ゲスト
(ka0000)
Rainbow Song
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/03/14 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/03/23 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
「妖精神マグダレーネ。お前に折り入って頼みがあるの」
松葉杖をつき、少女は肩掛けの鞄に手を伸ばす。
日に日に壊れていく肉体。だが、この手足が動く間に、何らかの結論を出したい。
「この代弁者の書によれば、本来この森の浄化システムはお前ありきのものだったそうよ」
代弁者の書――。
それは森都エルフハイムの図書館にて禁書として保存されていたもの。
かつて長老でもあったジエルデ・エルフハイムが外部へと持ち出し、神森事件の際に部分的な翻訳を行ったという。
浄化の器ことアイリスは、長らく図書館の管理に携わりながら、この代弁者の書を読み解く努力を続けてきた。
それは育ての親、ジエルデの足跡を辿る旅でもあった。
「この森の浄化には問題がある。それは汚染を溜め込んだ巫女がやがて暴発して新しい“オルクス”が生まれてしまうこと。機導浄化術の進歩と負の想念が森の神……即ちお前、マグダレーネから取り除かれた事でこの問題は一端落ち着いたように見える。けど、本質的な解決には至っていない」
なぜならば、マグダレーネが自分自身の能力を何も思い出していないからだ。
神森事件後、森の聖域に現れた謎の精霊。
名前も素性も誰にもわからないままだった彼女の正体を突き止めたのは、アイリスだった。
「浄化の巫女は、各地で穢れを引き受けた後、最期には浄化の力を持つあんた……妖精神に引き渡すことで、巫女を生かしていた。そのお前に穢れが溜まりすぎた結果……というか、エルフハイムの民が信仰を違えた結果、お前は暴走してしまった」
そして巫女は救われず、自分で穢れをため込むしかなくなり、悪循環が始まる。
「だから、私達が生まれてしまった」
アイリスは小さく息を着き、まだピンと来ていない精霊に願う。
「ねえ、思い出してよ。お前が元通りになったら、今度こそ森は救われる。あの子たちの……次の世代の巫女には、誰一人こんな想いはさせたくないの。浄化の器は、私で終わりにしなきゃ」
マグダレーネは小首をかしげ、しばし思案する。
『正直……よくわからないわ。でも、自分がどうして子供達を呼んでいたのかは分かった気がする』
夜な夜な子供達を呼び出していたのは、彼女らの“穢れ”を浄化するため。そう考えれば辻褄はあっている。
『ごめんなさい。それ以上は何も思い出せない。どうやって穢れを浄化すればいいのかも……』
ためらいがちな口調なのは、非協力的だからではない。
目の前の少女の状態について、マグダレーネには理解できてしまうからだ。
『今ならわかるけど……あなた、心と体がちぐはぐなのね。あなただけは、仮に穢れを祓っても助けられない』
「……だよね。それはわかってるから、遠慮しなくていいわ」
浄化の器は元々長くない。それはとうにわかっていた事で、今更落ち込む理由など――。
『そうではなくて。あなたの身体にはまだ二つの魂があるの。そしてそれが真逆の事を願っているせいで、おかしくなっているのよ』
意外な言葉に目を見開く。
まだ――魂が二つある、だって?
