ゲスト
(ka0000)
【東征】スメラギとごはん食べるよ
マスター:鳥間あかよし

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/22 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/01 15:00
オープニング
●どこかの話
悪意は夜露のように、音もなく染み透る。
――西方から悲願の援軍がなった。
――せやかて『あの』オイマトと手を組んでる輩やって。
――土壇場で尻尾巻かはると違いますやろか。
雅やかな宮廷の、人の噂という組み木からにじみだした西方への不信は、御簾で隔てられたスメラギの寝所まで届き、彼の布団を重く濡らす。少年は歯軋りをした。側近が気づかぬよう小さく。
(「一五〇年も前のことを……!」)
いまさら持ち出して、ぐちゃぐちゃ言いやがって。夏も近いというのに、うすら寒いのは何故だろう。スメラギは布団を頭からかぶった。
顔も知らない曽祖父の悲劇を、エトファリカ連邦が国の体裁を失ったその分岐を、彼は物心ついた頃から言い聞かされて育った。敗走につぐ敗走をくりかえしてきたエトファリカは、西方からの援軍なしには立ち止まることもできない。とうに足は萎え息切れが肺を切りつけるなか、祈るように、呪うように、モノノフの到来を待ち望んでいた。
だからだろうか。
(「悪いが俺様はまだお前らを信用してねーんだわ。マグレ勝ちかもしんねーし?」)
信じたい、信じがたい。
ついに救いの手が差し伸べられる日が来たなど。不信の鎖は、己の心臓にも巻きついていると、スメラギは痛感した。理性は援軍を喜び、バタルトゥの手を取った。左の手はやり場がなく、宙をさまよっている。
「スメラギ様、眠れませんか?」
御簾の向こうで影が揺れる。十年来の臣下で気心知れた幼馴染の、大轟寺蒼人(だいごうじ・そうと)だ。
「うるせえ、気配うかがってんじゃねえよ。おまえが不寝番ってだけで、うっとおしくて目が冴えちまうぜ」
「ひどいぜスメさん、うっとおしいまで言う? いま傷ついた、ザックリ行った!」
「やかましいボケ」
スメラギは半身を起こすと、枕元の矢立を取り、書を開いた。まっさらな符へ筆を走らせ、殴り書きのトンボの絵を蒼人へ押しやった。御簾の向こうで息を呑む気配がする。すいすいとまっすぐに飛ぶトンボは、戦勝を意味するという。スメラギは横になると、蒼人へ背を向けた。
「……出征するんだろ。しばらくおまえの顔を見ないですむと思うと、せいせいするぜ」
もし。
スメラギは考えてしまう。
同じ悲劇が、くりかえしたなら。
もう俺には何もできないかもしれない。
===
●うわさは尾ひれがつくもので
エトファリカ連邦国本陣、龍尾城。
庭に面した座敷には、今日も元気な声が響いていた。
「山田のクソジジイイイイイイイイイ!!!」
「山本です、スメラギさま。さんもとごろうざえもん」
「山ついてりゃなんでもいいだろが、もう山でいい、クソ山!」
何事かとハンターたちが奥へ急いでみれば、叫んでいるのは羽織をひっかけた少年、正座したまま涼しい顔でいなしているのは銀髪の青年だ。少年は東方帝スメラギ、青年は征夷大将軍の立花院紫草(りっかいん・むらさき)。
二人のいる座敷の畳は赤く日焼けしており、庭の池は水が抜かれて久しく、ひび割れたししおどしが天を向いている。手入れの行き届いていない庭は、エトファリカ連邦国の窮状そのままだった。けばだった上座であぐらをかき、スメラギは悪態をついている。
「重要なのはあのクソ山が龍脈に介入しやがったってことだ。おかげで俺様がしなくていい苦労をしょいこまなきゃいけなくなったんだよ!
まず第一に黒龍と俺様のパゥワーを浪費させられて結界維持するのしんどい超しんどい!
第二に転移門に精霊力吸われて結界術もろともぶっ壊れそう、こんな国どうなろうと俺様の知ったことじゃねえけど民だけは守ってやって助けてお願いします!
