• 戦闘

勘違いの用心棒

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/06/26 12:00
リプレイ完成予定
2014/07/05 12:00

オープニング

「ぐ、ぐわーっ!? こいつ……強いぞ!?」
 帝国領のとある山中。複数の帝国兵を相手に大立ち回りを演じる小さな影があった。
 左右の手に小さな斧を持ち、いかにも辺境由来の民族衣装をまとった少女。マテリアルの輝きは彼女が覚醒者である事を示唆している。
 少女は襲い掛かる兵士を次々にやっつけていた。やっつけるというのは、斧の側面で頭を叩いたり蹴っ飛ばしたりして無力化しているという事。要するに殺してはいなかった。
「だめだ、撤退、撤退ーっ!」
 逃げていく兵士たちを見送り小さく息を吐く少女。フードを持ち上げると、ぴょこぴょこと跳ね回る髪が自己主張する。
「やれやれ、やっと諦めて帰っただ。なんであいつら何度もしつこく襲ってくるだべか?」
 きょとんとした様子の少女の背後、木々の陰から数人の男たちが姿を見せた。少女と違い、明らかにアウトローな風貌をしている。
「よくやってくれたなぁ、シュシュ」
「オカシラ! 怪我はなかったべか?」
「おう、シュシュのお蔭で無傷だぜ。シュシュは俺達のヒーローだな」
 わしわしと少女の頭を撫で回す大男。明らかに人相が悪く、頬には切り傷がある。ニマっと笑うその横顔は邪悪なのだが、少女は全く気にも留めない。
「シュシュ、帝国兵きらいだかんな。あいつらシュシュの村にも来て、好き勝手やってただ。オカシラたち被害者、シュシュ助けるかんなっ」
「そうだぞー、俺達は被害者だからなあ。これからも頼んだぞ、シュシュ」
 ゲヘゲヘといかにも悪そうな笑い声が方々から上がるが、少女の瞳には星が煌めいている。彼らを疑うという発想が、少女にはなかったのだ――。

 ――ベルセルクのシュシュが山賊の用心棒になったのは、二週間ほど前の事だ。
 シュシュは元々ハンターで、その日も依頼をこなす為にその地を訪れていた。内容は山賊の殲滅。一人で来たのはその方が報酬が多かったからだ。
 六人だの八人でくれば給料はそれだけ減ってしまう。シュシュには三人の妹と二人の弟がいて、それを母親が一人で面倒見ていた。要するに貧乏だったのだ。
 辺境から流れてきて数年。大嫌いだった帝国で暮らすようになり、ハンターとなったが、それでもド田舎育ちのシュシュは都会に馴染めずにいた。
 そんなある日受けた依頼が彼女の転機となってしまった。シュシュは幼少時から狩人であり、その戦闘力は高い。山賊たちを圧倒し一人で依頼を完遂……しかけたのだが、最後の最後に山賊がかましたハッタリが思い切り突き刺さってしまったのだ。
「た、助けてくれぇ! 俺達は被害者なんだ!」
「最初から殺すつもりはなかっただよ? 捕まえて引き渡せばいいだけだべ。それより被害者ってどういうことだ?」
 斧を手にきょとんとするシュシュ。山賊は必死で命乞いした。自分たちは帝国の悪政の被害者であり、常日頃弾圧されているという事。国軍に追い立てられ山に籠っている事。それでも軍が迫っている事……あることないことひっくるめ必死で喋り続けたその結果……。
「びぇえええっ! オカシラ達はシュシュとおんなじだ! 帝国のせいで住むとこなくなって、家族ばらばらになっただよ!」
「……オカシラ、こいつ信じてますよ」
「バカか……? だが覚醒者だからな、強さは相当なもんだ……利用できるかもしれねぇ……ひひひ」
 正座したまま泣きじゃくるシュシュ。山賊達は少女を言いくるめ、国軍の追及を逃れるための盾――用心棒として使う事を思いついたのだった……。