『あなた達、どうしてそうなってしまったの? お互いがお互いを生かしたいと願ってる。でも、お互いがお互いにそれを受け入れようとしていない。まるで自分自身を否定しているみたい……』
「ちょ……ちょっと待って。まさか、ホリィって……私のもう一つの心って、消えてないの!?」
『消えるもなにも……正しくは同じものでしょう? 結局どちらに統合するのかという話なのだから……』
「それは……! ホリィは、私を優先して……っ!」
『でも、あなたはそれを受け入れなかったから』
確かにそうだ。アイリスは自分自身を愛していない。
ホリィは彼女にとって憧れの存在だった。自己否定の対極に存在する“光”だった。
だから思うのだ。ホリィではなく、自分が消えればよかったと。
そうすればこんなに辛い世界で生きていくことも、自分を彼女と誤解して笑いかけられることも、彼女の代わりに頑張る必要もなかったのに。
自分一人で生きられない、痛みに耐えられない弱虫だったから、代理人格が必要だった。
最初から、アイリスはホリィに強く依存していたのだ。
「それならそうと言ってよ……ホリィ……」
自分の胸に手を当て、言葉を絞り出す。
「お前には絶対に能力を取り戻してもらうわ。その為に色々やるけど、最後まで付き合ってもらうから」
少女の言葉に精霊は静かにうなずいた。どちらにせよ、それは彼女の為でもあったのだ。
●
「それで、私に相談を持ち掛けたと」
帝都バルトアンデルスに置かれた錬金術師組合のオフィスに、ハイデマリー・アルムホルム正博士の研究室はあった。
アポも取らずに突然現れたアイリスは、代弁者の書を含む必要そうな資料を鞄に納め、ここまで一人でやって来た。
「身体の具合も悪いんだから、ハジャでも迎えによこせばよかったのに」
「これは私の我儘だし……頼みごとをする時は、誠意を伝えなきゃいけないかなと……」
見るからに萎縮した様子のアイリスを、ハイデマリーは困ったように見つめていた。
この浄化の器と呼ばれる少女との縁は、実は神森事件の後に一度途切れている。
それは正博士として機導浄化術を進歩させ、エルフハイムを救うことを優先した結果でもあるが、心のどこかで直接会うことを避けていたのも事実だ。
ハイデマリーは少なからず“ホリィ”に肩入れしていた。
彼女のささやかな幸せを壊した、このアイリスという人格と対面を避けた程度には。
「私の願いは二つ。どうにかしてマグダレーネの記憶を取り戻すこと。それから……この体からアイリスを消して、ホリィを蘇らせること」
「……本気なの?」
「自暴自棄になったわけじゃなくて、論理的にその方がいいと思う。あの子の能力がまだ森都には必要だもの。それに、皆もそれを望んでる。あなたも含めてね」
買ったばかりのソファに身体を深く預け、ハイデマリーは足を組み替える。
「一度検討させて頂戴。その上で、恐らくこの件にはソサエティの神霊樹ネットワークが必要になるから、タングラムにも連絡しておくわ」
こうして準備が始まって数日後。準備は意外な程すんなりと進んだ。
「以前ジエルデに聞いたんだけど……もしかしたらあんたは眠っている間、もう一つの人格と繋がってるのかもしれないそうよ」
帝都のハンターズオフィスに協力を要請し、神霊樹ライブラリに接続した特殊なベッドを用意。
そこにアイリスを眠らせ、まずは彼女の中にまだホリィという存在が残っているのかどうかを確かめる実験が行われることになった。
「ハンターのようにマテリアルと高い親和性があるのなら、精霊の残滓としてのホリィを感じ取れるかもしれない」
アイリスはこの実験を快く受け入れた。
奇妙な実験はハンターを交え、雨の降る静かな夜に実行された。
●
「妖精神マグダレーネ。お前に折り入って頼みがあるの」
松葉杖をつき、少女は肩掛けの鞄に手を伸ばす。
日に日に壊れていく肉体。だが、この手足が動く間に、何らかの結論を出したい。
「この代弁者の書によれば、本来この森の浄化システムはお前ありきのものだったそうよ」
代弁者の書――。
それは森都エルフハイムの図書館にて禁書として保存されていたもの。
かつて長老でもあったジエルデ・エルフハイムが外部へと持ち出し、神森事件の際に部分的な翻訳を行ったという。
浄化の器ことアイリスは、長らく図書館の管理に携わりながら、この代弁者の書を読み解く努力を続けてきた。
それは育ての親、ジエルデの足跡を辿る旅でもあった。
「この森の浄化には問題がある。それは汚染を溜め込んだ巫女がやがて暴発して新しい“オルクス”が生まれてしまうこと。機導浄化術の進歩と負の想念が森の神……即ちお前、マグダレーネから取り除かれた事でこの問題は一端落ち着いたように見える。けど、本質的な解決には至っていない」
なぜならば、マグダレーネが自分自身の能力を何も思い出していないからだ。
神森事件後、森の聖域に現れた謎の精霊。
名前も素性も誰にもわからないままだった彼女の正体を突き止めたのは、アイリスだった。
「浄化の巫女は、各地で穢れを引き受けた後、最期には浄化の力を持つあんた……妖精神に引き渡すことで、巫女を生かしていた。そのお前に穢れが溜まりすぎた結果……というか、エルフハイムの民が信仰を違えた結果、お前は暴走してしまった」
そして巫女は救われず、自分で穢れをため込むしかなくなり、悪循環が始まる。
「だから、私達が生まれてしまった」
アイリスは小さく息を着き、まだピンと来ていない精霊に願う。
「ねえ、思い出してよ。お前が元通りになったら、今度こそ森は救われる。あの子たちの……次の世代の巫女には、誰一人こんな想いはさせたくないの。浄化の器は、私で終わりにしなきゃ」
マグダレーネは小首をかしげ、しばし思案する。
『正直……よくわからないわ。でも、自分がどうして子供達を呼んでいたのかは分かった気がする』
夜な夜な子供達を呼び出していたのは、彼女らの“穢れ”を浄化するため。そう考えれば辻褄はあっている。
『ごめんなさい。それ以上は何も思い出せない。どうやって穢れを浄化すればいいのかも……』
ためらいがちな口調なのは、非協力的だからではない。
目の前の少女の状態について、マグダレーネには理解できてしまうからだ。
『今ならわかるけど……あなた、心と体がちぐはぐなのね。あなただけは、仮に穢れを祓っても助けられない』
「……だよね。それはわかってるから、遠慮しなくていいわ」
浄化の器は元々長くない。それはとうにわかっていた事で、今更落ち込む理由など――。
『そうではなくて。あなたの身体にはまだ二つの魂があるの。そしてそれが真逆の事を願っているせいで、おかしくなっているのよ』
意外な言葉に目を見開く。
まだ――魂が二つある、だって?