第三に俺様の貴重な宴会シーンが根こそぎカット、世界的損失!」
「そんなに宴会をなさりたかったのですか」
征夷大将軍はあきれた様子で庭にほったらかされたままの『歓迎! おいでませ東方!』と書かれた横断幕を見やった。
「当然だろ、俺様はエトファリカの帝だぞ。歪虚から民を守るように西方からの文化侵略に備えなきゃならねえ。そのためには出会い頭に一発かますのが一番なんだよ!」
「文化侵略とは大げさな。何を恐れておられるのですか」
スメラギはごろんとうつぶせると、剣呑な目線をハンターたちへ注ぐ。
「だって、おまえら、メシが超まずいんだろ……?」
「芋をつぶしただけとか」
……。もしかしてマッシュポテトか。
「焦げるまで芋を揚げて塩ふっただけとか」
ポテトチップスだろうか。確かに塩加減が決め手だ。
「ふかしたジャガイモに卵と鳥の餌をなすりつけて何でかしらんけどもういっかい揚げるやつとか」
コロッケだな。間違いない。
「そんでゆでた芋に草と牛の油ぶっかけてまぜて食うんだろ」
ポテトサラダかな。マヨネーズは牛の油でもなんでもないんだけどな。
というか、ジャガイモしか食べてないと思われている予感。
「布団がベッドに変わるのも、下駄がブーツに変わるのも、まあ許せる範囲だけど、食いもんはダメだダメだ絶対ダメ、疑いようもなくアウト。結界張ってると三度のメシだけが楽しみなのに、焦げジャガなんか出された日には、折れるわ、俺の心、パキッと、いい感じに!」
西方との長き断絶の弊害は、こんなところにまで及んでいた。しかもこれが、憤怒の歪虚にけちょんけちょんにされてジリ貧街道マッハGOとはいえ、一国の頂点の見識だ。ハンターたちは黙ったまま立花院へ顔を向けた。視線を合わせた立花院も、こくりとうなずいた。
よし、論より証拠、食えばわかる。まずはそのひねくれまくった知識を正してやる。
悪意は夜露のように、音もなく染み透る。
――西方から悲願の援軍がなった。
――せやかて『あの』オイマトと手を組んでる輩やって。
――土壇場で尻尾巻かはると違いますやろか。
雅やかな宮廷の、人の噂という組み木からにじみだした西方への不信は、御簾で隔てられたスメラギの寝所まで届き、彼の布団を重く濡らす。少年は歯軋りをした。側近が気づかぬよう小さく。
(「一五〇年も前のことを……!」)
いまさら持ち出して、ぐちゃぐちゃ言いやがって。夏も近いというのに、うすら寒いのは何故だろう。スメラギは布団を頭からかぶった。
顔も知らない曽祖父の悲劇を、エトファリカ連邦が国の体裁を失ったその分岐を、彼は物心ついた頃から言い聞かされて育った。敗走につぐ敗走をくりかえしてきたエトファリカは、西方からの援軍なしには立ち止まることもできない。とうに足は萎え息切れが肺を切りつけるなか、祈るように、呪うように、モノノフの到来を待ち望んでいた。
だからだろうか。
(「悪いが俺様はまだお前らを信用してねーんだわ。マグレ勝ちかもしんねーし?」)
信じたい、信じがたい。
ついに救いの手が差し伸べられる日が来たなど。不信の鎖は、己の心臓にも巻きついていると、スメラギは痛感した。理性は援軍を喜び、バタルトゥの手を取った。左の手はやり場がなく、宙をさまよっている。
「スメラギ様、眠れませんか?」
御簾の向こうで影が揺れる。十年来の臣下で気心知れた幼馴染の、大轟寺蒼人(だいごうじ・そうと)だ。
「うるせえ、気配うかがってんじゃねえよ。おまえが不寝番ってだけで、うっとおしくて目が冴えちまうぜ」
「ひどいぜスメさん、うっとおしいまで言う? いま傷ついた、ザックリ行った!」
「やかましいボケ」
スメラギは半身を起こすと、枕元の矢立を取り、書を開いた。まっさらな符へ筆を走らせ、殴り書きのトンボの絵を蒼人へ押しやった。御簾の向こうで息を呑む気配がする。すいすいとまっすぐに飛ぶトンボは、戦勝を意味するという。スメラギは横になると、蒼人へ背を向けた。
「……出征するんだろ。しばらくおまえの顔を見ないですむと思うと、せいせいするぜ」
もし。
スメラギは考えてしまう。
同じ悲劇が、くりかえしたなら。
もう俺には何もできないかもしれない。
===
●うわさは尾ひれがつくもので
エトファリカ連邦国本陣、龍尾城。
庭に面した座敷には、今日も元気な声が響いていた。
「山田のクソジジイイイイイイイイイ!!!」
「山本です、スメラギさま。さんもとごろうざえもん」
「山ついてりゃなんでもいいだろが、もう山でいい、クソ山!」
何事かとハンターたちが奥へ急いでみれば、叫んでいるのは羽織をひっかけた少年、正座したまま涼しい顔でいなしているのは銀髪の青年だ。少年は東方帝スメラギ、青年は征夷大将軍の立花院紫草(りっかいん・むらさき)。
二人のいる座敷の畳は赤く日焼けしており、庭の池は水が抜かれて久しく、ひび割れたししおどしが天を向いている。手入れの行き届いていない庭は、エトファリカ連邦国の窮状そのままだった。けばだった上座であぐらをかき、スメラギは悪態をついている。
「重要なのはあのクソ山が龍脈に介入しやがったってことだ。おかげで俺様がしなくていい苦労をしょいこまなきゃいけなくなったんだよ!
