ゲスト
(ka0000)
器ちゃん、迷子になる!
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/04/30 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/09 22:00
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
「ごらん。ここがどんな国にも支配されない町、ピースホライズンだよ」
青年の言葉に少女は顔を上げた。大きな橋の向こう、崖の上に築かれた都市が見えた。
ピースホライズンは帝国領と王国領を隔てる絶壁を結ぶ重要な交易拠点だ。
町は完全な中立であり、帝国軍は勿論、王国騎士団も手出しは出来ない場所。揉め事ご法度の聖域である。
「ピースホライズン」
「そう。ピースホライズン。ここはね、エルフも人間も関係なく受け入れてくれる。極小数とは言え、エルフハイムでさえも商取引を行っている場所だ」
すっと視線を上げた少女の横、青年は穏やかに笑みを浮かべる。
「さて、僕が同行するのはここまでだ。さ、これを」
青年が手渡したのは布袋にギッシリ詰まった金貨であった。勿論、人間の世界で流通する物だ。
「お金があればとりあえずは困らないからね。迎えが来るまで好きに過ごすといい」
「迎え」
「そう、約束だよ。いつかまた、必ず迎えに来るから。それまでいい子で待っててね」
頷く少女。青年は手を振りながら歩き出すと、ここまで二人を馬に跨った。
器が生活する神霊樹を囲う泉。傾いた本棚が誰にも読めない古の言葉を貯蔵するその畔でハジャは包帯を解いていた。
「やれやれ……一芝居打つにも手間かけるねぇ、俺は」
ジエルデが巻いてくれた包帯は過剰で、ミイラ男のような様だった。
笑えてくるのは彼女が自分のような者にも懇切丁寧に手当をしてくれた事実か。
或いは、この状況の為に剣妃との戦闘であえて負傷した自分自身のストイックさにだろうか。
「悪いなジエルデ。俺には……いや。俺達にはどうしても、成し遂げなきゃならない夢がある」
彼が守るべき器はそこにはいない。男は小さく息をつき、眉を潜める。
「……ったく。あ~っさりハメられやがって」
恐らく、いや、きっと。彼女はまだ諦めてはいないのだ。
人を信じる事を。誰かを救う事を。だからその優しさを少しつついてやれば素直に踊り出す。
器という制度に翻弄され、家族の罪に翻弄され、多くの思惑の中で翻弄され続ける人生……。
他人を傷つけたくない。だからその痛みも罰も全て自分で抱えようとする。
血の繋がらない姉妹は、しかし同じ生き方を選んだ。光の当たらない場所で自分の信念を貫く事。それはきっと容易くはない。
沢山の犠牲と沢山の嘘と沢山の血と涙の上に、奇跡的なバランスの今がある。
舌打ちし、女がいつも腰掛けていた古い木椅子を蹴り飛ばす。
それが何を意味しているのか、ハジャにはまだ理解出来なかった。
少女にとってピースホライズンは未知の世界であった。
夥しい量の人間が行き来する町はまっすぐ歩くことすらままならない。ただ翻弄され、流されるように進む。
少し感覚を研ぎ澄ませば人の声が頭の中で反響する。それは常に静寂に身を置いてきた彼女にとって苦痛以外の何物でもない。
疑問を持つ事はなかった。痛いのも苦しいのも慣れている。
自分が何故ここに連れだされたのかなんて事はどうでもいい。ただ命令だから従うだけ。
大人の言う事を聞いていればとりあえず食事が出来る。暖かく眠ることが出来る。生存を許される。
生まれてから十年と少しの人生は、ただ呼吸をする為にあったじゃないか。
ふと、視界の端の露天を捕らえた。新鮮な果物が並べられた店の前に立ち、物珍しげに視線を巡らせる。
「いらっしゃい! お嬢ちゃん、おつかいかい?」
「おつかい?」
「何か買いに来たんだろう?」
首を撚るその顔は全くの無表情で、威勢のいい親父も流石に苦笑する。
「一人かい? 親御さんは? 迷子ってわけじゃないんだろ?」
また首を撚る。その視線の先には赤いリンゴが山積みになっていた。
「リンゴ買いに来たのかい?」
「リンゴ? これはリンゴではない。リンゴは黄色くて、うさぎさんの形をしている」
きょとんとする店主。少女は目を細め、“飼い主”を思い出す。
