシュリ・エルキンズと彼奴の剣への『処置』は終了した。ロシュ・フェイランド。お前が上げた作戦どおり、猟犬として彼奴を貸し与えるのは問題はない」
「……は」
「――だが、その前に『女王』に誓約を交わせ、ロシュ・フェイランド。此処より先は禁秘となる」
「は。ロシュ・フェイランド。我らが女王とエクラに誓います。今日より私は、真実王家の剣たることを」
すぐに紡がれたのは、『貴族派』である出自からの別離を示す言葉だった。
この老騎士はフェイランド家のことなど把握しているのだろう、とロシュは思う。子息を――長男ではないとはいえ――騎士にしたうえで、シュリ・エルキンズの父親から【碧剣】の核とも言うべきものを預かっていた『貴族』だ。現在のフェイランド家を単に『貴族派』であると括るのは無理筋だろう。
だとすれば。
――だとすれば、貴族であること、ただそれを誇っていた私の、なんと愚かであることか。
だからこそ、いまさら己の口上程度で納得などさせられるものか、とも思う。すでに、裁定は為されているはずだ。
故に、存外長い時間が経つにつれ、いよいよ不安と疑念を覚えるようになった。
「……不足でしたでしょうか?」
「いや、良い」
それを見計らったかのように、ゲオルギウスは一つ頷き、こう告げた。
要領を本分とすべし、を体現する人物らしく、
「まず、あの剣の由来から話すとしよう。歴代の使い手、その数多の武勇を支えたあの剣は――」
端的に、このように。
「精霊だ」
●
「……『剣の出自は不明』だが、その剣の銘は『カルエラマルティ』というそうだ。さておき、その剣の効果と対策自体は以前から騎士団内でも検討・実践されていた」
道中、『集団リンチ』疑惑に対する回答をするロシュ。
「重要なのはあの剣のマテリアルの低減・一時的な枯渇だ。恒常的な覚醒など、シュリ自身のマテリアルでは賄えるはずがない。碧剣の騎士の中には歪虚を撃滅した後も、遠方の歪虚を追跡しようとしたり、き覚醒を解除できない事例はあったらしいが、その間に拘束のうえ、必要に応じて戦闘を行いマテリアルを消費させていたらしい」
「ん? 覚醒って解除しないとだめなの?」
呑気な声は――告げられた剣の銘にぼんやりと剣を眺めていた――馬上のシュリ・エルキンズからのもの。
「……お前は、その限りではないようだな」
「?」
「歴代の碧剣の騎士は、覚醒が解除できない場合、常に興奮――いや、発狂していたようだ。強化は万全ではなかったらしいが、歪虚を求めてな」
「……僕は?」
「だから、お前は例外だといった。理由は騎士団長も知らんと言っていた」
「なんで……?」
「……私に聞くな。思い当たる節はあるのか」
「無い、なぁ……なんでだろ?」
―・―
かつて、ロシュに対してゲオルギウスはこう語った。
「過去の碧剣の使い手はすべて、歪虚への憎悪を喚起されていた。そういう人物しかあの剣を使えなかった、とも言えるが」
「……覚えがあります」
「しかし、あの小僧は違うな」
「……」
「イレギュラーな事態に剣事態がなんらかの異常をきたしているのであろうが……『あの剣がそれを手っ取り早い』と識った上でのことと考えると合点がいく。あの小僧は、違う感情が増幅されているのだろうよ。故に、これだけは覚えておけ、ロシュ・フェイランド」
「は」
ゲオルギウスが指摘する要点だ。傾注するロシュに、ゲオルギウスは厳格な眼差しとともに、告げる。
「あの小僧の手綱を握り続けたいのであれば、あの小僧に歪虚を憎ませるな」
そうして、もし、と。添える。
「もし、彼奴が歪虚を憎悪しそうになったその時は――」
●
「…………どうだ、お前の感知には掛かったか?」
「いや、なにも……」
「だろうな」
今、一同は雪上を進んでいた。5-6メートルの幅で雪除けがされた道は固く、足をとられることはない。
「おそらく、『奴』の所在は山中のはずだ」
「じゃあ、僕たちはどこに向かっているの?」
「まずは拠点に移動する。捜索はそれからだ」
「拠点……?」
「お前も知っている場所だ。他の面々もな」
前方を見据えたままのロシュの横顔は、硬い。
「かつて滅びた、廃村だよ」
●
幾人かのハンターにも、心当たりがある場所だった。
東に巨大な森を構えた元、寒村である。
しかしながら、もはや見覚えは無い、と断じてよいほどに手が加えられていた。
「……事前に、ゴーレムを用いて拠点として構築しなおしている。管理のための従騎士も数人駐在しているが……」
偽装のためだろうか。家屋も再建されており、それとは別にいくつかの兵舎らしいものに、倉庫、そして、何よりも目を引くのは獣程度であれば十二分に対応できそうな隙間のない壁。
更には。
「獣舎……?」
「馬も留められるが、今は王国騎士団付きのグリフォンがいる。今回の場合、膨大な捜索範囲を地上――山に入って探るのは効率が悪い。此処を拠点に、遠出してもらうぞ」
――そうして3日ほど、シュリはほぼ不眠不休で拠点から円を描く形で周囲を探査することとなった。