『あなた達、どうしてそうなってしまったの? お互いがお互いを生かしたいと願ってる。でも、お互いがお互いにそれを受け入れようとしていない。まるで自分自身を否定しているみたい……』
「ちょ……ちょっと待って。まさか、ホリィって……私のもう一つの心って、消えてないの!?」
『消えるもなにも……正しくは同じものでしょう? 結局どちらに統合するのかという話なのだから……』
「それは……! ホリィは、私を優先して……っ!」
『でも、あなたはそれを受け入れなかったから』
確かにそうだ。アイリスは自分自身を愛していない。
ホリィは彼女にとって憧れの存在だった。自己否定の対極に存在する“光”だった。
だから思うのだ。ホリィではなく、自分が消えればよかったと。
そうすればこんなに辛い世界で生きていくことも、自分を彼女と誤解して笑いかけられることも、彼女の代わりに頑張る必要もなかったのに。
自分一人で生きられない、痛みに耐えられない弱虫だったから、代理人格が必要だった。
最初から、アイリスはホリィに強く依存していたのだ。
「それならそうと言ってよ……ホリィ……」
自分の胸に手を当て、言葉を絞り出す。
「お前には絶対に能力を取り戻してもらうわ。その為に色々やるけど、最後まで付き合ってもらうから」
少女の言葉に精霊は静かにうなずいた。どちらにせよ、それは彼女の為でもあったのだ。
●
「それで、私に相談を持ち掛けたと」
帝都バルトアンデルスに置かれた錬金術師組合のオフィスに、ハイデマリー・アルムホルム正博士の研究室はあった。
アポも取らずに突然現れたアイリスは、代弁者の書を含む必要そうな資料を鞄に納め、ここまで一人でやって来た。
「身体の具合も悪いんだから、ハジャでも迎えによこせばよかったのに」
「これは私の我儘だし……頼みごとをする時は、誠意を伝えなきゃいけないかなと……」
見るからに萎縮した様子のアイリスを、ハイデマリーは困ったように見つめていた。
この浄化の器と呼ばれる少女との縁は、実は神森事件の後に一度途切れている。
それは正博士として機導浄化術を進歩させ、エルフハイムを救うことを優先した結果でもあるが、心のどこかで直接会うことを避けていたのも事実だ。
ハイデマリーは少なからず“ホリィ”に肩入れしていた。
彼女のささやかな幸せを壊した、このアイリスという人格と対面を避けた程度には。
「私の願いは二つ。どうにかしてマグダレーネの記憶を取り戻すこと。それから……この体からアイリスを消して、ホリィを蘇らせること」
「……本気なの?」
「自暴自棄になったわけじゃなくて、論理的にその方がいいと思う。あの子の能力がまだ森都には必要だもの。それに、皆もそれを望んでる。あなたも含めてね」
買ったばかりのソファに身体を深く預け、ハイデマリーは足を組み替える。
「一度検討させて頂戴。その上で、恐らくこの件にはソサエティの神霊樹ネットワークが必要になるから、タングラムにも連絡しておくわ」
こうして準備が始まって数日後。準備は意外な程すんなりと進んだ。
「以前ジエルデに聞いたんだけど……もしかしたらあんたは眠っている間、もう一つの人格と繋がってるのかもしれないそうよ」
帝都のハンターズオフィスに協力を要請し、神霊樹ライブラリに接続した特殊なベッドを用意。
そこにアイリスを眠らせ、まずは彼女の中にまだホリィという存在が残っているのかどうかを確かめる実験が行われることになった。
「ハンターのようにマテリアルと高い親和性があるのなら、精霊の残滓としてのホリィを感じ取れるかもしれない」
アイリスはこの実験を快く受け入れた。
奇妙な実験はハンターを交え、雨の降る静かな夜に実行された。
解説
●目的
アイリスまたはホリィとの対話。
●概要
このシナリオでは「アイリス」または「ホリィ」どちらか一方のキャラクターと【のみ】会話可能。
現時点ではこの二人との会話=ホリィが存在しているという証明にはならない。
あくまでもアイリスの心の中にあるホリィ像、つまりただの空想という可能性もある。
