ゲスト
(ka0000)
罰、兆しを臨む者
マスター:朝臣あむ

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/25 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/07/04 22:00
オープニング
●帝都バルトアンデルス
「トレポフ司法官。やはり優秀な人物だな」
ニカ・アニシンはそう零すと手にしていた報告書を他の報告書の上に置いた。
「辺境の地へ飛ばされたと聞くが、何故これだけ優秀な人物が飛ばされるのだ?」
訳が分からん。そう首を傾げるニカが読む報告書は、トレポフと言う司法官が作成した物だ。ニカがこの地に就任する前――つまり彼女の前任がトレポフ氏にあたる。
「政府司法課において不祥事などありえんが……気になるな」
ニカは紅茶で喉を潤すと、改めて前任の司法官が残した報告書に目を落とした。読めば読むほどにトレポフ氏の人柄が滲み出ている。
細部まで書かれた調書などは良い見本だ。自らの足で気になる物をとことん調べ、犯罪者、被害者の双方の立場から物事を見ている。
「……若干、無駄は多いがな」
それでも見習う部分は多い。ニカは次のページを捲ろうと指を掛けるが、不意に開いた扉に目が向かった。
「誰だ貴様は」
見たことのない人物だった。
政府司法課に所属する制服を着ており、役職を示すバッジも見受けられる。誰か上層部の者の遣いだろうか。
するとその疑問を汲んだ様に返答が返ってきた。
「オットー長官より、ニカ・アニシン司法官へ書面を預かって参りました」
「入れ」
「失礼いたします」
丁寧な一礼を向けて入ると、長官の遣いだと名乗る男は書面を差出してきた。
「ご苦労……ほう、これは重要な任務だな」
目を落とすこと僅か。書面に綴られる文をなぞるとニカの口角は上がった。
「長官に伝えろ。『了解した』とな」
返事を聞くと、男は長官に返事を伝えるべく部屋を出て行った。その姿を見届け、改めて紙面を見る。
「反政府組織の検挙か……危険な任務ではあるが、犯罪者を一掃する良い機会だな」
書面には「反政府組織の住処がわかった。至急現場に向かい、犯罪者の一斉検挙に乗り出して欲しい」と書かれている。
ニカは能力者ではないので、現場付近で護衛対象である能力者と合流する手筈だ。
「護身用の武器は念の為に持って行くか……ん?」
机の引き出しを開け、中にしまわれた銃を取り出そうとした時だ。今度は扉を叩く音がし、次いで見慣れた顔が見えた。
「ニカさん。昼食の予定は開いているかしら――あら、お出かけ?」
「はい。これよりオットー長官勅命の緊急任務に行って参ります」
「勅命の緊急任務?」
スラリとした長身に、ショートカット。見るからに出来る女といった雰囲気の女性は、ニカの言葉に目を瞬くと不思議そうに執務室に入って来た。
「詳細はそちらの紙面に。エリノラ先輩のお誘いを断る真似をして申し訳ありません」
「それは構わないわ。けれど、そう……反政府組織の一斉検挙……」
エリノラと呼ばれた女性は書面を拾い上げると、僅かに眉を潜めて書類に文字を辿った。そうして最後に書かれた長官の署名と印を見ながら問う。
「出発を延ばすことは出来ない?」
「は? エリノラ先輩の願いならば聞き届けたい所ですが、急を要する任務です。申し訳ありませんが」
「そう。それなら充分に気を付けて……万が一の時にはこれを使うと良いわ」
「これは?」
「閃光弾のようなものね。何かあったら使うと良いわ」
ご武運を。エリノラはそう告げると、渡した石を見詰めるニカに微笑み掛けた。
●ニカ出発数分後
街道を物凄い勢いで駆ける魔導トラックがあった。その運転手は政府司法課の司法官エリノラだ。
『反政府組織の一斉検挙だと? そんな命令は出しておらんぞ! まさか――』
ニカが出発した直後。エリノラは彼女が受けた仕事の内容に疑問を感じ、オットー長官に直接任務の確認していた。
その結果得られたのが先の言葉だ。
「ニカさん、無事でいて……!」
至急集めたハンターを魔導トラックの荷台に乗せ、ひたすらニカが向かった地を目指す。
そもそも何故彼女がニセの指令書で誘き出されたのか。その理由は容易に想像がついた。
(正義感が強いことは良いことよ。でも彼女の裁きは早急すぎるわ。日頃から注意するように言っておいたのに……)
ここ数か月で反政府組織の人間の摘発数は上昇傾向だ。その殆どにニカが関わっているのだが、彼女の裁きは冷徹すぎる。
以前、ハンターによって諭されてからは若干良くなったが、それでも犯罪者に対する態度は相変わらずだった。
(司法官を捕まえて即殺害という線は低いけれど……急がないと!)
