ゲスト
(ka0000)
変わる世界
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/15 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/05/24 07:30
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
「そもそも、彼女一人に器の運用を任せるのが間違いだったのです」
長老会に引きずり出されたジエルデは、折檻の直後でぐったりとした顔を上げた。
木々に囲まれた卓を囲む長老達の中、年若いエルフが立ち上がっていた。
「他に適任がいるというのか? ヨハネ」
「いえ、彼女が適任です。しかし器という術具を一人で管理するのは難しい。器はともかく、彼女はエルフです。二十四時間器と共にはいられません」
青年は穏やかにジエルデへ笑いかける。そして老人達を見渡し。
「今代の器は最高傑作との声も高い一級品ですが、同時に度し難くもあります。器の管理方法を一新する時期に来ているのではないでしょうか?」
ヨハネと呼ばれた長老に視線が集まる。
「まず、僕が器の管理を補佐します」
「由緒正しい血筋の貴様が“人形師”になる必要はなかろう」
「不名誉な役割は不名誉な者が任されるべきだ」
「森の外に出られる年齢のエルフは僕とジエルデだけですよ? それに人形師は不名誉な称号ではない筈です」
穏やかな声に長老達は顔を見合わせる。
「今、オルクスの再出現に始まり世界の情勢は動き出しています。森を守る為には決断も必要です」
「まるで維新派のような事を言うのだな」
「僕は恭順派ですよ。ですが、長老会には最低限森の民の生活を“維持”する義務もあると考えます。皆さんはこれまで通りで構いません。ただ、僕が森の外で活動する事を認めて欲しいのです」
それは長老達にとってはある意味他人事であり、強く反発する必要性もない。
青年に反対する声はなかった。元々維新派にも理解のある長老会故に、当たり前の判断でもある。だが……。
「僕は器に力の使い方を学習させるべきと考えています」
「器に意志を持たせれば悲劇の繰り返しになるぞ。だからこそ、“判断”と“力”を切り分けたのだろう」
「承知しています。しかし、器にある程度の自我とマテリアルコントロール技術がないままでは、“精霊”の意志に支配されてしまう。それこそオルクスの二の舞いです」
ざわつく長老達。ヨハネは笑顔で主張する。
「器というのは使い方によって価値が変わります。帝国との取り引き材料にも、そしてオルクスという身内の恥への切り札にもなる。強力な浄化術は帝国と対等以上の関係を実現しますし、オルクスを消滅させられればエルフハイムは安泰です。この故郷を、永遠にする事も夢ではありません」
「しかし……帝国との争いは望まぬぞ? 器の暴走で犠牲を払うのも御免被る」
「その為に、エルフハイムの戸を少しだけ緩める事を考えています。いざという時、恭順派ではなく維新派を切り捨てれば誰も傷つかずに済むでしょう?」
ジエルデには不思議だった。このヨハネという長老はいつも黙ってばかりで存在感のないような優男だったはず。
しかし一度こうして口を開けば、何故か老人達が納得する。それは普段から彼が何らかの活動を水面下で進めて来た事を意味している。
「まずは器の新しい運用を。そして近々エルフハイムの方針と、新たな長老についてご提案があります」
「礼を言うべきでしょうか」
会議が終わってすぐ、ジエルデの肩に布をかけたヨハネに問う。
「君が里を無断で出たのは、何か重大な理由があったからなんでしょう?」
ジエルデが私用でエルフハイムを留守にしている間に器が森を出てしまう事件があった。
原因は現在も不明だが、それに伴いジエルデは監督責任を問われた。何故森を出たのか、理由も説明しないジエルデを長老会は厳しく罰した。
言える筈のない理由だった。だから決して彼女は口を開かず、罰は長期間に及んだ。
「僕は恭順派だ。そしてジエルデ、君も同じ恭順派。そして森の外に出られるのは僕らしかいない。助け合うのは当然だよ」
「しかし私は……」
「“人形師”の役割だって、器と共に外に出られる者でなければ不可能だった。君は自分で思っている以上に重宝されているんだよ」