ジエルデはいつも既に切り分けてあるリンゴを少女に差し出してくる。勿論食ったことはあるぜ。切れてる奴をな。
そこで目を見開き、答えを得た。
ジエルデはあの時「はーい、器ちゃん、かわいいうさぎさんにしてきましたよ~」と猫なで声を上げていた。
してきた、という事は、元々は恐らくうさぎさんではなかったということ。即ち。
「原型」
「は?」
徐ろにリンゴを鷲掴みにすると、少女はそのままリンゴに齧りついた。
それから無表情に咀嚼し、僅かに眉を潜めると、思い切り地べたに吐き出し。
「不味い」
と言った。
勿論、語弊がある。エルフハイム産の最高級品種とその辺のリンゴを比較する方がおかしいのだ。
「ちょちょちょ、お嬢ちゃんそりゃないんじゃない!? ていうかお代!」
「お代」
立ち去ろうとして振り返る。お代。お代とはなんだ。聞いたことがないぜそんなもの。
そこで目を見開き、答えを得る。
左手に掴んだやっけに重いこの袋、もしかしてこれではないのか。不必要な装備を携行させられた事は一度もない。
即ちこの戦場に置いてこれは必要な道具なのだ。少女はそのまま振り上げた布袋をドカッと荷台に叩きつけた。
納得したように頷き立ち去る少女だが、袋開けた親父は驚愕し後を追う。
「ちょちょちょちょちょ、こんなに貰えないって! お嬢ちゃん!? お嬢ちゃーーーーんっ!?」
背後から肩を掴まれた瞬間、親父の意識は途切れた。後ろに向かって盛大に吹っ飛んだが、傷は無論、命に別状もない。
光を帯びた瞳を伏せ、少女はお釣りを受け取る。
「過剰」
把握したと言わんばかりに頷き歩き出す。後ろでは急にずっこけて気絶している親父に人だかりができていた。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
「ごらん。ここがどんな国にも支配されない町、ピースホライズンだよ」
青年の言葉に少女は顔を上げた。大きな橋の向こう、崖の上に築かれた都市が見えた。
ピースホライズンは帝国領と王国領を隔てる絶壁を結ぶ重要な交易拠点だ。
町は完全な中立であり、帝国軍は勿論、王国騎士団も手出しは出来ない場所。揉め事ご法度の聖域である。
「ピースホライズン」
「そう。ピースホライズン。ここはね、エルフも人間も関係なく受け入れてくれる。極小数とは言え、エルフハイムでさえも商取引を行っている場所だ」
すっと視線を上げた少女の横、青年は穏やかに笑みを浮かべる。
「さて、僕が同行するのはここまでだ。さ、これを」
青年が手渡したのは布袋にギッシリ詰まった金貨であった。勿論、人間の世界で流通する物だ。
「お金があればとりあえずは困らないからね。迎えが来るまで好きに過ごすといい」
「迎え」
「そう、約束だよ。いつかまた、必ず迎えに来るから。それまでいい子で待っててね」
頷く少女。青年は手を振りながら歩き出すと、ここまで二人を馬に跨った。
器が生活する神霊樹を囲う泉。傾いた本棚が誰にも読めない古の言葉を貯蔵するその畔でハジャは包帯を解いていた。
「やれやれ……一芝居打つにも手間かけるねぇ、俺は」
ジエルデが巻いてくれた包帯は過剰で、ミイラ男のような様だった。
笑えてくるのは彼女が自分のような者にも懇切丁寧に手当をしてくれた事実か。
或いは、この状況の為に剣妃との戦闘であえて負傷した自分自身のストイックさにだろうか。
「悪いなジエルデ。俺には……いや。俺達にはどうしても、成し遂げなきゃならない夢がある」
彼が守るべき器はそこにはいない。男は小さく息をつき、眉を潜める。
「……ったく。あ~っさりハメられやがって」
恐らく、いや、きっと。彼女はまだ諦めてはいないのだ。
人を信じる事を。誰かを救う事を。だからその優しさを少しつついてやれば素直に踊り出す。
器という制度に翻弄され、家族の罪に翻弄され、多くの思惑の中で翻弄され続ける人生……。
他人を傷つけたくない。だからその痛みも罰も全て自分で抱えようとする。
血の繋がらない姉妹は、しかし同じ生き方を選んだ。光の当たらない場所で自分の信念を貫く事。それはきっと容易くはない。
沢山の犠牲と沢山の嘘と沢山の血と涙の上に、奇跡的なバランスの今がある。
舌打ちし、女がいつも腰掛けていた古い木椅子を蹴り飛ばす。