アクセルを踏む足に力が篭る。エリノラは目的の場所へ到達するとすぐさまトラックを下りて辺りを見回した。
「ニカさん!」
彼女の名を呼ぶが姿は見えない。
「……遅かった、の?」
落胆し、視線を落とした時だ。
視界に光る物が飛び込んで来た。良く見ると中央が黄色く光る石が転がっており――
「これは私がニカさんに渡した石。使った形跡はないわね……」
思考をフル回転させて状況を整理する。
ニカは反政府組織の者に誘き出された。待ち合わせ場所に転がる石、見えないニカの姿。
「この辺りの地理は……西方に森、東方に崖……そう。あそこね」
エリノラは心配そうに視線を送るハンターを振り返ると、しっかりとした声音で言った。
「依頼内容を変更するわ。東方に潜む反政府組織の者を捕縛し、ニカ司法官の保護をお願いします。任務変更に伴い報酬は上乗せします。彼女を無事に取り戻して下さい」
そう言うと、彼女は祈るように瞼を伏せ、深すぎる程に頭を下げた。
「トレポフ司法官。やはり優秀な人物だな」
ニカ・アニシンはそう零すと手にしていた報告書を他の報告書の上に置いた。
「辺境の地へ飛ばされたと聞くが、何故これだけ優秀な人物が飛ばされるのだ?」
訳が分からん。そう首を傾げるニカが読む報告書は、トレポフと言う司法官が作成した物だ。ニカがこの地に就任する前――つまり彼女の前任がトレポフ氏にあたる。
「政府司法課において不祥事などありえんが……気になるな」
ニカは紅茶で喉を潤すと、改めて前任の司法官が残した報告書に目を落とした。読めば読むほどにトレポフ氏の人柄が滲み出ている。
細部まで書かれた調書などは良い見本だ。自らの足で気になる物をとことん調べ、犯罪者、被害者の双方の立場から物事を見ている。
「……若干、無駄は多いがな」
それでも見習う部分は多い。ニカは次のページを捲ろうと指を掛けるが、不意に開いた扉に目が向かった。
「誰だ貴様は」
見たことのない人物だった。
政府司法課に所属する制服を着ており、役職を示すバッジも見受けられる。誰か上層部の者の遣いだろうか。
するとその疑問を汲んだ様に返答が返ってきた。
「オットー長官より、ニカ・アニシン司法官へ書面を預かって参りました」
「入れ」
「失礼いたします」
丁寧な一礼を向けて入ると、長官の遣いだと名乗る男は書面を差出してきた。
「ご苦労……ほう、これは重要な任務だな」
目を落とすこと僅か。書面に綴られる文をなぞるとニカの口角は上がった。
「長官に伝えろ。『了解した』とな」
返事を聞くと、男は長官に返事を伝えるべく部屋を出て行った。その姿を見届け、改めて紙面を見る。
「反政府組織の検挙か……危険な任務ではあるが、犯罪者を一掃する良い機会だな」
書面には「反政府組織の住処がわかった。至急現場に向かい、犯罪者の一斉検挙に乗り出して欲しい」と書かれている。
ニカは能力者ではないので、現場付近で護衛対象である能力者と合流する手筈だ。
「護身用の武器は念の為に持って行くか……ん?」
机の引き出しを開け、中にしまわれた銃を取り出そうとした時だ。今度は扉を叩く音がし、次いで見慣れた顔が見えた。
「ニカさん。昼食の予定は開いているかしら――あら、お出かけ?」
「はい。これよりオットー長官勅命の緊急任務に行って参ります」
「勅命の緊急任務?」
スラリとした長身に、ショートカット。見るからに出来る女といった雰囲気の女性は、ニカの言葉に目を瞬くと不思議そうに執務室に入って来た。
「詳細はそちらの紙面に。エリノラ先輩のお誘いを断る真似をして申し訳ありません」
「それは構わないわ。けれど、そう……反政府組織の一斉検挙……」
エリノラと呼ばれた女性は書面を拾い上げると、僅かに眉を潜めて書類に文字を辿った。そうして最後に書かれた長官の署名と印を見ながら問う。
「出発を延ばすことは出来ない?」
