ゲスト
(ka0000)
パンは剣より強し
マスター:硲銘介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/27 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/04/05 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
「困った事になったな……」
筋骨隆々の巨体にエプロン姿の男、タバクは深い溜息を吐きながら部屋の中を見渡した。
そこは厨房。彼が経営するパン屋の、なんてことのない普通の厨房だ。
いつも通り整頓された調理台。冷蔵庫や倉庫にはパン作りの為の食材が十分にある。パン焼き釜の調子も好調だ。
ただひとつ――忙しなく動き回る職人達の姿だけが無い。
「はぁ……」
大きな体を椅子に沈め、タバクは頭を抱える。
彼の店は小さな町の小さなパン屋。町には他のパン屋が無いのもあって人気はそれなりだったし、大きな町の有名店に及ばないも中々の店だと自負していた。
それは抱えていた腕の良い職人達のおかげだった。こんな片田舎のパン屋には不似合いな腕利きが集まっていた。
そう、集まっていた――もう過去の事だ。
一週間前のこと。タバクの店の評判を聞きつけた他所の町のパン屋が職人達をスカウトしにやってきた。
要するに、よくある引き抜きがあって、職人達はタバクの下を去っていった。
当然タバクは引き止めたが、彼らは聞く耳を持たなかった。移動先はこんな場末の店とは違う、流行の最先端にあるような場所だったのだからそれも仕方ない。
去り際、取り残されたタバクに職人の一人が言った。
――タバクさんも、もう諦めた方がいいっすよ。そいつがいるべき場所にいるべきなんですから、人間は誰でも。
昔の話である。
タバクはハンターとして生きていた。屈強な肉体はその時代に培ったものだ。
彼は戦闘依頼を好んで受け、大剣を担ぎ、一閃で雑魔共を薙ぎ払ってきた。見た目通りの豪腕が残す戦果、一時は名を馳せたものだ。
ハンター、タバクは一流の闘狩人だった。戦士として、彼は天性の才覚を持っていた。
同時に、彼は戦い以外にはまるで適さなかった。手先の不器用さも、頭の巡りの悪さも自覚していた。
故に、自分の長所である戦闘を好んだ。他の事など二の次で、ただただ戦いに没頭した。
そうして戦って、戦って、戦った。いつしか、戦う事以外忘れていた。
――酒の味がしなくなった。肉を食っても何も感じない。美味い料理も道端の草も変わらない。
失って、タバクは初めて食事というものを求めた。栄養補給だけでない何かにようやく気がついたのだ。
それからあらゆる手を尽くしたが――味を感じることは無かった。失われた味覚はとうとう、戻らなかった。
タバクは剣を置き、小さなパン屋を開いた。ハンター生活で貯めた金を使って、仲間を、器材を揃えた。
自分が失った味覚――それがすばらしいものだと分かったから、誰かに美味いものを食わせる仕事に憧れた。
しかし、数ある飲食業から何故パン屋なのか。
幼少の頃、母親の作ったパンを食べた事があった。それは特別優れたものではなかったけど、ずっと記憶に残っていた。
味覚を失う前から鈍感だった舌が、ずっと記憶に残していた味。それがただ、忘れられなかっただけのこと。
「……よし」
ハンターオフィスへ依頼を出す事にした。現役の頃には手を出さなかったが、あの場所が多様な依頼をこなす所だとは分かっていた。
店を潰したくはない。新作のパンを作りなんとか客足を繋ぎ、その間に新しい店員を募るのだ。
不器用な自分ではロクなパンは作れない。誰が見たって明らかだ、タバクはパン屋には絶望的に向いていない。
無骨な大男。パンをこねるよりも、剣を振るう方が遥かに得意だ。
――それでも。今のタバクは、パンをこねる方が好きだった。
●
「困った事になったな……」
筋骨隆々の巨体にエプロン姿の男、タバクは深い溜息を吐きながら部屋の中を見渡した。
そこは厨房。彼が経営するパン屋の、なんてことのない普通の厨房だ。
いつも通り整頓された調理台。冷蔵庫や倉庫にはパン作りの為の食材が十分にある。パン焼き釜の調子も好調だ。
ただひとつ――忙しなく動き回る職人達の姿だけが無い。
「はぁ……」
大きな体を椅子に沈め、タバクは頭を抱える。
彼の店は小さな町の小さなパン屋。町には他のパン屋が無いのもあって人気はそれなりだったし、大きな町の有名店に及ばないも中々の店だと自負していた。
それは抱えていた腕の良い職人達のおかげだった。こんな片田舎のパン屋には不似合いな腕利きが集まっていた。
そう、集まっていた――もう過去の事だ。
一週間前のこと。タバクの店の評判を聞きつけた他所の町のパン屋が職人達をスカウトしにやってきた。
要するに、よくある引き抜きがあって、職人達はタバクの下を去っていった。