それが何を意味しているのか、ハジャにはまだ理解出来なかった。
少女にとってピースホライズンは未知の世界であった。
夥しい量の人間が行き来する町はまっすぐ歩くことすらままならない。ただ翻弄され、流されるように進む。
少し感覚を研ぎ澄ませば人の声が頭の中で反響する。それは常に静寂に身を置いてきた彼女にとって苦痛以外の何物でもない。
疑問を持つ事はなかった。痛いのも苦しいのも慣れている。
自分が何故ここに連れだされたのかなんて事はどうでもいい。ただ命令だから従うだけ。
大人の言う事を聞いていればとりあえず食事が出来る。暖かく眠ることが出来る。生存を許される。
生まれてから十年と少しの人生は、ただ呼吸をする為にあったじゃないか。
ふと、視界の端の露天を捕らえた。新鮮な果物が並べられた店の前に立ち、物珍しげに視線を巡らせる。
「いらっしゃい! お嬢ちゃん、おつかいかい?」
「おつかい?」
「何か買いに来たんだろう?」
首を撚るその顔は全くの無表情で、威勢のいい親父も流石に苦笑する。
「一人かい? 親御さんは? 迷子ってわけじゃないんだろ?」
また首を撚る。その視線の先には赤いリンゴが山積みになっていた。
「リンゴ買いに来たのかい?」
「リンゴ? これはリンゴではない。リンゴは黄色くて、うさぎさんの形をしている」
きょとんとする店主。少女は目を細め、“飼い主”を思い出す。
ジエルデはいつも既に切り分けてあるリンゴを少女に差し出してくる。勿論食ったことはあるぜ。切れてる奴をな。
そこで目を見開き、答えを得た。
ジエルデはあの時「はーい、器ちゃん、かわいいうさぎさんにしてきましたよ~」と猫なで声を上げていた。
してきた、という事は、元々は恐らくうさぎさんではなかったということ。即ち。
「原型」
「は?」
徐ろにリンゴを鷲掴みにすると、少女はそのままリンゴに齧りついた。
それから無表情に咀嚼し、僅かに眉を潜めると、思い切り地べたに吐き出し。
「不味い」
と言った。
勿論、語弊がある。エルフハイム産の最高級品種とその辺のリンゴを比較する方がおかしいのだ。
「ちょちょちょ、お嬢ちゃんそりゃないんじゃない!? ていうかお代!」
「お代」
立ち去ろうとして振り返る。お代。お代とはなんだ。聞いたことがないぜそんなもの。
そこで目を見開き、答えを得る。
左手に掴んだやっけに重いこの袋、もしかしてこれではないのか。不必要な装備を携行させられた事は一度もない。
即ちこの戦場に置いてこれは必要な道具なのだ。少女はそのまま振り上げた布袋をドカッと荷台に叩きつけた。
納得したように頷き立ち去る少女だが、袋開けた親父は驚愕し後を追う。
「ちょちょちょちょちょ、こんなに貰えないって! お嬢ちゃん!? お嬢ちゃーーーーんっ!?」
背後から肩を掴まれた瞬間、親父の意識は途切れた。後ろに向かって盛大に吹っ飛んだが、傷は無論、命に別状もない。
光を帯びた瞳を伏せ、少女はお釣りを受け取る。
「過剰」
把握したと言わんばかりに頷き歩き出す。後ろでは急にずっこけて気絶している親父に人だかりができていた。
解説
●目的
迷子の器ちゃんの保護。
●概要
こんにちは。エルフハイム執行者のハジャです。
え? 少しは隠せって? いやなんかもう別にいいかなと思って……。
知ってる奴は知っていると思うが、俺はこの間剣妃オルクスとの戦闘で重傷を負っちまったんだ。
いや、関係のある話なんだって。実は俺、その重傷のせいで動き回れないんだよね。
だけど無理して頑張ってたら、ちょっと目を離した隙に浄化の器が逃げ出しちゃったみたいなんだよね。
知ってる? 浄化の器。あ、知らなかったら別に知らないでもいいんだけど。
器ちゃん単独で脱走したとは考えづらいから、誰かが持ちだした可能性が高い。
こんな肝心な時に限ってジエルデはどっかに行っちまってるんで、今は担当者は俺しかいないんだ。
事を大事にしないために、器ちゃんを探しに行ってもらいたい。
行く宛はわからんが、そうだな……とりあえずエルフハイムに近い場所で、マーフェルスかピースホライズンかね。
マーフェルスの方は別のやつに手配するから、あんたらはピースホライズンへ向かってくれ。
エルフハイム付近まで連れてきてくれれば、俺が回収に出向くからさ。痛む傷をおして。
●???