「は? エリノラ先輩の願いならば聞き届けたい所ですが、急を要する任務です。申し訳ありませんが」
「そう。それなら充分に気を付けて……万が一の時にはこれを使うと良いわ」
「これは?」
「閃光弾のようなものね。何かあったら使うと良いわ」
ご武運を。エリノラはそう告げると、渡した石を見詰めるニカに微笑み掛けた。
●ニカ出発数分後
街道を物凄い勢いで駆ける魔導トラックがあった。その運転手は政府司法課の司法官エリノラだ。
『反政府組織の一斉検挙だと? そんな命令は出しておらんぞ! まさか――』
ニカが出発した直後。エリノラは彼女が受けた仕事の内容に疑問を感じ、オットー長官に直接任務の確認していた。
その結果得られたのが先の言葉だ。
「ニカさん、無事でいて……!」
至急集めたハンターを魔導トラックの荷台に乗せ、ひたすらニカが向かった地を目指す。
そもそも何故彼女がニセの指令書で誘き出されたのか。その理由は容易に想像がついた。
(正義感が強いことは良いことよ。でも彼女の裁きは早急すぎるわ。日頃から注意するように言っておいたのに……)
ここ数か月で反政府組織の人間の摘発数は上昇傾向だ。その殆どにニカが関わっているのだが、彼女の裁きは冷徹すぎる。
以前、ハンターによって諭されてからは若干良くなったが、それでも犯罪者に対する態度は相変わらずだった。
(司法官を捕まえて即殺害という線は低いけれど……急がないと!)
アクセルを踏む足に力が篭る。エリノラは目的の場所へ到達するとすぐさまトラックを下りて辺りを見回した。
「ニカさん!」
彼女の名を呼ぶが姿は見えない。
「……遅かった、の?」
落胆し、視線を落とした時だ。
視界に光る物が飛び込んで来た。良く見ると中央が黄色く光る石が転がっており――
「これは私がニカさんに渡した石。使った形跡はないわね……」
思考をフル回転させて状況を整理する。
ニカは反政府組織の者に誘き出された。待ち合わせ場所に転がる石、見えないニカの姿。
「この辺りの地理は……西方に森、東方に崖……そう。あそこね」
エリノラは心配そうに視線を送るハンターを振り返ると、しっかりとした声音で言った。
「依頼内容を変更するわ。東方に潜む反政府組織の者を捕縛し、ニカ司法官の保護をお願いします。任務変更に伴い報酬は上乗せします。彼女を無事に取り戻して下さい」
そう言うと、彼女は祈るように瞼を伏せ、深すぎる程に頭を下げた。
解説
●状況説明
改めまして、政府司法課所属の司法官のエリノラです。
この度は急な任務変更、申し訳ありません。
皆さんには行方不明となった同僚――ニカ・アニシンの捜索をお願いします。
現場を見て得た情報は全て皆さんに提供します。どうか彼女の保護を――
○現場検証
今回ニカは反政府組織の一斉検挙を目的として現地に向かっています。
けれど彼女は現地におらず、出発前に渡した閃光弾の代わりの石が落ちているのみでした。
石の周囲には揉みあったと思われる足跡が複数。空の銃弾も見つかっています。
状況から見て彼女が攫われたのは間違いありません。
足跡より判別できる犯人の数は4人。地面に残る軌跡より能力者が混じる可能性もあります。
犯行後の経路は残された馬の蹄より判明していますが、途中で途切れる可能性もありますので更なる予想経路をこちらで算出いたしました。参考にして下さい。
○潜伏先
現在地より東方に位置する崖に、潜伏可能な穴蔵があります。周囲は木々に囲まれており見通しは悪いです。お気を付けください。
●成功条件
・ニカの救出
※反政府組織の人間は出来る限り捕縛だが、絶対条件ではない。
●敵情報
エリノラの検証で以下の能力者が判明しています。
○機導師‥‥ムーバブルシールドを使用した痕跡有
○闘狩人‥‥踏込を使用した形跡有
○疾影士‥‥ランアウトを使用した形跡有