水浸しになったジエルデの冷たい手をそっと両手で包み、ヨハネは笑う。
「僕はね、オルクスを消滅させなければエルフハイムの未来はないと思っている。そしてアレを消し去るには、器を強くする必要がある」
「あの子を……」
「どちらにせよ闘いが避けられないのなら、せめてその中で彼女が生存できる可能性を模索するべきじゃないかな?」
戸惑いの視線を向けるジエルデにヨハネはまっすぐな眼差しを返す。
この森の中で自分と正面から向き合ってくれる者も、汚れた身体に触れてくれる者もいなかった。
「僕にいい考えがあるんだ。きっと君と僕は手を取り合える……仲間になれると思うよ」
この森の中で何ができるのか、ずっと考えていた。
変わらなければならない。それはジエルデの願いでもあった。
「救えるのかしら……今からでも、こんな私にでも……」
森の浄化作業。それは常に危険と隣り合わせだった。
だからこそ器には複数の警備隊と巫女が同行する。しかし先に器の暴走以来、巫女達は露骨に器を恐れるようになった。
ヨハネはそれを好都合と言った。彼は器そのものが覚醒者として雑魔と闘い、その上で浄化作業を完了すべきと提案したのだ。
正直な所、ジエルデにはまだわからなかった。この判断が正しいのか、それとも間違いだったのか……。
森の浄化には最適なポイントがある。そこへ向かう道中、予想通り雑魔の集団に遭遇した。
護衛に雇ったハンター達が戦闘に備える中、器の少女もまた専用の浄化の楔を手に取る。
「確認。私も戦っていいの?」
「……ええ。これからは、自分の身を自分で守る事も覚えるのよ」
器は戦ってはいけない。浄化術以外にその力を使ってはならない。
それは遥か昔、エルフハイムが産みだしてしまった悪夢の再来を避ける為であった。
しかしその悪夢を打ち払う為に、器という存在が必要なのも事実。
矛盾と不安の中、それでもジエルデは変化を求めた。変わらなければ道具は道具のまま。ならばせめて、少しでも違う未来を……。
器は自らの手首を裂き、溢れた血を木製の剣の彫込へ流す。
真っ赤な血は楔にマテリアルを注ぎ込む。傷口に舌を這わせた少女は、うっすらと目を細め微笑んでいた。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
「そもそも、彼女一人に器の運用を任せるのが間違いだったのです」
長老会に引きずり出されたジエルデは、折檻の直後でぐったりとした顔を上げた。
木々に囲まれた卓を囲む長老達の中、年若いエルフが立ち上がっていた。
「他に適任がいるというのか? ヨハネ」
「いえ、彼女が適任です。しかし器という術具を一人で管理するのは難しい。器はともかく、彼女はエルフです。二十四時間器と共にはいられません」
青年は穏やかにジエルデへ笑いかける。そして老人達を見渡し。
「今代の器は最高傑作との声も高い一級品ですが、同時に度し難くもあります。器の管理方法を一新する時期に来ているのではないでしょうか?」
ヨハネと呼ばれた長老に視線が集まる。
「まず、僕が器の管理を補佐します」
「由緒正しい血筋の貴様が“人形師”になる必要はなかろう」
「不名誉な役割は不名誉な者が任されるべきだ」
「森の外に出られる年齢のエルフは僕とジエルデだけですよ? それに人形師は不名誉な称号ではない筈です」
穏やかな声に長老達は顔を見合わせる。
「今、オルクスの再出現に始まり世界の情勢は動き出しています。森を守る為には決断も必要です」
「まるで維新派のような事を言うのだな」
「僕は恭順派ですよ。ですが、長老会には最低限森の民の生活を“維持”する義務もあると考えます。皆さんはこれまで通りで構いません。ただ、僕が森の外で活動する事を認めて欲しいのです」
それは長老達にとってはある意味他人事であり、強く反発する必要性もない。
青年に反対する声はなかった。元々維新派にも理解のある長老会故に、当たり前の判断でもある。だが……。
「僕は器に力の使い方を学習させるべきと考えています」
「器に意志を持たせれば悲劇の繰り返しになるぞ。だからこそ、“判断”と“力”を切り分けたのだろう」
「承知しています。しかし、器にある程度の自我とマテリアルコントロール技術がないままでは、“精霊”の意志に支配されてしまう。それこそオルクスの二の舞いです」
ざわつく長老達。ヨハネは笑顔で主張する。