「器ちゃん」
要救助者。当然だが一人でおつかいに行った事などない。
何者かに着替えさせられ、今は動きづらすぎる法衣ではなく普通の巫女用の白いワンピース風の服を着ている。
ということは一人で着替えが出来ない彼女を誰かが着替えさせたということだ。変態め。
社会性が極端に破綻しているが、学習能力自体は高い。
お迎えがくるまではこの町をウロウロしなさいという“命令”に従っている。
●特筆
参加形態はハジャから依頼を受けたとするか、元々ピースホライズンに居たという二種類から選択可能。
どちらにしても目的を達成すれば報酬を受け取る事が出来る。
迷子の器ちゃんの保護。
●概要
こんにちは。エルフハイム執行者のハジャです。
え? 少しは隠せって? いやなんかもう別にいいかなと思って……。
知ってる奴は知っていると思うが、俺はこの間剣妃オルクスとの戦闘で重傷を負っちまったんだ。
いや、関係のある話なんだって。実は俺、その重傷のせいで動き回れないんだよね。
だけど無理して頑張ってたら、ちょっと目を離した隙に浄化の器が逃げ出しちゃったみたいなんだよね。
知ってる? 浄化の器。あ、知らなかったら別に知らないでもいいんだけど。
器ちゃん単独で脱走したとは考えづらいから、誰かが持ちだした可能性が高い。
こんな肝心な時に限ってジエルデはどっかに行っちまってるんで、今は担当者は俺しかいないんだ。
事を大事にしないために、器ちゃんを探しに行ってもらいたい。
行く宛はわからんが、そうだな……とりあえずエルフハイムに近い場所で、マーフェルスかピースホライズンかね。
マーフェルスの方は別のやつに手配するから、あんたらはピースホライズンへ向かってくれ。
エルフハイム付近まで連れてきてくれれば、俺が回収に出向くからさ。痛む傷をおして。
●???
「器ちゃん」
要救助者。当然だが一人でおつかいに行った事などない。
何者かに着替えさせられ、今は動きづらすぎる法衣ではなく普通の巫女用の白いワンピース風の服を着ている。
ということは一人で着替えが出来ない彼女を誰かが着替えさせたということだ。変態め。
社会性が極端に破綻しているが、学習能力自体は高い。
お迎えがくるまではこの町をウロウロしなさいという“命令”に従っている。
●特筆
参加形態はハジャから依頼を受けたとするか、元々ピースホライズンに居たという二種類から選択可能。
どちらにしても目的を達成すれば報酬を受け取る事が出来る。
マスターより
お世話になっております、神宮寺でございます。
ジエルデが妹探しに行っている間に……というシナリオです。
こういうのも一人連動になるんでしょうか。
器ちゃんは歩く危険兵器みたいなところがあるので、あんまり変な事はしないで下さい。
普通に連れ戻すだけで成功ですが、監視の目もなく彼女と接する事が出来る機会です。
観光に付き合ってあげるのもよいでしょう。
それではよろしくお願い致します。
ジエルデが妹探しに行っている間に……というシナリオです。
こういうのも一人連動になるんでしょうか。
器ちゃんは歩く危険兵器みたいなところがあるので、あんまり変な事はしないで下さい。
普通に連れ戻すだけで成功ですが、監視の目もなく彼女と接する事が出来る機会です。
観光に付き合ってあげるのもよいでしょう。
それではよろしくお願い致します。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/03 04:33
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
迷子捜索隊会議室 ジュード・エアハート(ka0410) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/04/30 12:23:37 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/27 20:17:32 |