まず第一に黒龍と俺様のパゥワーを浪費させられて結界維持するのしんどい超しんどい!
第二に転移門に精霊力吸われて結界術もろともぶっ壊れそう、こんな国どうなろうと俺様の知ったことじゃねえけど民だけは守ってやって助けてお願いします!
第三に俺様の貴重な宴会シーンが根こそぎカット、世界的損失!」
「そんなに宴会をなさりたかったのですか」
征夷大将軍はあきれた様子で庭にほったらかされたままの『歓迎! おいでませ東方!』と書かれた横断幕を見やった。
「当然だろ、俺様はエトファリカの帝だぞ。歪虚から民を守るように西方からの文化侵略に備えなきゃならねえ。そのためには出会い頭に一発かますのが一番なんだよ!」
「文化侵略とは大げさな。何を恐れておられるのですか」
スメラギはごろんとうつぶせると、剣呑な目線をハンターたちへ注ぐ。
「だって、おまえら、メシが超まずいんだろ……?」
「芋をつぶしただけとか」
……。もしかしてマッシュポテトか。
「焦げるまで芋を揚げて塩ふっただけとか」
ポテトチップスだろうか。確かに塩加減が決め手だ。
「ふかしたジャガイモに卵と鳥の餌をなすりつけて何でかしらんけどもういっかい揚げるやつとか」
コロッケだな。間違いない。
「そんでゆでた芋に草と牛の油ぶっかけてまぜて食うんだろ」
ポテトサラダかな。マヨネーズは牛の油でもなんでもないんだけどな。
というか、ジャガイモしか食べてないと思われている予感。
「布団がベッドに変わるのも、下駄がブーツに変わるのも、まあ許せる範囲だけど、食いもんはダメだダメだ絶対ダメ、疑いようもなくアウト。結界張ってると三度のメシだけが楽しみなのに、焦げジャガなんか出された日には、折れるわ、俺の心、パキッと、いい感じに!」
西方との長き断絶の弊害は、こんなところにまで及んでいた。しかもこれが、憤怒の歪虚にけちょんけちょんにされてジリ貧街道マッハGOとはいえ、一国の頂点の見識だ。ハンターたちは黙ったまま立花院へ顔を向けた。視線を合わせた立花院も、こくりとうなずいた。
よし、論より証拠、食えばわかる。まずはそのひねくれまくった知識を正してやる。
解説
スメラギに西方料理を食べさせましょう。
朝・昼・晩・おめざでもおやつでも、お好みの時間帯で腕を振るってください。
成功しだいでスメラギの西方への心証が改善します。
毒見役として立花院が立ち会います。
>スメラギ
13歳の東方帝。あまのじゃく。
エトファリカ連邦国の守護結界を張り続けている思春期ボーイ。
こども舌。成長期なのでバカスカ食べる。
>立花院 紫草
三十ちょいの征夷大将軍。西方へ好意的。
エトファリカ連邦国軍事責任者というすごいえらい雑用担当。
標準的な東方民同様、海産物を好む。
たちばないんしぐさ、ではない。
どこかの話はPL情報ですが、スメラギをはじめとする一部東方民が不信を抱いている事実はPCへ公開されているものとします。
厨房はOPの屋敷に付帯し、西方料理作成にも不都合はないとする。
食材は持込。
朝・昼・晩・おめざでもおやつでも、お好みの時間帯で腕を振るってください。
成功しだいでスメラギの西方への心証が改善します。
毒見役として立花院が立ち会います。
>スメラギ
13歳の東方帝。あまのじゃく。
エトファリカ連邦国の守護結界を張り続けている思春期ボーイ。
こども舌。成長期なのでバカスカ食べる。
>立花院 紫草
三十ちょいの征夷大将軍。西方へ好意的。
エトファリカ連邦国軍事責任者というすごいえらい雑用担当。
標準的な東方民同様、海産物を好む。
たちばないんしぐさ、ではない。
どこかの話はPL情報ですが、スメラギをはじめとする一部東方民が不信を抱いている事実はPCへ公開されているものとします。
厨房はOPの屋敷に付帯し、西方料理作成にも不都合はないとする。
食材は持込。
マスターより
初めまして、もしくは改めまして。鳥間あかよしです。初心にかえってキャラいじりシナリオでお目見えいたします。
白紙回避にとりあえず
\どっちの料理でした?/
とでも送ってください。
白紙回避にとりあえず
\どっちの料理でした?/
とでも送ってください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/28 17:10
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 アーヴィン(ka3383) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/08/15 16:59:21 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/19 16:19:33 |