「器というのは使い方によって価値が変わります。帝国との取り引き材料にも、そしてオルクスという身内の恥への切り札にもなる。強力な浄化術は帝国と対等以上の関係を実現しますし、オルクスを消滅させられればエルフハイムは安泰です。この故郷を、永遠にする事も夢ではありません」
「しかし……帝国との争いは望まぬぞ? 器の暴走で犠牲を払うのも御免被る」
「その為に、エルフハイムの戸を少しだけ緩める事を考えています。いざという時、恭順派ではなく維新派を切り捨てれば誰も傷つかずに済むでしょう?」
ジエルデには不思議だった。このヨハネという長老はいつも黙ってばかりで存在感のないような優男だったはず。
しかし一度こうして口を開けば、何故か老人達が納得する。それは普段から彼が何らかの活動を水面下で進めて来た事を意味している。
「まずは器の新しい運用を。そして近々エルフハイムの方針と、新たな長老についてご提案があります」
「礼を言うべきでしょうか」
会議が終わってすぐ、ジエルデの肩に布をかけたヨハネに問う。
「君が里を無断で出たのは、何か重大な理由があったからなんでしょう?」
ジエルデが私用でエルフハイムを留守にしている間に器が森を出てしまう事件があった。
原因は現在も不明だが、それに伴いジエルデは監督責任を問われた。何故森を出たのか、理由も説明しないジエルデを長老会は厳しく罰した。
言える筈のない理由だった。だから決して彼女は口を開かず、罰は長期間に及んだ。
「僕は恭順派だ。そしてジエルデ、君も同じ恭順派。そして森の外に出られるのは僕らしかいない。助け合うのは当然だよ」
「しかし私は……」
「“人形師”の役割だって、器と共に外に出られる者でなければ不可能だった。君は自分で思っている以上に重宝されているんだよ」
水浸しになったジエルデの冷たい手をそっと両手で包み、ヨハネは笑う。
「僕はね、オルクスを消滅させなければエルフハイムの未来はないと思っている。そしてアレを消し去るには、器を強くする必要がある」
「あの子を……」
「どちらにせよ闘いが避けられないのなら、せめてその中で彼女が生存できる可能性を模索するべきじゃないかな?」
戸惑いの視線を向けるジエルデにヨハネはまっすぐな眼差しを返す。
この森の中で自分と正面から向き合ってくれる者も、汚れた身体に触れてくれる者もいなかった。
「僕にいい考えがあるんだ。きっと君と僕は手を取り合える……仲間になれると思うよ」
この森の中で何ができるのか、ずっと考えていた。
変わらなければならない。それはジエルデの願いでもあった。
「救えるのかしら……今からでも、こんな私にでも……」
森の浄化作業。それは常に危険と隣り合わせだった。
だからこそ器には複数の警備隊と巫女が同行する。しかし先に器の暴走以来、巫女達は露骨に器を恐れるようになった。
ヨハネはそれを好都合と言った。彼は器そのものが覚醒者として雑魔と闘い、その上で浄化作業を完了すべきと提案したのだ。
正直な所、ジエルデにはまだわからなかった。この判断が正しいのか、それとも間違いだったのか……。
森の浄化には最適なポイントがある。そこへ向かう道中、予想通り雑魔の集団に遭遇した。
護衛に雇ったハンター達が戦闘に備える中、器の少女もまた専用の浄化の楔を手に取る。
「確認。私も戦っていいの?」
「……ええ。これからは、自分の身を自分で守る事も覚えるのよ」
器は戦ってはいけない。浄化術以外にその力を使ってはならない。
それは遥か昔、エルフハイムが産みだしてしまった悪夢の再来を避ける為であった。
しかしその悪夢を打ち払う為に、器という存在が必要なのも事実。
矛盾と不安の中、それでもジエルデは変化を求めた。変わらなければ道具は道具のまま。ならばせめて、少しでも違う未来を……。
器は自らの手首を裂き、溢れた血を木製の剣の彫込へ流す。
真っ赤な血は楔にマテリアルを注ぎ込む。傷口に舌を這わせた少女は、うっすらと目を細め微笑んでいた。
解説
●目的
器の護衛、及び浄化術の発動。
●概要
浄化の器を護衛し、浄化術を発動する。
これは非常に珍しい、エルフハイム恭順派長老からの依頼である。
ヨハネと名乗る依頼人は、浄化の器を用いた浄化作業の護衛としてハンターの協力を要請している。
これまではエルフハイムの警備隊や巫女が同行していたが、今回はジエルデとヨハネの二名だけが同行する。