アイリスもホリィも自らの消滅を願っており、それが肉体に強く悪影響を及ぼしている。
双方と話をした上で「ホリィの実在の証明」と「それぞれの願いの折り合い」について見つけ出せれば成功となる。
ただし、あえて「ホリィの証明をしない」こともできる。
その場合でもストーリーは進行する。
●登場人物
『アイリス』
味は分からなくなり、耳は聞こえなくなり、目も見えなくなりつつある。
今回のやりとりは眠っている最中の夢(のようなもの)に干渉するため、健康な状態。
根本的に森都を救う方法を模索している。
『ホリィ』
神森事件の直後から時が止まったままのもう一つの器。
アイリスがその後どうなったのかは何も知らない。
本物なのか幻なのかも不明。
森都よりもアイリスを救う事を優先している。
『ハイデマリー』
錬金術師組合の正博士。ハイパー出世済み。
そもそもこういうことになると予見して装置などを組み上げていた。
アイリスには少し苦手意識がある。
彼女と話す事も出来るが、あくまでも現実での会話となる。
アイリスまたはホリィとの対話。
●概要
このシナリオでは「アイリス」または「ホリィ」どちらか一方のキャラクターと【のみ】会話可能。
現時点ではこの二人との会話=ホリィが存在しているという証明にはならない。
あくまでもアイリスの心の中にあるホリィ像、つまりただの空想という可能性もある。
アイリスもホリィも自らの消滅を願っており、それが肉体に強く悪影響を及ぼしている。
双方と話をした上で「ホリィの実在の証明」と「それぞれの願いの折り合い」について見つけ出せれば成功となる。
ただし、あえて「ホリィの証明をしない」こともできる。
その場合でもストーリーは進行する。
●登場人物
『アイリス』
味は分からなくなり、耳は聞こえなくなり、目も見えなくなりつつある。
今回のやりとりは眠っている最中の夢(のようなもの)に干渉するため、健康な状態。
根本的に森都を救う方法を模索している。
『ホリィ』
神森事件の直後から時が止まったままのもう一つの器。
アイリスがその後どうなったのかは何も知らない。
本物なのか幻なのかも不明。
森都よりもアイリスを救う事を優先している。
『ハイデマリー』
錬金術師組合の正博士。ハイパー出世済み。
そもそもこういうことになると予見して装置などを組み上げていた。
アイリスには少し苦手意識がある。
彼女と話す事も出来るが、あくまでも現実での会話となる。
マスターより
お世話になっております。神宮寺です。
こちらも遅ればせながらリリースとなります。浄化の器完結編です。
もうちょっと色々間にストーリーが入る予定のところ、忙しくてスキップしてしまいました。
繰り返しになりますが、このシナリオでPCが接触できるのはアイリスかホリィのどちらか一方だけです。
目覚めた後、アイリスはハンターとの接触を避けるようになります。
なお、このシナリオは質問には回答できません。
それではよろしくお願い致します。
こちらも遅ればせながらリリースとなります。浄化の器完結編です。
もうちょっと色々間にストーリーが入る予定のところ、忙しくてスキップしてしまいました。
繰り返しになりますが、このシナリオでPCが接触できるのはアイリスかホリィのどちらか一方だけです。
目覚めた後、アイリスはハンターとの接触を避けるようになります。
なお、このシナリオは質問には回答できません。
それではよろしくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/03/31 20:50
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/09 14:15:44 |
|
![]() |
相談所 ヒース・R・ウォーカー(ka0145) 人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2019/03/12 00:03:30 |