「おらシュシュ、晩飯だ。これ食って明日からもよろしくな」
 オカシラが投げ渡したのはカビの生えたパンだった。シュシュはにっこりとほほ笑み、礼を言うと両手で持ったそのパンをおいしそうに頬張った。
 水はその辺の川で飲めたし、狩りは得意だ。森の中での生活は不慣れだったが、何とか生活できる。
「シュシュのお蔭で俺達の仕事もはかどるよ。最近はかなり調子いいぜ」
「皆が喜んでくれてうれしいだ! シュシュ、明日からもがんばるだよ! だから皆も帝国に負けず、きっと幸せになるだよ!」
 盗賊たちは奥にある山小屋で暮らしている。シュシュはそこには入れてもらえなかった……というか自分でここで見張ると言って聞かなかった為、一人外で野宿していた。
 仰向けに寝転がり、星空に思い浮かべるのは故郷の事だ。ある日急に帝国軍がやってきて、ここは危険だからとかなんだ言って無理矢理退去させられてしまった。
「危険でもビンボーでもよかっただ。シュシュは、家族や仲間と暮らせればそれで……」
 ハンターとして金を稼ぎ、いつかは仲間を呼び戻しもう一度一緒に暮らしたい。その夢は大切だ。
 だが目の前で困っている人達を、帝国に苦しめられている人を見捨てる事は誇りが許さなかったのだ。
「うぅ……夜は冷えるべ……皆も今頃、同じ空を見てるだべか……?」
 毛布に包まり幸せな夢を見る。少女はまだ、自らの犯した過ちに何も気づいてはいなかった……。

解説

●目的
行方不明になったハンターの救出、及び山賊の対処。

●概要
先日、一人で山賊討伐に出発したハンターが帰還せず行方不明になっている。
返り討ちにあったかと思われたハンターだが、その後山賊と共にいる所を目撃されている。恐らくは捕まっているのだろうと推測された。
元々この案件は帝国軍から回された依頼であり、依頼失敗を受け作戦行動に出た帝国軍だが、何度もハンターと思しき少女に撃退されている。
事情は全く不明だが、行方不明になったハンターが山賊の味方をしているのは間違いない。
作戦を邪魔された帝国軍から抗議が入る前に、報告を受けた第一師団長より「出来る事ならハンター同士で解決してほしい」と依頼が入った。
帝国側にはこのハンターの言い分を聞き判断する用意がある。少女はまだ帝国兵を手にかけてはおらず、その罪も軽い。
何とか説得し、事情を聴き出して武装解除させてほしい。それがままならない場合は武力を行使しても少女を「救出」してもらいたい。
ハンターの仕事はそこまでで、山賊への対処に関しては帝国軍が行うと申し出ているが、可能ならばこれも果たす事で面子を守る事が出来るだろう。
帝国軍は罪人が過剰に抵抗しない限り、その場で殺害は出来ない事になっている。可能ならば殺さずに捕え帝国軍に引き渡してほしい。
尚、救出した少女は帝国軍に引き渡す事になっている。逃がさずきちんと引き渡す事。


●敵情報
『シュシュ・アルミラ』
辺境からやってきたらしいハンターの少女。霊闘士。
覚醒者なりの強さを持つが、複数人のハンターを相手に立ち回れる程ではない。
小柄で民族衣装を纏い、二つのハンドアックスで戦う。

『山賊』
ここ最近調子に乗っている山賊達。
森の奥にある山小屋に結構な人数が潜んでいるようだ。


●特筆
OPはPL情報であるとする。
シュシュは抵抗する事が予想されるが、殺害する事で依頼は失敗となる。
山賊は殺しても失敗にはならないが、成功度の減少を招く。

マスターより

お世話になっております、神宮寺でございます。

そろそろこんなのもいいかなと、少しだけ難しい依頼です。
戦闘がどうこうというよりは、いかに戦いを避けるか、殺さずに穏便に事を収めるかの難しさです。
うまくシュシュを説得出来れば山賊を一網打尽にすることも簡単です。
軍にシュシュを引き渡してもいきなり斬首とかはされないので、安心して見送ってください。

それでは宜しくお願い致します。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/06/29 05:01

参加者一覧

  • 心優しき友人
    東雲 禁魄(ka0463
    エルフ|23才|男性|霊闘士
  • クール・スナイパー
    エルドレッド・ディアルティア(ka0560
    人間(紅)|29才|男性|猟撃士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 勝利への雷光
    鳳 覚羅(ka0862
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 愛しい女性と共に
    レイス(ka1541
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 白煙の狙撃手
    伊勢 渚(ka2038
    人間(紅)|25才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/06/21 22:53:14
アイコン 作戦相談所
レイス(ka1541
人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/06/25 23:30:20