寒さも感じないシュリよりも、同上することになったロシュや従騎士たちのほうが地獄を見たようだが、拠点で待機するハンターたちには関係のないことである。
問題があったとすれば……その『候補地』が、3箇所見つかったことだろうか。
解説
●目的
・候補地3箇所の探索
●解説
拠点を構えた元廃村から北東50kmほどの位置の山中(かつての依頼に登場した森とは別の位置になります)に、それぞれ1kmほどの間をあけて3箇所に歪虚の存在を検知しました。歪虚の反応が見られたのは半径200メートルほどです。
現在の手法での感知では強弱の判定は付かないため【親玉】の存在までは確認されていませんが、まずは同地点の調査が望まれます。
三点同時や各個調査など、具体的な調査方法についてはハンター達に一任されています。
時間制限は特にありませんが、描写可能期限は7日までとします。
ロシュを始めとして従騎士たちの協力も可能です。(不足やリスクがありそうであれば適宜判断のうえ対応しますが、いかんせん経験不足ゆえ万全とは言い難いでしょう)
なお、グリフォンへの搭乗は騎士団員しかできません。(シュリは同乗下での調査でした)
▽場所
いずれも木々に覆われた山中です。森は雪に覆われており、道らしいものは一切ありません。
いずれの時刻においても天候は通常どおり。吹雪などはありません。
▽敵?
・獣型歪虚:鳥類など飛べるモノ以外は概ね歪虚化していると考えたほうが安全。
▽味方戦力
シュリ:碧剣使い。闘狩人? 一部の他職のスキルを使える&倍速行動 歪虚を見ても突出はしないようになったが……
ロシュ:大剣・弓使い。闘狩人。
従騎士x二:疾影士。レベルは20。装備は片手剣+盾+弓。回避重視のスカウトキャラ。
グリフォン:貴重なため基本的に移動の脚用。
▽PL情報
・状況からはある意味当たり前ですが、3箇所とも「アタリ」です。
・「戦術的な細かな制御」や「視界共有」は狂気の能力ではありますが……?
・候補地3箇所の探索
●解説
拠点を構えた元廃村から北東50kmほどの位置の山中(かつての依頼に登場した森とは別の位置になります)に、それぞれ1kmほどの間をあけて3箇所に歪虚の存在を検知しました。歪虚の反応が見られたのは半径200メートルほどです。
現在の手法での感知では強弱の判定は付かないため【親玉】の存在までは確認されていませんが、まずは同地点の調査が望まれます。
三点同時や各個調査など、具体的な調査方法についてはハンター達に一任されています。
時間制限は特にありませんが、描写可能期限は7日までとします。
ロシュを始めとして従騎士たちの協力も可能です。(不足やリスクがありそうであれば適宜判断のうえ対応しますが、いかんせん経験不足ゆえ万全とは言い難いでしょう)
なお、グリフォンへの搭乗は騎士団員しかできません。(シュリは同乗下での調査でした)
▽場所
いずれも木々に覆われた山中です。森は雪に覆われており、道らしいものは一切ありません。
いずれの時刻においても天候は通常どおり。吹雪などはありません。
▽敵?
・獣型歪虚:鳥類など飛べるモノ以外は概ね歪虚化していると考えたほうが安全。
▽味方戦力
シュリ:碧剣使い。闘狩人? 一部の他職のスキルを使える&倍速行動 歪虚を見ても突出はしないようになったが……
ロシュ:大剣・弓使い。闘狩人。
従騎士x二:疾影士。レベルは20。装備は片手剣+盾+弓。回避重視のスカウトキャラ。
グリフォン:貴重なため基本的に移動の脚用。
▽PL情報
・状況からはある意味当たり前ですが、3箇所とも「アタリ」です。
・「戦術的な細かな制御」や「視界共有」は狂気の能力ではありますが……?
マスターより
こんにちは! シリーズ2話目でございます。
楽しい宴会から一転、しっとり調査……というより捜索依頼です。
この局面を如何にやりきるかで次回以降の状況が定まりますので要注意、ですね!
よろしくおねがいしますー!
楽しい宴会から一転、しっとり調査……というより捜索依頼です。
この局面を如何にやりきるかで次回以降の状況が定まりますので要注意、ですね!
よろしくおねがいしますー!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/01/20 23:29
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 エアルドフリス(ka1856) 人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/12/31 18:41:04 |
|
![]() |
冬の狩り 第二日【相談卓】 エアルドフリス(ka1856) 人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/01/02 06:02:07 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/28 23:20:59 |