※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

●辺境北東部、マギア砦

　季節の訪れが遅い辺境にも、ようやく吹き付ける風の厳しさが和らいできた頃。

「ただいま～！　雑魔とかはいなかったみたいだよっ」
　周辺の見回りを終えて、ファリフ・スコール（kz0009）が戻ってきた。
　外見はまだ少女ではあるが、このスコール族の長。
　彼女には様々な事情もあるのだが、それはまたの機会に話す事としよう。
「ファリフ様。先日、他部族にもリアルブルーのハンターが来たそうですよ」
　馬の手綱を渡された部族の男が、親交のある部族らより聞いた話を伝えると……ファリフの顔がぱあっと輝いた。
「本当！？　いいなぁ……リアルブルーのハンターと一緒に過ごせたんだね！　羨ましいな」
「料理を作ったり、雑魔退治をしたりとかなり優秀なようです」
　雑魔退治、と聞いて、ファリフはそうなんだ、と顔を引き締める。
「……リアルブルー……辺境の伝承にある【導きの蒼き旅人】なのかな……。それとも――」
　僕らの【星の友】なのかなぁ、と小さく呟いた。
「ファリフ様。彼らと直接お会いになる機会を設けてみてはいかがでしょうか」
　もし蒼き旅人でも星の友でもなかったとしても、ハンターとの接点があれば心強いと持ち掛ける。
「それに……帝国が圧を強める場合も考えられます」
「ヴェルナー……って言ったっけ。あの人は、僕らに帝国へ下ることを求めているから嫌だな」
　ファリフは要塞管理者であるヴェルナーの事を良く思っていない。何せ、部族に帝国へ帰順しろと言っている男なのだ。
　部族の誇りも、文化も一切合財捨てろと言われて、はいそうですかと承諾するはずはない。交渉は当然互いに譲らず平行線である。
　部族の中でも規模が大きいスコール族は歪虚討伐だけではなく、反帝国派としても注目されている。
「でも、いろいろなハンターとはお話をしておきたいね。難しい話は抜きにしてさ！」
　であれば、といった部族の男性は、視線をしばし厩舎の柵に留める。
「……ハンターは手先の器用なものや、専門知識を持った者もいるようです。我らが砦の補修を手伝ってもらえるといいですね」
「わお！　いい考えだね、そうしよう！　一緒に作業すると、楽しいし……！」
　手を叩いて嬉しそうにするファリフの姿に、男性も小さく笑った。
「では、早速依頼を頼むとしましょうか」

■概要

　砦内の補修をお願いしたい
　マギア砦自体は石造りですが、内部や細かい所の傷んだ場所を新たに作り直したり、補修してほしいとのこと。
　部族の人々も手直しはしていますが、まだ手が回らない所なども多いようです。
　木材などの補修に必要なものは、部族側が商人に頼んで手に入りやすいものは用意してもらえます。
　たとえば鉄製の扉だったり（特殊なもの）などは、今回除外して構わないそうです。
　ちなみにリアルブルーに興味を持っているようですが、クリムゾンウェストの方も大歓迎です。

■補足
【導きの蒼き旅人】……辺境に伝えられている預言。
「大いなる意思の浄化により、赤き聖地と良き人々に邪心が蔓延し滅亡する時来たる。
赤き土地が闇と絶望に覆われしとき、導きの蒼き旅人が戻るであろう」
とあり、リアルブルーをその「旅人」ではないかと考える人々も少なくない。

【星の友】……歪虚と戦い、辺境を開放するために必要な絆……いわゆる「仲間」の事。
ファリフが大霊堂にたどり着いて受けた神託。
ちなみに、リムネラとファリフは互いの事を知っていますが、リムネラが神託を執り行ったわけではありません。
次期大巫女様（巫覡）が行いました。

■NPCについて
ファリフ・スコール（kz0009）
言い伝えにある赤い狼の痣を持つため、その座に据えられたスコール族の長。１２歳。
リアルブルーや星の友に関して強い興味を抱いている。

辺境で一、二を争う程度にリアルブルー大好きなファリフ。
今日は砦の補修という事ですが、適当に彼女の知らない文化のお話をしてあげると喜んでくれると思います。