潜伏人数は4人。どれかのクラスが重複しています。
●NPC
ニカ・アニシン(19)
政府司法課司法官。
新米ながら既に多数の業績があり、それを評価されて昨年帝都に配属になったエリート。
他人を見下す言動や、犯罪者への容赦ない裁きから、影で「冷血司法官」と呼ばれている。
エリノラ(22)
政府司法課司法官。
優しく知的なキャリアウーマンで、ニカの先輩。
上司からの信頼も厚く、容赦ない判決を下すニカを窘めることもある彼女の良心。
※NPCは戦闘に参加しません。
※今回、質問にお答えすることは出来ません。
改めまして、政府司法課所属の司法官のエリノラです。
この度は急な任務変更、申し訳ありません。
皆さんには行方不明となった同僚――ニカ・アニシンの捜索をお願いします。
現場を見て得た情報は全て皆さんに提供します。どうか彼女の保護を――
○現場検証
今回ニカは反政府組織の一斉検挙を目的として現地に向かっています。
けれど彼女は現地におらず、出発前に渡した閃光弾の代わりの石が落ちているのみでした。
石の周囲には揉みあったと思われる足跡が複数。空の銃弾も見つかっています。
状況から見て彼女が攫われたのは間違いありません。
足跡より判別できる犯人の数は4人。地面に残る軌跡より能力者が混じる可能性もあります。
犯行後の経路は残された馬の蹄より判明していますが、途中で途切れる可能性もありますので更なる予想経路をこちらで算出いたしました。参考にして下さい。
○潜伏先
現在地より東方に位置する崖に、潜伏可能な穴蔵があります。周囲は木々に囲まれており見通しは悪いです。お気を付けください。
●成功条件
・ニカの救出
※反政府組織の人間は出来る限り捕縛だが、絶対条件ではない。
●敵情報
エリノラの検証で以下の能力者が判明しています。
○機導師‥‥ムーバブルシールドを使用した痕跡有
○闘狩人‥‥踏込を使用した形跡有
○疾影士‥‥ランアウトを使用した形跡有
潜伏人数は4人。どれかのクラスが重複しています。
●NPC
ニカ・アニシン(19)
政府司法課司法官。
新米ながら既に多数の業績があり、それを評価されて昨年帝都に配属になったエリート。
他人を見下す言動や、犯罪者への容赦ない裁きから、影で「冷血司法官」と呼ばれている。
エリノラ(22)
政府司法課司法官。
優しく知的なキャリアウーマンで、ニカの先輩。
上司からの信頼も厚く、容赦ない判決を下すニカを窘めることもある彼女の良心。
※NPCは戦闘に参加しません。
※今回、質問にお答えすることは出来ません。
マスターより
こんにちは、朝臣あむです。
今回は罰タイトル第二弾をお届けです。
強引な手段で次々と検挙してゆくニカを案じていたエリノラの不安が的中しました。
彼女の願いを聞き届けるためにもニカの救出をお願いします。
皆さまのご参加とプレイングを心よりお待ちしております。
今回は罰タイトル第二弾をお届けです。
強引な手段で次々と検挙してゆくニカを案じていたエリノラの不安が的中しました。
彼女の願いを聞き届けるためにもニカの救出をお願いします。
皆さまのご参加とプレイングを心よりお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/07/02 23:29
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/21 21:02:18 |
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![]() |
相談卓 シェリル・マイヤーズ(ka0509) 人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/06/25 21:41:33 |