今回の浄化作業では、これまでとは違い器が直接戦闘に参加する。
器は覚醒者としても類まれな才能を持つが、直接その力を戦闘に向ける許可を受けたのは初めての事。
よって、正しくその力を扱えない可能性も高く、またその影響で力の暴走も懸念される。
ハンターは器を護衛すると同時に、覚醒者の先人として器に力の扱いを指導してもらいたい。
浄化作業そのものは一切手を出す必要はなく、器一人で完遂可能。
●敵情報
「スケルトン」
普通のスケルトン。八体出現。
雑魔なので強くない。
「ゴースト」
亡霊型の雑魔。六体出現。
小石のようなものに何らかの霊体が憑依している。
石が核。鎧を纏わない為物理攻撃は出来ず、魔法攻撃を行う。
●友軍情報
「ジエルデ」
長老会、器の担当者。聖導士。
一見つんけんしているが、優しすぎる性格。
「ヨハネ」
恭順派長老。魔術師。
穏やかで爽やかな青年。長老会で一目置かれる存在。
「浄化の器」
人型術具。クラスを当てはめるのなら霊闘士。
バリバリの近接戦闘型。木刀で殴る。
本来核を破壊しないと倒せない亡霊型を、“吸収”し即死させる事が可能。
器の護衛、及び浄化術の発動。
●概要
浄化の器を護衛し、浄化術を発動する。
これは非常に珍しい、エルフハイム恭順派長老からの依頼である。
ヨハネと名乗る依頼人は、浄化の器を用いた浄化作業の護衛としてハンターの協力を要請している。
これまではエルフハイムの警備隊や巫女が同行していたが、今回はジエルデとヨハネの二名だけが同行する。
今回の浄化作業では、これまでとは違い器が直接戦闘に参加する。
器は覚醒者としても類まれな才能を持つが、直接その力を戦闘に向ける許可を受けたのは初めての事。
よって、正しくその力を扱えない可能性も高く、またその影響で力の暴走も懸念される。
ハンターは器を護衛すると同時に、覚醒者の先人として器に力の扱いを指導してもらいたい。
浄化作業そのものは一切手を出す必要はなく、器一人で完遂可能。
●敵情報
「スケルトン」
普通のスケルトン。八体出現。
雑魔なので強くない。
「ゴースト」
亡霊型の雑魔。六体出現。
小石のようなものに何らかの霊体が憑依している。
石が核。鎧を纏わない為物理攻撃は出来ず、魔法攻撃を行う。
●友軍情報
「ジエルデ」
長老会、器の担当者。聖導士。
一見つんけんしているが、優しすぎる性格。
「ヨハネ」
恭順派長老。魔術師。
穏やかで爽やかな青年。長老会で一目置かれる存在。
「浄化の器」
人型術具。クラスを当てはめるのなら霊闘士。
バリバリの近接戦闘型。木刀で殴る。
本来核を破壊しないと倒せない亡霊型を、“吸収”し即死させる事が可能。
マスターより
お世話になっております、神宮寺でございます。
器ちゃんをめぐるお話はこのシナリオで一区切りとなります。
エルフハイム全体が新しい展開に入っていく、言わば第一クールの最終回という感じです。
オルクスの出現とハンター達との関わりが、少しだけ状況を変えつつあります。
ジエルデやヨハネはハンターに協力的ですが、器ちゃんはあんまり言う事を聞きません。
器ちゃんは戦ってる時以外はニコリとも笑いません。
それではよろしくお願い致します。
器ちゃんをめぐるお話はこのシナリオで一区切りとなります。
エルフハイム全体が新しい展開に入っていく、言わば第一クールの最終回という感じです。
オルクスの出現とハンター達との関わりが、少しだけ状況を変えつつあります。
ジエルデやヨハネはハンターに協力的ですが、器ちゃんはあんまり言う事を聞きません。
器ちゃんは戦ってる時以外はニコリとも笑いません。
それではよろしくお願い致します。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/19 04:16
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 神楽(ka2032) 人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/05/15 01:16:47 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/10 23:48:25 |