当然タバクは引き止めたが、彼らは聞く耳を持たなかった。移動先はこんな場末の店とは違う、流行の最先端にあるような場所だったのだからそれも仕方ない。
去り際、取り残されたタバクに職人の一人が言った。
――タバクさんも、もう諦めた方がいいっすよ。そいつがいるべき場所にいるべきなんですから、人間は誰でも。
昔の話である。
タバクはハンターとして生きていた。屈強な肉体はその時代に培ったものだ。
彼は戦闘依頼を好んで受け、大剣を担ぎ、一閃で雑魔共を薙ぎ払ってきた。見た目通りの豪腕が残す戦果、一時は名を馳せたものだ。
ハンター、タバクは一流の闘狩人だった。戦士として、彼は天性の才覚を持っていた。
同時に、彼は戦い以外にはまるで適さなかった。手先の不器用さも、頭の巡りの悪さも自覚していた。
故に、自分の長所である戦闘を好んだ。他の事など二の次で、ただただ戦いに没頭した。
そうして戦って、戦って、戦った。いつしか、戦う事以外忘れていた。
――酒の味がしなくなった。肉を食っても何も感じない。美味い料理も道端の草も変わらない。
失って、タバクは初めて食事というものを求めた。栄養補給だけでない何かにようやく気がついたのだ。
それからあらゆる手を尽くしたが――味を感じることは無かった。失われた味覚はとうとう、戻らなかった。
タバクは剣を置き、小さなパン屋を開いた。ハンター生活で貯めた金を使って、仲間を、器材を揃えた。
自分が失った味覚――それがすばらしいものだと分かったから、誰かに美味いものを食わせる仕事に憧れた。
しかし、数ある飲食業から何故パン屋なのか。
幼少の頃、母親の作ったパンを食べた事があった。それは特別優れたものではなかったけど、ずっと記憶に残っていた。
味覚を失う前から鈍感だった舌が、ずっと記憶に残していた味。それがただ、忘れられなかっただけのこと。
「……よし」
ハンターオフィスへ依頼を出す事にした。現役の頃には手を出さなかったが、あの場所が多様な依頼をこなす所だとは分かっていた。
店を潰したくはない。新作のパンを作りなんとか客足を繋ぎ、その間に新しい店員を募るのだ。
不器用な自分ではロクなパンは作れない。誰が見たって明らかだ、タバクはパン屋には絶望的に向いていない。
無骨な大男。パンをこねるよりも、剣を振るう方が遥かに得意だ。
――それでも。今のタバクは、パンをこねる方が好きだった。
解説
『依頼内容』
小さな町のパン屋を営むタバク氏からの依頼です。
客足の途絶えたパン屋に客を呼び込むための新作パンを作ります。
皆様にはそのアイディア出しと作成のお手伝いをお願い致します。
料理、パン作りの経験は不問です。
『材料』
器材道具含め、よほど特殊なものでなければ店側で用意します。
小さな町のパン屋を営むタバク氏からの依頼です。
客足の途絶えたパン屋に客を呼び込むための新作パンを作ります。
皆様にはそのアイディア出しと作成のお手伝いをお願い致します。
料理、パン作りの経験は不問です。
『材料』
器材道具含め、よほど特殊なものでなければ店側で用意します。
マスターより
こんにちは、硲銘介です。
久しぶりの日常もの。何故かパン作り。このところ戦闘シナリオが続いたのでギャップが凄いです。
今回は皆様にパンのアイディア出しをしていただくものになります。
ちなみに、私はパンとか料理とかまるでわからない人間なので(おい)
これは技術的に無理、とか。あまり専門的なダメ出しはしません。気楽にどうぞ。
魚の目玉とか入れてもいいです。人間の目玉は勘弁してください。
多分、よさげなパンを作った人がMVPです。
真っ当なパンは勿論、おいおいどうかしてるぜ系のパンも可能性はあります。
是非是非、奮ってご参加くださいませ。
久しぶりの日常もの。何故かパン作り。このところ戦闘シナリオが続いたのでギャップが凄いです。
今回は皆様にパンのアイディア出しをしていただくものになります。
ちなみに、私はパンとか料理とかまるでわからない人間なので(おい)
これは技術的に無理、とか。あまり専門的なダメ出しはしません。気楽にどうぞ。
魚の目玉とか入れてもいいです。人間の目玉は勘弁してください。
多分、よさげなパンを作った人がMVPです。
真っ当なパンは勿論、おいおいどうかしてるぜ系のパンも可能性はあります。
是非是非、奮ってご参加くださいませ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/04/01 00:51
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/23 13:30:11 |
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相談卓 日下 菜摘(ka0881) 人間(リアルブルー)|24才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/03/23 13:36:17 |